10 地方公営事業の状況

(1) 地方公営企業

ア 概況

(ア) 事業数[第111表]

 平成16年度末において、地方公営企業を経営している団体数は2,580団体(企業団・一部事務組合等でのみ地方公営企業を経営している17団体及び東京都23特別区中17団体を含む。)であり、その内訳は47都道府県、13大都市、2,520市町村となっている。

 これらの団体が経営している地方公営企業の事業数は1万979事業で、前年度末と比べると1,497事業減少している。これを事業別にみると、第99図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業(簡易水道事業を含む。以下同じ。)、介護サービス事業、病院事業の順となっている。

(イ) 業務の状況

 地方公営企業は、住民の生活水準の向上を図るうえで大きな役割を果たしている。各事業全体の中で地方公営企業が占める割合は第32表のとおりである。

 平成16年度における主要な事業の業務の状況についてみると、次のとおりとなっている。

a 水道事業

 水道事業(用水供給事業を除く。)においては、配水能力7,242万3千m3/日、導送配水管68万4,672kmを有し、年間164億46百万m3(対前年度比0.2%増)の配水を行っている。また、給水人口は1億2,383万4千人で、全国人口に対する割合は96.1%(10年前(平成6年度)は94.1%)であり、着実に上昇している。

b 工業用水道事業

 工業用水道事業においては、配水能力2,162万m3/日、導送配水管8,344kmを有し、年間47億79百万m3(対前年度比1.6%増)の配水を行っている。また、契約水量は1,771万4千m3/日(対前年度比0.9%減)となっている。

c 都市高速鉄道事業

 都市高速鉄道事業においては、車両4,406両、営業路線506kmを有している。また、年間輸送人員は27億25百万人(対前年度比0.5%減)となっている。

d バス事業

 バス事業においては、車両9,543両、営業路線1万365kmを有している。また、年間輸送人員は10億95百万人(対前年度比8.2%減)であり、近年減少が続いている。

e 病院事業

 病院事業においては、1,000病院、病床23万8,655床を有している。また、年延患者数は1億9,535万5千人(対前年度比2.9%減)であり、3年連続の減少となっている。

f 下水道事業

 下水道事業においては、現在晴天時処理能力5,931万m3/日、管渠42万6,868kmを有している。また、年間有収水量(流域下水道分は除く。)は104億59百万m3(対前年度比2.4%増)であり、着実に増加している。

(ウ) 職員数[第112表]

 平成16年度末における地方公営企業に従事する職員の数は40万414人で、前年度末と比べると1.5%減となっている。この職員数は、地方公共団体の全職員数の13.0%(前年度末13.0%)に相当している。

 これを事業別にみると、第100図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、下水道事業、交通事業の順となっており、これら4事業で職員数全体の92.2%を占めている。また、行政改革の推進による定員管理の適正化等により、ほとんどの事業で職員数は減少している。

(エ) 決算規模等[第113表]

 決算規模は21兆5,925億円で、宅地造成事業において、未成事業資産の精算及び仮勘定の精算を行ったことに伴い費用が増加したこと等により、前年度と比べると1兆2,855億円増加(6.3%増)となっており、普通会計歳出決算額の23.7%(前年度21.9%)に相当する規模となっている。

 これを事業別にみると、第101図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、病院事業、水道事業、宅地造成事業の順となっている。

 また、建設投資額の推移は、第102図のとおりであり、平成16年度の額は5兆4,898億円(対前年度比4.2%減)で、普通会計の普通建設事業費の33.6%に相当する規模となっている。

 これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、宅地造成事業、病院事業の順となっている。建設投資額が前年度より減少した主な事業は、下水道事業(対前年度比3,699億円減少、12.0%減)、水道事業(同450億円減少、3.4%減)、港湾整備事業(同95億円減少、13.7%減)となっており、他方、埋立造成等により、宅地造成事業が前年度と比べると増加(同1,665億円増加、41.8%増)している。

(オ) 全体の経営状況

 法適用企業と法非適用企業を合わせた全体の経営状況をみると、第33表のとおりであり、黒字事業数は全体の86.3%、赤字事業数は13.7%で、全体としては2,590億円の黒字となっている(前年度1,482億円の黒字)。また、黒字額が増加した主な理由については、水道事業及び下水道事業において有収水量が増加したこと、宅地造成事業において未成事業資産の精算及び仮勘定の精算を行ったこと等によるものである。

(カ) 料金収入

 料金収入は9兆9,796億円で、前年度と比べると4,374億円増加(4.6%増)している。これを事業別にみると、第103図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、下水道事業、宅地造成事業の順となっている。

(キ) 企業債の状況

 資本的支出に充当された企業債の発行額の状況は、第104図のとおりであり、発行額は3兆3,066億円で、前年度と比べると2.7%増となっている。これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、宅地造成事業、病院事業の順となっている。

 企業債借入先別現在高の推移は、第105図のとおりであり、平成16年度末の額は60兆9,477億円で、前年度末と比べると0.9%減となっている。これを借入先別にみると、政府資金が最も大きな割合を占め、以下、公営企業金融公庫資金、市中銀行資金等の順となっている。

