2 地方財政の概況

 地方公共団体の歳入及び歳出は、一般会計と特別会計に区分して経理されているが、特別会計の中には、一般行政活動に係るものと企業活動に係るものがある。

 このため、地方財政では、これらの会計を一定の基準によって、一般行政部門と水道、交通、病院等の企業活動部門に分け、前者を「普通会計」、後者を「地方公営事業会計」として区分している。

 以下、平成19年度の地方財政について、8までにおいて普通会計の状況を示すとともに、9において地方公営事業会計の状況を示す。

(1) 決算規模[第1表第5表第11表第74表

 地方公共団体(47都道府県、1,793市町村、23特別区、1,373一部事務組合及び108広域連合(以下、一部事務組合及び広域連合を「一部事務組合等」という。))の普通会計の純計決算額は、第1表のとおり、歳入91兆1,814億円(前年度91兆5,283億円)、歳出89兆1,476億円(同89兆2,106億円)で、歳入、歳出いずれも8年連続して減少している。

 また、前年度と比べると、歳入0.4%減(前年度1.5%減)、歳出0.1%減(同1.6%減)となっている。

 このように実質的な決算規模が前年度決算額を下回ったのは、歳入については、地方税が所得税からの税源移譲や定率減税の廃止などにより増加したものの、その一方で所得譲与税の廃止などにより地方譲与税が減少し、また、地方特例交付金等及び地方交付税等が減少したこと、歳出については、歳出削減努力等により、普通建設事業費を中心とする投資的経費等が減少したことによるものである。

 さらに、歳出から公債費及び公営企業への繰出のうち公債費財源繰出等を除いた一般歳出は、66兆2,634億円(前年度66兆4,728億円)となっており、前年度と比べると0.3%減となっている。

 決算規模の状況を団体種類別にみると、第2表のとおりであり、都道府県は、歳入、歳出ともに9年連続で前年度決算額を下回った一方、市町村(特別区及び一部事務組合等を含む。特記がある場合を除き、以下同じ。)は、歳入、歳出ともに6年ぶりに前年度決算額を上回っている。

 また、近年の決算規模の推移は、第7図のとおりである。

(2) 決算収支

ア 実質収支[第7表

 実質収支(形式収支(歳入歳出差引額)から明許繰越等のために翌年度に繰り越すべき財源を控除した額)の状況は、第3表のとおりである。

 平成19年度の実質収支は、1兆3,597億円の黒字(前年度1兆5,245億円の黒字)で、昭和31年度以降黒字が続いている。

 実質収支を団体種類別にみると、都道府県においては10年連続で赤字団体が発生したものの、3,311億円の黒字(前年度3,850億円の黒字)となっている。

 また、市町村においては1兆286億円の黒字(前年度1兆1,394億円の黒字)であり、昭和31年度以降黒字が続いている。

 実質収支が赤字である団体数をみると、平成18年度に赤字であった26団体(1府、25市町村)のうち18団体(1府、17市町村)が引き続き赤字であり、7団体(7市町村)が新たに赤字団体となった結果、赤字団体数は25団体(打切り決算(市町村合併等により、出納整理期間中の歳入、歳出がないことをいう。以下同じ。)が行われたことによる赤字団体は除いている。)であり、前年度と比べると1団体減少している。

 さらに、近年の実質収支及び赤字団体の赤字額の推移は、第8図のとおりである。

 標準財政規模(臨時財政対策債発行可能額を含む。)に対する実質収支額の割合である実質収支比率の推移は、第9図のとおりであり、平成19年度の実質収支比率(特別区及び一部事務組合等を除く加重平均)は0.4ポイント低下の2.1%となっている。

 実質収支比率を団体種類別にみると、都道府県は0.3ポイント低下の1.2%、市町村(特別区及び一部事務組合等を除く。)は0.6ポイント低下の3.0%となっている。

イ 単年度収支及び実質単年度収支[第7表

 平成19年度の単年度収支(実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額)は、1,613億円の赤字(前年度2,204億円の黒字)で、5年ぶりに赤字となっている。

 単年度収支を団体種類別にみると、都道府県においては543億円の赤字(前年度1,588億円の黒字)、市町村においては1,071億円の赤字(同616億円の黒字)となっている。

 また、実質単年度収支(単年度収支に財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額を加え、財政調整基金の取崩し額を差し引いた額)は、3年ぶりに赤字となっており、その赤字額は137億円(前年度4,239億円の黒字)となっている。

 実質単年度収支を団体種類別にみると、都道府県においては625億円の黒字(前年度2,550億円の黒字)、市町村においては762億円の赤字(同1,690億円の黒字)となっている。

 なお、実質収支、単年度収支及び実質単年度収支の赤字団体数の状況は、第4表のとおりである。

(3) 歳入[第11表

 歳入純計決算額は91兆1,814億円で、前年度と比べると0.4%減(前年度1.5%減)となっている。

 決算額の主な内訳をみると、第5表のとおりである。

 地方税は、税源移譲や定率減税の廃止による個人住民税の増加、法人関係二税(法人住民税、法人事業税)の増加等により、前年度に比べると3兆7,607億円増加(対前年度比10.3%増)している。

