4 地方経費の内容

 歳出決算額の状況を、支出の対象となる主な行政の目的にしたがって、土木建設(土木費)、教育と文化(教育費)、生活・福祉の充実(民生費、労働費)、産業の振興(農林水産業費、商工費)、保健衛生と環境保全(衛生費等)、警察と消防(警察費、消防費)に分けてみると、以下のとおりである。

(1) 土木建設[第56表〜第61表]

 地方公共団体は、地域の基盤整備を図るため、道路、河川、住宅、公園等の公共施設の建設、整備等を行うとともに、これらの施設の維持管理を行っている。

 これらの諸施策の推進に要する経費である土木費の決算額は15兆2,348億円で、前年度と比べると7.3%減(前年度7.0%減)となっている。

 また、土木費の歳出総額に占める割合は16.7%となっており、歳出総額の中で教育費に次いで大きな割合を占めている。

 土木費の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては15.9%、市町村においては16.0%となっている。

 土木費の目的別の内訳をみると、第35図のとおりであり、街路、公園、下水道等の整備、区画整理等に要する経費である都市計画費が最も大きな割合(土木費総額の37.1%)を占め、以下、道路・橋りょうの新設、改良等に要する経費である道路橋りょう費(同32.7%)、河川の改修、海岸の保全等に要する経費である河川海岸費(同11.1%)の順となっている。

 目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては道路橋りょう費が最も大きな割合(40.5%)を占め、以下、都市計画費(19.8%)、河川海岸費(19.6%)の順となっている。

 一方、市町村においては都市計画費が最も大きな割合(54.1%)を占め、以下、道路橋りょう費(24.8%)、住宅費(9.0%)の順となっている。

 土木費の性質別の内訳をみると、第36図のとおりであり、普通建設事業費が最も大きな割合(土木費総額の62.5%)を占め、以下、下水道事業会計等への繰出金(同8.9%)、人件費(同6.8%)、住宅関係等の貸付金(同6.0%)の順となっている。

 さらに、土木費において大きな割合を占める普通建設事業費についてみると、その構成は、単独事業費が50.2%、補助事業費が39.0%、国直轄事業負担金が10.8%となっている。

 これを団体種類別にみると、都道府県においては補助事業費(43.1%)が単独事業費(41.1%)を上回っている一方、市町村においては単独事業費(63.0%)が補助事業費(31.2%)を大きく上回っている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、単独事業費が8.7%減(前年度8.2%減)、補助事業費が14.5%減(同11.1%減)、国直轄事業負担金が3.5%増(同17.0%減)となっている。

 なお、地方公共団体は、交通事故等の防止を図るため、交通安全施設の設置及び補修、交通安全運動の推進等の道路交通安全対策事業を実施している。道路交通安全対策費として支出された経費(土木費以外の費目に係るものを含み、人件費を除く。)は5,416億円で、前年度と比べると11.3%減(前年度3.8%減)となっている。

 道路交通安全対策経費の内訳をみると、横断歩道や道路標識等交通安全施設の設置費の構成比が最も大きな割合(76.2%)を占め、以下、交通安全運動等(16.0%)、施設補修費(7.8%)の順となっている。

(2) 教育と文化[第65表〜第70表]

 地方公共団体は、教育の振興と文化の向上を図るため、学校教育、社会教育等の教育文化行政を行っている。

 これらの教育施策の推進に要する経費である教育費の決算額は16兆9,102億円で、前年度に比べると1.7%減(前年度2.6%減)となっている。

 また、教育費の歳出総額に占める割合は18.5%となっており、歳出総額の中で最も大きな割合を占めている。

 教育費の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては23.9%、市町村においては11.1%となっている。

 教育費の目的別の内訳をみると、第37図のとおりであり、小学校費が最も大きな割合(教育費総額の30.1%)を占め、以下、中学校費(同17.0%)、高等学校費(同15.1%)、教職員の退職金や私立学校の振興等に要する経費である教育総務費(同14.5%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、小学校費が0.6%減(前年度2.7%減)、中学校費が1.5%減(同3.7%減)、高等学校費が1.6%減(同3.2%減)、教育総務費が1.9%減(同0.5%増)、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設等に要する経費である社会教育費が5.5%減(同1.3%減)、体育施設の建設・運営や体育振興及び義務教育諸学校等の給食等に要する経費である保健体育費が3.5%減(同7.0%減)となっている。

 目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては小学校費が最も大きな割合(33.6%)を占め、以下、高等学校費(20.5%)、中学校費(19.1%)の順となっている。