(ク) 他会計繰入金の状況

 他会計からの繰入金は3兆6,405億円で、前年度と比べると2.0%減となっている。この内訳をみると、収益的収入として2兆866億円(収益的収入に対する割合15.2%)、資本的収入として1兆5,539億円(資本的収入に対する割合22.0%)となっている。

 これを事業別にみると、下水道事業の繰入額が最も大きな割合(繰入額全体の58.3%)を占め、以下、病院事業(同19.4%)、水道事業(同7.7%)、交通事業(同5.9%)の順となっている。

(ケ) 法適用企業の経営状況[第114表]

a 損益収支

 法適用企業の経営状況を表すものには、純損益、経常損益、総収支比率、経常収支比率等がある。純損益とは、当該年度の総合的な収支状況を表し、総収益が総費用を上回る場合の差額が純利益であり、逆に総費用が総収益を上回る場合の差額が純損失である。

 経常損益とは、純損益から固定資産売却益等の臨時的な収益(特別利益)や、過年度の職員給与費等の費用(特別損失)を除いたものをいい、当該年度の経営活動の結果を表し、経常収益が経常費用を上回る場合の差額が経常利益であり、逆に経常費用が経常収益を上回る場合の差額が経常損失である。

 総収支比率とは総費用に対する総収益の割合、ここでいう経常収支比率とは経常費用に対する経常収益の割合であり、それぞれ100%を下回ると費用が収益を上回っている状態を意味することになる。

 法適用企業の総収益(経常収益+特別利益)は11兆4,644億円、総費用(経常費用+特別損失)は11兆2,557億円となっており、この結果、純損益は2,088億円の黒字となっており、総収支比率は101.9%と前年度より0.8%ポイント上昇している。また、経常収益(営業収益+営業外収益)は10兆8,237億円、経常費用(営業費用+営業外費用)は10兆6,697億円となっており、この結果、経常損益は1,540億円の黒字となっており、経常収支比率は101.4%と前年度より0.4%ポイント上昇している。

 経常収支比率の推移をみると、平成3年度以降100%を下回る状況が続いていたが、平成15年度に引き続き2年連続で100%を上回った。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第34表のとおりである。

b 累積欠損金

 過去の年度から通算した純損益における損失の累積額である累積欠損金は4兆6,971億円で、前年度と比べると4.4%増となっている。また、累積欠損金合計額に占める割合が大きい事業は、交通事業(累積欠損金合計額の50.8%)、病院事業(同35.8%)等である。

c 不良債務

 貸借対照表日現在において、流動負債の額が流動資産の額(翌年度へ繰り越される支出の財源充当額を除く。)を上回る場合の当該超過額である不良債務は3,525億円で、前年度と比べると1.3%増となっており、平成10年度以降、年々増加傾向にある。不良債務の大きい事業は、交通事業(不良債務額全体の62.1%)、病院事業(同21.6%)、下水道事業(同6.6%)である。

d 資本収支

 建設投資や企業債の償還金等の支出である資本的支出は6兆130億円で、前年度と比べると11.1%増となっている。これに対する財源は、企業債等の外部資金が3兆5,553億円、損益勘定留保資金等の内部資金が2兆3,395億円、財源不足額は1,182億円となっている。

 資本的支出のうち建設改良費は3兆213億円で、前年度と比べると1.9%増となっている。建設改良費が大きい事業は、水道事業(建設改良費全体の37.4%)、下水道事業(同23.7%)、病院事業(同12.5%)である。

(コ) 法非適用企業の経営状況[第116表]

 法非適用企業の実質収支をみると、黒字事業数は法非適用企業全体の95.3%、赤字事業数は4.7%を占めており、全体では503億円の黒字(前年度363億円の黒字)となっている。

(サ) 財政再建等の状況

 地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第49条の規定に基づく財政再建(いわゆる準用再建)については、交通事業において1事業が再建を行っていたが、平成11年度に計画どおり完了している。

 工業用水道事業においては、平成14年度から水利権の転用等を伴う未稼動資産等の整理により抜本的な経営健全化策に取り組む地方公共団体を対象として未稼動資産等整理経営健全化対策を講じており、平成16年度末現在において1団体2施設が取組を行っている。

 また、交通事業(地下鉄事業)の経営健全化措置については、計画期間開始年度末において不良債務を有し、計画期間中に不良債務の増加が見込まれる団体で、かつ、計画期間内に償却営業収支を5%以上向上させることが確実と見込まれる団体のうち、経営健全化計画を策定する団体の中から総務大臣が指定する団体を対象として、不良債務の計画的な解消及びその発生に抑制を図ることを目的に、平成16年度末において4団体が取組を行っている。

 さらに、病院事業においては、平成13年度末において医業収益に対する不良債務の比率が10%以上の病院事業を経営する団体のうち、経営努力の徹底により収支の均衡を図ることが可能なものについて、平成14年度から15団体を対象に第五次経営健全化措置が実施されている。

イ 事業別状況[第111表〜第116表]

(ア) 水道事業

a 事業数
(a) 上水道事業

 地方公共団体が経営する上水道事業で、平成16年度決算対象となるものは、1,736事業であり、このうち、末端給水事業は1,651事業(うち建設中1事業)、用水供給事業は85事業(同13事業)である。これを経営主体別にみると、末端給水事業は、都県営が4事業、大都市営が13事業、市営が646事業、町村営が926事業、企業団営等が62事業であり、用水供給事業は、府県営が23事業、企業団営等が62事業となっている。

