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平成26年版
地方財政白書
(平成24年度決算)

2 地方財政の概況

地方公共団体の会計は、一般会計と特別会計に区分して経理されているが、特別会計の中には、一般行政活動に係るものと企業活動に係るものがある。

このため、地方財政では、これらの会計を一定の基準によって、一般行政部門と水道、交通、病院等の企業活動部門に分け、前者を「普通会計」、後者を「地方公営事業会計」として区分している。

以下、平成24年度の地方財政について、2から6までと10において普通会計の状況を、7において地方公営事業会計等の状況を、8において東日本大震災の影響を、9において健全化判断比率等の状況を示すとともに、11において公共施設の状況を示す。なお、普通会計決算については、平成23年度から通常収支分(全体の決算額から東日本大震災分を除いたもの)と東日本大震災分(東日本大震災に係る復旧・復興事業及び緊急防災・減災事業に係るもの)を区分して整理している。

(1)決算規模[資料編:第1表第5表第10表第73表

地方公共団体(47都道府県、1,719市町村、23特別区、1,248一部事務組合及び112広域連合(以下一部事務組合及び広域連合を「一部事務組合等」という。))の普通会計の純計決算額は、第1表のとおり、歳入99兆8,429億円(前年度100兆696億円)、歳出96兆4,186億円(同97兆26億円)で、歳入、歳出いずれも減少している。対前年度比は歳入0.2%減(前年度2.6%増)、歳出0.6%減(同2.4%増)となっている。

第1表 地方公共団体の決算規模(純計)

このうち通常収支分は、歳入93兆8,340億円(前年度95兆351億円)、歳出91兆987億円(同92兆5,117億円)で、東日本大震災分は、歳入6兆89億円(同5兆345億円)、歳出5兆3,198億円(同4兆4,910億円)となっている。

平成24年度の決算規模が前年度を下回ったのは、歳入においては、東日本大震災分について、緊急防災・減災事業債の増加等による地方債の増加、東日本大震災復興関連基金からの繰入金の増加等により前年度と比べると19.4%増となった一方で、通常収支分について、国庫支出金の減少、繰入金の減少等により1.3%減となったことによるものである。また、歳出においては、東日本大震災分について、東日本大震災の復旧・復興事業及び東日本大震災の教訓を踏まえ全国的に緊急に実施する防災・減災事業の増加等による普通建設事業費の増加等により前年度と比べると18.5%増となった一方で、通常収支分について、普通建設事業費の減少、貸付金の減少、人件費の減少等により1.5%減となったことによるものである。

さらに、歳出から公債費及び公営企業繰出金のうち企業債の元利償還に係るものを除いた一般歳出は、71兆1,988億円(前年度71兆2,311億円)となっており、前年度と比べると0.0%減となっている。

決算規模の状況を団体種類別にみると、第2表のとおりである。都道府県の歳入及び歳出は、通常収支分、東日本大震災分のいずれにおいても減少し、全体として前年度を下回っている。市町村(特別区及び一部事務組合等を含む。特記がある場合を除き、以下同じ。)の歳入及び歳出は、通常収支分において減少した一方で東日本大震災分において増加し、全体として前年度を上回っている。

第2表 団体種類別決算規模の状況

また、近年の決算規模の推移は、第7図のとおりである。

第7図 決算規模の推移(純計)

(2)決算収支

ア 実質収支[資料編:第7表

実質収支(形式収支(歳入歳出差引額)から明許繰越等のために翌年度に繰り越すべき財源を控除した額)の状況は、第3表のとおりである。

第3表 実質収支の状況

平成24年度の実質収支は、1兆7,675億円の黒字(前年度1兆7,953億円の黒字)で、昭和31年度以降黒字となっている。

実質収支を団体種類別にみると、都道府県においては3,637億円の黒字(前年度3,461億円の黒字)であり、平成12年度以降黒字となっている。

また、市町村においては1兆4,038億円の黒字(前年度1兆4,492億円の黒字)であり、昭和31年度以降黒字となっている。

実質収支が赤字である団体数をみると、平成23年度に赤字であった3団体(2市町1一部事務組合)は黒字となったが、2団体(2一部事務組合)が新たに赤字となり、赤字団体数は2団体であり、前年度と比べると1団体減少している。

なお、近年の実質収支及び赤字団体の赤字額の推移は、第8図のとおりである。

第8図 実質収支の推移

標準財政規模に対する実質収支額の割合である実質収支比率の推移は、第9図のとおりであり、平成24年度の実質収支比率(特別区及び一部事務組合等を除く加重平均)は0.1ポイント低下の2.8%となっている。

実質収支比率を団体種類別にみると、都道府県は前年度と同率の1.3%、市町村(特別区及び一部事務組合等を除く。)は0.2ポイント低下の4.3%となっている。

第9図 実質収支比率の推移

イ 単年度収支及び実質単年度収支[資料編:第7表

平成24年度の単年度収支(実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額)は、281億円の赤字(前年度1,255億円の黒字)となっている。

単年度収支を団体種類別にみると、都道府県においては175億円の黒字(前年度85億円の赤字)、市町村においては456億円の赤字(同1,341億円の黒字)となっている。

また、実質単年度収支(単年度収支に財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額を加え、財政調整基金の取崩し額を差し引いた額)は、4,378億円の黒字(前年度4,372億円の黒字)となっている。

実質単年度収支を団体種類別にみると、都道府県においては876億円の黒字(前年度245億円の赤字)、市町村においては3,502億円の黒字(同4,617億円の黒字)となっている。

なお、実質収支、単年度収支及び実質単年度収支の赤字団体数の状況は、第4表のとおりである。

第4表 赤字の団体数の状況

(3) 歳入[資料編:第10表

歳入純計決算額は99兆8,429億円で、前年度と比べると2,268億円減少(0.2%減)している。このうち通常収支分は、93兆8,340億円で、前年度と比べると1兆2,011億円減少(1.3%減)しており、東日本大震災分は6兆89億円で、前年度と比べると9,743億円増加(19.4%増)している。

歳入総額の主な内訳をみると、第5表のとおりである。

第5表 歳入純計決算額の状況

地方税は、評価替えに伴う固定資産税の減少等があったが、平成22年度税制改正による所得税・住民税の年少扶養控除の廃止等に伴う個人住民税の増加、法人関係二税の増加等により、前年度と比べると2,893億円増加(0.8%増)している。

地方譲与税は、地方法人特別譲与税の増加等により、前年度と比べると1,016億円増加(4.7%増)している。

地方特例交付金は、児童手当及び子ども手当特例交付金の廃止等により、前年度と比べると2,366億円減少(65.0%減)している。

地方交付税は、平成23年度において東日本大震災からの復旧・復興のため増額した特別交付税が減少したこと等により、前年度と比べると4,624億円減少(2.5%減)している。また、地方交付税に臨時財政対策債を加えた額は、前年度と比べると4,013億円減少(1.6%減)している。

一般財源は、地方特例交付金、地方交付税の減少等により、前年度と比べると3,081億円減少(0.6%減)している。なお、一般財源に臨時財政対策債を加えた額は、前年度と比べると2,469億円減少(0.4%減)している。

