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平成26年版
地方財政白書
(平成24年度決算)

第2部 平成25年度及び平成26年度の地方財政

1 平成25年度の地方財政

(1)平成25年度の経済見通しと国の予算

ア 経済見通しと経済財政運営の基本的態度

「平成25年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」は、平成25年1月28日閣議了解、2月28日閣議決定された。この中で、以下の平成24年度の経済動向、平成25年度の経済財政運営の基本的態度及び平成25年度の経済見通しが示された。

(ア)平成24年度の経済動向

平成24年度の我が国経済は、東日本大震災からの復興需要や政策効果の発現等により、夏場にかけて回復に向けた動きが見られた。しかしその後、世界経済の減速等を背景として輸出や生産が減少するなど、景気は弱い動きとなり、底割れが懸念される状況となった。

こうした状況に対し、政府は、平成25年1月に「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(平成25年1月11日閣議決定。以下「緊急経済対策」という。)を策定した。本対策による政策効果に加え、世界経済の緩やかな持ち直しが期待されることから、我が国経済は緩やかに回復していくと見込まれる。

物価の動向を見ると、緩やかなデフレ状況が続いている。消費者物価は4年連続の下落となる。

平成24年度の国内総生産の実質成長率は、復興需要による景気の下支え等があったものの、夏以降の世界経済の減速等により外需が減少したことから、1.0%程度と見込まれる。また、名目成長率は0.3%程度と見込まれる。

(イ)平成25年度の経済財政運営の基本的態度

日本経済再生に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」により、長引く円高・デフレ不況から脱却し、雇用や所得の拡大を目指す。

このための取組の第一弾として取りまとめた緊急経済対策を速やかに実施し、景気の底割れを回避し、持続的成長を生み出す成長戦略につなげる。

(財政政策)

機動的・弾力的な経済財政運営を行い、景気の底割れを回避する。このため、いわゆる「15ヶ月予算」の考え方で、緊急経済対策を実行するための平成24年度補正予算(平成25年1月15日概算閣議決定)と平成25年度予算(平成25年1月29日概算閣議決定)を合わせ、景気の下支えを行いつつ、切れ目のない経済対策を実行する。平成25年度予算については、財政状況の悪化を防ぐため、歳出の無駄を最大限縮減しつつ、中身を大胆に重点化する。その際、東日本大震災からの復興の加速はもとより、持続的成長に貢献する分野や日本を支える将来性のある分野に重点を置く。

2015年度までに国・地方のプライマリーバランスの赤字の対GDP比を2010年度の水準から半減し、2020年度までに国・地方のプライマリーバランスを黒字化するとの財政健全化目標を実現する必要がある。このため、平成25年度予算についても、財政健全化目標を踏まえたものとするとともに、国債に対する信認を確保するため、公債発行額をできる限り抑制し、中長期的に持続可能な財政構造を目指す。

(ウ)平成25年度の経済見通し

平成25年度の我が国経済は、世界経済の緩やかな回復が期待される中で、「平成25年度の経済財政運営の基本的態度」に示された施策の推進等により、着実な需要の発現と雇用創出が見込まれ、国内需要主導で回復が進む。

物価については、消費者物価上昇率は0.5%程度になると見込まれる。GDPデフレーターはプラスになると見込まれる。完全失業率は、雇用者数が増加することから低下することが見込まれる。

こうした結果、平成25年度の国内総生産の実質成長率は2.5%程度(名目成長率は2.7%程度)になると見込まれる。

なお、先行きのリスクとしては、欧州の政府債務問題等、海外経済を巡る不確実性、為替市場の動向、電力供給の制約等があることに留意する必要がある。

イ 国の予算

政府は、「平成25年度予算編成の基本方針」(平成25年1月24日閣議決定)及び「平成25年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」に基づいて平成25年1月29日、平成25年度予算政府案を閣議決定した。