(b) 簡易水道事業

 地方公共団体が経営する簡易水道事業で、平成16年度決算対象となるものは、1,232事業(うち法適用30事業)である。これを経営主体別にみると、町村営が981事業で全体の79.6%を占め、以下、市営が242事業、一部事務組合営等が6事業、大都市営が2事業、県営が1事業となっている。

b 経営規模

 水道事業の給水人口(用水供給事業を除く。)は、平成16年度末で1億24百万人(上水道事業1億19百万人、簡易水道事業5百万人)であり、前年度と比べると0.3%増となっている。また、平成16年度の年間総有収水量(用水供給事業を含む。)は192億77百万m3(前年度191億20百万m3)、給水人口1人当たり1日平均有収水量(用水供給事業を除く。)は325L(同323L)となっている。

c 経営状況
(a) 法適用企業

(i) 損益収支

 上水道事業及び法適用の簡易水道事業の総収益は3兆2,079億円、総費用は2兆9,863億円となっており、この結果、純損益は2,216億円の黒字(前年度1,765億円の黒字)、総収支比率は107.4%となっている。また、経常収益は3兆1,984億円、経常費用は2兆9,759億円となっており、この結果、経常損益は2,225億円の黒字、経常収支比率は107.5%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第35表のとおりである。

 累積欠損金は1,320億円で、前年度と比べると1.1%減となっている。また、不良債務は15億円で、前年度と比べると7.9%減となっている。

(ii) 資本収支

 資本的支出は、第106図のとおりであり、平成16年度の額は1兆9,392億円で、前年度と比べると1.2%増となっている。これに対する財源は、外部資金が8,597億円、内部資金が1兆746億円で、財源不足額は49億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1兆1,288億円で、前年度と比べると3.0%減、企業債償還金は7,203億円で、前年度と比べると7.7%増となっている。

(iii) 給水原価と料金

 有収水量1m3当たりの給水原価(用水供給事業を除く。)は177.56円で、前年度と比べると1.6%減となっている。給水原価の内訳をみると、資本費が68.39円、職員給与費が31.21円、受水費が30.63円、その他の経費が47.34円となっている。これに対して1m3当たりの供給単価は173.68円であり、供給単価が給水原価を3.88円下回る状態となっている。

 また、平成16年度中に料金改定を実施した水道事業(用水供給事業を含む。)は157事業(前年度122事業)で、営業中の事業の9.0%となっている。

(b) 法非適用企業

 法非適用の簡易水道事業の実質収支をみると、黒字事業が1,163事業で111億円の黒字、赤字事業が34事業で15億円の赤字となっており、差引96億円の黒字となっている。

(イ) 工業用水道事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する工業用水道事業で、平成16年度決算対象となるものは、148事業(うち建設中5事業)である。これを経営主体別にみると、都道府県営が41事業、大都市営が7事業、市営が65事業、町村営が28事業、企業団営が7事業となっている。

 施設数は267施設、給水先事業所数は6,189箇所、年間総配水量は47億79百万m3となっている。また、施設利用率(1日平均配水量を現在配水能力で除したもの)の平均は60.2%(前年度58.8%)となっている。

b 経営状況
(a) 損益収支

 工業用水道事業の総収益は1,612億円、総費用は1,418億円となっており、この結果、純損益は194億円の黒字(前年度164億円の黒字)、総収支比率は113.7%となっている。また、経常収益は1,591億円、経常費用は1,400億円となっており、この結果、経常損益は190億円の黒字、経常収支比率は113.6%となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第36表のとおりである。

 累積欠損金は209億円で、前年度と比べると3.3%減となっている。

(b) 資本収支

 資本的支出は1,505億円で、前年度と比べると3.0%増となっている。これに対する財源は、外部資金が694億円、内部資金が805億円で、財源不足額は6億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は540億円で、前年度と比べると9.8%減、企業債償還金は464億円で、前年度と比べると7.5%増となっている。

(c) 給水原価と供給単価

 有収水量1m3当たりの給水原価は29.41円(資本費15.69円、職員給与費4.37円、その他の経費9.35円)となっており、これに対して1m3当たりの供給単価は29.52円であり、供給単価が給水原価を0.11円上回る状態となっている。

 これを補助事業と単独事業に分けてみると、単独事業では供給単価(13.67円)が給水原価(11.66円)を2.01円上回るのに対して、補助事業では供給単価(33.36円)が給水原価(33.71円)を0.35円下回っている。

(ウ) 交通事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する交通事業で、平成16年度決算対象となるものは、111事業(うち未開業1事業)である。これを事業別にみると、バスが44事業、都市高速鉄道が10事業、路面電車が5事業、モノレール等が2事業、船舶が50事業となっている。

 これらによる年間輸送人員は39億人、1日平均1,072万人(対前年度比2.8%減)である。1日平均輸送人員を事業別にみると、バスが300万人(対前年度比8.3%減)、都市高速鉄道が747万人(同0.4%減)、路面電車が15万人(同同数)、その他が10万人(同9.1%減)となっている。

