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平成27年版
地方財政白書
(平成25年度決算)

5 行財政改革の推進

(1)給与の適正化及び適正な定員管理の推進

地方公共団体においては、現下の厳しい財政状況において、計画的に行政改革を推進するとともに住民への説明責任を果たす見地から、目標の数値化やわかりやすい指標の活用を図りつつ、給与情報等公表システムにより給与及び定員の公表を行うなど、定員管理や給与の適正化などの取組を行っている。

給与については、平成18年の国の給与構造改革の取組を踏まえた給料表水準の引下げ等を実施している。

また、平成26年10月7日に「公務員の給与改定に関する取扱いについて」が閣議決定され、その中で国家公務員の給与については、給与制度の総合的見直しを実施することとされ、地方公務員給与についても、国の見直しを踏まえ、人事委員会機能を発揮することなどにより地域民間給与のより的確な反映など適切に見直しを行うよう要請することとされたところである。

地方公共団体の総職員数については、第51表のとおり、平成21年4月1日から平成26年4月1日までの5年間で、都道府県2.7%減、政令指定都市2.9%減、政令指定都市を除く市区町村5.8%減となっており、全地方公共団体では3.9%の減少となった。

第51表 地方公共団体の定員管理の状況について

(2)地方公営企業等の改革

ア 地方公営企業の抜本改革の推進

地方公営企業が、将来にわたり本来の目的である公共サービスの供給を行っていくためには、経営環境の変化に適切に対応し、事業の在り方を絶えず見直していくことが求められている。総務省においては、地方公共団体財政健全化法が平成21年4月から全面施行されたこと等を踏まえ、平成21年度から平成25年度までの間に、公営企業の抜本改革についての全国的な取組を集中的に推進した。この結果、財政健全化指標の1つである資金不足比率において経営健全化基準以上である公営企業数が大幅に減少(平成25年度決算においては、平成20年度決算から70.5%減)するなど、一定の成果をあげたところである。

また、事業廃止、民営化・民間譲渡、指定管理者制度の導入等も進捗を見せている。第125図に示されるように、平成16年度以降における事業廃止の事業数は368事業となっている。各事業について平成16年度決算対象事業数に対する平成16年度以降の事業廃止数の割合をみると、宅地造成事業14.8%(92事業)、と畜場事業13.8%(11事業)、観光施設事業・その他事業11.6%(58事業)の割合が高い。また、第126図に示されるように、平成16年度以降における民営化・民間譲渡の事業数は272事業となっている。各事業について平成16年度決算対象事業数に対する平成16年度以降の民営化・民間譲渡数の割合をみると、ガス事業40.4%(19事業)、交通事業21.6%(24事業)、介護サービス事業18.6%(143事業)の割合が高い。さらに、指定管理者制度については、第127図に示されるように、平成26年度時点での導入済事業数は776事業(都道府県・政令指定都市等121事業、市町村等655事業)となっており、各事業について平成15年度決算対象事業数に対する指定管理者制度導入(平成15年度)以降の導入数の割合をみると、駐車場事業61.1%(157事業)、観光施設事業・その他事業32.0%(178事業)、と畜場事業28.9%(24事業)の割合が高い。

第125図 事業廃止の状況
第126図 民営化・民間譲渡の状況
第127図 指定管理者制度の導入状況

イ 平成26年度以降の経営健全化等についての考え方

公営企業は、料金収入をもって経営を行う独立採算制を基本原則としながら、住民生活に身近な社会資本を整備し、必要なサービスを提供する役割を果たしており、将来にわたりその本来の目的である公共の福祉を増進していくことが必要である。抜本改革が一定の成果をあげる一方、公営企業は、現在、サービスの提供に必要な施設等の老朽化による更新投資、サービス需要の変化や人口減少に伴う料金収入の減少等により、経営環境が厳しさを増しつつある。

このため、各地方公共団体にあっては、平成26年度以降においても、自らの判断と責任に基づき、公営企業の経営健全化等に不断に取り組むことが必要である。

(ア)経営のあり方の検討

各地方公共団体が公営企業の経営健全化等に取り組むに当たっては、その前提として、公営企業が行っている事業そのものの意義、提供しているサービス自体の必要性について検証し、事業に意義、必要性がないと判断された場合には、速やかに、廃止等を行うことが求められる。