平成25年度予算は、以下のような基本的考え方により編成された。

(ア)平成25年度予算編成の基本的な考え方

a 緊急経済対策との一体的な編成

平成25年度予算は、緊急経済対策に基づく大型補正予算と一体的なものとして、いわゆる「15ヶ月予算」として編成する。

これにより、切れ目のない経済対策を実行し、景気の底割れの回避とデフレからの早期脱却及び成長力の強化を図る。

b 経済再生の実現に向けた効果的・効率的な予算編成

景気の底割れを防ぎ、デフレから脱却するには、平成25年度予算の速やかな編成が必要である。

編成に当たっては、平成24年12月26日、27日の内閣総理大臣指示に従って、財政状況の悪化を防ぐため、歳出の無駄を最大限縮減しつつ、中身を大胆に重点化する。

その際、東日本大震災からの復興の加速はもとより、持続的成長に貢献する分野や日本を支える将来性のある分野に重点を置く。

c 財政に対する信認の確保

財政赤字が拡大を続け、債務残高が増大した場合、国債費の増加による政策の自由度の低下、世代間の不公平の拡大など、様々な要因を通じて、経済、財政、国民生活に重大な影響を与えかねない。

したがって、2015年度までに国・地方のプライマリーバランスの赤字の対GDP比を2010年度の水準から半減し、2020年度までに国・地方のプライマリーバランスを黒字化するとの財政健全化目標を実現する必要がある。平成25年度予算についても、上記の内閣総理大臣指示に沿って、財政健全化目標を踏まえたものとするとともに、国債に対する信認を確保するため、公債発行額をできる限り抑制し、中長期的に持続可能な財政構造を目指す。

財政健全化と日本経済再生の双方を実現する道筋については、今後、経済財政諮問会議において検討を進める。

(イ)予算の重点化についての基本的な考え方

平成25年度予算においては、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」の3分野に重点化するとの方針に基づいて、日本経済再生の実現に向けた取組に重点的な配分を行う。

また、過年度の予算に計上された項目であっても聖域化することなく、必要性等につき、内容を十分に精査する。

a 復興・防災対策

被災地の復興の加速を最優先として、加速策を具体化し、各種制度等への被災地からの批判、要望に真摯に耳を傾け、きめ細やかな復興施策を実施するとともに、福島の再生のため原子力災害等からの迅速な再生を推進する。

b 成長による富の創出

「成長による富の創出」を実現していくため、規制改革や金融・税制面の措置等により民間の潜在力を最大限発揮しつつ、民間投資の喚起を図るための施策や低炭素社会の創出等に資する省エネルギー・再生可能エネルギー等の導入、研究開発、イノベーションの基盤強化、資源・海洋開発などを推進する。

c 暮らしの安心・地域活性化

安全・安心な生活空間と環境を整備するとともに、国民の暮らしと命を守るための能力を強化し安心を確保する。さらに台風等の災害からの復旧等を行う。

社会保障制度の持続可能性を確保するとともに、社会的に弱い立場にある人たちが社会で活躍できる環境を整備する。

このような方針に基づいて編成された平成25年度の一般会計予算の規模は、92兆6,115億円(前年度比2兆2,776億円、2.5%増)で、基礎的財政収支対象経費は、70兆3,700億円(前年度比1兆9,803億円、2.9%増)となった。

財政投融資計画の規模は、18兆3,896億円(前年度比7,414億円、4.2%増)となった。

なお、平成25年度当初予算案は、平成25年2月28日に国会に提出され、5月15日に成立した。

(ウ)東日本大震災関係

「東日本大震災からの復興の基本方針」(平成23年7月29日東日本大震災復興対策本部決定)において、震災復旧・復興対策について別途財源を確保し、多年度で収入と支出を完結させる枠組みが定められたことを受けて、復旧・復興対策に係る経費については、区分経理を行うこととされ、平成24年度に「東日本大震災復興特別会計」が設置された。

「中期財政フレーム(平成25年度〜平成27年度)」(平成24年8月31日閣議決定)においては、東日本大震災からの復興、福島の再生を、最重要かつ最優先課題として全力で対応するため、東日本大震災復興特別会計を活用し、必要な事業を着実に実施する必要があるとの基本認識が示された。

