会議資料・開催案内等



政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会議事録



  1.  日時 平成18年4月10日(月)13時30分から18時30分


  2.  場所 総務省第1特別会議室


  3.  出席者
    独立行政法人評価分科会所属委員)
    富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、縣公一郎、浅羽隆史、井上光昭、岡本義朗、小幡純子、梶川融、河村小百合、黒川行治、黒田壽二、黒田玲子(※)、島上清明、鈴木豊、田渕雪子、松田美幸、丸島儀一、山本清の各臨時委員
    政策評価分科会所属委員)
    新村保子委員
      ※印を付した委員については、委員会申合せ等に基づき、審議等の一部に参画していない。

    総務省)
    福井良次行政評価局長、伊藤孝雄官房審議官、渡会修行政評価局総務課長、新井豊評価監視官、榎本泰士調査官、岩田博調査官、加瀬徳幸調査官


  4.  議題
    (1)  独立行政法人の事務・事業に関する府省ヒアリング(外務省、文部科学省)
    (2)  報告事項


  5.  配布資料
    (1)  外務省説明資料
    (2)  文部科学省説明資料



 富田分科会長
 ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を開催いたします。
 本日の分科会は、独立行政法人の事務・事業に関する府省ヒアリングの一環といたしまして、外務省所管の2法人及び文部科学省所管6法人の計8法人の事務・事業等に関するヒアリングを行います。
 このヒアリングは、今後、平成18年夏をめどに取りまとめられる政策評価・独立行政法人評価委員会としての見直しの方針の検討を行っていく上で非常に重要な意味合いを持つものと考えております。したがいまして、委員の皆様の御協力を何とぞよろしくお願いいたします。
 では、初めに事務局から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 それでは、本日の予定でございますが、外務省所管の国際交流基金、国際協力機構の2法人、それから、文部科学省所管の教員研修センター、国立大学財務・経営センター、日本学生支援機構、それから、日本私立学校振興・共済事業団、科学技術振興機構、日本学術振興会、以上合計8法人についてヒアリングをよろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 それでは、外務省所管2法人の事務・事業につきましてヒアリングを行います。
 本日、外務省藤原企画官を始め、御担当の皆様にお越しいただきました。
 最初に、国際交流基金の事務・事業の概要につきまして、10分程度で御説明いただき、その後質疑応答を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。どうぞ、藤原企画官、よろしくお願いします。

 藤原企画官(外務省)
 大臣官房考査・政策評価官室の藤原と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 本日は国際交流基金につきまして、広報文化交流部文化交流課の片山課長より、また、国際協力機構につきまして、経済協力局技術協力課の植澤課長より御説明申し上げたいと思います。
 それでは、まず国際交流基金につきまして御説明申し上げます。

 片山文化交流課長
 片山でございます。よろしくお願いいたします。
 御手元の資料の「国際交流基金の現状と課題」というペーパーの1ページ、今日はまず概要、それから、基金のこれまでの取組、3点目として今後の課題という形に沿って御説明をいたします。
 まず2ページ目でございますけれども、概要でございます。国際交流基金は1972年に特殊法人として設立され、200310月に独立行政法人となりました。現在、定員は231名、事務所としては東京に本部、京都に支部、関西と埼玉の方に日本語のセンターがございまして、在外には18か国、アメリカの場合、ニューヨークとロサンゼルスにございますので、19か所に事務所を持っております。
 予算でございますけれども、外務省からの運営費交付金、それから、基金が持っておりますファンドの運用収入が主な収入になっておりますが、最近の金利低下の状況等で運営費交付金の収入の割合が増えている傾向にございます。
 3ページ目でございますが、国際交流基金では主に三つの柱の事業を行っております。まず第一に文化芸術交流、これは文化人等の往来や市民青少年交流等の支援、あるいは、舞台芸術や造形美術、映像出版等の事業を行っております。2点目として、海外における日本語の普及教育事業を行っております。3点目として、日本研究・知的交流を行っております。これは例えば日米センターの事業であったり、あるいは、北京の日本学研究センターの事業であったり、最近ではソウル大学の日本研究所設立に協力したりしております。また、これら3分野の事業を積極的に広報し、支援者を増やすための情報センターの活動を行っております。
 4ページ目でございます。国際交流基金の特色は、国際文化交流事業を総合的かつ効率的に行うことによって、良好な国際環境の整備及び我が国の調和ある対外関係の維持及び発展に寄与するということを目的に、国際文化交流事業を行っていることでございます。
 左の方は、先ほど申しました世界の18か国、19か所に事務所を展開し、在外公館と協力しながら事業を行っております。
 それから、右の方で言おうとしていることは、国際交流基金が、専門性を持った機関として効率的、総合的に事業を行うということ、それから、国とは一歩距離を置いたところで、政府のプロパガンダにならないような形で国際文化交流を行っていく。それからまた、民間では実施が困難な分野での事業を行っていくという特色が国際交流基金にはあると思います。
 5ページ目が、そのような特色をいかした事業につきまして例示をしているところでございます。先ほど申し上げましたが、例えばソウル大学に日本研究センターを設立したり、あるいは、中東のマスコミのジャーナリストを政府とは一歩距離を置いた形で招へいして日本の理解を深め、日本についての報道をしてもらうということも行っております。
 それから、2点目の現在までの取組でございますが、これは6ページにまとめてございます。これは現在の中期目標の中でも一般管理費1割削減、あるいは、運営費交付金を充当して行う業務経費毎年1パーセント削減という財政支出削減の目標がございますが、一般管理費については、昨年度までに8.1パーセント削減し、今年度終了までに1割削減という目標を達成するべく今努力しております。運営費交付金を充当して行う業務経費についても毎年1パーセント以上を削減いたしております。そのほか、総人件費の削減、あるいは、予算が右肩下がりになる中で、自己収入を拡大していく努力の中に、一つは、ファンドの外貨運用、これは10パーセントを上限として米ドルに限って今外貨運用が認められておりますが、そのような外貨運用による運用収入の拡大、あるいは、日本語能力試験の収入、あるいは、広告料収入等で自己収入の拡大の努力も行っております。
 それから、事業の効率化の観点から課の数を2割削減し、いろいろな決裁のプロセスを簡素化したり、あるいは、外部からの人材登用、例えば本部では部に相当しますが、情報センターの所長、文化事業部の所長を外部の民間の方に来ていただいたり、あるいは、パリ、北京のポストを民間から来ていただいたり、あるいは、民間の公募にしたり、また最近ではソウルの事務所についても広く外からの公募を募っているような状況でございます。
 7ページでございますが、今後の課題としまして、一つは日本語の学習者の増加にどう対応するかというのがございます。バブル経済崩壊の中でも、日本語の学習者は着実に増えておりますが、その目的が従来の経済的な目的から、日本文化、特に現代日本文化に対する関心という観点から日本語を勉強している人が増えております。この日本語につきましては、英語や中国語のように、ある意味で放っておいても各国が勉強してくれるような規模を持っているわけではありませんが、他方、小国の言葉のように、もう英語とか何かを勉強しなければ国の生き残りのためにそれは不可欠であるというような状況でもなく、ある意味で、その間にあるようなものが日本語だと思うのですが、そういう意味で、戦略を持って日本語の学習者を増やしていくことが重要であろうということで、それが一つの大きな柱になるかと思います。
 それから、ここには一つ、中東との対話について書いてございますけれども、中東との歴史において、フリーハンドを持っている日本という立場から、いろいろ中東と、欧米とはまた違った形での対話ができる。あるいは、ここには書いてございませんが、やはり中国、韓国を初めとする東アジアとの交流というのを全体の関係の中でどのように進めていくのかということが基金の抱えている大きな課題であろうと思っております。そういう基金の活用について、総理の下での懇談会の報告書も昨年、基金についての言及をしていただいております。
 8ページ目につきましては、これは国内ニーズの拡大について掲げております。
 9ページ目、これは類似の各国の機関との予算、職員、事務所等の比較でございます。
 10ページ目、先ほども言及しましたが、特に中国、韓国が国家的な戦略のもとに文化交流に力を入れているということです。
 例えば、中国では中国文化センターを最近戦略的に各国に展開をしていっている。例えばフランスではフランス外務省のあるケドルセー(パリの地名)の近くに立派な建物を借りて文化活動を始めたり、あるいは、孔子学院というコンセプトで、中国語の世界への展開を各国の大学機関等と協力しながらノウハウを提供して、孔子学院を世界に100か所作ろうという計画をしています。また、アメリカ等でも、初等中等教育の方で中国語、日本語はこれまでイマージョン教育(外国語教育で、その外国語だけを用いての教授法)等で拡大をされておりましたが、徐々に中国語に相対的な比重が移っているというようなことがございます。
 また、韓国も韓国文化コンテンツ振興院を作って、積極的に韓国の文化交流を支援しているという状況がございます。韓国版国際交流基金も予算が増え、今後海外事務所の展開をしていくというような予定になっていると聞いております。
 以上が御説明でございます。
 その後、数ページにわたって基金に関する資料をお付けしております。
 以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。

 山本臨時委員
 質問と意見、3点ばかりお尋ねしたいと思います。
 今御説明にもありましたとおり、国際文化交流が重要な仕事であるということは我々も同じ意見ですが、中期目標の中に、外交政策上必要性の高いものに限定して国際文化交流事業を行うとお書きになっているわけです。今御説明があった中では、いまひとつその必要性、効率性に従って行っているというお話ですが、具体的にこういった中期目標を実施するためには、必要性が高いか低いかとか、あるいは、何が重点的かどうかということを明確にする、あるいは、基準を明確にして、しかもそれは評価とも関連があるわけですが、実際それが必要性が高くて、しかも、効果を発揮したかどうかということを検証されるような試みが必要なわけです。
 そういたしますと、もう少し具体的な基準や指標というものを御設定になって、それへ向かって邁進しなければ、現在非常に財政事情が厳しいわけでありますので、そういった効率化に向けた取組というのが当然対社会とか、あるいは、対国会に対しても必要になってきます。財政のことだけを申し上げているわけではなくて、独立行政法人の枠組みとして中期目標の中で主務大臣がそういうことをお書きになっておられるわけですから、外務省当局としてももう少し明確にし、具体化していく作業をどのように今おやりになっているかということをまず確認させていただきたいというのが1点です。
 それと、2点目は、国内事業とか国際事業といったたくさんの事業を少人数でおやりになっているということは理解できるわけですが、140か国を対象にするということからいきますと、例えば、後ほど御説明がある国際協力機構は、要するに、緒方理事長が「現場主義」ということで、なるべく国内の人材を国外の事務所の方に振り向けることによって間接部門を軽くして、ひいては、効率的な事業運営、つまり少ないコストで質あるいは量を確保しつつ、援助の実効性を高めていこうという試みをされているわけですから、国際交流基金としても、やはりそういった国内事業あるいは国際事業のシフト、あるいは、間接部門の効率化に向けた取組が重要になってくると思います。それについての基本的なお考えなり、あるいは、現在どういう努力をされているかということをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、専門性がある機関だという御説明はそのとおりだろうと思いますが、少し資料等を拝見して分からないことは、いろいろな日本語の研修事業であるとか、いろいろな諸事業をおやりになっているのですが、果たして、本部とか、あるいは、事務所におられる方で、いわゆる実際に日本語の講師ができる方であるとか、あるいは、いろいろな国際文化のプログラムを組めるような方、そういう専門職と言われているような方が国内のスタッフのうちでどれぐらいを占めているのか。あるいは、間接部門をどのようにそういった専門職に振り替え、あるいは、間接部門をなるべく軽くして、国内事業の方にもっと具体的な事業展開に持っていけるような要員管理をなさっているか。このようなことは、どういうスタンスを取ろうとも、非常に国際交流基金の効率化、あるいは、重点化をされる場合においてマネジメントの基本的なことですから、外務省としてどういうスタンスで御指導をされているのかということにつきまして、お聞かせいただきたいと思います。以上、大きく分けますと3点になるかと思いますが、お尋ねしたいと思います。

 富田分科会長
 先に関連する御質問、御意見等ございましたら。

 小幡臨時委員
 では、続けてお伺いしたいのですが、まず1点目は、国際交流基金のなさっている事業は、文化人を招聘したり、あるいは、造形芸術分野、舞台芸術とかそういう文化交流もなさっているのですが、これは外務省所管なのですが、文化交流というのは、実は文化庁でも似たようなことをなさっていると思うのです。昨年5月の特殊法人等改革推進本部参与会議の指摘にもございましたが、文化交流が大事なことは十分理解するのですが、やはり、文化庁と重複するのではないかと思われる業務がどうしてもございます。そのような業務については、やはり国の財政が今こういう状況でございますので、できる限り縮減し、あるいは、文化庁との連携によって、財政支出を削減していく方向にしてほしいという指摘があったかと思いますが、そういう観点からの精査というのがなされているのかということです。
 先ほど山本委員の方からも、選ぶ時にどういう基準なのかというお話がございましたけれども、ここが非常に大事なところだと思いますので、特に他の、外務省ではない、文化庁との関係でもっと考えていただきたいと思います。
 二つ目は、国際文化交流は、国やこの独立行政法人である国際交流基金、それ以外にも、地方公共団体、民間団体、企業等いろいろ実施されているわけでございますが、一応御説明では、例えば商業ベースに乗らないものというような説明もありましたが、商業ベースに乗らないものというのは、結局本当に文化交流としての意味が実際にどの程度あるかという、その効果の測定の仕方もまた問題になろうかと思います。そういう問題を抜きにして、いろいろな主体が文化交流を行っても意味がございませんので、それぞれの主体との協力連携という形で効率的な事業実施というのが必要かと思うのですが、その辺りの仕組みというのをもう少し考えるべきではないか。
 それから、最後もう一点、少し細かいことですが、国際交流基金は海外事務所をお持ちです。以前から国際協力機構の在外事務所との共同化を図ることとされているかと思いますが、この成果といいますか、その進展状況はどのようになっているかということです。

 田渕臨時委員
 関連した質問を1点と、少し違う視点での質問を1点させていただきます。
 今、文化庁との連携というお話がありましたけれども、仕事の柱の一つとして、日本語教育を挙げていらっしゃると思いますけれども、文化庁との関係もそうなのですが、日本語教育という観点からいくと、国際協力機構と、国立国語研究所でやられていると思うんです。その中での国際交流基金の位置付けといいますか、役割、ミッションというものをどのように考えていらして、これからどういう形で進めていこうとされているのかというのをまず1点お伺いさせていただきます。
 もう1点ですけれども、先ほどいただいた資料の中で、主要な取組ということで中期目標、自己収入の拡大を挙げていらっしゃいます。14ページの方で個別の事業を見ますと、かなり自己収入が上がっているものと低いものがあるように見受けられます。特に低いのが今申し上げた日本語教育の部分で、全体から見ると15パーセントぐらいしかないのです。この辺りは、もう少しいろいろな工夫をすると自己収入比率が非常に上がってくる事業ではないかと、ほかのものに比べると、かなり自己収入を拡大しやすい部分ではないのかなと思っています。
 例えば、ゲーテ・インスティチュートですとかそういったところでは、日本での講習、ドイツ語講習を有料化したりしていますし、その辺り、海外における日本語講習の有料化などそういった部分を考えて、これから実施していこうとされているのか、自己収入比率を拡大するに当たっての具体策というものをお聞かせいただけますでしょうか。

 富田分科会長
 それでは、まとめてお答えいただきたく思いますが、簡潔にお願いいたします。

 片山文化交流課長
 ありがとうございます。それでは、順番に簡潔にお答えをいたします。
 まず1点目、外交政策上の必要性をどのように基金との関係で整理し、それを事業に反映しているかということにつきましては、主に短期、中期、長期とあると思いますが、例えば短期であれば、昨年は日韓国交正常化40周年であるとか、あるいは、来年は日中正常化35周年とか、そういう、特に2国間上意味のある年に集中的に文化交流を行っていく中で、予算上の配分もそういうことに合わせていろいろやっていくという短期的な一つの流れというものがございます。
 また、各国のそれぞれの事情に応じて、例えば、伝統文化的なものを活用した交流というのが非常に意味があるのか、あるいは、どちらかというとジャパン・クールと言われるような現代文化、あるいは、若者にターゲットを向けることの方がより意義があるのか、あるいは、その国々のその時々の政治情勢なども踏まえて、どのような人の交流が大事なのかということにつきまして、外務省が持っている189の在外公館から、毎年どういう事業をどういう形で展開するというのが意義があるのかと、そういう基金に対する要請を特記事項という形で、在外公館の意見を吸い上げ、それを本省の方で整理して、国際交流基金と担当者レベル、課長レベル、あるいは、部長レベルと更に理事レベルという形で、事業についてより外交政策上必要だと言われるものをより具体化、明確化していく作業を行っております。これはまだその途上ではありますけれども、そういう試みを毎年、更に底を深くしていっているところでございます。
 それから、2点目の海外での事業の展開につきまして、御指摘のとおり、やはり19か所というところで限界がございますし、これを更に50か所、100か所に増やせるというような御時世でもないという中で、いろいろ基金としても工夫しているのは、一つは、例えば現地の、スペインであればバルセロナのカーサ・アジアとか、あるいは、ドイツであればベルリン、日独センターとか、そういう既存の現地の交流の拠点と提携関係を結びまして、そういうところを拠点に協力しながら事業をやっていくというようなことを工夫したり、あるいは、現地のリエゾン(連絡)役的な、事務所は作れないけれども、現地の情勢を調査し、どのような交流の事情になり、どういうような文化交流が意味があるかということを報告し、リエゾン役になってくれるようなところ、例えば、韓国であればソウルに事務所がありますが、全羅道の方にはないということであれば、光州の方にそういう一つのリエゾン役のようなものを設けるとか、あるいは、先ほど申しました189ある在外公館に対し、基金の事務所は19か所ですので、それ以外のところは在外公館のネットワークを活用したり、あるいは、在外公館に基金の方から出向していただいて、大使館の広報文化班の方で活動を行っていただいたり、そのような工夫をしながら海外での事業展開を行っております。
 3点目の専門性の観点につきましては、例えば日本語の専門家につきましても、日本の大学、修士課程等で外国人に日本語を教える専門的なコースを履修した方々に、いろいろ日本語の授業についての御協力をいただいたり、あるいは、今、国際交流基金の約3分の1の職員が大学の修士課程以上のそれぞれの分野での専門の学位を持っておりますが、そういうことで、各分野の専門性については、これまでも相当重視し、そのような観点からの採用もしておりますし、今後、更にそういう観点での専門性を磨いていく方向で人事も考えております。
 4点目、文化庁等との関係でございますが、確かに御指摘のとおりでございますが、国際交流基金というのは外交上の必要性に基づいて国際文化交流を行い、文化庁は日本の文化、芸術振興という観点から交流を行っています。他方、その中で、結果として同じような事業について協力をしていくということはしばしばございまして、例えば、先ほど申しましたような周年事業、日韓との国交何十周年とか中国との国交何周年とかあるいは、来年であればインド、タイもそういう周年事業、タイの修好120周年とか、そういうことにつきましては、文化庁の方にもアーツプラン(文化芸術創造プラン)等でそういう国々により重点を置いたような選考をしていただくようにしておりますし、毎月文化庁の国際課長との間で定期的な意見交換をしており、例えば、昨年の日韓の交流の中では、植民地時代は別ですが、戦後初めて宝塚の韓国公演というのが実現をいたしましたが、これにつきましては、外務省、国際交流基金、それから、文化庁、更にビジット・ジャパン・キャンペーンで国土交通省と連携をとりまして、商業ベースでは実現しにくい宝塚の韓国公演というのが初めて実現をしたということで、文化庁等を始め関係諸機関との連携については我々も十分問題意識も持っているところでございます。
 それから、国際交流基金と国際協力機構との海外事務所の連携につきましては、先ほど申しましたように、国際交流基金自体、非常に限られた事務所しかございませんし、これを飛躍的に拡大するということはできませんので、特に途上国の地域における国際協力機構の事務所と、例えば日本語等の関係でどういう連携ができるかということは過去数年来いろいろ意見交換をさせていただいており、国際協力機構関連の日本センター等の活用につきましても、いろいろ意見交換をさせていただいていると承知しております。
 それから、日本語教育の今後の方向性でございますが、確かに御指摘のとおり、海外では日本語教育で自己収入の更なる拡大を図る余地があると思っております。これまで民業圧迫という観点で比較的慎重な取扱いをしておりましたが、今外務省の中で行われている海外交流審議会の中でも、海外における日本語教育というのが一つのテーマになっておりまして、今後どういう形で海外における日本語教育を強化していくかと、その中には収入の拡大ということも含めて、これまでのやり方を単に踏襲するのではなく、より積極的な方向性を見出していくべきではないかという観点で議論をし、それを次期中期目標に反映をさせていきたいと思っております。
 その日本語教育の関係で言えば、もう一つの質問にかかわりますが、国際協力機構につきましては、これは途上国における技術協力の観点からの日本語教育ということで、一応役割分担があると思っております。それから、国立国語研究所につきましては、これは基本的に何が正しい日本語かということの権威を持つアカデミー・フランセーズ的な組織で、国立国語研究所自体もいろいろ事業の見直し等を行っていらっしゃると承知しておりまして、その中で、特段、今の段階で国際交流基金との事業の重複性はないものと理解しております。
 更に何か落ちている御質問が、ございましたでしょうか。

 富田分科会長
 地方でも民間でも事業を行っているのではないかという質問が小幡委員からありました。

 片山文化交流課長
 これは最初に申しましたように、やはり国際交流基金は、文化・芸術であれ、日本語の普及であれ、更に知的交流、日本研究であれ、そういう形で専門的な知見を持って総合的かつ効率的に事業を行うと。かつ、外務省と連携を取りながら、外交のニーズに即応する形で事業を行います。そういう観点で、もちろん、その他の機関、あるいは、民間、NGONPO等と更なる連携を図っていく必要があるかと思いますが、もっともそういう外務省の外交上の必要性という観点から事業を行う総合的、効率的な機関として、やはり国際交流基金というものの存在は非常に大きいものがあると思います。そういう枠の中で、その他の民間団体等とも連携を取りながら、そこでもし不必要な重複等があれば、そこは更にオールジャパンとして、より効率的で意義のある形に努めていく必要があるかと思っております。

 富田分科会長
 あと、独立行政法人の運営として、日本語教育による自己収入の拡大ということについての運営方針に関する質問が先ほど田渕委員よりあったのですが。

 片山文化交流課長
 それにつきましては、先ほど若干触れましたように、これまでは民業圧迫というようなことがまず頭にありましたが、他方で今やはり国際的な日本語の普及というのは需要もありますし、他方で、そこについて力を入れなければ、ますます中国語や、あるいは、韓国語もそうかもしれませんが、そういうかなり戦略的に進めているところに比べると、どうしても相対的に弱くなってしまう可能性もございますので、そういうニーズも踏まえながら、もっとある意味で積極的に展開していくこととしております。