また、事業の継続、サービスの提供自体は必要と判断された場合であっても、採算性の判断を行い、完全民営化、民間企業への事業譲渡、指定管理者制度やPPP/PFI(公共施設等運営権方式(いわゆるコンセッション方式)を含む。)の導入等について検討を行うことが必要となる。

なお、民間能力の活用等については、「経済財政運営と改革の基本方針2014」や「『日本再興戦略』改訂2014」においても示されているところである。

(イ)経営戦略の策定

経営のあり方について検討を行った結果、引き続き公営企業として事業を行うこととした場合には、自らの経営等について的確な現状把握を行った上で、中長期的な視野に基づく計画的な経営に取り組み、徹底した効率化、経営健全化を行うことが求められる。

このため、総務省においては、「公営企業の経営に当たっての留意事項について」(平成26年8月29日付け総務省自治財政局公営企業課長等通知)を発出し、各公営企業が将来にわたって安定的に事業を継続していくための中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」の策定と、これに基づく経営基盤強化、効率化・経営健全化等について、手順・留意点等を示したところである。

各公営企業においては、「経営戦略」を策定し、それに基づく計画的かつ合理的な経営を行うことにより、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を実現していくことが強く求められる。

なお、公営企業の経営に関するこのような取組の考え方については、「経済財政運営と改革の基本方針2014」において、「公営企業の経営に係る新たな考え方や第三セクター等の経営改革に関するガイドラインを示すことを始め適切な支援を行い、公営企業・第三セクター等の徹底した効率化・経営健全化を図る。」として示されているところである。

ウ 地方公営企業会計制度等の見直し

地方公営企業の会計制度については、「地方公営企業会計制度等研究会」の報告書(平成21年12月)を踏まえ、昭和41年以来のほぼ半世紀ぶりとなる全面的な見直しを進めてきた。

(ア)資本制度の見直し

公営企業の経営の自由度を高めるとともに、住民等への情報開示や議会の関与を強め、地方公共団体が自らの責任において経営を行っていくことができるようにするため、資本制度の見直しを行った。

具体的には、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」による「地方公営企業法」の改正により、利益処分や資本の取扱い等に関する制約が廃止され、議会の議決又は条例のもとで、経営判断に基づく処分等が可能となった(平成24年4月施行)。

(イ)会計基準の見直し

地方公営企業の経営実態をより的確に把握できるようにするとともに、損益計算書及び貸借対照表を他の地方公営企業や他のセクター等と比較しやすく、住民等にも分かりやすいものとするため、会計基準の見直しを行った。

主な見直しの内容は、<1>借入資本金を負債に計上すること、<2>みなし償却制度を廃止すること、<3>退職給付引当金等の引当てを義務化すること等であり、地方公営企業の特性等を適切に勘案しながら、現行の企業会計原則の考え方を最大限取り入れたものとなっている。関係政省令の一部改正については、平成24年2月1日から施行され、新しい会計基準は平成26年度の予算及び決算から適用(早期適用も可能)される。

各地方公営企業においては、どの程度の赤字・黒字の構造か、どの程度公的支援に依存しているかなどを検証するとともに、経費縮減や適切な料金水準の検討等の経営改革に活用していくことが重要である。

エ 公営企業会計の適用促進

会計基準の見直しにより、地方公営企業の経営実態をより的確に把握できるようになった。しかし、新会計基準が適用される地方公営企業は、「地方公営企業法」で当然適用とされた8事業(上水道、工業用水、バス、軌道、地下鉄、電気、ガス、病院)及び財務規定等を各公営企業が任意適用することとした事業であり、これを平成25年度末事業数でみると、全地方公営企業8,703事業のうち3,033事業となっており、全体のほぼ3分の1程度にとどまっている。

