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平成26年版
地方財政白書
(平成24年度決算)

2 平成26年度の地方財政

(1)平成26年度の経済見通しと国の予算

ア 経済見通しと経済財政運営の基本的態度

「平成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」は、平成25年12月21日閣議了解、平成26年1月24日閣議決定された。この中で、以下の平成25年度の経済動向、平成26年度の経済見通し及び平成26年度の経済財政運営の基本的態度が示された。

(ア)平成25年度の経済動向

平成25年度の我が国経済をみると、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」による一体的な取組の政策効果から、家計や企業のマインドが改善し、消費等の内需を中心として景気回復の動きが広がっている。また、企業収益の増加から設備投資が持ち直しつつあり、雇用・所得環境が改善していく下で、景気回復の動きが確かなものとなることが見込まれる。

こうした中で、消費者物価(総合)は、日本銀行の「量的・質的金融緩和」の効果等により5年ぶりに0.7%程度の上昇に転じると見込まれる。

この結果、平成25年度の国内総生産の実質成長率は2.6%程度、名目成長率は2.5%程度と見込まれる。

(イ)平成26年度の経済見通し

平成26年度の我が国経済は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減には留意が必要であるが、「好循環実現のための経済対策」(以下「経済対策」という。)など、「平成26年度の経済財政運営の基本的態度」に示された施策の推進等により、年度を通してみれば前年度に続き堅調な内需に支えられた景気回復が見込まれ、好循環が徐々に実現していくと考えられる。

物価については、前年度より上昇率が高まり、消費者物価は3.2%程度(このうち、消費税率引上げによる影響は2.1%程度と見込んでいる。)、GDPデフレーター上昇率はプラスになると見込まれるなど、労働市場の引き続く改善を伴いながらデフレ脱却に向け着実な進展が見込まれる。

この結果、平成26年度の国内総生産の実質成長率は1.4%程度、名目成長率は3.3%程度と見込まれる。

なお、先行きのリスクとしては、金融資本市場の動向、アジアの新興国等の経済動向、電力供給の制約等に留意する必要がある。

(ウ)平成26年度の経済財政運営の基本的態度

最近の景気回復に向けた動きを持続的な経済成長につなげていくため、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)の実行を加速・強化する。産業競争力強化法、国家戦略特別区域法の積極的活用や政策資源の重点配分などにより、同戦略に盛り込まれた3つのアクションプランを強力に推進することで、日本経済の成長力を強化する。

同時に、政府、経営者、労働者がそれぞれの役割を果たしつつ、互いに連携することにより、企業収益の拡大を賃金上昇、雇用・投資の拡大につなげ、消費や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大を促す好循環を実現する。さらに、平成26年4月に実施する消費税率の引上げに際しては、駆け込み需要とその反動減を緩和し、景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力の底上げと好循環の実現を図り持続的な経済成長につなげていくため、経済対策を含む「経済政策パッケージ」(「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」(平成25年10月1日 閣議決定))を着実に実行する。

国・地方を合わせた基礎的財政収支について、2015年度までに2010年度に比べ赤字の対GDP比半減、2020年度までに黒字化を目指し、「当面の財政健全化に向けた取組等についてー中期財政計画ー」(平成25年8月8日 閣議了解)に基づき、改善を図る。このため、平成26年度予算については、社会保障をはじめとする義務的経費等を含め、聖域なく予算を抜本的に見直した上で、経済成長に資する施策に重点化を図る。

以上の取組により、デフレ脱却・経済再生と財政健全化の両立の実現を目指す。

日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待する。

イ 国の予算

政府は、「平成26年度予算編成の基本方針」(平成25年12月12日閣議決定)及び「平成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」に基づいて平成25年12月24日、平成26年度予算政府案を閣議決定した。

平成26年度予算は、以下のような基本的な考え方により編成された。

(ア)平成26年度予算の基本的な考え方

平成26年度予算編成に当たっては、社会保障を始めとする義務的経費等を含め、聖域なく予算を抜本的に見直した上で、経済成長に資する施策に重点化を図る。

税制については、デフレ脱却・経済再生と財政健全化の両立を旨としつつ、経済社会構造の変化を踏まえながら、あるべき税制の在り方を検討するなど、必要な取組を進める。

今後、財政健全化目標を着実に達成していくためには、引き続き税収を拡大させるとともに、各年度継続して歳出を効率化していく必要がある。

中期財政計画に基づきながら、これらの取組により、国の一般会計の基礎的財政収支について、平成26年度予算において少なくとも▲19兆円程度とすることを目指し、一般会計の当初予算において4兆円を上回る収支改善を図る。新規国債発行額についても、平成25 年度を下回るよう最大限努力する。

