目 次 西暦2000年問題

「西暦2000年問題」とは

「西暦2000年問題」  「「西暦2000年問題」の背景」
「西暦2000年問題への対応に必要となる三つの視点」
「電気通信における西暦2000年問題の想定例」

「西暦2000年問題」

 現在使われているコンピュータシステムには、年月日の年号を慣例的に二桁で処理しているものがあります。(例:1998→98)
 システムがこのような表現形式を採用している場合、西暦2000年代のものを1900年代と誤って判断することによって、システムの停止や、誤作動などの様々なトラブルの発生が想定されています。

例) 金融業における金利計算がマイナスになる、製造業の製品保証期間が終了したものとみなされる、流通業におけるクレジットカードの有効期限が期限切れになる 等

 このようなトラブルを解消するためには、システムの再構築やプログラム・データの修正等の対応が必要になりますが、コンピュータシステムは年号に関する処理が多用されていることから、問題の発見、修正、試験には多くの時間とコストが必要とされています。

(参考) 英国2000年問題対策委員会の試算・・・全世界で1兆5,600憶ドル

 情報通信ネットワークにおいても、コンピュータで構成される多種多様なシステムを使用していることから、多くの問題が発生する可能性があり、ネットワークの安定的な運用を確保するためには、西暦2000年問題に適切に対応することが求められています。


「西暦2000年問題」の背景

 西暦2000年問題は、西暦年号を下二桁で処理していることに起因しますが、この原因として一般的には以下のような歴史的背景があると言われています。

西暦2000年問題への対応に必要となる三つの視点

  1. 西暦2000年問題の重要性
    西暦2000年問題が重大であるという要因として次のことが考えられています。
    コンピュータを使う産業全体に関わる世界的な問題であること。
    西暦2000年問題の存在を放置しておくと、西暦2000年になるとコンピュータが誤作動すること。
    サービスの提供、顧客対応、事務処理、社内連絡など、コンピュータが経営基盤に深く浸透している現状に鑑みると、西暦2000年問題が事業の広範な分野にわたって多大な影響を及ぼす可能性が極めて大きいこと。

  2. 西暦2000年問題への取組みの難しさ
    西暦2000年問題への取組みにおいて、次の問題点が指摘されています。
    西暦2000年問題への取組みは、現在実施している処理を維持するためであり、直接、企業利益の増加につながらないにもかかわらず、多大な時間と費用が必要であること。
    西暦2000年問題の発生は、コンピュータで年号情報を西暦下二桁で処理するという単純な原因でありながら、コンピュータで構成される個々のシステムの扱う業務、機能、運用環境などが異なるため、具体的な問題の対処方法、対処範囲、対処期限などがシステム毎に異なること。

  3. 早急な取組みの必要性
    西暦2000年問題に関しては、以下の理由により、早急な取組みが必要です。
    遅くとも西暦1999年末までという対処の期限が限られており、解決を2000年以降に先送りすることができないこと。
    システムの機能によっては、数年先のデータを扱うシステムや、年度を単位として処理するシステムの場合など、西暦2000年直前の対処では間に合わないものがあること。
    コンピュータを使用する産業全体が、西暦2000年問題への対応にシステムエンジニアの要因を確保することが困難になる恐れがあること。



電気通信における西暦2000年問題の想定例

  1. 通信サービス(付加サービス)に影響を及ぼす可能性
     ファクシミリ、メールなどの付加サービスにおいて日付指定送信を行う際、サービス制御システムが2000年代の年月日を受け付けない場合、予約指定ができない。あるいは、1900年代の年月日と誤判断した場合、正常に送信されない。

  2. 料金処理に影響を及ぼす可能性
    (1) 通話時間から料金を計算する支援系システムで、1999年から2000年にまたがった通話の時間を正常に算出できない。(マイナス値あるいは膨大な時間として計算してしまい、料金の誤請求あるいは請求不能となる場合が考えられる。)

    (2) 2000年を意味する「00」を1900年と認識し、かつ、1900年のカレンダーがシステム上に存在しないためそのまま1999年のカレンダーが適用された場合、休日割引料金の判断において平日と休日が誤って適用され、料金が誤請求となる。


  3. ネットワーク管理システムに影響を及ぼす可能性
     通信設備、電源等の管理システムにおいて事故・障害等の発生日時を含むデータ授受の際にその処理が正常に行われず、システムが異常動作。