各公営企業が経営基盤の強化等により的確に取り組むためには、自らの損益・資産等を正確に把握することが必要であり、地方公営企業法を適用していない公営企業においては、同法の全部又は一部を積極的に適用し公営企業会計を導入することが必要である。特に、資産の規模が大きく、また、住民生活に密着したサービスを提供する簡易水道事業及び下水道事業については、基本的に公営企業会計を導入することが必要である。

なお、「経済財政運営と改革の基本方針2014」においても「現在、公営企業会計を適用していない簡易水道事業、下水道事業等に対して同会計の適用を促進する」こととされている。

総務省においては、平成27年1月、人口3万人以上の団体が経営する下水道事業及び簡易水道事業を重点事業として、平成27年度から平成31年度までの集中取組期間内に、「地方公営企業法」の全部又は一部(財務規定等)を適用するよう各地方公共団体に対して「公営企業会計の適用の推進について」(平成27年1月27日付け総務大臣通知)を発出し、要請を行った。

また、平成26年6月から「地方公営企業法の適用に関する実務研究会」を開催し、財務規定等の適用を円滑かつ着実に推進するため、地方公営企業法の財務規程等の適用に関する実務的な取扱いの整理を行い、平成27年1月にその内容を「地方公営企業法の適用に関するマニュアル」としてとりまとめるなど、各地方公共団体の取組に対する各種の支援を行っている。

オ 第三セクター等の抜本的改革の推進

(ア)第三セクター等の経営健全化

地方公社及び第三セクター(以下「第三セクター等」という。)は地域において住民の暮らしを支える重要な役割を担っている。

平成26年度の「第三セクター等の状況に関する調査」によれば、第52表のとおり、平成26年3月31日時点の第三セクター等の数は7,634法人(前年度比318法人減)であり、地域・都市開発、農林水産、観光・レジャー、教育・文化など、多様な業務を行っているところである。

第52表 第三セクター等の状況

一方で、地方公共団体が損失補償等を行っている第三セクター等に係る債務については、民間企業と同様の市場規律やガバナンスが働かないケースもあり、その経営状況が著しく悪化した場合は、地方公共団体の財政に深刻な影響を及ぼすことが予想される。

このため、平成21年度から平成25年度までの間、地方公共団体が自らの決定と責任の下、「第三セクター等の抜本的改革」に取り組み、財政規律を強化することを推進した。これは、地方公共団体が損失補償・債務保証を行う第三セクター等の債務の減少(平成25年度決算においては、平成20年度決算から45.5%の減少)、地方公共団体から第三セクター等へ交付される補助金等の減少(同38.6%の減少)、債務超過の第三セクター等の減少(同31.1%の減少)をはじめとして、全国的には相当程度の成果をあげたところである。

なお、平成25年度に申し立てられた第三セクター等の法的整理は13件、廃止は340件、統合は6件、出資引き揚げは51件となっており、平成21年3月31日現在で8,685法人であった第三セクター等は、5年間で1,051法人減少(12.1%減少)している。

また、土地開発公社の平成25年度末における土地保有総額は第128図に示されるように、前年度と比べると4,714億円減少の1兆6,120億円となり、17年連続の減少となっている。

第128図 土地保有総額の推移

しかしながら、地方公共団体は、平成26年度以降も自らの財政規律の強化を不断に図っていくことが重要であり、また一部には、第三セクター等に係る財政的リスクが相当の規模にのぼる地方公共団体や抜本的改革に係る方針が決定されていない地方公共団体も、依然として存在している。

具体的には、地方公社及び地方公共団体等の出資割合が25%以上又は財政支援を受けている第三セクターのうち、赤字の法人については、法人数は減少しているものの対象法人の40%を占めており(平成20年度決算で2,783法人であったものが平成25年度決算で2,544法人)、また、債務超過の法人も法人数は大幅に減少しているものの対象法人の5%弱存在する(同じく409法人であったものが282法人)。

「経済財政運営と改革の基本方針2014」においても、地方財政改革の推進のために、「公営企業・第三セクター等の徹底した効率化・経営健全化を図る。」こととされているところである。

一方で、現下の社会経済情勢を踏まえれば、公共部門においても民間の資金やノウハウを活用することが必要であり、第三セクター等は、健全な経営が行われる場合には、そのための有力な手法となるものである。さらに、第三セクター等は市町村の圏域を越えた活動が可能であること等の長所も有しているところであり、経済再生・地域再生等を実現するために、適切な形での活用を検討することも重要である。

