会議資料・開催案内等


  
   

政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会議事録


  
   
1. 日時  平成17年7月11日(月) 13時00分から15時45分
   
2. 場所  法曹会館 高砂の間
   
3. 出席者
独立行政法人評価分科会所属委員)
富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、森泉陽子独立行政法人評価分科会委員、縣公一郎、浅羽隆史、阿曽沼元博、井上光昭、岡本義朗、梶川融、河野正男、河村小百合、黒川行治、黒田壽二、黒田玲子、島上清明、田渕雪子、丸島儀一、山本清の各臨時委員
  
政策評価分科会所属委員)
新村保子政策評価分科会委員
  
事務局)
田村政志行政評価局長、福井良次官房審議官、若生俊彦評価監視官、山下哲夫評価監視官、榎本泰士調査官、岩田博調査官、加瀬徳幸調査官
  
4. 議題
(1 ) 各ワーキング・グループにおける検討状況報告について
(2 ) 府省独法評価委員となっている公認会計士と財務研メンバーとの懇談会結果報告及び評価における関心事項について
(3 ) 「勧告の方向性」のフォローアップについて
(4 ) 役員の退職金に係る業績勘案率について(文部科学省、国土交通省、財務省)

5. 配付資料
(1 ) ワーキング・グループにおける審議及び委員視察実績(平成17年度)
(2 ) 平成16年度業務実績評価の結果についての評価における関心事項(「財務内容の改善」及び「業務運営の効率化」関係)
(3 ) 「勧告の方向性」のフォローアップについて
(4 ) 各府省独立行政法人評価委員会の業績勘案率案について(文部科学省、国土交通省、財務省)
(5 ) 「勧告の方向性」、「業務実績評価の意見」検討スケジュール(案)



  富田分科会長
  ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
  まず初めに、去る3月17日付をもちまして当委員会の臨時委員にご就任された河野正男さんが本日出席されておりますので、一言御挨拶を頂戴できればと存じます。
  河野委員、よろしくお願いいたします。

  河野臨時委員
  ただいまご紹介いただきました河野でございます。中央大学に勤務しております。この委員会では第3ワーキング・グループと財務研に所属しております。当初から、事前にお聞きしていたとおり、会議が非常に多く対応に苦慮しております。今回初めての出席ということでありますが、今後ともよろしくお願いいたします。
  
  富田分科会長
  よろしくお願いいたします。
  さて、本日は、議事次第にございますように、4つの議題を予定しております。最初の議題は、各ワーキング・グループにおける検討状況の報告についてであります。続きまして、6月17日に開催されました府省独法評価委員会の委員となられております公認会計士と当財務研究会メンバーとの懇談会の結果報告及び「評価における関心事項」についての報告、「勧告の方向性」のフォローアップについて、最後に、文部科学省、国土交通省及び財務省の独法評価委員会における「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」について、事務局より報告していただきまして、ご審議をいただきたいと思います。
  それでは、まず、各ワーキング・グループにおける検討状況についての報告をお願いいたします。
  
  若生評価監視官
  それでは、各ワーキング・グループの検討状況についてご報告申し上げます。時間の制約がございますので、事務局のほうからまとめて簡潔にご報告させていただきまして、足りない点は質疑の際に各ワーキング・グループのメンバーの方々から補足いただければと思います。
  それでは、各ワーキング・グループの審議実績でございますが、第1から第5まで、それぞれ多いところで5回、さらにその合間に現地視察等も行っていただいておりまして、こうした会議等を踏まえて論点を整理していただいております。
  第1と第2のワーキング・グループの関係について私のほうからご説明いたします。
  第1ワーキング・グループ関係についてまずご説明いたします。農水省関係7法人でございます。農林水産消費技術センター、肥飼料検査所及び農薬検査所の3法人が、いわゆる検査・検定関係を行う法人でございます。家畜改良センター、種苗管理センター及び林木育種センターの3法人が作業施設といった範疇に入る法人でございます。水産大学校が教育研修施設ということでございます。
  まず、非公務員化の検討状況を総括的にご説明いたします。最初に、水産大学校ですが、ここは昨年度、教育研修施設については例外なく非公務員化ということがございまして、これを受けて検討が進められるものと思います。次に作業施設関係の3法人については、業務の性格からいいますと公務員維持の理屈がなかなか見当たらないところでございますが、現場の方が多いということで、非公務員化に対してかなり反対が予想されるのではないかと思っております。それから検査・検定関係の3法人については、昨年、経産省の製品評価技術基盤機構が公務員維持となっておりまして、それとの比較において、この3法人を最終的にどういう扱いにするか、どういう整理ができるかということをこれから議論しなければいけないと思っております。
  第1ワーキング・グループ関係7法人に共通して総論的に議論してまいりましたのは、対象となります農林水産業が、全般的に生産規模等が大幅な縮小傾向にあるという中にあって、農林水産業を対象とする法人について、本当に業務量とか必要性ということで受益者のニーズあるいは需要に今の体制がかなったものになっているのかどうか。必要性あるいは適切な規模かどうかと、こういった見極めが必要ではないかというのが全般的な視点でございます。それから、各法人とも地方にいろいろなブランチ組織をたくさん設けております。こうしたものについて、各ブランチ間の比較、ベンチマーク的な視点で比較をして要員の合理化等を検討すべきではないかという視点がございました。
  それでは、各法人ごとにご説明したいと思います。
  まず、農林水産消費技術センターでございます。これは、かつての農林規格検査所あるいは生糸検査所等が統合され今の形になっております。業務としては、農林水産物等の品質・表示に関する調査・分析あるいは日本農林規格(JAS)の関係の検査等の業務をやっております。主要な論点ですが、基本的に7地方センターで業務をやっておりまして、そうした今の規模、あるいは、こういうセンターの配置等が適切かどうか。こうした地方センターの事務あるいは事業の統廃合も含めた全体的な見直しが必要ではないかというのが主要な論点でございます。それから、食品の表示の監視業務につきましては、農水省の他都道府県等でもやっておりまして、その辺との役割分担等について検討すべきではないかということでございます。
  続きまして、肥飼料検査所の関係でございますが、ここは農薬検査所とあわせてご検討いただきたいということで、肥飼料検査所と農薬検査所の比較をしております。両法人とも業務としましては、肥飼料あるいは農薬についての検査、それぞれの取締法に基づく立入検査といった業務を行っております。また、規模的に見ましても、肥飼料が150人強、農薬検査所が70人強という小規模な法人ということで、業務の性格あるいは法人の規模からみまして、こうした法人が二つ別々にある意味があるのかどうかというところが一つ論点かと思います。主管課も農水省の中で同じ課が担当しております。そういう意味で、統合によりまして業務の合理化等が図れるかどうか、一体的な実施について、そのメリット、デメリットを今後検討すべきではないかということでございます。それから、業務の性格が似ているといいましても、対象が異なっておりますので、検査の業務そのものについてはなかなか統合によるシナジー効果等は期待できないところがございます。そういう意味では、管理部門について統合によって合理化・効率化が図れるかどうかということであろうかと思います。
  続きまして、家畜改良センターの関係でございます。ここにつきましては、平成2年に、それまで個々の牧場ごとに単独の機関であったものが、家畜改良センターのもとに牧場が集約されまして今の形になっております。そういう意味で、一度、牧場の再編成もこの機会に行われておりますが、現状でまだ11か所の牧場が全国にあるという状況でございます。業務の中身としましては、家畜の改良・増殖あるいは種牛等の種畜の配布等の業務が主要な業務でございます。扱っているメインの畜種は、乳用牛・肉用牛、豚、鶏、でございますが、それ以外にめん羊、長野牧場でやっていますうさぎ、山羊など割と受益者が少ない畜種についても扱っております。そういう意味で、受益者が少ない畜種まで家畜改良センターでやる必要があるのかどうか、民間に任せることができるのではないかという視点が一つあろうかと思います。めん羊につきましては、民間に任せる方向で今準備を進めております。こうしたものをうさぎ、山羊等についても考えるべきではないか。あるいは、肉用牛については全国5か所の牧場でやっておりますが、例えば熊本の牧場の褐毛和種のように地域特産的なものまで扱っております。この辺りも熊本県等に任せることができないかどうか。こういう意味で、今の全体の牧場の配置あるいは扱っている家畜の種類などについて見直して全体として合理化が図られないかどうか、それが主要な論点ではないかと思っております。
  続きまして種苗管理センターでございます。これも馬鈴しょ原原種農場、さとうきび原原種農場、茶原種農場といったものが昭和61年に統合されて今の形に近い形になってございます。業務としましては、種苗の生産・配布がメインの業務でございます。同センターの農場は、全国に散在してございます。扱っている種類についても、馬鈴しょ、さとうきび、お茶等がございます。こうした農場の再配置、統廃合、ここら辺が議論になってこようかと思います。それから、馬鈴しょ、さとうきびにつきましても、技術の改良等によって、これほど大規模な形でやる必要はない、あるいは、県等で相当技術の定着等上がってくれば、そういうところにある程度任せられるのではないか。そういう今後の動向も見た上で委託等についても今後検討すべきではないか。全体としてのそういう合理化というのが主要な論点ではないかということでございます。
  続きまして林木育種センターですけれども、ここは、昨年見直し対象になりました森林総合研究所との業務の一体的な実施というのが課題になろうかと思います。林木育種センター自体は、木の苗を生産して配布、その品種改良等も行うという法人でございますけれども、調査・研究業務も行っております。職員145人のうち研究職49人と、3分の1が研究関係をやっております。主に新品種の改良あるいは開発という業務を行っている一方で、森林総合研究所では、森林・林業に関する総合的な研究、いわゆる基礎的な研究もやっております。現在、両者ほとんど連携等がとられていない状況にございますけれども、基礎から応用までの一貫した研究体制ということを考えますと、一体的な実施が検討できないのかどうかというのが、主要な論点の一つかと思います。これは、昨年の例で言いますと、水産総合研究センターがさけ・ます資源管理センターと統合してまさに基礎から応用あるいは現場の検証まで一貫した体制ということができております。こうしたこととの比較において、林木育種センターと森林総合研究所でそういうことが検討できないかどうかというところが論点でございます。
  それから水産大学校の関係ですが、ここは、朝鮮総督府に置かれていた高等水産学校が元々の母体でございまして、それが農水省に引き継がれたということでございます。山口県の下関市に本部がございまして、通常の大学と同じように水産に関する学理等の教授を行っております。現状からいいまして、水産関連への就職を目的とした専門大学となっているのかどうか、むしろ、通常の4年制大学に近い運営になっているのではないか、そうであれば、その在り方の検討が必要ではないかというのが一つでございます。それから、専攻科については、入学定員70人に対して現実20人ということで、その在り方について、廃止も含めて見直しが必要ではないか。あるいは、練習船等についても、現状で2そう保有しておりますけれども、効率的な運営という観点で合理化を図る余地がないかといった点が主要な論点でございます。
  農水関係、第1ワーキング・グループの関係は以上でございます。
  続きまして、第2ワーキング・グループの関係を説明させていただきます。総務省関係1法人、経産省関係2法人、環境省関係1法人、都合4法人でございます。
  研究関係の法人が中心になっておりますが、非公務員化の状況でみますと、情報通信研究機構については、前倒し的に非公務員化の法律を今国会に提出しております。非公務員化の方向で既に作業は進んでいるということでございます。経済産業研究所は最初から非公務員型でございます。工業所有権情報・研修館については、今後、非公務員化を検討するということでございます。特に秘密情報の扱い等をどうするかということがございます。これがきちんと担保できるということを前提に、非公務員化を推進すべきではないかという論点でございます。それから、国立環境研究所につきまして、ここは純粋な研究所でございますので、昨年の、研究機関については例外なく非公務員化という流れを踏まえて、身分については非公務員ということでやむを得ないかという議論になってございます。
  それでは、個別にご説明させていただきます。
  情報通信研究機構は認可法人であります通信・放送機構、これを平成16年に通総研と統合して今の形になっております。現状で見ますと、本部が小金井の元々の通総研の関係のところと、それから認可法人の関係が芝に分かれて二本部制になっております。それから、地方組織、研究センター、リサーチセンターと、現状ではそれぞれ旧法人の系列ごとに設置されております。主要な業務についてですが、旧通総研の関係は、情報の電磁的流通、電波の利用に関する調査・研究、それから、旧認可法人の関係は高度通信・放送研究開発の助成といった業務でございます。この法人の主要な論点ですけれども、統合された法人ということで、統合のメリットがきちんと出ているのかどうかというのを今後きちんと検証していく必要があるのではないかということでございます。基礎から応用まで研究開発を一貫した視点でやるというのを統合のメリットとしているわけですけれども、現状で果たしてそうなっているのかどうか。先ほど述べたように、本部自体も今は二つに分かれているということで、本部機能の一元化も含めて、あるいは地方組織の整理、こうした旧体制の見直しというところが一つポイントではなかろうかと思っております。それ以外に、他法人との役割分担あるいは民間委託等について論点を整理しております。
  それから、経済産業研究所については、経済産業政策に関する基礎研究あるいは政策提言を行っております。主要な論点でございますが、経産研は、研究が非常に多様化している、あるいは経済産業省の所管を超えたようなところまで踏み込んでいるというところがございまして、特にこの法人のミッションあるいは経済産業政策との関連、こうしたものをきちんと見極める必要があるのではないかということでございます。今の研究所長の体制になってかなり研究課題の整理が行われております。そうしたことを踏まえて、中期目標等にそうした研究テーマの設定のプロセスなり考え方を明確にしていくべきではないかといった論点でございます。
  続きまして工業所有権情報・研修館でございます。ここは工業所有権に関する情報の収集・整理・提供あるいは研修という業務を行っております。ここは知的財産戦略の一翼を担う機関ということで、その総合支援センター的な役割、特許庁の本庁から切り出した業務の受け皿的な役割がございます。そういう意味で様々な業務をやっているわけですけれども、少しメリハリをつけて、重点的にすべきものは実施するとした上で、やはり効率化なり民間委託なりできるものはやるべきではないかということでございます。主要な事業ごとの民間委託の状況等についてみますと、例えば閲覧事業、図書整備事業、ここら辺についてはさらに民間委託等の余地があるのではないかと、こういう形で、個々にそれぞれの業務の民間委託等の是非を今後検討していくべきということでございます。
  続きまして国立環境研究所でございます。ここは環境関係の総合研究所ということで、基本的には今後伸びていく研究分野というところがございます。そういう意味で重点化して絞ってやるべきではないか。特に大気圏、水とか土壌圏の研究といった都道府県等で公害研究ということで取り組んでいるような分野については、ある程度そういう機関に委ねて、グローバルな関係の研究に重点化していくべきではないかというのが主要な論点でございます。
  第1、第2ワーキング・グループの関係についてご説明いたしました。
  