(イ)予算の重点化・効率化の推進

高齢化等により社会保障関係費が増大する中で、中期財政計画に基づく国の一般会計の基礎的財政収支の改善を行うため、裁量的経費、義務的経費を通じて聖域なき見直しを行っていく必要がある。次に掲げる社会保障、社会資本整備、地方財政に限らず、他の各分野においても、人口減少や少子高齢化など経済社会の構造変化に対応しつつ、重点化・効率化を進め、歳出を抑制する。とりわけ消費税率引上げが予定される平成26年度予算については、国民に負担増を求める際に、各経費が安易に膨張したり、無駄な経費があるといった批判を招くことがないよう、徹底して取り組む。

a 主な分野における歳出改革

(a) 社会保障

高齢化等を背景に、社会保障の給付の伸びは名目成長率を大きく上回っており、公費負担が増大し財政赤字が拡大して、後世代に負担を先送りすることとなっている。国民の安心を支える社会保障制度を持続可能なものとするため、様々なニーズに対応しつつ新たな国民負担の発生を厳に抑制し、効率的に社会保障サービスが提供される体制を目指すことが必要である。

(b) 社会資本整備

今後の社会資本整備については、厳しい財政状況の下、国民生活の将来を見据えて、既設施設の機能が効果的に発揮されるよう計画的な整備を推進していく必要がある。

平成26年度予算においては、デフレからの早期脱却と経済再生や財政健全化との両立を目指す中で、アジアの都市に負けない国際競争力の強化、地域の活性化、国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)、防災・減災対策、老朽化対策等の諸課題に対し、選択と集中、優先順位の明確化、民間能力の活用の3つの大原則の下で、ソフト施策と連携しつつ、効果的・効率的に推進していく。

(c) 地方行財政制度

地方財政については、経済再生に合わせ、リーマンショック後の危機対応モードから平時モードへの切替えを進めていく必要がある。このため、歳出特別枠や地方交付税の別枠加算を見直すなど歳入面・歳出面における改革を進めていく。

国の歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源の総額については、平成25年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。

頑張る地方を息長く支援するため、地方交付税において、地域経済の活性化に資する算定を導入する。

地方法人課税の在り方を見直し、地方公共団体の財政運営に配慮しつつ、地域間の税源偏在の是正の方策を講じる。

人口構造の変化等に適合した地方制度の構築に向けて、関係府省が連携して、「定住自立圏構想」を強力に進めるとともに、「地方中枢拠点都市」を中心とする新たな広域連携や広域での効果的・効率的な機能分担等が進むよう、自治体間の柔軟な連携を可能とする新たな仕組みを導入する。

地方公会計の整備を促進することにより、地方における財政運営の透明化・効率化を図るとともに、地方公共団体が保有する公共施設等の適正な管理を推進し、老朽化施設の解体撤去のための財政措置を含めた支援を検討する。

b 公的部門の改革

強い経済、豊かな国民生活を実現していくため、成果を最大化し、無駄を徹底排除した効果的・効率的な公的部門を構築するとともに、行政の透明化を高め、国民への説明責任を果たしていく。

特別会計改革について、財政の一層の効率化・透明化を図るため、「特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法律」(平成25年法律第76号)に基づき、平成26年度より、特別会計及びその勘定の廃止・統合等を実施する。

独立行政法人改革について、行政改革推進会議における中間的整理を踏まえ、各法人の共通の規律を前提としつつ、各法人の事務・事業の特性を踏まえた制度を構築し、各法人に期待される政策実施機能を高めるべく、平成27年4月からの改革実施を目指して、必要な法制上の措置を早期に講ずるものとする。

国家公務員制度改革について、平成26年春の内閣人事局の設置等を目指し、改革を進める。

国家公務員及び地方公務員の給与及び定員について、「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(平成25年11月15日閣議決定)に従って適切に対応する。特に、国家公務員の定員については、平成26年度予算において、現行の合理化計画の目標数を大幅に上回る合理化を達成するとともに、重要課題には適切に対応しつつ増員を抑制し、これまでに引き続き、大幅な純減を目指す。また、地方公共団体の適正な定員管理及び人件費の抑制に支障を来すような施策を厳に抑制するとともに、地方公共団体に対し、行政の合理化、能率化を図り、適正な定員管理の推進に取り組むよう要請するものとする。

