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平成10年度第4回過疎問題懇談会の議事概要について
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1.日 時 平成10年7月28日(金)10:00〜12:00
2.場 所 国土庁 24階 第4会議室
3.出 席 者 (委員)阿部(統)座長、阿部(孝)委員、今野委員、須佐委員、田端委員
(国土庁)中川局長、薦田審議官、三宅室長
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4.議事概要
(事務局から前回議論の要旨説明)
(事務局から資料説明の後、フリートーキング)
・上水道の整備率は過疎地域が非過疎地域の3万人未満の団体に比して5%マイナスとなっているが、過疎地域は名水100選など綺麗な水が飲めるところもあるなどこれを格差と考えるべきかは議論の余地がある。
・下水道は、集落等はきちんと整備される必要があるが、地形条件によっては簡易なものによる対応も含めた見方をすべき。
・高齢者には老人保健施設、若い人にはスポーツ施設等と分かりやすいが、図書館・博物館などは誰に対するもので、どういう位置づけで考えていくべきか。
・地域活性化に資する基盤とは何かという議論の整理が必要。
・ハード面での整備は進んでいるが、「使いにくい」いう問題が残っている。これはアクセス環境の改善等、ソフト面・活用面での改善の重要性が高まっていることを意味する。
・老人保健施設や制度は量的にはあるが、過疎地域のように人口密度が薄いなかで、どのように利用水準、サービス水準を維持・向上させていくか。特に介護保険の導入において、しかるべきサービスを供給できるかは課題。
・今後の過疎地域の指定の際には、各種施設機能の利用の便宜の度合いを勘案する趣旨で、中核都市等からの距離を要件に加えることも一案ではないか。
・老人保健施設やデイケアについては、新たに施設を追加していくというより、既存施設の遊休時を活用するなど、弾力的な工夫が重要である。
・過疎地域の基盤についても規制緩和が必要な場面があり、1台の車で観光用、老人送迎バス用等複数の目的を兼ねて効率的な運用を図りたいとする自治体は多いが、その要望に制度の方が追いついていない。
・過疎バス等でも老人にタクシーチケットを配布するなど運用上さまざまな工夫があり得る。
・離島の歯科医療については、歯科技工士の派遣など関係者間で少しずつ努力を積み重ねているところだが、訪問診療が普及するにはまだ道は遠い。
・荒天によって隔絶される離島は医者の有無が問題であるが、それ以外の地域は病院までのアクセスの問題であるといえる。お年寄りも車で送ってもらえば通院は可能である。その送迎サービスが供給可能であるかどうかが問題である。
・過疎地域でも非農林業従事者が多くを占める現在において、集落の人がみな、また集落の人のみが国土保全に従事しているわけではない。集落の維持を図ることは必ずしも国土保全機能を維持することにはならず、それぞれは独立して考えるべき。
・国土保全・公益機能の評価をすれば、現実には農地よりも森林の方が保水機能が高いこと等により「山に戻した方がいい」という議論にもなりうる。過疎地域における公益機能の議論は慎重に取り扱う必要がある。
・過疎問題の総論として、過疎地域のあり方をまずきちんとすべきであり、現在の過疎地域のおかれている状況は、今までの延長線上では片づかない状況にあると言える。
・「過疎問題」と「過疎行政」を分けて議論する必要がある。「過疎行政」は30年に亘って期待以上の成果を挙げてきたと思う。しかし「過疎行政」が手が出なかった分野=市場経済の自由競争下で生じた「産業自立化問題」については、今後、どう扱っていくのか。これが重要ではないか。
・過疎地域で事業をはじめた人などの生の声を聞く必要がある。
・市町村を単位とした今の過疎対策の再評価が必要。広域的な要素を入れた過疎対策として考えれば、バスでも町村が1つ1つもっているのではなく、3つぐらいの町村が共同する等の「知恵」が出てくる。広域的な視点に立った知恵がもっと必要だ。
・医療面でも医者を町内におくばかりではなく病人を近隣の総合病院まで送迎する仕組みを作ることで代えるような工夫もあり得るのではないか。
・地域の人口規模が小さくなったときに、フルセットの行政を維持することは難しい。各市町村がすべてをまかなうのではなく、過疎対策でも広域化して対応できる分野は広域化して対応するのが原則と考える。
・今後の過疎地域の交通問題の中心は規制緩和の問題。赤字路線からの撤退の対策をどう考えるか。
こうした分野でも地域によってさまざまなアイディアの可能性があると思う。
・戦後の一時期は開発金融が活躍したが、高度成長の影に隠れてしまった。いま過疎地域の振興を考える上で経済活性化策としての起業は大きなテーマであると考える。
・今までの過疎対策は過疎債が重要なツールであったので、ソフト的なものはやや不十分であるかもしれない。この機会にトータルな「過疎問題」を捉えて、行政を窓口に考えるものと、そうでないものに
分けて検討していくべき。
・創業支援を過疎対策に入れ込むべきであり、特にソフトな事業が重要で、開発金融等の工夫をしていくべき。
・過疎問題そのものをなくそうという前例として四全総のリゾートがある。日本人のライフスタイルを変えるところに開発金融を入れるべきである。
・産業政策は全国的な経済政策をどう図っていくかという流れのなかで考えることも重要であり、過疎対策としてみるのは問題が矮小化されてしまう懸念もある。
・従前の過疎対策では、過疎対策における都道府県の位置づけがはっきりしていなかった。
・今後は少しマクロな視点を議論の出発点とすべき。
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議事の概要は以下をクリックしてください。
第1回 懇談会 議事の概要 (98/05/01)
第2回 懇談会 議事の概要 (98/06/05)
第3回 懇談会 議事の概要 (98/07/10)
第4回 懇談会 議事の概要 (98/07/28)
第5回 懇談会 議事の概要 (98/09/08)
第6回 懇談会 議事の概要 (98/10/21)
第7回 懇談会 議事の概要 (98/11/06)
第8回 懇談会 議事の概要 (98/12/25)
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