「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」(平成24年8月17日閣議決定)においては、平成25年度予算の概算要求に当たって、「東日本大震災からの復興に係る経費については、東日本大震災復興特別会計において、被災地の復旧・復興の状況等を踏まえ、「東日本大震災からの復興の基本方針」に沿って、所要の金額を要求する」こととされた。

なお、「平成25年度予算編成の基本方針」では、復興関連予算は、「流用」等の批判を招くことがないよう、使途の厳格化を行い、被災地の復旧・復興に直接資するものを基本とすることとされた。

このような方針に基づいて編成された平成25年度の東日本大震災復興特別会計の予算規模は4兆3,840億円で、前年度と比べると6,086億円増加(16.1%増)となった。

歳入については、復興特別税は1兆2,240億円で前年度と比べると6,935億円増加(130.7%増)、一般会計からの繰入は1兆2,462億円で前年度と比べると6,955億円増加(126.3%増)、復興債は1兆9,026億円で前年度と比べると7,797億円減少(29.1%減)等となった。

歳出については、東日本大震災関係経費は3兆7,178億円で前年度と比べると4,678億円増加(14.4%増)、復興加速化・福島再生予備費は6,000億円で前年度と比べると2,000億円増加(50.0%増)等となった。なお、東日本大震災関係経費のうち主な経費は、復興関係公共事業等8,793億円、東日本大震災復興交付金5,918億円、原子力災害復興関係経費7,094億円、震災復興特別交付税の財源としての地方交付税交付金6,053億円等となった。

(2)地方財政計画

平成25年度においては、通常収支分について、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化に努める一方、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行うとともに、給与関係経費について国家公務員の給与減額支給措置と同様の削減を行うことと併せて、防災・減災事業や地域の活性化等の緊急課題に対応するために必要な経費を計上するほか、歳入面においては、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成24年度地方財政計画と同水準を確保することを基本として、引き続き生ずることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補填措置を講じることとした。

また、東日本大震災分については、復旧・復興事業及び全国防災事業について、通常収支とはそれぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとした。

以上を踏まえ、次の方針に基づき平成25年度地方公共団体の歳入歳出総額の見込額を策定した。

ア 通常収支分

(ア)地方税制については、平成25年度税制改正では、日本経済再生に向けた緊急経済対策関連の税制措置や金融所得課税の一体化等の措置を講じるとともに、個人住民税における住宅ローン控除の延長・拡充、東日本大震災からの復興を支援するための税制上の措置等を講じる。

(イ)地方財源不足見込額について、地方財政の運営に支障が生じることのないよう、次の措置を講じる。

a 財源不足のうち建設地方債(財源対策債)の増発、別枠加算、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等により対処することとした残余については、平成23年度に講じた平成25年度までの制度改正に基づき、国と地方が折半して補填することとし、国負担分については、国の一般会計からの加算により、地方負担分については、「地方財政法」第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により補填措置を講じる。臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入する。

b これに基づき、平成25年度の財源不足見込額13兆2,808億円については、次により補填する。

<1> 地方交付税については、国の一般会計加算により5兆4,176億円(うち「地方交付税法」附則第4条の2第2項の加算額2,150億円、同条第3項の加算額5,581億円、平成22年12月22日付け総務・財務両大臣覚書第3項(2)に定める平成25年度における「乖離是正分加算額」500億円、地方の財源不足の状況を踏まえた別枠の加算額9,900億円及び臨時財政対策特例加算額3兆6,045億円)増額する。

また、交付税特別会計剰余金2,000億円を活用するとともに、「地方公共団体金融機構法」附則第14条の規定により財政投融資特別会計に帰属させる地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金6,500億円を財政投融資特別会計から交付税特別会計に繰り入れる。

<2> 「地方財政法」第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)を6兆2,132億円発行する。

