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平成26年版
地方財政白書
(平成24年度決算)

2 社会保障・税一体改革

平成24年2月17日に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」においては、社会保障の機能強化を確実に実施するとともに社会保障全体の持続可能性の確保を図ることにより、全世代を通じた国民生活の安心を確保する「全世代対応型」社会保障制度の構築を目指すとされた。また、社会保障は、子育て、医療、介護などの多くが地方公共団体を通じて国民に提供されており、地方公共団体の役割も極めて大きいことから、国と地方が一体となって、安定的に実施していくことが重要であり、今回の改革は、国・地方双方が協力しながら推進していく必要があることが示された。

大綱の閣議決定後、平成24年8月10日に「社会保障制度改革推進法(衆法)」をはじめ、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」及び「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律」(以下「税制抜本改革法」という。)を含む、いわゆる社会保障・税一体改革関連8法が成立した。

税制抜本改革法において、地方財政に関連する内容は次のとおりである。

(1) 消費税率(国・地方)は、平成26年4月より8%へ、平成27年10月より10%へ段階的に引上げを行う。

(2) 地方消費税の現行の税率100分の25(消費税率換算1%)を、平成26年4月より63分の17(同1.7%)へ、平成27年10月より78分の22(同2.2%)へ引き上げる。

(3) 消費税に係る現行の地方交付税率29.5%(消費税率換算1.18%)を、平成26年度から22.3%(同1.40%)、平成27年度から20.8%(同1.47%)、平成28年度から19.5%(同1.52%)とする。

(4) 引上げ分の地方消費税(市町村交付金を含む。)については、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費その他社会保障施策に要する経費に充てるものとする。

(5) 引上げ分の地方消費税に係る市町村交付金については、上記(4)のとおり社会保障財源化されることを踏まえ、全額人口により按分して交付する。なお、現行分の地方消費税に係る市町村交付金の交付基準(人口:従業者数=1:1により按分)は変更しない。

(6) 消費税率(国・地方)の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、デフレ状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講じる。

(7) 税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、地方消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する(衆議院で修正追加)。

(8) 法律の公布後、消費税率(国・地方)の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、消費税率(国・地方)の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、上記(6)及び(7)の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講じる。

また、社会保障制度改革推進法(衆法)及び税制抜本改革法とあわせて平成24年8月10日に成立した社会保障改革関係の関連法は、次のとおりである。

  • 子ども・子育て支援法
  • 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律(衆法)
  • 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
  • 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律
  • 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律

社会保障制度改革については、平成24年8月10日に成立した「社会保障制度改革推進法」(平成24年法律第64号)に規定された基本的な考え方と基本方針に基づき、社会保障制度改革国民会議(以下「国民会議」という。)において、審議することとされた。国民会議は、「社会保障・税一体改革大綱」その他既往の方針のみにかかわらず、幅広い視点に立って、改革を行うために必要な事項を審議するため、「社会保障制度改革推進法」に基づき、内閣に設置されたものであり、平成24年11月30日から20回にわたり議論が重ねられ、平成25年8月6日に報告書がとりまとめられた。

この報告書では、社会保障4分野について、抜本的な改革の方向性が示されるとともに、子育て・医療・介護など社会保障の多くが地方公共団体を通じて国民に提供されていること等を踏まえ、制度改革については、地方公共団体の理解が得られるような改革とし、国と地方がそれぞれ責任を果たしながら、対等な立場で協力し合う関係を築くことが重要とされた。

さらに、社会保障制度改革推進法では、社会保障制度改革については、法律の施行後1年(平成25年8月21日)以内に、国民会議における審議の結果等を踏まえて、必要な法制上の措置を講じることとされており、平成25年8月21日に「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子について」が閣議決定された。

この骨子に基づき、「法制上の措置」として、社会保障制度改革の全体像・進め方を明示するものとして、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」が平成25年10月15日に国会へ提出され、12月5日に成立した。

「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(平成25年法律第112号)においては、講ずべき社会保障制度改革の措置として、改革に向けた具体的な検討事項とその実施時期・法案の提出時期の目途について定められたほか、改革推進体制(社会保障制度改革推進本部及び社会保障制度改革推進会議の設置)や地方自治に重要な影響を及ぼす措置に係る協議なども定められた。

消費税関係では、「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」において、経済状況等を総合的に勘案した検討を行った結果、消費税率(国・地方)については、平成26年4月1日に5%から8%へ引き上げることが確認された。

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