総務省トップ > 組織案内 > 審議会・委員会・会議等 > 政策評価・独立行政法人評価委員会 > 会議資料 > 政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会委員懇談会(5月15日開催)議事録

政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会委員懇談会(5月15日開催)議事録

日時

平成21年5月15日(金)13時00分から14時45分

場所

中央合同庁舎第2号館 総務省第3特別会議室

出席者

(分科会所属委員)
金本良嗣分科会長、森泉陽子委員、小峰隆夫臨時委員、白石小百合臨時委員、高木勇三臨時委員、立花宏臨時委員、谷藤悦史臨時委員、中泉拓也臨時委員、吉野直行臨時委員
(厚生労働省)
健康局水道課 粕谷課長、山本課長補佐、木下課長補佐、伊藤課長補佐、
松ア課長補佐
(農林水産省)
農村振興局整備部防災課 下山課長、久保課長補佐、土地改良企画課 松澤課長補佐、農村政策部農村計画課 島田課長補佐、大臣官房情報評価課 筧課長補佐
(国土交通省)
河川局河川環境課流域治水室 森岡室長、港湾局海岸・防災課 小野課長
(総務省行政評価局)
関行政評価局長、新井総務課長、松林政策評価官、新井調査官

議題

1 政策評価の内容点検について
2 平成20年度政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告(案)について