<3> 建設地方債(財源対策債)を8,000億円増発する。

c 上記の結果、平成25年度の地方交付税については、17兆624億円(前年度比3,921億円、2.2%減)を確保する。

d 交付税特別会計の借入金については、「特別会計に関する法律」附則第4条第1項に基づき、1,000億円の償還を実施する。

e なお、平成4年度までの国庫補助負担率の引下げ措置(投資的経費)に伴い一般会計から交付税特別会計に繰入れを予定していた額等172億円については、法律の定めるところにより平成31年度以降の地方交付税の総額に加算する。

(ウ)地方債については、極めて厳しい地方財政の状況の下で、地方財源の不足に対処するための措置を講じ、また、地方公共団体が防災・減災対策の強化や地域の活性化への取組を着実に推進できるよう、所要の地方債資金を確保する。

(エ)地域経済の基盤強化や雇用創出を図りつつ、個性と活力ある地域社会の構築、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安心安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図ることとし、財源の重点的配分を行う。

a 「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(平成25年1月24日閣議決定)において、「平成25年度における地方公務員の給与については、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(平成24年法律第2号)に基づく国家公務員の給与減額支給措置を踏まえ、各地方公共団体において速やかに国に準じて必要な措置を講ずるよう要請する」こととされたことを踏まえ、平成25年7月から国家公務員と同様の給与削減を実施することを前提とした給与関係経費の削減を行う。

これに併せて、防災・減災事業や地域の活性化等の緊急の課題に対処する観点から、給与削減額に見合った事業費を計上することとし、通常収支分において特別枠「給与の臨時特例対応分」を創設し、緊急防災・減災事業費(4,550億円)及び地域の元気づくり事業費(3,000億円)を合算した7,550億円を計上するとともに、東日本大震災分(全国防災事業)の投資的経費(直轄・補助)の地方負担分として973億円を計上する。

b 投資的経費に係る地方単独事業費については、国の公共投資関係費や平成24年度までの緊急防災・減災事業の地方負担分の取扱いを勘案しつつ、前年度に比し3.1%減額することとする一方で、引き続き、地域の自立や活性化につながる基盤整備を重点的・効率的に推進する。

c 一般行政経費に係る地方単独事業費については、地方公共団体における行政改革の状況等を踏まえ行政経費の縮減を行う一方、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行うことにより、財源の重点的配分を図るとともに、地域において必要な行政課題に対して適切に対処する。

d 消防力の充実、防災・減災対策等の推進及び治安維持対策等住民生活の安心安全を確保するための施策を推進する。

e 過疎地域の自立促進のための施策等に対し所要の財政措置を講じる。

(オ)地方公営企業の経営基盤の強化、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、公立病院における医療の提供体制の整備をはじめとする社会経済情勢の変化に対応した事業の展開等を図るため、経費負担区分等に基づき、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行う。

(カ)地方行財政運営の合理化を図ることとし、職員数の純減、事務事業の見直しや民間委託など引き続き行財政運営全般にわたる改革を推進する。

イ 東日本大震災分

(ア)復旧・復興事業

a 東日本大震災に係る復旧・復興事業等の実施のための特別の財政需要等を考慮して交付することとしている震災復興特別交付税については、以下に掲げる地方負担分等の全額を措置するため、6,198億円を確保する。

  • 直轄・補助事業に係る地方負担分4,083億円
  • 地方単独事業分1,220億円
  • 税制上の臨時的特例措置等に伴う減収分895億円

b 地方債については、復旧・復興事業を円滑に推進できるよう、所要額についてその全額を公的資金で確保する。

c 直轄事業負担金及び補助事業費、「地方自治法」に基づく職員の派遣、投資単独事業等の地方単独事業費及び「地方税法」等に基づく特例措置分等の地方税等の減収分見合い歳出等について所要の事業費を計上する。