国庫支出金は、子どものための金銭の給付交付金、普通建設事業費支出金の減少等により、前年度と比べると5,033億円減少(3.1%減)している。

地方債は、緊急防災・減災事業債の増加等により、前年度と比べると5,777億円増加(4.9%増)している。

歳入純計決算額の構成比の推移は、第10図のとおりである。

第10図 歳入純計決算額の構成比の推移

地方税の構成比は、税源移譲等により、平成19年度には歳入総額の44.2%を占めるまで上昇し、その後、景気の悪化や地方法人特別税の創設等に伴って低下していたが、24年度においては、前年度と比べると0.4ポイント上昇の34.5%と5年ぶりに上昇に転じている。

地方交付税の構成比は、平成8年度から12年度までは上昇し、13年度以降は、地方財政対策に当たり、交付税特別会計の借入金方式に代えて臨時財政対策債を発行し、基準財政需要額の一部を振り替えることとしたことや三位一体の改革に伴う地方交付税の改革等から総じて低下の傾向にあったが、22年度は上昇に転じた。平成24年度においては、前年度に東日本大震災からの復旧・復興のため増額した特別交付税の減少等により、前年度と比べると0.4ポイント低下の18.3%と、3年ぶりに低下している。

国庫支出金の構成比は、平成15年度以降、三位一体の改革による国庫補助負担金の一般財源化、普通建設事業費支出金の減少等により低下していたが、20年度以降、国の経済対策の実施、東日本大震災への対応の影響等で総じて上昇の傾向にある。平成24年度においては、前年度と比べると0.4ポイント低下の15.6%となっている。

地方債の構成比は、普通建設事業費の減少や平成16年度以降臨時財政対策債が減少したこと等により低下していたが、20年度以降、臨時財政対策債の増加等により総じて上昇の傾向にあり、24年度においては、前年度と比べると0.6ポイント上昇の12.4%となっている。なお、臨時財政対策債を除いた構成比は、前年度と比べると0.5ポイント上昇の6.4%となっている。

一般財源の構成比は、平成18年度には62.3%であったが、19年度以降国庫支出金、地方債等の増加に加え、地方税及び地方特例交付金等の減少などにより低下していた。平成22年度に上昇に転じたが、24年度においては地方交付税の減少等により、前年度と比べると0.2ポイント低下の55.2%となっている。なお、一般財源に臨時財政対策債を加えた額の構成比は、前年度と比べると0.1ポイント低下の61.2%となっている。

歳入決算額の構成比を団体種類別にみると、第11図のとおりである。

第11図 歳入決算額の構成比

都道府県においては地方税が最も大きな割合(31.6%)を占め、以下、地方交付税(18.3%)、地方債(14.1%)の順となっている。

市町村においても都道府県と同様に地方税が最も大きな割合(32.7%)を占め、以下、地方交付税(16.0%)、国庫支出金(15.9%)の順となっている。

(4) 歳出

歳出の分類方法としては、行政目的に着目した「目的別分類」と経費の経済的な性質に着目した「性質別分類」が用いられるが、これらの分類による歳出の概要は、次のとおりである。

ア 目的別歳出

(ア)目的別歳出[資料編:第34表

地方公共団体の経費は、その行政目的によって、議会費、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、警察費、教育費、災害復旧費、公債費等に大別することができる。

歳出純計決算額は96兆4,186億円で、前年度と比べると5,841億円減少(0.6%減)している。このうち、通常収支分は91兆987億円で、前年度と比べると1兆4,129億円減少(1.5%減)しており、東日本大震災分は5兆3,198億円で、前年度と比べると8,288億円増加(18.5%増)している。

歳出総額の目的別歳出の構成比は、第6表のとおりであり、民生費(24.0%)、教育費(16.7%)、公債費(13.5%)、土木費(11.7%)、総務費(10.3%)の順となっている。

第6表 目的別歳出純計決算額の状況

民生費は、社会保障関係費の増加を背景に、社会福祉費、老人福祉費、生活保護費が増加した一方で、東日本大震災に係る災害救助費が減少したこと等により、前年度と比べると302億円減少(0.1%減)している。

教育費は、人件費の減少等により、前年度と比べると289億円減少(0.2%減)している。

公債費は、前年度と比べると492億円増加(0.4%増)している。なお、新潟県における中越沖地震復興基金並びに石川県における能登半島地震被災中小企業復興支援基金及び能登半島地震復興基金への貸付金に係る地方債の償還によるものを除くと、前年度と比べて448億円減少(0.3%減)している。

土木費は、貸付金の減少等により、前年度と比べると426億円減少(0.4%減)している。

総務費は、東日本大震災復興関連基金への積立金の増加等により、前年度と比べると6,159億円増加(6.6%増)している。

目的別歳出の構成比の推移は、第7表のとおりである。民生費の構成比は、社会保障関係費の増加を背景に上昇しており、平成19年度以降最も大きな割合を占めている一方で、農林水産業費、土木費及び教育費の構成比は低下の傾向にある。

第7表 目的別歳出純計決算額の構成比の推移

目的別歳出の構成比を団体種類別にみると、第12図のとおりである。

第12図 目的別歳出決算額の構成比

都道府県においては、市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していること等により教育費が最も大きな割合(22.0%)を占め、以下、民生費(14.8%)、公債費(14.2%)、土木費(10.7%)、商工費(8.7%)の順となっている。

また、市町村においては、児童福祉、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村に限る。)等の社会福祉事務の比重が高いこと等により民生費が最も大きな割合(34.1%)を占め、以下、総務費(13.9%)、土木費(11.3%)、公債費(11.2%)、教育費(9.9%)の順となっている。

(イ)一般財源の充当状況[資料編:第36表

一般財源の目的別歳出に対する充当状況は、第8表のとおりである。

第8表 一般財源の目的別歳出充当状況

一般財源総額(55兆1,495億円)に占める目的別歳出の割合をみると、民生費が最も大きな割合(21.9%)を占め、以下、公債費(18.7%)、教育費(18.3%)、総務費(10.8%)、土木費(7.6%)の順となっている。

一般財源充当額の目的別構成比の推移は、第13図のとおりである。近年、民生費充当分が上昇の傾向にあり、平成21年度以降最も大きな割合を占めている一方で、教育費充当分、農林水産業費充当分及び土木費充当分が低下の傾向にある。

第13図 一般財源充当額の目的別構成比の推移

イ 性質別歳出

(ア)性質別歳出[資料編:第73表

地方公共団体の経費は、その経済的な性質によって、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別することができる。

義務的経費は、職員給与費等の人件費のほか、生活保護費等の扶助費及び地方債の元利償還金等の公債費からなっており、そのうち人件費が47.9%を占めている。また、投資的経費は、道路、橋りょう、公園、公営住宅、学校の建設等に要する普通建設事業費のほか、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっており、そのうち普通建設事業費が92.8%を占めている。

歳出純計決算額の主な性質別内訳をみると、第9表のとおりである。

第9表 性質別歳出純計決算額の状況

義務的経費は、前年度と比べると3,161億円減少(0.7%減)している。これは、扶助費が、社会保障関係費の増加を背景に657億円増加(0.5%増)した一方で、人件費が、各地方公共団体の歳出削減努力等により4,308億円減少(1.8%減)したこと等によるものである。なお、公債費は、前年度と比べると490億円増加(0.4%増)しているが、中越沖地震復興基金等関連のものを除くと、前年度と比べて450億円減少(0.3%減)している。