 富田分科会長
 先ほどそう言われたのですけれども、質問は、その自己収入拡大の方針はありやなしやということです。

 片山文化交流課長
 そういうことを実現するために、やはり自己収入を拡大していくという方向性と連動しなければ拡大していけないのではないかなと思っています。

 富田分科会長
 どちらなのですか。

 片山文化交流課長
 端的に言えばありです。

 富田分科会長
 それでは、ほかに、今の御答弁を踏まえて御質問、御意見等ありましたら。

 山本臨時委員
 1点だけ。はっきりしておきたいのは、今現在、正規の職員の方で日本語の講師をされている方はどれぐらいおられるのですか。それが一番知りたい。自己収入を図るにしても、どうもいただいた資料ではそこが不透明なのです。そういう日本語教師の資格を持って、しかも、正規職員としてそういう日本語の講習をされている方は、例えば日本語グループと称されているグループの中で実際に何人ぐらいおられるのですか。

 片山文化交流課長
 今、関西と埼玉の方にありますセンターで日本語の授業に従事していただいているのは50名弱でございます。

 山本臨時委員
 そういうことは知っているのですけれども、私の質問は、最初から明確に言ったのですけど、実際直接講師をなさっている方は正規の職員でどれぐらいおられるのですか。要するに、サポート部隊なのですかということを明確にしていただきたいのです。

 片山文化交流課長
 そのとおりです。

 山本臨時委員
 そうであれば、私が冒頭申し上げたように、もう全面的に組織全体の体制を整えないと自己収入も確保もできませんし、実際的な日本語の普及ということもできない。そういう意味の重点化というのを人的な側面からやり直さないと、要するに、ミッションの達成ができないのではないか、そういった中期目標の見直しが必要ではないか、ストレートにはそういうことを申し上げたかったわけです。

 樫谷分科会長代理
 今の点とも関係するのですけれども、簡素で効率的な政府をつくるというのが政府の大きな目標になっているわけです。そうすると、簡素で効率的というと、会計的には行政サービス実施コスト計算書というのがありまして、サービスコスト、これが政府のコストになるわけです。ただ、この中ではコントロール外の機会費用というものもあり、調整しなければいけないかもわかりませんが、具体的にこのコスト計算書の中で、特に次の中期目標や計画をお作りになる段階で、ここにもう少し具体的な数字を書き込んでいただきたいと思っています。
 特に、指標です。例えば自己収入を上げるんだといったときに、どこまで何割上げるのか、幾らにするのか、自己収入割合をどうするのかとか、イベント1件当たりの職員数はどうだとか、例えばそれが適当なのかどうなのか分かりませんが、できれば国民が分かるような形で工夫していただきたい、つまり、コストのマネジメントですよ、コストのマネジメントをしながら国民に説明できるというような仕組みを是非一緒に合わせて検討していただきたいと思います。コスト管理とその収入の管理、そのバランスあるいは指標、そういうようなものも是非次の中期目標なり計画に取り入れていただけたらと思います。

 富田分科会長
 貴重な御要請だと思います。ただ、国際交流基金は政府出資金が1,000億円以上もあるという、ほかの独立行政法人とは少し違う形なので、機会費用も含めて、やはり業務費用の効率化という観点から経営を行っていただけるようにお願いしたい。山本委員からも御指摘がありましたように、業務の重点化、外交政策上必要性の高いものに基金の業務を限定するという、そういうものを明確にしていただくことが重要であろうとは私ども委員の多くの指摘であったと思います。
 まだいろいろとお聞きしたいこともあるのですけれども、今日は国際交流基金はここまでにいたしまして、続きまして、国際協力機構の方にテーマを移したいと思います。
 御説明、10分間でお願いします。時間も押しております。

 植澤技術協力課長
 かしこまりました。技術協力課長の植澤でございます。
 では、10分間ということなので、少々駆け足で御説明させていただきます。
 お手元に「国際協力機構説明資料」とございます。以下、JICAと呼ばせていただきますが、目次のところをあけていただきます。本日は3点に絞らせていただきます。第1点目で、まず国際協力機構の概要ということでJICAの組織、それから、事業内容について触れさせていただきます。続きまして、効率化の観点からのJICAがとっている改革というところについて御説明させていただきます。3点目は予算の件でございますが、むしろ1と2に重点を置いて御説明させていただきます。
 それでは、1ページ目をお開きください。ここはこれからJICAの話に入る大前提でございますが、ODAにつきましては、御案内のように、ここにございます二国間贈与、二国間貸付け、そして、国際機関等への出資・拠出等がございます。本日はこのうち、この二国間贈与に関係しておりますJICAについてお話しさせていただきます。
 この二国間贈与というのは、途上国に対して無償で技術及び資金を与えるという形態でございます。2つ目の貸付けというのはよく円借款と言われている利子を取って貸し付けるものでございます。この贈与の中には、無償資金協力と技術協力というのがございまして、JICAは専らこの技術協力というものを中心にやっております。これは日本国にある技術を途上国の発展のために使うということで、内容的にはその途上国の制度構築、組織強化、人材育成等、従来から人作りと言われるような形で言われているところでございます。
 2ページを開いていただきます。もとより、ODAの原資は税金でございまして、より効率的な使い方、あるいは、透明性のある形でJICAと政府、すなわち、私ども外務省は一体となってODAについて綿密に協議等をして進めているわけでございますが、他方におきまして、それぞれの役割、効率的なODAのありようという文脈から明確に役割を分けております。この2ページの図で申し上げたい最大のメッセージは、外務省側が主に政策を行い、JICA側は実施をやるという大きな分かれ目でございます。
 その実態の具体的なところは、JICAの行う事業は途上国政府からの要請に基づいて行います。途上国側からいろいろな要請がまいります。それを上の丸に書いてあるようなODA大綱、もしくは、中期政策、国別援助計画というものを踏まえた戦略的な観点から案件を精査し、外務省が中心となり各省等の知見もいただきながら案件を決定いたします。そして、途上国側に伝えます。このプロセスを経て、私どもは公式な文書により国際約束を締結いたします。そこまでが主として政府の役割でございます。
 以降、案件が決まった後、JICAに対し、その案件を指示し、実施業務をしていただいておるという形式でございます。この下の分はほかでも出ますので割愛します。
 3ページ目を開いていただきますが、これは今まで言ったことと重複いたしますので、ここは説明を省かせていただきます。
 4ページ目をお願いします。ここにある図が、先ほど申し上げました役割分担の中で実施に当たってJICAが何をしているかということと、JICAがどれくらいの所帯の大きさをもって、あるいは、どれくらいの事業規模であるかということを簡単に書いたものでございます。
 上の八角形の中にある事業がJICAの主たる事業でございます。その八角形の一番上の三つのうちの二つ、専門家派遣と研修員というのが主たる要素となります。専門家派遣というのは、日本の技術を持った専門家を途上国に派遣して、途上国の人に技術を移転するということでございます。一方、途上国から日本に招聘し、日本国において技術を移転することを研修員受入れと言っております。そのプロセスにおいて必要と思われる機材を供与するのが機材供与でございます。
 そのほか、ここにございますように、現在外務省が主管しております無償資金協力につきましても、その案件を最終的に国際約束を結ぶ段階以前に、どのような案件であるかという調査等々の事業を実施促進業務と呼んで行っております。それ以外、お耳にされたこともあるでしょうが、津波問題など大きな災害が起きたときの災害援助、並びに、ODAの国民参加という観点から、青年海外協力隊等の若い人材を募る事業もございます。また、昨今NGOの活発な動きを踏まえ、NGOとの連携も進めております。
 なお、ここにございます開発調査というのは、いわばコンサルタント等専門家集団が現地に赴き調査する事業でございます。M/P、F/Sという形で略して書いて大変恐縮でございますが、これは例えばある国において広い範囲で農業の開発をしたいというときに、大きな構図を書くのをマスタープラン(基本計画)と称しております。一方、橋などを架ける場合に、その橋が果たして技術的に、また、経済的に現実的であるかという調査を行う場合に、フィージビリティ・スタディ(実行可能性調査)と呼んでおります。このような事業をJICAは行っております。
 その対象国としては、下の四角に書いてございますが、158か国を2004年度実績時点で対象としております。事務所につきましては、56事務所ございます。また、事業ベースの大きさでございますが、協力隊等ボランティアに関しましては、ここにございます5,000人弱、専門家については3,000人強、研修員については9,000人強受け入れているという規模でございます。
 5ページに移っていただきます。今までがJICAの組織及び規模でございますが、ここからはJICAの改革というポイントに入りますが、まず各論になります。ここに書いてございますのは、今行っている改善点で、一つは業務運営全般につきましては、まず現地のニーズを踏まえることが何よりも大切であるということで、「現場主義」ということを採っているのが一つの特徴でございます。組織面では、独立行政法人化以降、いわゆる地域部、課題部、たくさん縦割りもあればスキーム割もございましたけれども、それをできるだけフラット化して、より決裁過程、意思決定を早くするという体制を探求しております。また、人事面におきましては、成果主義を取り入れ、全体として人事の活性化と経費の削減に努めているところでございます。
 事業予算面ではここに4点書いてございますが、特に2点について御報告いたします。具体的な定量目標を示すものが、この二つ目の丸の「中期目標に基づき」と書いてあるところでございまして、事業費につきましては、これは内容的には研修員であったり専門家等々ございますが、原則10パーセント削減を目標期間中に行うということを掲げております。また、管理費についても同じく10パーセントの削減を目指しております。また、そうした実際の削減を行っていくためには、日々事業の活動を評価することが必要ということで、評価の強化にも努めているところでございます。
 続きまして、6ページでございます。今申し上げたのは数値目標等のいわゆる各論でございますが、この中期目標の枠内に定められた目標を更に加速すべく、JICA緒方理事長の強いリーダーシップのもと、JICAが一丸となって第1弾、第2弾ということで改革プランを発表させていただいております。
 第1弾目は現場主義。これはまず在外の事務所がやはりODAの前面にいるということで、一番途上国の目線に立って協力ができるという観点から、現場主義をうたっております。そして、人間の安全保障、また、効果・効率の迅速性等を打ち出しております。
 第2弾については、国内事業の改革等を示しております。特に現場主義に至りましては、やはり言葉で終わらないように、権限の委譲及び人員のシフトという具体策をもってこの目標を達成するように努めております。
 7ページ目に移っていただきます。これは先ほど申しました幾つかの改革プランの中の在外強化でございますが、この在外強化をした結果として、スピードアップ、もしくは、事務所のオーナーシップの向上、そして、戦略的な事業運営、先方政府とのコミュニケーションの深化というものを持って、一つのサンプル調査でございますが、中国におきましては、調査経費はこの270万円から104万円少々に減ったというサンプルの事例がございます。これはいろいろな理由がございますが、一つはこの在外に相当なイニシアチブを持たせることによって、無用なとは言いませんが、それまで必要であった東京からの調査団が割愛される、もしくは、現地の資源をより使えるということ等々を理由にこうした経費削減につながっております。
 8ページ目でございますが、時間の関係上深く御説明いたしませんが、効率化によって経費が下がることは言うまでもなく当然でございますが、一方において、外務省独立行政法人評価委員会の方からも、質の維持と申しますか質の向上ということを強く御示唆いただいているところもあり、在外強化により経費の削減とともに、それまで専門家あるいはプロジェクトあるいはボランティア、無償資金というそれぞれのスキームごとにばらばらに陥りがちであったプロジェクトの運営を一つのプログラム目標のもとに行うという方策に変えて、より効果的な援助の実施に務めておる次第でございます。
 次に9ページ目でございますが、JICA予算もこのような変遷で当然にして削減の風を受けている次第で、2006年は1,575億円という金額になっております。
 10ページ目を見ていただきます。これは複雑なので、簡単に申し上げますが、JICAの場合は効率化係数で、1.22パーセントを毎年削減するということで、これは大ざっぱに申しますと20億円ずつ減っていく形になっております。さらにここでこの16年、17年、18年の表につきまして、例えば16年度につきましては、いわゆる中期計画上の削減計画では20億円でございますが、更に6億円を削った上で、そこに時の政策案件ということで、例えばイラク問題が生じた、アフガニスタン問題が生じた、あるいは、平和の構築への着手が必要である等々の時の流れを踏まえた外交ニーズを踏まえた政策案件として、深く効率化以上に切り込んだ上で別途政策増を財務当局よりいただいているというのがこの絵でございます。
 一応今申し上げたのが、JICA全体の概要でございます。
 もう一つ、この紙には書いてございませんが、一つこの機会に今のJICAの政治との絡みということで1点申し上げたいことがございます。それは御案内のように、小泉改革の下で今、政策金融改革が行われておりまして、その話の流れの中で、平成20年度から国際協力銀行の円借款部分をJICAに統合するということです。その統合するという議論に至った理由は、ODAを一本化してやることが効率的であるという論理の下に行われているわけで、外務省が今持っております無償資金協力についても、必要な部分を必要な制度設計でJICAに一元化するという動きが今ございます。
 その文脈で、ちょうど18年度に今のJICAの中期目標が終了することになっております。私どもは一つ工夫しなければいけないと思って、関係省庁に御相談している点は、18年度で終わって19年度から始まる中期目標を作った際に、20年度から大きな変化が生じると、果たして18年度で終了することが決まっているからといって、切っていく方が良いのか、現在の目標期間を1年延長して、20年度から全体を見据えた形での3年から5年の適切な目標を一本化された形でつくるべきか否かということについて、今関係者と協力させていただいて、よりよいJICAの在り方というものを指導していきたいと考えております。
 少々長くなりましたが、以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきましたJICAの事務・事業につきまして、御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。

 山本臨時委員
 今の、最後の話だけ、少し重要な、若干機微にわたる内容も入っていたと思いますので、分科会長はまた違う御意見かもしれませんので、個人限りの発言としてお聞きいただきたいと思います。独立行政法人の見直しの中で我々が当面行うのは、見直しの勧告の方向性についてまずものを申し上げるわけですが、中期目標がまだ大分残っている独立行政法人につきましても、我々の審議の体制等からいって、かなり前倒しで見直しをやるということになっています。確かに政策金融機関との統廃合の関係で、組織が大幅に変わられるということはそのとおりでありますが、だからといって、見直しの時期等がそれに応じる形になるかというのは、また少し政治的な話もあるかと思いますが、そういうことは抜きにして、多くの独立行政法人は、例えばあと中期目標期間が3年近く残っていたとしても、3年目に2年間の実績で見直すというのも現に存在するわけでございますから、その辺りは少し分けて考える必要があるのではないかと思います。
 それから、今御説明がありましたとおり、JICAは非常に意欲的な試みをされておられる。とりわけ効率化について、単位コスト等の発想は非常にユニークで、ベストかどうか分かりませんが、優良事例であろうと私も考えております。そこで、むしろ気になりますことは、「主要な投入に係る単位コスト」と書いてあるのですが、どういった単位でこの単位コストというのをお出しになるのかどうか。
 それと、非常にこれは微妙な問題があるのですが、単位コストを削減したからといって、総コストが削減するとは限らないわけです。そうすると、確かに独立行政法人は財政効率化だけで存在するわけではないのですが、財政再建にもやはり御協力いただかなければならない。当然公財政で支援されていますから、これは仕方が無いといいますか、当然の義務だと思います。
 そうしますと、この単位コストの10パーセント削減というのは確かに生産性を上げるという意味においては非常にすばらしいのですが、同時に、従来以上の量をやるということになれば、総コストは逆に増えるということも自然になるわけでございますから、この辺は非常に全体的な総事業費抑制ということと、管理費の削減というのは、微妙に色合いが違ってきているわけです。ここら辺をどのように、とりわけ主務省としてお考えであるかというのが結構大きな問題であろうと思います。
 ですから、単位コストの削減ということと事業費の総コストの削減というのは、これは概念が全く異なるものであるということでありますから、そこら辺をどのようにするかということと同時に、質を維持するということは当然ODAの場合は重要であると思いますが、では、質が維持されているかどうかをどういう基準でまた点検されているのかということです。
 実は国際交流基金にもお尋ねして答えが返ってこなかったことですので、もう一度ここでも挑戦したいと思いますが、質を維持するというのは非常に重要なことですが、では、どういう方法で質を維持して単位コストの削減を図っておられるのか。具体的なある方法というのは、例えば技術援助の専門家の派遣を減らされたとか、旅費の単価を見直されたというのは承知しているのですが、そうではなくて、質が維持されたかどうかということはどのようにして同時にチェックされているかということをお尋ねしたいと思います。
 それから時間がないので1点だけお尋ねしたいと思いますが、かなりの人員の制約であろうかと思いますのが、基本的に多くの業務が関連の公益法人、いわゆる財団法人に委託されています。事実上かなり、「丸投げ」という言葉はよくないかと思いますが、かなりの業務が自動的にというわけではないのですが、財団法人の方に委託されているということで、やむを得ない側面もあるかと思いますが、本当にその必要性があるのかどうか、あるいは、その法人でないと駄目なのかどうか。今の状況から言いますと、より透明性、あるいは、説得的な御説明が対社会においても必要であろうと思いますので、その点についてもお聞かせ願いたい。以上でございます。

 富田分科会長
 それでは、関連いたしまして、御質問、御意見ございますか。

 田渕臨時委員
 山本委員の最初の指摘について、最後にお話になられました前倒しのお話ですけれども、これに関しては、私も今年度きっちり検証されるのがよろしいのではないかと思っています。というのが、見直しに当たっても、去年と、一昨年、本来17年度に見直しをかけるものを16年度に前倒しを半分しているわけです。それと状況としては同じなわけですから、それほどそこで構えたりすることでもなくて、実際目標を今年度までということで立てられているわけですから、それに対しての検証はまず今年度されるのがよろしいのではないかなと思います。
 その上で質問ですが、20年度から新たに外務省での無償資金の部分と、国際協力銀行の円借款の部分です。そちらの部分を一元化して、JICAの方で実施するということになろうかと思うのですが、一元化するに当たって、外務省としては効率的な運営を目指すということで、20年度からの三つを統合した一元化というものを実施されるわけですけれども、そこに当たっては、合理化策、具体的な方向性といったものをどういう形で今頭の中に描いていらっしゃるのか、今後どういう形で実現を図っていこうとされているのか、20年度からの目標に向けた部分ですけれども、そこの部分をお聞かせいただけませんか。

 富田分科会長
 それでは、続けて。どうぞ、小幡委員。

 小幡臨時委員
 もう既に改革ということで、現場主義、在外強化という取組については私は大変評価できると思うのですが、改革第1弾、第2弾とございまして、第2弾のところでは、国内機関の再編ということで、首都圏3機関の再編などを予定されているようですが、まだ国内に19か所ぐらいセンターという拠点があるようでございます。今後更に現場主義というか在外を進めていくという場合には、やはりまだ国内にある拠点についても、もう少し抜本的な整理が必要なのではないかと思うのですが、今後の取組予定、更にもう少し抜本的な見直しはいかがかということでお伺いしたい。
 それから、研修事業の改革というのがございますが、たくさんあるセンターで、研修事業を行う研修センターを自前で持っていらっしゃる。その研修事業というのも、かなり長年、もちろん、少しずつ変えてはいらっしゃると思いますが、特に国内に受け入れて研修するという事業の在り方について、国内センターの抜本的な見直し等を含めて、研修事業の見直しというのも、効果の測定も含めて、考えられたらいかがかと思います。

 富田分科会長
 ありがとうございます。
 それでは、お答えいただくのですけれども、その前に、山本委員から、そして、田渕委員からも御指摘があったJICAの見直しですけれども、これはもう本年度、18年度に行うという線は当分科会としては譲れるものではございませんので、それを前提に議論を進めたいと思います。
 それでは、お答えいただけますでしょうか。簡潔にお願いいたします。

 植澤技術協力課長
 分かりました。今、冒頭ございましたように、私どもJICAの一元化については、かなり政治的な部分もあって、特に中期目標のところについて頭を悩ましているところでございますので、今の見直しについても、御意見を踏まえて、今後、御意見を拝聴いたしましたので、少し政治的な部分もあるので相談させていただきたいですけれども、今の御発言、見直しについては今年度という御認識をお持ちになっておられるという御言葉は確かに今耳にいたしました。
 それでは、幾つかお答え申し上げます。
 まず、コストのところでございますが、これは基本的には御案内のように、効率化係数ということで毎年1.22パーセント下げていくということはやっております。その上で、それを具体化していく中で、実際に専門家であったり研修員であったりというのはどのように減らしていっているのかというのは、もう既に御指摘のあったように、基本的には例えば長期であったものの人数を減らしたりとか、研修についても、できるだけ平準化いたしまして、年度末に重なるということをせずに、研修所の宿泊施設を使う、もしくは、不必要な長さでは行わないということを行いながら、できるだけ下げるということを今やっているところでございます。
 それから、効率化との関係で、質の維持というのは、これは正直申し上げまして、このODAプロジェクトの場合、掛けた費用とその成果というものとの相関関係を完全に割り出すというのは、これは我が国、もしくは、JICAのみならず、国際機関においてもなかなか難しいところでございますが、ただ、難しいと足踏みをしているのではなく、JICAにおいては、今までの知見の経験を集めたり、国際総合研究所が研究をして、少なくともプロジェクト・サイクルという手法について、ほかの機関のものを習いながら、あるいは、ほかの機関が行っているところにプラス・アルファした形で、いかに評価というものを効果的にできるか、あるいは、学問的にも正しい形でできるかということについて、今研究しながら進めているところでございます。
 さらに、直接、質と投入量との関係ということで、直接的なお答えにはなりませんけれども、そうした評価で表れた結果というのは、実は本にするだけではなくて、担当官一人一人が次の案件に携わる際に、まずその評価書を読んでいますか、「○×をつける欄を作ったり、読んだ経験をどのように案件実施に使いましたか」という、小さな話ですけれども、そういうところでフィードバックも考える等の作業をさせていただいているところでございます。
 センターの国内機関の見直しでございますが、第1弾で国内センターの見直しについては、今19か所ございました。これをやはり今までどおりやっていくというのはおかしいだろうということで、見直した結果、一つは、まず八王子センターについては閉鎖するということにして、そこにあった機能をほかに移しました。さらに、全国をブロックごとに分けまして、重複事業がないかという見直しもさせまして、特にその中では各センターが比較優位を持っているプロジェクト、もしくは、研修というものを構築させまして、それぞれが中心になって全国ネットで比較優位のあるプロジェクトを行うようにして、個々に重複のないような形で既に新しい計画案を終了しておりまして、それを対外的にどう発表していくかという最終段階に入っているところでございます。
 その文脈で、研修についてお話があったように承知いたしますが、これも随分、研修にもいろいろ種類があるのですけれども、いい例は集団コースといって、たくさんの数のもう数年間続いているようなケースが幾つかあったのですけれど、これをそもそもここ5年ぐらいかけて、既に独法化前から減らす作業をしてきておりまして、15パーセントぐらいもう既に数的には減らしました。ただ、この数的に減らすというのにも一つの区切りをつけて、次に今やろうとしているのは、そもそも外務省のODAというのは最初に先ほど申しましたODA大綱ですとか中期政策というのがありまして、最終的には国ごとの国別計画というところに落ちていくのですけれども、そうした流れの中で、戦略で重点分野、あるいは重点プログラムというのがあります。それに合わせて、それから外れているようなコースというのはもう整理していくということで、研修の数を大きく減らしていくというのが一つのポイントです。
 もう一つは、戦略的文脈からすれば研修というものが独立してあるというのもおかしいということで、研修の一部のお金をもっと大きなプロジェクトのところに既に組み込んで、そもそも最初の発想からプログラム・アプローチをしていくという予算の入替えも行って前向きに今進めさせているところでございます。
 あと、幾つか落ちていたところはございますでしょうか。