これらのことを踏まえて、地方公共団体は、平成26年度以降、自らが関係する第三セクター等について、効率化・経営健全化と地域の元気を創造するための活用の両立に適切に取り組むことが必要である。総務省は「第三セクター等の経営健全化の推進等について」(平成26年8月5日付け総務大臣通知)によりこの旨を要請するとともに、第三セクター等の経営改革等に関する新たなガイドラインとして「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」(平成26年8月5日付け総務省自治財政局長通知)を発出し、地方公共団体の第三セクター等への適切な関与、経営が悪化した第三セクター等の抜本的改革を含む経営健全化、さらに第三セクター等の活用等について、基本的な考え方や手順・留意点等を示したところである。

今後も、同指針を踏まえた助言、情報提供等により、地方公共団体の取組を継続的に支援することとしている。

(イ)第三セクター等改革推進債の状況

地方公営企業、地方公社及び第三セクターの改革については、地方公共団体が地方公共団体財政健全化法の全面施行から5年間で抜本的改革を集中的に行うことができるように、平成21年度から平成25年度までの間の時限措置として、その整理又は再生のために特に必要となる一定の経費を議会の議決等の手続を経て地方債(第三セクター等改革推進債)の対象とできることとされている。

平成25年度において第三セクター等改革推進債を起債した団体は90団体、許可額は4,822億円となっており、21年度から25年度までの累計の許可額は、9,536億円となっている。

なお、平成26年3月の「地方財政法」改正により、平成25年度までに第三セクター等の抜本的改革を行うことを決定し、その旨を記載した計画を総務大臣に提出して、承認を受けた地方公共団体にあっては、平成28年度まで第三セクター等改革推進債の起債を可能とする経過措置が講じられたところである。

経過措置の要件となる計画については、18団体の20計画が平成26年7月18日付けで総務大臣の承認を受けている。

(3)公共施設等総合管理計画の策定促進

ア 公共施設等総合管理計画の策定要請

地方公共団体においては、高度経済成長期に大量の公共施設等が建設されており、今後、それらの公共施設等が更新時期を迎えることが見込まれている。一方、地方財政は依然として厳しい状況にあり、所有している全ての公共施設等の維持補修・更新財源を確保していくことは、困難となる可能性がある。また、人口減少等により、公共施設等の利用需要が変化していくことが見込まれるため、各地方公共団体は、地域における公共施設等の最適配置の実現に向けて取り組んでいく必要がある。

このような中、「インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議」において、平成25年11月にインフラ長寿命化基本計画が決定され、地方公共団体においても、平成28年度までにインフラ長寿命化計画(行動計画)を策定すること等が期待されている。

これらを受け、総務省においては、「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」(平成26年4月22日付け総務大臣通知)を発出し、各地方公共団体に対し、公共施設等総合管理計画を策定するよう要請した。各地方公共団体は、同計画の策定を通じ、財政状況や人口減少等の状況を踏まえ、早急に公共施設等の全体の状況を把握し、長期的な視点をもって、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行っていくことが求められている。

イ 公共施設等総合管理計画の策定支援・策定状況

地方公共団体における公共施設等総合管理計画の策定を支援するため、総務省においては、平成26年4月に「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針」を発出するとともに、説明会等を開催し、指針の内容の周知等を図っている。また、地方財政措置として、同計画策定に要する経費に係る特別交付税措置や、同計画に基づく公共施設等の解体撤去事業に地方債を充当することを可能とする特例措置を設けている。

このような支援もあり、平成26年10月1日時点の調査によれば、都道府県及び指定都市は全団体、市区町村においても98.0%の団体において、平成28年度までに、同計画の策定が完了する予定となっている(第53表)。

第53表 公共施設等総合管理計画の策定取組状況(平成26年10月1日現在)

また、平成27年度からは、新たな地方財政措置として、地方公共団体により積極的に同計画に基づく既存の公共施設の集約化・複合化の取組がなされるよう、公共施設最適化事業債を創設するとともに、同計画に基づく既存の公共施設等の転用に係る事業を新たに地域活性化事業債の対象とすることとしている。