資料

会議経過

【金本分科会長】 時間になりましたので、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会の政策評価分科会を開会させていただきます。
 初めに、4月24日付をもちまして、八丁地臨時委員が退任されましたことを御報告させていただきます。
 それでは、早速でございますが、始めさせていただきたいと思います。
 まず、議題1の政策評価の内容点検について、厚生労働省、農林水産省、国土交通省からのヒアリングを実施したいと思います。
 本日のヒアリングは、3月17日の政策評価分科会での議論を踏まえまして、今後、対応を求めることとした4件について、関係府省からそれぞれ御説明をいただくものです。
 1件ごとに15分ほど御説明をいただいた上で、それぞれについて質疑応答を行いたいと思います。
 それでは、まず、厚生労働省の方々から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【粕谷水道課長】 厚生労働省健康局水道課長の粕谷と申します。本日は、このような御説明をさせていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございます。お手元の資料1−1に基づきまして御説明をさせていただきます。
 今回のヒアリングの対象事業でございます当別ダムに係る水道水源開発施設整備事業ということで御説明いたします。
 まず始めに、この事業の概要でございますけれども、この事業は、石狩西部広域水道企業団というところが事業主体になりまして、北海道が当別町に建設する当別ダム、これに参画いたしまして、札幌市、石狩市、小樽市、当別町の3市1町に水道用水を供給する、つまり卸売をする事業でございます。
 総事業費は、ダム負担金のほかに、浄水場の整備費などを含んでおりまして、約780億円になっているところでございます。
 次、2ページでございますけれども、昨年度に総務省が実施されました政策評価の内容点検の中で、今回の事業、再評価につきまして御指摘いただいた疑問点と、それに対しまして、私どもが回答いたしました見解を改めて御紹介いたします。
 総務省では、左側にありますように、水道水の供給先、4市町あるわけでございますが、そのうちの1つの札幌市の水需要に関しまして、札幌市の1人1日当たりの使用水量が将来増加する推計としている点に着目されまして、この評価では過去30年の実績値を用いて推計していますが、増加割合が減少している近年の実績値の傾向を踏まえて推計を行う必要があるのではないかと御指摘をいただいてございました。
 この御指摘に対しまして、当省の見解といたしまして、本評価で用いた推計方法を紹介するとともに、その評価方法の妥当性というものを説明してまいったつもりでございますけれども、検証につきまして、さらに行うということを回答させていただいたところでございます。
 3ページでございますけれども、この再評価に当たって用いました推計方法を再度、具体的に御説明したいと思います。
 この評価では、計画期間と同様の期間である30年間の実績値をもとに、5種類の推計式を用いた時系列傾向分析で推計いたしました。その結果、この5つの式のうち、原単位の伸びが最も小さい、このグラフで言いますと赤線になります、べき曲線の式が、過去30年の原単位の実績値と最も高い相関、0.973という相関を示したわけでございまして、この値を採用しているわけでございます。
 このべき曲線というのは、グラフを御覧いただければわかりますように、直線的に過去から伸ばしていくというタイプの推計式ではございませんで、原単位の伸びが最も小さくなっているのでございます。増加割合の小さいこのべき曲線が、今回、相関が高く出たのは、実績値の伸びが近年、特に鈍化しているという傾向を反映したものではないかと考えているところでございます。
 次、4ページに参りまして、今回、再評価に当たりましては、先ほどの推計方式を用いたわけですけれども、いろいろ御指摘を賜りまして、その推計方法が妥当なのかどうかということを確認するために、今回、さまざまな方法で検証を行ったところでございます。
 まず最初の1つは、直近の実績を用いた時系列の傾向分析というものを行ってみました。総務省から、近年の実績値の動向を踏まえて推計を行うべきではないかという御指摘がございましたので、近年の実績値の動向のみということで、最近10年の実績値で時系列の傾向分析を行ってみましたが、5種類の推計式、いずれも実績値との相関が低いという傾向が出ているところでございます。
 今回の札幌市の原単位のように、実績期間内で時系列的に一定の傾向が見られない場合にありましては、相関係数が非常に小さく、実績値との適合性が低い結果が出るということが少なからずあろうかと思います。
 そこで、原単位の変化をもたらす増加要因、あるいは減少要因というものに着目いたしまして、原単位の将来の変化の傾向がどう見られるのかということを検証することにいたしました。本再評価では、将来緩やかに伸びるという傾向が出たわけですけれども、水使用の実態などを勘案したときに、そういう傾向でよろしいのかどうかという観点で検証したものでございます。
 5ページを御覧いただきたいと思います。札幌市では、これまで、過去6回ほど、水使用の実態調査というものを行ってきてございます。それを活用いたしまして、水が増えるかどうかという要因の検討を行ったものでございます。ただし、この段階では、まだ定性的な検証というものにとどまっているわけでございます。
 まず、増加する要因でございますけれども、増加要因の1つとして、1世帯当たりの人数が挙げられます。水使用の実態調査によりますと、5ページの左下のほうにございますように、札幌市では、1世帯当たりの人数が少ないほど1人当たりの使用水量、原単位が増加する傾向があることがわかりますが、その一方、図2のほうにありますように、将来に向けて、1世帯当たりの人数が減少する傾向にあります。
 国勢調査をもとに時系列で将来を予測いたしますと、1世帯当たりの人数は、将来更に減少すると予測されておりまして、その傾向からは、自然体としての1人当たりの使用水量は伸びる方向にあるということが見込まれました。
 また、5ページの一番右下にありますような浴槽の容積というものも使用水量に影響してまいります。最近の傾向といたしまして、250リットル以上という、浴槽が大型化する傾向が出ているところでございます。このような使用水量が増える方向に働く要因というものが幾つか見出されましたし、こうしたものはこれからも効いてくるのではないかと思っているところでございます。
 一方で、次、6ページに参りますが、水需要が減る要因というものも幾つかございます。特に節水型の機器の普及状況というのが大きく影響してくるのではないかと思います。この実態調査によりますと、節水機器として、食器の自動洗浄機です。こちらのほうが手洗いよりも水の使用量が減る傾向にございます。それから、温水と冷水の混合栓でも、シングルレバー方式のほうがより使用水量が少なく出る傾向がございますので、これらの普及状況、保有状況というのを見たところ、最近、頭打ちになっている傾向がうかがえました。
 それから、洗濯機の種類につきましても、二槽式と全自動を比べた場合、全自動式が頭打ち、ほぼ普及してきたという傾向にございまして、こうした水需要が減少する方向での要素というものも、これまでの傾向から伸びてきて、ある一定のところに落ち着きつつあるという結果がうかがえたところでございました。
 6ページの一番下にございますように、他の100万以上の大都市と比べた場合、札幌市の原単位、今回、推計して226.8リットルとなってございますけれども、他の大都市の実績値239リットルと比べても、必ずしも過大ではないというような値が出ているところでございます。
 次、7ページでございますが、ただいま申し上げた2番目までの検証は、特に定性的な要素でございましたので、これをもう少し定量的に行うことができないかということで、ベースとなるデータは、先ほどの水使用実態調査がもとでございますけれども、要因別分析の1つであります数量化理論I類という手法を用いて定量化を試みたところでございます。
 数量化理論I類といいますのは、数値データだけではなくて、節水意識といったようなカテゴリーデータを扱うことができる分析手法でございまして、札幌市の水使用実態調査で得られた調査項目のうち、使用水量に関連した項目をできるだけ活用して分析をしようということで、今回用いたわけでございます。
 具体的には、水使用実態調査におけるいろいろな調査項目のうち、水量と関係ないものだとか、あるいは、なかなか変数として使用できない形になっている項目というのがございますので、そうしたものを除外いたしまして、世帯当たりの使用水量を目的変数といたしまして重回帰分析を行って、相関の高い調査項目を5項目選択いたしまして、その項目ごとにカテゴリースコア、すなわち調査項目の分類である各カテゴリーが使用水量にどの程度影響しているかということを算定したわけでございます。
 7ページの図5というところにございますように、居住者数、居住室、畳の数ですね。それから、洗濯の回数ですとか風呂の入替回数、節水意識といったようなものが影響してくるわけでございますけれども、特に居住者数というものが、カテゴリースコアのグラフの絶対値として大きく出てございます。これが大きく影響しているということが分かったところでございます。
 次、8ページでございますけれども、今申し上げました結果を基に、目標年次における将来推計値を出すために、平成47年度における各説明変数のカテゴリーの構成比というものを推計いたしまして、先ほど算出いたしましたカテゴリースコアと平成47年度、平成18年度の構成比の差を掛け合わせるということで、平成47年度の増減影響量を算出いたしました。
 平成47年度の全体の使用水量にどう影響するかということにつきましては、各説明変数の使用水量の増加、それから、減少するという影響量がございますので、それを全部足し合わせた結果として、平成47年度にどれだけ増えるか、あるいは減るかという値を出すやり方でございます。
 具体的な算出方法をもう少し詳しく御説明いたします。例えば、居住者数については、居住者1人のカテゴリースコアとして、影響度が85.7という値でございます。また、居住者1人が全体に占める割合の平成47年度と平成18年度の差を求めますと、9.38%増えているということになります。居住者1人というカテゴリーが使用水量に与える増減の影響量といたしましては、両者の数値を掛け合わせた8.038リットル増える方向に効いてくるということになります。同じように、居住者2人、3人、4人、5人それぞれの増減影響量を求めて全部足し合わせますと、居住者数による影響として15.24リットル効いてくることになります。
 同じように、これを畳の数ですとか洗濯回数、すべてのものに行いますと、例えば、洗濯回数などでは、将来と今を比べますと減る傾向に出てきているわけでございます。こうしたものをすべて足し合わせまして、その結果、平成18年度に比べて21.7リットル増える傾向にあることが推計から出てまいりましたので、平成18年度の実績値に21.7リットルを加えて、約226リットルという将来推計値が出てまいりました。時系列で推計いたしました将来の原単位とほぼ等しいような値が出てきたというところでございます。
 8ページの下の方、まとめとしてございますように、札幌市の場合、やはり使用水量の増加・減少要因という中で、居住者数による増加影響が最も大きく、これが原単位増加の主な要因であるということなどが分かったところでございます。
 9ページに参りまして、最終的な今回のまとめでございますけれども、今申し上げましたように、居住者数とか、いろいろな原単位が増加する傾向にあるということはうかがえたところでございますし、そのやり方につきましては、札幌市の地域的な水使用の実態を基に見積もられた要因である程度説明できるということが分かってきたところでございます。本評価によるもともとの時系列による原単位の推計方法というものと、多様な推計方法による結果が改めて確認できたところでございます。
 次に、事業評価に関する今後の対応方針でございますけれども、私ども、これまでも総務省の政策評価の点検活動の趣旨も踏まえ、水需要予測の妥当性については確認を行ってきたつもりでございますけれども、今後さらに、今回、分科会で御指摘をいただいた事例を参考にいたしまして、直近の実績値、あるいは水使用実態というものを勘案した水需要予測がなされるよう、引き続き確認をしてまいろうと思ってございますし、事業の実施主体である水道事業者に対しましても、随時、その周知を図ってまいりたいと思っているところでございます。いろいろ御指摘ありがとうございました。
 なお、若干のお時間をいただきまして、安定給水という観点から、この当別ダム事業の参画の必要性、附属資料につけてございます。札幌市の水道の特性から言いまして、こうした危機管理上からも、この事業に参画する必要がどうしてもあるということと、あと、最後のページになりますが、札幌市の基幹浄水場である白川浄水場の改築・更新のために、企業団からの受水というものを活用して、適切な期間に適切な改修を行って、将来とも安定給水を図る事業であるということで、札幌市といたしましては、この用水供給事業に対して非常に重きを置いているということでございますので、どうかよろしくお願いいたします。

【金本分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。

【吉野委員】 御説明ありがとうございました。3ページのべき曲線による推計結果と、結局、最終的には計量分析による推計の結果が同じだという、そういう御説明だったと思うのですが、このべき曲線のほうは、別に要因を見ているわけではなくて、ただ推計線としてこうなりそうだというのを見ているわけですから、一致したというのはたまたまという感じがいたしまして、やはり前よりは後ろの説明の方法のほうが、今後是非やっていただきたいことだと思うのです。
 それに関連しますと、5ページのところに、核家族化によって、今後、使用量が増える。それから、1世帯当たり人数が減るという、この両方があるのですが、では、核家族化の部分は、後ろの説明変数でいきますと、居住者数のところにそれが変数として含まれているという形で考えていいのでしょうか。それが1点目です。
 2点目は、少し大きな質問ですけれども、こういう水道事業というのは、公的なところがおそらく引き受けていらっしゃるのではないかと思うのですが、そういうところをもっと民間に任せて、効率を上げたりコストを削減するという努力をなされていらっしゃるのか、それとも、ほとんど公的機関に委託をされていらっしゃるのか、その2点をお伺いしたいと思います。