 山本臨時委員
 財団法人、公益法人の問題ですね。かなり委託されておられる。

 植澤技術協力課長
 確かに委託しております。これはもちろん当然にして、一つの例を挙げますと、インドネシアなどで行っている例でも、最近の援助というのは、いわゆるマネジメントの部分とサブの部分を両方兼ねてやらなければいけないような部分がございまして、従来のように、専門家が一人行って、専門性のあることだけをやっているというのではなくて、例えば、大学とジョイント・ベンチャーを組んでもらったりした委託の会社、そうしたジョイント・ベンチャーのところに委託すると同時に、これを丸投げしているかという文脈で申し上げますと、全くそうではなくて、現地事務所での報告義務を課すとともに、定期的に本部への報告義務を課しているということで、そのプロジェクトが動く中で、丸投げではなく、むしろより多くの報告義務を課しながら進めているというのが全体の現状でございます。

 小幡臨時委員
 今のことについてですが、多分、山本委員のおっしゃったのは、日本国際協力センターのことでございます。要するに、研修生受け入れに関連する事業で、400名ぐらい人員がいて、支所もJICAのセンターに大体対応して持っているかなり大きな組織なのですが、そういうところへの委託が、現実に研修事業、国内センターと相まって、どのように行われているのかと、そういうことだと思います。

 植澤技術協力課長
 一つは、彼らに委託している部分というのは、研修生の御世話であったりとか、その研修の内容自体をつくるというところではないということが1点と、もう一つは、日本国際協力センターへの委託の仕方云々に、もしかしたら御疑問があるのかなと思うのですが、今の世の中の様々な改革の流れの中で、これはいつまでも日本国際協力センターのみへ委託するという構造的なものが許されるという認識ではないと。それで、一歩一歩検討を進めて、当該日本国際協力センターにもそのような方針というのは流しているというのが現状でございます。ピントが少しずれているかもしれませんが、以上でございます。

 富田分科会長
 まだ質問したいこと、意見を述べたいことはあるのですけれども、今日は時間の都合もありますので、ここで打ち切らせていただきます。
 今日は時間の都合で十分な意見、質問ができなかった委員もおられると思いますので、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際は対応方よろしくお願いいたします。
 本日は御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力をいただき、ありがとうございました。当分科会といたしましては、ただいまの御議論なども踏まえて、平成18年度における独立行政法人の見直しに関する審議をより深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
 それでは、ちょっと予定より大分時間が押しておりますけれど、ここで10分程度休憩をとりたいと存じます。55分に再開するということでお願いします。

(休憩)

 富田分科会長
 それでは、時間になりましたので、再開いたします。
 文部科学省所管6法人の事務・事業につきましてヒアリングを行います。
 本日は、文部科学省山中審議官始め、御担当の皆様にお越しいただきました。
 最初に、教員研修センターの事務・事業の概要につきまして、文部科学省から10分間の御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 山中審議官
 文部科学省審議官の山中でございます。
 文部科学省の関係の説明資料、資料2でございますけれども、資料2−1というのが独立行政法人教員研修センターについての資料でございます。この資料に従いまして、教員研修センターにつきまして御説明をさせていただきたいと存じます。
 独立行政法人教員研修センターでございますけれども、これは学校の先生方、教員の研修をするというところでございます。特に学校あるいは学校教育の質の向上を図る上で、先生、特に校長、教頭といった管理職の資質というものが非常に重要なものになってきております。特に義務教育は公立の小中学校が中心に行われておりますけれども、昨年、中央教育審議会でも義務教育について議論いたしまして、これからの義務教育の構造改革ということで、市町村立の小中学校が対象でございますので、学校に近い市町村、あるいは、学校、校長の方にその権限、責任をゆだねていくという形での構造改革というものを進めていこうというものです。それで、国としては標準的なものを定めて、その結果を検証していく、そのシステムを作っていこうということを考えております。そういう中で、特に学校の責任者である校長あるいは教頭、この予備軍である先生方の資質の向上を図っていくということが非常に大きな課題となっております。
 教員研修センターにおきましては、平成13年4月に設立されたものでございますけれども、第1期の中期目標期間は、13年から15年度、3年間でございました。ここで見直しをいたしまして、その際にいただきましたいろいろな御指摘を踏まえて、今第2期、平成16年から18年度の中期目標期間の業務に取り組んでいるところでございます。
 実施する業務ということで、学校教育関係職員に関する研修、それから、教育委員会の実施する研修への指導、助言、援助というのが二つの大きなポイントでございます。
 次のページで、現在1回の見直しをやりまして、そこでの御指摘を受けての今第2期の目標期間中でございますので、その状況を御説明したいと存じます。
 まず、この研修センターの行う研修事業の全体的な見直しということでございますが、前回の評価委員会の指摘として、国として実施すべき、そういう研修にしっかりと目標を明確にして集中化すべきということがございました。その中で、各地域の基幹たる校長や教頭、そういう学校管理研修、それから、喫緊の重要な教育の課題に関する研修、それから、地方公共団体の共益的な研修、こういう3本柱に絞るべきであるという御指摘を受けたところでございます。それを受けまして、平成15年の48事業から、平成18年度でございますと25事業という形でその事業を精選しております。
 また、研修の実効性を具体的に把握、評価する、そういう指摘を受けまして、すべての研修につきましてアンケート調査を実施する、あるいは、教育改革の動向を踏まえまして、その内容等の見直しを行っているところでございます。
 また、受講定員につきましても、今まで一律に各都道府県何名という形で行っておりましたが、これは都道府県の教職員数に対応いたしますので、それに対応した形での定員を設定しているということでございます。満足度調査等も実施して、高い評価を得ております。
 また、現場にフィードバックが可能な形で、こういう研修を実施するようにということでございます。私どもとしてもここで受講した方が、それぞれの市町村、県において、中核的な教員として研修等もできるようにということを心掛けております。すべての研修において85パーセント以上の受講者が指導的な役割を担ったという結果になっているところでございます。
 また、地方公共団体、それぞれの市町村、県では独自に実施できないような研修、例えば高等学校の研修で専門的な職業科目等、毎年採用するわけでもない、あるいは、そんなに人数がいないというような研修を共益的事業として実施しておりますが、こういう事業については受益者負担というものを導入すべきであるという御指摘を踏まえまして、平成17年度から2分の1の派遣者側の負担という制度を導入したところでございます。
 具体的に、3ページ目でございますけれども、第2期の期間中における改革の進捗状況ということで、校長、教頭等の管理職研修について御説明させていただきたいと思います。
 一つ、研修内容の見直しということで、管理職に対する現在求められる資質、能力といったものに特化したような形で、明確な目標を持った研修内容の見直しというものを行ったところでございます。また、研修方法の見直しでございますけれども、この点につきましては、平成15年の見直しの際に、事前の研修プログラムなどを充実して、ここで全国から集まって研修をする集合型の研修の日程というものをもう少し短くしたらどうか。そしてまた、集合型研修という形で行いますので、今まで大人数の講義的な形式もございましたけれども、そうではなくて、せっかく全国の校長、教頭等が集まるのであるから、演習あるいは討議とか意見交換、そういうものに重点を置いたらどうかという御指摘をいただいたところでございます。
 それらを踏まえまして、研修方法としては、集合研修は演習あるいは討議といったものに重点化したところでございます。その前提といたしまして、この研修に参加する人たちの事前研修というものは、エル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)というような通信手段も使いまして、あらかじめ一定の内容を理解した上でここの研修に来るようにという形をとっております。その結果、研修の日数というものを、従来22日間ございましたのが、平成18年でございますと一般的な研修を事前にすることによって15日間、あるいは、中堅教職員でございますと25日間という形で集中的に行うようにすることが可能になったところでございます。それに対応して、受講定員というものも、平成18年で校長、教頭が900人、あるいは、中堅教員が1,100人という形で、受講する定員というものも増やすことができたところでございます。
 まだ改善しなければならない点は多いところでございますけれども、御指摘を踏まえた見直しというものを行っている状況でございます。研修結果といたしましても、アンケート調査でも9割、97パーセント程度の受講者が、帰ってからまたそれを活用できたというような結果が出ているところでございます。
 また、このほか、喫緊の教育課題、あるいは、最新の教育課題に関する研修につきましても、見直し期限を必ずすべての研修につけるという形で見直しを行っているところでございます。
 次に、4ページ目でございますけれども、ナショナルセンターとしての情報発信、情報提供機能の充実・強化ということでございます。教育研修センターは、単に会議といいますか研修を開いて、そこに先生方を呼んで、外部から講師を依頼して単に場所を貸しているだけではないかという御指摘があったところでございまして、ナショナルセンターとしての教員の資質向上を図る上での中核的な存在になるという意味で、今年度から教員研修のモデル・カリキュラムの開発という事業に取り組んでいる、あるいは、ここのセンターの職員が執筆いたしました、外部の協力も求めておりますけれども、教員の各教育委員会での研修担当者向けの冊子を発行する、あるいは、インターネットを通じまして、平成16年は情報モラル研修教材、平成17年は学校におけるコーチング教材という形で、全国どこからでもアクセスできるようなデジタル・コンテンツの作成、提供も行っておりまして、このアクセス数は下にございますように、非常に増えてきているという状況でございます。
 また、センターの職員も各地での研修に関する、どういう研修をするのかといった演習項目についての講師を行ったり、あるいは、グループ演習を行っておりますけれども、そういった指導助言者等の役割を果たしており、この教員研修センター自体のそういう能力も高めようということに努めているところでございます。
 最後に、5ページ目でございますけれども、今後の改革の方向ということでございますが、1点、学校教育関係職員に対する研修で、これは今特に求められております校長、教頭、あるいは、中核的な教員に対する研修を更に見直して、充実を図っていきたいということを考えております。また、左側の緑の2番目でございますけれども、御指摘も踏まえて、地方での開催といったことも検討してまいろうと思っております。
 また、右側は教育委員会が実施する研修への指導、助言、援助機能でございますけれども、この点につきましても、今年度から始めます先導的・モデル的な教員研修カリキュラムの開発、あるいは、ノウハウの提供、データベースの構築等、今、各都道府県あるいは市町村で教育改革を進めようとする場合に、一番求められます中核的な校長、教頭等、そういう方々のニーズにこたえられるような研修の機会の提供、ノウハウの提供を国の立場で担う、そういうセンターとしていきたいということで見直しを図っていきたいと考えております。以上です。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました教員研修センターの事務・事業につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでもお願いいたします。

 黒田(玲)臨時委員
 若い世代を育てるということで、教員養成は非常に重要でいろいろやっていただいていることを本当に有り難く思っています。
 それで、大きな改革をしてくださっているので、方向性としてはいいと思いますが、さらにもう少し教えていただきたいと思うことがございました。昨日のニュースでも杉並区は独自に教員を養成するということが出ていたと思いますが、それ以外にも、教員養成大学などは教育委員会と連携してリカレント教育(生涯学習)というのを始めています。新しい動きがほかでもどんどん出てきているので、そういうところと教員研究センターとの間の連携、ここでなければできない教員養成というのをどのようにやっていらっしゃるのかということが一つお聴きしたいことです。
 もう一つは、講師も外部の方なので、研究施設というか研修施設だけを貸しているようにどうしてもみてしまうのですけれども、新しいデータベース、ホームページというのはすごく重要で、例えばニートはどうしたらいいかとか、問題がたくさんあるので、これは全く私個人の意見ですが、ここでしかできないことにもっと特化していただくことができないか、と思います。
 それから、校長、教頭だけに集中していらっしゃるのですけど、その割合はどのくらいで、ほかにそういうものがないのか、これだけに特化していて、忙しい校長、教頭を集めてきて、本当に目指すところが達成できるのか、その辺についてお聴きしたい。
 そしてまた、地方公共団体との共益事業などでも、本当に共益的なことだけやっていらっしゃるのか、少しリストを見てもどうかなと感じる部分もあったりしますので、その辺についてももう少し見直していただければ有り難いなと思います。
 ともかく、4ページの新しい方向性というのは、是非そういう方向に進んでいただきたいなと思います。

 松田臨時委員
 私もいろいろな取組をされていることについては理解できているのですが、実際にマネジメントについて、数字や、データで押さえていらっしゃるというところも非常に意欲的だと思うのですけれども、ただ、その数字の出し方について、3ページの校長、教頭等の受講の定員が、16年度から18年度に定員を増やすことができました。これは良いことだと思うのですが、実際に16年度の受講者は多分800人ではなかったと思います。それから、13年度から15年度に比べて、ここがどれぐらい増えたのか、増やすことができたのか、重点化なので、ここがもっと増えて、全国に校長先生や教頭先生は1,000人どころではないと思いますので、どれだけ本当は参加していただきたい先生がいらっしゃるのか、どれだけカバーできているのかというようなことがすごく重要なのではないかと思います。
 同様に、4ページのホームページのアクセスも、これは確かにタイムリーなテーマをお出しになっていらっしゃいますので、非常に現場では助かっていると思うのですが、増えているとはいっても、本当にこれが全国の学校の先生方がアクセスするとしたら、本来妥当な目標というのはどのぐらいの水準にあるのかというように、あるべき姿というのが何なのかという指標がないと、前よりよくなりましたということに甘んじてしまう懸念もありますので、そのあたりのデータのマネジメントの仕方を教えてください。

 富田分科会長
 ほかに。河村委員、どうぞ。

 河村臨時委員
 2回目の中期目標の期間が終わろうとしておられて、また今後新しい方向性をお考えになっていらっしゃるということだと思うのですが、いろいろな取組をされていることはよく理解できましたけれども、お尋ねしたいのは、例えばこの3年間、平成16年度からの3年間というのは、国民の目線に立つと、先ほどちょっと黒田委員からもお話があったのですが、地方自治体ごとにいろいろな義務教育のレベルでも工夫をして、その地域での教育をより良くしようとする動きがかなり広がった3年間ではないかなと思っております。学校選択制であるとか、先ほど教員の研修についても、ごく一部の自治体かもしれませんけれども、独自に取り組もうとしている自治体が出るとか、いろいろそういう動きが出てきている。
 そういうことから考えると、今までのこの3年間の期間に比べて、これから次の中期目標期間、義務教育、本当に実際国民の目線からすると、子供たちが置かれている環境が大きく変わってきているし、先生方が何を目標にやればいいのか、義務教育ということで国として一律の部分も当然ありますでしょうけれども、そうでない部分、そういうニーズというものが非常に大きくなってきているのではないかと感じております。
 ただ、今回この御説明を伺った中では、そういう教育環境の変化を踏まえて、教員研修センターの今後の役割をどうお考えになっていらっしゃるかというのがはっきり見えてこなかったところがありまして、現時点でのお考えというのをお伺いできればということと、可能であれば、是非そういったところも盛り込んで、ナショナルセンターとしての役割が何なのか、自治体が一生懸命いろいろな取組を、試行的な部分もあるかもしれませんが、試行錯誤しながら進めていく中で、このナショナルセンターとしての教員研修センターが果たすべき役割は何なのか、そういったところを突き詰めることが、逆に言えば、研修のプログラムに対する充足状況などの形、それから、アクセス状況などの形、数字にきっと反映されてくるのではないかと思います。

 富田分科会長
 それでは、まず今までの御質問にお答えいただければと思います。簡潔にお願いします。

 山中審議官
 まず、黒田先生の方から、教員養成大学でもいろいろな役割を担っているけれども、ここの教員研修センター、国でやるということでの役割でございますけれども、確かにそれぞれ地域のそれぞれの教員養成大学も、特に法人化以降、地域の教育委員会と連携した形での現職教員の研修に協力するという形が見えているところでございます。
 私どももそういう教員養成大学の動きを更に進めたいという考えを持っておりまして、教員養成大学と共同して、教員研修センターが現職教員の研修プログラムを開発していくという役割も担っていきたいと考えております。それぞれの地域で研修を行う場合は、やはり都道府県の教員の状況でございますとか、そういう年齢構成、あるいは、そういう地域の特性に応じた形での教員の研修を、大学とも連携しながらプログラムをこれから作っていこうというところが多いわけですけれども、私どもとしては全国的に共通な課題として必要だと思われるものについて、ここの教員研修センターでの研修を充実させていきたいと考えております。
 あと、校長、教頭の研修、これは管理職の一番の管理研修の中心でございますけれども、それだけではなくて、ここの研修センターでは、校長、教頭に是非したいという方、そういう方を教育委員会の方からも推薦していただきまして研修の対象にしていただいております。これは是非私どもとしては、ここの研修センターの研修を受ければ、その都道府県の中で一定の管理職になるための一定の通過点になるような研修にしていきたいし、そのように各都道府県の方にもお願いしていきたいと思っております。
 それから、もう一つ、管理研修とともに、いろいろな現在の教育課題に対応する研修というものも行っております。これは河村先生の方からもございましたが、現在の教育の構造改革というのは、国がスタンダードなものを示す、あるいは、学力調査を実施して、その結果の検証というもの、こういうことについては責任を持っていこうと。ただ、実際に教育を行うプロセス、これはできるだけ学校あるいは市町村の方の創意工夫にゆだねていこう、こういう形で今教育改革を構造改革と銘打ちまして進めていこうとしております。
 そうなりますと、今までどちらかというと文部科学省インプットを中心に政策を行っておりましたので、そのインプットが一体何なのか、文部科学省が何なのかというそのインプットのところを伝えるという研修でございましたけれども、むしろ今後の研修というのは、そこのインプットはどんどんそれぞれの工夫にゆだねるという形、そこをどうやって検証するのかといった検証のシステムの問題、あるいは、それぞれの学校で本当に創意工夫のある教育をしていくために、校長として、あるいは、管理職として、あるいは、教務主任などのリーダー的な教員として、どういう形で教員の力を引き出して学校の教育力を高めていくのかと、そういうことがむしろこの研修の重要な課題に今後なってくると思っております。
 そういう意味で、校長、教頭に対する研修、あるいは、中堅の教員に対する研修にしても、今の教育改革の動向といいますか、そういうものも踏まえた形での研修内容というものに見直していく必要があると思っております。
 それから、研修の人数の御質問につきましては、平成16年以前の資料はありますが。

 富田分科会長
 今の件につきましては、後で書面ででもお答えいただければと思います。

 山中審議官
 平成16年度は参加人数が校長、教頭ですと684人、中堅が874人でございましたが、その辺の人数はまたお出ししたいと思います。おっしゃられるとおり、タイムリーなものを出せば、そこにアクセスするのは当然ではないかということ、そのとおりだと思っております。ただ、ここの研修センターでなければできない、あるいは、ここにアクセスすることによって、ほかの情報にもまたアクセスできるような、教員の研修ということであれば、ここの教員研修センターのこのホームページにアクセスすれば、いろいろな情報にアクセスできるんだと、そういうプラットフォーム的な機能を果たせるような、そういうセンター機能というものを是非今後作っていきたいと思っております。
 今までどちらかと言いますと、国から都道府県に対する指導というものが中心でございましたけれども、むしろ市町村、あるいは、個々の学校の校長先生、教員、そういう先生方が直接アクセスして役に立つような、そういうセンター機能を果たしてまいりたいと思っております。

 富田分科会長
 ほかにいかがでございましょう。どうぞ、縣委員。

 縣臨時委員
 教員養成大学との関係をおっしゃられました。他方、専門職大学院としての教職大学院も構想されていて、幾つできるのか存じませんが、そういうタイプのまた新しい大学院ができれば、教員研修にいろいろなレベルがあると考えると、教職大学院が果たせる役割はかなりあるように思うのですが、その関連でどのように構想されているのか、あるいは、全く意識されていないのか、これらをお教えいただきたいと思います。

 富田分科会長
 簡潔にお願いいたします。

 山中審議官
 おっしゃられるように、現在、専門職大学院の一つの形態として、現職教員の方により高度な専門的な知識を与える研修機能、プラス、学部学生がそのまま行くという機能もございますけれども、そういう形での高度の専門職としての教員を養成するための機関というものが考えられております。そこで、教員についても4割が現職教員にしましょうという提言が今検討されているところでございますけれども、かなり現実の教職に近い形での研修といいますか教育を行おうということを考えております。
 ここで行います教員研修となりますと、ここの教員研修センターとの役割分担ということも、将来的にそういう大学院が数多くできて、そこが地域の中で大きな役割を果たしてきた時に、国としての教員研修センターとの役割分担というのはやはり考えなければならないと思っております。

 黒川臨時委員
 第1期の中期計画の頃を思い出して、そのころに我々も考えたことをかなり取り入れていただいて、この3年間やられたのではないでしょうか。それはすばらしいことだと思います。
 ただ、先ほど松田委員も御質問されたのですが、その当時、校長や教頭の役割、トップマネジメントというところに重点化していって、ほかのプログラムからそこにもっと移行したらどうかということ、それは試みられたのは分かるのですが、100人程度増やしたというような程度ではなくて、もっと非常に大きな人数がそこに必要ではなかったかなという記憶がある。そこで、松田委員も何人ぐらいが本当は理想なのだと、その数字と比較して、この100人増はどうだったのかという御質問だったと思います。
 ですから、その数字を、第2期で頑張られたわけですから、この後は、理想に向かって、その数字と比較して、そこにどのぐらい向かっていけるのかというところを中心に今度はやられたらどうかと思っています。
 それと連動する、今の縣委員の御質問もそうでしょうが、ほかのいろいろな機関がこの二、三年の間にできてきたわけですから、棲み分けの問題、そういうところもおのずと回答が出てくるのではないかなと思っております。

 山中審議官
 御指摘のとおり、教員養成系の大学も、今まであまり研修の面でも教育委員会と連携してこなかったというところがございます。これを研修についても連携しようという方向に今動きつつございます。
 それから、校長、教頭研修、これもやはりトップマネジメントが非常に重要になる。これはまさに分権の思考で、校長あるいは教育委員会に権限が実質的に移っているという状況からして、校長、教頭の資質がしっかりしないと、日本の教育が危ういと、こういう非常に強い要請に基づくものでございます。
 そういうものも踏まえまして、私どもも更に校長、教頭といった中核的な教員への研修、ここを強化していくという方向で、この研修センターの研修を見直したいと思っておりますし、また、大学で専門職大学院を含めまして、いろいろな形で現職の教員に対するサポートシステムというものが充実してきているという現状もまた踏まえながら、ここの研修センターの役割というものを考えてまいりたいと思っております。

