会議資料・開催案内等

情報通信審議会電気通信事業部会(第40回)議事録




第1    開催日時及び場所
平成16年3月16日(火) 14時00分〜15時05分 於、総務省第一特別会議室

第2 出席委員(敬称略)
 
根岸 哲(部会長)、酒井 善則(部会長代理)、辻 正次、東海 幹夫、

(以上4名)

第3 出席関係職員
(1)    総合通信基盤局
江嵜 正邦(電気通信事業部長)、武内 信博(総合通信基盤局総務課長)、
吉田 靖(事業政策課長)、鈴木 茂樹(料金サービス課長)、
奥 公彦(消費者行政課長)、大橋 秀行(事業政策課調査官)、
泉 宏哉(料金サービス課企画官)

(2)    事務局
福岡 徹(情報通信政策局総務課長)

第4 議題

 (1 )「公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドライン」の見直しについて
【平成16年1月30日諮問第1108号】

 (2 )「接続料規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令」について
【平成16年1月30日諮問第1109号】

 (3 )「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社に係る第一種指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可(平成15年度接続料に係る見込み通信量等による精算)」について【諮問第1112号】
 (4 )電気通信事業分野における個人情報保護について【報告】







開会

根岸部会長  それでは、時間がまいりましたので、情報通信審議会電気通信事業部会第40回会議を開催いたします。
  本日は、委員7名中4名が出席されておりますので、定足数を満たしております。
  本日は、公開して会議を行います。傍聴の皆様方には、「注意事項」を遵守いただきまして、静粛に傍聴くださいますようお願いいたします。

議題

 
(1)  「公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドライン」の見直しについて
  (平成16年1月30日諮問1108号)

根岸部会長  それでは、お手元の議事次第に従いまして議事を進めていきたいと思います。
 まず初めに、諮問第1108号「公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドライン」の見直しについて審議いたします。
 本件は、本年1月30日開催のこの部会におきまして諮問いただいたものですが、2月26日までの間、意見募集を行いました。
 本日は、意見募集の結果の報告等を含めまして、総務省のほうから説明をお願いいたします。
大橋事業政策課調査官  事業政策課調査官をしております大橋でございます。
 それでは、お手元の資料1に従いまして、ご説明を申し上げたいと思います。
 まず、資料の確認をさせていただきます。通し番号を振ってございますが、1ページ目に答申案をつけさせていただいております。2ページ目のほうには、意見をいただいた方々の一覧。3ページ目には、その意見者としての中国電力株式会社の意見。5ページ目には、九州電力株式会社の意見。6ページ目には、電気事業連合会の意見。それから、7ページ目に、別添2といたしまして、諮問事項についての意見に対する考え方の一枚物。8ページ目以下が、今回の改正の内容の概要というふうになっております。
 まず、今回の改正につきまして諮問させていただいた内容でございますけれども、今の資料の8ページをご覧いただきますと、そこに「公益事業者の電柱、管路等使用に関するガイドライン」改正案の概要というものをつけさせていただいております。
 4つの項目が今回の改正内容になっておりまして、1点目は、電気通信事業法改正に伴う規定の整理的なもの。それから、2点目に、一時使用の場合の使用可能時期の明示の点。3点目に、使用可能時期の照会に対する回答の努力義務。4点目に、支線共用拒否理由の通知の制度化というものでございます。
 (3)、(4)は、現在、行われております手続についての運用を、努力義務を含めて規定をさせていただいたものでございます。それから、1点目は、規定の整理的なものでございますから、実質的に今回の改正によって運用に変更をもたらすものとして、2点目の一時使用の場合の使用可能時期の明示というものがございました。現行ガイドラインでは、設備保有者の使用予定事業年度まで1年以内の場合については、貸与しなくてもいいということになっている部分について、電線の一時移転等のために必要な場合に限って、1年以内であっても貸与することが必要であるということに変えようではないかという内容でございました。
 今回の改正内容につきまして3者の方々から意見をいただいておりまして、それが2ページ目のほうに上げております内容でございます。意見提出者一覧としまして、企業としては中国電力株式会社、九州電力株式会社、それから団体として電気事業連合会、この3者の方々のご意見を頂戴しております。3ページ目のほうには、中国電力株式会社のほうからの意見を上げておりまして、5ページ目には九州電力株式会社、それから6ページ目には電気事業連合会というふうになっております。