【粕谷水道課長】 1点目の数量化理論において居住者数というものが大きなファクターを占めてございますが、これは先ほど、先生がおっしゃった核家族化の傾向といいますか、1世帯当たりの人数の減少というものと同じ要素、同じ意味合いでございます。
 ちょっと長くなりますけれども、例えば、何人で住んでおられても、お風呂に張る水の量は同じでございますから、大勢のほうが1人当たりの使用水量として少なくなるという傾向があるわけでございます。
 それから、第2点目の、民間活力をどう活用していくのか、そういう方向であるのかという御質問でございますが、水道法におきましても、従来ずっと直営がほとんどであったわけですけれども、やはり民間活力も利用しようということで、包括的に民間のメンテナンスを行うような会社に委託をする場合の規定というものも入れまして、そうしたことが可能となるようにしているところでございます。
 効率的な運営ということに加えまして、水道事業そのものにおきましても、将来、技術力の継承というのはなかなか難しくなってきてございますので、そうした民間の力というものを活用していかなければいけないという状況に来ているという認識ではございます。

【金本分科会長】 そのほか、何かございますか。

【小峰委員】 少し技術的な話と、あと、もう少し大きな話と2点申し上げたいのですが、少し細かい話で恐縮なのですが、4ページ目の最近の10年間で相関が非常に低くなったという話ですが、この相関係数0.3というのは、随分低いなと。というのは、これ、205ぐらいのレベルで、せいぜい数%の誤差しかないのに、相関係数が0.3というのは低過ぎるのではないかという印象を受けました。
 それから、もう一つ、御説明を聞いていて少し気になったのは、水道事業というのは、需要者が欲するものをすべて与えるという前提で考えているのだろうかという点です。つまり、節水というのをもう少し奨励したり呼びかけたりするということで、増えるのをそのまま放置するのではなくて、それに対して働きかけるようなこと、そういう姿勢が全く感じられないのですけれども、そういうことはやらないということなのでしょうか。

【粕谷水道課長】 最初の相関係数が本当に0.3ぐらいかということでございますが、これ、やはり傾向値として実際の値でございまして、いろいろな方法、5式いずれも大体このような値ということで、特に資料を加工したとかそういうことではございません。
 それから、節水に努めるべきではないかという御指摘でございますけれども、これまでも、使用水量、料金の施策体系におきまして、たくさん水を使う人に対して料金逓増制というのが通常とられてまいりました。つまり、よりたくさん水を使えば料金が比例よりも、より高い料金になるということで、それは節水を促すということで、大口需要者に対して水の使用量を抑えてもらうという政策をずっととってきたところでございますし、今でもそういう料金体系をとっている水道事業者のほうが多いわけでございます。決して節水に対して、そういう方向を向いていないということではございませんし、むしろ節水をすることで、仮に同じ水源が確保されていたとしても、いわば渇水にそれだけ強い水道になることができますので、今後ともそういう努力はしていきたいと考えております。

【金本分科会長】 ここでテクニカルな話をしてもしようがないので、あとで資料等をいただければと思うのですが、相関係数というのは、我々、あまりこういうところでは使わなくて、決定係数といったものを使うことが多いのですが、何を意味しているかということと、それから、あと、数量化理論I類のカテゴリーを使っていろいろやられておられるのですが、こういうもので予測をするということの統計学的基礎というのは、私の考えるところ、かなり脆弱で、統計学的にどういう意味があるかと。予測誤差がどうこうでという理論があるかというと、ないのではないかと思いますので、その辺について資料等をいただければと思います。
 あと、この辺の細かい計算のやり方とか考え方とか統計的なものとか、この辺の公表についてはどうなっているのでしょうか。

【粕谷水道課長】 今回御説明したものについて、公表についてはしていただいてよろしいかと思ってございますが。先生がおっしゃるのは、地元でということでございましょうか。

【金本分科会長】 この資料だけだと、どういう計算でどうなっているかが分からないので、もう少し外の人が見て分かるような資料を公開するおつもりがあるのかという、そういう質問ですが。

【粕谷水道課長】 こちら、分科会の御指示ということであれば、その範囲で対応させていただければと思いますが。それは、事務局と相談をさせていただきたいと思います。

【新井調査官】 そのようにさせていただきます。

【金本分科会長】 また後ほど。
 特におかしいとかという話ではなくて、こういう議論が積み重なっていくということが非常に重要だと思いまして、そのためには、やはり具体的にどういう手法でどうやったか、結果がどうこうということが外に出ている必要があると思っております。
 そのほか、何か。

【中泉委員】 
 1世帯当たり人数の減少が与える影響が大きいとのことですが、最近、やはり少子化対策等で、子育て支援も含めて、いろいろな政策が行われていると思います。特に御省でも行われていると思うのです。そこで、人口予想や世帯数の予想において、そういった政策の効果というのはあまり考慮されていない、データになっている点が気になります。そういった政策をするときに、出生率に関する、数値目標等も提示しているという気もするのですが、そういった対策の数値目標とここで採用されている出生率の予想データとの整合性はとれているのでしょうか。お聞きしたいと思います。

【森泉委員】 それに関連しまして少しお聞きいたします。今、中泉委員がおっしゃったことと関連しますが、札幌市では、20年、30年後の人口予想とか世帯数の予想とか、そのような計画を持っていらっしゃるのでしょうか。もし持っていらっしゃるとしたら、それとここでの核家族化等の予測との整合性はとられているのでしょうか。そこが少し気になりました。

【伊藤補佐】 まず、人口についてですけれども、これは札幌市独自で人口推計を行ったということで聞いております。ただ、世帯数については推計がなかったということで聞いておりますので、今回、こういった推計を行ったところでございます。

【金本分科会長】 そこまでがっちりとはやっていないということだとは思います。

【粕谷水道課長】 今、中泉先生がおっしゃった、将来、少子化対策をすればこうなるのではないかというようなことも、こういうところに入れるべきではないかという御指摘、感覚的には私も分かるのですが、では、どういう数値にしたらいいのかというのも難しいので、今回は、先ほど分科会長もおっしゃったように、統計学的にきちんとどうこうというよりも、1つ目安を見るという感じではないと思ってございまして、そういう意味で、このやり方についても一定の限界が出てくるのはやむを得ないと思っているところでございます。