 地方譲与税は、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施するまでの間の暫定措置として都道府県及び市町村(一部事務組合等を除く。)に対して譲与された所得譲与税の廃止等により、減少している(対前年度比80.8%減)。

 地方特例交付金等は、減税補てん特例交付金の廃止等により、減少している(対前年度比61.8%減)。

 地方交付税は、前年度に引き続き減少している(対前年度比5.0%減)。

 国庫支出金は、公共事業関係の国庫補助負担金の削減による普通建設事業費支出金の減少等により減少している(対前年度比1.8%減)。

 地方債は、臨時財政対策債の減少、普通建設事業費の減少等により減少している(対前年度比0.4%減)。

 歳入純計決算額の構成比の推移は、第10図のとおりである。

 地方税の構成比は、ピークとなった昭和63年度(歳入総額の44.3%)以降低下し、平成5年度以降は33%から39%台の間で推移していたが、19年度は前年度と比べると4.3ポイント上昇の44.2%となっている。

 地方交付税の構成比は、平成8年度から12年度までは上昇していたが、13年度以降、地方財政対策にあたり、交付税特別会計の借入金方式に代えて臨時財政対策債を発行し、基準財政需要額の一部を振り替えることとしたこと等から低下が続いている。19年度においては、前年度と比べると0.8ポイント低下の16.7%となっている。

 国庫支出金の構成比は、平成12年度から13年度は14%台、14年度から16年度は13%台で推移していたが、三位一体の改革による国庫補助負担金の一般財源化、普通建設事業費支出金の減少等により低下を続け、19年度は前年度と比べると0.2ポイント低下の11.3%となっている。

 地方債の構成比は、平成13年度から臨時財政対策債の発行等により上昇していたが、普通建設事業費の減少や16年度に臨時財政対策債の発行額が減少したこと等により低下に転じ、19年度においては同様の要因により、決算額は減少しているが、構成比については昨年度と同じ10.5%となっている。なお、臨時財政対策債の発行額を除いた構成比は、前年度と比べると0.2ポイント上昇の7.9%となっている。

 一般財源の構成比は、平成16年度から地方税、地方譲与税及び地方特例交付金の増加に加え、国庫支出金、地方債等の減少などにより、上昇していたが、19年度においては、地方交付税の減少等により前年度と比べると0.3ポイント低下の62.0%となっている。

 歳入決算額の構成比を団体種類別にみると、第11図のとおりである。

 都道府県においては地方税が最も大きな割合(43.1%)を占め、以下、地方交付税(16.9%)、地方債(11.7%)の順となっている。

 市町村においても都道府県と同様に地方税が最も大きな割合(39.3%)を占め、以下、地方交付税(14.2%)、国庫支出金(10.4%)の順となっている。

(4) 歳出

 歳出の分類方法としては、行政目的に着目した「目的別分類」と経費の経済的な性質に着目した「性質別分類」が用いられるが、これらの分類による歳出の概要は、次のとおりである。

ア 目的別歳出

(ア) 目的別歳出[第35表

 地方公共団体の経費は、その行政目的によって、議会費、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、警察費、教育費、災害復旧費、公債費等に大別することができる。

 歳出純計決算額は89兆1,476億円で、前年度と比べると0.1%減(前年度1.6%減)となっている。

 目的別歳出の構成比は、第6表のとおりであり、民生費(歳出総額の19.0%)、教育費(同18.4%)、土木費(同15.0%)、公債費(同14.6%)、総務費(同10.0%)の順となっている。

 これらの費目の対前年度増減率をみると、民生費は、児童手当制度の拡充や障害者自立支援法の本格施行に係る経費等の社会保障関係経費の増加等により、増加している(対前年度比4.4%増)。

 教育費は、普通建設事業費の減少等により、減少している(対前年度比0.2%減)。

 土木費は、道路橋りょう事業、都市計画事業等の減少により、減少している(対前年度比3.3%減)。

 公債費は、前年度と比べると1.9%減となっている。

 総務費は、新潟県中越沖地震復興基金及び能登半島地震復興基金に対する貸付事業等により、増加している(対前年度比3.3%増)。

 目的別歳出の構成比の推移は、第7表のとおりである。農林水産業費及び土木費の構成比がそれぞれ低下の傾向にある一方、民生費の構成比が上昇の傾向にある。

 目的別歳出の構成比を団体種類別にみると、第12図のとおりである。

 都道府県においては、市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していること等により教育費が最も大きな割合(23.9%)を占め、以下、公債費(13.9%)、土木費(13.8%)、民生費(10.9%)、警察費(7.1%)の順となっている。

 また、市町村においては、児童手当支給事務、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村に限る。)等の社会福祉事務の比重が高いこと等により民生費が最も大きな割合(28.1%)を占め、以下、土木費(14.6%)、公債費(13.5%)、総務費(13.0%)、教育費(10.7%)の順となっている。

(イ) 一般財源の充当状況

 一般財源の目的別歳出に対する充当状況は、第8表のとおりである。

 一般財源総額(56兆4,961億円)に占める目的別歳出の割合をみると、教育費が最も大きな割合(19.5%)を占め、以下、公債費(19.1%)、民生費(18.4%)、総務費(11.4%)、土木費(9.7%)の順となっている。