 富田分科会長
 それでは、時間の都合もありますので、ここで教員研修センターについての御質問を打ち切らせていただきます。
 続きまして、国立大学財務・経営センターの事務・事業の概要について10分程度で御説明いただきまして、その後、質疑応答を行いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 徳永審議官
 文部科学省の大臣官房審議官で大学担当の徳永と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 御手元に資料で「国立大学財務・経営センターについて」という資料と、それから、参考資料で「独立行政法人国立大学財務・経営センター(参考資料)」というのが配付してございますので、適宜その二つを御覧いただければと思います。
 まず、最初の説明資料の1ページを御覧いただければと思います。関連の方では参考資料の1ページをお開きいただければと思います。
 この国立大学財務・経営センター、これは16年4月の国立大学の法人化と全く一体のものとして軌を一にして同じ時期につくりましたので、まず基本的に私どもの方で説明資料もなくて恐縮でございますが、大学について、あるいは、国立大学についてどういうスタンスで臨んでいるのか、それについてちょっと1,2分お話をさせていただきたいと思います。
 御承知のように、ヨーロッパでは大半の大学はケンブリッジ、オックスフォードを含めて国立でございます。アメリカでは州立大学が大体7割のシェアを持っております。研究大学の6割というのも大体州立大学になっております。そういう中で、私ども日本の国では、国の大学に対する公財政支出の比率が、対GDP比で先進国の半分ということもございまして、国公私立が相協力をしてこれに対抗しているという形をとっているわけでございます。現在、アメリカでも、今後10年間で大学に対する基礎研究と人材養成で1,360億ドルの予算を増額するということをブッシュ大統領も言っております。今は、中国も含めまして、大競争時代でございます。
 そういう中で、私ども国立大学につきましては、基本的に先端的な基礎研究部分と大学院教育の部分、そしてまた、それぞれ地域における知の拠点というような役割で国立大学について今後ともこれを教育研究は高度化をしていこうと思っているわけでございます。
 国立大学の法人化といいますのは、競争的な環境の中で、それぞれの個性を出させて、そういう教育研究の高度化をするということを目的に行うものでございまして、具体的には財務統制、組織統制、人事統制を外しまして、各大学の財政的な自立性を増やすとともに、一方で業務の運営の効率化を進めるということで行っているわけでございます。
 そういう国立大学の法人化に際しましては、この主な経緯のところで、これは何も国立大学の学長が既得権益に関連して嫌だとか言ったことではなくて、あくまでも国立大学の法人化というものを先ほど言ったような点から進める観点で、きちんとしたスキームを作っていくということが様々に議論されたわけで、それが参考資料の1ページに書いてあるわけでございます。
 そういう時に、法人化に際しての条件として、従来、国立学校特別会計が担ってまいりました財政上の平衡調整機能を維持することが必要となるため、これを国立学校財務センターを活用してそちらの方に移すということで、国立大学財務・経営センターが設けられたわけでございます。
 1ページにございますように、同センターの中身として、従来国立学校特別会計が有しておりました不用財産管理及び処分の促進、借入金債務の償還、土地処分収入や長期借入金をもって施設整備財源とする仕組み、こういった国立学校特別会計の仕組みをそのまま受け継いだわけでございます。そういう意味では、現在行政改革で行われている特別会計の見直しの先行事例だと考えているわけでございます。
 説明資料の2ページを御覧いただければと思います。主な業務といたしまして、6点書いてあるわけでございますが、財産の有効活用に関する協力・助言、この辺はその次の3)の施設費交付事業の財源が基本的に財産の処分収入であることがありまして、これはかなりいろいろな形でやっております。具体的には配付資料の7ページを御覧いただければと思いますが、国立大学法人における土地処分について、17年度でも20事案ございますし、平成18年度でも30事案が見込まれているわけでございまして、そこで、こういった財産処分収入も、処分も含めて、様々な指導・助言、あるいは、具体的には研究会等の形をとって、大学法人にアドバイスをしているところでございます。
 施設費貸付事業、これが一番大きな事業でございますが、これは現在のところ、病院の施設、それから、病院の設備についてのみ行っております。これは基本的には国立大学附属病院といいますのは、すべての分野の医師を育成するという観点もございます。当然、中には小児科、産婦人科等不採算部門もあるわけでございまして、そういった分野も含めて、いわば医師を幅広く養成をしていく使命を担っております。また、同時に、誰もやったことがないような先端的な高度医療の実験をするという機能も担っているわけでございまして、そのためには、例えば施設につきましても、これも長期的に貸し付けるということが必要でございます。あるいは、設備等につきましても、現在、設備の貸付けは10年間の償還としておりますが、例えば、そういう設備そのものも医療用施設・機器そのものについても、新しい方法を開拓して、それについて収入が伴ってくるということを考えますと10年ぐらいだということで10年償還としております。それから、施設の方につきましては、5年据え置きで20年償還という形で25年の償還をしておりますが、こういった償還につきましては、国立大学法人の場合、すべて基本的には自分の病院の診療報酬から捻出するということにしております。また、もちろん現在でも既に国立学校特別会計当時の長期借入金の残高が1兆円ございます。そういったことも含めて、言わば病院の収支が赤字となっていることについては、運営費交付金で差額の補てんをしておりますが、そういう運営費交付金の差額補てんにつきましては、それぞれ関係大学について毎年2パーセントの増収を行うという前提でこれを減額しております。したがって、基本的にはそれぞれの大学は病院の診療報酬及び先端医療等に対する研究開発の委託費等、あるいは、次の実験・治験等による外部資金、あるいはまた、私どもの方で小児科、産婦人科等地域医療に対する支援、こういった競争的なお金をもって、全体として言わば償還をするという仕組みになっているわけでございます。したがって、こういったことは正直申しまして民間の銀行等ではリスクがとてもとれませんので、こういった観点から施設費の貸付事業を行っているわけでございます。
 施設費交付事業につきましては、先ほど申しましたように、財産を処分した場合、これは75パーセントが国立大学財務・経営センターの方に還付されますので、そういう国立大学財務・経営センターに還付された処分財源をもって施設交付を行っております。これも現在私どもの施設整備事業が500億円内外でございますから、これに対して毎年度100億円近いような数字が出ておりまして、非常に貴重な財源となっております。
 4)が国立学校特別会計承継債務の償還、あるいはまた旧特定学校財産の管理及び処分、これは国立学校特別会計当時に大規模移転を行いました。そういった中で、移転が完了した段階でこの土地を処分して、その売り払ったものを財源として施設整備を行うという形、例えば金沢大学でございますとか、現在の九州大学でございますとか、そういう大規模移転が行われております。そういった観点での旧特定学校財産等の管理及び処分を促進しております。
 そのほか、調査研究、研修、これも先ほど言いましたように、言わば大学の学術的な調査研究ではなくて、大学の財務に着目した形で言わばさまざまアメリカの例、イギリスの法人化した例、フランスのコントラクト(契約)した例等の研究、そして、情報提供を国立大学関係者に提供しているわけでございます。
 次に資料の3ページを御覧いただければと思います。今私が様々に申し上げたことを1枚の紙にしますと、こういう形で国立大学財務・経営センターはやっているわけでございます。基本的にここで申し上げたいことは、国立大学はそれまで必ずしも私どもの施設整備財源が十分でないこともあって、計画的あるいは集中的にやっておりますので、ある大学にとっては整備を終わっている、ある大学にとっては整備が終わっていない。しかしながら、その財源は今まで共通に出していたという性格もございますので、言わばそういう全大学の収入をもって全大学に対して計画的にこれを集中投下していくということでございます。
 次の資料の4ページを御覧いただければと思います。4ページは施設整備貸付事業の具体的な事務の流れでございます。こういった中で、一番大きいものは下の方に事業執行の流れが出ておりますが、一つは会計検査院に対する計算証明ということもやらなければいけませんし、また、現在では財政投融資制度の改革の中で、財務センター債、昨年度も50億円発行して、更にこれが伸びていきますけれども、こういった意味で、起債の関係で事務がございます。あるいは、また文部科学省とも長期借入金の認可申請、あるいはまたそういった事務がございますし、財務省とは当然これは理財局の方と財政融資資金の借入れについて様々な事務があります。この辺につきましてはほかの政府金融機関とほぼ同様でございます。同時に、そういったことに対して国立大学法人に対しては様々な事前相談、これも2種類ございまして、概算要求を前にして具体的に大学とどうするのか、大学の自分自身の処分財源を作ることも含めて御相談をするという審査と、具体的に予算が決まった後、当該年度におきまして具体的な審査をするという2種類の審査業務を行っているわけでございます。
 次に、最後5ページを御覧いただければと思います。独立行政法人国立大学財務・経営センターの具体的な支出と収入、そしてその財源の中身でございます。この中で、先ほど言いましたように、一番大きいのが施設助成関係事業でございまして、施設費の交付事業87億円、施設費の貸付事業が700億円、承継債務償還事業が1兆円ということになっております。
 次に、6ページを御覧いただければと思います。国立大学財務・経営センターの組織図でございます。これは大変小さな所帯でございますので、それぞれ担当の課長とかその係の名前はございますけれども、基本的には忙しいときには全員がそれぞれの分担をきちっと課長の指揮の下に行うという形で、例えば総務課でも本当にごく少数の純粋に人事だけをやっている人間を除いて、あとは、資金管理を含めて、そういう事業に参画をしているという状況にございます。
 具体的な参考資料等につきましては、それぞれ縦長の方の資料にお付けしておきましたけれども、大変雑駁ではございますが、これで説明を終わり、後は御質問をお受けしたいと思います。
 以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等ございましたら。

 岡本臨時委員
 それでは、最初に4点ばかり御質問させていただきたいと思います。
 二つが施設費貸付業務ですか、一番重要な業務だとおっしゃっていた、これを2点御質問いたします。
 まず、そもそも論なのですけれども、先ほど民間の銀行にはリスクは取れないだろうという前提の下でこの国立大学財務・経営センターの業務があるという御説明と理解しておりますけれども、そもそもそうなのでしょうかというところを確認させていただきたいと思っています。基本的に今回の行政改革の流れはすべて民間にできるものは民間へという流れでやっておりますので、基本的にスタンスを変えればひょっとすれば民間でもできる部分があるのではないかという見方で、やはり業務を見ていく必要性があるのではないかと私自身は考えております。
 そのように見ますと、今日の御説明にはなかったのですけれども、昨年12月に施行令を改正されて、新たな借入対象業務というものを、国立大学にとっては借入れができるという新しい範囲、その対象が民間金融機関を想定されていらっしゃるというような借入れスキームを開発されたと宣伝されていらっしゃると思いますが、そのような業務を出されてきている時に、今おっしゃった従来あった附属病院ですとか、あるいは、キャンパスの移転も対象になっていると思いますけれども、そのようなものが果たしてできないのかどうかというような観点からちょっと御説明いただけないでしょうか。
 たまたまですけど、4月6日の日経金融新聞に奈良先端科学技術大学院大学に地元の南都銀行が融資をする。これが確か81億円というような記事だったと思うのです。期間が確か14年1か月でしたでしょうか。ある意味で巨額で長期の資金というものを民間銀行が出している。これはスキーム的には昨年12月の新たに追加された部分だと思うのですけれども、民間金融機関も結構こういう分野でリスクがとれるような商品、あるいは考え方を持ってきているのではないか。そういうような観点から、もう一度こういうところに公的機関が関与する必要性があるのかという点から御検討をお願いできないでしょうか。これが第1点目でございます。
 2点目ですが、仮に公的機関がやる必要があるとしても、果たしてこのセンターがどのような役割を担っているのだろうかという点で見ていきたいなと思っております。そのときに、先ほどこのセンターのいろいろな業務、細かい説明をいただくページがあったのですけれども、簡潔に言うと、どういうところにこのセンターがかかわっていらっしゃって、どういうところに付加価値あるいは優越的な何か業務をやっていらっしゃるのか。我々よく議論させていただいた時に、審査という業務、あるいは、資金の供給ですとか、あるいは、自己の債権管理ですとか、こういう金融を分解しますといろいろな業務に分解できると思うのですが、果たしてこのセンターがどのような業務に得意分野を持っていらっしゃるかという点から御議論をお願いできないか。
 そういう観点から見ますと、やはり審査が一番重要だと思うのですけれども、先ほどの資料の中に、実はこれは国立大学法人が借入れをするのはもう事前にこのセンターに行く前に決まっているのではないか。例えば2ページの施設費貸付業務について書いていらっしゃる説明の中にも、「文部科学大臣が定めるところにより」ということが書いてあって、実は実際の審査は、実質的には文部科学省の方でやっていらっしゃるのではないか。そうなってくると、このセンターが関与してくる理由というのはどこにあるんでしょうか。この辺の合理的なといいましょうか、論理的な御説明をお願いできませんか。
 そのように見ますと、先ほどの人数の説明の中で、多くの人がかかわっていらっしゃると言われたのですが、我々がいただいた説明資料の中では確か三人ぐらいしかこの貸付業務にかかわっていらっしゃらないのではないかなという気もいたしますので、その業務の重要性と人員の配置の適正性みたいな議論も合わせてお願いしたいと思っています。
 以上2つが貸付業務です。
 3点目が、いわゆる特別会計からの承継された業務についてですけれども、旧国立学校特別会計がやっていらっしゃった業務の中で、承継債務の償還管理業務をこのセンターがやっていらっしゃると聞いております。そのうち、このセンター自身が承継されていた債務について、確か37億円と伺ったような記憶があるのですが、それが昨年度すべて償還されてしまっている。残りは各大学の方に割り付けられるような感じで説明を聞いたような記憶があるのですが、その辺、理解が間違っていれば訂正してほしいですし、もしそういうこのセンターが責任で持っておられるものが既に償還されていらっしゃるのであれば、理屈で言えば各国立大学の方に振り分けられるような話ではないのかなと思います。わざわざこのセンターに業務を残しておくような必要性がどこにあるのかという観点から質問させていただきたいということでございます。
 最後に、一番最後に御説明があった調査研究ですとか研修ですが、これは確かに大学にかかわる特異性ということを考えるとこのセンターがやるということが非常にいいかもしれませんが、実はこういうことはいろいろなところがもう既にやっているのではないのかなと思います。民間でもやっているでしょうし、いろんな教育などで提言をなさっているものもあるのではないか。その辺をうまく活用することによって、実はこのセンターがやっていらっしゃる業務がある程度代替できるのではないかなと思っております。その辺り説明をいただくようお願いします。
 以上、4点でございます。

 富田分科会長
 それでは、簡潔にお答えください。

 徳永審議官
 1点の、まず基本的に昨年12月に私どもの方で国立法人法の施行令を改正いたしまして、国立大学が自ら銀行から借り入れたり、債権発行する範囲を拡大したわけでございます。併せて、従来はそういったことについては実質上認めておりませんでしたが、解禁する措置をとりました。ただ、その場合でも、私どもが基本的に想定をしておりますのは、家畜病院ですとか寄宿舎等の整備でございまして、比較的規模が小さくて、あるいは、その業務自体がある程度その中で完結できるようなものと考えておりまして、一方で、病院整備のようなものは、大変これはそれぞれ場合が異なります。例えば、全く更地に新しく病院を造る場合なら安くできるかもしれませんが、一方では、例えば東京医科歯科大学のような場合、現地移転でございますから、とにかく毎年診療科の配置も変えながら行うわけでございまして、そういう国立大学病院の場合、ある程度整備内容等も制約されているという中で、正直申しまして、結構大規模・長期的で、その間に様々な新しい診療も行っていく、また同時に、せっかく整備する際には、従来にない実験的な試みを行うという要素もございます。そういう内容的な事柄、量的な事柄、期間的な事柄で、言わば先ほど言いました大学が自己の責任で借金をするような動物病院や、寄宿舎とは少し違うのではないかと思っております。
 また、同時に、先ほど奈良先端大学院大学のお話が出ましたが、これは先ほどの政令改正した部分の実は2番目に当たりまして、従来国の責任で土地・建物を出資すべきであった筑波大学と奈良先端大学院大学について、これはずっと借地でやっておりました。これを今まで国の責任で都市整備公団等に賃料を払い、毎年少しずつ買い増していたのを、両大学の責任において民間から借金をして一括購入したものでございます。ただこれは元々国が出資すべきだったという極めて特殊な事情から、その全額を運営費交付金において措置をすることにしておりますので、これは元々リスクが全くない、国が全部そのように担保しているものということになっております。

 小松国立大学法人支援課長
 御時間もありませんので簡潔に答えさせていただきますが、まずセンターの端的に言いますと審査業務は実態としてどこに意義があって、どういうことを行っているかという御質問、第2問目だと思いますけれども、文部科学省との関係を申し上げますと、国立大学、冒頭に諸外国との比較等において申し上げましたが、日本では国立大学の割合は極めて小さい中でその責任を果たさなければならないということで、トータルの各大学の、どこを重点に今整備をするかというような順番などについては、大変大きな政治的、政策的事項になりますので、その観点からこれを計画的に推進するために、文部科学省でまず行いますのは、中期的な施設整備計画や毎年の施設整備方針を作ります。
 これを基にして、国立大学財務・経営センターの方では、先ほど申し上げましたように、単に診療報酬だけではなくて、様々な高度医療とか、それから、運営費交付金などにおける不採算部門の特別措置といったものを総合的に見まして、まず概算要求において、次の年の貸付予定分について審査をいたします。その上で概算要求を行って、その概算要求で大体次の年の額が決まるわけです。
 その後、各大学法人から概算要求の対象になった年に、つまり、翌年度に借入申請が次々と行われますので、その償還計画をチェックして、文部科学大臣が定める事業内容の整合性、これは公共的、行政的見地から行われるものと、それから、担保力などについてのバランスを見て報告をしてまいります。文部科学省はその時点で、国立大学財務・経営センターが財政投融資から借入れをするにつきましては認可をしなければなりませんので、その認可の立場からまたその部分について国立大学財務・経営センターの分をチェックする。こういうサイクルになっているので、政策金融的なところもございますけれども、公的な行政目的との間のバランスを見るということで、一つ一つヒアリングをして審査をしていくわけでございます。
 ついでに申しますと、今3人というお話がございましたが、冒頭に提出を求められました資料で、私どもは専らそれのみに従事をするということで、有り体に言えば、正式に形として置いている職員の数を申し上げましたけれども、実態として今申し上げたようなものを全部やろうといたしますと、小規模な所帯でございますのでそのとおりではとてもできませんので、実態に合わせて申し上げたわけでございます。内訳を申し上げることもできますが、必要なら後ほど申し上げます。
 それから、3点目でございますが、これは承継債務についての必要性ということだと思いますけれども、承継債務につきましては、これまでに様々な大規模な整備をして今現在1兆円ほどあるわけでございます。参考資料の6ページに、実際にどのくらいのものがあるかということが書いてございますので、それを参照していただきますが、この承継債務、それぞれの様々な事情が全部個別に異なっております。この中で、いわゆる採算というだけではなくて、先ほど来申し上げましたすべての分野の医師養成、あるいは、難治疾患とか先端医療の導入ということで、医療水準の最先端を行わなければならないということと、各地域の中核病院として、無医大県解消計画等に基づいて立てられておりますもの等がございますので、これらのリスク、つまり、市場的に需給でバランスできない部分等を含めまして、全体として償還計画を実行し促していかないとなかなかバランスがとれないということがございます。
 そういう意味で、大きく分ければ2点、つまり、公共的な観点からのリスクと、立地条件その他沿革経緯等の違いと、この二つでこれらを総合的に見るということになりますが、さらに、財政融資資金から資金を借り入れます場合、国民の税金でございますので、借入期間が直接法令等に基づきまして決められている相当複雑な業務を行います。これを財務省と、先ほどの図でもお示しをいたしましたが、毎月度重なる調整を詳細かつ広範に行いますので、これを全部やるということになりますと、人員的にも、債権者、債務者ともに膨大な労力を払うことになります。これを一括して全体として行うということによって、私どもとしては、そちらの部分も含めまして、ある意味では行政改革に対応していると思っております。
 最後に、調査研究ということがございましたけれども、この調査研究につきましては、国立大学財務・経営センターが行っております調査研究は、大学に類するものを行っているところというのは、大学などでは大学研究は行ってないわけではありませんが、これはどちらかといいますと、教育研究の方法論であるとか、それから、教育社会学的な現象であるとか、こういったことを中心に行っております。
 これに対しまして、国立大学財務・経営センターでは具体的に個別の大学等の決算諸表の分析であるとか、それに基づいた助言の基になるような基礎資料をつくっているわけでございます。この点については一応色分けができていると思っております。

 富田分科会長
 今のお答えについて、追加的な御質問があれば。

 岡本臨時委員
 今御説明いただいた中で、どうしてもやはり既に存在していたかつての特別会計の業務内容というものを引きずってこのセンターに持ってきているのではないかという、そういう見方からいろいろな理屈を作っていらっしゃるように思えてならない部分がありますので、我々も民間金融機関がどの程度できるとか、あるいは、センターがどのような業務をしているとか、また御説明いただきながら研究したいと思いますので、また御協力をお願いしたいと思っています。
 その点で1点だけこの資料で気になった点がありまして、横の資料の3ページで、特別会計の機能について言及されている表現があって、例えば「特別会計機能は今後も必要」ですとか、特別会計改革の先駆けであるとかと書いていただいているのですけれども、やはりここに対する考え方が我々の認識と基本的なところが違うのかなと思っていますので、またこの辺りも議論を引き続きさせていただきたい。

 河村臨時委員
 岡本委員とほとんど問題意識は一緒ですが、やはり貸付けのところで追加的に御質問させていただければと思います。
 今、医科歯科大学の事例等をお話しいただきまして、いかにいろいろ既存の設備があり、国立大学法人ということで条件的な制約もあり、実際に病院のいろいろな業務を行いながらなさることは大変難しいということはよく理解できました。
 ただ、そういう事業が大変難しくて大変であるということはよく分かるのですけれども、そういうことに対して、資金を供給する側、お金を貸す側から見たときに、それが何かリスクが高いというのは、リスクという言葉に対する理解にちょっとギャップがあるような感じがいたします。
 ですから、確かにそういったところ、文部科学省なり、国立大学財務・経営センターなりでいろいろきちんと審査をして、いろいろ病院を新しく変えていくときにきちんと回るかどうか、実際に入院していらっしゃる方もいらっしゃるわけですし、どうやってうまくやっていくかということはきちんと審査をされて、そういうところで国の関与が必要になってくることは理解できるのですが、そこにお金を貸し付けるのがやはり特別会計の流れを引き継いだこのセンターでなければならない、大元の資金が財政投融資でなければならないということは必ずしもないのではないかなと思います。
 アナロジーを持ち出して恐縮ですが、国に準ずる公的な機関ということで考えると、全く同列のものではありませんが、例えば地方自治体のことを考えますと、いろいろ税源の配分の問題もありますけれども、自治体自身が完全に償還財源を調達できるわけではない。現在の交付税の仕組みに基づけば、不足の財源が出れば交付税の措置が付いている、起債分については国が必ず補てんしますよというので、そういうスキームで、民間金融機関の側からすれば、大変にリスクは低いという認識の下で、御存じのとおり民間がかなりお金を地方セクターに対しても貸しているということがあるわけです。
 恐らく、民間金融機関は、国立大学法人についても同じように考えるのではないか。例えば病院について、診療報酬が原資だけれども、いろいろな地域、いろいろな病院の特性があって、いろいろ不採算の診療科目があることも承知していますし、うまくいくとは限らない。ただ、事前に勉強させていただいたところでは、そういう場合にはきちんと運営費交付金が付くなり、きちんと国の方で責任を持たれてなさるような仕組みになっていると承知しておりますので、それならば、民間から見ればリスクは高いというよりは、むしろ逆なのではないのか。
 ですから、やはり民にできることは民にという流れからすれば、そういうところに是非もう少し民間のお金の流れを活用するようなやり方を推進することを、是非ともお考えいただけないかと思います。特別会計改革の先駆けとしてなさったということで大変敬意を表しますけれども、そうであるならば、なおのこと、今の業務をもっと民にできるものは民に更に任せるという方向で是非お考えいただけないかなと思っておりますが、いかがでございましょうか。