【金本分科会長】 B/Cが12.91あるところで、ここの1人当たり使用水量の推計のところを5%の精度まで頑張るという意味はあまりないと私は思っていまして、あまり小さいところに多大な能力を費やすという意味も多分ないのだろうとは思います。
 ただ、数字を出したときに、これがあたかも100%正しいような出し方をするというのもまずいのだろうと思います。これからどういった数字の出し方をされるかというのを検討される中で、細かくやっても意味がないようなところについては、一応、数字は当然出さなければいけないのですが、それについてある程度幅を持たせて、最初から、このようになってもB/Cはかなり大きいのですといったたぐいの情報を追加していただくと、後々、余計な手間がかからなくて、しかも、外側から見て納得していただけるといったことになるのではないかと思っていますので、そういったことも御検討いただければと思います。
 では、よろしゅうございますか。長時間、どうもありがとうございました。

(厚生労働省 退室)
(農林水産省 入室)

【金本分科会長】 よろしゅうございますでしょうか。それでは、農林水産省の方々から御説明をお願いいたします。15分程度ということでございますが、よろしくお願いいたします。

【下山防災課長】 農林水産省農村振興局防災課長の下山と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 お手元の資料1−2に沿いまして、海岸保全施設整備事業(高潮対策)村上地区につきまして御説明を申し上げたいと存じます。
 資料の1ページ目は目次でございますので、2ページ目にお進みいただきたいと存じます。
 この村上地区でございますけれども、福島県の北部に位置する海岸でございます。ここは、昭和39年度から49年度にかけまして、福島県が堤防を整備したところでございます。その後、堤防の前面の砂浜で侵食が進行いたしまして、前面の砂浜がほぼ消失をしているという状況にございます。
 昭和60年ごろから、台風時などにおきまして堤防等の被災が、たびたび災害が起こっているという状況でございました。このため、福島県が事業主体となりまして、離岸堤を整備するものでございます。これによりまして、波の力を減少させ、海岸の保全を図っていくというものでございます。
 3ページに図面をお付けしているところでございます。右上、大変小さくて恐縮でございますが、また、これ、福島県全体ではないのでございますけれども、福島県の北部の海岸寄りの部分の地図でございまして、ここが村上地区というところでございます。所在地といたしましては、福島県の南相馬市に当たるところでございます。
 真ん中に大きく平面図がございますけれども、この左側が北側、右側が南側ということでございます。そして、海岸があるわけでございますけれども、その下に小高川という川が蛇行して流れて海に注いでおりますが、この下側、方角で言うと西側になるわけでございますけれども、ここに農地が広がっているところでございます。
 ここにつきましては、既に平成3年度から20年度にかけまして、海岸環境整備事業によりまして、福島県の方で、この青色の部分の整備が既に進んでいるところでございます。離岸堤が3基、これは海岸から少し離れたところにコンクリートのブロックを積んだものでございまして、これによって波の力を減少させるものでございます。
 また、その下に曲線で囲われた青い部分がございますけれども、ここが緩傾斜堤でございます。緩やかな傾斜の堤でございまして、緩やかな傾斜で、水に親しむことができるように配慮された堤防でございまして、こういうものを既に整備したところでございます。
 これによりまして、前面の砂浜が回復をしておりまして、また、海岸利用もなされているという状況でございます。
 この度着手いたしました事業は、この更に右側の赤いところの4基の離岸堤を整備しようとするものでございます。事業期間は平成20年度から平成27年度、総事業費としては12億円余を予定しているところでございます。
 今回の赤色のところの着手に当たりましては、事業評価のB/Cにつきましては、青色の海岸環境整備事業の部分も含めまして算定をしたところでございます。
 4ページの左側でございますけれども、この事業評価に当たってのCVMにつきまして、この度、疑問点を頂戴したところでございます。
 一つは、慈善バイアスの発生可能性があるという疑問点。もう一つは、調査回答者のうち、村上海岸を利用した回答者は62%であり、県全体を集計範囲としているわけでございますけれども、そういったことについての妥当性に疑問があるという点でございます。
 これにつきまして、右側に私どもの考えを述べさせていただいているところでございますが、こういうCVMにつきまして、CVMの調査の実施に当たりましては、事前調査や既存の調査事例等を基に、適切に調査範囲を設定する旨を、既に海岸事業の費用便益分析指針の参考資料に記載をして指導をしてきたところでございますけれども、この度いただきました問題意識を踏まえまして、農地海岸事業につきまして、上記の指針参考資料を踏まえた適切な調査範囲の設定などに、今後なお一層留意するよう、改めて周知徹底を図ったところでございます。農地海岸事業の事業評価における適切な費用便益分析の実施に、今後なお一層留意してまいりたいと考えております。
 いただきました個別の疑問点につきましては、右側の下半分のほうに記述をしていますけれども、個別の点につきましては、本件に関しまして、慈善バイアスに対する配慮は講じられているのではないか、あるいは62%という数字をもって、必ずしも海岸の利用率が低調であるということではないのではないかということを申し上げているところではございます。しかしながら、冒頭に申し上げましたように、私どもとして改めて周知徹底を図ったということでございます。周知徹底を図りました内容が、5ページでございます。
 まず一つといたしましては、次のページに出てまいります通知文を発出いたしまして、農地海岸事業におけるCVMの便益算定について今後なお一層留意するよう周知徹底を図ったところでございますし、また、文書を発出するだけではなくて、4月に開催されました地方農政局防災課長等会議におきましても、この通知の趣旨を説明して周知徹底を図ったところでございます。
 発出いたしました通知は6ページでございます。先ほど御説明いたしましたように、農地海岸事業の事業評価における費用便益分析につきましては、既に海岸事業の費用便益分析指針を発出しているところでございますけれども、この指針の参考資料に示された下記の事項に、今後なお一層留意の上、適切な費用便益分析の実施に努められるよう周知徹底を図ったところでございます。
 あわせまして、海岸管理者、これは大半が県でございますけれども、県の担当部局に対しましても、この旨周知するよう依頼をしたところでございます。
 1点目は、調査範囲の設定、記の1のところでございますが、CVMを適用して便益計測を行う際には、集計範囲の設定が便益額を大きく左右することから、調査の実施に当たっては、CVM事前調査や既存の調査事例等をもとに、適切集計範囲を想定し、この範囲を含む市町村等を単位として調査範囲を設定する。なお、より詳細な設定ができる場合は町丁目単位等で設定するということもあり得るということでございます。
 2点目は、支払意思額の質問でございますが、支払意思額を質問する際の支払形態につきましては、それぞれの支払形態の表現に固有の得失があるため、支払形態の選択はケースにより慎重に行われなければならないこと。また、CVMではバイアスが生じる可能性が指摘されており、バイアスを小さくすることがCVMの調査結果の信頼性を高める上で重要であるという、この2点につきまして改めて周知徹底を図ったところでございます。
 このような形で、私どもといたしましては、農地海岸事業の事業評価における適切な費用便益分析の実施に、今後なお一層留意してまいりたいと考えております。
 説明は以上でございます。