 一般財源充当額の目的別構成比の推移は、第13図のとおりである。近年、民生費に充当された一般財源の構成比が上昇の傾向にあり、土木費に充当された一般財源の構成比が低下の傾向にある。

イ 性質別歳出

(ア) 性質別歳出[第74表

 地方公共団体の経費は、その経済的な性質によって、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別することができる。

 義務的経費は、職員給与費等の人件費のほか、生活保護費等の扶助費及び地方債の元利償還金等の公債費からなっており、そのうち人件費が54.4%を占めている。また、投資的経費は、道路、橋りょう、公園、公営住宅、学校の建設等に要する普通建設事業費のほか、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっており、そのうち普通建設事業費が97.4%を占めている。

 歳出純計決算額の主な性質別内訳をみると、第9表のとおりである。

 義務的経費は、前年度決算額を上回っている(対前年度比0.6%増)。これは、児童手当の支給対象年齢の見直しなどの制度改正や障害者自立支援法の本格施行に係る経費等の社会保障関係経費の増による扶助費の増加(同5.0%増)や、団塊世代の職員の退職に伴う退職金の増等により人件費が増加(同0.5%増)したためである。

 投資的経費は、前年度決算額を下回っている(対前年度比6.2%減)。これは、その大部分を占める普通建設事業費が、補助事業費、単独事業費ともに減少し(それぞれ同5.1%減、同6.4%減)、前年度決算額を下回ったためである(同5.3%減)。

 また、その他の経費は、新潟県中越沖地震復興基金及び能登半島地震復興基金に対する貸付事業及び地域中小企業応援ファンドの事業開始等により貸付金が増加したこと等により、前年度決算額を上回っている(同2.1%増)。

 平成14年度以降の歳出決算増減額に占めるこれらの経費の推移は、第14図のとおりである。

 次に、性質別歳出の構成比の推移は、第15図のとおりである。

 投資的経費の構成比は、平成8年度以降低下しており、19年度は前年度と比べると1.0ポイント低下の15.6%となっている。

 一方、義務的経費の構成比は、平成8年度以降、投資的経費の減少に伴い上昇しており、19年度は前年度に比べると0.3ポイント上昇の52.1%となっている。

 性質別歳出決算額の構成比を団体種類別にみると、第16図のとおりである。

 人件費の構成比は、都道府県において市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していることなどから、都道府県が31.8%、市町村が21.1%となっている。また、扶助費の構成比は、児童手当支給事務、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村に限る。)等の社会福祉関係事務が主に市町村において行われていること等から、市町村が15.2%、都道府県が1.8%となっている。

 さらに、普通建設事業費のうち、補助事業費の構成比は、都道府県(7.0%)が市町村(4.9%)を上回る一方、単独事業費の構成比は、市町村(8.2%)が都道府県(6.4%)を上回っている。

(イ) 一般財源の充当状況[第76表

 一般財源の性質別歳出に対する充当状況は、第10表のとおりである。

 一般財源総額(56兆4,961億円)に占める性質別歳出の割合をみると、義務的経費が最も大きな割合(59.4%)を占めている。また、投資的経費の割合は6.2%であり、歳出総額に占める投資的経費の割合(15.6%)に比べて小さくなっている。

 一般財源充当額の性質別構成比の推移は、第17図のとおりである。

 義務的経費に充当された一般財源の構成比は、平成3年度以降上昇の傾向にあったが、19年度は前年度と比べると0.1ポイント低下の59.4%となっている。

 一方、投資的経費に充当された一般財源の構成比は、平成3年度以降低下の傾向にあり、19年度は前年度と比べると0.5ポイント低下の6.2%となっている。

(5) 財政構造の弾力性

ア 経常収支比率[第8表

 地方公共団体が社会経済や行政需要の変化に適切に対応していくためには、財政構造の弾力性が確保されなければならない。財政分析においては、財政構造の弾力性の度合いを判断する指標の一つとして、経常収支比率が用いられている。

 経常収支比率は、経常経費充当一般財源(人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費に充当された一般財源)が、経常一般財源(一般財源総額のうち地方税、普通交付税のように毎年度経常的に収入される一般財源)、減収補てん債特例分及び臨時財政対策債の合計額に対し、どの程度の割合となっているかをみることにより財政構造の弾力性を判断するものである。

 平成19年度の経常収支比率(特別区及び一部事務組合等を除く加重平均)は、前年度より2.0ポイント上昇して過去最も高い93.4%となっており、第11表のとおり、高い水準での推移が続いている。その主な内訳をみると、人件費充当分が36.2%(前年度36.0%)、公債費充当分が21.5%(同21.4%)となっている。なお、減収補てん債特例分及び臨時財政対策債の発行額を経常収支比率算出上の分母から除いた場合の経常収支比率を求めると、97.9%となる。

 また、経常収支比率が前年度より2.0ポイント上昇したのは、第18図(その1)のように、分母である経常一般財源のうち、地方税が増加したものの、地方譲与税、地方交付税等が減少したことにより分母全体として減少した一方、分子である経常経費充当一般財源が、児童手当制度の拡充や障害者自立支援法の本格施行による増加等、扶助費充当分の増加等により増加したことによるものである。