(イ)全国防災事業

a 地方税の臨時的な税制上の措置(平成25年度〜平成35年度)による地方税の収入見込額として123億円を計上するとともに、一般財源充当分として130億円を計上する。

b 地方債については、全国防災事業を円滑に推進できるよう、所要額についてその全額を公的資金で確保する。

c 国の全国防災対策費に係る直轄事業負担金及び補助事業費等について、所要の事業費を計上する。

以上のような方針に基づいて策定した平成25年度の地方財政計画の規模は、通常収支分は81兆9,154億円で、前年度と比べると507億円増加(0.1%増)となり、東日本大震災分は、復旧・復興事業が2兆3,347億円で、前年度と比べると5,559億円増加(31.3%増)、全国防災事業が2,031億円で、前年度と比べると4,298億円減少(67.9%減)となった。

通常収支分についてみると、歳入では、地方税は34兆175億円で、前年度と比べると3,606億円増加(1.1%増)(道府県税0.3%増、市町村税1.6%増)、地方譲与税は2兆3,470億円で、前年度と比べると855億円増加(3.8%増)、地方特例交付金は1,255億円で、前年度と比べると20億円減少(1.6%減)、地方交付税は17兆624億円で、前年度と比べると3,921億円減少(2.2%減)、国庫支出金は11兆8,503億円で、前年度と比べると899億円増加(0.8%増)、地方債(普通会計分)は11兆1,517億円で、前年度と比べると137億円減少(0.1%減)となった。

歳出では、給与関係経費は19兆7,479億円で、前年度と比べると1兆2,281億円減少(5.9%減)となった。なお、地方財政計画における職員数については、12,843人の純減としている。一般行政経費は31兆8,257億円で、前年度と比べると6,851億円増加(2.2%増)となり、このうち一般行政経費にかかる地方単独事業費は13兆9,993億円で、前年度と比べると1,898億円増加(1.4%増)となった。公債費は13兆1,078億円で、前年度と比べると288億円増加(0.2%増)、投資的経費は10兆6,698億円で、前年度と比べると2,286億円減少(2.1%減)となった。なお、投資的経費に係る地方単独事業費は5兆30億円で、前年度と比べると1,600億円減少(3.1%減)となった。

東日本大震災分(復旧・復興事業)についてみると、歳入では、震災復興特別交付税は6,198億円で、前年度と比べると657億円減少(9.6%減)、国庫支出金は1兆6,895億円で、前年度と比べると6,123億円増加(56.8%増)などとなった。歳出では、一般行政経費は6,829億円で、前年度と比べると2,667億円減少(28.1%減)、投資的経費は1兆6,255億円で、前年度と比べると8,164億円増加(100.9%増)などとなった。

東日本大震災分(全国防災事業)についてみると、歳入では国庫支出金は800億円で、前年度と比べると1,259億円減少(61.1%減)、地方債は973億円で、前年度と比べると3,200億円減少(76.7%減)などとなった。歳出では公債費は258億円で、前年度と比べると228億円増加(760.0%増)、投資的経費は1,773億円で、前年度と比べると3,970億円減少(69.1%減)などとなった。

また、平成25年度の地方債計画の規模は、通常収支分が13兆3,708億円(普通会計分11兆1,517億円、公営企業会計等分2兆2,191億円)で、前年度と比べると1,688億円減少(1.2%減)となった。東日本大震災分は、復旧・復興事業が2,197億円(普通会計分233億円、一般会計債に係る特定被災地方公共団体借換債280億円、公営企業会計等分1,684億円)で、前年度と比べると1,838億円増加(512.0%増)となり、全国防災事業が973億円(普通会計分)で、前年度と比べると3,573億円減少(78.6%減)となった。

(3)平成25年度補正予算

ア 平成25年度補正予算(第1号)

平成25年度補正予算(第1号)は、平成25年12月12日に閣議決定、平成26年1月24日に第186回国会に提出され、2月16日に成立した。

この補正予算においては、歳出面で、「好循環実現のための経済対策」(平成25年12月5日閣議決定。以下「経済対策」という。)に沿って、競争力強化策関連経費1兆3,980億円、女性・若者・高齢者・障害者向け施策関連経費3,005億円、防災・安全対策の加速関連経費1兆1,958億円等を追加計上するほか、既定経費の減額1兆5,334億円の修正減少額が計上された。また、歳入面で、税収2兆2,580億円、税外収入3,659億円、前年度剰余金受入9,108億円等が追加計上された。