 いずれも電気事業者の方、あるいは団体の方からのご意見でございまして、全体を6ページ目の電気事業連合会のご意見を中心にご説明させていただきますと、大きく言うと2つの点になっております。1点は、本ガイドラインのうちの実質的な変更としての5年ルールの例外というものについて、この種の例外的なものについての取り扱いということが、実質的に公益事業の遂行に支障を来たすことを危惧していますというような内容。それから、もう1点は、ほかの事業者の方々のご意見と共通しますけれども、ほぼ運用を3年に至って基本的なルールというものができ上がって来ていますから、そうであれば一律的な適用というようなことをやめて、例えば定期的な見直しというものについて制度のありようをもう一度考え直していくべき時期ではないかと。この2つの意見をいただいているように思います。
 今回の改正に関しまして、1年以内のルールについては改正案にお示ししたとおりでございますけれども、もう1点のご指摘、すなわち基本的なルールがほぼ整理されてきているのではないか。したがって、一律的な適用をこの際改めるべきではないか。あるいは、毎年毎年の見直しということについて、これを不定期なものに変えていくというようなことも必要なのではないか。こういうようなご意見を頂戴している次第でございます。
 以上のようなご意見を踏まえまして、今回の答申案でございますが、1ページ目のほうをご覧いただきたいと思います。現行の制度というものにつきましては、まさに光ファイバー等の高速インターネットの整備のために必要な手続等を定めていくということであります。したがって、今回の改正にありますような手続というものも、その趣旨に合致しているというふうに考える次第であります。
 中段にありますように、「今般、総務省が作成し、当審議会に諮問した改正案については、これにより、線路敷設の一層の円滑化が図られるものと期待することができるものであり、適当であると認められる」「なお、パブリックコメントへの意見提出者は別添1のとおりであって、提出された意見に対する当審議会の考え方は別添2のとおりである」というふうに案をさせていただいております。
 別添2のほうに整理させていただいております当審議会の考え方をご覧いただきますと、7ページ目のほうについてございます。改正案の中に直接触れてはございませんけれども、一律の適用という問題、あるいは毎年毎年これを見直していくというようなことについては、基本的な枠組みができているので、この際、改めてはどうかというご意見をいただいております。この点につきましては、確かにこれまで実績を相当上げてきているということ、並びに基本的な骨組みの部分はおおよそ固まってきているということがございますので、改正の必要性を含めて、来年度に実施する事前アンケート等の中で借り手側と貸し手側の双方の意見をもう一度確認し、附則の改正の是非等についても改めて検討してみたいというふうに考えておりますので、今回は、こういう考え方を付した上で、答申案のような形で対処させていただきたいというふうに思います。したがいまして、この答申案についてご審議をいただければ幸いでございます。
 以上です。
根岸部会長  ありがとうございました。
 それでは、ただいま「公益事業者の電柱、管路等使用に関するガイドラインの見直し」についてご報告いただきました。ご質問なり、ご意見がありましたら、お願いします。
辻委員  具体的な例として改正によってどのような問題が解消できるのか、ご説明だけでは、専門家じゃないものですから。例えば、具体的にどんな問題があって、その問題に対してうまく解決できますというようなものがあれば、一、二ご紹介願えますでしょうか。
大橋事業政策課調査官  実質的な変更としましては、イメージでございますけれども、10ページ目のほうに新たな一時使用ルールの創設というものを絵にしてございます。これをご覧いただきますと、おおよそ今回の改正の実質的な変更点がわかろうかと思います。通常、電柱を借りたいという場合、当然その電柱については公益事業に用いているわけですから、きょう貸してください、じゃ、あしたからというような話にはならない。そうであれば、公益事業の公共性の観点との兼ね合いの中で何がしかのルールが必要だということで、当初は5年間ルールを設け、以降、改正によって1年を超えるような期間であれば貸与するというルールにしてございました。この絵にありますように、1年を超えている場合については貸与しなければならないけれども、設備保有者の使用予定日が1年以内の場合についてはルール上、明確にしてございませんでした。
 ただ、実際問題として、CATVの事業者の方々からの要望などによりますと、地中化のために一時的に電柱を借りたいというような場合がある。この場合には、当然、臨時のものですから、電気事業者の方々などに事業の遂行上、特段問題が発生するとも思えない。そうであれば、そういう例外的な扱いではあるけれども、1年以内の場合についても、貸与してほしいというような要望でございます。
 我々のほうでその検討をし、事業者の方々と意見を交換したところ、1年以内であっても、そういうケースについては貸与するということで問題は発生してこないだろう。そういうことで今回の改正に至った次第でございます。 
根岸部会長  ほかにございますか。
 よろしいでしょうか。ほかに意見がございませんようでしたら、今の諮問第1108号につきましては、お手元の資料の1ページにありました答申案どおりの答申を行うということにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。