 経常収支比率を団体種類別にみると、都道府県は前年度より2.1ポイント上昇し94.7%(前年度92.6%)、市町村(特別区及び一部事務組合等を除く。以下、この項において同じ。)は前年度より1.7ポイント上昇し92.0%(同90.3%)となっている。

 経常収支比率の段階別分布状況をみると、第12表のとおりである。経常収支比率が80%以上の団体数は、都道府県においては47団体のすべての団体(前年度同数)、市町村においては全体の93.4%を占める1,675団体(同1,660団体)となっており、多くの団体の経常収支比率が高い水準にある。

イ 実質公債費比率、起債制限比率及び公債費負担比率[第8表

 地方債の元利償還金等の公債費は、義務的経費の中でも特に弾力性に乏しい経費であることから、財政構造の弾力性をみる場合、その動向には常に留意する必要がある。その公債費による負担度合いを判断するための指標として、実質公債費比率、起債制限比率及び公債費負担比率が用いられている。

 実質公債費比率は、地方債の元利償還金(繰上償還等を除く。)や公営企業債に対する繰出金などの公債費に準ずるものを含めた実質的な公債費相当額から、これに充当された一般財源のうち普通交付税の算定において基準財政需要額に算入されたものを除いたものが、標準財政規模(臨時財政対策債発行可能額を含み、普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除く。)に対し、どの程度の割合となっているかをみるものである。平成18年4月から地方債協議制度へ移行したことに伴い、公債費による負担度合いを判断し、起債に協議を要する団体と許可を要する団体とを判定するための指標として導入されたものであり、従来の起債制限比率について一定の見直しを行ったものである。

 実質公債費比率は、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(平成19年6月22日法律第94号)において、健全化判断比率の一つとして位置付けられている。なお、実質公債費比率の状況は、「第2章 平成19年度決算に基づく健全化判断比率等の状況」のとおりである。

 実質公債費比率は、平成18年度の起債協議等手続において用いるために導入された指標であり、過去からの推移をみることができるものとしては、地方債の許可制限に係る指標として用いられていた起債制限比率がある。

 起債制限比率は、地方債元利償還金及び公債費に準ずる債務負担行為に係る支出の合計額から繰上償還された額を除き、さらにこれに充当された一般財源のうち普通交付税の算定において基準財政需要額に算入されたものを除いたものが、標準財政規模(臨時財政対策債発行可能額を含み、普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除く。)に対しどの程度の割合となっているかをみるものである。ただし、一部を除き公営企業の元利償還金への一般会計からの繰出し等の準元利償還金が含まれていない点に留意する必要がある。

 平成19年度の起債制限比率(一部事務組合等を除く加重平均)は、第13表のとおりであり、分母については、地方税等の標準税収入額等が増加したことにより1.9%増加し、分子については、公債費の控除要素である災害復旧事業費等に係る基準財政需要額が増加したことにより1.8%減少したことなどから0.4ポイント低下の11.2%となっている。

 起債制限比率の段階別分布状況は、第14表のとおりである。起債制限比率が15%以上の団体数は、都道府県においては全体の10.6%を占める5団体(前年度7団体)となっており、市町村(一部事務組合等を除く。)においては全体の10.7%を占める194団体(同198団体)となっている。

 公債費負担比率は、公債費充当一般財源(地方債の元利償還金等の公債費に充当された一般財源)が一般財源総額に対し、どの程度の割合となっているかを示す指標であり、公債費がどの程度一般財源の使途の自由度を制約しているかをみることにより、財政構造の弾力性を判断するものである。

 平成19年度の公債費負担比率(全団体の加重平均)は、前年度(19.3%)と比べて0.2ポイント低下の19.1%となっている。

 近年の公債費負担比率の推移は、第19図のとおりである。平成19年度は前年度から0.2ポイント低下したが、平成4年度以降はおおむね上昇傾向にあり、近年は横ばいの状態が続いている。

(6) 将来の財政負担

 地方公共団体の財政状況をみるには、単年度の収支状況のみでなく、地方債、債務負担行為等のように将来の財政負担となるものや、財政調整基金等の積立金のように年度間の財源調整を図り将来における弾力的な財政運営に資するために財源を留保するものの状況についても、併せて総合的に把握する必要がある。これらの状況は、次のとおりである。

ア 地方債現在高[第101表

 平成19年度末における地方債現在高は138兆1,579億円で、前年度末と比べると0.6%減(前年度末0.7%減)となっている。

 地方債現在高の歳入総額及び一般財源総額に対するそれぞれの割合の推移は、第20図のとおりである。

 地方債現在高は、昭和50年度末では歳入総額の0.44倍、一般財源総額の0.88倍であったが、地方税収等の落込みや減税に伴う減収の補てん、経済対策に伴う公共投資の追加等により地方債が急増したことに伴い、平成4年度末以降急増し、さらに、平成13年度からの臨時財政対策債の発行により19年度末には歳入総額の1.52倍、一般財源総額の2.45倍となっている。