投資的経費は、前年度と比べると1,213億円増加(0.9%増)している。これは、普通建設事業費が862億円減少(0.7%減)した一方で、災害復旧事業費が2,078億円増加(27.2%増)したこと等によるものである。

また、その他の経費は、前年度と比べると3,893億円減少(1.1%減)している。これは、社会保障関係費の増加等を背景に補助費等が2,811億円増加(3.2%増)、繰出金が676億円増加(1.3%増)した一方で、貸付金が5,399億円減少(8.5%減)したこと等によるものである。

平成14年度以降のこれらの経費の増減額の推移は、第14図のとおりである。

第14図 義務的経費、投資的経費等の増減額の推移

次に、性質別歳出の構成比の推移は、第15図のとおりである。

第15図 性質別歳出純計決算額の構成比の推移

義務的経費の構成比は、平成7年度以降上昇の傾向にあり19年度には52.1%となったが、20年度に低下に転じた。平成22年度においては子ども手当の創設に伴う扶助費の増加等により上昇したが、23年度においてはその他の経費の増加等の影響により低下し、24年度においては前年度と同率の49.8%となっている。義務的経費の構成比の内訳を見ると、人件費は、平成19年度以降減少の傾向にあり、24年度においては前年度と比べると0.3ポイント低下の23.9%となっている。扶助費は、社会保障関係費の増加を背景に総じて増加の傾向にあり、平成24年度においては前年度と比べると0.2ポイント上昇の12.5%となっている。公債費は、平成17年度以降総じて減少の傾向にあるが、24年度においては前年度と比べると0.2ポイント上昇の13.5%となっている。

投資的経費の構成比は、総じて低下の傾向にあるが、平成24年度においては災害復旧事業費の増加等により前年度と比べると0.2ポイント上昇の13.9%となっている。

その他の経費の構成比は、補助費等、繰出金の増加等により総じて上昇の傾向にあるが、平成24年度においては前年度と比べると0.2ポイント低下の36.3%となっている。

性質別歳出決算額の構成比を団体種類別にみると、第16図のとおりである。

第16図 性質別歳出決算額の構成比

人件費の構成比は、都道府県において市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していること等から、都道府県(28.1%)が、市町村(16.8%)を上回っている。また、扶助費の構成比は、市町村において、児童手当の支給、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村に限る。)等の社会福祉関係事務が行われていること等から、市町村(20.3%)が、都道府県(2.1%)を上回っている。

普通建設事業費のうち、補助事業費の構成比は、都道府県(7.1%)が市町村(5.3%)を上回る一方、単独事業費の構成比は、市町村(6.4%)が都道府県(4.4%)を上回っている。

その他の経費のうち、補助費等の構成比は、都道府県(23.9%)が市町村(7.0%)を上回る一方、繰出金の構成比は、市町村(9.2%)が都道府県(0.4%)を上回っている。

(イ)一般財源の充当状況[資料編:第75表

一般財源の性質別歳出に対する充当状況は、第10表のとおりである。

第10表 一般財源の性質別歳出充当状況

一般財源総額(55兆1,495億円)に占める性質別歳出の割合をみると、義務的経費が最も大きな割合(57.1%)を占め、以下、その他の経費(33.5%)、投資的経費(4.8%)の順となっている。なお、その他の経費の中では、補助費等が最も大きな割合(11.6%)を占めている。

一般財源充当額の性質別構成比の推移は、第17図のとおりである。

第17図 一般財源充当額の性質別構成比の推移

義務的経費充当分は、平成18年度までは、人件費充当分が低下の傾向にある一方で、扶助費充当分及び公債費充当分が上昇の傾向にあったことから、総じて上昇の傾向にあり、19年度以降は、公債費充当分が低下の傾向に転じたことから、総じて低下の傾向にあった。平成23年度は再び上昇に転じ、24年度は、前年度と比べると0.1ポイント上昇の57.1%となっている。

投資的経費に充当された一般財源の構成比は、平成20年度までは低下の傾向にあり、21年度は上昇したものの、22年度は再び低下に転じ、24年度においては前年度と比べると0.6ポイント低下の4.8%となっている。

その他の経費充当分は、総じて上昇の傾向にあり、平成24年度においては前年度と同率の33.5%となっている。

(5)財政構造の弾力性

ア 経常収支比率[資料編:第8表

地方公共団体が社会経済や行政需要の変化に適切に対応していくためには、財政構造の弾力性が確保されなければならない。財政構造の弾力性の度合いを判断する指標の一つとして、経常収支比率が用いられている。

経常収支比率は、経常経費充当一般財源(人件費、扶助費、公債費等のように毎年度経常的に支出される経費に充当された一般財源)が、経常一般財源(一般財源総額のうち地方税、普通交付税のように毎年度経常的に収入される一般財源)、減収補填債特例分及び臨時財政対策債の合計額に対し、どの程度の割合となっているかをみることにより財政構造の弾力性を判断するものである。

平成24年度の経常収支比率(特別区及び一部事務組合等を除く加重平均)は、前年度と比べると0.1ポイント上昇の92.7%となり、第11表のように、9年連続で90%を上回っている。主な内訳をみると、人件費充当分が32.6%(前年度33.4%)、公債費充当分が20.9%(同21.1%)となっている。なお、減収補填債特例分及び臨時財政対策債を経常収支比率算出上の分母から除いた場合の経常収支比率は、103.6%(前年度103.4%)となっている。

第11表 経常収支比率の推移

また、経常収支比率を構成する分子及び分母の状況は次のとおりである。分子である経常経費充当一般財源は、人件費、公債費が減少した一方で、補助費等、扶助費等が増加したことにより、前年度と比べると0.6%増となっている。分母である経常一般財源等は、地方税、地方譲与税の増加等により、前年度と比べると0.5%増となっている。

分子及び分母の推移は第18図のとおりである。分子である経常経費充当一般財源については、人件費が総じて減少の傾向にある一方で、扶助費、補助費等が増加の傾向にあり、また公債費が高止まりしており、分子全体としては増加の傾向にある。分母である経常一般財源等については、年度間で増減を繰り返しているが、平成20年度以降、地方税が総じて減少の傾向にある一方で、地方交付税、臨時財政対策債は総じて増加の傾向にあり、分母全体としては増加の傾向にある。なお、分子及び分母を10年前(平成14年度)と比べるとそれぞれ7.9%増、5.2%増となっており、分子の増加率が分母の増加率を上回っている。

第18図 経常収支比率を構成する分子及び分母の推移 その1 合計
第18図 経常収支比率を構成する分子及び分母の推移 その2 都道府県
第18図 経常収支比率を構成する分子及び分母の推移 その3 市町村

経常収支比率を団体種類別にみると、都道府県は前年度と比べると0.3ポイント低下の94.6%、市町村(特別区及び一部事務組合等を除く。以下この項において同じ。)は前年度と比べると0.4ポイント上昇の90.7%となっている。

経常収支比率の段階別分布状況をみると、第12表のとおりである。経常収支比率が80%以上の団体数は、都道府県においては47団体の全ての団体(前年度同数)、市町村においては全体の86.0%を占める1,478団体(同1,512団体)となっている。