  山下評価監視官
  続きまして、第3ワーキング・グループの関係をご説明させていただきます。第3ワーキング・グループでは、文科省担当ということで、文科省の見直し法人と、加えまして今年から年度評価が始まります国立大学法人の関係についてご検討いただいております。
  まず、文科省の関係の見直し法人についてですが、今年は、国立美術館、国立博物館、文化財研究所、国立特殊教育総合研究所及び国立国語研究所の5法人ございますが、非公務員化の関係につきましては、昨年見直ししましたものを含め、すべて非公務員化の方針を既に文科省は打ち出しております。それで、この5法人についてでございますが、まず、国立美術館、国立博物館及び文化財研究所の三つが美術館・博物館系統、そのほか国立特殊教育総合研究所と国立国語研究所の二つ研究所がございます。
  まず、美術館、博物館、文化財研究所の関係につきましては、それぞれにつきまして重点化や効率化などについてご議論いただいております。
  今申しました個々の重点化・効率化などの検討とあわせまして、この美術館・博物館系統の組織体制について、一層の効果的・効率的な実施を図る観点からどのようなものとするのが適切かという観点から今ご議論をいただいているところであります。まず、美術館・博物館系統の3法人については、それぞれ独法化のタイミングで、国立博物館は三つ、国立美術館は四つというように、既に複数の国の附属機関を統合した格好になっております。それから3法人の事業対象については、美術館は美術作品の展示、博物館は歴史的価値を有する文化財の展示、文化財研究所はその文化財についての研究ということでございまして、美術館におきましては、どちらかといいますと美的感性の育成という観点からの館ごとの多様な事業展開、博物館におきましては、どちらかというと全体的・統一的な歴史的な価値の保存と理解の普及と、そういうところに力点が置かれてマネジメントがなされております。また、法人ごとの事業内容については、差異はございますけれども、それぞれに関連もあります。博物館と美術館ですと展示という意味では共通であり、博物館と文化財研究所ですと歴史的価値を有する文化財という意味では共通であり、それぞれに共通点もありますが、一方で差異もあるところであり、ワーキング・グループの中でもさまざまな議論があるところであります。ここにつきましては、ワーキング・グループとしては、どのようなメリット、デメリットがそれぞれの場合考えられるのかということを文科省と引き続き議論していきたいという方針でございます。
  続きまして国立特殊教育総合研究所でございます。ここは障害児教育に関します研究・研修・相談などの業務を行っております。このうち研究事業におきましては、県や大学などでも研究が行われておりますので、そういうところとの関係でどのように重点化していくべきかという議論をしております。それから、研修事業につきましても、都道府県の教育センターでかなりの研修が行われておりますので、そことの関係で特殊研が独法としてどういう研修を行っていくべきか、例えば県の指導的立場にある方々への研修に重点化すべきではないかといった観点から議論を行っております。相談事業についても同様でございます。
  それから、国立国語研究所でございますが、これは国語政策に関します国語研究事業と日本語教育事業を行っております。今後の国語政策との関係でどういう役割を担っていくべきかというところを今議論しておりまして、これも引き続き議論していきたいと思います。
  国立大学法人につきましては今年が年度評価初年度ということで、まだ実績報告書や文科省における評価書が出てきているわけではありませんが、この段階から第3ワーキング・グループにおきまして、今年どういう方針で年度評価に取り組んでいくかということについてご議論いただいております。
  国立大学法人等の中期目標につきましては、大学法人全部で共同利用機関を含めて93ございますが、各法人とも教育研究の質の向上、効率化、財務内容の改善などの項目がございます。
  前回5月の分科会でもご紹介いたしましたけれども、国立大学法人等は、独法通則法がそのまま適用にはなっておりませんで、若干の特殊性がございます。その一つとして、教育研究につきましては、中期評価(6年後)の段階で、評価の専門機関であります大学評価・学位授与機構に評価を要請し、その評価結果を尊重して文科省の評価委員会が評価をするという仕組みになってございます。
  そのため、文科省の評価委員会は今年、この大学の評価を行うに当たりまして、こういう特殊性を踏まえ、毎年の年度評価においては、この教育研究の部分については専門的評価は行わずに、事業の外形的・客観的な進行状況を確認し、特筆すべき点や遅れている点があればコメントするという方針でおります。一方、効率化等の各項目につきましては、これは通常どおり、中期計画の進行状況を5段階で評定するなど通常の評価をするとしております。そして、文科省の評価委員会におきましては、これら93各法人の評価とは別に、全体状況把握としまして、国立大学法人改革の全体の取り組み状況について把握・分析して公表することとしております。法人化の制度設計におけるコンセプトが、学長などのリーダーシップ、外部有識者の経営参画、透明性の確保などということでございましたので、そういう点につきまして、リーダーシップの確立と柔軟な資源配分の実施、法人としての経営の確立と活性化、社会に開かれた客観的な経営、これは外部の有識者とか監査機能とか情報公開でございますが、そういった点についてなされているかということを全体として把握をし、分析しようという方針でございます。
  文科省も、実際に報告が上がってきて評価をしてみないとわからないというところが多分にあるわけでございますが、その状況下、第3ワーキング・グループといたしましては、まず、教育研究につきましては、文科省の1次評価がそういう状況でございますので、一義的にはそれを確認するということかと考えております。一方、教育研究以外の業務運営、財務内容といった経営面につきましては、これを中心に2次評価をしていくということで、その評価に当たっては、法人化の制度設計におけるコンセプト、先ほどご紹介しましたが、コンセプトがどのように実現されているか、また、業務運営の効率化が図られているか、その辺が一番重要であろうということで、今ご紹介しました文科省のほうでの全体状況把握も活用いたしまして、特に今回は法人化初年度ということでもあり、法人化の制度設計におけるコンセプトが発揮できるような基盤整備ができているか、いろんな改革を大学のほうに求めていくに当たっても、やはり長のリーダーシップ、柔軟な資源配分などができるような基盤整備ができていなければ、そもそもいろんな改革も期待できないわけでありますので、この基盤整備状況や効率的な運営の確保状況、その辺を重点的に2次評価をしていこうと、現時点で、まだ物が上がってきていない段階ではありますけれども、ご検討いただいているところでございます。
  続きまして、第4ワーキング・グループでございます。国交省関係は、5法人ございまして、建築研究所、交通安全環境研究所、海上技術安全研究所及び電子航法研究所の4法人が研究所、航空大学校が教育機関でございます。この第4ワーキング・グループにおきましては、これら四つの研究所及び教育機関につきまして、国や民間との役割分担、国の政策目標との関係、そういった観点を中心にこれまで議論をしてきていただいているところであります。
  個別にご説明いたします。
  まず建築研究所でございます。建築研につきましては、建築基準法等による国の規制との関係で建築・都市計画の技術面についての研究を行い、それに応じて、国のほうで必要に応じ規制基準や指針などに反映するという研究を行っております。主な論点といたしましては、国の政策目標との関係、民間との役割分担などを明確にするとともに、それとの関係を踏まえて重点化の方向性を明確にしていくことによって、今後、それに照らしての評価ができるようにすることが重要ではないかということが主な論点でございます。そのほか、管理部門の合理化、施設の外部利用などの一層の効率化、それから、非公務員化についても進めていくべきであるということで議論いただいているところでございます。
  続きまして、交通安全環境研究所でございます。自動車の関係の保安基準というものが国にございまして、保安基準の改正に必要な研究を行っております。そのほか、新交通システムなどの研究もあわせて行っているところでございます。重点化の方向性等に関する論点は、建築研と同様でございます。交通安全環境研究所におきましては、こういった研究とあわせまして、メーカーが新車をつくる場合に、その新車の型式指定という手続に当たりまして、メーカー相手に保安基準適合性を確認する審査業務というものも行っております。ワーキング・グループでは、この研究部門と審査部門の連携強化についても検討すべきではないかということでご議論いただいておりますとともに、自動車の安全性の確保という観点からは、メーカー相手の交通研の審査業務のほかに、自動車検査独立行政法人や指定整備工場が行っております1台1台の自動車の安全確認という業務もございます。これとの関係についても今議論いただいているところでございまして、引き続き議論いただく予定でございます。さらに、非公務員化についても、これをすべきであるということでご議論いただいておりますが、この審査業務との関係もございまして、引き続き議論を要するところでございます。
  それから、海上技術安全研究所でございますが、船舶・造船の関係につきまして、安全面及び造船業という観点からの研究を行っておりまして、重点化及び効率化、非公務員化といった論点は建築研などと同様でございます。
  続きまして、電子航法研究所は、国が行う航空管制のシステムのハード・ソフト面につきましての研究を行っておりまして、論点といたしましては建築研究所と同様でございます。
  国交省の最後は、航空大学校でございます。こちらは、パイロットの養成のための基礎的教育機関でございまして、パイロットの操縦訓練は航空会社各社が実施いたしますが、その前提となる基礎的資質、正確ではございませんが、大ざっぱに申し上げれば、プロペラ機が操縦できるぐらいまで、そういうところは航空大学校で養成をしております。今後、パイロットの大量退職が予想されておりまして、そういう中で需要増が見込まれております。国交省の中でも、それについて航空大学校による安定供給のほか、航空会社各社による自社養成や民間の養成機関、外国人の活用、加齢乗員の活用を組み合わせた総合的対策が必要としておりまして、また、この前、プレスでも報道されておりましたが、東海大学にもパイロット養成のコースができるということでございます。主な論点でございますが、こういう中で、パイロットの養成にかかる教育を独法が引き続き行う必要性は何かということ。それから、今申しましたような総合的対策について、こういう中でどういう対策を講じ、また、その中で航空大学校がどういう役割を担っていくのかということを早急に具体化すべきではないかという観点で議論をいただいております。また、民間がより良く、より安くできるなら、民間がやるべきではないか、もっと合理化を図るべきではないか、そういう観点でご議論いただいております。さらに、非公務員化もご議論いただいております。
  第4ワーキング・グループは以上でございます。
  最後に第5ワーキング・グループでございます。
  国立健康・栄養研究所、酒類総合研究所及び駐留軍等労働者労務管理機構の3法人でございます。厚労省、財務省、内閣府それぞれ1つずつでございます。
  まず厚労省の健康・栄養研究所でございます。ここにおいては、栄養関係の研究や国民健康・栄養調査の関係の集計業務、そのほか試験業務などを行っております。健康・栄養研究所におきましては、研究業務についてもっと重点化すべきではないか、さらに、集計業務、試験業務について効率化などすべきではないかという観点及び非公務員化はすべきであろうという観点でご議論をいただいているところでございます。
  続きまして財務省の酒類総合研究所でございます。ここは酒税の適正かつ公平な賦課の実現及び酒類業の健全な発達という観点から、酒に関する研究や講習、さらに酒の分析・鑑定、国税局で行うことができない高度な分析及び鑑定を行っているところでございます。酒類総合研究所につきましては、こういうことについては酒造業界が行うべきではないか、国が関与して実施する必要があるのか、そのほか鑑評会や講習も行っておりますが、こういうものも業界などで実施すべきではないか、こういう観点からご議論いただいておりますとともに、非公務員化についてもご議論いただいております。   
  それから、内閣府の防衛施設庁の所管ですが、駐留軍等労働者労務管理機構でございます。在日米軍基地における労務につきましては、日米地位協定により、日本政府が労務関係を提供するという責務を負っております。その関係の労働者の雇用などは国が実施しておりますが、募集、給与計算、その他福利厚生といった業務をこの独法が行っているところでございます。主な論点として、さらに民間委託や本部での一括実施などの効率化はできるのではないか、支部についても、全国10か所に支部がございますが、それについても見直しを行うべきではないか、さらには、非公務員化についてご議論いただいております。ただ、これにつきましても、安保絡みでもあり、いろいろ議論が予想されるところでございます。
  そして最後、第5ワーキング・グループでは、あわせて国立病院機構の年度評価につきましてもこれまでご議論をいただいているところでございます。
  これも先ほどの大学と同じく、今年、初回の年度評価を行う予定でございます。こちらにつきましては、先ほどの大学とは違いまして独法に位置付けられておりまして、その意味では通常の独法の年度評価とは基本的には違わないわけでございますが、若干違う点がございまして、その辺について今ご議論いただいているところでございます。
  まず、他の独法との違いということで、1点目は、大学とは違いまして病院は、全国の病院が、一つの法人、一つの独法ということになっております。
  ただ、独法個別法において、施設別に財務諸表を作ることになっております。今、約150の病院がございますので、150の財務諸表が出てまいりまして、これを厚労省の評価委員会でも見るということになっております。ただ、組織としては一つでありますので、施設別の中期目標等はありませんで、それから、厚労省の評価委員会で施設別に年度評価をやるという仕組みにはなっておりません。ただ、通常こういう区分経理は、施設ごとに業績評価をするというために設けられているものでありまして、国立病院機構におきましてもこれを踏まえた評価をすることが予定されております。したがいまして、第5ワーキング・グループのこれまでの議論といたしましては、施設別の評価ということではなくても、特定の病院の収支が機構全体の運営に影響を与えていないか、個々の施設の評価を踏まえて病院の業務実績をちゃんと評価しているかといったことを1次評価でやっているかということを見ていくべきだということでご議論いただいております。
  次に、国立病院機構は、主たる業務が医療の提供ということで、民間でも行っている業務でありますので、中期目標では、ここは政策医療を中心とすることにはなっておりますけれども、政策医療の評価を行うための指標を病院機構において中期目標期間中に開発することとされております。この指標の開発が適切に行われるべきであるし、また、指標について検討中の段階であっても、民間病院との比較によるアウトカム評価や政策医療ネットワークの活用状況などを踏まえた1次評価がなされるべきだという観点でご議論いただいているところであります。
  さらに、国立病院は独法化する前に再編成を行っておりまして、独法移行時が154、今、既に149になっており、残り5病院が再編成未実施という状態になっております。引き続き再編成を実施していくとともに、今度の中期目標期間終了時に再検討するということになっております。中期目標期間終了時に向けまして、今後、どういう投資をしていくのか、さらにどういう見直しをしていくのかについて検討されるべきであるという観点でご議論いただいているところでございます。
  以上でございます。
  