 近年の地方債現在高の目的別構成比及び借入先別構成比の推移は、第21図のとおりである。

 地方債現在高の借入先別の構成比は、政府資金(39.3%)、市中銀行資金(25.6%)、市場公募債(21.6%)、その他の金融機関(5.7%)の順となっている。

 また、前年度末の割合と比べると、近年の公的資金の縮減に対応し、一層の市場化の推進等に伴い、政府資金が2.3ポイント低下する一方、市場公募債は1.2ポイント上昇している。

 地方債現在高を団体種類別にみると、都道府県においては79兆5,908億円、市町村においては58兆5,671億円で、前年度末と比べるとそれぞれ0.6%増(前年度末0.0%減)、2.3%減(同1.5%減)となっている。

イ 債務負担行為額[第102表

 地方公共団体は、将来の支出を約束するために、債務負担行為を行うことができる。

 この債務負担行為は、数年度にわたる建設工事、土地の購入等の場合のように翌年度以降の経費支出が予定されているものと、債務保証又は損失補償のように債務不履行等の一定の事実が発生したときに支出されるものとに大別することができる。

 これらの債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額をみると、平成19年度末では11兆7,639億円で、前年度末と比べると4.5%減(前年度末1.0%増)となっている。

 翌年度以降支出予定額を目的別にみると、第22図のとおりである。

 このうち、物件の購入等に係るものについては、土地の購入に係るもの(対前年度末比5.1%減)及び建造物の購入に係るもの等が減少したこと等により、全体として2.3%減となっている。

 翌年度以降支出予定額を団体種類別にみると、都道府県においては5兆1,067億円、市町村においては6兆6,572億円で、前年度末と比べるとそれぞれ8.8%減(前年度末2.4%増)、1.0%減(同0.2%減)となっている。

ウ 積立金現在高[第103表

 地方公共団体の積立金現在高の状況は、第15表のとおりである。

 平成19年度末における積立金現在高は13兆9,785億円となっており、前年度末と比べると3,763億円増加(対前年度末比2.8%増)している。

 積立金現在高の内訳をみると、年度間の財源調整を行うために積み立てられている財政調整基金は前年度末と比べると3.6%増となっている。地方債の将来の償還費に充てるために積み立てられている減債基金は前年度末と比べると13.7%減となっている。将来の特定の財政需要に備えて積み立てられているその他特定目的基金は前年度末と比べると7.1%増となっている。

 積立金現在高を団体種類別にみると、前年度末と比べ、都道府県においては減債基金が減少したものの、財政調整基金及びその他特定目的基金が増加したことにより、全体として2,639億円増加(対前年度末比6.8%増)しており、市町村においても都道府県と同様であり、全体として1,124億円増加(同1.2%増)している。

エ 地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担[第101表第103表第135表

 地方債現在高(特定資金公共投資事業債を除く。)に債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額を加え、積立金現在高を差し引いた地方公共団体の地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担の推移は、第23図のとおりである。

 平成19年度末における地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担は135兆9,432億円で、前年度末と比べると1.3%減(前年度末1.1%減)となっている。

 また、国内総生産(名目ベース。以下同じ。)に対する割合では、前年度末と比べると0.6ポイント低下の26.4%となっている。

 地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担を団体種類別にみると、都道府県においては80兆5,569億円、市町村においては55兆3,864億円であり、前年度末と比べるとそれぞれ0.4%減(前年度末0.1%減)、2.7%減(同2.3%減)となっている。

オ 普通会計が負担すべき借入金残高

 普通会計が将来にわたって負担すべき借入金という観点からは、地方債現在高のほか、巨額の地方財源不足に対処するための交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特別会計」という。)借入金のうち地方財政全体で負担するもの及び地方公営企業において償還する企業債のうち、経費負担区分の原則等に基づき、普通会計がその償還財源を負担するものについても併せて考慮する必要がある。

 この観点から、交付税特別会計借入金残高のうち地方財政全体で負担することとなるものと企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものを地方債現在高(特定資金公共投資事業債を除く。以下、この項において同じ。)に加えた普通会計が負担すべき借入金残高の推移をみると、第24図のとおりである。

 これをみると、バブル崩壊後の地方税収等の落込みや平成4年度以降の補正予算による経済対策に加え、平成6年度以降の減税による地方税の減収等に対応するための財源確保や平成13年度以降の臨時財政対策債の発行等に伴い、普通会計が負担すべき借入金残高は急増している。平成19年度末には、普通会計が負担すべき借入金残高は198兆5,507億円となっており、前年度末と比べると0.8%減(前年度0.7%減)となったものの、依然として高い水準にある。

 また、その内訳は、地方債現在高が138兆1,579億円、交付税特別会計借入金残高が33兆6,173億円、企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものが26兆7,755億円となっている。

 なお、この普通会計が負担すべき借入金残高の国内総生産に対する比率は、前年度末と比べると0.7ポイント低下の38.5%となっている。

(7) 決算の背景

ア 平成19年度の経済見通しと国の予算

(ア) 経済見通しと経済財政運営の基本的態度

 「平成19年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」は、平成18年12月19日に閣議了解、平成19年1月25日に閣議決定されたが、この中で、平成18年度の我が国経済は、企業部門の好調さが、雇用・所得環境の改善を通じて家計部門へ波及し、民間需要中心の回復が続くと見込まれた。

