--------------------------------------------------------------------------------
平成10年度第3回過疎問題懇談会の議事概要について
--------------------------------------------------------------------------------
1.日  時 平成10年7月10日(金)10:00〜12:00                          
2.場  所 通産省別館 8階 850号会議室                                
3.出 席 者 (委員)阿部(統)座長、阿部(孝)委員、今野委員、須佐委員、宮口委員        
(国土庁)中川局長、薦田審議官、三宅室長                 
-------------------------------------------------------------------------------- 
4.議事概要                                                   

(事務局から前回議論の要旨説明)

(事務局から資料説明の後、フリートーキング)

 人口規模が小さい市町村ほど過疎地域であるケースが多い。                    

 過疎地域の人口シェアは昭和35年以来1/3になり、過疎は一層の過疎になった。その結果、住民1人当たりの行政投資額は拡大し、維持費も増大している。                    

人口規模が小さくても過疎でない団体があり、これは周辺に都市のある地域ではないか。  

 人口減少自体を問題とするのかよく検討する必要がある。人口減少の原因を正すのか、結果として人口減少となっている状態を前提に地域の整備を図るのか、方向性を考える必要がある。    

 過疎地域の問題として高齢化がよく挙げられるが、過疎地域はやがて安定状態に向かうのであり、将来の高齢化はむしろ非過疎地域の問題となる。過疎対策と高齢者対策をどう位置づけるか考える必要がある。                                                 
 過疎地域は実際に何が困っているのか、よく考えてみる必要がある。道路ができて時間距離が縮むはずだとしても、実際にはバス路線がなく不便であるなど、施設だけでなく公共サービスの水準の問題を見逃してはいけない。                                      

 生活環境、生産基盤の整備により、若者の意識が変わってきている面があり、挙家離村のようなものはなくなっている。                                            

 漁村では挙家離村は少ないと思っていたが、他の産業基盤がないのでかえって出て行きやすい面もあるようだ。                                                

 今回の全総では生産型経済から交流型経済への転換をうたっているが、交流型経済への転換が過疎地域に定着するまでには時間がかかる。ここしばらくは経済面からは厳しい状況が続く。   

 行政改革、地方分権といった流れの中で、明治以来の経済発展の中から生じてきた過疎問題をどう位置づけていくのかについて、構造論的な理論武装が必要。人口減少は指定要件に過ぎず、誰を対象に対策を講じるのか、国土管理をどうしていくのかという基本を検討しなければ ならない。                                                        

 過疎地域の存在価値をどう創り出していくかが問題。過疎地域の住民は、過疎地域の広い空間をいつでも有効に活用できるよう預かっていると考えることができるのではないか。都会の人達も含め、広い空間を使いたいときに使えるようにしておくのが国民全体の幸福のために必要というのは明らかであり、過疎地域を国民レベルでうまく使ってもらうシステムを用意できるかが問われているのではないか。今のうちに過疎地域等を整備しておかないと国民全体が将来困るという訴え方はある。                                                       

 都会で生まれた者、豊かな時代に育った者にどう訴えて、理解を得ていくか検討する必要がある。                                                        

 地域の風格、風土をどう育てるかが問題。                               

 過疎、離島など条件不利地域に対する施策を直接講じてきたのは主として市町村であったが、問題の核心となる経済政策の担い手としては市町村は小さすぎて適していないし、あまり成功もしていない。                                                     

 過疎対策の分野では市町村を中心にした行政システムの有効性が問われている。        

 日本の経済発展は経済政策としては成功したことになるが、社会政策として直ちに成功であったかは別の問題。過疎地域についても、社会政策としてはうまくいったが、経済政策としてうまくいくかが問われるのではないか。                                        

 人口増加市町村の要因について、公共投資等が新たな需要に結びついて増加した団体と、一時的な公共事業により増加した団体とを区別する必要がある。                       

 人口が減少しても住民一人当たりの生産規模が大きくなり、所得が増えたり安定したりするところもある。                                                      

 若者のUJIターン者の事例にも特殊なものと一般的なものがあり、見極めが必要である。     

 現に存するすぐれた資源で生きていける地域は少ないのでないか。特に優れた資源のない平凡な過疎地域がどう活性化していくのかが問題だ。                             

 地方の振興といっても、北海道、東北ブロックといった大きな「地方政策」と、条件不利地域市町村などの小さな「地域政策」は区別して考えないといけない。                      

--------------------------------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------------------------------


議事の概要は以下をクリックしてください。
  第1回 懇談会 議事の概要 (98/05/01)
  第2回 懇談会 議事の概要 (98/06/05)
  第3回 懇談会 議事の概要 (98/07/10)
  第4回 懇談会 議事の概要 (98/07/28)
  第5回 懇談会 議事の概要 (98/09/08)
  第6回 懇談会 議事の概要 (98/10/21)
  第7回 懇談会 議事の概要 (98/11/06)
  第8回 懇談会 議事の概要 (98/12/25)

  過疎問題懇談会について