 
(2)  「接続料規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令」について
  (平成16年1月30日諮問1109号)

根岸部会長  次に、諮問第1109号「接続料規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令」について審議したいと思います。
 本件は、今年1月30日のこの部会におきまして総務大臣から諮問を受け、2月26日までの間、意見募集を行いまして、これを踏まえまして、接続委員会で検討をお願いしておりました。
 そこで、本日は、接続委員会からの検討結果の報告を主査であります東海委員のほうからお願いしたいと思います。
 では、よろしくお願いいたします。
東海委員  ご報告させていただきます。
 接続料規則の一部を改正する省令は、簡単に言えば、長期増分費用方式(LRIC)を用いて算定される接続料について、算定方法を規定したものでございます。この附則に規定された接続料の精算の方法、長期増分費用方式の上に現実のトラフィックの変動に応じて清算するというルールを乗せたわけでございますけれども、その後のルールの変更をいろいろとかんがみておりますところ、きょうご説明申し上げるルールの変更については、その精算の方法について少し修正を加えなければならないというような考え方の問題でございます。資料2で説明いたしたいと思います。
 はじめに、資料2の8ページで、現行の精算の方法と今申し上げた環境変化の部分を簡単に振り返っておかなければならないかと思っています。現行の接続料は、平成13年度の下期と14年度の上期のトラフィックを用いて算定しているわけでございますが、事後的に平成15年度、または16年度のトラフィックが15%以上変動した場合に精算を行うというルールを決めたわけでございます。この場合、トラフィックを増加させるインセンティブを与えるという意味もありますし、また加えれば、変動の原因者負担という意味もございまして、NTT東西と接続事業者、いわゆるNCCグループのおのおののトラフィックの変動率に応じて精算額を算定するというような方式を導入したわけでございます。
 先ほどその後のルールの変更を踏まえてと申し上げたわけでございますけれども、そのルール変更というのは、固定電話発携帯電話着呼の料金設定に係るものでございます。ローカル(L)とモバイル(M)の呼の問題でございます。従来、固定電話発携帯電話着呼については、着側の携帯電話事業者がまとめて利用者料金を設定してまいりましたけれども、一昨年11月の総務大臣の裁定、それから昨年6月の料金設定のあり方に関する研究会報告書を受けて、本年4月から、固定電話網部分については、NTT東西を含む中継事業者が料金設定を行うことを可能とするという、いわゆるぶつ切り方式となる方向で、現在、事業者間において調整中ということを聞いているわけでございます。
 仮にこういう変更が行われた場合には、従来、すべて接続事業者のトラフィックであったものが、ルール変更によって、その一部がNTT東西のトラフィックとしてカウントされてしまい、接続事業者が負担する精算額が増加するということになってしまうわけでございます。シェアの移行が完全に営業努力といいましょうか、企業努力といいましょうか、そういうものであればよいわけでございますけれども、このようなルールの変更に伴うものを精算に反映させることは、そもそもこの省令改正の趣旨に照らして妥当ではないという考え方で諮問があったわけでございます。したがって、本件改正省令は、平成16年度においてこのような料金設定の変更があった場合には、固定電話発携帯電話着呼のトラフィックを精算額算定の基礎となるトラフィックから除くことを規定するといったものでございます。
 この申請につきましては、本年1月30日から2月26日まで意見聴取を行いまして、4者から意見が寄せられたわけでございます。お手元の資料2の2ページから別添で、ご意見と考え方を取りまとめているところでございます。意見1は、賛成するという意見でございました。意見2については、どちらかというと企業努力なんだ、営業努力なんだという視点から、除外は不適切という考え方でございますけれども、私どもの考え方は、あくまでもルール変更という視点に着目して省令改正を求めているということでございますので、そのような整理をさせていただいております。
 1つ、少し細かいお話になりますけれども、3ページの意見3でございます。これは、NTT東西から、固定電話発携帯電話着呼のトラフィックを精算額算定の基礎となるトラフィックから除く場合の計算方法についての不都合といいましょうか、不整合を指摘するご意見でございます。具体的に、1つは、全事業者平均の精算料金を求める通信量と、接続事業者の精算料金を算定するために乗じる比率を求める通信量が異なってくることになるわけでございますけれども、そのために精算額に過不足が生じるという点でございます。2番目に、仮に固定電話発携帯電話着呼をすべて接続事業者が獲得したという場合を想定いたしますと、現行の算定式による精算乗率を下回る場合が出てくるのではないかと。こういうご指摘でございます。
 これについては、実は接続委員会でいろいろと議論が出ました。精算上の差異は、小さな金額だろうと思いますけれども、確かに生ずるので、理論の整合性がとれていないのではないかというご指摘もあったり、その部分も計算上調整してみたらどうかという意見があったり、いろいろとけんけんごうごう接続委員会で審議が行われたわけでございます。
 結果、確かに本省令改正がもともと予定いたしておりました前提条件と整合的なものにならないという事実はあるということが確認されましたが、最終的な結論といたしましては、平成15年度及び16年度の接続料の議論においては事後精算という方法を規定いたしまして、その上に、精算の方法としては、先ほど申し上げましたような原因者負担といいましょうか、あるいはインセンティブを付与するという意味におきまして、応分の負担というような理屈をその上に乗せたわけでございます。1つ1つ考え方として独立した意図を持ってこの制度をつくり上げてきたわけでございます。今回この省令改正も、料金設定の変更というルール変更を反映するのが適切であろうと考えたわけでございます。平成16年1年間の措置であるということも踏まえ、既存の前提条件の一部に理論的な部分、あるいは計算的なといいましょうか、不適合の部分が存在するということは、やむを得ないのではないかという結論に至ったわけでございます。考え方の3は、そのような議論を踏まえたものとなっております。
 それから、それ以降のご意見につきましては、精算そのもののご意見でございましたので、今回のルール変更によるところの省令改正という視点からもう少し大きな問題ではございますが、これは別途17年度以降のLRICによる接続料算定方式のあり方論というところでもって今後議論を続けていかなければならないのではないかというふうに思っているところでございます。
 したがって、結論といたしましては、本件については、当委員会は諮問のとおり認可することが適当ということを接続委員会で議論いたしまして、ここにご報告させていただきたいと思っております。
根岸部会長  ありがとうございました。
 それでは、ただいま接続委員会からの検討結果の報告がございました。報告、あるいはご説明につきまして、ご意見、あるいはご質問がありますか。
 酒井先生、接続委員会のメンバーでいらっしゃいますね。もし何か補足したいことがありましたら。
酒井部会長代理  今、東海委員がご説明されたとおりだと思います。確かにいろいろと予想に反した事態が生じましたので、それによってトラフィックの計算式そのものが必ずしも最初に考えたとおりの整合性のよさというのがちょっと失われたところもございますけれども、全体としてある程度こういう形で割り切っていいんじゃないだろうかというのが接続委員会の結論でございました。
根岸部会長  ありがとうございました。
 ご意見がありましたらお願いします。
辻委員  1点、金額的にはそう大きな問題ではないようなことをおっしゃいましたけれども、具体的にどのくらいの金額ですか。全体のトラフィックから見て何%とか、あるいは精算から見て何%とか、もし何か具体的なもので計算されておられましたら教えていただけませんでしょうか。
鈴木料金サービス課長  料金サービス課長の鈴木でございます。
 具体的に幾らという計算はしておらないのですが、今回外しましたトラフィックの量のイメージから言いますと、全体のトラフィック量の4%程度。
根岸部会長  よろしいですか。
辻委員  はい。
根岸部会長  ほかにございますでしょうか。
 それでは、ほかにございませんようでしたら、諮問第1109号につきまして、お手元の答申案のとおり答申したいと思いますので、よろしいでしょうか。
  (「はい」という声あり)
根岸部会長  それでは、そのように決定いたします。