  富田分科会長
  はい、ありがとうございました。
  それでは、ただいまの事務局からの報告につきましてご質問、ご意見等ございましたら、どなたからでもご発言願います。いかがでございましょうか。それぞれワーキング・グループでご検討いただきましたものでして、今の事務局からの説明で不足かと思われる方、あるいは、こうした観点についてぜひほかのワーキング・グループの方にも知っておいていただきたいということがあれば、ぜひともご指摘いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  
  山本臨時委員
  今、他のワーキング・グループのご報告を聞いておりまして少し気になった点がございます。数減らしという場合でも、やはり合理的な理由をなるべく立てて、理論的にこういうことでもっと生産性が上がるのではないか、あるいは人員の配置を考えるべきではないかというようなアプローチをやって臨もうということを、今、第1ワーキング・グループの中では考えております。しかし、他のワーキング・グループのご報告を聞いていると、どうもそういうアプローチはあまりおとりになっていないような気がします。非公務員化については多分同じスタンスだと思いますけれど、各種業務のうち、同じ業務を全国的にいろいろ何か所かでされているというのは、多分ほかの場合でもあり得ることですので、そういうアプローチをされているのでしょうか。見直しのときに農水省関係だけこのような勧告の方向性が行くと、バランスを欠くのではないかということで、ちょっと問題提起いたしました。
  
  富田分科会長  
  今の山本委員の問題提起につきまして、他のワーキング・グループのご指摘はいかがでしょうか。
  
  樫谷分科会長代理
  第4ワーキング・グループですが、国土交通省関係法人が、五つございますけれども、そんなに散在している法人はたくさんなかったので、あまりそちらの面では議論はしなくて済んだのでしていないということです。
  
  黒川臨時委員
  第2ワーキング・グループでは、今日出ております4法人については、それぞれ相互には重なっておりませんけれども、産総研とか、あるいはNEDOとの業務の重複みたいなものは一応検討しておりますので、第1ワーキング・グループにおいても、どうぞ引き続きおやりになって結構ではないかと思います。
  
  阿曽沼臨時委員
  第5ワーキング・グループでございますが、見直し対象法人であります国立健康・栄養研、酒類総合研究所、駐留軍等労働者労務管理機構につきましては、抜本的に組織の在り方を含めて検討しておりますことを御報告申し上げます。
  