【金本分科会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。

【白石委員】 御説明ありがとうございました。通知を発出されて、担当者の方々に注意すべき点を御指導いただいたという話ですが、6ページを拝見しますと、1の調査範囲の設定のところの上から2行目、例えば、「既存の調査事例等をもとに、適切な集計範囲を想定しておき」というような文章がございます。今回、こちらの委員会からの指摘があったわけで、今回の指摘に対しては、慈善バイアスはないとか、利用率は低調ではないというようなお考えだと思うのですけれども、今後また、このようなCVMが、既存の調査を御覧になったどこかの現場がする可能性もあります。それについてはどのようにお考えでしょうか。

【下山防災課長】 今回の個別の疑問点に対しましては、ここに記述したような考えを今日申し上げたところではございますけれども、私どもの考えの基本と申しますのは、4ページの上半分に書いてありますように、適切な費用便益分析の実施に今後なお一層留意してまいりたいというのが基本でございます。
 その中で、CVMをする際に事前調査を行う、あるいは、既存の調査事例がある場合にはそれを用いるということで、適切な集計範囲を想定するのが基本だという点を改めて周知徹底を申し上げたということでございまして、今後の農地海岸事業の実施に当たりまして、CVMを実施いたします際には、6ページの通知文の1の2行目で書かれてありますようなことを基本的にやっていくという考えでございます。

【金本分科会長】 そのほか、何かございますでしょうか。

【吉野委員】 willingness to pay(WTP(支払意思額))という、これが取り方によって非常に違うような気がしまして、例えば、聞かれる人の所得がどうかとか、家族構成がどうか、どこに住んでいるかどうかという、そういうことを勘案しないと、本当にこの金額が正しいかどうかというのは留保しなければいけないと思います。ここに、ただ、海岸を守るために幾ら寄付しますか、あなたの家計の使える金額が減ることをお忘れなくと明記されていて、それで、ここのバイアスはないと考えられているのですけれども、ここでアンケートされたときには、大体幾つぐらいの回答で、どんなグループだったかというのがもしおわかりになれば教えていただきたいのですが。そこから見て、やはりバイアスがないと考えられるのでしょうか。

【下山防災課長】 まず、アンケートにつきましては、2,000のアンケートということで、回答数が1,200程度あったということでございます。
 所得などにつきましてもその中で質問してまして、所得につきまして、かなりの幅があったということであったと思います。
 また、所在する地域につきましては、地元の小高町、旧小高町になるのですけれども、ここの方の数が調査の対象としては多かったということがございますけれども、小高町とそれ以外の県内、この2つに分けまして支払意思額を算定し、便益を算出したということになっております。

【金本分科会長】 かなり詳細の資料を見ないと、吉野先生も分からないだろうと思うのですが、時間はありませんので、また後ほど、資料等を吉野先生にお送りいただけるといいと思います。

【新井調査官】 はい。農林水産省と相談して対応します。

【金本分科会長】 そのほか、何かございますでしょうか。
 CVMについては、もともと聞くだけ、アンケートするだけですから、そこで言ったお金を本当に払うかどうかというのは甚だ疑問というのがあって、実際にこの手の教科書を見ると、アンケートをとった後に実際に払う、募金をしたといったのがあって、そうすると、もう半分も払ってもらえないというのがあるということで、CVM、かなり乱用されている節がございますので、慎重な使い方と注意深い設計をお願いできればと思います。
 多分、この通達だけで現場の人がちゃんと理解して、優れたCVMをやっていただけるかどうか、この辺についてはかなり懸念がありますので、もっとしっかりとした対応をお願いできればと思います。
 あと、もともと問題のある手法でございますので、このCVMが決定的なものになって決めるといったものはなるべく避けたほうがいいのではないかと思います。ここでも最後の3のところにございますが、このCVMの結果を使わなくても1を超えるのでという記述がございますが、そういった場合についてはそれほど大きな問題はないと思うのですが、CVMのところの数字いかんで採否が決まってしまうというケースはなかなか難しいと思います。
 そのほか、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 今日は御説明どうもありがとうございました。

(農林水産省 退室)
(国土交通省 入室)