(4)地方公会計の整備促進

地方公会計は、現金主義会計による予算・決算制度を補完するものとして、現金主義会計では見えにくいコストやストックを把握することで中長期的な財政運営への活用の充実が期待できるため、各地方公共団体において、その整備を推進していくことは重要である。

特に、人口減少・少子高齢化が進展している中、財政のマネジメント強化のため、地方公会計を予算編成等に積極的に活用し、地方公共団体の限られた財源を「賢く使う」取組を行うことは極めて重要である。

近年の地方公会計の整備については、平成18年5月に地方公共団体が参考とすべき財務書類の作成方式として基準モデルと総務省方式改訂モデルが提示されており、当該モデル等に基づき、各地方公共団体において財務書類の作成は着実に進んでいる(第54表)。しかし、複数の方式が存在しており、比較可能性が十分に確保されていないほか、多くの地方公共団体において既存の決算統計データを活用した簡便な作成方式である総務省方式改訂モデルが採用され、本格的な複式簿記が導入されていない中、公共施設等のマネジメントにも資する固定資産台帳の整備が十分でないことから、事業別や施設別のセグメント分析が十分にできていないといった課題もあるところである。

第54表 平成24年度決算に係る財務書類の作成状況

このため、平成22年9月から「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」を開催して議論を進め、平成26年4月に、固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした財務書類の作成に関する統一的な基準を示したところである(第129図)。

第129図 統一的な基準による地方公会計の整備促進について

また、平成27年1月には、当該基準による財務書類の作成手順や資産の評価方法、固定資産台帳の整備手順、連結財務書類の作成手順、事業別・施設別のセグメント分析をはじめとする財務書類の活用方法等を示した具体的なマニュアルを公表するとともに、「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」(平成27年1月23日付け総務大臣通知)において、当該基準による財務書類等を、原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての地方公共団体において作成し、予算編成等に積極的に活用するよう要請したところであり、当該基準による地方公会計の整備が開始されたところである。

(5)地方財政の健全化と地方債制度の見直し

地方財政の健全化については、地方公共団体財政健全化法の全面施行から5年が経過している中、現状について分析を行うとともに、新たな課題について検討する必要がある。

また、昨今、老朽化対策等の新たな地方財政の課題も生じていることから、継続的に財政健全化の取組を進められるよう、財政分析手法についても検討する必要がある。

地方債制度については、第2次地方分権一括法附則第123条の規定により、届出制度の開始から3年経過した場合において、地方債の発行に関する国の関与の在り方について見直しを行う必要がある。

以上のことを踏まえ、総務省では平成26年11月から「地方財政の健全化及び地方債制度の見直しに関する研究会」を開催し、検討を開始しており、平成27年秋頃を目途に報告書をとりまとめる予定である。

(6)社会保障・税番号制度

平成25年5月に成立した番号関連4法(「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年法律第27号)、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成25年法律第28号)、「地方公共団体情報システム機構法」(平成25年法律第29号)及び「内閣法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第22号))により、社会保障・税番号制度(以下「番号制度」という。)が導入されることとなった。

番号制度は、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であるということの確認を行うための基盤であり、社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための基盤(インフラ)であり、<1>付番、<2>情報連携、<3>本人確認の3つの仕組みから成り立っているところである。なお、番号の利用分野については、社会保障分野、税分野、災害対策分野の3分野に限られている(第130図第131図)。

第130図 番号制度の仕組み
第131図 社会保障・税番号制度の概要

番号制度導入のため、各地方公共団体においては新たなシステムの構築や住民基本台帳、税務システムをはじめとした既存の情報システムの改修が必要となるところであり、その経費や情報提供等の必要な支援を講じているところである。また、複数自治体によるクラウド技術の活用による情報システムの共同利用(いわゆる「自治体クラウド」)に同時に取り組むことにより、関係経費の節減やセキュリティの強化が図られることから、番号制度の導入に合わせた自治体クラウドの活用を推進していくこととしている。

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