  井上臨時委員
  いわゆる支所における合理化ということを、今、山本委員がおっしゃっておりましたけれども、第5ワーキング・グループではもう一つの視点として、本部のスリム化というような部分で検討をしております。いわゆる支所などについては、研究等を行っている場合には、その最前線であり、業務の見直しというような部分ももちろん必要ですが、本部はどちらかというと管理部門というような部分がございまして、よりコストの削減という部分ではそれに資することができるのではないかというような観点でございます。
  
  岡本臨時委員
  今の本部の話に関連して、先ほど事務局のご説明がありました第2ワーキング・グループですけれども、統合法人が既に存在していると。この統合法人は、二つ本部がそれぞれ別のところに所在していて、今後、それをどのように、また、いつまでに統合していくかというようなスケジュールをはっきり明示していくような形で、統合というものをぜひ進めていっていただくべきだろうという考え方で一つ行っております。他のワーキング・グループでは、統合法人あるいは幾つかの重複のある法人があるかどうか認識はしておりませんが、そういう方向でぜひ強く出していっていただきたいと思っています。
  
  浅羽臨時委員
  第3ワーキング・グループは、国立美術館、国立博物館、文化財研究所が統合が議論されている法人でございます。現状で確かに同じような仕事をしていると見えなくもないのですが、そもそも国立博物館や美術館などは、それぞれすでにそういう箱があるという点で、本部統合はもちろんされていますけれども、その箱そのものを整理・合理化というところまではそもそも踏み込むべきものかどうかという点において、若干農水省関係のものとは違うのではないでしょうか。ただし、効率性という観点及び元々あるべき姿という観点などから、その3法人を何らかの形で統合するメリットやデメリットはないのかどうか、あるいは、その場合にデメリットはどうなのか、そういうような観点で議論は進めているところでございます。もちろん、その際に、効率化という観点とともに、そもそもそうした日本の文化財をどういうふうにしていくのか、どういう政策があってそういう独法があるのかというようなところをもう一度きちんと整理し直すという必要性も感じているところでございます。
  あとの国立特殊教育総合研究所等は単独のものでございますので、そもそもの在り方や、その単独の中での効率性の在り方、どうやって重点化していくのか、そういったようなところを検討しているところでございます。
  
  山本臨時委員  
  今の問題との関連で、イレギュラーであり、あまり質としては良くなくて理論的にはあり得るというパターンが、昨年度、消防研究所で、後でまたご報告もあると思いますが、ありました。我々の事務・事業の見直しの選択肢の一つとしては、例えば、全くこれは仮定の話ですが、また国が自ら行うのではなくて本省の組織内に戻すとかということもあり得るとは思いますが、そのあたりの基本的なスタンスというのはあまり議論していないですよね、実は。確かにそれは理論的にはあり得ることで、現にそういうのがありましたので、今のお話を聞いていると、そういうことをもうご検討されているのかなという気がしたのですが、それは一概にだめだということは当然ないわけなんですけれども。ですから、民営化にしても、事務・事業の廃止にしても、また元に戻すにしても、やはり評価委員会として筋が通せられるところはやっぱり通したほうがいいなということです。
  
  黒川臨時委員
  山本委員のおっしゃったのはまことにもっともなのですが、私ども第2ワーキング・グループのところに関連しますと、工業所有権情報・研修館、ここについては、やはり国の知財戦略との関係や守秘義務との関係もありまして、元に戻すのかどうかとか、そういうような話題は上がりました。ですから、一律こういう基準でというのは、今、先生がおっしゃったようになかなか難しいかもしれませんけれども、それぞれの特殊事情に応じては、一応去年の例がありましたのでね。特に我々のところは関係しておりましたので、話題には上ったというふうに思っております。
  
  縣臨時委員
  今の関連で、第5ワーキング・グループの駐留軍等労働者労務管理機構ですが、これは機関委任事務の廃止、法定受託事務の成立で見直しされて、都県から国に戻った業務を独立行政法人が実施しているということで、独立行政法人の成り立ちとしては非常に純粋な形になっているわけです。先ほど井上委員からもお話があったように、にもかかわらず、主要業務は各支部が行っているがその外側に本部があるということで、組織の在り方について検討していく必要があると思います。
  
  河野臨時委員
  最初に山本委員から意見が出たときに感じましたが、個々の法人の統廃合ですが、合理的な視点から進めていくということと、もう一つは、国の政策というのがあると思います。それで、最初の第1ワーキング・グループで、現業にかかわるところで農業が衰退している、当然、業務も減るだろう。ということであれば、こういう業務は減らしていいのではないかという議論がありましたが、そこに国の何らかの政策、例えば、貴重な家畜の種はきちんと保存するとか、そういう何らかの政策があったとすれば、そういうことは当然に議論の対象になっているだろうと思いますが、議論したのか。例えば、私どもの第3ワーキング・グループでは、国立国語研究所の議論のときに、国の言語政策というのがあるのかないのか、そのときに、そういうものを考えれば、この研究所の存在価値については、やはり政策との関係で考えなければならないのではないかというような議論をしており、一概に合理的という判断だけでは統廃合というのは難しいのではないかと思っております。
  
  山本臨時委員
  現状の業務をやる場合において、うまく仕事の割り振りを考えればこれだけの人数でできるというアプローチで、業務自身を見直すという観点も当然別途持っているところはありますが、先ほど申し上げた合理的にというのは、現状をたとえ認めたところで、もう少し合理化の余地があるのではないでしょうかということに限定しております。その政策価値判断に踏み込むところは、農業が単純に役割が減退しているということだけをもって統廃合とか、そういう理論は非常に乱暴ですから、そういうアプローチはしないことにしております。
  
  黒川臨時委員
  山本委員のおっしゃっているようなところは、おそらく他のワーキング・グループでも考えていると思います。例えば私どものところだと、国立環境研究所では、他のところとも一見業務が似ているところはありますが、環境省所管のところというところで経産省とはアプローチが違っております。我々の感じたところだと、例えば視点が、消費者側というか、国民側というような、あるいは問題を提示するといいますか、具体的に言うと、自動車の排ガスの規制が本当に今の基準でいいのだろうかというようなものの問題提起型のことを、業界寄りではなくて消費者側の立場といいますか、環境のほうの立場で研究しているというようなところもあります。そういう意味で、効率性とかそういうようなものだけではなくて、その研究所の置かれているそもそもの観点・視点あるいは研究の内容などからも考えております。おそらくどこでもそういうことは考えているのではないでしょうか。特に視察にも行きましたから、そういう点で、ご心配はないのではないかと思っております。
  
  富田分科会長
  今の関係、非常に重要な点であろうかと思います。先ほど農業関係の独立行政法人のところでは農業全体の衰退というようなことで話がありましたが、私は、衰退かどうかというよりも、やはり国として、例えば農業であれば、担い手を集中させていくというような政策の方向、あるいは、これまでの品目ごとのいろんな助成政策から品目横断的な政策への転換とか、一応それぞれの各府省の抱える政策の大きな方向というものもにらみながら勧告の方向性にそれを生かしていくということが、効率性の評価だけではなしに重要であろうかと存じます。
  
  森泉委員
  第1ワーキング・グループの水産大学校については、将来的には国立大学法人への移行を含めて検討すべきとの意見もありますが、民間への移行というニュアンスも含めた検討がされてもいいのではないかと思います。
  
  山下評価監視官
  水産大学校については、実際に学資の資格が得られる4年制の学校でございます。まだもちろん結論の方向性は出したわけではありませんが、水産大学校は、そのように実質がかなり大学に近いということもありまして、国立大学との関係も含めご議論いただいているところでございます。
  
  富田分科会長
  それでは、本日のご意見を踏まえまして、各ワーキング・グループにおいて「勧告の方向性」に向けてさらに検討を深めていただきたいと思います。
  続きまして、府省独法評価委員となっておられます公認会計士と財務研のメンバーとの懇談会の結果報告及び財務内容の改善及び業務運営の効率化関係についての評価における関心事項について、報告をお願いいたします。
  