 また、市町村においても、小学校費が最も大きな割合(22.6%)を占め、以下、社会教育費(21.6%)、保健体育費(21.0%)の順となっている。

 教育費の性質別の内訳をみると、第38図のとおりであり、人件費が最も大きな割合(教育費総額の68.5%)を占め、以下、物件費(同12.4%)、義務教育施設整備等の経費である普通建設事業費(同10.1%)の順となっている。

 また、主な費目を前年度と比べると、人件費が1.1%減(前年度2.2%減)、普通建設事業費が8.5%減(同5.4%減)となっている。

 性質別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては、都道府県立学校教職員の人件費のほか、市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していることから、人件費が大部分(84.8%)を占めている。

 また、市町村においても、人件費が最も大きな割合(33.4%)を占め、以下、物件費(30.8%)、普通建設事業費(23.8%)の順となっている。

(3) 生活・福祉の充実

ア 社会福祉行政

(ア) 社会福祉行政[第35表〜第41表]

 地方公共団体は、社会福祉の充実を図るため、児童、高齢者、心身障害者等のための福祉施設の整備及び運営、生活保護の実施等の施策を行っている。

 これらの諸施策の推進に要する経費である民生費の決算額は前年度と比べると4.1%増(前年度1.7%増)の15兆1,323億円で、歳出総額の中で教育費、土木費に次いで大きい額となっている。

 民生費が増加した主な要因としては、児童手当に係る制度改正(支給対象年齢の拡大)や被生活保護者数の増加等により扶助費が増加したことや、老人保健医療事業会計繰出金の増加等により繰出金が増加したこと等があげられる。また、民生費の歳出総額に占める割合は16.6%となっている(都道府県8.3%、市町村25.3%)。

 なお、決算額を団体種類別にみると、市町村の民生費は都道府県の3倍となっている。

 これは、児童手当支給事務及び社会福祉施設の設置・運営事務が主として市町村によって行われていることや、生活保護に関する事務が市町村(町村については、福祉事務所を設置している町村に限る。)によって行われていること等によるものである。

 民生費の目的別の内訳をみると、第39図のとおりであり、児童福祉費が最も大きな割合(民生費総額の30.3%)を占め、以下、老人福祉費(同26.0%)、知的障害者等の福祉対策や他の福祉に分類できない総合的な福祉対策に要する経費である社会福祉費(同25.3%)、生活保護費(同18.0%)、非常災害によるり災者に対して行われる応急救助、緊急措置に要する経費等の災害救助費(同0.3%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、児童手当に係る制度改正(支給対象年齢の拡大)等により児童福祉費が4.9%増(前年度0.8%増)、老人保健医療事業会計繰出金の増加等により老人福祉費が4.2%増(同0.4%減)、国民健康保険事業会計(事業勘定)への繰出しの増加等により社会福祉費が1.5%増(同1.2%増)、被生活保護者数の増加等により生活保護費が4.8%増(同6.9%増)、台風、新潟県中越地震等、災害の影響により災害救助費が545.0%増(同51.8%増)となっている。

 民生費の目的別歳出額の推移は第40図のとおりである。

 これらの各費目を10年前(平成6年度)の決算額と比べると、生活保護費が1.72倍、児童福祉費が1.47倍、社会福祉費が1.28倍、老人福祉費が1.26倍と高い伸びを示しており、民生費総額の伸び(1.37倍)が歳出純計決算額の伸び(0.97倍)を上回る要因となっている。

 目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては老人福祉費の構成比(45.5%)が最も大きく、以下、児童福祉費(22.8%)、社会福祉費(21.8%)、生活保護費(8.6%)の順となっている。

 また、市町村においては児童福祉費の構成比(32.5%)が最も大きく、以下、社会福祉費(26.8%)、老人福祉費(21.0%)、生活保護費(19.5%)の順となっている。

 民生費の性質別の内訳をみると、第41図のとおりであり、生活保護に要する経費、児童手当の支給に要する経費等の扶助費が最も大きな割合(民生費総額の45.8%)を占め、以下、国民健康保険事業会計(事業勘定)、介護保険事業会計(事業勘定)、老人保健医療事業会計等に対する繰出金(同18.9%)、人件費(同13.2%)、補助費等(同11.5%)、物件費(同5.5%)、普通建設事業費(同3.7%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、扶助費が6.6%増(前年度4.4%増)、繰出金が6.3%増(同8.3%増)、人件費が0.6%減(同2.9%減)、補助費等が8.7%増(同2.2%増)、物件費が0.7%増(同5.5%減)、普通建設事業費が22.3%減(同12.4%減)となっている。

