ブラジル(最終更新:平成30年度) Federative Republic of Brazil

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

固定ブロードバンド回線の主流はxDSLとケーブルモデムだが、xDSLの成長が鈍化する一方で、ケーブルモデムと光ファイバ(FTTx)の需要は拡大しており、シェアを伸ばしている。Anatelによると、2018年8月現在、ブロードバンド加入者数は3,054万に達し、このうちxDSLが41.4%、ケーブルモデムが30.5%、FTTxが15.27%、FWAが8.8%の加入者シェアを占めている。

クラロ(2014年12月、メキシコのアメリカ・モビルがブラジル子会社クラロ、固定通信エンブラテル、ケーブルテレビ最大手NETセルビソスを統合)、テレフォニカ・ブラジル(2015年5月、GVTを買収)、Oi(2008年4月、ブラジル・テレコムを買収)の大手3社が、ブラジルのブロードバンド市場を支配している。これ以外に、アルガー・テレコムとTIMブラジルが光サービスの提供に注力しているのに加え、有料放送事業者のスカイ・ブラジルがTD-LTE方式による無線ブロードバンド・サービスを提供している。

固定ブロードバンド加入者及び普及率(2013-2017年)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
固定BB加入者数(千) 21,361 23,968 25,482 26,757 28,670
固定BB普及率 10.6% 11.7% 12.4% 12.9% 13.7%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

携帯電話市場

携帯電話加入者数は2015年からの国内不況を受け減少し続けている。また、大手携帯電話事業者は、通信監査基金(Fistel)への納税を回避するため、未使用のSIMカードを遮断する措置を実施しており、これがプリペイド加入者数の減少傾向に拍車をかけている。

携帯電話事業者は、Vivo、クラロ、TIMブラジル、Oiの大手4社と、市場シェアが1%前後の小規模事業者のネクステル・ブラジル、アルガー・テレコム、Sercomtelの3社がいる。

事業者間の競争は3GからLTEへとシフトしている。Anatelによると、2018年8月現在、携帯電話加入者数は2億3,437万に達しているが、このうちLTEが52.3%、3Gが28.8%、2Gが11.3%を占めている。

携帯電話加入者数及び普及率(2013-2017年)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
携帯電話加入者数(千) 271,100 280,729 257,814 244,067 236,489
携帯電話普及率 133.9% 137.5% 125.2% 117.5% 113.0%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

ブラジルでは従来の固定電話網(PSTN)に加え、VoIPやFWAによる音声通話サービスが提供されているが、ここ数年で携帯電話サービスが急成長したこともあり、固定電話の契約数は激減している。

固定電話市場は、Oi、Vivo、クラロの既存電気通信事業者3社の寡占状態にあり、2017年12月現在、固定電話の契約数における3社の市場シェアは57.3%に及ぶ。

VoIPサービスはクラロやTIMブラジル等が提供しており、2017年12月現在、約1,712万の加入者がいる。なお、ブラジルにはVoIP規制はなく、政府は今後も規制を課す予定はないとしている。

固定電話加入者数及び普及率(2013-2017年)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
固定電話加入者数(千) 45,038 44,128 43,677 42,004 40,878
固定電話普及率 22.3% 21.6% 21.2% 20.2% 19.5%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上放送

商業放送は、Rede Globo、Rede Record、SBT、TV Bandeirantesの4大ネットワークが系列局を通じて全国放送を実施している。公共放送は、公共放送機関EBC傘下のTV Brasilが首都ブラジリアやサンパウロ、リオデジャネイロなど11都市で放送している。この他の代表的な公共放送には、サンパウロ州営のTV Culturaや教育省が設立・運営するTV Escola、リオデジャネイロ州営のTV Educativeなどがある。