  若生評価監視官
  お手元の資料2でございます。関心事項とその説明資料の2種類の資料でご説明したいと思います。
  財務研としましては、3月以降、4回ほど審議をしております。それから、先ほどお話がありましたように、政独委員長と各府省独法評価委員会委員長との懇談会のときに、ぜひ公認会計士の方で各省の評価委員会の委員をされている方と当方分科会委員との懇談の機会を設けてほしいという話もありまして、その懇談会を財務研として6月17日に開催しております。今回まとめましたこの関心事項は、こうしたことも踏まえて整理をしております。
  今年の特色としましては、従来、網羅的に課題を整理しておりましたが、今年の年度評価に活用しやすいように、少し重点を絞って整理をしております。それから、より評価に活用しやすくするという観点で、従来の関心事項としての整理だけではなくて、説明資料を作成しまして、この中で評価の視点あるいは参考となる指標をできるだけ具体的に示して個々の法人の評価の際に活用しやすいような形にしたいということで整理をしております。
  関心事項の説明資料に沿ってご説明をしたいと思います。
  表紙1枚めくっていただきますと目次がございます。今回、全体で10項目整理をしております。上のほうから6番目あたりまでは移行独法の財務分析を通じて出てきた論点を中心に整理をしております。後半の4項目につきましては先ほどの公認会計士の方々との懇談会でのご指摘等を踏まえた全体の共通事項という整理で論点を整理しております。
  1枚めくっていただきますと前書きがございます。ここの第1段落において、重点的に見るべき事項の検討作業を進めてきたというようなことが書いてございます。
  それから、2段目では、財務諸表等の財務情報を業務実績評価等に活用していく、そのための課題を整理しております。これは、先ほどの懇談会の席上、いろいろご指摘があったところを簡潔にまとめたところでございます。一つは、運営費交付金の収益化について、多くの法人が費用進行基準を導入しているために目的積立金等のインセンティブが機能しない、あるいは、これが法人のマネジメントになかなか活用しにくい状況になっているというようなご指摘がございました。それから2点目として、中期目標・中期計画の業務と財務諸表等の財務情報が連動していない、したがって、連動していないために、各省の評価委員会の中でも公認会計士の方以外なかなか財務情報に関心を持っていただけない、あるいは、一般の国民向けにもなかなか説明がわかりづらいというようなご指摘がありました。こうした点については、ぜひ当独法分科会でも積極的に情報を発信してほしいというようなご指摘もございました。また、こうした意見交換の機会を今後増やしてもらいたいというようなご指摘もございまして、年に1回ということではなくて、評価の前と後といったような形で何回か各省の評価委員の方との懇談というのも今後検討したいと思っております。
  こうしたご指摘も踏まえてこの関心事項を整理したということでございますが、基本的な考え方について、ここに1)、次のページの2)、3)と3項目整理しております。1つは、中期目標の具体化ということで、特に財務情報は数値的な定量的な目標になじみやすい分野でもあるということで、評価の際に、やはりきちんとした具体的な目標というものを掲げるべきではないかというのが1点。第2点は、先ほど申しました財務情報の活用という視点でございます。3点目は、情報の積極的な提供、こうした観点で個別に整理をすべきということでございます。
  それでは、5ページから個別事項について簡単に触れさせていただきます。
  まず、特殊法人等からの承継ということで、承継欠損金等の扱いでございます。これは、多額の欠損金を承継して発足した法人が幾つかございます。こうした法人について、解消方策の策定あるいは実施状況の評価をきちんとやるべきであるということでございます。
  それから7ページ、承継時の資産評価等でございます。ここは、承継時の資産評価が今後の独法の財務内容に与える影響を踏まえた評価が行われているかと。若干回りくどい表現になっておりますけれども、基本的に承継の際に時価評価をすることになっておりますが、時価評価をしないで、あるいはできないで承継したものが幾つか見られます。
  次に、9ページは廃止業務等についてですが、これも、特殊法人改革の際に独法化するに際して主要な業務は廃止と言われたものについて、実際に経過措置等もありまして、廃止される時期が相当将来になっているというようなものがございます。こうしたものについてきちんとした評価をすべきであるということでございます。
  続きまして、12ページは中期目標等の主要な業務ごとの財務情報ということで、これは、独法の勘定区分が財源別等になっている場合に、業務との関連がうまく見えないというところがございます。ここら辺について、そういう場合にセグメント情報等を活用するといったようなことで、中期目標の主要な業務ごとの財務状況がわかるようにすべきであるということでございます。
  それから14ページ、関連公益法人等の関係でございます。これは、法人によっては独占的に受託している関連法人がある、あるいは法人からの業務委託の依存度が非常に高い公益法人がございます。こうしたものについて、契約の必要性・妥当性、委託金額の適切性について厳格な評価が行われるべきではないかということでございます。
  17ページはリスク管理債権の関係でございます。これも、法人によってはかなり多額のリスク管理債権を引き継いでいるところがございまして、こうしたものについて具体的な指標等に基づき評価が行われているかということで、17ページの下のところに具体的な指標の例をお示ししておりますが、こうしたものによってきちんと見ていくべきではないかということでございます。
  続いて23ページ、流動資産の管理・運用でございます。これも、多額の現金・預金等を保有している法人があり、法人によっては2,000億円弱の現金等を保有している法人がございます。これは理由がどうかということを把握する必要があるわけですけれども、適切かつ効率的な運用・管理ということが求められるということでございます。
  25ページ、7番目、経費等の削減ということですが、これは、例えば一般管理費について3%削減等の効率化目標がうたわれるわけですけれども、そうした効率化目標と各年度の財務情報、損益計算書上の情報とが連動していないということで、外から見ると、効率化で何%削減したといっても、それが本当にそうなのかどうかの検証ができないという問題がございます。したがって、効率化目標と損益計算書上の勘定科目と数値等がどういう関係にあるのかというようなことを明確にした上で評価をすべきではないかということでございます。
  続きまして30ページですが、財務内容の改善に関する事項の明確化ということで、先行独法については、財務内容の改善についての目標が、予算の範囲内で業務運営を行うとか、非常に抽象的な書き方になっているものが多くございます。1期目が終わって2期目に向かうに当たって、これまでの財務情報の積み重ねもありますので、例えば31ページに例示で示しているような、こうした分析等を通じた具体的な目標を掲げるべきではないかという問題意識でございます。
  続いて32ページ、法人のマネジメント等に資する財務情報ですが、これは端的に言いますと、運営費交付金の収益化について、今、ほとんどの法人が費用進行基準に基づいているわけですが、こうした費用進行基準でありますと財務情報のマネジメントの活用等が難しいということがございます。33ページの冒頭で費用進行基準の問題点を幾つか整理しておりますけれども、例えばコスト意識が芽生えないとか、あるいは財務諸表が評価に活用できないとか、目的積立金といったインセンティブが働かないとか、いろいろ課題がございます。こうしたものを踏まえて前向きな取り組みが行われているかどうかというところを評価していただきたいという趣旨でございます。
  それから35ページ、財務内容の開示の促進ということで、これは、事業報告書の中で財務情報についての定性的な説明を少しきちんと書いてもらいたいということでございます。数字だけではなかなか業務との関係がわかりにくいということがありまして、現状では、事業報告書にどういうことを書くのかということについて何ら決まりがありません。したがって、法人によってまちまちになっているというところもありまして、ここに掲げているような情報についてきちんと事業報告書で報告すべきではないかということで、ここについては、制度官庁とも相談した上で何らかの対応について検討していきたいと思っております。
  財務研の関係は以上でございます。
  
  富田分科会長
  ありがとうございました。
  それでは、ただいまの事務局からの説明につきましてご質問、ご意見などございましたら、どなたからでもご自由にお願いいたします。
  
  丸島臨時委員
  趣旨を十分理解していないので間違ったことを申し上げるかもしれませんが、基本的に独立行政法人というのは自分で全部コントロールできていない。例えば、所管省庁からの目標に従ってやらなければならない、お金も全部自分が調達するわけでもないという組織体に対して、こういう引き継いだお金をどうやって改善するのかということを求めること自体が意味がわからないんです。例えば先ほどお話が出ていたような、民間だったら、これ、儲からないからやめてしまおうということができるところを、国においては、本来、国でやるべき仕事を独立行政法人に移行した。儲からなくてもやらなければならないというところを改善しようといっても、本来できないと思います。そのような法人を対象にして、今のような、財務諸表がよくなるように努力せよ、前から引き継いだ負債まで改善せよということを求めること自体が、私にはよく理解できないんです。その辺をもう少しご説明いただけたらと思います。
  
  富田分科会長
  それでは、今の点について、まず樫谷委員からどうぞ。
  
  樫谷分科会長代理
  おっしゃっている部分でわかるところもありまして、例えば欠損金がたくさんあったときに、その解消計画を立てろということです。解消計画を立てるときに二つポイントがあって、まず幾ら頑張ったって巨額の欠損金を穴埋めできるはずがないわけです。したがって、ここで言っているのは、欠損金の発生原因をよく分析して、やはり国にお願いするものはする、しかし、独法で努力できる部分もありますから、その部分については目標を決めてやるということと、それ以外の部分でも、これは国との関係ですから、逆に国のほうの問題になるわけですけれども、国のほうもきちんと解消計画を織り込んでもらいたいという話です。解消できる部分、独法の努力でできる部分とできない部分をある程度分けて、努力でできる部分については解消計画を立てて、そして実行してもらいたいということです。
  それから、業務については、確かにあまりニーズのないもの、わずかになっているものも、民間であればやめようという結論になるわけですが、国においてはなかなかやめられないわけです。しかし、効率的に運営することはできるはずですから、それはできるだけ効率的に運営するような責任は独法にあるであろうというような意味です。
  
  丸島臨時委員
  ご説明されていること自体はよく理解できますが、本来、国が片付けるべきものだったら、国のほうに言うべきではないでしょうか。独立行政法人の業務の中でそういうことを評価しなさいというのは酷ではないかと思います。ですから、どうせ国からお金を負担してもらわなければならないということであれば、負担するかしないかは独立行政法人に権限があるのではなくて、関係省庁の考え方一つで決まってしまうわけです。むしろそういうものは、欠損金を引き継ぐという問題は前のところで清算すべきだろうと思います。独立行政法人にそこまで課すのは無理ではないかと思いますけど。やめたくてもやめられない事業を抱えてやっている独立行政法人も結構あると思います。こういうものをやらないというのであればやめてしまえばいいのですけれども、先ほどからお話に出ているように、国としてやはり必要だから独立行政法人がある以上、全部やめられない。幾ら改善努力と言っても、借金をうんと抱えた、どうせ営利事業をやっているわけではありませんから、そんなに改善できるわけないですよね。業務の効率化だけでそんなに大きな借金を全部返せるとは思えない。毎年毎年、効率が上がっていくというのは、よほど今までサボっていたということになりますが、科学技術の進歩というならまだ効率化というのはわかるのですけど、人間がやることでそんなに毎年効率が何%も上がっていくということは考えられませんので、この効率化に頼ってそれを改善しなさいというのもどうかという感じはしますが、間違っていますか。
  
  樫谷分科会長代理
  おっしゃっているところで理解できる部分もあります。といいますのは、例えば大学でも、決して返すこともできないような借金を仕組みとして負わせているわけです。結果的に財源を手当てして、要するにぐるっとお金を回していて、返済している形だけになっているわけです。そういうようなものも確かにたくさんあって、すべて独法の責任というふうに言い切れない部分が結構あるのですが、とはいっても、それを計画に織り込んでもらうことによって、国も認識してもらわなければいけないわけです。今まではそれが非常にあいまいになっていた。独法の責任なのか、あるいは国の責任なのか、非常にあいまいになっていた部分について、いつの間にか欠損が出てきてしまったということがあるかと思います。そうすると、過去の欠損金の部分は国の責任であれば、ちゃんと財源手当てをしないといけないですよ、独法の責任の部分については、もしあれば、それは効率化か何か経営努力によってカバーしなければいけないですよということが、もう少し明確になるのではないかという思惑もあるということなのです。
  
  富田分科会長
  今の関係で、結局、バランスシートを膨らましているのは先行独法というより移行独法の問題なのです。移行独法自体は、これまで特殊法人として業務を行ってきて、その中で資産も持つ一方、負債も抱え、そして時として不良債権になり、累積欠損があるという形で、独法だからというよりも、特殊法人の時代にそういうのを持っていたということなのです。だから、巨額に抱えたまま独法に移行しても、丸島委員のおっしゃったとおり容易に解消できるものでもないという判断に立って、幾つかのところではかなり大きな累損の処理というのが、例えば都市再生機構、それから今後独法になる住宅金融公庫、そういうところに対しては公的資金の注入もなされてきたということが一方にあります。やはり独法の場合は、おっしゃるように、やめたくてもやめられないというのは、当然、主務官庁から業務の委託を受けて、効率的にそれを遂行するということが任務であるからなのです。だから、返せない借金をそのまま負っているかどうかという問題が重要なのではなくて、独法というふうにして区分けしたことによって、とりわけ先行独法ですけれども、区分けしたことによって、より一層、効率的な業務を、同じ業務であれば遂行し得るはずだ、もっと極論すれば、これまで非効率があったに違いないという前提のもとにスタートしているというふうに考えておくべきだろうと思います。また、丸島委員のご想定ほど独法自身の自由度もなくて、結局は国の仕事をより効率的にやるということは第一の趣旨であろうと理解しております。もちろん、独法によっても多様なので、先行独法、移行独法でそれぞれ違う面はありますけれども、基本的には、主務官庁との間で締結した中期目標、それを具体化する中期計画というものについて、より効率的に遂行するということが第一の責務としてあるのではないかという理解であります。
  