 公営交通が国内の旅客輸送機関に占める割合を輸送人員からみると、第107図のとおりであり、バスについては23.7%、都市高速鉄道については12.9%となっている。

b 経営状況
(a) 法適用企業

(i) 損益収支

 法適用の交通事業の総収益は8,199億円、総費用は8,833億円となっており、この結果、純損益は634億円の赤字、総収支比率は92.8%となっている。また、経常収益は7,944億円、経常費用は8,583億円となっており、この結果、経常損益は639億円の赤字、経常収支比率は92.6%となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第37表のとおりである。

 累積欠損金は2兆3,844億円で、前年度と比べると2.6%増となっている。一方、不良債務は2,189億円で、前年度と比べると3.4%増となっている。

 これを事業別にみると、バス事業においては、料金収入の減少等により、経常損益は50億円の赤字となっている。また、累積欠損金は1,944億円で、前年度と比べると0.6%減となっており、不良債務は886億円で、前年度と比べると3.1%増となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第38表のとおりである。

 都市高速鉄道事業においては、経常損益は578億円の赤字となっている。また、累積欠損金は2兆1,429億円で、前年度と比べると2.9%増となっており、不良債務は972億円で、前年度と比べると5.1%増となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第39表のとおりである。

(ii) 資本収支

 法適用の交通事業の資本的支出は6,585億円(うち都市高速鉄道事業6,099億円、バス事業417億円)で、前年度と比べると12.9%増となっている。これに対する財源は、外部資金が4,487億円、内部資金が1,541億円で、財源不足額は557億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は3,093億円(うち都市高速鉄道事業2,860億円、バス事業192億円)で、前年度と比べると13.1%増、企業債償還金は3,035億円(うち都市高速鉄道事業2,831億円、バス事業181億円)で、前年度と比べると10.9%増となっている。

(b) 法非適用企業

 交通事業における法非適用企業は船舶運航事業の41事業で、実質収支をみると、黒字事業が32事業で3億円の黒字、赤字事業は9事業で7億円の赤字となっている。

(エ) 電気事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する電気事業で、平成16年度決算対象となるものは、130事業であり、法適用企業が33事業、法非適用企業が97事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が33事業、大都市営が13事業、市営が48事業、町村営が14事業、一部事務組合営が22事業となっている。施設数は494施設で、最大出力の合計は393万3千kW(建設中を含む。)、年間発電電力量は158億2百万kWh、年間売電電力量は124億60百万kWhとなっている。

 上記のうち稼働中の水力発電施設は297施設、ごみ発電施設は140施設、スーパーごみ発電施設は4施設、ごみ固形燃料発電施設2施設、風力発電施設31施設であり、自家消費部分を含む最大出力の合計は水力発電施設で255万kW、ごみ発電施設で109万kW、スーパーごみ発電施設で9万9千kW、ごみ固形燃料発電施設で18,590kW、風力発電施設で47,250kW、年間発電電力量は、水力発電施設で97億78百万kWh、ごみ発電施設で53億86百万kWh、スーパーごみ発電施設で4億83百万kWh、ごみ固形燃料発電施設で76,700千kWh、風力発電施設で78,710千kWh、年間売電電力量は、水力発電施設で96億77百万kWh、ごみ発電施設で23億1百万kWh、スーパーごみ発電施設で3億56百万kWh、ごみ固形燃料発電施設で49,358千kWh、風力発電施設で76,944千kWhとなっている。

b 経営状況
(a) 法適用企業

(i) 損益収支

 法適用の電気事業の総収益は916億円、総費用は836億円となっており、この結果、純損益は80億円の黒字、総収支比率は109.5%となっている。また、経常収益は901億円、経常費用は801億円となっており、この結果、経常損益は100億円の黒字、経常収支比率は112.5%となっている。また、累積欠損金は26億円となっており、不良債務を有する事業はない。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第40表のとおりである。

(ii) 資本収支

 資本的支出は493億円で、前年度と比べると6.6%増となっている。これに対する財源は、外部資金が87億円、内部資金が405億円で、財源不足額は生じていない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は134億円で、前年度と比べると7.9%減、企業債償還金は221億円で、前年度と比べると56.7%増となっている。

(b) 法非適用企業

 電気事業における法非適用企業は、ごみ発電事業、スーパーごみ発電事業、風力発電事業、水力発電事業及びごみ固形燃料発電事業の97事業で、実質収支をみると97事業すべてにおいて黒字となっており、黒字額は20億円となっている。

(オ) ガス事業

 a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営するガス事業で、平成16年度決算対象となるものは、47事業である。これを経営主体別にみると、県営が1事業、大都市営が1事業、市営が26事業、町村営が16事業、企業団営が3事業となっている。公営ガス事業の供給戸数(契約数)は109万戸(前年度111万戸)で、供給区域内戸数に対する普及率は73.1%となっている。また、販売量は338億68百万MJで、前年度と比べると0.9%増となっている。

 ガス事業全体に占める公営ガス事業の割合をみると、事業数で21.7%、供給戸数で4.0%、販売量で2.7%となっている。なお、民間大手4社を除いた割合では、供給戸数で13.8%、販売量で12.5%となっている。

b 経営状況
(a) 損益収支

 ガス事業の総収益は937億円、総費用は990億円となっており、この結果、純損益は53億円の赤字、総収支比率は94.6%となっている。また、経常収益は929億円、経常費用は958億円となっており、この結果、経常損益は29億円の赤字、経常収支比率は96.9%となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第41表のとおりである。