 
(3)  「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社に係る第一種指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可(平成15年度接続料に係る見込み通信量等による清算)」について(諮問第1112号)

根岸部会長  続きまして、諮問第1112号、NTT東西に係る第一種指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可、いわゆる通信量等による精算について、総務省のほうから説明をお願いいたします。
鈴木料金サービス課長  料金サービス課長の鈴木でございます。資料3に基づきましてご説明をさせていただきます。
 本件は、昨年4月に認可されました東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社に係ります第一種指定電気通信設備に関する接続約款の変更。これは接続料規則の一部を改正する省令を改正する省令の施行に伴います約款の変更において規定されました見込み通信量等による精算、いわゆる仮精算と称しておりますが、それを行うものでございます。
 まず、資料3の2ページをご覧いただきたいと思います。1の経緯のところでございますけれども、昨年4月に施行されました接続料規則の一部を改正する省令の附則におきまして、精算が規定されました。それは東海委員のほうからもご説明をいただきましたとおりでございますが、簡単に言いますと、認可接続料の算定に用いた通信量と平成15年度、または平成16年度の見込み通信量を比較して、15%を超えて変動した場合に精算を行うこととし、その負担はNTT東西と接続事業者NCCの通信量の変動率に応じて配分するというものでございます。
 あわせまして、その際に接続約款において、接続事業者側が当該事業年度中に概算払いによって費用計上を可能とするために、精算を行うことが想定される場合に、見込み通信量による精算(仮精算)の手続を行うことを規定したものでございます。これは当該年度のトラフィックの変更によりまして、実際にはトラフィックが確定するのは大体翌年度の9月ごろになりますので、それまで一体幾ら払うのか確定しないということが経営に影響を与える場合があるということもありまして、仮精算額ということで費用計上できるようにするものでございます。この規定に基づきまして、平成15年度の見込み通信量といったものが15%を超えて変動していたために、NTT東西において仮精算の料金を算定し、その額を接続約款に規定するものでございます。
 次に、具体的な精算料金の算定についてご説明いたします。3ページ目をご覧いただきたいと思います。まず、接続約款に既に規定された方法に基づきまして平成15年度の見込み通信量を算定いたします。回数とか、あるいは時間別、通話形態別、事業者別といった各区分ごとに平成14年度の実績通信量に1+対前年度見込み増減率といったものを乗じまして、その結果をもとに、経由回数を加味し、加入者交換機経由通信量を算定してございます。
 なお、対前年度見込み増減率は、平成15年4月から平成16年1月までの対前年度増減率の実績と平成16年2月及び3月の対前年度増減率の見込みを加重平均しまして算定したものでございます。
 その結果が、算定結果の表の平成15年度見込み欄の通信量でございます。これと前回接続料を算定しました平成13年度下期及び平成14年度上期の欄の通信量との変動率が、右側の変動率の欄にある数値となってございます。このうち、網かけをしてございますマイナス24.2%という数字が、先ほどご説明いたしました仮精算の発動要件となる部分でございまして、15%を超えて変動しておりますので、仮精算を行うこととなります。
 続きまして、4ページをご覧いただきたいと思います。先ほどの見込み通信量等に基づきまして精算料金の算定を行います。先ほど算定した変動率を(1)の表の注書きの計算式にそれぞれ代入しますと、右の欄の負担比率がそれぞれNTT東西とその他の事業者という形で求められます。
 これに基づきまして、下の(2)の表でございます。2)の平成15年度見込み通信量等を用いて再計算した接続料と1)の認可接続料との差額、それが3)の差額ですが、ここに先ほどの負担比率を乗じることによりまして、それぞれの接続事業者の仮精算料金を求めてございます。
 参考までに、(2)の表の一番下に3分換算の値を記しております。現在の実施接続の接続料が4.37円、これが一番左側の数字でございます。これにトラフィックの変動によりまして、もし平均的に精算額を計算したとしましたら、5.52円という次の欄になりまして、差額が1.16円の負担となる。これにそれぞれのトラフィックの増減に対する寄与率といった負担費率で案分しますと、新規の事業者分が0.45円という形で、それぞれの負担を盛り込んだ新たな接続料の水準といったものが、その他の事業者は4.82円。そして、NTT東西は、内部の利用部門から管理部門に対する支払額を参考までに計算いたしますと6.53円ということで、それぞれトラフィックの増減に対する応分の負担といったことで、NTT東西以外のその他の事業者さんの精算額が小さい結果になってございます。
 この単価に基づきまして仮精算を行いますと、NTT東日本が約180億円、NTT西日本が約160億円。すみません、これは資料を戻りまして、1ページの一番下の参考のところに書いてございますが、合わせまして340億円を新しくその他の接続事業者様からお支払いいただくという形になってございます。ちなみに、同じNTTグループのNTTコミュニケーションズさんとNTTドコモさんを除きますと、NTTグループ以外といった意味での他事業者様からの新たな追加の支払いは210億円といった水準となります。
 以上のような申請の内容につきましてご審議をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
根岸部会長  ありがとうございました。
 それでは、ただいま総務省のほうから説明をいただきましたので、ご質問なり、ご意見がありましたらお願いいたします。
東海委員  先ほどルールの変更による省令改正の問題でも精算問題が出てきて、少し私のほうからご説明申し上げたわけでございますけれども、具体的にいくと数字が出てきて、仮精算をすると。その内容を接続約款の変更ということで申請があったという意味でございましょうと思いますけれども、計算の構造で、これまで決めてきた精算の方式も含めて、案分負担の方式も含めて、特に何か変わったところというか、あるはずないと思いますけれども、なしという理解でよろしゅうございますか。