国民の利便性の向上及び行政運営の効率化の観点から、社会保障・税番号制度の着実な導入に向けて準備を進めるとともに、「世界最先端IT 国家創造宣言」(平成25年6月14日閣議決定)に基づき、世界最高水準の電子政府の実現に向けた取組を進める。また、地方自治体において、クラウド技術の活用及び事務の共通化・標準化により、自治体行政のコスト低減及び行政データの開放による民間の利活用を促進する。

このような方針に基づいて編成された平成26年度の一般会計予算案の規模は95兆8,823億円で、前年度当初予算と比べると3兆2,708億円増加(3.5%増)となっており、基礎的財政収支対象経費は72兆6,121億円で、前年度当初予算と比べると2兆2,421億円増加(3.2%増)となっている。

また、東日本大震災復興特別会計の予算規模は3兆6,464億円で、前年度当初予算(4兆3,840億円)と比べると7,376億円減少(16.8%減)となっている。ただし、東日本大震災の被災地の復旧・復興を加速するために計上された平成25年度補正予算5,638億円と合わせてみると、予算規模は4兆2,102億円となり、これを前年度当初予算と比べると1,738億円減少(4.0%減)となっている。

財政投融資計画の規模は16兆1,800億円で、前年度計画額と比べると2兆2,096億円減少(12.0%減)となっている。

(2)地方財政計画

平成26年度においては、通常収支分について、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、歳出面においては、国の取組と歩調を合わせて歳出抑制を図る一方、社会保障の充実分等を含め、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行うとともに、防災・減災事業や地域経済活性化等の緊急課題に対応するために必要な経費を計上することとし、歳入面においては、「経済財政運営と改革の基本方針」(平成25年6月14日閣議決定)及び「中期財政計画」に沿って、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成25年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として、引き続き生ずることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補填措置を講じることとしている。

また、東日本大震災分については、復旧・復興事業及び全国防災事業について、通常収支とはそれぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとしている。

なお、地方財政審議会からは、平成25年12月16日に地方一般財源総額の確保や地方交付税の別枠加算の継続などを含む「今後目指すべき地方財政の姿と平成26年度の地方財政への対応についての意見」(附属資料参照)が述べられている。

以上を踏まえ、次の方針に基づき平成26年度地方公共団体の歳入歳出総額の見込額を策定している。

ア 通常収支分

(ア)地方税制については、平成26年度税制改正では、税制抜本改革を着実に実施する観点から、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法人住民税法人税割の税率を引き下げるとともに、地方法人税を創設し、その税収全額を地方交付税原資とする。併せて、地方法人特別税・譲与税の規模を縮小し、法人事業税に復元する。また、消費税率(国・地方)8%への引上げ時において自動車取得税の税率を引き下げる一方、軽自動車税の税率を引き上げる等の車体課税の見直しを行う。

さらに、現下の経済情勢等を踏まえ、デフレ脱却・日本経済再生に向けた税制措置を講じるほか、東日本大震災からの復興を支援するための税制措置等を講じる。

(イ)地方財源不足見込額については、地方財政の運営に支障が生じることのないよう、地方交付税法第6条の3第2項に基づく制度改正を講じることとし、次の措置について所要の法律改正を行う。

a 平成26年度から平成28年度までの間は、平成25年度までと同様、財源不足が建設地方債(財源対策債)の増発等によってもなお残る場合には、この残余を国と地方が折半して補填することとし、国負担分については、国の一般会計からの加算により、地方負担分については、地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により補填措置を講じる。臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入する。

b これに基づき、平成26年度の財源不足見込額10兆5,938億円については、次により補填する。

(a) 地方交付税については、国の一般会計加算により4兆1,186億円(うち地方交付税法附則第4条の2第2項の加算額6,648億円、平成22年12月22日付け総務・財務両大臣覚書第3項(2)及び平成25年12月21日付け総務・財務両大臣覚書第5項に定める平成26年度における「乖離是正分加算額」2,000億円、地方税収の状況を踏まえた別枠の加算額6,100億円並びに臨時財政対策特例加算額2兆6,438億円)増額する。

また、交付税特別会計剰余金1,000億円を活用する。

(b) 「地方財政法」第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)を5兆5,952億円発行する。