 累積欠損金は345億円で、前年度と比べると16.9%増となるとともに、不良債務は15億円生じている。

(b) 資本収支

 資本的支出は467億円で、前年度と比べると27.2%増となっている。これに対する財源は、外部資金が85億円、内部資金が308億円で、財源不足額は74億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は187億円で、前年度と比べると8.1%増、企業債償還金は236億円で、前年度と比べると93.1%増となっている。

(カ) 病院事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する病院事業(地方公営企業法を適用する病院事業数)で、平成16年度決算対象となるものは、728事業であり、これらの事業が有する病院(以下「自治体病院」という。)数は1,000病院(うち建設中1病院)である。これを経営主体別にみると、都道府県立が223病院(47都道府県)、大都市立が34病院(13大都市)、市立が347病院(302市)、町村立が268病院(265町村)及び一部事務組合等立が128病院(101組合)となっている。

 自治体病院のうち一般病院について病床数300床以上の大規模病院が占める割合を経営主体別にみると、都道府県立が50.5%、大都市立が63.6%、市立が44.8%とそれぞれ大きな割合を占めている。これら大規模病院は、地域における基幹病院、中核病院として高度の医療設備を備え、医療水準の向上等に重要な役割を果たしている。

 平成16年度末における病床数は23万9千床で、前年度と比べると0.1%増となり、入院、外来延患者数は2億人で、2.9%減となっている。

 また、病床利用率は81.1%(前年度81.9%)、外来入院患者比率(年延外来患者数を年延入院患者数で除したもの)は178.2%(前年度182.4%)となっている。なお、全国の病院に占める自治体病院の数及び病床数の推移は、第108図のとおりである。

b 経営状況
(a) 損益収支

 病院事業の総収益は4兆1,586億円、総費用は4兆2,847億円となっており、この結果、純損益は1,261億円の赤字、総収支比率は97.1%となっている。また、経常収益は、患者数の減少による料金収入の減少等から、前年度と比べると1.3%減の4兆1,281億円、経常費用は、薬品費や職員給与費が減少したことなどから、0.4%減の4兆2,598億円となっている。この結果、経常損益では1,317億円の赤字、経常収支比率は96.9%となっている。また、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第42表のとおりである。

 累積欠損金は1兆6,826億円で、前年度と比べると3.9%増、不良債務は761億円で、前年度と比べると2.6%増となっている。

 なお、医業費用に対する医業収益の割合である医業収支比率は90.3%(前年度91.0%)となっており、これを病院の種別にみると、一般病院が91.1%(同91.7%)、結核病院が44.9%(同46.2%)、精神病院が65.2%(同66.0%)となっている。

(b) 資本収支

 資本的支出は6,853億円で、前年度と比べると4.3%増となっている。これに対する財源は、外部資金が4,682億円、内部資金が1,993億円で、財源不足額は178億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は3,781億円で、前年度と比べると0.3%減、企業債償還金は2,387億円で、前年度と比べると8.7%増となっている。

(キ) 下水道事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する下水道事業で、平成16年度決算対象となるものは、4,343事業(うち建設中289事業)であり、法適用企業が203事業、法非適用企業が4,140事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が83事業、大都市営が26事業、市営が1,548事業、町村営が2,637事業、一部事務組合等営が49事業となっている。

 下水道事業の平成16年度末における現在処理区域内人口は9,141万人、現在処理区域面積は305万haとなっている。また、年間総処理水量(雨水処理水量と汚水処理水量の合計。ただし、流域下水道分は流域関連公共下水道として水量を計上しているため除く。)は143億57百万m3で、前年度と比べると3.3%増となっている。

b 経営状況
(a) 法適用企業

(i) 損益収支

 法適用企業の下水道事業の総収益は1兆3,711億円、総費用は1兆3,252億円となっており、この結果、純損益は458億円の黒字、総収支比率は103.5%となっている。また、経常収益は、前年度と比べると1.6%増の1兆3,638億円、経常費用は、0.8%増の1兆3,229億円となっている。この結果、経常損益は409億円の黒字、経常収支比率は103.1%となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第43表のとおりである。

 累積欠損金は1,993億円で、前年度と比べると3.8%減となり、また、不良債務は233億円で、17.9%減となっている。

(ii) 資本収支

 法適用企業の下水道事業の資本的支出は1兆6,008億円で、前年度と比べると4.9%増となっている。これに対する財源は、外部資金が1兆210億円、内部資金が5,525億円で、財源不足額は273億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は7,147億円で、前年度と比べると9.4%減、企業債償還金は8,688億円で、前年度と比べると20.7%増となっている。

(b) 法非適用企業

 法非適用企業の下水道事業の総収益は1兆5,157億円で、前年度と比べると0.1%増となっている。その内訳をみると、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が6,157億円(総収益に占める割合40.6%)、料金収入が6,688億円(同44.1%)等となっている。一方、総費用は1兆3,589億円で、前年度と比べると1.1%減となっており、うち地方債利息が6,577億円(総費用に占める割合48.4%)となっている。