鈴木料金サービス課長  はい。今回は、前回の省令及び約款に定められました方式に基づく仮精算ということで、特段の変更点はございません。
東海委員  それを1つ確認させていただいたわけですけれども、もう少し砕いて、今の環境を考えると、現実にこの精算の方法、15%を超えるというのは非常に大きいことだなという意識があったので、15%のところで線を引いたと。ところが、現実には24.何%でしたか、超えているわけですね。15%をかなり超えているということで、具体的にその部分をいわばNTTNCC全員で何とか負担し合わなければならないと。そういう理屈でしたね。
鈴木料金サービス課長  まさにそうでございます。現実に事業者さんが共有しているネットワークの部分にかかりますコストを何らかで負担しないといけないということで、こういった精算という形を取り入れてございます。
東海委員  結局、接続料というのは、だれかどこかの事業者が負担するという考え方でこれまでもやってきたし、これからもそれしか方法がないのかどうか。全く比較にはなりませんけれども、例えば国鉄のときどうだったかというような、全く違う視点から見た場合、果たしてそういう視点が必要になってくるのかどうか。仮精算の接続約款の変更のときにこういう質問をするのは適当でないかもしれませんけれども、少し大げさのようですけれども、基本的には国全体で情報通信網を構築してきたという理解の中で、ある一つのルールを設定して事業者間で負担し合おうとするルールができたわけです。その事業者間で負担し合おうとするルールで考える場合には、どちらに寄らざるを得ない。NTTの負担が多くなるのか、あるいはNCCの負担が多くなるのか、そのトレードオフの関係のやりとりの範囲で議論を進めることだけでいいのかどうかという問題が現実に少し起きていますので、どうも考えざるを得なくなってしまいます。
 料金サービス課長にいうのは酷なことかもしれませんけれども、何かお考えなり、あるいはこういう事実を目の当たりにされて、ご感想みたいなことが行政におありになられましたら一言ご発言いただければありがたいなと思います。
鈴木料金サービス課長  まさにこのようにトラフィックが平均で20%を超えて落ちていくような状況、もう少し3ページの算定結果を見ますと、一番右端の下から2つ目の段ですが、NTT東西さんにおかれましては、GC接続の点が38.9%もトラフィックが落ちていると。こういった状況というのは、これまで通信の自由化をして以降、通信が発展してきた中から、なかなか想像しておらなかったような世界でございます。この背景としては、携帯電話の普及とか、あるいはインターネット電話が普及し始めたといったような、いろいろな新しい技術に基づく新しいサービスの出現といったものが背景としてあるんだろうと思います。
 この接続の制度というのは、電話の時代に電話ネットワークを使って競争的に皆さんがサービスを提供するという中で、かかるコストをどのように負担していくのかということでこれまでずっと検討してまいりまして、前回も従来の手法を踏襲して、平成15年度及び平成16年度の接続料については、このようにみんなで負担するということになってございますけれども、先生がおっしゃるように、果たして今のままかかったコストをトラフィックで割って、みんなで負担することがいいのかどうかというのは、まさに前回の接続のご答申を審議会からいただきましたときにも、平成17年度以降の接続料のあり方につきましては、ノントラフィックセンシティブコストの負担の在り方等も、その基本料や施設設置負担金の在り方も踏まえて、もっと検討すべきであるというようなご指摘をいただいておりますので、私どもも、15年度・16年度はこのように決めましたので、ルールとしてそのまま適用したいと思いますが、平成17年度以降の接続料につきましては、まさにいろいろな観点から検討してまいりたいと思いますし、審議会の先生方にも、新しい接続料の在り方といったものを少しご審議いただきたいというふうに考えてございます。
東海委員  ありがとうございました。
 もう1つだけ、続いて同じことですけれども、今おっしゃったとおり、結局、15年度・16年度については、一つのルールがもう確定してしまっているわけですから、微調整的なこと、先ほどのような問題はさておきまして、大枠はもう決まってしまっている。とはいえ、今日みたいな仮精算から本精算に、そして今度は16年度分という形でもって現実の姿が押し寄せてくるわけで、おそらく事業者ばかりでなくて、接続料から今度は利用者料金に反映する問題について、エンドユーザーの方たちも、情報通信市場の料金全体がこれからどうなってしまうのかと。そういった問題が出てくると思うんです。17年度と言いましても、その枠組みを構築する時期はもう始めなければならないじゃないかということです。今までの復習でございますけれども、17年度向けに動かれておられることが幾つかあったように思いますけれども、そのあたりを少しご説明いただけますでしょうか。
鈴木料金サービス課長  17年度以降の接続料の在り方の検討に関しましては、まずはネットワークが一体、全体でどれくらいの費用がかかっているのかといったものを明らかにするために、LRICというモデルを実際にトラフィックが落ちてきた現状に合わせるように少し見直したらいいんじゃないかということで、LRICモデルの研究会をつくりまして、現在そちらの研究会でご審議をいただいてございます。今はもう最終的な面に来てございまして、報告書案といったものを取りまとめ、現在パブリックコメントに付している最中でございます。このパブコメを終えまして、できましたら4月中にでも研究会のほうで最終的な報告を取りまとめていただきまして、可能であればLRICモデルで計算したコストに基づきまして接続料のあり方をどうすべきなのかということを、それ以降、審議会の先生方にいろいろご審議いただきたいというふうに考えてございます。平成17年4月1日からの新しい接続料になりますので、平成17年3月中までにはすべての手続を終えるというのが一番理想的な姿だというふうに考えてございます。
 以上です。
東海委員  LRICモデルだけでなく、少し前のご報告の中に基本料問題がありましたね。
鈴木料金サービス課長  基本料と負担金につきましても研究会を設けまして、昨年6月から11月ぐらいまで検討しました。その中で、基本料における費用の配付の基準の在り方、それから、電話の加入者が減っているという中で、加入時に7万2,000円を払うことが果たして適当なのかどうかという意味での施設設置負担金の在り方、これにつきましては、廃止も含めて検討というようなご意見もいただいておりますので、次回の接続料の在り方の中では、そういったいろいろな要素をすべて見ながら、接続料といったものをご審議いただくことをお願いするようになるかなというふうに考えてございます。