(c) 建設地方債(財源対策債)を7,800億円増発する。

c 上記の結果、平成26年度の地方交付税については、16兆8,855億円(前年度比1,769億円、1.0%減)を確保する。

d 交付税特別会計の借入金については、「特別会計に関する法律」附則第4条第1項に基づき、2,000億円の償還を実施する。

e なお、平成4年度までの国庫補助負担率の引下げ措置(投資的経費)に伴い一般会計から交付税特別会計に繰入れを予定していた額等61億円については、法律の定めるところにより平成32年度以降の地方交付税の総額に加算する。

(ウ)地方債については、極めて厳しい地方財政の状況の下で、地方財源の不足に対処するための措置を講じ、また、地方公共団体が防災・減災対策の強化や地域の活性化への取組を着実に推進できるよう、所要の地方債資金を確保する。

(エ)地域経済の基盤強化や雇用創出を図りつつ、個性と活力ある地域社会の構築、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安心安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図ることとし、財源の重点的配分を行う。

a 投資的経費に係る地方単独事業費については、平成25年度において給与の臨時特例対応分として計上していた「緊急防災・減災事業費」を、地方公共団体が引き続き喫緊の課題である防災・減災対策に取り組んでいけるよう5,000億円計上することにより、全体で前年度に比し4.5%増額し、引き続き、地域の自立や活性化につながる基盤整備を重点的・効率的に推進する。

b 平成25年度において給与の臨時特例対応分として計上していた「地域の元気づくり事業費」については、地方公共団体の取組を息長く支援する観点から、当分の間の措置として一般行政経費に「地域の元気創造事業費」として改めて計上することとし、平成26年度の事業費については3,500億円としている。

c 消費税・地方消費税の引上げによる増収分を活用した社会保障の充実として、少子化対策、医療・介護サービスの提供体制改革、医療保険制度改革及び難病等に係る公平かつ安定的な制度の確立に係る措置を講じることとしており、当該措置に係る地方負担について所要の財政措置を講じる。

d 一般行政経費に係る地方単独事業費については、地方公共団体における行政改革の状況等を踏まえ行政経費の縮減を行う一方、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行うことにより、財源の重点的配分を図るとともに、地域において必要な行政課題に対して適切に対処する。

e 消防力の充実、防災・減災対策等の推進及び治安維持対策等住民生活の安心安全を確保するための施策を推進する。

f 過疎地域の自立促進のための施策等に対し所要の財政措置を講じる。

(オ)地方公営企業の経営基盤の強化、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、公立病院における医療の提供体制の整備をはじめとする社会経済情勢の変化に対応した事業の展開等を図るため、経費負担区分等に基づき、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行う。

(カ)地方行財政運営の合理化を図ることとし、職員数の純減、事務事業の見直しや民間委託など引き続き行財政運営全般にわたる改革を推進する。

イ 東日本大震災分

(ア)復旧・復興事業

a 東日本大震災に係る復旧・復興事業等の実施のための特別の財政需要等を考慮して交付することとしている震災復興特別交付税については、以下に掲げる地方負担分等の全額を措置するため、5,723億円を確保する。

  • 直轄・補助事業に係る地方負担分3,719億円
  • 地方単独事業分1,085億円
  • 税制上の臨時的特例措置等に伴う減収分919億円

b 地方債については、復旧・復興事業を円滑に推進できるよう、所要額についてその全額を公的資金で確保する。

c 直轄事業負担金及び補助事業費、「地方自治法」に基づく職員の派遣、投資単独事業等の地方単独事業費及び「地方税法」等に基づく特例措置分等の地方税等の減収分見合い歳出等について所要の事業費を計上する。

(イ)全国防災事業

a 地方税の臨時的な税制上の措置(平成25年度〜平成35年度)による地方税の収入見込額として679億円を計上するとともに、一般財源充当分として113億円を計上する。

b 地方債については、全国防災事業を円滑に推進できるよう、所要額についてその全額を公的資金で確保する。

c 国の全国防災対策費に係る直轄事業負担金及び補助事業費等について、所要の事業費を計上する。

以上のような方針に基づいて策定した平成26年度の地方財政計画の規模は、通常収支分は83兆3,607億円で、前年度と比べると1兆4,453億円増加(1.8%増)となり、東日本大震災分は、復旧・復興事業が1兆9,617億円で、前年度と比べると3,730億円減少(16.0%減)、全国防災事業が2,521億円で、前年度と比べると490億円増加(24.1%増)となっている。