第12表 経常収支比率の段階別分布状況

イ 実質公債費比率及び公債費負担比率[資料編:第8表

地方債の元利償還金等の公債費は、義務的経費の中でも特に弾力性に乏しい経費であることから、財政構造の弾力性をみる場合、その動向には常に留意する必要がある。その公債費による負担度合いを判断するための指標として、実質公債費比率及び公債費負担比率が用いられている。

実質公債費比率は、地方債の元利償還金(繰上償還等を除く。)や公営企業債に対する繰出金などの公債費に準ずるものを含めた実質的な公債費相当額から、これに充当された特定財源及び一般財源のうち普通交付税の算定において基準財政需要額に算入されたものを除いたものが、標準財政規模(普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除く。)に対し、どの程度の割合となっているかをみるものである。なお、実質公債費比率は、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(平成19年法律第94号。以下「地方公共団体財政健全化法」という。)において、健全化判断比率の一つとして位置付けられている。

平成24年度の実質公債費比率(全団体の加重平均)は、前年度と比べると0.5ポイント低下の11.3%となっている。

公債費負担比率は、公債費充当一般財源(地方債の元利償還金等の公債費に充当された一般財源)が一般財源総額に対し、どの程度の割合となっているかを示す指標であり、公債費がどの程度一般財源の使途の自由度を制約しているかをみることにより、財政構造の弾力性を判断するものである。

平成24年度の公債費負担比率(全団体の加重平均)は、前年度と同率の18.6%となっている。

近年の実質公債費比率及び公債費負担比率の推移は、第19図のとおりである。

第19図 公債費負担比率及び実質公債費比率の推移

実質公債費比率は、初めて算定された平成17年度以降低下している。

公債費負担比率は、平成3年度以降上昇し、15年度に19.4%に達した後、おおむね横ばいの傾向にあり、21年度に低下に転じた後、再び横ばいの傾向にある。

(6)将来の財政負担

地方公共団体の財政状況をみるには、単年度の収支状況のみでなく、地方債、債務負担行為等のように将来の財政負担となるものや、財政調整基金等の積立金のように年度間の財源調整を図り将来における弾力的な財政運営に資するために財源を留保するものの状況についても、併せて把握する必要がある。これらの状況は、次のとおりである。

ア 地方債現在高[資料編:第100表

平成24年度末における地方債現在高は144兆7,266億円で、前年度末と比べると1.0%増(前年度末0.8%増)となっている。

地方債現在高の歳入総額及び一般財源総額に対するそれぞれの割合の推移は、第20図のとおりである。

第20図 地方債現在高の歳入総額等に対する割合の推移

地方債現在高は、昭和50年度末では歳入総額の0.44倍、一般財源総額の0.88倍であったが、地方税収等の落込みや減税に伴う減収の補填、経済対策に伴う公共投資の追加等により地方債が急増したことに伴い、それぞれの割合は平成4年度末以降急増し、また、13年度からの臨時財政対策債の発行等があったことにより、依然として高い水準で推移している。平成24年度末では歳入総額の1.45倍、一般財源総額の2.62倍となっている。

近年の地方債現在高の目的別構成比及び借入先別構成比の推移は、第21図のとおりである。地方債現在高の目的別構成比は、一般単独事業債(28.5%)、臨時財政対策債(28.1%)の順となっている。前年度末の割合と比べると、一般単独事業債が1.3ポイント低下する一方、臨時財政対策債が2.9ポイント上昇しており、平成13年度以降、臨時財政対策債の構成比が上昇の傾向にある。地方債現在高の借入先別の構成比は、市場公募債(29.9%)、市中銀行資金(25.1%)、政府資金(24.4%)の順となっている。前年度末の割合と比べると、近年の公的資金の縮減及び市場における地方債資金の調達の推進等に伴い、政府資金が0.7ポイント低下する一方、市場公募債は0.7ポイント上昇している。

第21図 地方債現在高の目的別構成比及び借入先別構成比の推移

地方債現在高を団体種類別にみると、都道府県においては88兆8,216億円、市町村においては55兆9,050億円で、前年度末と比べるとそれぞれ1.7%増(前年度末1.9%増)、0.0%減(同0.9%減)となっている。

なお、地方財政状況調査においては、満期一括償還地方債の元金償還に充てるための減債基金への積立額は歳出の公債費に計上するとともに、地方債現在高から当該積立額相当分を控除する扱いとしているが、控除しない場合における地方債現在高は152兆7,109億円となっている。

イ 債務負担行為額[資料編:第101表

地方公共団体は、将来の支出を約束するために、債務負担行為を行うことができる。

この債務負担行為は、数年度にわたる建設工事、土地の購入等の場合のように翌年度以降の経費支出が予定されているものと、債務保証又は損失補償のように債務不履行等の一定の事実が発生したときに支出されるものとに大別することができる。

これらの債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額をみると、平成24年度末では13兆4,137億円で、前年度末と比べると2.9%増(前年度末6.2%増)となっている。

翌年度以降支出予定額を目的別にみると、第22図のとおりである。

第22図 債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額の目的別構成比の推移

翌年度以降支出予定額を団体種類別にみると、都道府県においては5兆3,585億円、市町村においては8兆552億円で、前年度末と比べるとそれぞれ4.0%減(前年度末5.6%増)、8.1%増(同6.6%増)となっている。

ウ 積立金現在高[資料編:第102表

地方公共団体の積立金現在高の状況は、第13表のとおりである。

第13表 積立金現在高の状況

平成24年度末における積立金現在高は21兆462億円で、前年度末と比べると7.4%増(前年度末9.7%増)となっている。

積立金現在高の内訳をみると、年度間の財源調整を行うために積み立てられている財政調整基金は前年度末と比べると9.7%増(前年度末6.9%増)となっている。地方債の将来の償還費に充てるために積み立てられている減債基金(満期一括償還地方債に係るものを除く。)は前年度末と比べると1.3%増(同11.1%増)となっている。将来の特定の財政需要に備えて積み立てられているその他特定目的基金は前年度末と比べると7.6%増(同10.7%増)となっている。

積立金現在高を団体種類別にみると、都道府県においては7兆4,442億円、市町村においては13兆6,020億円で、前年度末と比べるとそれぞれ2.9%減(前年度末10.4%増)、14.0%増(同9.2%増)となっている。

エ 地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担[資料編:第100表第102表

地方債現在高に債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額を加え、積立金現在高を差し引いた地方公共団体の地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担の推移は、第23図のとおりである。

第23図 地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担の推移

平成24年度末における地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担は137兆941億円で、前年度末と比べると0.3%増(前年度末0.1%増)となっている。

団体種類別にみると、都道府県においては86兆7,359億円、市町村においては50兆3,582億円で、前年度末と比べるとそれぞれ1.8%増(前年度末1.4%増)、2.1%減(同2.0%減)となっている。

オ 普通会計が負担すべき借入金残高[資料編:第100表

普通会計が将来にわたって負担すべき借入金という観点からは、地方債現在高のほか、交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特別会計」という。)借入金及び地方公営企業において償還する企業債のうち、経費負担区分の原則等に基づき、普通会計がその償還財源を負担するものについても併せて考慮する必要がある。