東海委員  これは前回の接続委員会で皆さんと話し合ったことでございますけれども、接続委員会は、電気通信事業部会で諮問を受けたものにつきまして詳細に審議し、議論するという場でございます。おおむね今言ったような状況が17年度向けの問題点としてかなり動きが明確になってきていること、それから、必ずしも従来型で踏襲し、枠組みを少し微調整すればよしとするものでもなさそうだというような状況、今日の仮精算問題を含めて、そういう実態が目の前に明らかになってまいりましたので、接続委員会は、場合によっては、電気通信事業部会からのご指示ではない、勉強会的な意味も含めて、現状把握というものを早くしなければならないと。そういう意味で、接続委員会独自の判断で開催させていただくことを、とりあえず事務局とご相談させていただいておりますけれども、電気通信事業部会におきましても、ご理解いただければありがたいと思っております。
根岸部会長  わかりました。今おっしゃったことは多分委員の皆様にご異論はないと思います。今いろいろお話がございましたように、固定というか、その通信量が予想よりも急速に、あるいは大幅に減っているということを踏まえまして、さまざまな接続料、基本料、あるいは利用者料金、負担金など、全体を含めて制度設計を早急に考えなければならないということで、一々部会の何らかお願いするということに基づかずに、全体として接続委員会で今のような問題を検討していただくということは、多分部会にとってもありがたいことだと思いますので、そのようにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
東海委員  ありがとうございます。
辻委員  今の東海委員のご提言というか、発言には全く賛成であります。
 そもそも当初LRICが検討に上がったのは、今から10年以上前です。LRICという名前がつく前に、欧米でこういうのがあるというのをかぎつけられて、私も欧米の電気通信関係の研究者とか、FCCとか、オフテルとかに行って聞きました。そのときはこの名前は上がりませんでしたけれども、研究会を精力的にやって、郵政研究所で電気通信の世界的な方を集められたりした。それで、芽が見えてきて、諸外国でも実際に運用になって、日本はそれを非常に精緻な形で大々的に入れた。ほかはいろいろな方式でミックス的なものがありますけれども、日本はLRICというのを真正面から入れられたわけです。
 それはある意味で成功でよかったと思いますが、今、東海委員が言われましたように、条件が非常に変わってきているんです。今の検討の在り方というのを聞いていますと、一部の手直しだけですね。基本料金の在り方、ノントラフィックセンシティブの在り方、施設設置負担金、それだけで今の現状に対処できるとはとても思えないんです。
 ですから、LRIC自身の見直しというか、ある意味でLRICが出てきましたように理論的に考える。LRICの目的は、競争の入らないローカルに競争を入れましょうという趣旨でありましたから、その目的は果たしましたけれども、そのほかの点でほころびが出てきています。ローカルでも、ネットワークをどう維持していくかという視点、つまりどんどん伸びていって、みんな通常のローカルの回線を使わなくなって、そのまま維持できなくなるというのが危機感の原因です。ですから、もう少し枠を広げて、対処療法的に案を練るというのも一つのやり方でありますが、LRICの最初にありましたように、理論的な検討というか、ネットワークをどう維持していくのか、あるいはどういうふうにすべきかという、そういうようなところから政策的にどういうふうに負担するのかというようなことも出てくると思います。17年度の改正には間に合わなくなるかもしれないけれども、対処療法的なものと、もう一つ根本的な、理念的なもの、それを両建てでやっていただくと非常にうまく回っていくのではないかというふうに思いますので、一つ希望しておきます。
酒井部会長代理  今の両委員のお話のとおりなんですが、基本的に接続料金は電話がメジャーサービスであって、その上に、例えばだんだん携帯ができ、あるいはそれを使ってインターネットをすると。そういった時代の考え方じゃないかと思うんですが、だんだん主役が交代してきて、携帯のほうがトラフィックの中心になるし、もう少したつと、もしかするとIPのほうが中心になるかもしれない。そうすると、電話の上に乗ったITサービスという考えじゃなくて、もしかすると逆になるかもしれない。特に、ユニバーサルサービスという考え方そのものも電話等になっておりますけれども、これ自体がもしかすると変わってくるかもしれない。そういうことを考えて、ネットワークをどういう形での料金体系でいくかというのは非常に大きな問題ですので、17年にすぐその結論が出るとは思えないんですけれども、ただ、そろそろそちらの方向で動き出さないと、18年、19年になってくると時代が変わっている可能性がありますので、よろしくお願いしたいと思います。
根岸部会長  今かなり根本的な問題提起がございましたので、総務省におかれましても、鋭意検討をお願いしたいと思います。
 本件自体につきましては、具体的にはよろしいでしょうか。本件自体は一定のルールが既に設定されておりまして、そのルールに従って計算したものであるというふうに理解いたします。したがいまして、この諮問案は、それらの規定といいますか、ルールに従いまして、精算料金を、自動的と言うのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、機械的に計算したということでありまして、精算の方法につきましては既に議論を尽くしているというふうに思います。また、この問題は、接続業者が年度内に精算額を把握して決算に反映することを可能とするために規定されたものであるということを踏まえますと、意見聴取を行わないことといたしまして、本日、諮問のとおり答申をすることが望ましいのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  (「はい」という声あり)
根岸部会長  そうしましたら、本日、この答申案どおり答申するという決定をしたいと思います。どうもありがとうございました。
 これに関連いたしまして、根本的な今後の検討課題も指摘されましたので、総務省のほうでも、あるいは接続委員会のほうでも、いろいろ勉強会なり、研究会をやっていただきまして、ご検討の結果を報告していただきたいと思います。