  丸島臨時委員
  今まで評価していまして、政策があって、それを政策の範囲でやるのが独法の仕事ですと言われているわけですから、なぜこのようなことをしているのかと言っても、政策に従ってやっているのですと。独法に幾ら言ったって、それはしようがないでしょう。政策当局に言わなければならないのではないでしょうか。委員会はそういう権限があるんですかという問題が議論されていました。そうすると、独法自体は全部自分の経営判断でやれるということはないということです。そういう組織体に対して今のようなことを要求するというのは、自分がすべてをコントロールしていないところに対して求めること自体がどうかと、私は疑問を感じます。確かにおっしゃるように、改善するところの項目はあるとは思いますが、もう少し大きな意味で独法自身が自由に、私はこうしたい、例えば独法の理事長が「こうして改善していきたい」と自分で決められない。ある範囲はもう決められているわけですから。
  
  富田分科会長
  まず、当然、我々は、主務大臣に対して勧告ができるわけでして、それゆえに、中期目標期間が終わる際に「勧告の方向性」というものを提示させていただくということが当分科会の大きな任務になっているわけです。理解として、独法の理事長が何でもできるというようにはなっていなくて、やはり運営費交付金というものが注入され、また、国の看板を背負って業務を行っているわけですから、そこは当然、国会による統制といったものが前提でなければならないわけでして、理事長のリーダーシップは非常に大きい。これまで以上に重要な役割が理事長に期待されるわけですけれども、何をやってもいいというものでは決してなくて、当然、年度計画、さらには、その背景にある中期計画といったものを踏まえてなされるべきものだという理解であります。
  
  丸島臨時委員
  表現が悪いので誤解されるかもしれませんが、理事長に何でもやりたいようにさせなさいということを申し上げているのではなくて、動けない組織体にこういうことを義務付けても無理ではないかというのが私の申し上げたいところです。本当に財務体質をよくしなさいというのであれば、自由に行動させるというのが前提にないと無理ではないかということなのです。
  
  富田分科会長
  その自由は、独法のリソースを自由に使っていけるという意味において、人事だとか、そういう自由度は理事長に当然あるわけです。
  
  丸島臨時委員
  しかも、サラリーマンに例えたら、何億円も借金をしておいて、自分のサラリーが安いのに幾ら返済しようといっても、計画を立てて返済できないような金額が頭へ乗っかっていたら、不可能ではないですか。
  
  富田分科会長
  ここは非常に基本的な問題でもあるのですが、縣委員から手が挙がりましたので、どうぞ。
  
  縣臨時委員
  独立行政法人自体の裁量について言っておられると思いますが、私の個人的な感触で言えば、独立行政法人の制度それ自体は、国が責任を持って一種の市場化テストをしているとみなしているわけです。ですから、ある程度時間を見て、今の仕組みの中でそれぞれの独立行政法人がどれぐらいのことができるのかということを探して、後で、例えば2ラウンドぐらい終わったときに全体の独立行政法人個々を見直して、独立行政法人制度そのものも見直していくというような時間計画を持っていればよろしいのではないかと思います。ですから、まだ始まって2,3年目ということで、ご指摘のとおりですけれども、この制度で運用してみて見直すということだと私は思っています。
  
  岡本臨時委員
  今のお話ですが、丸島先生がおっしゃっているところは、現状でごもっともな部分だと思います。富田先生がおっしゃったように、独立行政法人には確かに不十分な部分があるかもしれませんけれど、理念的には丸島先生がおっしゃっていることを実現していこうということで制度設計をまず行ってきたと思います。それから、今の承継欠損金の話にしましても、これは特殊法人から移行した法人と、それから国から移ったものと、これは別に議論をしなければならないと思っておりまして、それは富田先生がおっしゃっていただいたとおりで、これは特殊法人からの承継は特殊法人時代に借金を作った幾つかのものについて、それが独立行政法人に移行しているわけですから、これは誰に責任があるかというと、当然、移行する前の特殊法人自体にあったのではないでしょうか。そうすると、これは新しく器を変えて特殊法人から独立行政法人になったときに、独立行政法人の枠組みの中でそれを解消していくというのは論理的な流れだと思います。先行独法の場合は国ですから、これについては承継をしているものはないはずです。かつて国の時代で独立行政法人に移行したもので、こういう多額の借金を背負っているものはないわけです。それは区別して議論する必要があるのではないかと思っています。
  それから、現状でできないと思っていらっしゃるのは、これは確かにその点がありますので、こういう勧告なりいろんなことをやった上で、独立行政法人の経営といいますか、業務運営というものを変えていくという方向で、むしろ独立行政法人側でやって努力をすべきものがいっぱいあると思っております。重要なことは、こういうふうな勧告をした後で、これを紙で終えていくのではなくて、その先でどういうことをやっていくかということまでフォローアップをしていくというような体制で臨んでいくことではないか。むしろ丸島先生がおっしゃっている、経営者が実は経営ができないのではないかということを経営できるような方向で議論をしていくように持っていく、あるいは経営をしていくような方向でフォローアップをしていくことが結構重要かなと思っております。ぜひともお願いしたいのは、紙ベースで終わらないで、その先はどういうことをやっていくかということまで含めて、この政・独委員会が評価の範囲に入っていくというところをやっていくべきだろうと思います。
  
  富田分科会長
  こういう議論は非常に大事なので、この際、こういうことを言っておきたいということは、これに関係してどんどんご指摘いただければと思います。
  余談になりますが、株式会社の定款と独法の中期目標なり中期計画あるいは年度計画を比べたときに、全然違いがあるわけです。だから、経営者、理事長と、それから企業における取締役会あるいは取締役社長でもいいですが、持っている権限というか、選択の裁量度というのは随分違うと理解しています。中期計画において、例えば丸島委員ご心配の債務をどうやって返していくかということについてもやはり明示し、一度に解消できるわけではないとすれば計画的にやっていくとか、それぞれの目標を設定していくことだろうと思います。それを先ほど市場化テストというふうに縣委員はおっしゃったわけですけれども、他の経営者、他の理事長がやるよりも、私がやったほうが当然効率的にできるんだという人がやっぱり手を挙げるべきだというふうに整理できるのではないかなと思います。
  
  樫谷分科会長代理
  繰越欠損が出た原因についての解消計画については、説明資料の5ページの下から6ページにかけて、こういうことであるというようなことが1)から4)について書いてあります。確かに欠損金が出たというのは、大幅な債務超過になったものを、これ、民間企業でも、大幅になってしまったものは、自由にしたからといってなかなかできるものではなくて、それこそ債権放棄とか相当の整理整頓をしないといけないと思いますが、しかし、よく分析すると、例えば債権等の回収をしないで、請求すらしていないという中で、相当の繰越欠損が出たものも中身を見ると結構あります。ただ、過去のものについて、それを回収することによって穴埋めはできないのですけれども、今後については、少なくとも相当の評価をすることによって今まで出た欠損金を少しでも少なくするというようなことは十分可能ではないかと考えています。少なくとも不良債権比率を見ることによって、今まで何の請求もしていないということはなくなるのではないかと思います。
  
  丸島臨時委員
  私が申し上げたいのは、今おっしゃっているような回収すべきものを回収していないということが、作業を怠っているという意味でしたら、こんな大上段のことを義務付けなくても、作業としてとらえて指摘すればいいのではないかと思います。黒川先生がおっしゃったように、本来、独立行政法人は何ができるか、その範囲でできることが大事なので、それが民間会社の社長と同じ権限を持たせなければならないと言っているわけではないのです。ただ、民間会社だったら、改善するために人も確保するわけです。そういうことが今、独立行政法人の方ができますか。できないです。そういう制約の中でやっている方に、財務状況だけよくしなさいと言ってもかわいそうだという感じがすごくします。ですから、どちらかにしてあげたらいいのではないでしょうか。そこまで追求するなら自由度を与えて、本当に独立行政法人が健全な運営をできるようにすべてを任されたらいかがでしょうか。任せていないのにそこだけ求めるのは、非常に大変だなという気がします。
  
  富田分科会長
  それで丸島委員のおっしゃっていることはよくわかりました。つまり、これまでは国会による統制として、運営費交付金よりももっとブレークダウンしたものを国会で決めていたわけです。それが国会で運営費交付金一本になって、国会による統制が弱くなって、弱くなったら、これは、国民の税金ですから、それがあまり勝手に使われたら困るということで、会計処理としてこういうものが出てきていると。ですから、国民に対する説明責任ということは第一義にあって、企業会計の問題をマネジメントと結びつけなければなという問題意識で非常に強く今回出しておりますので、そういうふうに受け止められたのではないかと思います。これももちろん、委員によって見解が違うと思いますが、国民の税金というか、今ですと半分ぐらい国債なわけですけれども、そういうものはやはり勝手に、国会の議決が極めて大くくりなものになったわけでして、それを勝手に使っていってしまっては困るわけでして、そういうことに対する説明責任ということも財務諸表の中にあると理解しております。それと、せっかく財務諸表を作るのだから、マネジメントに生かしてはどうかという側面があります。説明責任、つまり報告会計としての側面、決算として国民に提示する方法として今日のこういう話があるのと、今日のはそれをもう少しマネジメントに生かしたらどうかという説明と、両方あったと理解することはいかがでしょう。
  