【金本分科会長】 次は、国土交通省の方々から、太田川水系直轄総合水系、長い名前でございますが、環境整備事業の案件についての御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【森岡流域治水室長】 国土交通省河川局河川環境課の森岡と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料1−3に沿って御説明を差し上げます。1ページを御覧いただきまして、河川環境整備事業ということで、どういうことをやっているかという分類です。
 大きく3つに分類できまして、一番上が、水環境整備ということで、河川の水質をよくするために、ヘドロを浚渫したり、あるいは、きれいな水を導水したり、こういったことをやっております。
 2つ目としまして、自然再生です。魚道を整備したり、あるいは湿地を再生したり。湿地の再生ということで申しますと、例えば、北海道の釧路湿原、佐渡島でトキの生息環境を整備するための湿地の整備、写真の右にございますように、兵庫県豊岡市でコウノトリの生息環境を整備するための湿地整備、こういったものは、河川事業だけでは完結いたしませんので、関係機関と連携してやっております。
 3点目が、利用推進と申しまして、水辺の利用、あるいはまちづくりの中に河川を生かす、整備をやっています。今回の事案の広島の太田川ですけれども、御案内のように、広島県内の一級河川ということで、広島市の中を流れる川です。
 3ページを御覧いただきまして、太田川水系で私ども自らが行っております環境整備事業で、下流から上流部にかけまして、水系全体で幾つかの事業をやっているということです。
 事業の目的といたしましては、景観を考慮した高水敷や護岸などの整備によって、地域の方々に太田川に親しんでいただくということ。それから、太田川の環境を生かして、環境学習等をやっていただくということ等です。
 事業の内容は、3ページの下に書いてありますような内容です。
 現在、私どもが考えております河川環境に関する課題といたしまして、次の4ページで、河口部付近では不法係留船が非常に多いということです。また、2点目といたしまして、都市と水辺の分断が行われているということです。特に水質関係では、ヘドロによって水辺に近づきにくいという点です。散策路も一部ありますが、不連続な部分があるという問題も抱えております。
 また、中流部にかけましては、環境学習に活用できるような場が少ないということで、地元からいろんな要望が出ているという状況です。
 特にマリーナにつきましては、次の5ページで、不法係留船をなくすために必要な事業ということで、地元の広島市等と連携しながら、これまで取組を進めてきているということです。
 不法係留のプレジャーボートにつきましては、強制撤去等の措置を地元で進めていただいておりますけれども、こういった規制強化とあわせまして、不法でないような形で係留できるような収容施設の整備が必要と考えております。
 5ページの図にありますように、港湾事業、漁港事業、河川事業等、こういった区域におきまして、それぞれ計画を立てて、役割分担を行って整備をしてきているということです。こういったプレジャーボートの不法係留船による問題、どのような問題が起こっているかということが6ページ以降に書いてあります。
 6ページには、橋梁でのせき止めが洪水時に起こる、あるいは河川管理施設に影響が出る。次の7ページを御覧いただきますと、破損等によりまして油の流出事故が起こったりする。それから、8ページでございますが、河川清掃の妨げになったり、あるいは水上交通の支障になったりということもあります。
 また、9ページにありますように、景観にもよろしくないということがあります。
 10ページは、先ほどお示しした表の再掲ですけれども、この太田川マリーナにつきましては、広島市と役割分担を行って整備をしてきているという状況です。
 こういったプレジャーボートの不法係留に関しましては、次の11ページにございますように、マスコミ報道等が時折されておりまして、社会的にも問題意識が高いと考えております。
 今回、プレジャーボート対策も含めます太田川の環境整備事業の費用対効果分析の考え方ですが、基本的にはCVM法で行っております。ただし、環境整備事業のうち、この太田川のマリーナに関しましては、環境上の効果と、洪水になったときに不法係留されているプレジャーボートが流されて、例えば、橋げたにぶつかって、その結果、水位がさらに上昇するという悪影響もありますので、そういった悪影響もなくなるといった効果を見込んで便益を算定しております。12ページの中ほどに式で書いてありますが、すべての環境整備事業の環境面での便益と、太田川マリーナのみに特化した治水上の便益、この2つを足し合わせた形で便益の計算をしております。
 次に、CVMの考え方ですけれども、整備箇所沿川の3,200世帯に配布をいたしております。これは、流域全体のおおむね1%相当ということで考えておりますが、回収率3割強ということで、1,000世帯弱の方々から回答いただいたということです。アンケート票を、次の14ページにかけて掲載しております。
 それから、別途、治水上の便益ということで足し合わせておりますが、その考え方です。15ページを御覧ください。
 ここに図で書いてありますように、橋のところで船がひっかかると、その結果、川の水位がさらに上昇します。川の水位がさらに上昇するということは、洪水がはんらんした場合の被害額がそれだけ大きくなるということですので、その大きくなる部分について便益として計上しているということです。
 その計算結果を16ページに載せておりまして、環境整備事業全体につきまして、左下で、CVM手法で出しました環境便益が年当たり11.1億円、せき止めの防止による治水上の便益が4.2億円ということで、年便益といたしまして15.3億円を計上しております。これらを足し合わせた総便益を総費用と比較いたしまして、B/Cとして2.4ということで、私どもとして算定をして事業を実施しておりました。
 なお、残事業としてのB/Cは7.7ということで考えております。
 こういった私どもの算定方法に対しまして、次の17ページでございますけれども、環境便益としてCVMで求めているわけでが、このCVMのアンケート調査票、次の18ページにありますけれども、「アンケートご協力のお願い」というところでは、河川環境整備事業を対象に云々ということで書いてございますが、その中で、マリーナ部分について、洪水によって橋梁に衝突をしたり、あるいは景観を壊すという観点から、便益を計上するためにこういった写真等を掲載したわけです。
 その点に関しまして、17ページに戻っていただきたいと思いますが、このCVMアンケート調査票の中に、「治水安全度が向上します」という記載があるということをもって、別途、私どもが計算をして足し合わせました治水効果に相当する便益がこのCVMの中に含まれているのではないかという御指摘がございました。
 それに対しまして、私どもといたしましては、環境整備に関するアンケートであるということを、この調査の最初に明記をしているということで、この水害被害防止の便益につきましてはCVMの外でカウントできるのではないかと考えているということです。
 このような論点の違いがありまして、仮に、治水上の便益についてもCVMの中に含まれているとした場合に、B/Cの算定結果がどうなるかということを試算いたしますと、19ページにありますように、環境整備事業全体で、私どもが当初算定いたしました2.4よりは低くなるわけですが、1.9ということで、残事業としても同様ですけれども、1.0以上の数値としては算定されるという状況です。
 最後、20ページですが、私ども、具体の算定手法として大きな誤りはないとは認識しているわけですが、ただし、一部御指摘のような疑念を持たれるような表現があるということも事実ですので、今後、こういったアンケートを行う際には、環境整備事業に関するものであるということを明確化するとともに、最後、「今後の対応」で書いておりますように、便益の重複等の指摘がされないよう十分留意して作成するようにということで、私どもの出先機関をしっかりと指導し、文書、会議等で周知徹底をしたい、そのように考えております。
 説明は以上でございます。

【金本分科会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見ございましたら、お願いいたします。

【吉野委員】 御説明ありがとうございました。少し違った観点からなのですけれども、不法係留船を取り締まるのに、何らかの取り締まりが適正であって、そちらを行った方がよほど安くできるのではないかと思うのですが。それがないからこういうことが起こっているのだと思うのですね。
 それから、洪水で橋梁が破損したら、それは損害賠償請求できるのではないでしょうか。そういう形で、何億円かかかったら、不法係留のところに置いていた方々に損害賠償してもらうと。全国でこういうことをやり出したらものすごいコストがかかり、それよりは、きちんと規制と取り締まりをして、罰則を強化し、罰則の強化が弱いのであれば、もっと高い罰金を取ると。そういうほうが全体の政策として安くなるのではないかと思うのですが。

【森岡流域治水室長】 今、私どもが問題にしておりますのは、現にこういった不法係留のプレジャーボートがたくさんあり、河川管理上、非常に問題が大きいということを踏まえて、一方で、規制強化をやることはもちろんですけれども、ただ単に撤去するだけではなくて、やはりプレジャーボートを利用し、あるいは、それでもって水に親しみたいという方もたくさんおられますので、そういった方々が適正に水に親しんでいただけるようにお手伝いをするということも河川事業の役割の1つではないかと考えております。そういう意味で、広島市と協働事業として、こういったマリーナの整備を実施しているということです。
 それから、橋にぶつかって橋が壊れるという話がですが、今回、便益として計上しておりますのは、橋にぶつかって橋が壊れることではなくて、橋にぶつかりまして、それによって川の水位がさらに上がってしまう、せき上げについてであります。川の水位がさらに上がってしまった結果、洪水がはんらんした場合に、さらに浸水面積が広がったり、あるいは浸水の深さが深くなったりということで悪影響がございますので、その悪影響で増えた分について、不法係留船撤去による便益だと考えたということです。

【吉野委員】 そうなのですが、やはり河川局だけでできないのであれば、同じ国ですから、それはお答えがちょっとよくないのではないかと思うのですが。それは正に日本の縦割りの一番批判されているところではないかと思うのですが。

【森岡流域治水室長】 御指摘を踏まえて、関係する部署とよく連携をとって、今後、話し合いを進めていきたいと考えております。

【高木委員】 吉野委員からの御意見があったので、一言だけ。
 東京都が前川リポートに乗ってというと、あまり適切ではないのですが、河川におけるマリーナといいますか、係留設備をつくって、その結果、バブルの崩壊の影響もあったのですが、不法係留船がかなり増加したという実績もありますので、今回、こういう形でのマリーナの整備が、かえって不法係留といいますか、ボートの遊びの方を増やして、結果的に不法係留を増やすのではないかという懸念を持っているということだけ、1つお伝えしておきたいと思います。