 
(4)  電気通信事業分野における個人情報保護について(報告)

根岸部会長  次に、報告事項ということになろうかと思います。電気通信事業分野における個人情報保護につきまして、昨今いろいろ問題が出ておりますので、このことにつきまして総務省のほうから説明をお願いいたします。
奥消費者行政課長  消費者行政課長でございます。資料4、電気通信事業分野における個人情報保護の現状という資料でございます。
 まず、1ページ目でございますが、総務省としまして、これまで電気通信分野におきます個人情報の保護に関しましては、平成10年に電気通信通信事業における個人情報保護に関するガイドラインというのをつくりました。これに基づきまして、個々の事業者に指導を行い、また周知・啓発に努めてきていたところでございます。
 2ページ目でございますが、今回のソフトバンクBB、ソフトバンクBBというのが会社名でございまして、ヤフーBBというのがADSLを使うインターネット接続サービスのことでございますが、こういった顧客リストを入手した4名が恐喝未遂容疑で逮捕されております。そのうち2名は3月3日に起訴されております。警察が容疑者のほうから押収しました資料に基づきまして、その資料を照合しましたところ約450万件の顧客情報の流出が判明しております。
 内容としましては、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、ヤフーID、申込日ということになっておりまして、クレジットカード番号、あるいは銀行口座番号等は今回の照合の資料には入っていなかったということです。こういったクレジットカード番号等の信用情報につきましては、別会社でヤフーという会社がございまして、そちらのほうで管理をしていると。ヤフーBBのサービスの集金業務につきましては、ヤフーという会社が行っており、今回、流出しましたソフトバンクBBはそうした情報は持っていなかったということでございます。顧客リストの流出経路については、現在も警察が捜査中でございます。今回450万件という非常に数の多い顧客情報が漏えいしたものでございまして、過去にも前例がございません。そういう意味でも、総務省として極めて遺憾な事態であると認識しております。
 次に、3ページ目でございます。そういう認識もございまして、総務省としまして、電気通信サービスの利用者保護の観点から、ソフトバンクBBに対しまして、警察の捜査の進展ということもありますが、まずはソフトバンクBBのほうで、流出原因の究明、流出情報の特定、利用者への対応、委託先も含めた個人情報の安全管理の徹底ということを指導してきたところでございます。こういったことを踏まえまして、私どものほうも、ガイドラインの趣旨に照らして適切な取り扱いを求めていくことにしてございます。
 具体的には、4ページ目でございます。まず、これまでソフトバンクBBのほうから説明を受けた事実関係でございますが、先ほどから申し上げておりますように、資料を照合しました結果、451万余りの顧客情報が流出しております。今回逮捕された4名の中には、同社の二次代理店の役員もおりました。それから、派遣社員として同社のサポート部門、サポート部門というのはお客様の申告とか、苦情とか、そういったことに対応する部門ですけれども、そうしたところに勤務していた者がおりました。
 同社が流出経路に関しましていろいろ調査を行っておりますが、まず問題点としまして、アクセスログの保存が短期間であった。これは、顧客情報にアクセスする際の保存の期間ですけれども、1週間程度ということで、その1週間しか記録が残っていない。あるいは、監視部門が設置されていなかったと。アクセス状況の監視体制が不十分であったということがございます。それから、サポート部門の勤務していた者がとったのでございますけれども、そうしたサポート部門の従業員が一度に多くの顧客情報にアクセスすることが可能となっておりました。こういった問題が判明しております。
 なお、外部からの不正な侵入の形跡は残っていないということで、詳しくは警察のほうで現在捜査中でございます。
 私どものほうは、こうしたことに基づきまして、事件発生以降ほぼ毎日のように連絡をとりまして、ソフトバンクBBに対し指導を行ってまいりました。ソフトバンクBBのほうとしましては、そうしたことに基づきまして次のような対応をとっております。
  まず、利用者対応といたしまして、ソフトバンクBBがサービスを開始しましたとき非常に問題がございましたのは、申し込んだのにサービスがなかなかつかないとか、解約できない、そういったことを連絡してもなかなかつながらないという苦情がたくさん総務省のほうにも寄せられております。したがいまして、今回、苦情・問い合わせでそういうことが絶対ないようにということで、専用の電話窓口をきちんと設置しまして、お客様対応を行っております。
 それから、メール等によりまして、全加入者に報告、おわびをしております。また、流出が確認された加入者には、個別にも連絡をしております。また、いろいろな媒体を使いまして、以上のような報告、おわび文を掲載しております。
 また、流出しました情報の中にメールアドレスがございますので、そうしたメールアドレスも自由に変更が可能ということにしております。
 それから、同社としましては、自主的に全加入者に500円相当の金券を配付予定しております。昨日から配っているということでございます。
 それから、システム改善につきましては、まず、加入者情報に常時アクセスできる権限者というのがありますが、これが最初のころには160幾つかのID、その1つのIDに対しまして幾人もの者がアクセスすることができたと。実質もう少し多くなるんですけれども、非常にたくさんの者が常時アクセスできるということがありまして、この辺が問題であろうということになります。最終的には3人にしてしまうということにしております。
 それから、お客様対応のサポート部門も、出入りを非常に厳重にし、セキュリティへの十分なチェックを行う高セキュリティエリアで実施しまして、顧客情報はここでしか閲覧ができないと。
 それから、顧客情報にアクセスしたログにつきましては、記録をきちんと残すという意味で、以前は1週間というのをほぼ半永久的に保存するということでございます。