有料放送

経済不況の影響を受けて2015年以降、有料放送サービスの契約件数は減少している。代わりに、OTTなど比較的安価なVODサービスへと契約移行する傾向がみられる。Anatelによると、2018年8月末現在、有料放送の契約件数は1,779万で、世帯加入率は25.6%だった。プラットフォーム別では、DTHが971万(有料放送契約数全体の54.6%を占める)、ケーブルテレビが748万(同42.0%)、FTTHが60万(同3.4%)だった。

重要政策動向

国家ブロードバンド政策

政府は2010年5月、ブロードバンドによる地域経済の発展を目的に「国家ブロードバンド計画(PNBL:政令第7.175号)」を策定した。ブラジル全土で512kbps程度(後に1Mbpsに上方修正された)のブロードバンドを35BRL以下で提供することにより、2014年までに4,000万世帯まで普及させる目標を掲げた。

2016年5月には、「政令8776号」に基づき、PNBLの後継プロジェクトである「ブラジル・スマート(Brazil Smart)」を開始した。ブラジル・スマートでは、2019年までに、20億BRLを投資して、70%の自治体(人口にして95%)が光ファイバ網にアクセスできる環境を構築する。これに加えて「My Smarter School」プロジェクトを立ち上げ、全国3万校に平均78Mbpsのインターネット接続環境を導入する。ブラジル・スマートの財源の一部には、2015年12月に実施された1.8GHz帯、1.9GHz帯及び2.5GHz帯の周波数オークションの収益が充てられる。

プライバシー保護

テメル前大統領は2018年8月、8年にわたり審議されていた「2018年個人情報保護法案」を承認した。同法案は、企業や公的機関が国民の個人情報を収集するに当たり本人の明示的同意を得ることや、収集した個人情報に関して当人がアクセスする権利、修正や削除を要請する権利を規定したもので、2020年2月に施行される予定である。

ブラジル国民の個人情報の国外転送に関しては、転送先の国が同等レベルの個人情報保護法制を有しているか、事業者が同等レベルの保護を保障する場合にのみ認められる。他方、ブラジル国民の生命・健康の保護上で必要な場合やその他の法令上の要請がある場合など、正当な目的がある場合に限り、個人データの転用が認められる等の例外も規定されている。法令を順守しない企業に対には、年間売上額の2%または5,000万BRLのいずれか低い方の課徴金を課す。

地上デジタル放送

政府は2014年7月、地上テレビ放送移行に伴うアナログ放送終了計画を正式に決定した。同計画では、2016年2月から地域ごとに順次アナログ放送を終了し、2018年11月までに全国でデジタル移行を完了することが目指された。

しかし、2016年1月、政府は放送設備及び受信機器の普及が進んでいないことから、地域ごとの移行スケジュールを見直すことにした。具体的には、2016年2月にパイロット地区であるゴイアス州リオヴェルデ市でアナログ放送を終了するのを手始めに、2016年10月に首都ブラジリアとその周辺、2017年4月にサンパウロ大都市圏、2017年7月にレシフェ、2017年9月にサルヴァドールとフォルタレザ、2017年10月にリオデジャネイロ、2017年11月にベロ・オリゾンテ、そして2018年12月までにその他の主要都市でアナログ停波を完了する。

ただし、実際には、多くの地域でアナログ停波が1か月程度遅れて完了しており、これはアナログ停波の閾値となる地上デジタル信号の受信可能世帯の割合が90%に達していなかったことが影響している。なお、ブラジル全土でのアナログ停波は未定とされているが、政府は2023年までに完了したいとしている。

基礎データ集

国の基礎データ

政体

連邦共和制

面積

851万4,047㎢

人口

2億929万人(2017年)

首都

ブラジリア

公用語

ポルトガル語

経済関連データ

通貨単位

1レアル(BRL)=30.47円(2018年10月末)

会計年度

1月から1年間

GDP

2兆555億USD(2017年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 1997年一般電気通信法、1996年最小限法、2014年インターネット憲法、2018年個人情報保護法
放送 1962年ブラジル通信法、2008年公共放送法、2011年有料テレビ法

監督機関

通信 科学技術革新通信省、電気通信庁
放送
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