この観点から、交付税特別会計借入金残高と企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものを地方債現在高に加えた普通会計が負担すべき借入金残高の推移をみると、第24図のとおりである。

第24図 普通会計が負担すべき借入金残高の推移

これをみると、平成24年度末には、普通会計が負担すべき借入金残高は201兆691億円で、前年度末と比べると0.3%増(前年度末0.3%増)となっている。

また、その内訳は、地方債現在高が144兆7,266億円、交付税特別会計借入金残高が33兆4,173億円、企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものが22兆9,252億円で、前年度末と比べるとそれぞれ1.0%増(前年度末0.8%増)、0.3%減(同0.3%減)、3.0%減(同1.9%減)となっている。

(7) 決算の背景

ア 平成24年度の経済見通しと国の予算

(ア)経済見通しと経済財政運営の基本的態度

「平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」は、平成23年12月22日に閣議了解、24年1月24日に閣議決定された。その主な内容は、以下のとおりである。

a 平成23年度の経済動向

東日本大震災により我が国の経済活動は深刻な打撃を受け、マイナス成長が2四半期続くなど、平成23年度は厳しい状況からのスタートとなった。その後、官民の総力を結集した復旧・復興努力を通じてサプライチェーンの急速な立て直しが図られ、景気は持ち直しに転じたが、夏以降は急速な円高の進行や欧州政府債務危機の顕在化による世界経済の減速が、景気の持ち直しを緩やかなものにしている。

こうした状況に対し、政府は累次の補正予算を編成し、復興への支援を図りつつ景気の下方リスクに先手を打って対処してきている。復興需要を中心とする政策効果が景気を下支えすることから、景気は緩やかな持ち直しが続くものと見込まれる。

物価の動向を見ると、緩やかなデフレ状況が続いている。消費者物価は3年連続の下落となる。

平成23年度の国内総生産の実質成長率は、成長の発射台がマイナスであったことから、その後の景気の持ち直しにもかかわらずマイナス0.1%程度となる。国民の景気実感に近い名目成長率は、マイナス1.9%程度と見込まれる。

b 平成24年度の経済見通し

平成24年度の日本経済は、本格的な復興施策の集中的な推進によって着実な需要の発現と雇用の創出が見込まれ、国内需要が成長を主導する。

世界経済については、欧州政府債務危機を主因とする世界の金融資本市場の動揺が、各国政府等の協調した政策努力により安定化することを前提とすると、主要国経済は減速から持ち直しに転じていくと期待される。これは、我が国の輸出や生産にとって望ましい環境をもたらしていくと考えられる。

こうしたことから、我が国の景気は緩やかに回復していくことが見込まれる。

物価については、消費者物価上昇率はGDPギャップの縮小等により0.1%程度になると見込まれる。GDPデフレーターは緩やかに下落する。完全失業率は、雇用者数の緩やかな増加から低下する。

こうした結果、平成24年度の国内総生産の実質成長率は2.2%程度、名目成長率は2.0%程度と、実質、名目ともプラスに転じる。

先行きのリスクとしては、欧州政府債務危機の深刻化等を背景とした海外経済の更なる下振れ、円高の進行やそれに伴う国内空洞化の加速、電力供給の制約等が挙げられる。

c 平成24年度の経済財政運営の基本的態度

東日本大震災からの復興に全力を尽くすとともに、欧州政府債務危機等による先行きリスクを踏まえ、景気の下振れの回避に万全を期す。デフレ脱却に断固として取り組み、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐ。このため、政府は、日本銀行と一体となって、速やかに安定的な物価上昇を実現することを目指して取り組む。同時に、「日本再生の基本戦略」(平成23年12月24日閣議決定)の具体化を図るなど日本経済の再生に取り組み、中長期的に持続的な経済成長につなげる。

当面は、「円高への総合的対応策」(平成23年10月21日閣議決定)を含め、平成23年度第3次補正予算、第4次補正予算において措置した施策の迅速かつ着実な実行により、復興需要の早期発現に努めるとともに、円高等による景気の下振れリスクや産業空洞化リスク等に先手を打って対処する。

平成24年度予算については、「日本再生元年予算」と位置づけ、震災復興に引き続き最優先で取り組むとともに、「日本再生重点化措置」等を通じて我が国経済社会の再生に向けた取組を進める。

国際金融市場に危機の伝播リスクがあることに鑑みれば、財政健全化は、経済成長と並ぶ車の両輪として進めるべき必須の課題である。このため、社会保障・税一体改革を着実に実現するとともに、「財政運営戦略」(平成22年6月22日閣議決定)の目標達成に向け、引き続き、財政健全化に取り組む。

(イ)国の予算

政府は、平成23年12月16日に「平成24年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。その概要は以下のとおりである。

a 基本的な考え方

平成24 年度予算を「日本再生元年予算」と位置付け、新成長戦略の実行の加速を中核に据えつつ、国家戦略会議における「日本再生の基本戦略」策定に向けた議論を踏まえ、日本再生重点化措置等も最大限活用しつつ、日本再生のための取組のスタートとして、新たな産業の創出を始め成長力の強化に尽力するとともに、雇用創出や人材育成等に戦略的に取り組む。また、極めて厳しい財政状況を克服するため、経済成長と財政健全化の両立を実現していく。

b 平成24年度予算の基本方針

平成24 年度予算においては、東日本大震災からの復興、経済分野のフロンティアの開拓、分厚い中間層の復活、農林漁業の再生、エネルギー・環境政策の再設計の5つの重点分野を中心に、日本再生に全力で取り組む。あわせて、地域主権改革を確実に推進するとともに、既存予算の不断の見直しを行う。

(a) 東日本大震災からの復興

<1> 被災地の経済社会の再生

日本再生の一丁目一番地は、東日本大震災の被災地の経済社会の再生である。被災地の方々が早期に復興を実感できるよう、「東日本大震災からの復興の基本方針」(平成23年7月29日東日本大震災復興対策本部決定)に基づき、平成23年度補正予算に引き続き、平成24年度予算においても震災復興に全力を挙げる。特に、平成23年度第3次補正予算に際して創設された東日本大震災復興交付金を一層活用して被災地が主体的に行う復興地域づくりの支援等を行う。

<2> 原発事故からの再生

「福島の再生なくして、日本の再生なし」との考え方で、平成23年度補正予算に引き続き、平成24年度予算においても、被災者の支援に加え、放射性物質汚染廃棄物処理や土壌の除染等の取組を加速する。

(b) 日本再生重点化措置等を通じた経済分野のフロンティア開拓

平成24年度予算においては、「日本再生重点化措置」を最大限活用し、新たなフロンティア及び新成長戦略、教育・雇用等の人材育成、地域活性化、安心・安全社会の実現といった分野への投資に予算配分の重点化を図る。

(c) 分厚い中間層の復活に向けて

所得中位層に属する階層をかつての水準に回復させること等により、分厚い中間層を復活させることが必要である。そのためには、働く能力がある国民が全員参加できる社会の実現を目指すとともに、働く能力を育てる政策が必要であり、平成24年度予算において重点的に取り組む。

(d) 農林漁業の再生

「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」(平成23年10月25日食と農林漁業の再生推進本部決定)に基づく5年間の行動計画の初年度として、競争力・体質強化を図り、若者が担う農業を目指して、農地の集約化、若者の新規就農を進め、6次産業化を始め、若者が魅力を感じ、安心して創意工夫を生かせる農業への改革を推進する。