【森岡流域治水室長】 そういったことにならないように、地元の広島市等とよく連携をとって、対策を行っていきたいと考えております。

【金本分科会長】 そのほか。

【谷藤委員】 この前提になっておりますような、例えば、プレジャーボートの係留の実態と言われるようなものについては、数量的な把握と言われるようなものや、最近の動向についてはとっていたのでしょうか。

【森岡流域治水室長】 担当ではございませんが、別の担当部署において、関係機関と連携した会合等を持っていたと記憶しております。そこで、全国的な実態等、ある程度把握をしていたと思います。

【金本分科会長】 よろしゅうございますか。

【立花委員】 今、何人かの方から御指摘のあった縦割りの問題ですが、例えば、プレジャーボートを不法撤去する。そうすると、ごみ処理等の関係も出てきますし、下手にこれを燃やすと環境への悪影響が出てくるということで、実際の現場では、単に河川局の問題だけでなく、実際ぶつかっているところでは総合的にやっていかざるを得ないということで、その辺のところの連携が僕らには見えません。どういうように対応していかれるのかということで、河川局は河川局でいかにしてマリーナを整備するかという観点ですけれども、やはりそれが横に広がりを持っていくところで、どのように問題が解決されていくのかというところが見えないと、この事業の、本当にこれが政策的に妥当なのかどうなのか評価できないのですが。その辺のところが、この資料だけからは見えません。

【森岡流域治水室長】 今回、河川の環境整備事業の費用対効果に特化した資料になっておりますので、10ページを御覧いただきますと、広島の太田川全体としてどのような係留施設を計画的につくって対応するかという全体表がございます。こういった関係機関が現地では話し合いまして、河川でこの程度整備しましょうという合意がなされて、これまでいろいろな整備がなされてきていると私ども認識をしております。御指摘を踏まえまして、縦割り行政という批判を受けないようさらに努めたいと考えております。

【金本分科会長】 その辺はしっかりやっていただきたいと思いますが、今回、評価のところだけ切り出してありますので、これだけで責めるのは若干酷な面もございます。
 よろしゅうございますか。
 それでは、御説明、大変ありがとうございました。
 次も国土交通省の案件でございますが、事業がかわりまして、熱海港海岸海岸環境整備事業事業評価についてということで、国土交通省の担当の方から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【小野海岸・防災課長】 国土交通省の港湾局の海岸・防災課長をしております小野と申します。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料でございますけれども、まず、どういう事業なのかを簡単に御説明申し上げております。
 1ページにございますのは、今回のプロジェクトは熱海港海岸の整備のプロジェクトということで、渚地区と多賀地区という、この両地区に分かれてございます。渚地区というのは、いわゆる熱海の海岸でございまして、多賀地区というのは、その南側に位置する、どちらかというと、ペンション生活者とか地元の市民の方が使われるような海岸でございます。そこに、こういう人工ビーチをつくっているというプロジェクトでございます。
 2ページ目に、事業の概要がございます。どちらも、今、整備中でございますが、このように離岸堤とか、それから、突堤を出しまして中に砂を封じ込める。背後に、海岸利用者が利用できるような植栽等を施すということでございまして、海水客などの利用にも供することができるということでございます。
 3ページ目は渚地区の写真でございまして、このような、観光地にふさわしいような景観を形成しております。
 4ページ目は多賀地区でございます。こちらは、どちらかというとこのような、絵にございますように、正に大きくなった砂浜で市民の方に遊んでいただくというような場でございます。
 5ページでございますが、費用対効果分析とタイトルを打ってございますけれども、海岸事業の費用便益分析指針に基づいて費用対効果分析を実施しておりますが、ここに便益を載せてございます。
 それで、大きく2種類でございますけれども、全体で3種類の便益を算出しているということでございまして、海岸利用便益はTCMとCVMを使いまして、海岸への外からの来訪者についてはTCMで、周辺の市民ができ上がった人工ビーチをどう評価するかということにつきましてはCVMを使っているというようなことでございます。
 それに加えまして、多賀地区につきましては、渋滞解消便益と。熱海から伊豆のほうに車で走られた方はお分かりになると思いますけれども、非常に狭い道路でございまして、そこに海岸がくっついておりますものですから、海岸の整備によって駐車場等をつくりますと、渋滞緩和が期待されまして、そのような便益を出したのが多賀地区でございます。
 6ページでございますけれども、CVMについて今回御指摘をいただいておりますものですから、多賀地区のCVMアンケートについての調査方法の説明でございます。
 先ほど申しましたように、多賀地区は熱海の中心市街地から10キロほど南に位置しております。この地区におきましては、全世帯5,370世帯ございまして、その中から500世帯を抽出し、そこに対するアンケート調査票を配布し、回収したということでございまして、500世帯のうち201世帯から回答があったということでございます。
 アンケートのとり方でございますけれども、その中で、支払意思額を推計したということでございますが、二段階二項選択方式でございまして、まず1万円でいかがかというクエスチョンの後に、2万円もしくは5千円、このような支払意思を確認したというものでございます。
 その結果、支払意思額を、これは平均値でございますけれども、1世帯6,559円と推定したというのがこのCVMアンケートのポイントでございます。
 7ページでございますけれども、これは政策評価分科会に既にご提出いただいているものでございますけれども、主な疑問点といたしまして、渚地区では支払意思額を596円/世帯で計算しているのではないかということでございます。これは平均値ではございません。次に出てまいりますけれども、渚地区の支払意思額を出したときに、10段階に分けまして、200円から3万円と非常に広い範囲でやっているわけでございますけれども、実はそれを参考にしたわけですが、多賀地区では、5千円、1万円、2万円という設定だったものですから、これによるバイアス発生ではないかというような御指摘でございます。
 それから、その結果、多賀地区の支払意思額が非常に高額として誘導されたのではないかというような御指摘でございます。私どもといたしましては、現地の事業者と相談いたしまして、どういうふうなことをやっているのかチェックいたしまして、200円から3万円という幅で設定されていた渚地区のアンケートを念頭に置いて、少し簡単にやったというのはございますけれども、それを参考にしながら、1万円を初期の提示額とし、5千円、1万円、2万円の3段階を提示額としたということでございます。
 渚地区の支払意思額というのは中央値でございまして、多賀地区の支払意思額6,559円とは、これは平均値でございますので、単純比較はなかなか難しいということで御回答申し上げているわけでございます。
 8ページでございますが、今申し上げたことを絵解きにしてございます。渚地区の場合、金額提示範囲の中でたくさんの提示額を出しておりますものですから、中央値はこのように596円になってございますが、国交省の港湾局のほうで平均値を計算いたしましたところ約6千円であったという事実がございます。
 多賀地区の方ですが、この分布形でございますと、中央値は約4千円でございまして、そういう意味では、渚地区の中央値と相当違うという感じでございます。実際に事業評価に使われたのは平均値の6,559円であります。
 B/Cの検証でございますけれども、やはりポイントは、中央値を使うのか平均値を使うのかと、1つのプロジェクトの中で、片方では中央値を使い片方では平均値を使ったということで、非常に不整合が出ているというのは確かだと思うわけでございます。
 仮に、多賀地区で、渚地区でやったような支払意思額、中央値を使った場合どうなるかということでございますけれども、多賀地区の便益が180億から176億に下がるということでございます。ここは雑ぱくなペーパーになっておりますので、恐縮でございますけれども、5ページにもう一度戻っていただきますと、多賀地区76億円というのは海岸利用便益でございましたが、このうちの71億円がTCMでございまして、ほとんどは外からの来訪者で説明されてございます。CVMは約5億円でございます。そういったことでございまして、仮に多賀地区のCVMを非常に安全サイドで、中央値を使った場合に大きく便益は落ちるはずなのですけれども、全体としては176億円に落ちたということでございます。
 この結果、熱海港海岸全体の便益は831億円から827億円に下がるということでございまして、下の黄色の囲みにございますように、B/Cが3.93から3.91に下がるということでございます。そういう意味では、CVMを使ったときに少し乱暴なやり方をしたという事実はあると思いますが、全体のB/Cにはこの程度の影響ということでございます。
 このようなことから、私ども、若干やり方が乱暴ではないかという反省がございますので、10ページにございますように、渚地区を念頭に置いて多賀地区のアンケートを行ったわけですから、渚地区と同等の金額の提示段階数をすべきだったのではないかという点はあると思います。
 そのようなことが今後起こらないように、そういった点について十分注意を喚起するということで対処しなければと思うわけでございます。
 以上でございます。

