3 市町村合併の推進

 地方分権が進展する中で、住民に身近な総合的な行政主体である市町村の行財政基盤を強化するため、市町村合併により、その規模・能力を充実していくことが求められている。

 政府は、市町村による自主的な合併の取組の進展を踏まえ、市町村合併について、国民への啓発を進めるとともに、国の施策に関する関係省庁間の連携を図るため、平成13年3月27日に市町村合併支援本部(以下「支援本部」という。)を、総務大臣を本部長、各省庁の副大臣を本部員として設置した。そして、平成13年8月30日には「市町村合併支援プラン」(以下「旧プラン」という。)を策定し、翌年には旧プランを拡充して、政府全体として市町村合併の効果的な支援を行ってきたところである。

 その結果、市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号。以下「旧合併特例法」という。)の期限である平成17年3月末までに市町村合併は急速に進展し、平成18年4月1日には全国の市町村数が1,820(旧合併特例法によらない合併を含む。)となる見込みとなっている。

 このように、市町村合併は着実に成果を挙げてきているが、地域ごとの進捗状況には差異が見られるところであり、平成17年4月以降も、地方分権の一層の推進等の要請に応えていくため、市町村の合併の特例等に関する法律(平成16年法律第59号。以下「合併新法」という。)の下で、引き続き自主的な市町村の合併を全国的に推進していく必要がある。

 合併新法下においては、第27次地方制度調査会の答申等を踏まえ、合併特例債は廃止されているが、合併に関する障害を除去するための特例措置等については、引き続き講じられている。また、都道府県の構想に位置付けられた市町村合併を支援するため、当該市町村の合併に伴い特に必要となる事業について、新たに合併推進債の対象とすることとされている。さらに、市町村合併の実現に向けた地域住民の合意の形成等を図るための広報・啓発事業を引き続き行うこととしているほか、市町村合併の推進に関する構想の策定等に関し、都道府県が新たな役割を担うこととされている。具体的には、総務大臣が定める基本指針に基づき、都道府県が市町村合併の推進に関する構想を策定し、当該構想に基づいて、合併協議会の設置の勧告、あっせん・調停、合併協議推進勧告等の措置を講じることができるものとされている。

 他方、市町村合併に伴い地方公共団体の規模が拡大することを踏まえ、住民が主体的に参加し、積極的役割を担うことのできる地域づくりを行うことが求められている。このため、住民による話し合いの場づくりやその結果を受けた住民と行政との協働による取組を推進することが必要である。このような観点から、住民自治の強化等を目的として市町村の判断により設置できる「地域自治区」の仕組みが設けられているほか、合併後の一定期間、特別地方公共団体であり法人格を有する「合併特例区」を創設できることとされている。

 さらに、支援本部は、平成17年6月3日、引き続き各省庁が連携、協力して市町村合併を支援していくことを決定し、この決定に基づき、8月31日、新たな市町村合併支援プラン(以下「新支援プラン」という。)を決定した。新支援プランは、合併新法の下で市町村が合併し、新しいまちづくりを行うに当たっての支援本部としての支援策等を策定し、これを実施することにより、自主的な市町村の合併を強力に促進し、地方の個性ある活性化、まちづくりを実現する趣旨で取りまとめられている。

 新支援プランの対象地域は、都道府県により、自主的な市町村の合併の推進に関する構想(以下「構想」という。)に位置付けられた構想対象市町村及び新法に基づいて合併した市町村とされ、これらの地域は、町村合併の市制要件の緩和(平成22年3月31日までの間、人口5万人以上から人口3万人以上に緩和)、「わがまちづくり支援事業」の活用、市町村合併が行われた場合の選挙権の特例等の行政支援策を受けることができることとされている。同時に、普通交付税の算定の特例、合併直後の臨時的経費に対する財政措置、合併準備経費に対する財政措置等の財政支援策とともに、補助事業の重点支援や優先採択等の関係省庁の連携による支援策を受けることができることとされている。加えて、構想対象市町村に対する市町村合併支援アドバイザー派遣制度の導入、市町村合併の広報・啓発の取組、市町村合併支援窓口の設置等により、各省庁が連携、協力して市町村合併を支援していくこととしている。

 市町村においては自主的な市町村合併の推進に当たり、各種支援等の活用を図るとともに、都道府県においても市町村合併の推進に関する構想の策定など、引き続き市町村合併を積極的に推進することが必要である。