(e) エネルギー・環境政策の再設計

「平成24年度エネルギー関連研究開発予算の策定の基本的な考え方」(平成23年11月25日エネルギー・環境会議決定)を踏まえ、省エネルギー対策を強化し、再生可能エネルギーの比率を高め、化石燃料のクリーン化、効率化に向けた研究開発予算等を重視する。

(f) 地域主権改革

地域主権改革は、地域のことは地域で決めるための重要な改革である。平成23年度予算に引き続き、平成24年度予算においても補助金等の一括交付金化を更に進め、対象事業の拡大、増額を図るとともに、都道府県に加え、政令指定都市に対象を拡大する。

(g) 既存予算の不断の見直し

平成24年度予算は、東日本大震災からの復旧・復興の足取りを確実なものとするために、国民に追加的な負担をお願いしつつ編成される予算であると同時に、社会保障・税一体改革を控えた予算であり、これまで以上の緊張感を持って、徹底した無駄の排除を進めていく。

c 財政運営戦略の着実な実現

(a) 新規国債発行額

平成24年度当初予算における新規国債発行額(償還財源の確保された復興債を除く)は、平成23年度当初予算の水準である約44兆円を上回らないものとするよう、全力を挙げる。

(b) 基礎的財政収支対象経費

平成24年度当初予算における基礎的財政収支対象経費については、中期財政フレーム(平成24年度〜平成26年度)にのっとり、平成23年度当初予算の水準である約71兆円(年金差額分(基礎年金国庫負担割合2分の1と36.5%の差額をいう。)2.6兆円を除けば68.4兆円)を実質的に上回らないものとする。

平成24年度予算は、以上のような方針により編成され、平成24年1月24日に国会に提出され、4月5日に成立した。

これによると、平成24年度の一般会計予算の規模は90兆3,339億円で、前年度当初予算と比べると2兆777億円減少(2.2%減)となっており、基礎的財政収支対象経費は68兆3,897億円で、前年度当初予算と比べると2兆4,728億円減少(3.5%減)となった。なお、公債の発行予定額は44兆2,440億円で、前年度当初発行予定額と比べると540億円減少(0.1%減)となっており、公債依存度は47.6%(基礎年金国庫負担2分の1ベース)となった。

また、東日本大震災復興特別会計予算の規模は3兆7,754億円となった。歳入については、復興特別税5,305億円、一般会計からの繰入5,507億円、復興債2兆6,823億円等となっている。歳出については、東日本大震災復興経費3兆2,500億円、東日本大震災復興予備費4,000億円等となっている。主な東日本大震災復興経費として、災害救助等関係経費762億円、災害廃棄物処理事業費3,442億円、公共事業等の追加5,091億円、災害関連融資関係経費1,210億円、東日本大震災復興交付金2,868億円、除染や汚染廃棄物処理等の原子力災害復興関係経費4,811億円、全国防災対策費4,827億円等にあわせて、震災復興特別交付税の財源として地方交付税交付金5,490億円が計上された。

なお、財政投融資計画の規模は17兆6,482億円で、前年度計画額と比べると2兆7,423億円増加(18.4%増)となった。

イ 地方財政計画

平成24年度においては、被災団体が東日本大震災からの復旧・復興事業に着実に取り組めるようにするとともに、被災団体以外の地方公共団体の財政運営に影響を及ぼすことがないよう、地方公共団体の歳入歳出総額の見込額の策定に当たっては、通常収支分と東日本大震災分を区分して整理することとした。

通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化に努める一方、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行うとともに、地域経済の基盤強化等のため、地域が実施する緊急事業に対応するために必要な経費を計上するほか、歳入面においては、「財政運営戦略」に基づき定める「中期財政フレーム(平成24年度〜平成26年度)」に沿って、交付団体始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成23年度地方財政計画と実質的に同水準となるよう確保することを基本として、引き続き生ずることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補填措置を講じることとした。

また、東日本大震災分については、東日本大震災の復旧・復興事業及び東日本大震災の教訓を踏まえ全国的に緊急に実施する防災・減災事業について、通常収支とはそれぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとした。

以上を踏まえ、次の方針に基づき平成24年度地方公共団体の歳入歳出総額の見込額を策定した。

(ア)通常収支分

a 地方税制については、地域主権改革を推進する中で、地方がその役割を十分に果たすため、地方税を充実し、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築していく。平成24年度税制改正では、地域決定型地方税制特例措置(通称:わがまち特例)の導入、固定資産税等の負担調整措置のうち住宅用地に係る据置特例の見直し及び自動車取得税における「エコカー減税」の重点化を図るほか、「福島復興再生特別措置法」(平成24年法律第29号)の策定に伴う新たな税制上の支援策等を講じる。

b 地方財源不足見込額について、地方財政の運営に支障が生じることのないよう、次の措置を講じる。

(a) 財源不足のうち建設地方債(財源対策債)の増発、別枠加算等に加えて、新たに平成24年度から平成26年度まで行うこととする地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用により対処することとした残余については、平成23年度に講じた平成25年度までの制度改正に基づき、国と地方が折半して補填することとし、国負担分については、国の一般会計からの加算により、地方負担分については、「地方財政法」(昭和23年法律第109号)第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により補填措置を講じる。臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入する。

(b) これに基づき、平成24年度の財源不足見込額13兆6,846億円については、次により補填する。

<1> 地方交付税については、国の一般会計加算により5兆8,613億円(うち「地方交付税法」(昭和25年法律第211号)附則第4条の2第2項の加算額867億円、同条第3項の加算額2,150億円、同条第4項の加算額6,235億円、平成22年12月22日付け総務・財務両大臣覚書第3項(2)に定める平成24年度における「乖離是正分加算額」500億円、地方の財源不足の状況を踏まえた別枠の加算額1兆500億円及び臨時財政対策特例加算額3兆8,361億円)増額する。

また、交付税特別会計剰余金5,200億円を活用するとともに、「地方公共団体金融機構法」(平成19年法律第64号)附則第14条の規定により財政投融資特別会計に帰属させる地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金3,500億円を財政投融資特別会計から交付税特別会計に繰り入れる。

<2> 「地方財政法」第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)を6兆1,333億円発行する。

<3> 建設地方債(財源対策債)を8,200億円増発する。

(c) 上記の結果、平成24年度の地方交付税については、17兆4,545億円(前年度比811億円、0.5%増)を確保する。

(d) 交付税特別会計の借入金については、「特別会計に関する法律」(平成19年法律第23号)附則第4条第1項に基づき、1,000億円の償還を実施する。

(e) なお、平成4年度までの国庫補助負担率の引下げ措置(投資的経費)に伴い一般会計から交付税特別会計に繰入れを予定していた額等644億円については、法律の定めるところにより平成30年度以降の地方交付税の総額に加算する。

c 地方債については、極めて厳しい地方財政の状況の下で、地域主権改革を推進し、地域に必要なサービスを確実に提供できるよう地方財源の不足に対処するための措置を講じ、また、地方公共団体が地域の活性化への取組を着実に推進できるよう、所要の地方債資金を確保する。

d 地域主権改革に沿って、地域経済の基盤強化や雇用創出を図りつつ、個性と活力ある地域社会の構築、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安心安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図ることとし、財源の重点的配分を行う。

