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平成29年版
地方財政白書
(平成27年度決算)

4 地方自治を取り巻く動向

(1)地方自治制度の見直し

平成26年5月30日に公布された「地方自治法の一部を改正する法律」(平成26年法律第42号)における改正事項のうち、総合区制度の導入や指定都市都道府県調整会議の設置等といった指定都市制度の見直しに関する部分が、平成28年4月1日に施行された。これをもって、同法は全面施行となった。

また、平成26年5月15日に発足した第31次地方制度調査会は、約2年に及ぶ調査審議を経て、平成28年3月16日に「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申」を内閣総理大臣に提出した。同答申は、人口減少社会の到来という喫緊の課題に対し、地方公共団体が行政サービスを持続可能な形で提供するために必要な地方行政体制のあり方や、地方公共団体の事務の適正性を確保するためのガバナンスのあり方を提言したものである。

「地方行政体制のあり方」については、地方公共団体間の広域連携の活用や地方公共団体以外の外部資源の活用を提言したものである。また、「ガバナンスのあり方」については、<1>長の内部統制体制の整備及び運用に係る権限と責任を明確化、<2>地方公共団体共通の統一的な監査基準の策定や監査委員の研修の導入、監査委員の合議の特例、監査委員の権限強化(勧告制度の導入等)、包括外部監査の実施年度の特例、<3>決算不認定の指摘事項に対して、長が説明責任を果たす仕組みの導入、議選監査委員の選択制、<4>軽過失の場合の長等への責任追及のあり方の見直し等を提言したものである。

同答申を踏まえた地方自治法等の改正の検討を進めているところである。

(2)臨時・非常勤職員制度の見直し

地方公共団体においては、厳しい財政事情の中、教育、子育てなど増大し多様化する行政需要に対応するため、臨時・非常勤職員の数は増加し、幅広い分野で活用されている。

一方、その現状を見ると、地方公共団体によっては、制度の趣旨に沿わない任用が行われており、労働者性の高い者であっても特別職として任用され、地方公務員法に基づく守秘義務などの規定が適用されていないこと、一般職非常勤職員について採用方法等が明確に定められていないこと、労働者性の高い非常勤職員に期末手当の支給ができないことなどの課題がある。

これらの課題に対応するため、平成28年7月に「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」を設置し、検討を行った。

同年12月に取りまとめられた報告書では、<1>特別職の任用及び臨時的任用の厳格化、<2>一般職の非常勤職員の任用等に関する制度の明確化、<3>一般職非常勤職員に対する期末手当の支給などに関する提言が行われており、現在、この提言を踏まえた地方公務員法・地方自治法の改正の検討を進めているところである。

(3)連携中枢都市圏構想の推進

「連携中枢都市圏構想」とは、人口減少・少子高齢社会にあっても、地域を活性化し経済を持続可能なものとし、国民が安心して快適な暮らしを営んでいけるようにするために、地域において、相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が近隣の市町村と連携し、コンパクト化とネットワーク化により「経済成長のけん引」、「高次都市機能の集積・強化」及び「生活関連機能サービスの向上」を行うことにより、人口減少・少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点を形成する政策である。本構想は、第30次地方制度調査会「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申」を踏まえて制度化したものであり、平成26年度から全国展開を行っている。

平成29年1月現在では、25市が中心都市として圏域を形成する意思を宣言し、17の圏域(延べ155市町村)が形成されるなど、全国で着実に連携中枢都市圏構想による取組が進んでいる。また、昨年度創設した「複眼型連携中枢都市圏」を活用した圏域や県境を超えた圏域が形成されるなど、多様な形態の圏域が形成されている。

今後も、連携中枢都市圏構想を推進するため、圏域での取組に対して、引き続き地方財政措置を講じるとともに、圏域での取組や施策の質の向上を積極的に支援することとしている。

(4)定住自立圏構想の推進

我が国は、平成20年をピークとして人口減少局面に入っており、特に地方圏においては、今後、大幅な人口減少と急速な少子化・高齢化が見込まれている。このような状況を踏まえ、地方圏において安心して暮らせる地域を各地に形成し、地方圏から三大都市圏への人口流出を食い止めるとともに、三大都市圏の住民にもそれぞれのライフステージやライフスタイルに応じた居住の選択肢を提供し、地方圏への人の流れを創出することが求められている。

「定住自立圏構想」とは、人口5万人程度以上の中心市と近隣市町村が連携・協力することにより、圏域全体で必要な生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進する政策であり、平成21年度から全国展開を行っている。

平成29年1月現在では、130市が中心市として圏域を形成する意思を宣言し、116の圏域(497市町村)が形成されるなど、全国で着実に定住自立圏構想による取組が進んでいる。

今後も、定住自立圏構想を推進するため、圏域での取組に対して引き続き地方財政措置を講じ、地域住民の生活実態やニーズに応じ、生活に必要な機能の確保を支援することとしている。

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