この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも平成25年度当初予算に対し、5兆4,654億円増加し、98兆770億円となった。

イ 平成25年度補正予算(第1号)に係る財政措置等

(ア)通常収支分

この補正予算においては、国税の増収見込み等に伴い地方交付税の増が見込まれるとともに、歳出の追加に伴う地方負担が生じること等から、以下のとおり財政措置を講じることとした。

a 地方交付税

この補正予算において、「地方交付税法」第6条第2項の規定に基づき増額される平成25年度分の地方交付税の額1兆1,608億円(平成24年度精算分4,176億円、平成25年度国税五税の自然増に伴うもの7,432億円)については、平成25年度において普通交付税の調整額の復活に要する額259億円を交付することとしたうえで、残余の額1兆1,349億円について平成26年度分として交付すべき地方交付税の総額に加算して交付する措置を講じる。

b 追加の財政需要

(a) この補正予算により平成25年度に追加される投資的経費に係る地方負担額については、原則として、地方負担額の100%まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の50%(当初における地方負担額に対する算入率が50%を超えるものについては当初の算入率)を公債費方式により基準財政需要額に算入し、残余については、原則として、単位費用により措置する。

(b) 地方債の対象とならない経費については、地方財政計画に計上された追加財政需要額(4,700億円)の一部により対応する。

c がんばる地域交付金(地域活性化・効果実感臨時交付金)

経済対策において、アベノミクス効果の全国への波及が求められる中で、景気回復が波及していない財政力の弱い市町村が行う地域活性化に向けた事業に対して、「がんばる地域交付金(地域活性化・効果実感臨時交付金)」を交付することとされている。

がんばる地域交付金の総額は、870億円とされており、各市町村への交付限度額は、この補正予算に計上された公共事業等の地方負担額等に応じて算定される。

がんばる地域交付金の充当対象は、各市町村が策定するがんばる地域交付金に係る実施計画に掲載された事業のうち、地方単独事業の所要経費、国庫補助事業(法令に国の補助負担割合が規定されていないものに限る。)の地方負担分としており、各市町村の申請に基づいて、交付限度額を上限として交付額が決定される。

(イ)東日本大震災分

東日本大震災に係る復旧・復興事業や全国防災事業に係る地方負担額については、以下のとおり財政措置を講じることとした。

a 復旧・復興事業

(a) 東日本大震災復興交付金事業等(公営住宅建設事業を除く。)に必要な経費に係る地方負担額については、震災復興特別交付税により全額を措置する。

(b) 上記(a)以外の事業(公営住宅建設事業及び災害援護貸付金を受けて実施する事業)に係る地方負担額については、通常どおりの扱いとする。

b 全国防災事業

防災対策推進学校施設環境改善交付金事業に係る地方負担額については、その100%まで地方債(全国防災事業)を充当できることとし、後年度における元利償還金の80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(4)地方公共団体の予算

平成25年度の地方公共団体の普通会計予算(9月補正後)の状況は、第50表のとおりであり、普通会計予算の総額(都道府県及び市区町村(一部事務組合等を除く)の単純合計)は、前年度と比べると0.1%増となっている。

第50表 平成25年度普通会計予算の状況(9月補正後)

主な内訳をみると、歳入では、地方税が前年度と比べると1.6%増、地方譲与税が4.5%増、地方交付税が3.0%減、国庫支出金が1.9%増、地方債が1.2%減となっている。一方、歳出では、人件費が前年度と比べると2.4%減、扶助費が2.7%増、普通建設事業費が4.1%増となっている。

(5)地方公営企業等に関する財政措置

ア 地方公営企業

(ア)通常収支分

地方公営企業については、経営基盤の強化、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、公立病院における医療の提供体制の整備をはじめとする社会経済情勢の変化に対応した事業の展開等を図る必要がある。