 地方公共団体は、地域の実情に応じた様々な地域福祉施策を展開するため積極的な役割を果たしているところであるが、今後少子・高齢化が更に進行していく中で、保健・福祉・医療施策を一層、総合的・計画的に実施するとともに、地域により密着したサービスの充実を図っていくことが求められている。

 民生費の扶助費のうち、地域の特性に応じて実施される単独施策分の現状をみると、第42図のとおりである。

 都道府県においては1,211億円(民生費の扶助費総額の16.2%)、市町村においては1兆540億円(同17.0%)が単独施策分となっている。

 これを目的別にみると、都道府県においては社会福祉費の50.5%、老人福祉費の97.4%、児童福祉費の8.7%が単独施策分となっており、市町村においては社会福祉費の30.1%、老人福祉費の51.4%、児童福祉費の21.9%が単独施策分となっている。

 民生費の財源構成比の推移は、第43図のとおりである。

 地方公共団体は、これまで、民生費における単独施策の充実、民生費に係る国庫補助負担率の引下げ等を背景に、民生費の増加分の多くを一般財源等の充当で対応してきた結果、昭和55年度は一般財源等と国庫支出金はほぼ同じ割合であった。

 近年は、補正予算により介護保険円滑導入、少子化対策等に係る交付金が追加計上された平成11年度を除いて、一般財源等が国庫支出金の約2倍の割合で推移している。

(イ) 地域福祉基金の現状

 急速に進展する我が国の人口の高齢化に対処するため、在宅福祉の向上、健康づくり等の課題につき、民間活動の活発化を図りつつ、地域の特性に応じた高齢者保健福祉施策等を積極的に推進することを目的に、地域福祉基金が積み立てられており、各地方公共団体においては、この基金の運用益を活用して、さまざまな福祉事業を実施している。

 平成16年度末の地域福祉基金の残高の状況を団体種類別にみると、第17表のとおりである。

 また、基金運用益を利用して行う地域福祉事業にはソフト事業も含まれているが、そのソフト事業に対する運用益充当額は、都道府県においては46億円、市町村においては406億円となっている。

 地域福祉基金の事業別運用益充当額の状況を団体種類別にみると、第44図のとおりであり、都道府県、市町村ともに在宅福祉の普及、向上に係る事業が大きな割合を占めている。

イ 労働行政[第47表〜第48表]

 地方公共団体は、就業者の福祉向上を図るため、職業能力開発の充実、金融対策、失業対策等の施策を行っている。

 これらの諸施策に要する経費である労働費の決算額は3,594億円で、前年度と比べると3.8%減(前年度23.3%減)となっている。

 また、労働費の歳出総額に占める割合は0.4%(都道府県0.5%、市町村0.4%)となっている。

 労働費の目的別の内訳をみると、失業対策費は労働費総額の8.8%を占め、金融対策、福祉対策、職業訓練等に要する経費であるその他の経費が残りの91.2%を占めている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、失業対策費が2.7%増(前年度43.5%減)となっており、その他の経費が4.4%減(同20.8%減)となっている。

 目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては労政費が46.8%、職業訓練費が34.8%、失業対策費が15.1%の順となっている。一方、市町村においては失業対策費が9.0%となっている。

 労働費の性質別の内訳をみると、第45図のとおりであり、貸付金が最も大きな割合(労働費総額の27.4%)を占め、以下、人件費(同23.6%)、物件費(同22.9%)、補助費等(同13.5%)、普通建設事業費(同5.1%)、失業対策事業費(同5.0%)、積立金(同2.0%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、貸付金が8.3%減(前年度7.1%減)、人件費が3.6%減(同4.3%減)、物件費が3.2%減(同2.8%増)、補助費等が5.8%減(同22.1%減)、普通建設事業費が2.2%減(同32.4%減)、失業対策事業費が3.2%増(同4.2%減)、積立金が95.6%増(同95.6%減)となっている。

(4) 産業の振興

ア 農林水産行政[第49表〜第54表]

 地方公共団体は、農林水産業の振興と食糧の安定的供給を図るため、生産基盤の整備、構造改善、消費流通対策、農林水産業に係る技術の開発・普及等の施策を実施している。

 これらの諸施策の推進に要する経費である農林水産業費の決算額は4兆3,218億円で、前年度と比べると7.9%減(前年度8.9%減)となっている。

 また、農林水産業費の歳出総額に占める割合は4.7%(都道府県6.9%、市町村3.3%)となっている。

 農林水産業費の目的別の内訳をみると、第46図のとおりであり、農業基盤整備等に要する経費である農地費が最も大きな割合(農林水産業費総額の39.1%)を占め、以下、農業改良普及事業、農業構造改善事業等に要する経費である農業費(同24.7%)、林業費(同20.9%)、水産業費(同11.1%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、農地費が10.6%減(前年度9.4%減)、農業費が9.2%減(同8.0%減)、林業費が0.0%減(同10.6%減)、水産業費が10.7%減(同7.9%減)となっている。