(a) 「地方再生対策費」及び「地域活性化・雇用等対策費」について、一定の縮減を図った上で、「地域経済基盤強化・雇用等対策費」として整理・統合し、歴史的円高等の地域経済を取り巻く環境が激変する中、海外競争力強化等のため、地域が実施する緊急事業に対応するための緊急枠(1,750億円)を含めて1兆4,950億円を計上する。

(b) 投資的経費に係る地方単独事業費については、国の公共投資関係費の取扱い等も勘案しつつ、前年度に比し3.6%減額することとする一方で、引き続き、地域の自立や活性化につながる基盤整備を重点的・効率的に推進する。

(c) 一般行政経費に係る地方単独事業費については、地方公共団体における行政改革の状況等を踏まえ行政経費の縮減を行う一方、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行うことにより、財源の重点的配分を図るとともに、地域において必要な行政課題に対して適切に対処する。

(d) 消防力の充実、防災対策等の推進及び治安維持対策等住民生活の安心安全を確保するための施策を推進する。

(e) 過疎地域の自立促進のための施策等に対し所要の財政措置を講じる。

e 平成24年度までの3年間で1.1兆円規模の公的資金(旧資金運用部資金、旧簡易生命保険資金及び旧公営企業金融公庫資金)の補償金免除繰上償還を行い、高金利の地方債の公債費負担を軽減する措置を講じる。

f 地方公営企業の経営基盤の強化、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、公立病院における医療の提供体制の整備をはじめとする社会経済情勢の変化に対応した事業の展開等を図るため、経費負担区分等に基づき、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行う。

g 地方行財政運営の合理化を図ることとし、職員数の純減、事務事業の見直しや民間委託など引き続き自主的な改革を推進する。

(イ)東日本大震災分

a 復旧・復興事業

(a) 東日本大震災に係る復旧・復興事業等の実施のための特別の財政需要等を考慮して交付することとしている震災復興特別交付税については、以下に掲げる地方負担分等の全額を措置するため、6,855億円を確保する。

<1> 直轄・補助事業に係る地方負担分3,384億円

<2> 地方単独事業分2,200億円

<3> 税制上の臨時的特例措置等に伴う減収分1,271億円

(b) 地方債については、東日本大震災復旧・復興事業を円滑に推進できるよう、所要額についてその全額を公的資金で確保する。

(c) 直轄事業負担金及び補助事業費、「地方自治法」(昭和22年法律第67号)に基づく職員の派遣、投資単独事業等の地方単独事業費及び「地方税法」(昭和25年法律第226号)等に基づく特例措置分等の地方税等の減収分見合い歳出等について所要の事業費を計上する。

b 緊急防災・減災事業

(a) 平成24年度については、平成25年度から平成35年度までの地方税の臨時的な税制上の措置による地方税の増収が見込めないため、一般財源充当分として96億円を計上する。

(b) 地方債については、東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災等の事業を推進するため、所要額についてその全額を公的資金で確保する。

(c) 国の全国防災対策費に係る直轄事業負担金及び補助事業費、地方単独事業費等について、所要の事業費を計上する。

以上のような方針に基づいて策定した平成24年度の地方財政計画(平成24年1月31日閣議決定、同日国会に提出)の規模は、通常収支分は81兆8,647億円で、前年度と比べると6,407億円減少(0.8%減)となり、東日本大震災分は、復旧・復興事業が1兆7,788億円、緊急防災・減災事業が6,329億円となった。

通常収支分についてみると、歳入では、地方税は33兆6,569億円で、前年度と比べると2,532億円増加(0.8%増)(道府県税2.6%増、市町村税0.5%減)、地方譲与税は2兆2,615億円で、前年度と比べると866億円増加(4.0%増)、地方特例交付金は1,275億円で、前年度と比べると2,602億円減少(67.1%減)、地方交付税は17兆4,545億円で、前年度と比べると811億円増加(0.5%増)、国庫支出金は11兆7,604億円で、前年度と比べると4,141億円減少(3.4%減)、地方債(普通会計分)は11兆1,654億円で、前年度と比べると3,118億円減少(2.7%減)となった。

一方歳出では、給与関係経費は20兆9,760億円で、前年度と比べると2,934億円減少(1.4%減)となった。なお、地方財政計画における職員数については、10,908人の純減としている。一般行政経費は31兆1,406億円で、前年度と比べると3,180億円増加(1.0%増)となり、このうち一般行政経費にかかる地方単独事業費は13兆8,095億円で、前年度と比べると506億円減少(0.4%減)となった。公債費は13兆790億円で、前年度と比べると1,633億円減少(1.2%減)、投資的経費は10兆8,984億円で、前年度と比べると4,048億円減少(3.6%減)となった。なお、投資的経費に係る地方単独事業費は5兆1,630億円で、前年度と比べると1,928億円減少(3.6%減)となった。

東日本大震災分(復旧・復興事業)についてみると、歳入では、震災復興特別交付税は6,855億円、国庫支出金は1兆772億円、地方債(普通会計分)は127億円などとなった。歳出では、一般行政経費は9,496億円(うち地方単独事業費2,691億円)、投資的経費は8,091億円(うち地方単独事業費700億円)などとなった。

東日本大震災分(緊急防災・減災事業)についてみると、歳入では、国庫支出金は2,059億円、地方債(普通会計分)は4,173億円などとなった。歳出では、一般行政経費は120億円(うち地方単独事業費50億円)、投資的経費は5,743億円(うち地方単独事業費1,350億円)などとなった。

なお、平成24年度の地方債計画の規模は、通常収支対応分が13兆5,396億円(普通会計分11兆1,654億円、公営企業会計等分2兆3,742億円)で、前年度と比べて1,944億円減少(1.4%減)となり、東日本大震災に関連する事業分は、復旧・復興事業が359億円(普通会計分127億円、公営企業会計等分232億円)、緊急防災・減災事業が4,546億円(普通会計分4,173億円、公営企業会計等分373億円)となった。

ウ 財政運営の経過

(ア)平成24年度一般会計の予備費等の使用(第一弾)

a 平成24年度一般会計の予備費等の使用(第一弾)

平成24年10月17日付け内閣総理大臣指示に基づき、平成24年度一般会計の予備費(232億円)及び経済危機対応・地域活性化予備費(2,490億円)並びに東日本大震災復興特別会計予備費(1,203億円)の使用が平成24年10月26日に閣議決定された。

b 平成24年度一般会計の予備費等に係る地方財政措置

平成24年度一般会計の予備費等の使用においては、歳出の追加に伴う地方負担が生じることから、これに対しては次のとおり地方財政措置を講じた。

(a) 一般会計の予備費及び経済危機対応・地域活性化予備費に係る財政措置

国の一般会計の予備費及び経済危機対応・地域活性化予備費の使用により追加されることとなる災害復旧事業及び公立学校施設の老朽化対策事業等投資的経費に係る地方負担額については、地方負担額の100%まで地方債を充当できることとし、後年度においてその元利償還金について以下のとおり地方交付税により措置する。

<1> 災害復旧事業債

災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<2> その他

上記<1>以外については、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入し、残余については、単位費用により措置する。