 徳永審議官
 財源そのものにつきましては、私どもの方でも財政投融資制度の改革の中で、現実に既に財務センター債、財投機関債を発行して、そちらの方の資金調達という方向に徐々にシフトしていくと思っております。その意味では、必ずしも国の財政出資金ではございません。
 ただ、そういう中で、やはり全体として今後市場からお金を直接調達するに際しても、いわば国立大学全体としてのそういう財政的なスケール・メリットを生かすようなこと、あるいは、信用力ということ、あるいは、またそれぞれ調達コスト、小さい大学、東京大学のように大きな大学だけではなくて、非常に小さな、病床も小さな病院もございます。そういったところも含めて、全体としてきちんとお金が回ってくる。これは私どもは、あくまでも法人というのは配分された財政は自律的に中で配分しますが、その当該法人がそこできちんと教育研究、診療を行っていくということは、国の責任で国立大学法人を置いているわけでございますので、そのことについては、今先生から御指摘いただいたような精神を逆に国立大学財務・経営センターが一括的に体現するものとして私どもとしては構想していると考えております。

 小松国立大学法人支援課長
 すみません、事実関係だけ説明させてください。

 富田分科会長
 お願いします。

 小松国立大学法人支援課長
 まず、地方公共団体等とのアナロジーがございましたので、根本的にそういうアナロジーがあるかと思いますが、例えば公立大学でも、病院というのは少し違っておりまして、大学附属病院、特に教育研究が一緒になっておりますので、一般的には国立大学附属病院はこの手の整備はすべて特別会計を中に作っておりまして、一般的なものと違っているということが実情です。これは私どもの方でも従来はそのようにしていたということでございます。それをやめているということ。
 それから、2点目に、特別会計の各項目を引き継ぐということから理屈ができているのではないかというお話がございましたが、特別会計は昭和30年代にできたんでございますが、その前があまりにも格差がひどくて全国的な整備ができないということから、当時、大蔵省を中心といたしまして、そこを直すために特別会計を作っています。ある意味では、責任を持った施設整備の全国展開というのが元々特別会計の前に要請としてございまして、その一つの手法として特別会計をとっていた。しかし、今回のいろいろな流れの中でそれはやめようということでございますので、そういう意味で、そこの特別会計に体現されている元の機能が必要だということを申し上げたかったのですが、特別会計機能は必要などと書きましたので、誤解を招いたかもしれません。そこはそういうことでございます。
 最後に1点だけ、診療収入だけでうまくいかないとき、補てんがあるのでリスクが低いと、これは私どもの資料の作り方が良くなかったかもしれませんが、償還はすべて診療収入の中で行うというのが私どもの原則でございまして、これは徹底的にやっております。ただ、全体の支出の従来の償還というような、承継債務等もございますので、それから、また事故というようなことがありましたときに、難治あるいは先端医療をやっているだけに、その年で見れば不足するという可能性はございます。
 このときに、これを不足させるということはできませんので、その分については、突発的なものについて、公共的な見地からについては一応の用意をいたしますが、民間との関係で、それを国が責任を持つという口実のもとに、片端から垂れ流して補てんをしていくというようなことになれば大変なことになりますので、これは絶対やってはいけないと我々は思っておりますので、もしそのような誤解を私どもの方で与えておりましたならば、それは違います。その診療収入の中でやれるかどうかについて非常に厳しく審査をして、少なくとも今までのところ実績でそれができなかったことはない、これからもその点は厳しくやっていくということが基本でございます。これは絶対変えてはいけないと我々は思っております。
 すみません、以上でございます。

 富田分科会長
 最後の御指摘、非常に重要なことであったと思います。それは国立大学が国立大学法人になったということとも表裏一体でありますので、そういう脈略で今日は委員の皆さんから御指摘があったのは、やはり国立大学財務・経営センターで貸付事業や、継承債務の償還管理業務を行う理由というのは一体どこにあるのかということを、やはり根本から問いたいと、国立大学ではなく、国立大学法人になったのだからという観点で根本を考えていただきたいということと、やはり岡本委員が御指摘のように、審査は形式的なものに終わっているのであれば、このセンターの本当の意味は何なのかと。そういうところを根本からお考えいただきたいというのが今日のメッセージであります。
 したがって、今日は時間の都合もありますので、これで質問を打ち切らせていただきますけれども、引き続き私どもも検討いたしますので、また御対応をよろしくお願いいたします。
 今日はどうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、日本学生支援機構の事務・事業の概要について10分程度で御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。時間が非常に押してきておりますので、時間厳守で効果的な御説明をお願いいたします。

 磯田審議官
 高等教育局の審議官の磯田と申します。資料2−3で御説明をさせていただきます。
 まず1ページ目をお開きいただいきたいと思います。この日本学生支援機構でございますが、平成1312月の特殊法人等整理合理化計画、並びに、平成14年3月の閣議決定の公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画に基づきまして、日本育英会の奨学金貸与事業、国の行っておりました留学生に係る事業、学生生活調査などの事業、4つの法人が行っておりました留学生関連交流事業、これを整理統合いたしまして、学生支援事業を総合的に実施する独立行政法人として設立させていただいたものでございます。
 独立行政法人日本学生支援機構法第3条を引用させていただきますが、「我が国の大学等において学ぶ学生等に対する適切な修学の環境を整備し、もって次代の社会を担う豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に資するとともに、国際相互理解の増進に寄与する」ということで、奨学金の貸与事業、留学生支援事業、学生生活支援事業等を総合的に実施をしているということでございます。
 大学の教育研究におきまして、教育、例えば各講座におきます事業や様々な教官の教育に関連しました諸活動もございますが、本機構は厚生補導あるいは学生生活というような側面を通じまして、学生の全人的な人間発達を支援するということを統合的に支援するというものでございます。
 次のページをお開きいただきますと、最初の奨学金事業でございます。これにつきましては、ここにございますように、18年度予算で貸与人員が109万2,000人、事業総額が8,000億円弱ということでございまして、無利子貸与と有利子貸与に分けられております。無利子が46万人、有利子が63万人ということで、事業費は無利子貸与が2,721億円、有利子貸与5,278億円ということでございます。貸与月額は無利子貸与が定額、有利子貸与については学生の選択ということでございます。
 貸与基準でございますが、無利子貸与につきましては高校の成績が3.5以上、大学成績が学内におきまして上位3分の1以内、家計が私大の4人世帯、自宅、給与所得者という場合ですが、997万円以下ということでございます。これに対しまして、有利子貸与事業でございますが、これは1)から3)のいずれかに該当する者に貸与するということで、平均以上の成績の学生、特定の分野において特に優秀な能力を有すると認められる学生、勉学意欲のある学生ということで、貸与基準は家計1,343万円以下ということになっております。卒業後20年以内で返還するわけですが、名称どおり、無利子貸与は無利子、有利子貸与の場合は上限3パーセントで現在1.1パーセントの利息を課しております。
 この有利子貸与制度につきましては、平成11年の自公合意というものがございまして、その後、教育の機会均等を達成すべく抜本的に拡充するということで、年々拡充させていただいているものでございます。
 3ページでございますが、この奨学金事業につきましては、やはり憲法26条の教育の機会均等を実現するということで、政府が責任を持ってこれに取り組むべきという判断、考え方でやらせていただいております。貸与制を実施しておりますのは、一つは、返還を通じて学生の自立心や自己責任、さらには社会への還元の意識の涵養などの教育的効果が重要であると考えております。また、返還金を再度原資として活用するということで、限られた資金の中で希望する学生を幅広く対象とすることが可能であろうということで貸与制度を行っております。
 次のページでございますが、基本的なデータを御紹介させていただいております。学生数の推移を見ていただきますと、短大の縮小等によりまして短大生が減っておりますが、大学院の重点化ということで、大学院生の数が学生数全体で増えているという状況にございます。このような学生の対応が必要だということでございます。
 それから、学生生活費でございますが、消費者物価指数が安定している中で学生生活費は上昇しているという状況にございます。
 一番右側でございますが、学生の家庭の年間収入別学生数の割合ということを見ていただきますと、一時期、非常に学生の所得状況を改善する時期がございましたが、平成8年以降、所得の低い階層の方々の率が増えています。例えば、400万円から600万円という層にいる学生が30パーセントを切っておりまして、現在大学の学生数に占めるいわゆる奨学金の受給者の割合が31.2パーセントというような状況にございます。
 次のページの回収の問題でございますが、先ほどの教育的効果を考えますと、学生からきっちりと返していただくということが必要でございますし、また、財源としても重要ということでございまして、特に新規返還開始者に係る回収率というものを平成20年度に95パーセントに改善すべく努力をしているところでございまして、平成16年度で93.4パーセントということでございます。
 次に、リスク管理債権の返還を要する債権に占める割合でございますが、未回収金につきましては、過去からの債権を償却できないために不良債権化したものが累積しているということで、結果的にはこれが改善の努力が特に必要な部分でございますが、現在外部委託の推進等により回収強化に取り組んでいます。後ほど御紹介させていただきます。
 リスク管理の総貸与残高に占める割合は4.7パーセントという状況にございます。
 次のページでございますが、回収率の向上に向けた具体的な取組でございます。右上にございますように、口座振替制度への加入を電話で督促しております。それから、各学校に対して滞納防止のための説明会、あるいは、返還説明会での返還指導を徹底していただくよう依頼しておりますし、ビデオ等も作成配付しております。また、外部委託による業務効率化ということで、電話による返還の督促等を行っております。それから、法定手続の強化ということで、年々対応を迅速にやっております。連帯保証人等に対する請求につきましても、滞納1年というものから滞納3か月、2か月と早期化しております。機関保証制度は後ほど御説明させていただきます。
 特に17年度の改善でございますが、法的措置の強化・拡大につきまして、支払い督促の予定者への訪問ということで、連帯保証人に対する訪問予告の通知・請求、あるいは、本人に対する訪問予告の通知・請求等を通じまして、実際に訪問して督促しております。3回連続不在の場合には、配達証明郵便等によって確認し、要請をするということで、大幅な改善の努力をしているところでございます。
 右側につきましては、2003年3月の卒業者からの一部選択によりまして、外部委託の試験的な導入ということで、これも債権回収会社に回収業務を委託するという新規方策をとりまして、回収の更なる努力を重ねていくように努めているところでございます。
 次に、機関保証制度についてでございますが、これは近年の学生が核家族化の中で、なかなか連帯保証人や保証人といった人的保証を確保しづらいということ等がございますとともに、学生の自立という観点から、この機関保証制度を導入したものでございます。実施主体は日本国際教育支援協会であり、平成16年度以降の奨学金採用者から導入しておりまして、人的保証かこの機関保証かを選択できるということで、元金、利息及び滞納金につきまして、貸与中の貸付月額から保証料を差し引いて徴収をするということでございます。最高で年率0.7パーセント未満ということで、現在の0.693パーセントは貸与月額4万5,000円のところでいきますと1,782円で、約4パーセント弱ということで、低率の保証料を確保するとともに、収支相償というような制度設計にしております。
 次に、留学生支援事業でございますが、留学生につきましては、我が国の宿舎事情が劣悪であるということから国際的な議論を巻き起こしておりましたために、各国立大学における整備、並びに、私立大学や各種学校法人、公益法人等に対する支援を総合的に行っているわけでございますが、特に国費留学生に対する宿舎の整備、並びに、各留学生宿舎に対する先導的、モデル的役割を果たすということ等で宿舎の整備をしております。また、この宿舎におきましては、右側にあります留学生交流推進事業ということで、国際交流の拠点として様々な諸活動を実施し、モデル的な位置付けで機能しているというところにございます。
 それから、留学生のための奨学金と修学支援とういことで、医療費補助等様々な補助をしております。また右にございますように、留学試験の実施、留学情報に関する情報の収集・提供、それから、日本語予備教育を行っておりますが、特に国費留学生につきましては、学部生については東京外国語大学及び大阪外国語大学において日本語の教育を行うわけでございますが、ここから外れます国費の高専の留学生並びに国費の専修学校留学生に対する日本語教育、並びに、外国政府派遣の留学生に対する日本語教育を本機構で行っているものでございます。
 次に、学生生活支援事業でございますが、法人化後の各国立大学においては、やはり利害関係者である学生に対する生活、あるいは、様々なサービス提供というものに重点化をしておりまして、その辺の要望が強いということがございまして、学生生活支援関連情報の収集・提供、あるいは、各種の研修事業の実施、あるいは、障害学生支援、メンタルヘルス、キャリア教育についての支援を行っております。これにつきましては、私立学校においても、学生数の減少の状況の中で希望が強く、私立学校からの参加の増も見込まれているところでございます。
 時間の関係で、以上で終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました日本学生支援機構の事務・事業につきまして、御質問、御意見ございましたら、どなたからでもお願いいたします。

 浅羽臨時委員
 私からは、奨学金の貸与事業につきまして大きく3点、プラス一つ、データについて、合わせて4点教えていただければと思います。
 まず第1点目は貸与そのものに関してでございます。御説明いただきましたように、経済的理由で高校や大学などへ通えない人にできるだけお金を貸して、そうした機会をきちんと保障するという政策そのものについてはおっしゃるとおりだと思います。ただ、現時点、あるいは、今後に関してですけれども、その貸している経済上の理由で修学することが困難だという、そもそもの目的あるいは理念と現状の実態が合っているのかどうか。もちろん、これはどの水準を考えるかというようなことで変わってくるとは思いますけれども、御説明いただきましたように、無利子貸与のモデル世帯で997万円の収入、あるいは、有利子貸与で1,343万円以下という家計基準になっております。これが果たして非常に経済的に困窮しているものと受け取っていいのかどうかという運用の問題で、さらに、今後これまで貸している相手の方がすごく増えていて、今後も増やしていくということなのかどうか、こういったことをまず一つ教えていただければと考えています。
 2点目は、回収についてです。回収についていろいろな策を新たにやっているというようなことですけれども、様々な本日提出していただいたデータから見まして、奨学金の回収、もちろん、これは非常に重要だというのはおっしゃるとおりだと思うんですけれども、これで十分なのかなというような気も同時にしております。また、こちらの日本学生支援機構のホームページを見せていただきますと、今後、リスク管理債権はもっと増えるであろうと予想しているという記述もございました。果たして、これでいいのかどうか。もう一歩踏み込んで、何か新しい対策を検討されているかどうか教えていただければと思います。
 一方で、財団法人日本国際教育支援協会が運営します機関保証ですけれども、新たにということですごく力を入れていらっしゃるように伺いましたけれども、これは新たな試みということで、確かにこれをやれば、日本学生支援機構に関しての回収率は当然上がってくるだろうと思います。ただ、こうした機関保証という制度そのものが、借り手に対して一種のモラルハザードを起こすような懸念はないのかどうか。あるいは、この財団法人に一種の不良債権がたまってしまうおそれはないのかどうか。その点について教えていただきたいと思います。
 なお、この機関保証の制度で、リスク管理債権の発生率をどれぐらいと予想しているのか、これも併せて教えていただければと思います。
 3点目は証券化についてでございます。昨年末閣議決定されました行政改革の重要方針を読ませていただきますと、政策金融の実施に当たっては部分保障、証券化、間接融資等の手法をできるだけ活用するとの一文があろうかと思います。御説明いただいた機構の奨学金貸与事業、この中で、証券化について、非常に可能性が高いのではないかと思います。もちろん、それが完全にできるかどうかというのはいろいろと検討する必要があろうかと思いますが、私自身は検討する必要は少なくともあろうかと考えております。文部科学省の方で証券化についてどのような検討状況にあるのか教えていただきたい。これが3点目でございます。
 最後、データについて教えていただきたいのは、本日いただきました資料の7ページ目についてでございます。左側、「法的措置の強化・拡大について」の一番下の方になりますが、支払い督促予定者への訪問の実施ということで、平成17年度実績2月末現在で、4,149件あって、これが一番下の支払い督促申立てに至るのが415件となっています。ちょうど1割ぐらいだと思うのですが、この1割以外の残りの9割は、解決したものと住所調査が必要なもの等ということで、言わば非常に問題があるものと解決済みのものとの両方が残りの9割に混在していると思うのですが、この割合というか件数、具体的に解決したのはどれぐらいなのか、更に一歩進めなければいけないようなものがどれぐらいあるのか、これをデータだけ教えていただければと思います。
 以上でございます。

 富田分科会長
 ほかに御質問、御意見等、黒田委員、どうぞ。

 黒田(壽)臨時委員
 私の方からは、留学生支援事業と学生支援業務についてお伺いしたいと思いますが、元々この日本育英会の奨学金事業の中に国際交流関係が組み込まれたために、この留学生の支援業務が非常に見えにくくなってきている側面があろうかと思うのです。今までは独立して留学生の支援をやっていたのが、この新しい組織、日本学生支援機構の中に入ってしまったので、実際には何をやっているんだろうということで、そこらが見えないというのが一つございます。
 その中で、一つお伺いしたいのは、国際交流会館が全国17か所ございます。この資料を見ますと、部屋数が3,000室足らずのものなのです。既に国策で留学生10万人計画が達成されて、10万人の留学生がいるという中で、たった3,000の部屋を今後とも維持していく必要があるのかどうかということが一つ疑問になります。確かにこの制度ができた段階では、日本の国情としては必要だったのだろうと思うのですけれども、ここまで来た段階でそういうものを維持していく必要があるのかどうか、それに係る維持経費が16億円ということですから、相当大きい経費が掛かっています。これを留学生の何らかの補助に回していけば、留学生に対するもっと質の高いサービスができるのではないかということも考えられると思いますので、その辺をちょっとお聴きしたいと思います。
 それから、日本語教育センターですけれども、これはほかの機関でも日本語教育をやっています。ですから、ここだけが突出してやっているということではなくて、それも、センターで受け入れているのは400人程度ということですから、全体から見たらほんのわずかの受入れということで、こういう日本語教育機関もここで直接担当する必要があるのかどうか、この辺もちょっとお伺いしておきたいと思います。
 学生支援業務でありますけれども、確かに従来は学生指導をする先生方の教育をしたり、留学生の相談をする窓口の指導とか、就職あっせん、インターンシップの支援ということが重要だったと思うのですけれども、もうここに来ますと、これらのことは各大学がすべて独自にやっていることばかりなのです。そういうことを考えていきますと、ここで改めてこれを行うことが必要なのかどうか、そして、参加者などを見ますとそんなに多く参加しているわけでもないですね、この研修事業に対して。ですから、こういうところの改革というのを今後どのように取り組んでいかれるのか。
 大学の地域連携促進事業というのがありますけれども、これについても、地域の大学と地域の連携ということをここでやる必要があるのかどうか、そういうこともぜひお伺いをしておきたいと思います。
 もう一つ、すごく大きい経費が掛かるわけですけれども、各種相談事例のデータベースを作るということを言っておられるのですが、相談事例ということになってきますと、これは各大学のノウハウにかかわることで、ここで集めても、そう的確な事例集が作れないのではないかと思います。だから、中途半端な事例集を作ることでお茶を濁すならば、かえってそういうものはやめたほうがいいのではないかと思いますので、これも一つお伺いしておきたいと思います。
 それからもう一つ、体験ボランティアとか学生ボランティアを実施していらっしゃるということですが、これは地域ごとにやっていらっしゃるようですけれども、参加者が非常に少ない。場合によっては、1桁しか参加しないというような実態も見えているわけでありますので、その辺も今後、各種研修等を含めながらどのように考えていかれるのか、この辺のことをお伺いしたいと思います。

 河村臨時委員
 一つ、計数の御質問だけでございます。奨学金の回収のところで、5ページのところの御説明がございましたが、(1)で新規返還開始者に係る回収率ということで90何パーセントという時系列の数字をお示しいただいています。これではなくて、各年度末の未払いの、要するに、その時点でもう返済期限がきている債権残高全体に対する回収率がどのようになっているのか、私はこちらこそ目標とすべきではないかと思っておりますけれども、その数字について、この時系列、平成12年度から16年度までについてお示しいただきたいと思います。

 富田分科会長
 それでは、たくさんの質問、御意見が出ておりますけれども、簡潔にお願いいたします。

 磯田審議官
 時間が限られておりますので、データ等についてお答えできないところは後ほど御提出させていただくということで、できるだけ簡潔にお答えさせていただきます。
 まず、今後の奨学金の在り方についてでございますが、先ほどお示ししましたようなデータにもございますように、大学現場からは生活上の様々な課題を持った学生が増えているという御報告をいただいておりまして、その資料は先ほどの4ページにお示ししたところでございますが、実際にはこの無利子貸与事業の基準に適合しながらも、なおまだ奨学金が得られないという方々や、あるいは、奨学金に応募したけれども希望がかなえられなかったという方々がいらっしゃるということでございまして、現在の実情からしますと、今後とも拡充が必要であろうと考えております。
 回収につきましては、いろいろな関係の方々の御助言をいただきながら全力で努力をしておりまして、17年度につきましては、7ページで御紹介しましたような取組をしておりますが、我々としてはこの取組の実施状況を踏まえながら、更なる新たな取組が必要かどうかということを考えてまいりたいと考えております。
 それから、いわゆる機関保証制度についてでございますが、これはもちろんモラルハザードにならないように、当該学生に対しましては、奨学金の回収について必要な指導を行うということでございまして、その点はこれまでどおりの考え方を持っております。それから、これにつきましては、今後の動向については、やはり様々な条件を総合的に勘案して、このシステムが円滑に実施されますように慎重に判断をしながら対応するということで考えております。
 証券化についてでございますが、御指摘のとおり、資産の流動化に関する法律などに基づき、貸付債権の一部を切り外し、これを担保に小口の証券を発行して一般投資家に売却するという手法を考えるべきだということでございますが、貸付債権を直ちに売却して対価を得られるために、資金調達あるいは債権回収の早期化、これは利点があろうかと思います。特に、延滞債権等を分離して証券化するということによりまして、貸付機関のリスク管理債権の圧縮に資するということは承知していますが、現段階では次のような点から証券化の導入は困難であると考えているところでございます。
 まず第1点は、この事業は返還期間が20年という長期にわたること、それから、学生本人が無資力である方に対する貸付けであるということ、あるいは、保護者も考えますと、保証能力の低い低所得者層への貸付け等が中心であるということを考えますと、仮に証券化しても、投資対象として十分な需要があるのだろうかという疑問でございます。それから、将来の貸倒れリスク等を加味して証券利率が設定されるということになりますと、国や独法の資金調達の場合よりも、調達コストが割高になるのではないかということでございます。
 それで、それを解決するために、政府保証等の仕組みを導入するということになりますと、独立行政法人である日本学生支援機構が貸付回収を行う現行方式と変わらない状況になるのではないかという気がするわけでございます。それから、先ほど申しましたように、私どもとしては、国として将来の学生の奨学金をこの返還金で充てるということを国としてその役割を果たしていくということが教育の機会均等実現のための仕組みだと考えておりまして、そのような教育施策としての観点からも、現段階では困難であると考えているところでございます。
 データについては、課長の方から御説明させていただきます。
 それから、黒田委員からの御質問でございますが、宿舎問題というのは、いろいろな諸外国からの強い批判の下で、国公私の各関係機関並びに関連する団体等の御協力を得ながら総合的に実施しているところでございまして、まず各大学が設置する留学生宿舎の整備について、国としての支援あるいは情報提供等を行っているわけでございますが、同時に、国費留学生を中心とした学生について、国としての宿舎提供も必要であろうということで国が行っておりまして、これは何もこの機構の宿舎のみで現状の改善ができるということではないかと考えております。
 それから、近年は、アジア諸国の留学生の母国における生活環境が向上しているために、逆に国立大学等の宿舎については劣悪であって耐えられないということで、途中で帰国するような方々も出ているということで、いずれにしても、留学生宿舎に対する要望は高いということがございまして、国としても一端を担っていきたいということがございます。また、先ほど御紹介しましたように、この交流会館につきましては、ここを拠点といたしまして、留学生と地元の住民、あるいは、日本人学生と様々な教育あるいは文化活動を展開していく交流の拠点として、あるいは、他の大学、あるいは、様々な団体のモデルとして機能するということでございますので、その意義は大きいかと思っております。
 なお、16億円という御指摘がございましたが、これは支出が16億円ということでございますが、収入が同時に11億円ございますので、収支差は約5億円弱ということでございまして、この大半は公租公課や土地借料に回っているものでございます。
 それから、日本語の教育センターでございますが、先ほども申しましたように、特に国において責任のある国費の高等専門学校、専修学校留学生、あるいは、相手国との協定に基づきまして派遣されます外国政府派遣留学生に対しまして、責任をもって日本語教育をやろうというものでございまして、他の国費留学生が国立の大学の教育センターで行われているものと連動して行われているものでございます。
 学生支援の各大学における取組でございますが、御指摘のとおり、非常に優れた取組をしている大学もございますが、私どもが承知するには、多くの大学が、やはり大学単位での試みをしているものの、他大学の状況について参考にしたいとか、あるいは、我々が気付かないところを他大学から学びたいということで、それについてのノウハウとデータの集積の高い日本学生支援機構の事業に参加をしたいということでございます。特に近年議論になっておりますのは、先ほども障害を持った学生の支援、いわゆるユニバーサルフリーな学園の整備、教育の整備、あるいは、メンタルヘルスの問題、あるいは、就職相談を超えましたキャリア形成につきまして、教育との連関において、様々な先進的な事例について紹介いただきたいというお話を強く伺っているところでございます。
 あとは担当課長から御説明申し上げます。