 資本的支出は2兆9,391億円で、前年度と比べると6.3%減となっている。その内訳をみると、建設改良費は2兆13億円で、前年度と比べると12.9%減、地方債償還金は9,196億円で、前年度と比べると11.6%増となっている。

 実質収支をみると、黒字事業が3,720事業で893億円の黒字、赤字事業が138事業で421億円の赤字となり、差引473億円の黒字となっている。

(c) 全体の経営状況

 法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の総収益は、前年度と比べると0.9%増の2兆8,867億円、総費用は、前年度と比べると0.1%減の2兆6,842億円となっており、この結果、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)は931億円の黒字となっている。これは、供用を開始した事業の増加により料金収入が増加しているほか、他会計の繰入れが行われていることによる。

 汚水処理費を年間有収水量で除して算出した汚水処理原価(特定公共下水道及び流域下水道を除く。)についてみると、法適用企業が149.14円/m3(維持管理費56.80円/m3、資本費92.34円/m3)、法非適用企業が272.86円/m3(維持管理費86.01円/m3、資本費186.85円/m3)、全体としては212.23円/m3(維持管理費71.70円/m3、資本費140.53円/m3)となっている。

 汚水処理原価と使用料単価(使用料収入を年間有収水量で除して算出したもの、特定公共下水道及び流域下水道を除く。)の関係をみると、法適用企業の使用料単価は135.52円/m3で、汚水処理原価の90.9%、法非適用企業の使用料単価は126.84円/m3で、汚水処理原価の46.5%、全体の使用料単価は131.09円/m3で、汚水処理原価の61.8%とそれぞれ低い水準となっている。このため、下水道事業の財政健全化のためにも今後使用料水準の適正化を図っていく必要がある。

(ク) その他の地方公営企業

a 事業数

 地方公共団体は、以上の事業のほかにも各種の事業を経営している。これを事業別にみると、平成16年度決算対象となるものは、港湾整備事業が111事業、市場事業が182事業、と畜場事業が80事業、観光施設事業が500事業、宅地造成事業が622事業、有料道路事業が5事業、駐車場整備事業が250事業、介護サービス事業が768事業及びその他事業が40事業(診療所、廃棄物等処理施設、自動車学校等)となっている。

b 経営状況

 その他の地方公営企業の純損益、経常損益、実質収支における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第44表のとおりである。

(2) 国民健康保険事業[第117表]

 平成16年度末の国民健康保険事業の保険者は、2,540団体(13大都市、35中核市、40特例市、643都市、1,782町村、23特別区、4一部事務組合等)で、総保険者数は前年度末と比べると610団体減少している。また、直営診療所を設置している団体は472団体(7中核市、8特例市、114都市、341町村、2一部事務組合等)で、前年度末と比べると98団体減少している。

 被保険者数は4,774万人であり、加入世帯数は2,493万世帯となっている。

 これらを前年度末と比べると、被保険者数は58万人増加、加入世帯数は50万世帯増加となっている。

 なお、昭和59年10月に創設された退職者医療制度の被保険者数及び被扶養者数は727万8千人で、前年度末と比べると75万人増加(11.5%増)している。

ア 事業勘定[第117表]

(ア) 歳入

 保険税(料)を主な歳入としている事業勘定の歳入決算額は10兆8,701億円で、前年度と比べると3.5%増(前年度9.4%増)となっている。

 歳入の内訳をみると、第109図のとおりであり、国民健康保険税(料)及び国庫支出金の両者で歳入総額の66.7%を占め、前年度(67.5%)と同水準になっている。

 それぞれの決算額をみると、国民健康保険税(料)は3兆5,188億円で、前年度と比べると2.7%増(前年度1.2%増)、国庫支出金は3兆7,299億円で、1.9%増(同7.7%増)となっている。また、国庫支出金の主な内訳をみると、療養給付費等負担金が2兆9,044億円、財政調整交付金等が8,254億円で、それぞれ前年度と比べると2.3%増(同5.8%増)、0.7%増(同14.9%増)となっている。

 また、都道府県支出金は658億円で、前年度と比べると0.5%増(前年度222.3%増)となっている。

 さらに、他会計繰入金は1兆1,581億円で、前年度と比べると1.0%増(前年度11.2%増)となっている。

 この内訳をみると、財源補てん的な繰入金が3,506億円(対前年度比2.9%減)、国民健康保険の財政基盤の安定を図るための保険基盤安定制度による繰入金が4,236億円(同5.2%増)、高医療費基準超過額に係る繰入金が22億円(同13.4%増)等となっている。

(イ) 歳出

 歳出決算額は10兆7,162億円で、前年度と比べると3.4%増(前年度10.2%増)となっている。

 歳出の内訳をみると、第110図のとおりであり、保険給付費は6兆8,253億円で、前年度と比べると8.1%増(前年度17.7%増)となっている。

 主な内訳をみると、療養諸費等が6兆6,431億円で、前年度と比べると8.4%増(前年度18.1%増)となるとともに、その他の給付費が1,584億円で、3.4%減(同6.6%増)となっている。