 このような情勢認識に立って、「平成19年度の経済財政運営の基本的態度」において、「成長なくして財政再建なし」の理念の下、成長力強化を図りつつ、車の両輪である行財政改革を断行し、また、道州制の実現のための検討を加速することとし、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定。以下「基本方針2006」という。)等を踏まえ、こうした取組を進めることにより、経済活性化を実現し、日本経済の潜在成長力を高めることとされた。

(イ) 国の予算

 平成18年12月1日、「平成19年度予算編成の基本方針」が閣議決定された。その中で平成19年度予算編成に当たっては、歳出改革路線を強化するため、行政のスリム化・効率化を一層徹底し、総人件費改革や特別会計改革、資産・債務改革等について、適切に予算に反映させることとされた。また、歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、一般歳出及び一般会計歳出について厳しく抑制を図り、引き続き予算執行実績を的確に踏まえた予算とすることとされた。予算の重点化・効率化については、持続可能な「創造と成長」を実現する観点から、「活力に満ちたオープンな経済社会の構築」及び「健全で安心できる社会の実現」に施策を集中するとともに、各施策について成果目標を提示し、厳格な事後評価を行い、政策評価等を活用し、歳出の効率化・合理化を進め、さらに、民間活力の活用による効率化に努めることとされた。

 地方財政については、国と地方の信頼関係を維持しつつ、「基本方針2006」に沿って、平成19年度予算においても、国の取組と歩調を合わせて、人件費、投資的経費、一般行政経費の各分野にわたり地方歳出を厳しく抑制することとされた。また、国・地方の財政状況を踏まえつつ、交付税、補助金の見直しとあわせ、税源移譲を含めた税源配分の見直しを行うなど、一体的な検討を図り、地方公共団体間で財政力に隔たりがある現状を踏まえ、その格差の縮小を目指し、交付税に依存しない不交付団体の速やかな増加を目指すこととされた。

 平成19年度予算は、平成18年12月24日に政府案の閣議決定が行われた後、第166回国会に提出され、平成19年3月26日に政府案どおり成立した。

 これによると、平成19年度の国の一般会計予算の規模は82兆9,088億円で、前年度当初予算と比べると3兆2,228億円の増加(4.0%増)となった。歳入、歳出別に見た場合、歳入については、租税及び印紙収入が53兆4,670億円で、前年度当初予算と比べると7兆5,890億円の増加(16.5%増)となり、公債の発行予定額は25兆4,320億円で、前年度当初発行予定額と比べると4兆5,410億円の減少(15.2%減)となったため、公債依存度は30.7%となった。一方、歳出については、一般歳出の規模は46兆9,784億円で、前年度当初予算と比べると6,124億円の増加(1.3%増)となった。また、地方交付税交付金等は14兆9,316億円で、前年度当初予算と比べると3,732億円の増加(2.6%増)となった。

イ 地方財政計画

 平成19年度の地方財政計画は、極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、歳出面においては、「基本方針2006」に沿って、歳出全般にわたり見直しを行うことにより歳出総額の計画的な抑制を図る一方、活力ある地方を創るための施策等に財源の重点的配分を図ることとし、歳入面においては、地方税負担の公平適正化の推進と安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額の確保を図ることを基本とするとともに、引き続き生ずることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補てん措置を講じることとし、次の方針に基づき策定された。

(ア) 地方税については、現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するため、法人所得課税等における減価償却制度を見直すとともに、上場株式等の配当・譲渡益に係る軽減税率の適用期限を1年延長するほか、非課税等特別措置の整理合理化等のため所要の措置を講じることとする。

 なお、所得譲与税は、所得税から個人住民税への税源移譲に伴い、平成18年度をもって廃止することとする。

(イ) 地方財源不足見込額について、地方財政の運営に支障が生じることのないよう、次の措置を講じることとする。

a 地方財政の健全化に資するため、交付税特別会計の新規借入を行わないこととし、既往の借入金について、国・地方の負担区分に応じてそれぞれの償還責任を明確にする観点から、国の負担額18兆6,648億円を平成19年4月1日より国の一般会計借入金として承継するとともに、地方の負担額33兆6,173億円は、現行の償還期限である平成38年度までの償還計画を新たに作成した上で、計画的な償還を行う(平成19年度償還額5,869億円)。

b 平成19年度から平成21年度の間は、平成18年度までと同様、財源不足が建設地方債(財源対策債)の増発等によってもなお残る場合には、この残余を国と地方が折半して補てんすることとし、国負担分については国の一般会計からの加算により、地方負担分については地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により補てん措置を講じる。

 臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入する。

 これらの措置を地方交付税法第6条の3第2項の制度改正として講じ、所要の法律改正を行う。

 なお、地方交付税法附則第4条の2第8項及び第9項に基づき平成19年度に一般会計から交付税特別会計に繰り入れることとしていた額6,251億円については、法律の定めるところにより平成22年度以降の3年間で均等に加算する。

