市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
2021年末時点で、固定回線によるブロードバンド利用者は約1,879万人である。2018年末時点で63の第一級行政区のすべてでサービス提供が行われている。主要な事業者は、VNPT-Vinaphone、Viettel Telecom、FPT Telecomである。
ネット上で流通する情報に関して政府は敏感で、SNSサービスや一般ウェブサイトの設置に当たり免許を必要とする等の内容を含む政令を制定している。
固定ブロードバンド加入数及び加入率(2017-2021年)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
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固定BB加入数(千) | 11,270 | 12,994 | 14,802 | 16,699 | 19,328 |
固定BB加入率 | 12.0% | 13.7% | 15.5% | 17.3% | 19.8% |
移動電話市場
1992年にサービス提供が開始され、主要な事業者は、VNPT-Vinaphone、MobiFone、Viettel Mobile、Vietnamobileの4社である。2019年4月にIndochina Telecom Company(ITelecom)がVinaphoneのネットワークを利用して事業を開始し、MVNO事業者も市場に加わった。
2009年から3Gサービス、2016年から準備期間を長くとった4Gサービスの提供が開始された。2021年8月時点で、4G網の人口カバレッジは98%とされている。
5Gについては、2019年にViettel、Mobifone、VNPT-Vinaphoneが試験免許を受け、ハノイ、ホーチミン、ダナン等主要都市で実験を開始した。5G網の試験サービスの展開が進められており、2022年4月時点で16の政令指定都市及び省で実験が行われている。
移動電話加入数及び加入率(2017-2021年)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
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移動電話加入数(千) | 120,016 | 140,639 | 136,230 | 138,935 | 135,349 |
移動電話加入率 | 127.6% | 148.2% | 142.2% | 143.8% | 138.9% |
固定電話市場
1995年の規制緩和以来、順次新規参入が認められ、事業者数が増加している。固定電話は、VNPT-Vinaphone、Viettel Telecom、SPT、FPT Telecom等の事業者が設備を保有してサービスを提供している。一方で、EVN Telecomの吸収合併やVNPTのグループ再編なども行われている。
2008年以降は、自国衛星を基盤の弱い地域で高速の接続を確保するために使用している。
固定電話加入数及び加入率(2017-2021年)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
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固定電話加入数(千) | 4,385 | 4,296 | 3,658 | 3,206 | 3,122 |
固定電話加入率 | 4.7% | 4.5% | 3.8% | 3.3% | 3.2% |
放送市場
地上放送
首都に本拠地を置くベトナム国営放送(VTV)とベトナム・マルチメディア(VTC)の全国放送局、各省及び中央直轄市の人民委員会が管理・運営する64の地方局が地上放送を実施しており、2019年末現在、71事業者に免許が交付されている。
政府は、2011年に中央直轄市から段階的にアナログ停波を行い、2020年までにアナログ放送を終了してテレビ放送のデジタル移行を完了するとした。2015年に五つの中央直轄市からアナログ停波が開始され、2021年1月、政府がデジタル放送への完全移行を発表した。
有料放送
自国衛星の打上げによって、直接衛星放送受信(DTH)の規制が緩和され、VTCやベトナム衛星テレビ(VSTV)がサービスを提供している。2019年末時点の有料DTHの契約数は約107万、9,471億VND程度の売り上げとなっている。
ケーブルテレビは、ハノイやホーチミンなどの大都市圏で普及しており、2019年末現在、21事業者にケーブルテレビ・サービス・プロバイダの免許を付与している。2019年末時点の有料のケーブルテレビの契約数は1,107万で、6兆2,550億VND程度の売上げである。
重要政策動向
国家デジタル戦略
2020年より首相決定で「国家デジタル・トランスフォメーション計画(National Digital Transformation Program)」を定め、デジタル政府及びデジタル経済・社会の形成と、世界的競争力のあるデジタル産業の確立を二つの主要政策目標とし、デジタル経済の目標として国内総生産に占める割合等の目標を定めた。インフラについては、2025年に向けて光ファイバ・ネットワーク・インフラを全世帯の80%、コミューン・レベルでは100%カバレッジを達成し、4G及び5Gサービス及びスマートフォン利用のユニバーサル化、全人口の約半数の電子決済利用を実現するとした。
また、2022年3月の首相決定では、デジタル経済・社会の開発に力点が置かれ、GDPに占めるデジタル経済の規模を2025年に20%、2030年に30%とする目標を示した。それを可能とするために、2025年までに成人の80%がスマートフォンを持ち、家庭の80%がブロードバンドでカバーされるようになり、勤労年齢の70%以上が基礎的なデジタル技能を持つようにするとした。一方では、サイバー・セキュリティの確保についても取組み、デジタル人材の確保にも努力するとした。また、デジタル経済・社会形成の促進のために、法規制の改正を行い、トライアルのための制度的なデジタル・サンド・ボックスを整備することについても示されている。
基礎データ集
国の基礎データ
- 政体
- 社会主義共和制
- 面積
- 33万1,150㎢
- 人口
- 9,474万人
- 首都
- ハノイ
- 公用語
- ベトナム語
経済関連データ
- 通貨単位
- 1ドン(VND)=0.006 円(2022年9月末)
- 会計年度
- 1月から1年間
- GDP
- 3,661億3,759万 USD(2021年)
法律
通信 | 電気通信法、無線周波数法 等 |
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放送 | 2016年プレス法 等 |
監督機関
通信 | 情報通信省 |
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放送 | 情報通信省 |