 農林水産業費の性質別の内訳をみると、第47図のとおりであり、普通建設事業費が最も大きな割合(農林水産業費総額の55.8%)を占め、以下、人件費(同17.9%)、補助費等(同9.1%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、普通建設事業費が前年度と比べると13.6%減(前年度12.1%減)、人件費が2.1%減(同3.5%減)となっている。

 さらに、農林水産業費において最も大きな割合を占める普通建設事業費について、目的別にその構成比をみると、農地費が最も大きな割合(農林水産業費における普通建設事業費の55.1%)を占め、以下、林業費(同21.6%)、水産業費(同13.2%)、農業費(同7.5%)の順となっている。

イ 商工行政[第55表]

 地方公共団体は、地域における商工業の振興とその経営の近代化等を図るため、中小企業の指導育成、企業誘致、消費流通対策等さまざまな施策を実施している。

 これらの諸施策の推進に要する経費である商工費の決算額は4兆9,066億円で、前年度と比べると1.4%増(前年度2.9%減)となっている。

 また、商工費の歳出総額に占める割合は5.4%となっている(都道府県6.8%、市町村3.4%)。

 商工費の性質別の内訳をみると、第48図のとおりであり、貸付金が最も大きな割合(商工費総額の72.8%)を占め、以下、補助費等(同9.3%)、人件費(同4.9%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、貸付金が0.0%増(前年度1.9%減)、補助費等が6.3%減(同2.6%増)、人件費が0.2%減(同2.9%減)となっている。

 性質別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては貸付金が大部分(78.5%)を占めている。また、市町村においても貸付金が最も大きな割合(60.2%)を占め、次いで補助費等(11.8%)の順となっている。

(5) 保健衛生と環境保全

ア 保健衛生[第42表〜第46表]

 地方公共団体は、住民の健康を保持増進し、生活環境の改善を図るため、医療、公衆衛生、精神衛生等に係る対策を推進するとともに、し尿・ごみなど一般廃棄物の収集・処理等、住民の日常生活に密着した諸施策を実施している。

 これらの諸施策の推進に要する経費である衛生費の決算額は5兆7,846億円で、前年度と比べると1.9%減(前年度8.7%減)となっている。

 また、衛生費の歳出総額に占める割合は6.3%(都道府県3.1%、市町村9.0%)となっている。

 衛生費の目的別の内訳をみると、第49図のとおりであり、保健衛生、精神衛生及び母子衛生等に要する経費である公衆衛生費が最も大きな割合(衛生費総額の55.3%)を占め、次いで一般廃棄物等の収集処理等に要する経費である清掃費(同39.8%)となっている。これらの経費を合わせると、衛生費全体の9割以上を占めている。

 目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては公衆衛生費が大部分(86.9%)を占め、市町村においては清掃費(51.6%)、公衆衛生費(45.3%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、公衆衛生費が1.8%減(前年度1.7%減)、清掃費が2.0%減(同17.2%減)、保健所費が1.3%減(同4.0%減)となっている。

 衛生費の性質別の内訳をみると、第50図のとおりであり、ごみ処理等の委託に要する経費等である物件費(衛生費総額の29.7%)、清掃関係職員、公衆衛生関係職員の職員給等である人件費(同23.6%)、補助費等(同17.1%)、普通建設事業費(同12.5%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、人件費が1.5%減(前年度3.8%減)、補助費等が3.1%減(同0.3%増)、普通建設事業費が8.4%減(同40.2%減)となる一方、物件費が0.4%増(同2.5%増)となっている。

イ 環境保全

 地方公共団体は、身近な生活環境を良好に保全するため、汚水・廃棄物の適正な処理、公害問題への対応、リサイクルの推進等さまざまな環境保全のための施策を推進している。

 これらの諸施策の推進に要する経費(環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定する「公害」の防止対策に係る経費で、地方公営企業会計に係るものを含む。)の総額は3兆5,389億円(都道府県7,639億円、市町村2兆7,749億円)で、前年度と比べると11.2%減(前年度15.5%減)となっている。

 なお、環境保全対策のために支出された経費の内容は、第51図のとおりである。

(6) 警察と消防

ア 警察行政[第63表〜第64表]

