画像:住民参画システム利用の手引き 〜地域SNS、公的認証対応アンケートシステム〜
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目次
座長あいさつ
総論

1. 趣旨
2. 地域をとりまく環境変化
3. 地域における住民参画の必要性
4. ICT活用の可能性と課題

5. ICTを活用した「地域の課題解決力」の向上に向けて
5-1 テーマ設定
5-2 建設的な議論と意見集約の方法
5-3 行政内部の対応ルールの確立
5-4 地方議会及び既存の民意反映チャンネルとの関係の整理
5-5 地域SNS及び公的個人認証対応電子アンケートシステムの活用


導入検討編
実践編 地域SNS

実践編 電子アンケートシステム
資料編
5-1 テーマ設定

(1)地域社会への住民参画

 インターネット上のコミュニティでは、「福祉」「自然」「子育て」等の多岐に渡るテーマが想定されますが、住民が日頃から感じていることや住民のアイデアなど個人の関心事、趣味等にまつわる様々なテーマが話題に上がって、活発な情報交換、情報共有がなされることが期待されます。もちろん、アダルト、風俗、暴力等の反社会的なテーマなどは除外されるべきでしょう。なお、企業による営利目的のテーマであっても、地元の産業振興の観点から、全く排除するものではないといえます。

 それぞれの住民にとって興味・関心があるテーマについて情報交換、情報共有を行うことにより、住民に操作に慣れてもらうことで、住民の情報活用能力(リテラシー)の向上が期待されるとともに、利用されるサイトの閲覧件数(ページビュー)が上がります。そして、いざ災害といった場合には、日頃から使い慣れたシステムを切り替えて使うことにより、災害情報等を入手することも可能となります。

 また、自分の興味・関心のあるテーマに関するコミュニケーションを通じて、住民の間に複層的なつながりやネットワークが構築されることが期待できます。このようなネットワークの構築を通じ、地域の課題解決の担い手となるようなコミュニティが形成され、例えば、「福祉」「自然」「子育て」などのテーマについて、住民同士で情報交換したり、助け合うことによって、地域社会の課題解決を図ることが期待されます。

(2)地方行政への住民参画

 パブリックコメントのように広く住民に意見を募る場合には様々なテーマを取り上げやすいですが、住民の参画によって一定の合意形成を行うことを目的とする場合には、取り上げるテーマについて十分な配慮が必要です。

 例えば、近くの公園の利用規則を決めるようなテーマの場合には、その公園を利用する人、近隣住民、管理する行政担当者などが参加して、当事者同士でルールを作成することが考えられます。このように、課題の所在が比較的小さな地域に閉じており、利害関係者もある程度限定される場合については、当事者である住民が直接参画して議論するテーマとして取り上げやすいといえます。

 一方、ゴミ処分場の建設など、広域的な課題であり、利害関係者も不特定多数に及び当該地域への補償の問題など当事者の利害関係の調整が複雑になる場合には、住民が直接参画して議論しても、合意形成には至らない恐れがあります。また、条例制定など、最終的には地方議会が決定することや、専門的な知識が要求される場合についても、住民が直接参画して議論するテーマとして取り上げる場合には難しい面があります。

 ただし、合意形成に至らなくても、住民の間で問題意識が芽生えたり、課題に関する論点が明確になる場合もあることから、住民の間で様々な意見を交わして、議論すること自体に意義があることも忘れてはなりません。

 このように、住民の参画によって一定の合意形成を行うことを目的とする場合には、住民の意見の取り扱いを考慮した上で、慎重な検討を行う必要があります。

 なお、「地域社会への住民参画」のテーマと「地方行政への住民参画」のテーマを画一的に区別することは適切ではなく、例えば、住民が日頃から感じていることや住民のアイデアなど、地方自治体等が直接関わらない一般のコミュニティにおいて気軽に語られているテーマの中から、地方行政に関するテーマとして地方自治体等が開設するコミュニティ・会議室等で取り上げ、地方行政への住民参画のテーマとして発展させていくケースも想定されます。

総務省 | 財団法人地方自治情報センター