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授業実践パッケージ(小学校)

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[監修による座談会] 「放送分野におけるメディアリテラシーの実践パッケージ」と小学校授業を考える

小学校向けに開発した6つの「放送分野におけるメディアリテラシー授業実践パッケージ」の監修に、実践パッケージの特徴や、小学校での授業のあり方について議論していただきました。

−小学生が「放送分野におけるメディアリテラシー」を学ぶことは、何故必要なのでしょうか。

中橋:
放送は、社会にとって重要な役割を果たしているし、子どもたちも日常的にテレビやラジオを見たり聞いたりしています。現在は、誰もが情報を発信できる時代でもあるので、小学校教育に「放送分野のメディアリテラシー」の学習を取り入れることが必要です。
稲垣:
最近、小学校に大きなディスプレイが導入され、放送番組や映像を大画面で視聴する機会が増えています。放送で扱われているコンテンツは、児童のお手本にもなるものも多いし、読み解きがいもあるので、これらがどのように作られているかについて、小学校の段階で考えることが必要です。

−6つの「実践パッケージ」の特徴を聞かせてください。

黒上:
「放送分野におけるメディアリテラシー」では、批判的思考ができることが大きな目標となるけれど、それを小学校でどこまで学習すべきか、現在のところ明確になっていません。高学年の「実践パッケージ」では何を学習することを重視しましたか。
中橋:
テレビなどのメディアを、批判的に読みとき行動を起こすのは、大人になってからでよいと思います。しかし、その基礎として、メディアの仕組や特性を理解したりすることは、小学校の段階でも必要でしょう。 高学年では、「メディアの表現と、社会や経済などとのかかわり」、つまり、メディアでどう表現すると、人は感動したり物を買ったりするのかということ について理解することを重視しました。高学年で、このようなことを理解できるためには、中学年や低学年で、「メディアの表現の特性」を知っておく必要があると思いますが、どうでしょう。
稲垣:
そうですね。 「放送分野におけるメディアリテラシー」の学習として重要な要素である 「メディアと社会的なかかわり」や「メッセージの意味」を考えるためには、「メディアの表現」について知ることが必要です。2年の生活と、4年の「実践パッケージ」では、音楽や映像などの表現について学習する活動としました。
黒上:
5年生の社会で、 「放送局は、メッセージを加工して伝える仕事をしている」ことを扱いますが、それが自分たちの暮らしにどう影響しているかを考えるためには、伝えられたメッセージを理解し、行間を読める力をつけておかなければいけないでしょう。これはあるていど国語で行っていますが、一般的に国語では、 お話を読んで作者の意図を考える活動が多い状況です。 そこで、低学年の国語の「実践パッケージ」では、お話を比較しながら想像するという活動を取り入れました。比較をしながら違いを考えることは、将来的に行うクリティカルシンキングに繋がるからです。

−「実践パッケージ」で学習するうえで大切なことは何でしょう。

黒上:
1回、「実践パッケージ」で学習すれば、「放送分野におけるメディアリテラシー」が身につくと考えてはいけないですね。低学年は、年齢的に個人差が大きいので、「実践パッケージ」の学習が難しい子もいますが、その一方、学習できる子もいます。大事なことは、中、高学年でも継続的に続けることが必要でしょう。
中橋:
徐々に高めていく必要がありますね。スパイラルにやっていく必要があり、低学年で遅れをとった子も、中学年でできるようにする必要があります。同じことを繰り返していくことと同時に、レベルアップするための活動を考えることが必要です。そうすることで、番組の背景を徐々に理解し、自分もそのように伝えることができることを理解していくでしょう。
稲垣:
1時間で完結する学習はありません。6つの「実践パッケージ」の本時の授業は1、2回で実施していますが、実際は、指導案に書かれているように、多くの活動を積み重ねて学習しています。学校の現状を考えると、「放送分野におけるメディアリテラシー」に特化して授業をするのは難しいので、いろいろな教科のなかで、少しずつメディアリテラシーに関する学習を取り入れていくとよいでしょう。
黒上:
小学生の段階では、「ニュースは15分しかないから、すべては放送されていない」とか、「ニュースは人が取材してまとめなおした」ということを、それぞれ理解することはできます。けれど、それらが繋がって、こうゆうことなのかと理解するのは、もっと後でもよいでしょう。そのためには、「放送分野におけるメディアリテラシー」に関する学習は、メッセージの理解なら国語で行い、メディアの表現なら図工や音楽で、場合によっては合科的に行ったり、総合的な学習で行うなど、教科を総動員して実施していくことが必要でしょう。

−ありがとうございました。

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監修プロフィール
中橋 雄(武蔵大学 社会学部准教授) 5年、6年「実践パッケージ」監修
稲垣 忠(東北学院大学 教養学部准教授) 2年<生活>、4年「実践パッケージ」監修
黒上 晴夫(関西大学 総合情報学部教授) 1年、2年<国語>「実践パッケージ」監修

※肩書きは平成22年時のものです。

実践パッケージ

1年・国語 「お話には、作者がいることを知ろう」単元:本とともだちになろう(本はともだち)

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2年・国語 「お話をつくって、骨組みとお話の関係を知ろう」単元:お話、大好き(お話のさく しゃになろう)

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2年・生活 「番組の色や音のイメージを知ろう」単元:はっぱのいろがかわったよ(あきをさがそう)

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4年・音楽 「映像と音楽の関係を考えよう」単元:いろいろな音のちがいを感じ取ろう(いろいろな音色を感じ取ろう)

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5年・社会 「コマーシャルのひみつを考えよう」単元:くらしを支える情報(情報のなかに生きる)

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6年・国語 「ラジオとテレビの違いを考えよう」単元:本は友達(本は友達)

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