 村田学生支援課長
 学生支援課長でございます。それでは、先ほどのデータの関係を中心に補足的に御説明させていただきます。
 まず、先ほど機関保証の件につきまして、制度設計に当たってどの程度のリスク管理債権の発生率を見込んでいるかということでございます。これは実は制度設計に当たりましては、三和総研、それから、引き続いて野村総研の金融の御担当の方に分析をお願いしまして、それを基に制度設計をしているところでございます。その場合、基本的にこの種の機関保証についてはベースとなるのは、基本的には同じデータになると思いますけれども、累積の代位弁済率という形で制度設計をすると、つまり、どのぐらいが貸し倒れて代位弁済をするかと。そのデータで申し上げますと、累積の場合ですと、10年経過時点の累積の代位弁済率を5.24パーセントと、20年経過時の累積代位弁済率を6.23パーセントと、これは日本学生支援機構のそれまでの貸倒れの率等を勘案して設定をしているもので、この数字を基に制度設計をいたしておるということでございます。
 それから、もう1点でございますけれども、資料の7ページでございますが、外部委託の新規取組の状況につきまして、支払い督促予定者への訪問の実施、4,149件と、最終的に支払い督促申し立てが415件と、その数字についてでございますが、これは4,149件について、訪問によって支払い督促の申立ての予告書を配付したわけでございます。
 訪問して手渡しできた方が2,346件で、そのうちで、本人居住確認をできた方については、督促申立てを直接行って、応答がないものについて、305件応答がなかった中で、支払いの督促申立てを行っている。それから、訪問して手渡しをできなかった方につきましては、配達証明付の書留郵便で発送いたしまして、うち、督促の申し立てを行ったものが110件ということで、合計で415件の支払い督促の申立てを行ったということでございます。
 それから、最後でございますけれども、数字の関係、返還金の回収状況でございまして、その年に最初に返した人の90何パーセントではなくて、累積のいわゆる積み残しの債務を含めた率の数字ということでお尋ねでございました。これは平成13年からで御説明申し上げますと、平成13年の総回収率、過去からの滞納分を含む数字でございますけれども、13年が79.1パーセント、14年が78.6パーセント、15年が78.5パーセント、16年が77.9パーセントという数字になっております。そういう意味では、額は増えておりますけれども、何とか大幅な回収率が低下することがないように、先ほど申し上げた新規支払い開始をされる方を中心に回収の強化に努めているという状況でございます。

 富田分科会長
 一応お答えいただきましたけれども、何かここで特に御意見、御質問申し上げたいことがあれば。どうぞ、樫谷委員。

 樫谷分科会長代理
 御存じのように、簡素で効率的な政府を目指すというのが今の政府の方針だということなのですが、最終的には行政サービス実施コスト計算書というのがありまして、それを小さくする、行政コストを小さくするというのが最終的なゴールなのかなと思っています。どこまで小さくするかというのはいろいろ方針があるのでしょうけど、それには、やはりどこまでするのかということとか、あるいは、管理コスト、コストの問題だとか、回収コストだとか貸付けコストだとか、あるいは、支援コストだとか、あるいは、育成コストだとか、そういう単位当たりのコストの把握、それが非常に大事だと思うので、是非そういった観点から取組をしていただいて、それを指標化していただくということが大事だと思いますので、是非その辺はよろしくお願いいたします。

 河村臨時委員
 今数字をお教えいただいた回収率の件で意見を申し上げさせていただきたいと思います。いろいろ大変な状況の中で何とか横ばいぐらいの数字を維持されていて、確かに学生の場合、卒業した後、引っ越してしまって、その後、追跡するのは大変、それはすごくよく分かります。大変でいらっしゃるということはよく理解できるのですが、ただ、アメリカの例をちょっと出しますと、もうよく御存じかも分かりませんが、やはり奨学金のローンをやっていて、アメリカも学生という相手が卒業してしまうと、なかなかつかまえにくいということもあって、連邦政府が直接奨学金をやるように制度を戻しているのです。予算教書の数字は簡単にインターネットで出ていますので、御覧になっている部分ではないかと思いますが、10年ぐらい前に見るとこの回収率70何パーセントであったものが、直近の予算教書の数字、プログラムを御覧になられると、ペナルティー込みで100パーセントを超えています。
 やはりこれはアメリカでも同じで、日本でも同じだと思いますが、学生に対して国がこういう奨学金の形で支援をすることの必要性というのはあまり異論がないと思いますし、私自身もそういう意見でおりますが、ただ、国から借りたお金をきちんとまじめに返す人と返さない人がいるというのは、公正ではない、許されるものではないと思います。やはり貸す以上はきちんと返していただくことが必要なのであって、70何パーセントというレベルは低いであろうと思います。
 アメリカなどでもいろいろな回収の試みを行っており、日本学生支援機構でもされていることは伺いましたけれども、いろいろな試みをやって、ここ10年間ぐらいでぐっと上げて、ペナルティー込みでどうも100パーセントを超える数字になっていると予算教書の説明には書いてありますけれども、やはり是非そういうところも参考にして、もう少し高い目標を掲げて、残高ベースでの回収率をもっと上げるような、大変なことは重々承知しておりますが、是非いろいろな新たな取組等を進めていただきたいと思います。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 今日は時間の都合もありますので、ここで質問を打ち切らせていただきます。
 委員の多くの皆様から御指摘があった点、日本学生支援機構のその目的の重要性は非常に理解がある。しかし、その業務の在り方について、より金融ビジネスとして考えて効率化を図るという観点の主張が多かったように思います。そういう観点より見直し、よろしくお願いいたします。
 本日は、どうもありがとうございました。それでは、ここで休憩を取りたく思います。5分間休憩します。

(休憩)

 富田分科会長
 それでは、再開させていただきます。
 続きまして、独立行政法人に準じた管理手法がとられている日本私立学校振興・共済事業団の助成事業の概要について10分程度で御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 金森私学部長
 文部科学省の私学部長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 日本私立学校振興・共済事業団でございますけれども、お手元の資料2−4に沿って御説明を申し上げます。「日本私立学校振興・共済事業団(助成事業)について」という資料でございます。
 1ページでございますけれども、この私学事業団設立の経緯でございます。ここにございますように、日本私立学校振興・共済事業団は、私立学校の教育の充実、向上、経営の安定、並びに、私立学校教職員の福利厚生を図るため、補助金の交付や資金の貸付けなどの助成業務とともに、私立学校教職員の共済業務を行う法人として平成10年に設立された法人でございます。この事業団は、それまでの日本私学振興財団と私立学校教職員共済組合の二つの法人を統合いたしまして設立されたものでございます。
 ちなみに、この日本私学振興財団、その前身は私立学校振興会というものでございまして、戦後戦争で被災したり、経済的な混乱で極めて困難な経済状況になっておりました私立学校に対する資金の貸付けを行うことを目的として、昭和27年に設立された私立学校振興会を前身としておりまして、以来今日まで継続して私立学校への資金の貸付けを行ってきているところでございます。
 また、下の方にございますように、平成1510月からは、事業団の助成業務に独立行政法人に準じた管理手法を導入したところでございまして、中期目標や中期計画を策定いたしまして、事務の効率化などを図っているところでございます。
 2ページは事業団の助成業務の事業についてでございます。ここにございますように、私立大学等経常費補助金の交付事業、これは間接補助でございます。それから、施設・設備等整備に係る資金の貸付事業などを始めといたしまして、教育条件・経営情報支援事業、こういった事業を行っているところでございます。
 3ページは、私学事業団が行っております貸付事業に関する関連の規定を掲載してございます。私学事業団の助成業務の貸付事業は、私立学校振興助成法、これは昭和50年にできました議員立法でございますけれども、この私立学校振興助成法の規定に基づきまして、国が学校法人に対し、通常よりも有利な条件での貸付けを行うことといたしておりまして、これを私学事業団を通じて行っているものでございます。
 また、二つ目の丸には日本私立学校振興・共済事業団法がございますけれども、ここにも施設の整備、その他経営のため必要な資金を貸し付けることによって、私学の振興に資するという規定が設けられているところでございます。
 次に、事業団の貸付状況でございます。学校法人への貸付残高、平成16年度末における事業団から学校法人への貸付残高は6,661億円となってございます。財源内訳とございますが、政府出資金489億円を除く部分はそのほとんどが借入金でございまして、財政融資資金が2,220億円、33.3パーセント、それから、私学事業団の共済業務からの年金資金積立金の借入れが3,643億円、54.7パーセントとなっております。そのほか、私学振興債券が250億円でございます。
 こういった財政融資資金や私学事業団の共済業務から長期で低利・固定の資金を借入れられることによりまして、学校法人への長期で低利な貸付けが可能となっているところでございます。
 5ページは、私学事業団が行っております貸付事業の概要でございますけれども、左の方に貸付金の流れを図で示してございます。財政融資資金から私学事業団が長期・低利で借入れを行いまして、私学事業団から学校法人に長期・低利の貸付けを行います。また、学校法人は学生・保護者からの授業料などの納付金を元に返済をしているという状況でございます。
 5ページの右の方に、私学事業団が行っております貸付けの特徴を簡単にまとめてございますけれども、右の上の方から御覧いただきますと、私立学校の施設につきましては、国立学校や公立学校と異なりまして、新設に要する費用に対する国からの補助は原則行われておりません。支援は設置者負担の考え方が基本でございまして、原則貸付けという形で行われるわけでございます。また、私立学校の振興や私立学校に在籍する学生・生徒や保護者の修学上の経済的負担を軽減するために、通常よりも有利な私学への貸付けが行われているところでございます。私学事業団につきましては、国から運営費交付金など事業費に係る補助は支出されておりませんで、この貸付事業から得られる利益によって事業を運営しているのが私学事業団の特徴の一つでございます。私学事業団の貸付計画のうち、その大部分は施設整備のためのものでございまして、そのほとんどが貸付期間20年の利率が固定されたものとなっております。学校法人が私学事業団からこの資金を借り入れて施設整備を行うことによって、一時的な費用負担の増加を防ぐことができ、また、計画的な施設の整備を行うことができるということになってございます。
 続きまして、6ページでございますけれども、これは私学事業団の貸借対照表、損益計算書でございます。
 7ページ、これはリスク管理債権の状況でございまして、事業団のリスク管理債権の状況を示してございます。私学事業団では、金融監督庁、現在の金融庁が策定いたしました預金等受入機関に係る検査マニュアルに基づいた日本私立学校振興・共済事業団貸付債権の自己査定基準というのを作成いたしまして、これに基づいて、貸付先の学校法人の財務状況や事業団への貸付金の返済状況などによって、各債権を5段階に区分して処理をしているところでございます。リスク管理債権額の状況は御覧のとおりでございます。
 8ページでございますけれども、これは私学事業団助成業務の人員や支出、収入について示したものでございます。事業団の助成業務に係る人員は役員5名、職員103名の合計108名でございまして、支出につきましては、人件費や業務費が算入されておりまして、若干額が異なりますけれども、補助事業につきましては、国から受けた補助金、私立大学等経常費補助金でございますが、これを全額支出いたしております。同様に、受配者指定寄付金として受け入れた額も全額学校法人に交付しているというところでございます。表の一番下には合計欄がございますが、国からの運営費交付金を受けることなく、支出と収支が均衡いたしております。これは先ほど申しましたように貸付事業における借入利息と貸付利息との間の差額分、これによって、事業団の助成業務の経費を賄っていることによるものでございます。
 9ページでございますが、これは私学事業団助成業務の組織と人員を図解したものでございます。
 以上がお手元の資料にございます事業団の助成事業の概要でございます。
 説明の際に申し上げましたように、私立学校は教育研究条件の維持・向上のために、老朽化したり、また、狭くなった施設の建て替えなど、新しい施設・設備の整備を迫られているところでございますが、私立学校は学生納付金を主な収入源として教育研究活動を行っておりますことから、施設整備に伴う経費の負担を現在在学している学生のみに負わせるのではなくて、将来にわたって負担を分散させることによって、学生一人一人の負担を軽減するということを行っております。このためには、事業団からの長期・低利の貸付けが必要でございます。一般に、民間金融機関におきましては、事業団が行うような長期の貸付けにつきましては極めて慎重であると伺っておりまして、事業団が私学振興施策として現在行っているような長期・低利の貸付けを行いませんと、民間の金融機関がそれを行うということはなかなか可能性としては低いのではないかと考えております。
 なお、先ほど申しましたように、この私学事業団、国からの運営費交付金を受けておりませんで、その事業費を貸付けから得られる利益によって賄っている法人でございます。こういう法人が私立学校の振興や学生・保護者の経済的負担の軽減を図るために、長期・低利な貸付け事業を行っているわけでございまして、その必要性、あるいは、重要性につきまして引き続き御理解を賜れば幸いに存じます。
 以上でございます。ありがとうございました。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました日本私立学校振興・共済事業団の助成事業につきまして御質問などがございましたら、どなたからでもお願いします。

 岡本臨時委員
 私の方から4点ばかり質問させていただきます。基本的なスタンスは先ほどの国立大学財務・経営センターと同じだと思っていただいて結構かと思うのですけれども、今御説明いただきましたように、この法人につきましては、過去のいろいろな経緯もあって、伝統のある組織だということは理解しておりますし、その教育に対する必要性というのも私どもは分かっているつもりですが、そのときに、やはり我々は先ほどから何回も議論になっておりますけれども、簡素で効率的な政府でありますとか、できるだけ民間にできることは民間に任せるというような観点から業務を見直していこうというスタンスに立っているということでございます。
 そのときに、民間金融機関というものをどのようにとらえていらっしゃるか、今の御説明の中では難しいということを前提に説明されていらっしゃるのですが、例えば、民間金融機関から見ますと、学校法人で信用格付などを取得している大学がもう既に出てきているという実態から、過去の学校法人に対する見方とはもう変わってきているのではないかとも言えます。実際に、これは国立大学とは違って、長期の貸出しというのも実績としては持っているということだと思いますので、その辺り、やはり文部科学省としても民間の金融機関をどう見ているかというのは、少し市場も変わってきているし、いろいろな状況も変わってきていますので、見直していただきたいというのが一つ希望あるいは要請として強くあるということでございます。
 今、法律で通常より有利なということで私立学校振興助成法などに書いていらっしゃるということだと思うのですが、法律に書いてあることを前提にいたしましても、果たして直接の融資という形、貸付けという形をとる必要があるのかということはあるのではないか。例えば、民間金融機関に貸して、そこに対する利子補給という形でここの業務を見直すというのも一つの方法としてあろうかと思いまして、その可能性について御検討をお願いしたいというのが1点目でございます。
 若干方向性が変わるのですが、平成16年度の数値などを少し教えていただきますと、例えば貸付財源で約6000億円強を今調達されていらっしゃって、それを融資されていらっしゃると思うのですが、その半分の3000億円程度がここの別勘定である共済事業からの長期借入れで入っていらっしゃるという構造になっているということですが、この共済というのは実は別途見直しをされていらっしゃると思うのです。この共済の形が変わると、半分の財源というのが今後も同じような形で調達が果たしてできるのだろうか。このスキームというのが今のような状況で将来もこのまま行くのだろうかという若干の懸念を持ったりするのです。この辺を文部科学省としてどのように考えていらっしゃるのか、御説明をお願いしたいというのが2点目です。要は、将来にわたって安定的にこのスキームが回るのかということです。
 それから、同じような観点で別のことを申し上げますと、先ほどからおっしゃっていますように、ここの事業団はセグメント情報などを見させていただきますと、利子といいましょうか、この勘定でほかの業務を全部賄っていらっしゃるという構造になっているので、貸付業務が倒れてしまうと、この事業団は財務的に非常に苦しい状況に追い込まれる構造になっていると思います。
 そのようにみますと、貸付残高が確か平成16年度の末でストック(資本)ベースで6,661億円前後あるのでしょうか、それに対して、利益剰余金が平成16年度で増加額1.4億円で残高で33億円程度。これは安定性という観点から見ると非常に不安定な状況にあるのかなと思います。
 そのようなことを考えてまいりますと、今後もし18歳の人口が減少していって、いろいろな難しい状況に追い込まれていったときに、果たしてこのスキームが将来安定的なのかどうか、それに対して、文部科学省としてどのように考えていらっしゃるのかということをお聞きしたいというのが第3点目でございます。
 最後に、1点、これは補助事業もやっていらっしゃると思うのですが、私立大学に対しまして、それは先ほどの18歳人口の減少とともに、学校法人はどんどん経営的には恐らく厳しくなってくるだろうと思います。そうなってきたときに、どのようにこの補助事業というのが影響を受けるのかどうか、どのように見通しを立てていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。
 以上、4点でございます。

 河村臨時委員
 今の岡本委員と問題意識は同じですが、民間にもう少しゆだねられないのかというところで質問させていただきたいと思います。
 今御説明いただいた資料を拝見すると、例えば7ページのところでも、リスク管理債権比率なども本当に低い。また、実際の業務を運営していくに当たっても、基本的にこの貸付けの業務のところで出てくる利益によって賄われているというようなお話を伺っておりますと、ある意味では民間が既に入っている分野、参入している分野でもあるとは思いますけれども、更にゆだねる余地というのがあるのではないのかと思います。
 ただ、お金を貸す相手である私立学校にもいろいろな先があって、先ほどもお話が出ていましたような、もう格付などを取っているようなところもあれば、少子化の影響などがあって、経営が苦しくなったようなところもあったり、本当に規模が何千人と学生がいるような大学から、もっと小さなところまでいろいろな貸付先があるとは思うのですが、そういうところでめり張りをつけるためにも、やはり民間にできるところは民間にお金を貸してもらって、公的な先でないと貸しにくい先に集中させるという意味で、政府の行政改革の重要方針でも一つ間接融資という方式が出ているかと思いますけれども、こういったやり方を使えば、より民間が貸しやすいところには自然と民間にお金が流れ、でも、貸しにくいところには逆にこういう独立行政法人などに申込みが来るというようなことになるのではないかなと、一つうまく工夫できるスキームなのではないかなと個人的には思っておりますが、そうしたことについてはどのようにお考えか、お伺いできればと思います。

 富田分科会長
 それでは、今のお二方からの御質問、御意見に対して簡潔にお答えいただければと思います。

 金森私学部長
 お答えをさせていただきます。
 まず、民間に任せられることは民間にという観点から、こういった貸付業務についても、民間の金融機関に任せられないかということでございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、私学事業団が行っております貸付けは、貸付期間20年という長期でかつ低利なものでございます。通常よりもそういった有利な条件で貸付けを行っておりまして、私立学校にとりましては、こういった資金につきましては、学生の授業料などの納付金でそれを返済していくということになりますので、ある程度長期間資金を返還するのに要するわけでございます。
 民間金融機関のいろいろな状況などを拝見いたしますと、もちろん、私立学校も民間の金融機関から借りている場合もございますが、それは例えば1年を超えて5年以内の借入金などについては民間から借りているのが多いようでございますけれども、長期ということになりますと、なかなか民間金融機関からは貸し出すことが慎重になっているととらえているところでございます。
 また、民間金融機関が貸し出すということになりますと、一方で、経営状況の思わしくない学校にはなかなか有利な条件では貸付けするのが難しいという面もあるわけでございますけれども、事業団の場合には、一方で学校の経営診断や経営相談、こういった業務も併せて行っておりますので、そういう面でも民間の金融機関で対応できないところを事業団が対応しているという面もあるのではないかと思っております。
 したがいまして、借入れの期間が長期の場合、あるいは、経営状況が思わしくないようなケース、こういったものについては、なかなか民間の金融機関では難しい。その場合にはやはり事業団が長期で低利の融資をするということが必要だと思っているところでございます。
 それから、二つ目の御質問でございますけれども、共済事業からの繰入れでございますけれども、今、共済年金につきましては、厚生年金と国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校教職員共済、これらを一元化しようということで、政府・与党で協議が進められているところでございます。私どもといたしましては、共済の積立金が学校法人への貸付けの財源の一部になっているわけでございますけれども、仮に共済事業そのものが一元化の中で検討が進められているわけでございますけれども、こういった一元化に当たりましても、一元化した後も引き続きこの貸付財源として共済の積立金が活用できるような、そういう方策を講じてほしいということでお願いをしておりまして、そういったことも踏まえて、政府・与党で今一元化についての検討が進められていると承知をいたしております。
 それから、18歳人口が減少している中で、貸付事業につきまして、利益剰余金が少ないのではないかという御指摘もございました。確かに、事業団の場合には、運営経費以上の利益を生じた場合には、私学振興のために助成も一方で行ったりしておりますけれども、実際に貸付けを行います場合には、学校の土地・建物に対して、第一順位で抵当権を設定しておりまして、また、必要に応じ、貸倒引当金も積んでおりますことから、債権保全上は問題がないと考えております。
 ただ、一方で、少子化なども進行しておりますから、私学の経営自身が大変厳しい状況に置かれているということは御指摘のとおりでございまして、そういったものに対応するためにも、事業団では15年度から私学経営相談センターを設けまして、私立学校の経営診断や経営相談、また、経営分析、こういったものに力を入れております。また、17年度からはそのセンターの中に、特に経営の問題があるような法人を対象に、経営支援室も設置をいたしまして、より一層の経営相談に対応しているところでございます。そういった面でのリスク管理というのも強化をしているところでございます。
 それから、貸付事業のほかに補助事業も行っているわけでございますけれども、今、私立大学につきましては経常費の補助金を事業団を通じて国から出しております。これも少子化によってどういう影響があるのかということでございますが、例えば、実際の補助事業におきましては、大学や短期大学の修業定員が半分以下になったような場合には、これは補助目的が達成されているとは言い難いということから、補助金を原則交付しないということにしておりまして、各学校の経営努力を促す一方で、事業団の経営相談センターや経営支援室といったところで財務分析や経営相談などを通じて支援をしつつ、また、補助金そのものが効果を発揮するということがないということが生じないように、充足率の低いところには交付しないというようなことも行っているところでございます。
 いずれにしても、今後18歳人口が減少するのはそのとおりでございますので、各私立学校法人が困らないように、私どもも私立学校をこれから経営困難な状況の中で、どう支援していくかということで、先般、経営困難な学校法人の対応方針をまとめたところでございまして、そういった中では、私学の自主性を尊重しながら、学生が途中で修学する機会を失うことがないように、そういったことを念頭に、私学助成の問題も含めまして検討を続けているところでございます。
 以上でございます。