このため、平成25年度においては、次のような措置を講じることとした。

公営企業会計と一般会計との間における経費負担区分の原則等に基づく公営企業繰出金については、地方財政計画において2兆5,753億円(前年度2兆6,590億円)を計上する。

地方公営企業の建設改良等に要する地方債については、地方債計画において公営企業会計等分2兆2,191億円(前年度2兆3,742億円)を計上する。

各事業における地方財政措置のうち主なものは以下のとおりである。

a 簡易水道事業及び下水道事業(流域下水道、小規模集合排水処理施設及び個別排水処理施設に係るものに限る。)については、前年度に引き続き、事業年度における一般会計からの繰出しに代えて、臨時的に公営企業債(臨時措置分)を措置することとし、当該臨時措置分に係る公営企業債の元利償還金については、その全額(流域下水道のうち地方単独事業に係るものを除く。)を後年度において基準財政需要額に算入する。

b 交通事業については、地下鉄事業の経営が依然として厳しい状況にあることに鑑み、新たな特例制度を設けるとともに、所要の財政措置を講じる。

(イ)東日本大震災分

a 復旧・復興事業

地方公営企業に係る復旧・復興事業については、一般会計から公営企業会計への繰出基準の特例を設け、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行うこととし、当該繰出金に対しては、その全額を震災復興特別交付税により措置することとしており、地方財政計画において124億円を計上する。また、復旧・復興事業に係る地方債については、地方債計画において公営企業会計等分1,684億円を計上する。

b 特定被災地方公共団体借換債

東日本大震災からの復旧・復興を支援するため、特定被災地方公共団体を対象に、平成25年度限りの措置として、年利4%以上の旧公営企業金融公庫資金(普通会計及び公営企業会計(水道事業、工業用水道事業、地下鉄事業、下水道事業)合計で1,830億円)について補償金免除繰上償還を行い、その財源として地方公共団体金融機構資金による借換債を発行可能とする。

なお、地方債計画において公営企業会計等分1,550億円を計上する。

c 被災施設借換債

旧公営企業金融公庫資金(地方公共団体金融機構資金も含む。)によって取得した施設が被災により滅失し繰上償還(補償金が課されない強制繰上償還)を行う場合、地方公共団体金融機構資金による借換債を発行可能とし、被災施設借換債50億円を計上する。

イ 国民健康保険事業

国民健康保険事業の厳しい財政状況に配意し、国民健康保険に対して、財政基盤の強化のための支援措置を次のとおり講じることとした。

(ア)都道府県が、地域の実情に応じて、都道府県内の市町村間の医療費水準等の不均衡の調整や市町村国保財政の共同事業拡大の円滑な推進、地域の特別事情への対応のため交付する都道府県調整交付金(給付費等の9%分)については、その所要額(6,808億円)について地方交付税措置を講じる。

(イ)国保被保険者の保険料負担の緩和を図る観点から、市町村(一部事務組合等を除く。)が保険料軽減相当額に応じて、一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れを行う際に、当該費用に対し、都道府県が一部(都道府県3/4、市町村1/4)を負担することとし、その所要額(4,201億円)について地方交付税措置を講じる。

(ウ)低所得者を多く抱える保険者を支援する観点から、市町村(一部事務組合等を除く。)が低所得者数に応じて、一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れを行う際に、当該費用(973億円)に対し、国及び都道府県が一部(国1/2、都道府県1/4、市町村1/4)を負担することとし、その所要額(487億円)について地方交付税措置を講じる。

(エ)高額医療費共同事業(3,183億円)については、市町村国保の拠出金に対し、国及び都道府県が一部(国1/4、都道府県1/4、市町村国保1/2)を負担することとし、その所要額(796億円)について地方交付税措置を講じる。

(オ)国保財政安定化支援事業については、国保財政の健全化に向けた市町村一般会計からの繰出しについて、所要の地方交付税措置(1,000億円)を講じる。

(カ)国民生活の質の維持・向上を確保しつつ、医療費の適正化を図ることを目的として、40歳から74歳までの国民健康保険加入者に対して糖尿病等の予防に着目した健診及び保健指導を行うため、特定健康診査・保健指導事業(510億円)に対して、国及び都道府県が一部(国1/3、都道府県1/3、市町村国保1/3)を負担することとし、その所要額(170億円)について地方交付税措置を講じる。