通常収支分についてみると、歳入では、地方税は35兆127億円で、前年度と比べると9,952億円増加(2.9%増)(道府県税5.3%増、市町村税1.3%増)、地方譲与税は2兆7,564億円で、前年度と比べると4,094億円増加(17.4%増)、地方特例交付金は1,192億円で、前年度と比べると63億円減少(5.0%減)、地方交付税は16兆8,855億円で、前年度と比べると1,769億円減少(1.0%減)、国庫支出金は12兆4,491億円で、前年度と比べると5,988億円増加(5.1%増)、地方債(普通会計分)は10兆5,570億円で、前年度と比べると5,947億円減少(5.3%減)となっている。

歳出では、給与関係経費は20兆3,414億円で、前年度と比べると5,935億円増加(3.0%増)となっている。なお、地方財政計画における職員数については、12,962人の純減としている。一般行政経費は33兆2,194億円で、前年度と比べると1兆3,937億円増加(4.4%増)となり、このうち一般行政経費にかかる地方単独事業費は13兆9,563億円で、前年度と比べると430億円減少(0.3%減)となっている。公債費は13兆745億円で、前年度と比べると333億円減少(0.3%減)、投資的経費は11兆35億円で、前年度と比べると3,337億円増加(3.1%増)となっている。なお、投資的経費に係る地方単独事業費は5兆2,279億円で、前年度と比べると2,249億円増加(4.5%増)となっている。

東日本大震災分(復旧・復興事業)についてみると、歳入では、震災復興特別交付税は5,723億円で、前年度と比べると475億円減少(7.7%減)、国庫支出金は1兆3,353億円で、前年度と比べると3,542億円減少(21.0%減)などとなっている。歳出では、一般行政経費は5,350億円で、前年度と比べると1,479億円減少(21.7%減)、投資的経費は1兆3,905億円で、前年度と比べると2,350億円減少(14.5%減)などとなっている。

東日本大震災分(全国防災事業)についてみると、歳入では国庫支出金は736億円で、前年度と比べると64億円減少(8.0%減)、地方債は983億円で、前年度と比べると10億円増加(1.0%増)などとなっている。歳出では公債費は802億円で、前年度と比べると544億円増加(210.9%増)、投資的経費は1,719億円で、前年度と比べると54億円減少(3.0%減)となっている。

また、平成26年度の地方債計画の規模は、通常収支分が12兆8,301億円(普通会計分10兆5,570億円、公営企業会計等分2兆2,731億円)で、前年度と比べると5,407億円減少(4.0%減)となっている。東日本大震災分は、復旧・復興事業が543億円(普通会計分455億円、公営企業会計等分88億円)で、前年度と比べると1,654億円減少(75.3%減)となり、全国防災事業が983億円(普通会計分)で、前年度と比べると10億円増加(1.0%増)となっている。

(3)地方公営企業等に関する財政措置

ア 地方公営企業

(ア)通常収支分

地方公営企業については、経営基盤の強化、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、公立病院における医療の提供体制の整備をはじめとする社会経済情勢の変化に対応した事業の展開等を図る必要がある。

このため、平成26年度においては、次のような措置を講じることとしている。

公営企業会計と一般会計との間における経費負担区分の原則等に基づく公営企業繰出金については、地方財政計画において2兆5,612億円(前年度2兆5,753億円)を計上する。

地方公営企業の建設改良等に要する地方債については、地方債計画において公営企業会計等分2兆2,731億円(前年度2兆2,191億円)を計上する。

各事業における地方財政措置のうち主なものは以下のとおりである。

a 簡易水道事業及び下水道事業(流域下水道、小規模集合排水処理施設及び個別排水処理施設に係るものに限る。)については、前年度に引き続き、事業年度における一般会計からの繰出しに代えて、臨時的に公営企業債(臨時措置分)を措置することとし、当該臨時措置分に係る公営企業債の元利償還金については、その全額(流域下水道のうち地方単独事業に係るものを除く。)を後年度において基準財政需要額に算入する。

b 病院事業については、「公立病院改革ガイドライン」(平成19年12月24日付け総務省自治財政局長通知)を踏まえ、関係地方公共団体が策定した「公立病院改革プラン」に基づく再編等を推進するため、当該取組が平成25年度までに完了せず、平成26年度以降に継続する場合には、引き続き、所要の地方財政措置を講じる。

c 上水道事業については、末端給水事業者が実施する水道管路の耐震化を推進するため、引き続き、所要の地方財政措置を講じる。

(イ)東日本大震災分

a 復旧・復興事業

地方公営企業に係る復旧・復興事業については、一般会計から公営企業会計への繰出基準の特例を設け、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行うこととし、当該繰出金に対してはその全額を震災復興特別交付税により措置することとしており、地方財政計画において160億円を計上する。また、復旧・復興事業に係る地方債については、地方債計画において公営企業会計等分88億円を計上する。

b 被災施設借換債

旧公営企業金融公庫資金(地方公共団体金融機構資金も含む。)によって取得した施設が被災により滅失し繰上償還(補償金が課されない強制繰上償還)を行う場合、地方公共団体金融機構資金による借換債を発行可能とし、被災施設借換債15億円を計上する。