  樫谷分科会長代理
  人件費の問題というのは非常に難しい問題で、短期的にはなかなか人員削減できないのか、できるのか、私はよくわかりませんが、事実上なかなかできないのではないかと思います。ただ、この数年の間に、ちょうど我々の年代が退職の時期を迎えまして、私はここがポイントだと思っています。今後、どういう補充をしていくか、そのやり方というのは非常にマネジメントにかかっているわけです。それはどういう補充、技術の伝承とかいろいろあると思いますから、その辺についてはやはり理事長のマネジメントに任されているのではないかと思います。そういう意味では人件費をいかに圧縮するかと。人件費のコントロールというのは、確かに民間のようにダイナミックにはできないかもしれませんが、この数年で大きな波で、我々の年代の波がこの4,5年ぐらいで大体消えてしまうだろうと。そのときは人が不足してしまうでしょうから、事業をやるとしたら、どういう採用の仕方をするか、新人を採用するのか任期付きなのかという、いろいろな選択肢を与えられているのではないかと思っております。
  
  島上臨時委員
  中期目標の見直しといいますか、中期目標の話と年度の業績評価の話と分けて考えなければならないと思います。まず、中期目標に対して我々はいろんな意見を出しますけれども、これは独法に対すると同時に、主務官庁に対して同時に我々は言っているつもりでして、すべて言っているチャレンジの先が独法だとは思っておりません。したがって、独法と主務官庁と両方が方向付けをきちんとやってくれということであって、それを総務省というか、我々の立場はどちらかというと国民的な立場から意見を言っていく、あるいはこういう考え方があるのではないかということを言っていく、こう思っております。繰り返しになりますけれど、独法に対してのみ言っているつもりはありませんで、独法と主務官庁、この両方に対して言っておりますから、主務官庁がそれをきちんと受けてくれるならば、それなりの見直しができるだろう、こう思っております。
  それから、2番目の業績評価ということにおいては、これは任された範囲内でその独法がきちんと経営したかということの評価ですから、任された範囲内を動かそうというつもりではなくて、あくまでその範囲内での評価です。したがって、承継欠損金のことでも、「欠損金の解消方策やスケジュール等が中期目標等で明らかにされているか」とある。これはまさに主務官庁との話し合いでどうなっているかということであって、独法単独でやれる話ではない。しかし、そこで決められたことが、「欠損金の処理方策が着実に実施されているか」、これはあくまでも独法の責任という具合に、やはり分けて考えていけばいい話ではないかと思います。
  
  梶川臨時委員
  今のご議論を聞いておりまして、当初話題になった欠損金等について、元々のボリューム感がですね、お話しされている中でずれがあるというような気がいたします。例えばおやじさんが1億円借りた、それをさっきおっしゃられたように30万円の給料で全部返せなんて話ではなくて、とりあえず子供が引き継いだんだけど、まあ30万円の給料の中で節約してためて、とりあえず頑張って年間30万円、あるいは40万円返すという話を一応デクレアしていただいて、40万円を返すと言っていた話が38万円になったら、それは2万円といえども、頑張ってその2万円節約してくださいと。1億円全部が返せるという話は政策的な区切りの話であって、これは政府がどういうふうに1億円をつぎ込まれるかということ。しかし、1億円があるからといって、30万円ためるよと言っていたものが、実は自分も借金して1億100万円の借金に翌年になってしまうと、こういうことはしないでほしいという話の整理だと思います。ですから、子供が返しますと言っていたお金が、仮に1億円に対して30万円だ、40万円だということをはっきりしてほしいということがここに書かれている文章であって、仮に1億円残高があっても、40万円でも返すということを中期目標ではっきりしないと、反対に独法は1億円返せと言われてしまい、それではさっきおっしゃられた独法の責任範囲がクリアにならなくなってしまう。この話は、40万円しか返せない、だったら40万円借り込んでもいいという話とまざってしまうので、当初より1億円とは桁が違うバランスの金額だけれども、それでも努力をするし、もしかしたら1億円返せるような運営をしている独法もあるかもしれません。そのバランス感はそれぞれの独法によって違うので、うまく頑張れば1億円返せるほどのフローが動いている独法もあれば、1億円に対してわずか30万円ぐらいしか今や手当てのない独法もありますけれども、そこのイメージの違いが少しご議論の中で財務というところで収斂してしまって、お互いが違うイメージの部分をお話しになられているんじゃないかという気はすごくいたします。まして、独法というのは30万円を自分で努力して300万円の商売にするということをできる組織形態になっているわけではないので、本当に30万円を3,000円ずつ毎月節約しようとかというテーマを我々は評価をして、3,000円節約した意味があるかないかということを見ていくというのがこの評価なのではないか。その一つのシンボルとして財務という数字を使っているというだけで、本質的な内容は、30万円を298,000円で暮らしたということの内容をよく見なければいけないということだと私は理解しています。
  
  丸島臨時委員
  基本的に、お話を聞いていてもやはり無理だなとまだ感じます。というのは、先ほどお話しでしたけれども、政策に、主管当局に対して独法を通じてものを言っているんだという考えです。独法を使って主務官庁に文句を言うというのは間接打法で、私は気の毒だと思います。今の論理でも、書いてあることを実行していくのが独法の役割である。だったら、書く数値を変えれば済んでしまうのではないですか。その数値の良し悪しというのは誰の責任なのですか。主務官庁ではないですか。なぜ独法から主務官庁へ行くのでしょうか。その論理が私はわからないんです。主務官庁が悪いのだったら、主務官庁に対してものを言うところはものを言えばいいのではないかというのが私の基本的な考えです。
  
  岡本臨時委員
  主務官庁と独立行政法人の関係のところで、今、丸島先生がおっしゃっていることについては、やはりこれは独立行政法人の業績を評価するという枠組みがありますので、主務官庁にものを言うということは、やっぱりそこに一定の限界があると私は思います。その限界の中で何を言うかということが、多分、この政独委員会のミッションだと思います。本当に主務官庁の政策にものを言うのであれば、この分科会と違うもう一つ別の分科会のところで、ある政策においてこれがおかしいということをやはり言うべきだろうと思います。ただ、一つあるのは、主務官庁の政策と独立行政法人の業務の間に、どこからどこという非常にグレーな部分がありますので、そこをどうするかというのは、富田さんがおっしゃっていたように、中期目標でそれが本当は体現されているべきところであって、そこから先が独立行政法人の責任の範囲になってくると思いますので、その中期目標の中にいろんな問題があるとすると、そこで梶川先生がおっしゃったことについて、明らかにしておくということがまず必要だろうと思います。そこで一つ、絶対忘れてはいけないのが、税金を投入していただいているわけですから、国民に対して責任を果たすということがやはり出発点としてあると思います。多分、承継欠損金についてはそこが非常に問題になっているのだろうと思います。だから、国民に対する負担がどこに原因があるかというのは、それは主務省側であれば、ここの分科会の議論でなくて、もう1個の分科会の議論ではないでしょうか。ここはあくまでも独立行政法人の分科会であって、やっぱり独立行政法人の業績というところを中心に議論をしていくべきであり、申しわけないですが、そこにやっぱり一定の限界はあるような気がいたします。
  
  富田分科会長
  今の件ですけれども、「勧告の方向性」については、現在、ワーキング・グループごとに作業を進めておりますが、結局、これをもとにして主務大臣に対して「勧告の方向性」を提示する、あるいは、そのとおりにいかない場合には勧告するというのが当分科会の役割です。ところが、政策評価の分科会は、主務大臣には勧告するという権限はないのです。だから、我々のところしかないのです。だから大事なことは、ここでやらないとできないということが一つ。つまり、主務大臣に対して勧告できるのはここであるということなのです。その際に、丸島委員もおっしゃったように、中期目標の設定ということは非常に大事なわけでして、まさにそれが我々の出した「勧告の方向性」に沿った形で中期目標が設定されたかどうかというフォローアップをやっているわけなのです。そういう意味においても、中期目標に対する影響力というのを当委員会は持っていると整理できるわけです。
  
  岡本臨時委員
  私が申し上げているのは、富田先生がおっしゃったのとそんなに違わないと思いますが、あくまでも私は、独立行政法人の制度の範囲内において勧告をしていくわけで、直接主務省の政策に対してものを言う場ではない、間接的に影響することはあるという意見なのです。政策評価の分科会のほうで、大臣に対する勧告がないというのは、それはおっしゃるとおりでございますので、そこで、今の制度的にはそれができないというのはよくわかりました。ただ、ここは独立行政法人の場ですので、先生がおっしゃるように中期目標は非常に重要だと私も思っていますが、それを介して主務省に対してものを言うということは私はできると思いますが、それはあくまでも独立行政法人の分科会というところの一定の制約があるのではないかと申し上げたわけです。
  
  富田分科会長
  だから、制約があるとすれば、独立行政法人の行った活動の評価というものを通じて我々は提言していくという意味、そういう意味において、何でも提言できるというものではないということです。年度評価を積み重ねていって、それが中期計画の評価につながり、それをもとにして「勧告の方向性」を出し、そして、それが守られない場合には勧告に至るというプロセスなわけです。
  
  岡本臨時委員
  主務大臣に対して何も言えないと言っているわけでは全然なくて、あくまでも今おっしゃっていただいたような説明の範囲内で仕事をやっていくということがミッションだろうということを申し上げたかったわけです。
  
  丸島臨時委員
  中期目標を明確にしなさいということの勧告はできても、中期目標をこうしなさいということはできないわけです。ですから、先ほどおっしゃっているような大きな問題を独法から上へ上がっていって改善させようということ自体が、この分科会では無理だと私は思っています。だから、限界を感じながらいつも話をしているわけなので、何でもできる立場だったら言いたいことはいっぱいありますが、限界の中で言わなければならない。今、岡本先生がおっしゃったように、我々がいつも言っているのは、「中期目標を明確にしなさい」、ここまでです。「中期目標の中身をこうしなさい」と踏み込んで言えますか。
  
  富田分科会長
  仕事の範囲というより、先ほどの梶川委員の1億円と40万円の例でいけば、40万円、50万円というのはあるかもしれないですね。ただ、50万円を、「いや、50万円じゃなしに、50トンだ」とか、別の範疇のことでは言えないだろうと思います。やはり毎年の評価を通じて、我々、何も特殊な技能を持っているわけではなく、一般国民としての良識というものを背景にして毎年の評価を積み重ねると。それをもとにして提言するわけですので、やはり聞いてもらえるものだということだと思います。もちろん、いろんな限界というか、限られた範囲であることも事実です。
  