(ウ) 収支

 実質収支は1,505億円の黒字(前年度1,434億円の黒字)であり、昭和40年度以降黒字基調が続いている。しかし、実質収支から財源補てん的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、2,418億円の赤字(同2,604億円の赤字)となっており、11年連続して赤字となっている。

 再差引収支を団体規模別にみると、大都市が1,756億円の赤字(前年度1,896億円の赤字)、中核市が371億円の赤字(同425億円の赤字)、特例市が312億円の赤字(同315億円の赤字)、都市が592億円の赤字(同787億円の赤字)となる一方、町村が512億円の黒字(同777億円の黒字)、一部事務組合等が6億円の黒字(同3億円の黒字)、特別区が96億円の黒字(同40億円の黒字)となっており、大都市、中核市、特例市及び都市において赤字額が減少している。

 再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると518団体減少の1,683団体で、その黒字額は41億円増加の1,626億円となっている。

 一方、赤字の団体数は92団体減少の857団体で、全団体に占める割合は33.7%となっており、その赤字額は、前年度と比べると145億円減少の4,044億円となっている。

 赤字の団体が占める割合を団体規模別にみると、大都市が100.0%、中核市が65.7%、特例市が85.0%、都市が44.9%、町村が27.7%、一部事務組合等が25.0%、特別区が13.0%となっており、特に大都市、中核市及び特例市においては、厳しい財政運営が続いている。

イ 直診勘定[第117表]

 診療所等を設置し診療収入を主な歳入としている直診勘定の歳入決算額は816億円で、前年度と比べると2.1%減(前年度1.9%減)となっている。

 このうち、診療収入は534億円で、前年度と比べると3.5%減(前年度3.0%減)となっており、歳入総額に占める割合についても前年度と比べて0.9%ポイント低下の65.4%となっている。一方、他会計繰入金は136億円で、前年度と比べると1.4%増(同4.3%増)となっており、歳入総額に占める割合についても0.6%ポイント上昇の16.7%となっている。

 歳出決算額は798億円で、前年度と比べると2.3%減(前年度2.0%減)となっている。

 このうち、総務費は393億円(歳出総額に占める割合の49.3%)で、前年度と比べると1.9%減(前年度2.6%減)となっている。また、医業費は264億円(歳出総額に占める割合の33.1%)で、前年度と比べると3.5%減(前年度3.2%減)となっている。なお、医業費の診療収入に対する比率は前年度と同水準の49.5%となっている。

 実質収支は17億円の黒字(前年度15億円の黒字)となっているが、この実質収支から他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支は、104億円の赤字(同115億円の赤字)となっている。

(3) 介護保険事業[第119表]

 平成12年4月から、介護が必要となる状態になっても能力に応じて自立した日常生活ができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づく介護保険制度が実施されている。

 介護保険制度を実施する保険者である市町村等が設ける介護保険事業会計は、第1号被保険者(65才以上の者)からの保険料や、第2号被保険者(40才以上65才未満の医療保険加入者)の介護納付金分に係る支払基金からの交付金である支払基金交付金等を財源として保険給付等を行う保険事業勘定と、介護給付の対象となる在宅サービス及び施設サービスを実施する介護サービス事業勘定とに区分される。

 なお、市町村等が実施する指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、老人短期入所施設、老人デイサービスセンター、指定訪問看護ステーションの5施設により介護サービスを提供する事業(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定に基づき指定管理者が管理するものは除く。)は介護サービス事業として公営企業会計の対象とされている。

 平成16年度末の介護保険事業の保険者は、2,252団体(13大都市、35中核市、40特例市、597都市、1,492町村、23特別区、52一部事務組合等)となっている。また、介護サービス事業勘定を設置している団体は452団体(6大都市、8中核市、12特例市、112都市、289町村、20特別区、5一部事務組合等)となっている。

ア 保険事業勘定[第119表]

(ア) 歳入

 保険事業勘定の歳入決算額は5兆9,539億円となっている。

 歳入の内訳をみると、第111図のとおりである。それぞれの決算額をみると、第1号被保険者が支払う保険料が9,561億円、介護給付費負担金(介護給付及び予防給付に要する費用の額(以下「介護・予防給付額」という。)の100分の20に相当する額)、調整交付金(介護・予防給付額の100分の5に相当する額)等の国庫支出金が1兆4,240億円、支払基金交付金(第2号被保険者の介護給付金分に係る社会保険診療報酬支払基金からの交付金)が1兆7,965億円、都道府県の法定負担(介護・予防給付額の100分の12.5に相当する額)を含む都道府県支出金が7,050億円、市町村の法定負担分(介護・予防給付額の100分の12.5に相当する額)を含む他会計繰入金が9,208億円、介護保険制度の円滑な導入のために設置された基金等の取崩し額である基金繰入金が538億円等となっている。

(イ) 歳出

 歳出決算額は5兆8,475億円となっている。

 歳出の内訳をみると、第112図のとおりであり、保険給付費は5兆5,583億円で、歳出総額の95.1%を占めている。

 その他については、総務費が2,147億円、基金積立金316億円、介護保険財政の安定化を図るため都道府県が設置する基金へ保険者が毎年度拠出する財政安定化基金拠出金52億円等となっている。

(ウ) 収支

 実質収支は1,043億円の黒字となっており、実質収支から財源補てん的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支についても、945億円の黒字となっている。