 富田分科会長
 それでは、今のお答えにつきまして、今日言っておきたいことがございましたら。

 岡本臨時委員
 どうしてもすれ違いの議論になってしまうような気がするのですけれども、決して我々は私学の助成をやめろとか、金融的にやめろと言っているわけではなくて、その在り方をもう一度今の状況に合わせて見直していただけないかという観点から申し上げているということです。例えば、先ほども河村委員もいろいろな形で言われました、今の形の融資である必要があるのかということだと思います。それを、この事業団がどういう形で今後展開していくか。18歳人口も少なくなってまいりましょうし、大学の、正しく私立大学が自らの経営をやろうとして格付も取っていらっしゃるところがいろいろ出てきている中で、従来どおりのスキームを維持する必要があるのか、もっと違う支援の形があるのではないのかということを見直すということだと思います。その根本は、我々のスタンスはできる限り民間にできることは民間に、政府は簡素で効率的にやっていただかなければ困ると、財政事情がそうだと言っているわけです。
 ですから、その観点から是非とも意見交換をさせていただいて、あるべき良い形の支援スキームを作っていきたいなと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 大体よろしいでしょうか。
 それでは、今日は時間の都合もありますので、ここで御質問を打ち切らせていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして、科学技術振興機構の事務・事業の概要につきまして、10分程度で御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。よろしくお願いします。

 吉川科学技術・学術総括官
 それでは、科学技術振興機構について御説明いたします。資料2−5でございます。
 早速でございますが、概要について御説明いたします。
 科学技術振興機構につきましては、科学技術基本計画の中核的実施機関でございます。総合的な科学技術の振興を図っております。大きな柱が二つございまして、新技術の創出に資することとなるシーズ探索研究、それから、新技術の企業化開発等の業務を行っております。その中には、創出に資する、新技術の創出に関係するものとして、まず政策目標に沿った競争的資金の運用がございます。これは特に目的基礎辺りを中心とした、そういうねらいをはっきりした競争的資金でございます。具体的には文部科学省が戦略目標を策定しまして、そして、それに従って科学技術振興機構が研究領域を設定し、重点的に実施しております。それから、研究開発戦略センターによりまして、戦略立案、そして、文部科学省等への提案なども業務として行っております。
 また、二つ目の小柱としましては、企業化開発がございます。これは全国の大学や、その大学関連のTLO(技術移転機関)等に対しての産学連携の支援、特に独創的な技術シーズの実用化について取り組んでおります。また、地域にございます研究成果の育成として、研究成果活用プラザ等を設置しまして、その拾い上げをしております。
 大きな柱の二つ目でございますが、これは科学技術情報の流通、その他の基盤整備でございます。科学技術情報の流通促進につきましては、内外分権の日本語抄録データベースの提供等を行っております。これは例えばJDream II2のようなものでございますが、利用については我が国で最も利用されているデータベースでございます。
 それから、科学技術に関しましての研究開発に関する交流支援、これは例えば国際的なものも含みますけれども、これはやはり目的がはっきりしておりますので、戦略的な目的に沿った範囲で行っております。
 それから、小柱の三つ目でありますが、これは知識の普及、国民に対する理解増進でございます。典型的にはスーパー・サイエンス・ハイスクールのような子供たちの中で優れた能力を持っている者を育成する、あるいは、日本科学未来館を設置して国民の理解増進を図る、こういったことをしております。
 その他は省略いたしまして、次のページでございますが、こちらには、先ほど御説明しました小さな柱五つについての全体像はこういうことですという、御理解を得るための資料でございます。総合的イノベーション創出機関とございますが、新しい技術を開発するという意味においての総合的イノベーション創出機関でございます。特に研究開発戦略を基にしまして、このイノベーションのシステムをフル稼働して、民間企業や、あるいは、経済産業省の施策に出口のところはつなげていくというイメージでございます。その下のところは、イノベーションを生み出すための基盤として、技術情報、理解増進、国際交流等がございます。国際交流につきましては、外国人宿舎の運営等も行っております。
 3ページ目でございますけれども、現行中期目標期間において、事業をかなり整理しながら新設をしてまいりました。特に、毎年のように見直しをして、廃止・終了している事業も数多くここに掲げたようにございます。また、新設につきましては、文部科学省からの移管というものもございまして、正に国策に応じた、従った、そういう研究開発支援機関でございます。
 その次のページでございますけれども、これは学術研究の支援体制の面との比較で、4ページ目は御理解いただくための資料として作成いたしました。科学技術の推進体制は右側でございます。理念的に言えばこういうことだという意味でございまして、文部科学省が国の戦略目標を立て、そして、それを科学技術振興機構が実施するということであります。政策課題対応型の研究開発を実施しておりまして、国の戦略に基づく明確な目標設定が最初からございます。
 左の方を見ていただきますと、これは学術研究の場合には、人文・社会科学から自然科学まで、すべての学問分野について研究者の自由な発想に基づく研究を展開するという意味においては、言わば役に立たないものも含めて、すぐ何に役に立つのか分からないものも含めての多様性が大事でございます。言わば純粋に基礎研究を支援するという性格があると思います。
 ところが、右の方は、これは目的がはっきりしておりますので、基礎研究でいえば目的的なものを含めたものでございます。したがって、言わば「見えない研究所」を作っているというような、そういうものが科学技術振興機構だとお考えいただいてもよろしいかと思います。そして、選択と集中を旨としまして、大学や独立行政法人、民間の研究所等を、その研究者を結集してその目的に向かうということで、政策目的の達成は新技術の創出でございます。
 それに対して、左側の下の方には、日本学術振興会の性格を少し書かせていただきましたけれども、これはあくまで研究者の自由な発想に基づく研究を支援しているという意味で、学問の多様性を支援の目的としております。そういう面が両者の違いでございます。
 その次の5ページでありますけれども、これは科学技術基本計画の中の位置付け、頭の整理として書かせていただきました。基礎研究の推進の中にも二つございまして、一つは自由な発想に基づく研究である、そして、もう一つは政策に基づき、将来の応用を目指す基礎研究がございます。ですから、後者の方を特に科学技術振興機構が担っていると考えております。
 次の段落には、後者については、政策課題対応型研究開発の一部と位置付けられるものでございます。イノベーションの源泉となる知識の創出を目指しております。これがまさに科学技術振興機構が担う部分であると考えております。
 6ページでございますけれども、これは経費でございまして、まず人員については471名でございますが、文献勘定等につきましては、どちらかといえばこれは独立採算的な会計区分でございます。運営費交付金は1,000億円余りでございます。そして、出資金等について6億円ぐらい入っておりますが、これは文献勘定でございまして、次第に圧縮して、次第にこれがなくても成り立つようにという形で圧縮してきております。自己収入については、その文献の情報提供事業や、あるいは、企業化開発事業で過去の開発されたものからの収入、こういうものが上がっております。そして、全体としては1,100億円余りの予算で運営をされております。
 最後のページでございますけれども、これは人員でございますが、特に三つの本部とセンターが二つございます。それから、日本科学未来館がございますけれども、日本科学未来館のところを御覧いただきますと、7名となっておりまして、これは最小限の人数をここで置きまして、あとは基本的には民間委託等を活用しての運営ということになっている関係でこのような数字になっております。
 大変雑駁でございますけれども、御説明とさせていただきます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました科学技術振興機構の事務・事業につきまして、御質問、御意見ございましたら、どなたからでもお願いいたします。

 黒田(壽)臨時委員
 私の方からは、研究を除いたほかの分野で質問をしたいと思うのですが、科学技術振興機構というのは、日本の科学技術立国というのを支える重要な柱であることは間違いないと思うわけでありますが、科学技術基本計画の方も第3期ということになって、今年は25兆円を使うということになっております。そういう関係で、今やっておられる仕事、一つ一つが非常に重要な仕事ではあるわけでありますけれども、特に地域科学振興と産学官連携関係の業務について質問させていただきたいと思います。
 いずれにしても大変重要な事業でありますけれども、ここの科学技術振興機構が行っておられることと文部科学省の本省で行っていること、あるいは、経済産業省で行っていること、この関係があまりよく見えてこないといいますか、類似事業がたくさんあると思います。これをもう少し連携を取っていくと、もっとすばらしいものになるのではないかと考えておりますので、これらについての科学技術振興機構としてのお考えをお聴かせいただきたい。特に役割分担、どこにあるのだろうかということです。それが第1点。
 それから、外国人宿舎をお持ちですけれども、今の時代になってきますと、もうここで入り切らないぐらい外国人が日本に来ているわけでありまして、ここだけを維持していくという必要性があるのだろうか。これは民間の方へ譲ってはどうかという感じも受けるわけです。だから、果たして国の事務として宿舎を保有していく必要があるのだろうかと考えます。
 もう一つは、これは海外の組織でありますけれども、日本学術振興会でも海外事務所を持っていらっしゃいます。これとの関係において、もう少し連携をとって、合理的な運営ができないのだろうかということを思っておりますので、私の方からはこの3点について質問させていただきたいと思います。

 富田分科会長
 ありがとうございます。ほかに。

 松田臨時委員
 科学技術振興機構の主要な事業であるシーズ探索の研究についてお尋ねしたいのですが、戦略目標があって、それを実際に執行していくところで、4ページの資料のところに「選択と集中」という表現があります。このいわゆる選択と集中の仕方が、本当に戦略目標に沿って実行されなければ、左側の学術振興会がファンディング(資金提供)をするのとあまり変わらなくなってしまうので、このところは実際どのように戦略に沿って実行する、担保というのですか、いわゆる戦略執行の質みたいなものをどのように担保していらっしゃるのかということを、難しいことかもしれませんが、教えていただきたいのが1点ございます。
 それに関係して、前のページの3ページでは、いろいろ政策ニーズに合わせて事業を整理していかれているようですけれども、これは一回始まった事業を漫然と継続するのではなくて、常に見直していらっしゃるということで、すばらしいことだと思います。ただ、これは単純に事業が終わりましたではなくて、やはりその事業の中でも発展的に、また次に新たな事業として展開されているようなものもありますし、廃止する、あるいは、終了する事業の成果といいますか、役割、機能をどのように評価していらっしゃるのかということをお教えいただきたいのが2点目です。
 3点目は、その新技術の創出に資する研究の中に、研究開発戦略センターで戦略立案に関して文部科学省等に提言をされているということでしたけれども、ちょっと具体的に、本当にそれによって何か反映されたものがあるのかどうかということを教えてください。
 次に、イノベーションを生み出すための研究基盤整備の方の業務でお尋ねしたいのですが、今回、第3次の科学技術基本計画を出すためのいろいろな資料の中に、研究活動を国際的に行うためにも、やはり研究者の海外経験というのが非常に重要であるにもかかわらず、現在の我が国の研究者の6割が海外での研究活動の経験がない。35歳未満に至っては経験がある人が1割に満たない。そういう状況がこの研究基盤整備の中でどのように改善されようとしているのか見えないので、教えていただきたいと思います。
 それから、もう一つの情報提供の業務ですが、これは先ほど独立採算的にやっていらっしゃるというお話だったのですけれども、6ページの18年度の予算ベースでは約6億円近く税金の負担がある。これは16年度、17年度の実績ベースはどうだったのか、それから、果たしてこれだけの資金投入をしてやるだけのニーズがあるのかどうか、その辺りを教えてください。

 富田分科会長
 たくさんの質問でありますので、簡潔にお答えいただき、また、即答できないものは後で資料をお送りいただきたいと思います。

 吉川科学技術・学術総括官
 まず黒田先生からの御質問でございますけれども、地域科学振興関係での文部科学省本省、あるいはその他、他の役所等との役割分担のようなことについてはどう考えているかと、実際どうかということでございますけれども、まずやはり本省との違いで申しますと、ここで科学技術振興機構が行っておりますのは、研究成果活用プラザを地方に展開しまして、ここが大学等の個々の研究者による個別テーマをコーディネーターを中心として拾い上げていくということをしております。企業化の必要性の高い分野での個別研究開発課題を集中的に取り扱う、そういう性格を持っております。
 これに対しまして、本省の方の事業でございますが、これは知的クラスター創生事業でございます。これは都道府県の方が主体的に策定した計画に基づいて、大学等研究機関によるプロジェクト研究、ですからこれは複数の研究課題を実施するようなことになります。こういう体制づくりを推進するということを目的としております。
 そういう点で、幾つかの点で異なるものでございます。もちろん、ほかの省、経済産業省等についても産業クラスター計画などを持ってやっておりますけれども、これは企業等による実用化技術開発が主眼でございます。もちろん、我々の、例えば科学技術振興機構で開発を進めて拾い上げてきたものについて、経済産業省系統の独立行政法人に対して、実用化技術開発段階に橋渡しをしているというものも現に例としてはございます。
 したがって、各役所が勝手に行っているということではなく、連携強化を独立行政法人のレベルでも図って努力しております。
 それから、外国人の宿舎についてのお尋ねがございました。これは筑波地区におきまして、部屋数214のハウスを運営しているわけでございます。これは主として長期間滞在する研究者、筑波地区の公的研究機関等に来る外国人研究者及びその家族を受入れ対象としております。その筑波地区につきましては、私どものデータによりますと、長期滞在者の研究者数としては、15年度で見ますと約1,400人弱でございます。そこで、それらの人々に対してのサービス提供という面では、家族への支援などの生活支援面、こういったものも含めて行っておりますので、単に宿舎提供だけということだけではなくて、そのような外国人研究者へのサポートというものは、恐らくこれは日本だからというよりは、むしろヨーロッパ等の諸国でも似たような長期滞在型のものがございますので、しかも、この部屋数を1年間運用しますと8割ぐらいの稼働率でございますので十分ニーズもあるし、そして、民間では提供できないサービスも行っておりますので、我が国としても国の事務として引き続き行っていく必要が、この程度のものは最低限のものとして必要だと考えている次第でございます。
 また、海外の事務所についての御指摘がございました。これは元々海外事務所につきましては、海外の科学技術政策動向の情報収集分析のために置いております。したがって、あまり大きな体制は必要としませんので、例えばワシントンに置きます事務所は2名、そして、その他の事務所については1名の駐在員でございます。最小限の体制でございますので、これをなくしてしまうということになりますと、業務に係る情報収集等ができなくなり、業務の推進に支障を来たすことになります。日本学術振興会におきましても、海外事務所を持っていると承知しておりますけれども、その目的自体が研究者ネットワークの構築というところにあるとお聞きしております。したがって、両法人の海外事務所の果たす機能が違いますので、連携でうまく何か事業できるという点では協力関係は必要だと思いますけれども、例えば、統合して一つにしてしまうというようなことはむしろマイナスが大きいのではないかと。統合するといっても、ワシントンが多分二つが接している地点としてはあるわけでございますけれども、両方との機能が違うと思いますので、統合効果というのは少し難しいかと考えております。
 それから、松田先生からの指摘につきましては、担当の課長の方から御説明を申し上げたいと存じます。

 田中基盤政策課長
 基盤政策課長の田中でございます。
 松田先生の御指摘の点、まず、シーズ探索研究で選択と集中という点がございました。この資料のところにございますけれども、科学技術振興機構の場合は、日本学術振興会と根本的に違いますのは、文部科学省の方から戦略目標というのが提示されます。この戦略目標は元々は総合科学技術会議の方の基本計画を念頭に置いています。第2期の場合でございますと重点4分野というのがございました。第3期の場合は、重点4分野、推進4分野というだけではなくて、戦略重点科学技術という更に新しい概念が盛り込まれてございまして、各々の分野の中でも更に特に力を入れて進める事業というのが出されてございます。したがいまして、そういう分野、あるいは、戦略重点科学技術といったものを念頭に置いて、文部科学省の方で具体的な戦略目標というものを設定いたします。戦略目標を科学技術振興機構に示して、その戦略目標を達成するために必要な研究領域というものを科学技術振興機構が定めて、その中で実際の研究者に対して資金を出していくというやり方になっています。
 また、先ほどございました実際行った事業に対してのいろいろな評価というのが、既に終わったものなどについての評価でございますが、これはいろいろな形で事業については整理をしてきてございます。これは単に事業が周期が来たから終わっているというよりも、各々、例えば第2期科学技術基本計画とか第3期科学技術基本計画に合わせて、どういった分野を行っていくべきであろうかということも念頭に置いて、あるいは、その次の事業に引き継いでいくということを念頭に置いて行っているわけでございます。
 例えば、この3ページ目の一番頭にございますような省際研究情報ネットワーク事業、これは特殊法人等整理合理化計画に基づいて、国立情報学研究所の方のSINET(学術情報ネットワーク)に統合してこちらの方はやめたというようなことでございます。それから、異分野研究者交流促進事業、これは元々の趣旨としましては、異分野の研究者が交流促進をすることによって、その中から新しい研究領域を探索していこうということを念頭に置いておりましたけれども、これはむしろ研究開発戦略センターなどで統合的に行っていくことを考えましたので、その時点でこれはやめたというようなことがございます。また、地域研究開発促進拠点支援事業につきましても、地域系科学技術の推進方策として、研究成果活用プラザといったものに重点を移すということで、こういう事業についてはやめていくというようなことがございます。また、創造科学推進事業などについては、これはむしろ総合科学技術会議の方で競争的な資金を重点化していこうというのが第2期の基本計画等で出てございます。そういった中で、競争的資金として戦略基礎科学技術といったものが戦略的創造研究推進事業といったものに重点を移すということでございましたので、競争的資金ではない創造科学技術についてはむしろやめていくというような方向を出したわけでございます。個別に見ますと、基本的には政府の政策目標及び科学技術振興機構の中で新しい事業ができたことによって、過去の事業についてはその重要性が無くなったということでやめていった部分がございます。
 それから、研究開発戦略センターが具体的にどのように活用されているかということでございまして、もちろん、これについては常時文部科学省との間で情報の提供、連絡を行っていますけれども、一つの例で申し上げれば、平成18年度に文部科学省が作った戦略目標の五つの分野がございますが、そのうちの四つについては元々の考え方としては研究開発戦略センターから出てきたものと認識してございます。
 それから、研究者を海外に出して武者修行することは重要ではないかという点がございました。この点については、恐らく科学技術振興機構というよりも、むしろ日本学術振興会の方の役割であろうと我々は認識してございますので、もしその点につきましては、よろしければ、後ほどの日本学術振興会の方でお聴きいただければと思ってございます。
 それから、文献情報提供事業につきましての16年度、17年度の実績でございますけれども、16年度につきましては、15億円を政府出資として出してございました。17年度は10億円でございます。18年度は6億円が政府からの出資でございまして、毎年度減少してございます。我々は予定としましては、19年度までが出資でございまして、20年度にはもう政府出資はしないと。したがいまして、20年度から単年度で収支を均衡させるという方向で計画を進めてございます。
 以上でございます。

 富田分科会長
 追加的な御質問、御意見がありますか。どうぞ、樫谷委員。

 樫谷分科会長代理
 日本学生支援機構のときに申し上げたのですけれども、簡素で効率的な政府というのが目標になっておりまして、科学技術ですから、簡素で効率的であれば良いのかというと、それだけではないと思いますが、非常に観点として重要だと思います。
 ところが、次に御説明いただく日本学術振興会のペーパーと比べながら見ていますと、日本学術振興会の方は非常に効率化などの点についても力点を置いて御説明いただいているのですが、どうも科学技術振興機構の方はそこについてあまり触れられていないので、行政サービス実施コストの削減というのは非常に急務でございますので、そういった観点からも是非厳しく見ていただきたいと思います。

 丸島臨時委員
 先ほどの御説明で、政策に従ってという御説明があったと思うのですが、国全体の重点研究開発項目というのは、総合科学技術会議で決められていると思います。それを実際に執行するのが各省庁管轄の研究所なり、大学、あるいは、企業に流れている。総合科学技術会議の中の重要な政策の一つに、研究開発とともに、国際標準化を進めるようにということが確かあったと思うのですけれども、今、全体の重点開発研究項目と国際戦略化というのは、全体の流れとしてどう調和されて動いているのでしょうか。御説明いただけますか。

 富田分科会長
 お答えいただけませんでしょうか。

 吉川科学技術・学術総括官
 まず樫谷先生からの御指摘でありますけれども、コスト削減につきましては、例えばその一例を挙げますと、日本科学未来館の事業などにつきまして、既存の経費の見直しを行って、例えば15年度から17年度までの2か年間で1.1億円の削減を図っております。それから、それにつきましては、例えばまたコスト意識の徹底という意味では、接遇人員の配置やシフトの見直しを行ったり、あるいは、冷暖房効率を向上するためにいろいろカーテンを閉めたりとか、そういう細かなこともやりまして、光熱費の削減を図ったりしております。
 こういったことで、コスト意識を、この資料の中には十分入っておらず失礼いたしておりますけれども、コスト意識の徹底という点では、取組をしていることを申し上げさせていただきます。
 丸島先生の御指摘は少し難しい質問でございまして、戦略重点は確かに総合科学技術会議の方で62の科学技術が選定されまして、私ども文部科学省を挙げてそれらに対して取組を行っていく所存であります。したがって、科学技術振興機構につきましても、そういった技術を中心とした辺りに我々の戦略を絞って、そして、科学技術振興機構に開発をお願いしていくということに既に着手しております。
 ただ、その国際標準化につきましては、そこまでの戦略性というものがあるかということを、厳しい御指摘だと思いますけれども、我々の方もこれは総合科学技術会議の方の御指導の下に意識していきたいと思いますけれども、そういう明確な技術開発等についての枠組みというものについては、確かに少し希薄ではないかなと思うところであります。科学技術振興機構の事業の中で、明確に国際標準化という点での戦略ということは、現在のところはあまり取り組まれていないような気もいたします。
 何か付け加えることがあればお願いいたします。