 都道府県は、犯罪の防止、交通安全の確保その他地域社会の安全と秩序を維持し、国民の生命、身体及び財産を保護するため、警察行政を推進している。

 これらの諸施策に要する経費である警察費の決算額は3兆3,377億円で、前年度と比べると0.7%減(前年度1.3%減)となっている。

 また、警察費の歳出総額に占める割合は3.7%(都道府県歳出総額の6.9%)となっている。

 警察費の性質別の内訳をみると、第52図のとおりであり、警察官の職員給等である人件費が最も大きな割合(警察費総額の83.1%)を占め、以下、物件費(同9.8%)、警察施設、交通信号機の設置等に要する経費である普通建設事業費(同5.8%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、人件費が0.1%増(前年度0.8%減)、物件費が0.7%増(同0.5%減)、普通建設事業費が12.3%減(同8.6%減)となっている。

 なお、国家公務員である警視正以上の階級にある地方警務官を除く都道府県警察職員総数は、平成17年4月1日現在、27万4,173人(前年同期27万770人)となっており、その内訳は、警察官24万5,374人(同24万1,913人)、警察事務職員等2万8,799人(同2万8,857人)となっている。

イ 消防行政[第62表]

 地方公共団体は、火災、風水害、地震等の災害から国民の生命、身体及び財産を守り、これらの災害を防除し、被害を軽減するため、消防行政を推進している。

 これらの諸施策に要する経費である消防費の決算額は1兆8,358億円で、前年度と比べると0.9%増(前年度2.1%減)となっている。

 また、消防費の歳出総額に占める割合は2.0%(都道府県0.5%、市町村3.4%)となっている。

 消防費の性質別の内訳をみると、第53図のとおりであり、消防関係職員の職員給等である人件費が最も大きな割合(消防費総額の75.7%)を占め、以下、消防施設の整備、消防自動車の購入等に要する経費である普通建設事業費(同10.9%)、物件費(同9.0%)の順となっている。

 また、各費目の決算額を前年度と比べると、人件費が0.5%増(前年度1.4%減)、普通建設事業費が0.6%減(同8.6%減)、物件費が3.0%増(同1.6%減)となっている。

 なお、消防関係職員数は、平成17年4月1日現在、15万5,792人(前年同期15万5,317人)となっている。

(7) 目的別歳出充当一般財源等の状況

 使途の特定されていない財源である一般財源等の歳出への充当について、一般財源等を地方税、地方交付税、臨時財政対策債及びその他に、歳出を目的別にそれぞれ分類した上で、道府県については財政力指数段階グループ別に、市町村(特別区及び一部事務組合等を除く。以下、この項において同じ。)については団体区分別に比較分析してみると、第54図のとおりとなる。

 まず、道府県についてみると、一般財源等の規模そのものは、財政力指数段階グループ別に1団体平均でみると、B1で1兆3,437億円、B2で1兆279億円、Cで5,551億円、Dで5,034億円、Eで3,691億円となっており、財政力が低い団体ほど、一般財源等の規模そのものも小さくなっている。

 次に、一般財源等に占める地方税の割合をみると、財政力指数が低い区分ほど小さいものとなっているが、地方税に地方交付税を合わせた額が占める割合は、財政力指数段階グループ間で大きな違いはないものとなっている。

 また、一般財源等の規模が小さい区分ほど地方税ではまかなえない歳出の割合が高く、地方交付税によって必要な歳出がまかなわれている割合が高いことがわかる。

 次に、市町村についてみると、一般財源等の規模そのものは、団体区分別に1団体平均でみると、大都市で4,725億円、中核市で1,111億円、特例市で626億円、中都市で377億円、小都市で148億円、町村(人口1万人以上)で57億円、町村(人口1万人未満)で28億円となっている。

 また、一般財源等に占める地方税の割合をみると、他の都市と行政権能が異なる大都市、中核市及び特例市においては60%台でほぼ同等である一方、中都市で59.0%、小都市で42.2%、町村(人口1万人以上)で36.5%、町村(人口1万人未満)で18.6%となっている。

 このように、市町村についても都道府県と同様に、一般財源等に占める地方税の割合が低い団体区分ほど、一般財源等の規模そのものも小さくなっているが、地方税に地方交付税を合わせた額が一般財源等に占める割合では、団体区分間で大きな違いはないものとなっている。更に、一般財源等の規模が小さい区分ほど地方税ではまかなえない歳出の割合が高く、地方交付税によって必要な歳出がまかなわれている割合が高いことがわかる。