  黒川臨時委員
  今回の重要な議論の発端は、5ページの承継欠損金の(1)の○の1番目のところに、「欠損金を承継している場合、欠損金の発生要因や処理計画などを明確にした上で、その具体的な処理方策等の策定・実施状況についての評価が行われているか」という部分、それから、○の2番目がありますが、その辺を、欠損金を必ず処理しなければならないというように丸島先生は少し強くおとらえになられた気もします。ここは事務局に確認をしておきたいのですが、これは「欠損金の発生要因や処理計画などを明確にした上で」ということなので、欠損金の発生要因が政策的なもので巨額に発生していると、それを現行の独法の業務として課されている範囲がありますね。これは先ほどから言っている中期計画の範囲内です。ですから、その範囲内でこれは無理だということであれば、それは無理だということを明確にする。あるいは、それが一部でも返せるというものだったら、その計画を書いておきなさいと、そういうふうに読めばいいわけですね。ですから、欠損金があったら必ず全部返すのが義務だと、そういうような読み方ではない、それでいいわけですね。
  
  若生評価監視官
  今のご指摘のとおりです。独法化したときに、国と独法との関係で欠損金をどういう形で解消していくのかということについては中期目標等で本来きちんと明確にしていなければいけないので、そこがなされていなければ、それは明確にしてくださいということですし、明確にした上で、それが本当にやられているかどうかきちんと見ようという趣旨で書いているということでございます。
  
  田渕臨時委員
  2点ありますけれども、今お話が出ていることに関してですが、目的積立金の制度がありながら使い切れていないというふうに1ページ目に書いてあります。これは確かにいろいろな独法の方に聞くと、積立金はあるのだけれども、会計基準があまりに細か過ぎて使い切れないというような意見もあります。ただ、一方では、データを何も収集していないのにそういうふうに言っているという部分もあるということで、要するに、できないのであれば、できない理由をはっきり打ち出せばこの場合はいいのではないかなというふうに思います。例えば、先日お話を伺いに行った法人では、内部でインセンティブ予算とかいうものを組んでいるところがありまして、これがいいか悪いかは別にして、余ったお金を外に返してしまうと戻ってこないので、内部でその部分を優遇するといいますか、そういった形でのやり方をとっているところもあります。中でのやり方とか、あとは目的積立金を得るために必要なデータをきっちりそろえるという意味でも、こういった形での財務関係の研究といいますか、データの収集というのは必要ではないかと思います。
  もう1点ですけれども、ワーキングの部分の議論の中の、今後の「勧告の方向性」の部分ですけれども、政策評価との関係なんですが、方向性として、今年度見直し以外の法人との統廃合というのはあり得るのか。あとは、所管府省を越えた法人の統廃合というものは議論にしていいのか、現実性があるのか。その部分は若干すり合わせをしておいたほうがよいように思います。前回からいろいろ議論は出ていますが、固まった方向というのが私の中ではまだ見えていないので、その辺はすり合わせをして、今後の見直しの勧告というものを取りまとめられたほうがいいのではないかと思います。
  
  富田分科会長
  今、田渕委員からご指摘のあった「勧告の方向性」についての後者の点、とりわけ最後の異なる省庁間の独立行政法人の統合の問題ですね、それについて事務局のほうからございますか。
  
  若生評価監視官
  仕組み上、府省をまたがる統廃合はできないとか勧告できないということではないと思います。昨年、府省をまたがるものについて検討の素材としていろいろ議論はしておりますので、そういう意味で、あらかじめそういうものを排除するとか、そういうことはございません。ですから、個別の問題としてそういう問題があれば、それはきちんと議論をしていただいて、その合理性なりそういうことが検証できれば、それは指摘はするということではないかと思います。
  
  富田分科会長
  この評価における関心事項についてなんですけれども、いろいろご指摘はありましたが、基本的な形ではこれを了承するということでよろしゅうございますか。あるいは、この点、もう少し明確にしてはどうかということがあれば、ご指摘を私にいただきまして、修正について、あるいは今後の対応について、私にご一任いただければと思いますけれども、いかがでしょう。よろしゅうございますか。
  
  黒田(壽)臨時委員
  これを承認することはいいのですけれども、先ほど、これをマネジメントに使うという、それが主体だと言われたのですが、それよりもアカウンタビリティのほうですね、国民に対する説明責任のほうが大事だろうと思います。それと、それぞれの主務官庁自身が、財政的にどうなっているか様子がわからないというのが現状だろうと思います。その辺を明らかにする意味でこれを使っていただくということが大事だろうと思っています。
  
  富田分科会長
  それでは、ご意見を踏まえました上で、私にご一任させていただきたく存じます。
  続きまして、「勧告の方向性」のフォローアップについて簡単にご説明をいただきます。その後、各府省の独立行政法人評価委員会から出ております業績勘案率等についてのご報告をいただきます。
  
  若生評価監視官
  簡単にご説明いたします。資料3「『勧告の方向性』のフォローアップについて」でございます。
  これは、昨年見直し32法人のうち産総研等3法人につきましては、中期目標期間4年ということで、この4月から新たな期間に入っておりまして、その中期目標については、今年の2月にこの分科会でいろいろご審議をいただいております。残りの29法人について、これから各省において中期目標等が作成されるということでございまして、特に予算要求等に向けてこれから作業が本格化するということで、先行した3法人の際にいろいろご議論いただいた論点、あるいは「勧告の方向性」の指摘等で各法人共通的に少し一般化して検討いただいたほうがいい点、そういったものについて特に留意する点というのを、今回、フォローアップということでまとめております。あらかじめ各省に提示することによって、各省の作業において、こういう基本的な論点が抜けないようにしていきたい、こういう趣旨での整理でございます。
  一つは、法人が担う任務・役割、いわゆるミッションですが、ここは明確になっていない法人が多いということで、ここを明確化すべしということ。
  2番目として、目標設定の在り方ということですけれども、特に具体的なものにしていく、あるいは減損会計等が入るということもありまして、定量的な目標等、こういったものをきちっと立ててもらうといったことについて書いてございます。
  事務・事業の見直し関係について、ここでは当然のことながら、「勧告の方向性」で個別に指摘したものについて、きちんと具体的にどのような措置を講ずるのか明確になっているかということで、アクションプラン、要するに単にやりますということだけではなくて、どういうふうにやるのかということも含めてきちんと明確にしてもらいたいということでございます。運営の効率化については、これは移行独法と同程度に厳しくという効率化目標について厳しくチェックをするということでございます。それから、財務内容の改善、法人の経営努力、これについては、今、ご審議いただきました関心事項等に沿った形のものがきちんと盛り込まれるかどうかということでございます。それから、統合法人につきましては、その統合の効果を十分に発揮するための具体的な方策、こういったものが明確になっているかどうか。それから、地方組織についても、見直しをどういう形でやるのかというのが明確になっているか。こういったことについてきちっと中期目標に盛り込んでもらいたいということでございます。
  非公務員化につきましても、非公務員化のメリットを生かすという形での具体的な方策を目標に掲げてもらいたいということでございます。
  それから、最後のところですけれども、実は特殊法人等からの移行独法につきましては、行革推進事務局で中期目標の策定指針というのを作っております。これは先行独法についても十分参考になると思っておりますので、こうしたものを踏まえて検討していただきたいと、こういうことでございます。
  
  富田分科会長
  では、各府省の独立行政法人評価委員会の業績勘案率事案について続けてお願いします。
  
  山下評価監視官
  資料4、業績勘案率を説明させていただきます。
  資料4、1枚紙と、その後に厚い資料がついておりますが、資料4の総括表を見ていただきますと、文科省、国交省、財務省、それぞれから出ておりますが、文科省と財務省は既に別の法人で業績勘案率を一度ご審議いただいております。去年、この分科会で作っていただきました指針に沿った算定方法を作っておりまして、それに沿って算定し、いずれも1.0という結論になっております。国交省につきましては今回初めてでございますが、今回、やはり同様に、去年の指針に沿った形で国交省の中での算定指針をつくっておりまして、それに沿っていずれも1.0という数値になってございます。いずれも問題はないと事務局としては考えておりまして、特に意見はない旨の回答を出したいと思っております。
  
  富田分科会長
  それでは、ただいまの事務局からの報告、2点ございましたけれども、それぞれにつきましてご質問、ご意見等がございましたら、ご自由にお願いいたします。
  
  島上臨時委員
  「勧告の方向性」のフォローアップについての、法人が担う任務・役割の、「法人が担う任務・役割が明確なものとなっているか」という部分について、「明確」だけではなくて、「社会的ニーズをきちんととらえて見直して明確になっているか」というものを入れてほしいのです。実地見学をさせていただいた感じで率直に申し上げると、どうも組織があるから任務があるような感じがしますが、やはり任務があって、そこから組織があるという、もう少し根本のところを主務官庁も独法も見直しをしてもらいたいという気持ちがあるものですから、ぜひそこをうまく書き込んでほしいと思います。
  
  富田分科会長
  これは、「法人の担う任務・役割が国民のニーズを反映し、しかも明確なものとなっているかどうか」とか、そういう趣旨で検討させていただきます。
  
  島上臨時委員
  要するに、法人のミッションがずっと変わらない。ところが、社会的ニーズはどんどん変わっているという、ずれがあるように感じられます。
  
  富田分科会長
  他にいかがでございましょうか。業績勘案率も出ておりますが、特段のご意見ございますでしょうか。
  それでは、「勧告の方向性」のフォローアップにつきましては、一部修正の上、ご意見等踏まえまして、独立行政法人評価分科会の決定事項として各省及び各省の評価委員会にお示しすることとしてよろしいでしょうか。
  併せて、文部科学省、国土交通省及び財務省の各独立行政法人評価委員会からの「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」に対する委員会の回答につきましては、案のとおり取り扱うということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

  富田分科会長
  それでは、そのように取り扱わせていただきます。
  また、本案についての事後の処理につきましては、分科会長にご一任いただくこととさせていただきます。
  最後に事務局から報告事項がございますので、お願いいたします。
  
  若生評価監視官
  今後のスケジュールですけれども、お手元の資料の最後のところに、資料5で1枚紙で検討スケジュールを入れております。分科会としましては、この後、9月の上・中旬ごろになりますけれども、昨年度もやりましたが、見直し対象法人についての集中ヒアリングを3回ほどに分けてやりたいと思っております。その間は、各ワーキングにおいて、各ワーキングの都合で何回か、本日の議論も踏まえた論点整理あるいは年度評価に当たっての視点の整理等についてご検討いただきたいと思っております。9月以降のスケジュールにつきましては、また固まった段階でご連絡したいと思います。よろしくお願いいたします。
  
  富田分科会長
  ただいまのスケジュール等につきましても、事務局の説明につきましてご質問ございませんでしょうか。
  それでは、以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。
  本日は、ご多用中のところをご出席いただき、ありがとうございました。
  (了)




ページトップへ戻る