 また、平成5年度の投資的経費に係る国庫補助負担率の見直しに関し一般会計から交付税特別会計に繰り入れることとしていた額等3,712億円については、法律の定めるところにより平成25年度以降の地方交付税の総額に加算するとともに、平成17年度において一般会計から交付税特別会計に繰り入れた国負担分の借入金利子相当額の予算額と実際に要した額の差額1,546億円については、法律の定めるところにより平成20年度及び平成21年度の地方交付税の総額から減額する。

c 平成19年度の地方財源不足見込額4兆4,200億円については、上記bの考え方に基づき、従前と同様の例により、次の補てん措置を講じる。その結果、国と地方が折半して補てんすべき額は生じないこととなる。

(a) 建設地方債(財源対策債)の増発 1兆5,900億円

(b) 地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債) 2兆6,300億円

(c) 地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律附則第4条第1項に規定する特別交付金 2,000億円

 なお、特別交付金については、平成19年度の交付額を4,000億円、平成20年度の交付額を2,000億円としていたが、地方税収の動向を踏まえ、交付期間を2年から3年に延長し、平成19年度から平成21年度までの各年度の交付額を2,000億円とする。

d 平成19年度においても、投資的経費に係る地方単独事業費と一般行政経費に係る地方単独事業費の一体的かい離是正(一般財源ベース6,000億円)を行う。

 一体的かい離是正分の一般財源に相当する額のうち財源不足となるものについては、基本的には国と地方が折半して負担することとするが、平成19年度は、平成17年度是正分のうち2,100億円、平成18年度是正分のうち8,000億円及び平成19年度是正分のうち財源不足となるもの5,948億円を、地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により措置することとし、国負担となるべき分については後年度に調整する。

e 上記の結果、平成19年度の地方交付税については、15兆2,027億円(前年度に比し4.4%減)を確保する。

(ウ) 平成19年度においては、児童手当の制度拡充に伴う地方負担の増加に対応するため、地方特例交付金を増額することとする。

(エ) 地方債については、地方財源の不足に対処するための措置を講じるとともに、引き続き厳しい地方財政の状況の下で、地方団体が、行政改革と財政の健全化を推進し、当面する諸課題に重点的・効率的に対処することができるよう、公的資金の重点化と地方債資金の市場化を一層推進しつつ、所要の地方債資金を確保する。

 この結果、地方債計画の規模は12兆5,108億円(普通会計分9兆6,529億円、公営企業会計等分2兆8,579億円)とする。

(オ) 社会経済情勢の推移等に即応して使用料・手数料等の適正化を図る。

(カ) 地域経済の振興を図りつつ、個性と活力ある地域社会の構築、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安心安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図ることとし、財源の重点的配分を行う。

a 投資的経費に係る地方単独事業費については、「基本方針2006」を踏まえた事業規模の計画的抑制と併せ、かい離是正を行ったところである。その結果、平成19年度においては、前年度に比し14.9%減額することとしているが、かい離是正分を除いた場合は3.0%減額であり、引き続き、地域の自立や活性化につながる基盤整備を重点的・効率的に推進する。

b 一般行政経費に係る地方単独事業費については、地方団体の自助努力を促す観点から既定の行政経費の縮減を図る一方、活力ある地方を創るための施策等に財源の重点的配分を図るとともに、かい離是正を行い、地域において必要な行政課題に対して適切に対処する。

c 消防力の充実、自然災害の防止、震災対策の推進及び治安維持対策等住民生活の安心安全を確保するための施策を推進する。

d 過疎地域の自立促進のための施策等に対し所要の財政措置を講じる。

(キ) 地方団体の公債費負担の軽減を図るため、平成19年度から3年間で、徹底した総人件費の削減等を内容とする財政健全化計画又は公営企業経営健全化計画を策定し、行政改革・経営改革を行う地方団体を対象に、公営企業借換債を合わせて5兆円程度の公的資金(旧資金運用部資金、旧簡易生命保険資金及び公営企業金融公庫資金)の補償金免除繰上償還を行うこととし、その財源として必要に応じ民間等資金による借換債を発行できることとする。

(ク) 地方公営企業の経営基盤の強化、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、社会経済情勢の変化に対応した新たな事業の展開等を図るため、経費負担区分等に基づき、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行うこととする。

(ケ) 地方行財政運営の合理化を図ることとし、職員数の純減や給与構造改革等に取り組むとともに、事務事業の見直し、民間委託等の推進など行財政運営全般にわたる改革を推進する。

 以上の方針に基づいて策定した平成19年度の地方財政計画の規模は、83兆1,261億円であり、前年度と比べると247億円減少となった。

 歳入についてみると、地方税の収入見込額は40兆3,728億円(道府県税18兆8,524億円、市町村税21兆5,204億円)で、前年度と比べると5兆4,745億円増加(15.7%増)(道府県税22.2%増、市町村税10.5%増)、地方譲与税の収入見込額は7,091億円で、前年度と比べると3兆233億円減少(81.0%減)、地方特例交付金等は3,120億円で、前年度と比べると5,040億円減少(61.8%減)、地方交付税は15兆2,027億円で、前年度と比べると7,045億円減少(4.4%減)、国庫支出金は10兆1,739億円で、前年度と比べると276億円減少(0.3%減)、地方債(普通会計分)の発行予定額は9兆6,529億円で、前年度と比べると1兆1,645億円減少(10.8%減)となった。