ウ 後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度については、実施主体である広域連合の財政基盤の強化のための支援措置を次のとおり講じることとした。

(ア)保険料軽減制度については、低所得者に対する配慮として、後期高齢者の被保険者の保険料負担の緩和を図る(均等割2割・5割・7割軽減)とともに、被用者保険の被扶養者であった被保険者の保険料軽減を行うため、都道府県及び市町村が負担(都道府県3/4、市町村1/4)することとし、その所要額(2,336億円)について地方交付税措置を講じる。

なお、平成25年度は、70歳から74歳までの窓口負担軽減措置、低所得者の保険料軽減措置(均等割9割・8.5割、所得割5割軽減)及び被用者保険の被扶養者であった被保険者の保険料軽減措置(均等割9割軽減)について継続する。また、被用者保険の被扶養者であった被保険者の保険料軽減措置に伴う平成25年度分の財政措置については、均等割9割軽減のうち4割分については国費により措置することとして、所要額を平成24年度補正予算に計上するとともに、均等割9割軽減のうち5割分については、引き続き、地方交付税措置を講じる。

(イ)高額医療費負担金(2,404億円)については、広域連合の拠出金に対し、国及び都道府県が一部(国1/4、都道府県1/4、広域連合1/2)を負担することとし、その所要額(601億円)について地方交付税措置を講じる。

(ウ)財政安定化基金については、保険料未納や給付増リスク等による後期高齢者医療広域連合の財政影響に対応するため、都道府県に基金を設置しその拠出金(590億円)に対して国及び都道府県が一部(国1/3、都道府県1/3、広域連合1/3)を負担することとし、その所要額(197億円)について地方交付税措置を講じる。

(エ)不均一保険料助成については、医療給付の実績が低い広域連合内の市町村に対して、平成25年度まで他の市町村とは異なる不均一の保険料を設けることに対して国及び都道府県が負担(国1/2、都道府県1/2)することとし、その所要額(2億円)について地方交付税措置を講じる。

(オ)実施主体である広域連合に対する市町村分担金、市町村の事務経費及び都道府県の後期高齢者医療審査会関係経費等について所要の地方交付税措置を講じる。

(6)個別団体における財政健全化

地方公共団体の財政状況は、人件費等を削減する一方で、生活保護費等の扶助費が増加していること等により、依然として厳しい状況となっており、平成24年度の経常収支比率も、地方税や地方譲与税が増加した一方で、補助費等や扶助費が増加したことにより、前年度(92.6%)と比べると0.1ポイント上昇の92.7%となっている。

各地方公共団体においては、このような状況を踏まえて、地方税等の徴収対策、使用料・手数料の適正化、未利用財産の売払いなどの歳入確保や、事務事業の見直し、組織・機構の簡素効率化、外郭団体の統廃合等、定員管理・給与の適正化、民間委託等の推進などの自主的な行財政改革に取り組んでいる。

特に、唯一の財政再生団体である北海道夕張市や財政健全化団体である2市町では、市民生活に直結したサービスを維持しながら、早期の財政の健全化に向けた最大限の取組を行っており、個人市民税・固定資産税・軽自動車税の税率の引上げや各種使用料・手数料の引上げなど、住民負担の増加を伴う取組等による徹底した歳入確保と、職員数の削減や職員給与の見直しなど、行政のスリム化等による徹底した歳出削減により、財政状況の改善を図っている。

同様に、平成24年度決算における資金不足比率が経営健全化基準以上の公営企業は20会計であるが、これらの公営企業では定期的な料金改定の実施等により収入増加を図るとともに、職員数の削減や維持管理経費の削減等により積極的な支出の削減を図っているほか、収益の増加や経費の節減等により資金不足額の減少を図ることとしている。

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