 再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は2,129団体で、全団体に占める割合は94.5%となっており、その黒字額は1,013億円となっている。

 一方、赤字の団体数は123団体で、全団体に占める割合は5.5%となっており、その赤字額は68億円となっている。

イ 介護サービス事業勘定[第119表]

 介護サービス事業勘定の歳入決算額は403億円となっている。このうち、利用者の支払う自己負担金を含むサービス収入は97億円で、歳入総額に占める割合は24.2%となっている。

 普通会計等からの繰入金は244億円で、歳入総額に占める割合は60.6%となっており、このうち、普通会計からのものが243億円となっている。

 また、地方債は30億円で、歳入総額に占める割合は7.4%となっている。

 歳出決算額は396億円となっている。このうち、施設整備費は58億円で、歳出総額に占める割合は14.6%となっている。

 また、サービス事業費は、107億円で、歳出総額に占める割合は26.9%となっている。

 なお、実質収支は6億円の黒字となっている。

(4) その他の事業

ア 収益事業[第120表]

 収益事業を実施した地方公共団体の数は延べ382団体で、前年度と比べると6団体減少している。

 これを事業別にみると、公営競技についてはモーターボート競走事業を施行した団体が168団体と最も多く、以下、自転車競走事業87団体、競馬事業59団体、小型自動車競走事業8団体の順となっている。

 また、宝くじは、47都道府県及び13大都市の60団体で発行されている。

 これらを団体種類別にみると、都道府県においては延べ73団体、市町村においては延べ309団体が収益事業を実施している。

(ア) 経営状況

 決算額は、歳入3兆4,027億円、歳出3兆4,209億円となっている。これを前年度と比べると歳入は6.0%減、歳出は5.8%減となっている。

 実質上の収支(歳入歳出差引額から翌年度に繰り越すべき財源、他会計からの繰入金、過去の収益を積み立てた基金からの繰入金及び未払金を控除し、他会計への繰出金及び未収金を加えた額)は4,067億円(前年度4,231億円)の黒字となっている。

 普通会計等への収益金の繰出しについて、事業別にみると、競馬事業が13億円(前年度15億円)、自転車競走事業が58億円(同72億円)、小型自動車競走事業が3億円(同6億円)、モーターボート競走事業が101億円(同133億円)、宝くじ事業が4,473億円(同4,500億円)となっている。

(イ) 収益金の使途状況

 収益金の大部分は普通会計等に繰り入れられ、道路、教育施設、社会福祉施設等の整備事業などの財源として活用されている。その繰入額は4,648億円で、前年度と比べると1.7%減(前年度2.9%減)となっている。

 収益金繰入額の使途状況を目的別にみると、土木費が1,708億円で最も大きな割合(収益金繰入額に占める割合の36.8%)を占め、次いで、教育費の699億円(同15.0%)となっており、この両者で繰入総額の51.8%を占めている。

 このほか、民生費が501億円(収益金繰入額に占める割合の10.8%)、衛生費が225億円(同4.8%)、商工費が143億円(同3.1%)等となっている。

イ 共済事業

(ア) 農業共済事業[第122表]

 農業共済事業を実施した市町村の数は80団体で、前年度と比べると7団体減少している。

 農業共済事業会計の決算額は歳入243億円、歳出225億円で、前年度と比べると歳入2.9%減(前年度5.0%減)、歳出4.7%減(同0.3%増)となっている。

 なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から支払準備金積立額、責任準備金積立額、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は、1億円の赤字(前年度7億円の赤字)となっている。

(イ) 交通災害共済事業[第123表]

 直営方式により交通災害共済事業を実施した地方公共団体は176団体(2県、121市町村、53一部事務組合等)で、前年度と比べると13団体減少している。

 また、加入者は平成16年度末で2,016万人(前年度末2,279万人)となっている。

 交通災害共済事業会計の決算額は歳入144億円、歳出120億円で、前年度と比べると歳入7.6%減(前年度15.4%減)、歳出7.5%減(同16.3%減)となっている。

 なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から未経過共済掛金、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は15億円の黒字(前年度10億円の黒字)となっている。

ウ その他

(ア) 老人保健医療事業[第118表]

 老人保健医療事業会計の決算額は、歳入10兆7,564億円、歳出10兆7,322億円であり、歳入においては、医療費交付金等が、歳出においては、医療費等がそれぞれ減少したことから、前年度と比べると歳入0.8%減(前年度0.8%減)、歳出0.6%減(同0.7%減)となっている。

 医療給付費等は10兆3,399億円で、歳出総額の96.3%を占めている。

 実質収支は233億円の黒字(前年度441億円の黒字)となっている。

(イ) 公立大学附属病院事業[第121表]

 公立大学附属病院事業会計の決算額は、収益的収支では総収益1,831億円、総費用1,806億円で、前年度と比べると総収益0.5%増(前年度1.8%増)、総費用0.4%減(同1.5%増)となっている。

 また、資本的収支では資本的収入249億円、資本的支出274億円で、前年度と比べると、資本的収入52.9%減(前年度19.2%増)、資本的支出50.4%減(同21.6%増)となっている。

 実質収支は20億円の黒字(前年度2億円の黒字)となっている。