 それから、6ページ目でございますが、アクセスログの監視体制の強化ということで、以前は監視部門がなかったわけでございますけれども、現在、だれが顧客情報にアクセスしているか、あるいは本人がアクセスしているかということを監視部門できちんとチェックする。また、外からのアクセスに対しましても、よりファイヤウォールの強化を行っていくということも行っております。
 それから、メールサポート部門は、お客様からメールで問い合わせのあったものについてメールで返事をするという部門ですけれども、こうした部門につきましても、メールで自由にあちらこちらに送るということではなくて、例えば役職者に自動的にCCで転送されるなど、どこに送ったかを十分にチェックできるようにする。
 それから、顧客情報を他の記憶媒体へコピーとか、印刷できないようなシステムに対応するということです。
 また、社内体制としましても、社内に調査委員会を設置しております。あるいは、社外の有識者によって構成されます個人情報管理諮問委員会を設置して、外部の目から見てチェックを行う。
 また、情報セキュリティ管理責任者という者も任命しております。教育も、これまで十分に行われなかったというような形跡もございますので、すべての派遣会社並びに従業員に対して教育を行っていく。
 また、同社として自主的に役員の処分を行っております。
 先ほど申し上げましたクレジットカード情報などのような信用情報につきましては、ヤフーという会社が持っておりますので、こうしたソフトバンクBBだけではなくて、委託先とか、代理店における個人情報の管理のあり方についても、この際見直すように求めております。
 次に、7ページ目でございます。総務省の対応としまして、電気通信だけではなく、最近、広く漏えい事案が発生しております。最近ですとジャパネットたかたとか、三洋信販とか、昨年に至りますとローソンとか、ファミリーマートとか、幾つか多数発生しているところでございます。こうしたことを受けまして、3月12日に政府のほうでIT関係省庁連絡会議幹事会を開催しました。民間が保有する個人情報の徹底を図ろうということを申し合わせております。この中で、関係省庁は所管業界に対し徹底を改めて要請するということがございますので、総務省のほうでは、同日の3月12日に電気通信業界及び放送業界に対しまして、きちんと個人情報管理を行うようにということを要請したところでございます。
 最後、8ページ目でございますけれども、今後のことでございます。昨年の通常国会で個人情報の保護に関する法律が成立しております。この全面施行は来年4月からということでございますけれども、これを受けまして、先ほどご説明いたしました電気通信分野の個人情報のガイドラインも、法律にあわせて、あるいは今回のソフトバンクBBの事件も踏まえまして、改訂の対応をしていきたいというふうに思っています。例えば、利用者の具体的な対策とか、漏えいがあった場合、安全管理措置をより具体的に規定していきたいというふうに考えております。
 また、この個人情報保護法が成立しましたときに、国会の附帯決議でも、電気情報通信、医療、金融信用の3分野につきましては、個別法をつくるかどうかも検討すべきということがございましたので、個別法の可否についても検討していきたいということでございます。実は、現在、電気通信分野におけるプライバシー情報に関する懇談会、堀部先生に座長をお願いしておりますが、ここで議論を行っているところでございます。今後、こういったことをさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
根岸部会長  ありがとうございました。
 電気通信事業分野の個人情報保護の現状につきましてご報告をいただきました。何かご質問なり、ご意見がございましたらお願いいたします。
酒井部会長代理  8ページ目に電気通信分野におけるプライバシー情報に関する懇談会とありますが、どういうことの議論なのかはっきりわからないところがあるので質問したいんですが、電気通信ではいろいろな方の通信情報を扱っておりますので、当然いろいろな情報が流れてくるということで、それを秘匿するというのは当然の話ですけれども、今回のような漏えいは、そういうことに関係なく、普通のどこでもある、どこでもあると言っては申しわけないんですが、要するに加入者の電話番号とか、住所とか、そういった話ですね。特別、電気通信という形に限定したものではないと思うんですけれども、この懇談会のほうでは、そういうことというか、むしろ電気通信固有の中に流れているお客様の個人情報をどうやって守るか、通信情報をどうやって守るかという話が中心なんでしょうか。
奥消費者行政課長  両方ございます。先生がおっしゃいましたように、電気通信分野の中で特に重要な情報としましては、通信の秘密というのがございます。この通信の秘密は電気通信事業法の中で罰則も含めて規定がございますが、こういった通信の秘密も含めて、それ以外の個人情報もあわせて、この中で検討しております。特に、先ほど申し上げました電気通信分野のガイドラインをどのように改訂していくか。個人情報保護法ができて、ガイドラインはそれ以前からあるものでございますので、少し内容にそごがある点。それから、個別法をつくっていくのか、いかないのか。つまり、電気通信特有のものが必要なのかどうか。そういったものを議論していただくということにしております。
根岸部会長  ほかにございますでしょうか。
 よろしいですか。ほかに質問等がございませんようでしたら、部会といたしましては、ただいまの報告を了承したということにいたしたいと思います。どうもありがとうございました。

閉会

根岸部会長  以上で本日の審議は終了いたしました。委員の皆様から、あるいは事務局から何かございますでしょうか。
 それでは、本日の会議を終了いたします。次回の部会は4月20日火曜日午後2時から、9階の第三特別会議室において開催する予定でございますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

  ── 了 ──


 
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     担当: 総務省情報通信政策局総務課情報通信審議会係 猪飼
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