(b) 東日本大震災復興特別会計予備費に係る財政措置

国の東日本大震災復興特別会計予備費の使用により追加されることとなる中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業に必要な経費に係る地方負担額については、震災復興特別交付税により全額を措置する。

(イ)平成24年度一般会計の予備費等の使用(第二弾)

a 平成24年度一般会計の予備費等の使用(第二弾)

平成24年11月16日付け内閣総理大臣指示に基づき、経済対策の第二弾として、平成24年度一般会計の予備費(870億円)及び経済危機対応・地域活性化予備費(6,610億円)並びに東日本大震災復興特別会計予備費(2,193億円)の使用が平成24年11月30日に閣議決定された。

b 平成24年度一般会計の予備費等に係る地方財政措置

平成24年度一般会計の予備費等の使用においては、歳出の追加に伴う地方負担が生じることから、これに対しては次のとおり地方財政措置を講じた。

(a) 一般会計の予備費及び経済危機対応・地域活性化予備費に係る財政措置

<1> 一般会計の予備費及び経済危機対応・地域活性化予備費の使用により追加されることとなる投資的経費に係る地方負担額については、地方負担額の100%まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入し、残余については、単位費用により措置する。

ただし、災害復旧事業債及び一般補助施設整備等事業債(出資金・貸付金(チッソ分))については、通常どおりの扱いとする。

<2> 地方債の対象とならない経費については、地方財政計画に計上された追加財政需要額(4,700億円)の一部により対応する。

(b) 東日本大震災復興特別会計予備費に係る財政措置

東日本大震災復興特別会計予備費の使用により追加されることとなる事業に係る地方負担額については、以下のとおり財政措置を講じる。

<1> 災害救助費等負担金事業に必要な経費に係る地方負担額については、震災復興特別交付税により全額を措置する。

<2> 学校施設環境改善交付金事業に必要な経費に係る地方負担額については、その100%まで地方債(緊急防災・減災事業(補助・直轄))を充当できることとし、後年度における元利償還金の80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<3> 災害援護貸付金事業に必要な経費に係る地方負担額については、その100%まで資金手当のための地方債(一般事業債)を充当できる。

(ウ)平成24年度補正予算(第1号)

a 補正予算(第1号)

平成24年12月に発足した新内閣による12月26日及び12月27日の閣議において、内閣総理大臣から、「平成24年度補正予算及び平成25年度予算の編成について」及び「平成24年度補正予算及び平成25年度予算の編成方針等について」発言があり、緊急経済対策を早急に策定することとされたことを受け、25年1月11日に「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(以下「緊急経済対策」という。)が閣議決定された。これを踏まえ、平成24年度補正予算(第1号)は、平成25年1月15日に閣議決定、1月31日に国会に提出され、2月26日に成立した。

この補正予算においては、歳出面で、「緊急経済対策」に沿って、事前防災・減災等関連経費2兆2,005億円、成長による富の創出関連経費2兆6,924億円、暮らしの安心・地域活性化関連経費3兆1,017億円等を追加計上するほか、既定経費の減額1兆7,322億円等の修正減少額が計上された。また、歳入面で、税収2,610億円、税外収入1,495億円、公債金5兆2,210億円、前年度剰余金受入1兆9,870億円等が追加計上された。

この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも平成24年度当初予算に対し、10兆2,027億円増加し、100兆5,366億円となった。

b 補正予算(第1号)に係る地方財政措置等

(a) 通常収支分

この補正予算においては、国税の増収見込み等に伴い地方交付税の増が見込まれるとともに、歳出の追加に伴う地方負担が生じること、また、平成24年度の普通交付税の執行抑制に伴い追加的な財政需要が生じたこと等から、以下のとおり地方財政措置を講じた。

<1> 地方交付税

・補正予算(第1号)において、「地方交付税法」第6条第2項の規定に基づき増額される平成24年度分の地方交付税の額2,906億円(平成23年度精算分2,244億円、平成24年度国税五税の自然増に伴うもの662億円)については、平成24年度において普通交付税の調整額の復活に要する額707億円を交付することとしたうえで、残余の額2,199億円について平成25年度分として交付すべき地方交付税の総額に加算して交付する措置を講じる。

・「9月以降の一般会計の執行について」(平成24年9月7日閣議決定)に基づき、平成24年9月に交付すべき普通交付税について月割りの交付を行ったことに伴い道府県において生じた追加的な金利負担に対応するため、平成24年度分の地方交付税の総額に0.5億円を加算し、その全額を特例として特別交付税とする措置を講じる。

<2> 追加の財政需要

・補正予算(第1号)により平成24年度に追加される投資的経費に係る地方負担額については、原則として、地方負担額の100%まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の50%(当初における地方負担額に対する算入率が50%を超えるものについては当初の算入率)を公債費方式により基準財政需要額に算入し、残余については、原則として、単位費用により措置する。

・地方債の対象とならない経費については、地方財政計画に計上された追加財政需要額(4,700億円)の一部により対応する。

<3> 地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)

緊急経済対策において追加される公共投資の地方負担が大規模であり、予算編成の遅延という異例の状況の中で、地方の資金調達に配慮し緊急経済対策の迅速かつ円滑な実施ができるよう、今回限りの特別の措置として、補正予算債による対応に加え、各地方公共団体の追加公共投資の負担額等に応じて配分し、地域経済の活性化と雇用の創出を図る「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)」を交付する。

地域の元気臨時交付金の総額は、補正予算(第1号)に計上された公共事業及び施設費(以下「公共事業等」という。)の地方負担総額の8割に相当する額として1兆3,980億円とされている。

各地方公共団体への交付限度額は、補正予算(第1号)に計上された公共事業等の地方負担額等に応じて算定される。なお、財政力の弱い団体等に配慮し、財政力指数により調整を行うこととされており、最も財政力の弱い団体で地方負担額の9割程度となるよう算定される。

地域の元気臨時交付金の充当対象は、各地方公共団体が策定する地域の元気臨時交付金に係る実施計画に掲載された事業のうち、地方単独事業の所要経費(「地方財政法」第5条第5号等に掲げる場合に該当し、地方債を財源とすることができる経費に限る。)、建設公債の対象となる国庫補助事業(法令に国の補助負担割合が規定されていないものに限る。)の地方負担分等とされており、各地方公共団体の申請に基づいて、交付限度額を上限として交付額が決定される。

(b) 東日本大震災分

<1> 震災復興特別交付税

津波による被災地域において安定的な生活基盤(住まい)の形成に資する施策を通じて住民の定着を促し、復興まちづくりを推進する観点から、被災団体が、地域の実情に応じて弾力的かつきめ細かに対応することができるよう、平成24年度分の震災復興特別交付税の総額に1,047億円を加算する。

また、上記のほか、東日本大震災に係る復旧・復興事業に必要な経費に係る地方負担額については、平成24年度分の震災復興特別交付税の総額に167億円を加算したうえで全額を措置する。

<2> 震災復興特別交付税の対象とならない経費(全国防災対策費)に係る地方負担額については、その100%まで地方債(緊急防災・減災事業(補助・直轄))を充当できることとし、後年度における元利償還金の80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

以上に掲げる措置を講じる等のための「地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律」が平成25年2月26日に成立した(平成25年法律第1号)。

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