 一方、歳出についてみると、給与関係経費は22兆5,111億円で、前年度と比べると658億円減少(0.3%減)となった。なお、地方財政計画における職員数については、「基本方針2006」における5年間で5.7%の定員純減目標を踏まえ34,358人の純減としている。一般行政経費は26兆1,811億円で、前年度と比べると9,954億円増加(4.0%増)となった。また、国庫補助負担金を伴わない一般行政経費は13兆9,510億円で、前年度と比べて4,725億円増加(3.5%増)したが、国庫補助負担金を伴わない投資的経費との一体的かい離是正分である6,000億円の増額計上を除いた場合は13兆3,510億円で、前年度と比べると1,275億円減少(0.9%減)となった。公債費は13兆1,496億円で、前年度と比べると1,483億円減少(1.1%減)、投資的経費は15兆2,328億円で、前年度と比べると1兆6,561億円減少(9.8%減)となった。なお、投資的経費のうち国庫補助負担金を伴わないものは8兆5,884億円で、前年度と比べると1兆5,027億円減少したが、国庫補助負担金を伴わない一般行政経費との一体的かい離是正分である1兆2,000億円の減額計上を除いた場合は9兆7,884億円で、前年度と比べると3,027億円減少(3.0%減)となった。

 他方、平成19年度の地方債計画の規模は12兆5,108億円で、前年度当初計画と比べると1兆4,358億円減少(10.3%減)となっている。平成19年度の地方債計画は、地方財源の不足に対処するための措置を講じるとともに、引き続き厳しい地方財政の状況の下で、地方公共団体が、行政改革と財政の健全化を推進し、当面する諸課題に重点的・効率的に対処することができるよう、公的資金の重点化と地方債資金の市場化を一層推進しつつ、所要の地方債資金の確保を図ることとして策定している。

 なお、地方公共団体の公債費負担の軽減を図るため、平成19年度から3年間で、普通会計債及び公営企業債(上水道、簡易水道、工業用水道、下水道、地下鉄、病院)の年利5%以上の地方債を対象として、年利段階に応じ、市町村合併や財政力、公債費負担、公営企業資本費等の状況に基づいて段階的に対象団体を設定し、政府資金については3兆8,000億円程度以内(旧資金運用部資金3兆3,000億円程度以内、平成20年度及び平成21年度において旧簡易生命保険資金5,000億円程度以内、財政力指数1.0以上の団体を除く。)、公営企業金融公庫資金については1兆2,000億円程度(平成19年度から平成20年度の公営企業金融公庫の廃止までの間において実施。うち平成19年度2,000億円、平成20年度2,000億円、計4,000億円の公営企業借換債による措置を含む。)の補償金免除繰上償還を行うこととした。

ウ 財政運営の経過

(ア) 平成19年度補正予算(第1号)

 平成19年度補正予算(第1号)は、平成19年12月20日に閣議決定され、平成20年1月18日に第169回国会に提出され、2月6日に成立した。

 この補正予算においては、歳出面では、災害対策費7,308億円、義務的経費1,552億円、原油価格高騰対策費570億円等を追加計上したほか、既定経費の節減1兆2,006億円、予備費の減額1,000億円等の修正減少額を計上した。また、歳入面では、税収を9,160億円減額計上する一方、税外収入9,828億円、前年度剰余金受入8,286億円を増額計上した。

 この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも平成19年度当初予算に対し、8,954億円増加し、83兆8,042億円となった。

(イ) 平成19年度補正予算(第1号)に係る地方財政補正措置

 平成19年度補正予算(第1号)の編成により、国税の減額補正に伴い地方交付税が減額されたとともに、災害復旧事業の追加等に伴う地方負担の増加が生じた結果、以下の地方財政補正措置が講じられた。

a 国税の減額補正に伴う地方交付税の減額に対する補てん措置

 国の補正予算においては、平成19年度の国税の減収に伴い地方交付税が2,992億円の減額となったところであるが、これについては、一般会計における加算によりその全額を補てんすることとする。なお、当該加算については、平成19年度当初の地方財政対策において平成22年度以降平成24年度までに繰り延べることとした一般会計における法定加算分(6,251億円)を減額して充てることとする。

 この結果、平成19年度の当初予算の地方交付税の総額が確保されるものである。

 なお、平成19年度当初に行うこととしていた交付税特別会計借入金の償還については、平成25年度以降に繰り延べるとともに、当該償還予定額(5,869億円)を平成20年度当初の地方交付税の総額に加算することができることとする。

b 追加の財政需要等に対する財政措置

(a) 国の補正予算により平成19年度に追加されることとなる災害復旧事業等投資的経費に係る地方負担額(普通会計分3,615億円)については、原則として、地方債(充当率100%)を充当することとし、後年度においてその元利償還金の全額を基準財政需要額に算入することとする。その際、元利償還金の50%(義務教育施設改築事業等当初における地方負担額に対する算入率が50%を超えるものについては、原則として当初の算入率)については、公債費方式により各団体の地方債発行額に応じて基準財政需要額に算入することとし、残余については単位費用により措置することとする。

(b) 地方債の対象とならない経費については、地方負担の追加は生じていないところである。