 田中基盤政策課長
 多分、先生のおっしゃっている点は国際標準化といいますのは、恐らくいわゆるアメリカなどが得意としますデファクト・スタンダード(業界標準)みたいなことをおっしゃっているのかなと理解しておりますけれども、そういう意味ではかなり出口のところを意識したような形になってくるかと思います。
 そこら辺をどうするかといいますのは、恐らく科学技術振興機構だけの問題というよりは、むしろ政府全体としてデファクト・スタンダードに向けてどういう研究開発を取り組んでいくのかというのが大事な問題なのだろうと理解しておりますので、科学技術振興機構だけでそれをやるということではないのかなと思います。もちろん、例えばどういう形で成果を実用化につなげていくかということについては、我々は常に意識しておりますけれども、国際戦略ということになると、私どもの方で直ちに全体としてのお答えをするのはなかなか難しいかと思っています。

 丸島臨時委員
 私が申し上げた標準というのは国際標準の方ですが、知財立国の理念にも国際産業競争力の強化というのが入っています。このために、国際標準化が非常に必要であるということだと私は認識しているのです。今、科学技術振興機構というお話があったのですが、科学技術振興機構の立場ですと確かに文部科学省からの政策でということですから、ありませんということが事実かもしれません。今、独立行政法人の所管省庁が今日説明していただいているので、やはり国家戦略というのはとられているんだろうと理解していましたものですから、全体の国の戦略として、先ほど各省庁との連携をとっているという御説明があったかと思うのですが、その辺でどのような連携で全体の国際標準化戦略をとられているのかというのをお聴きしたかったのです。

 富田分科会長
 簡潔にお答えいただけなければ、宿題として。

 吉川科学技術・学術総括官
 これはむしろ文部科学省に対する御指摘かと存じますので、持ち帰らせていただきます。

 田中基盤政策課長
 1点だけ、追加としまして、科学技術振興機構などの事業の中で、そういう意味での少し意識がありますのは、計測機器などについては、研究開発の基盤であると同時に、新しい計測機器を開発することが実際上その分野のトップランナーになるという非常に大きな役割であろうと思っております。例えば、島津製作所でノーベル賞をとられた田中さんなどは正にその質量分析器を開発することに非常に大きなウェイトがございましたけれども、それが結果として新しい研究を生み出す原料になるという。
 そういう形の研究開発の重要性は実は基本計画の中でもかなり強く言われておりますので、科学技術振興機構の中ではそういうところに重点を置いてやるということはございます。それは恐らく、今先生のおっしゃったことに多分絡んでいくと。結果としては、そういう計測機器がうまく開発されれば、世界的なデファクト・スタンダードになって、結果としては皆が、世界中の研究者がそれを使わないと仕事ができないような状況になるということはあるかと思っております。
 以上でございます。

 富田分科会長
 それでは、ここで科学技術振興機構に対します御質問、御意見を打ち切らせていただきます。
最後に、日本学術振興会の事務・事業についての審議に移りたいと思います。
それでは、日本学術振興会の事務・事業の概要につきまして、10分ほどで御説明いただき、その後、質疑応答を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 藤田審議官
 それでは、資料2−6に基づきまして御説明をさせていただきたいと存じます。文部科学省の研究振興局の藤田でございます。よろしくお願いをいたします。
 それでは、1ページ目を御覧いただきたいと思います。日本学術振興会の事業の概要を示したものでございます。一言で申し上げますと、日本学術振興会は大学等の研究者の自由な発想に基づく研究活動を支援するとともに、大学改革を支援することを使命とする、言ってみれば大学支援機関と位置付けられるものでございます。特に人文・社会科学から自然科学まで、すべての学部分野を対象として、我が国の大学等の研究者全体に対する支援を展開しているということでございます。
 このため、日本学術振興会におきましては、研究者のコミュニティでございますアカデミー(学会)との信頼関係を前提に、公平・公正で透明性の高い審査・評価を実施していくことを事業運営の基本方針としているところでございます。
 具体的な業務としては2種類ございまして、一つが右側にございます研究者支援でございます。先ほども申し上げましたすべての学問分野を対象として、我が国の大学等の研究者全体を支援するということでございまして、大学等の研究者の自由な発想に基づく研究活動に対して助成を行う科学研究費補助金、それから、優れた若手の研究者に対して支援を行う特別研究員など、人材育成等の業務を実施をしているところでございます。
 左側が2種類目の業務でございまして、これが大学改革の支援でございます。すなわち、我が国の大学等における教育・研究の優れた取組に対して支援を行うという活動でございます。具体的には国公私立大学を通じまして、世界最高水準の教育研究拠点作りを推進いたします21世紀COEプログラムでございますとか、社会のニーズにこたえられる若手研究者育成に主眼を置いた、意欲的かつ独創的な大学院教育に対する取組を重点的に支援いたします、魅力ある大学院教育イニシアチブ、これらについての審査・評価業務を担当させていただいているというところでございます。
 2ページ目は、独立行政法人化に伴います日本学術振興会の業務の改善・改革の状況でございます。平成15年度の独立行政法人化以降、日本学術振興会では科学研究費補助金でございますとか若手研究者の養成等の業務について、より公平で公正な審査・評価・配分の実施にかかわります制度改革等を実施してきてございます。
 例えば、平成15年度に学術システム研究センターを設置をいたしまして、ここにおいて科学研究費補助金であるとか若手研究者に関する審査のための審査員を選定するとか、それから、審査員の増員等を進めてきているところでございます。また、先ほど申し上げました大学改革に対する支援ということにつきましても、平成14年度から21世紀COEプログラムの審査・評価、さらには、17年度から大学院教育のイニシアチブの審査・評価等を文部科学省から受託をいたしまして、審査・評価業務を実施するということで、大学改革の一翼を担ってきているというところでございます。
 それから、先ほどの科学技術振興機構の御説明で触れられたかと思いますけれども、若手研究者の養成でございますとか国際交流事業につきましては、科学技術振興機構と業務の調整を行いまして、例えば科学技術振興機構のポスドク(博士号取得者)事業について日本学術振興会の方に統合をする、それから、科学技術振興機構の外国人若手研究者派遣事業について日本学術振興会の方に統合するという形で業務の統合を図ってきているところでございます。
 3ページ目でございますけれども、これは主要先進国の日本学術振興会と同様の学術研究を支援しているファンディング(資金提供)機関と、日本学術振興会の常勤職員一人当たりの予算額を比較したものでございますが、見ていただいて分かりますように、日本学術振興会につきましては、申請件数の増加に適切に対応するとともに、大学改革の一翼を担うということで、新たな業務の実施、それから、日本学術振興会賞など若手研究者に対する顕彰制度などを設けるということで、事業自体は増加をしているわけでございますけれども、効率化の実施によって、人員は15年度から18年度まで一切の増加がないということでございます。さらには、下の方にございますように、自社ビルなし等々に代表されるような経費節減の努力をいたしておりまして、他の国の学術研究支援機関と比較しても、事務経費の割合は非常に低いということになっております。
 4ページ目につきましては、先ほど恐らく科学技術振興機構の御説明の中であったかと思いますけれども、左側、学術研究支援体制ということで、大学におきましては、人文・社会科学から自然科学までのすべての学問分野について研究者の自由な発想に基づく研究を実施して、最終的には人類共通の知的資産を形成するということでございますけれども、日本学術振興会はこれを研究者支援と大学改革支援という二つの方策によりまして支援をするという機関でございまして、自ら研究を実施するというわけではございません。あくまでも支援に徹しているということでございます。
 他方、科学技術振興機構につきましては、文部科学省の定めます国の戦略目標に従って、政策課題対応型の基礎研究を産学官の研究者を結集いたしまして、言わば「見えない研究所」という形で実施をするということで、イノベーションの源泉となる新技術の創出を目指すという役割を担っているものでございます。
 次の5ページ目のところには、第3期の科学技術基本計画におきます基礎研究の記述がございますが、その中では、研究者の自由な発想に基づく研究と、それから、政策に基づき、将来の応用を目指す基礎研究、2種類があって、これらについてはきちんと独立して推進されることを明確にする必要があるということが書かれているところでございます。
 6ページにつきましては、18年度の予算の数字でございまして、事業規模1,379億円、このうち、運営費交付金が約300億円、それから、補助金等といたしまして、科学研究費の補助金、それから、COE等の審査等に係ります研究拠点形成費補助金、これらを合わせまして1,081億円ということになってございます。
 最後のページでございますが、7ページ目は組織図ということでございまして、これらの業務を実施する体制といたしまして、ここにございますように、役員4名、職員99名という体制で実施をしているということでございます。
 以上、簡単でございますが。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました日本学術振興会の事務・事業につきまして御質問、御意見などございましたら、よろしくお願いいたします。

 松田臨時委員
 先ほど科学技術振興機構の方にお尋ねして、大分日本学術振興会と役割が違うということを御説明いただいたのですが、だとすると、例えば、科学技術振興機構は戦略目標に沿った研究に集中的にファンディングをしていくと。例えば、研究者の自由な発想に基づく研究というところのテーマが、当然、科学技術振興機構が中心になってファンディングするテーマと重なることも出てくると思うのです。特にこれだけ大きな金額で、テーマで支援していくとなれば、そこに、ある意味で競争的資金のマーケットがある一つの方向に引っ張られるわけですね。すると、当然マーケットがあるところに研究もどんどん出てくると思うのですが、そういうときに、研究者の方々の自由な発想から出てくるテーマと重なっているときには何が優先されるのか、そういう何か科学技術振興機構のファンディング機能と違う物差しを持って判断されるのかどうかという辺りを一つ教えていただきたいと思います。
 それから、効率化のお話で、大変諸外国に比べて効率的にやっていらっしゃるということですばらしいのですけれども、数字の確認をさせていただきたいのですが、3ページの右上の表の事業規模、2005年度の2,038億円と、6ページの18年度の予算の1,379億円とかなり乖離がありますが、この点の御説明をいただきたいのと、それから、常勤職員の数は確かに99名とかなり少数でやっていらっしゃると思いますけれども、実際には学術システム研究センターにプログラム・オフィサーを110名ほど置いていらっしゃるということで、その辺りも合わせて諸外国との比較をされる必要があるのかないのか、その点を教えていただきたいと思います。

 浅羽臨時委員
 私から2点、追加で質問させていただきたいと思います。
 一つは特別研究員制度あるいは海外特別研究員制度についてですが、特別研究員や海外特別研究員に対しましては研究奨励費が支給されることになっているのですけれども、誤解していたら指摘していただきたいのですが、この目的、使う先は生活資金であり、現在ドクター(博士課程)の1年生や2年生でもその新規採用の対象にし、博士課程の間の3年間、あるいは、博士課程の2年生から3年生までの2年間といったような間、生活資金を得るという制度だと思っているのですけれども、このドクターの1年、2年、3年というのは、先ほど説明いただいた日本学生支援機構の奨学金の対象となる時期でもあろうかと思うのですが、そこの間での調整ということは考えていらっしゃるのか、いらっしゃらないのか。
 日本学生支援機構のホームページを拝見させていただきますと、他の奨学金等との重複は妨げないというような表現で説明されているところを拝見したのですけれども、確かにこれは奨学金ではないといえば奨学金でないということではあるのですが、その性格として、似ている部分もあるのではないかと思います。その点について、日本学術振興会としてどうなのかということを教えていただきたい。これが第1点。
 第2点目は組織についてです。組織については、二つの少し違うものが更に細分化されるのですが、一つは、海外の拠点についてです。科学技術振興機構のときに、黒田委員が御質問されていたのですけど、私も同じような問題意識をこの日本学術振興会についても持っておりまして、まず一つは、もう少しうまく両方を活用できないのかなという観点。もう一つは、そもそも日本学術振興会で9か所海外に拠点を持っていると理解していますけれども、この中で果たしてこのまますべて維持しなければいけないほどの活動実績がきちんとあるのかどうか。個別には当然すごく活発なところもあると思いますけれども、そうでないところはないのかどうか。仮にいまひとつと言えるところがあるのであれば、それをもう少し有効活用する形で別に資金投入するという余地はないのかどうか。
 組織に対してのもう一つに関しましては、先ほどの松田委員の研究資金のところと重複するのですけれども、日本学術振興会での科学研究費補助金は先ほどの説明ですと研究者の自由な発想、発意からということで御説明されていたことだと思うのですけれども、それはそれで、もう一方の科学技術振興機構の方では、国の政策として、こういうものをやるべきではないか、もしくは、やってくださいというような形で研究資金をということなのですけれども、この二つ、組織を一緒にしてやるというようなことが可能ではないのか。
 この2点について御説明いただければと、お考えを拝聴できればと思います。いかがでしょうか。

 富田分科会長
 それでは、簡潔にお二人の御質問、御意見にお答えいただけますでしょうか。

 藤田審議官
 まず日本学術振興会の科学研究費補助金の審査において、特に科学技術振興機構の方で政策的な観点からの研究との関係でございますが、審査におきましては、常にピア・レビュー(専門家仲間が研究内容を吟味すること)という形で大学の専門の研究者の方たちがグループを作って、純粋に学問的な観点から重要である、そして、その研究をやる意義があるという観点から選定、選考審査を行うわけでございまして、必ずしも政策的な観点からの配慮というのはなさらないものと承知をいたしております。
 2番目に、予算の数字でございますけれども、6ページの数字と3ページの数字が違っているのではないかということでございましたけれども、これは3ページの方の数字は必ずしもこの6ページの日本学術振興会の事業と直接関係してない部分がございます。それは先ほど御説明をしましたが、大学改革の支援でもって、例えば21世紀のCOEプログラムでございますとか、それから、魅力ある大学院教育イニシアチブ、こういったものについて、日本学術振興会は審査の業務を担当するわけでございますが、この2,000億円の中には、それでもって実際に配られるお金の金額も含んでいるということで、日本学術振興会の支出予算と必ずしも一致をしていないということでございます。
 それから、学術システム研究センターのプログラム・オフィサーについてでございますが、プログラム・オフィサーは非常勤で大学の先生にお願いをしてやっていただいているわけでございますけれども、基本的には先ほど申し上げましたような審査員の選定を行うという業務を行っていただくということでございますので、実際に事務を行うという観点で比較したときに、必ずしもこの3ページの人数に入れるのが適当かどうかという点について、私どもとして必ずしもそうは思っていないというところでございます。
 それから、4番目の特別研究員の研究奨励費でございますが、実質的には生活資金に使われるということで、博士課程1年生から対象としているところでございますけれども、制度上、これをもらった方については奨学金は辞退していただくということになっておりまして、重なりはございません。特にこの特別研究員については、いわばトップ5パーセント程度の非常に優れた若手の研究者を対象にして、心置きなく研究をやっていただくためのお金でございます。
 それから、5番目の海外事務所の点でございますけれども、特に日本学術振興会につきましては、幾つかの海外事務所、類型があるわけでございますけれども、一つには、一番大きなところはその国ないしは周辺の国まで含めた地域として置かれております大学と、日本の大学との人的なネットワークを構築するための支援活動、これが大きなところでございます。これは言わば日本の大学の主要な研究等について紹介するセミナーを開催するとか、外国の研究員に日本に来ていただいたりする、そういった形で人的ネットワークを構築して、それを維持するという活動がございます。また、今申し上げました外国の研究員の方に日本に来ていただくという観点からは、先進国、フランスとかアメリカとかスウェーデン等についての海外センターでは、先進国の方々について一定の枠を設けまして、この連絡センターで、その国からの優れた研究員の方を公募から審査、決定までを責任を持って行っていただくということです。特に、放っておきますと、アジアを中心とした外国人の方に来てもらうということになりますので、先進国について一定の方たちに来ていただくということから、そういう仕組みにしているということで、業務的には非常にそういった部分も重要になってきている。
 さらには、特にナイロビやカイロ、バンコクにつきましては、言ってみればフィールド・スタディ(現地調査)の拠点になっているということでございまして、カイロで言えば、中東関係のフィールド研究の拠点になっておりますし、ナイロビについては、ブラック・アフリカの拠点になっているということで、そういう意味では、業務的にも比較的きちんとしっかりやっているのではないかと思っております。もちろん、精査はあろうかと思いますけれども、現時点では必要なところに必要なものを置くという方針で、もちろん、今後見直しをしていく必要があれば考えていく必要があろうかと思っておりますが、現時点では必ずしもそうではないと認識をしているところでございます。
 もう一つは、組織を一緒にできないかという、日本学術振興会と科学技術振興機構との関係でございますけれども、先ほども申し上げましたように、日本学術振興会で行っております、特に科学研究費等の配分事業というのは、これは分野に偏らず、純粋に学問的に優れているものについて審査を行って選定するということで、特に公平・公正で透明性の高い審査が必要であるということで、アカデミー(学会)との信頼関係が非常に重要になっておるわけでございます。
 他方、科学技術振興機構については、先ほども私どもの説明からもございましたように、国の政策目的を前提とした比較的短・中期的な目標に基づいた基礎研究を進めると、言ってみれば「見えない研究所」と申しますけれども、研究を自ら実施するという研究実施機関的な性格が強いということでございます。これを一緒にすることによりまして、特に政策目標に基づくような研究の方向にやはり重点が移ってしまうのではないか、先ほど申し上げました純粋学問的に重要な研究者の発意に基づく研究というのが侵されるのではないかという懸念が生じますとともに、特にそういう観点から、アカデミーの信頼を得るのが難しくなるのではないかと思っております。
 これに関して言えば、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスなど、各機関とも、学術研究に対する研究資金の配分機関は、ほかの研究実施機関とは独立して設けているところでございます。特にフランスにおきましては、去年までCNRS(フランス国立科学研究センター)というところが研究を実施しながらファンディング機能も持っておったところでございますけれども、昨年、そのCNRSから学術的な研究のファンディング組織を分離独立いたしまして、ANR(国立研究庁)という組織を新たに設置したということもございますし、また、ヨーロッパ全体といたしましても、2007年からスタートをします第7次のフレームワーク機関におきましては、欧州独自の学術研究に対するファンディングを行う専門機関、ヨーロピアン・リサーチ・カウンシルを設置するという構想も現在検討中であるということでございまして、世界の主要国においては、研究実施機関とファンディング機関はきちんと分ける、特に学術研究については分けるということになっておると承知をしているところでございます。

 富田分科会長
 大体今日はよろしゅうございますでしょうか。もう時間の都合もありますので。

 杉野学術研究助成課長
 事実関係の補足を1点だけよろしいでしょうか。

 富田分科会長
 はい。

 杉野学術研究助成課長
 先ほど御指摘いただいたうちの一つとして、プログラム・オフィサーが100人、これの世界的な比較はどうかというお話がございました。私どもが承知している限りでは、プログラム・オフィサーの仕組みというのは、大学の研究者が常勤の形で役所に入ってきて、数年間プログラム・オフィサーとして活躍するというのが最も良いという話を前々から指摘されております。それを一つお手本といたしましてこういった制度を入れたのですけれども、残念ながら、今の日本の大学の風土では、研究の現場からあっさり離れて、二、三年にわたってこういった振興会で常勤の形で活躍いただくのは難しいという実態があると考えております。現在では非常勤という形で100人で対応しておりますので、日本の場合は非常勤ですけれども、海外の場合は常勤が主流というところで、多少その比較が難しいのかなということを考えております。

 松田臨時委員
 先ほど私が質問した趣旨は、むしろ先ほど御説明いただいたように、自由な研究を担保していくということであれば、既にこちら側で戦略的予算がついているものを自由な予算の中で認めたら、それ以外のところの枠が狭まります。トータルの予算は限られているわけですから、科学技術振興機構は科学技術振興機構なりに効率的にやり、日本学術振興会も効率的にやる。二つの組織がそれぞれ効率的にやっても、トータルで本当に国全体としての配分が効果的になっているかどうかというのを、どこが、責任を持つのかということについては、別に今日お答えいただく必要はありませんけれども、課題として、まだ私どもはもちろん明らかではないので、今後もう少し勉強したいと思います。

 富田分科会長
 それでは、時間の都合もありますので、今日はここで御質問、御意見を打ち切らせていただきます。
 本日は御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、大変ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、今日御議論いただきました点も踏まえまして、平成18年度における独立行政法人の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられると思います。その際には、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、御対応方よろしくお願い申し上げます。
 文部科学省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
 それでは、委員の方、少しお待ちください。事務局より報告事項がございます。

 新井評価監視官
 本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。
 次回の予定でございますが、4月14日金曜日、場所は法曹会館で3回目のヒアリングを持ちたいと思います。それから、4回目は4月17日、国土交通省関係の4法人について、この場でヒアリングを持ちたいと思います。
 次回のヒアリングの際の終了後、当委員会としての見直しの方針の中間報告を行政減量・効率化有識者会議に付議するということになっておりますので、その案ができましたら、お諮りしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 次回は何法人ですか。

 新井評価監視官
 経済産業省6法人、農林水産省1法人でございますが、よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 できるだけ効率的な議事に努めたいとは思うのですが、事実関係の確認などは事前に事務局を通じて行ってもらいたいのが一つ。やはり我々委員としては、見直しについてのメッセージを各役所に送っておく必要があろうと思うのです。ですから、事実関係の確認はできるたけ先に事務局経由でやって、そして、今日皆さんから御指摘があったような大きな方向、そういうことを伝えておくというのがこれからの見直しで大事なことだろうと存じます。

 縣臨時委員
 審議上の要望があるのですけれども。

 富田分科会長
 どうぞ。

 縣臨時委員
 説明者が退席した後に、委員間で質問や意見交換もできないかなと昨年から思っております。特に自分の属していないワーキングの案件について、担当の委員の方に伺いたいこと、それから、自分なりの意見やコメントがありえます。今日などは絶対無理だと思いますけれども、何とかそうしたやり方も御考慮いただけないかと思います。

 富田分科会長
 おっしゃるとおりでして、やはり分科会としての意見もまとめていく上では、今縣委員がおっしゃった点は非常に大事なことだと思います。したがいまして、何とか議事を効率化するための工夫を加えていきたいので、質問の事実関係の確認に関することは前もって事務局に電話で聴いておいてください。次回、経済産業省と農林水産省の関係ですので、できるだけ説明を短くしてもらっても、私ども分科会で非常に深く詰めていますので大丈夫だろうと思います。
 大事なことは、要領よくやることではなく、要領よく見直しのメッセージを送るということであります。
 何か御質問、御意見等ございましたらどうぞ。

 河村臨時委員
 相手省庁が説明のときに用意してこられる資料については、事前に見せていただくというのはやはり難しいのですか。この数字がないとか。

 富田分科会長
 なるほど。事務局、いかがですか。

 新井評価監視官
 できる限り、事前にメールなどでお送りすることができればと思います。ただ、各省からは前日ぐらいにしか出てこないというのもまた一つの状況であるということではございます。

 富田分科会長
 見直しの対象が増え、また、大規模化、業務の多様化というのもありますので、できるだけ効率的にやっていきたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日は御多用の中、御出席賜り、長時間の御審議、誠にありがとうございました。

  (了)




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