イ 国民健康保険事業

国民健康保険事業の厳しい財政状況に配意し、国民健康保険に対して、財政基盤の強化のための支援措置を次のとおり講じることとしている。

(ア)都道府県が、地域の実情に応じて、都道府県内の市町村間の医療費水準等の不均衡の調整や市町村国保財政の共同事業拡大の円滑な推進、地域の特別事情への対応のため交付する都道府県調整交付金(給付費等の9%分)については、その所要額(6,900億円)について地方交付税措置を講じる。

(イ)国保被保険者の保険料負担の緩和を図る観点から、市町村(一部事務組合等を除く。)が保険料軽減相当額に応じて、一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れを行う際に、当該費用に対し、都道府県が一部(都道府県3/4、市町村1/4)を負担することとし、その所要額(4,656億円)について地方交付税措置を講じる。

(ウ)低所得者を多く抱える保険者を支援する観点から、市町村(一部事務組合等を除く。)が低所得者数に応じて、一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れを行う際に、当該費用(982億円)に対し、国及び都道府県が一部(国1/2、都道府県1/4、市町村1/4)を負担することとし、その所要額(491億円)について地方交付税措置を講じる。

(エ)高額医療費共同事業(3,412億円)については、市町村国保の拠出金に対し、国及び都道府県が一部(国1/4、都道府県1/4、市町村国保1/2)を負担することとし、その所要額(853億円)について地方交付税措置を講じる。

(オ)国保財政安定化支援事業については、国保財政の健全化に向けた市町村一般会計からの繰出しについて、所要の地方交付税措置(1,000億円)を講じる。

(カ)国民生活の質の維持・向上を確保しつつ、医療費の適正化を図ることを目的として、40歳から74歳までの国民健康保険加入者に対して糖尿病等の予防に着目した健診及び保健指導を行うため、特定健康診査・保健指導事業(470億円)に対して、国及び都道府県が一部(国1/3、都道府県1/3、市町村国保1/3)を負担することとし、その所要額(157億円)について地方交付税措置を講じる。

ウ 後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度については、実施主体である広域連合の財政基盤の強化のための支援措置を次のとおり講じることとしている。

(ア)保険料軽減制度については、低所得者に対する配慮として、後期高齢者の被保険者の保険料負担の緩和を図る(均等割2割・5割・7割軽減)とともに、被用者保険の被扶養者であった被保険者の保険料軽減を行うため、都道府県及び市町村が負担(都道府県3/4、市町村1/4)することとし、その所要額(2,626億円)について地方交付税措置を講じる。

平成26年度は、低所得者の保険料軽減措置(均等割9割・8.5割、所得割5割軽減)及び被用者保険の被扶養者であった被保険者の保険料軽減措置(均等割9割軽減)について継続される。また、被用者保険の被扶養者であった被保険者の保険料軽減措置に伴う平成26年度分の財政措置については、均等割9割軽減のうち4割分については国費により措置され、所要額が平成26年度予算に計上されるとともに、均等割9割軽減のうち5割分については、引き続き、地方交付税措置を講じる。

なお、70歳から74歳までの窓口負担軽減措置については、平成26年度から新たに70歳になる者から段階的に法定の負担割合(2割)に見直すこととされ、所要額が平成26年度予算に計上されている。

(イ)高額医療費負担金(2,837億円)については、広域連合の拠出金に対し、国及び都道府県が一部(国1/4、都道府県1/4、広域連合1/2)を負担することとし、その所要額(709億円)について地方交付税措置を講じる。

(ウ)財政安定化基金については、保険料未納や給付増リスク等による後期高齢者医療広域連合の財政影響に対応するため、都道府県に基金を設置しその拠出金(284億円)に対して国及び都道府県が一部(国1/3、都道府県1/3、広域連合1/3)を負担することとし、その所要額(95億円)について地方交付税措置を講じる。

(エ)実施主体である広域連合に対する市町村分担金、市町村の事務経費及び都道府県の後期高齢者医療審査会関係経費等について所要の地方交付税措置を講じる。

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