【金本分科会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。

【吉野委員】 8ページのところに、今の御説明で、中央値か平均値かなのですけれども、いずれをとるにしても、あまりにも渚地区と多賀地区と金額が違うのですが、これは渚地区の方が所得の低い人が多いからこういう結果になったのですか。これが、本当に同じような調査で、同じような地域でこれぐらいの差が出て、なぜこのように出たとお考えでしょうか。それが第1点です。平均値、中央値、どちらでも結構ですけれども、こんなに違う理由が本当に妥当なのかどうかということです。
 2番目は、いろいろなところの総事業費なのですが、これ、国費でやられる事業ですか。

【小野海岸・防災課長】 これは補助事業でございますので、全額国費ではございません。

【吉野委員】 半分ずつですか。

【小野海岸・防災課長】 国費が3分の1です。

【吉野委員】 3分の1は国費で、あとは地方の支出になるわけですね。

【小野海岸・防災課長】 そうです。

【吉野委員】 そうすると、そのときに211億円かかって、ただ、国債などどういう形で発行するかによるのですが、金利がずっとつくはずですよね。そういうところまでは別に、このCVMでは考えなくてよいのでしょうか。その2点です。

【小野海岸・防災課長】 この差が妥当なのかということにつきましては、私ども考えておりますのは、基本的にこれはB/CのBに使うものでございますので、平均値で評価すべきと思ってございます。その地区の住民の方たちが平均的にどうお考えなのかということと、それから、実際のB/Cの算定に使うのでは少しものが違うと思っておりまして、渚地区では中央値を使ったのですけれども、平均値を使うべきと認識しておりまして、そういう意味では、結果的に両平均値はそれほど大きな差はないと思っております。
 ただ、同じ事業の両地区で使い分けたということは少しまずかったかなと思ってございます。そういう意味では、その辺については今後しっかり気をつけるということがポイントであると思うわけでございます。
 それから、211億円なのですが、コメントがなく乱暴な表記でまことに恐縮でございますが、これは、既に現在価値に割り引いた後の額でございます。実際に200億円かかりますからというアンケートではなく、もし仮に税金を使うとすると、1世帯当たり、税金が年間1万円増加するということになるのですが、それでよろしいでしょうかと聞いておりまして、それで、イエス、構わないと答えた方には、それが2万円になった場合、いかがでございましょうか。実はこういうふうなアンケートになってございます。お答えになりましたでしょうか。

【吉野委員】 割引現在価値で考えているのですか。

【小野海岸・防災課長】 211億円は、既に割り引いた後の値でございます。

【金本分科会長】 大体4%割り引くように、全部、今、なっていると思います。

【吉野委員】 そうですか。

【谷藤委員】 平均値、中央値をどうとるかということと合わせて、やはり最初の初期提示金額を200円から3万円ということにしたということと、2段階方式でもって、1万円としてやったという、これのアンケートのとり方、そこが同じような事業で全く違うとり方をしていることのほうが、データのとり方としては少し問題があるような感じがしてならないのですね。
 そうすると、1つの同じ事業で基準値がどんどん変わってくる可能性があるということ。そうなると、正にB/CのBの評価と言われるものにかなり大きな波動が出てくるような感じがしてならないのです。

【小野海岸・防災課長】 今の御指摘のような部分があるので、私どもとしては、そこは非常に気をつけてやるべきだと反省してございます。
 ただ、この両地区、少し特性も違うと思ってございまして、渚地区は、いわゆる熱海の海岸なのでございます。そうすると、ここについてCVMで評価する方、地元住民の方たちも、商店主でありますとか、地元でずっと生活していらっしゃる方だと思うのですが、多賀地区に来ますと、別荘地としてフルシーズン住んでない人もいたりするもので、若干属性も違うものですから、そういう意味でも、外形的にやり方をしっかり合わせるべきだったと思ってございますので、そこはしっかり気をつけたいと思います。

【金本分科会長】 あと、中央値か平均値かという話ですが、これ、CVMについては特殊な事情がございまして、大体アンケートをとると、大きいほうに、少数ですが非常に大きな値が出てくる傾向が大々的に見受けられて、それを真に受けると過大評価になりがちだということがかなり常識的に言われております。
 したがいまして、平均値をそのまま使うというのは、かなりリスクがあるというか、まずいかもしれないということがありますので、そういったところをどうするかと、なかなか難しいところですが、御検討をいただく必要があると思います。

【小野海岸・防災課長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりでございまして、そういう意味では、これは通常のように、聞いた上限で足切りをしておりますけれども、そこをあまり高くすると非常に高いものが入ってくるので、その点も気をつけたいと思います。

【金本分科会長】 そのほか、ございますか。よろしゅうございますか。
 では、国土交通省の皆様、ありがとうございました。

【小野海岸・防災課長】 どうもありがとうございました。

(国土交通省 退室)

【金本分科会長】 手続的には、この4件については、総務省で評価実施の必要性の認定に関しまして、その要否の処理方針を分科会に報告するといった仕組みになっております。したがいまして、総務省ではいかがお考えかということを聞かなければいけないということでしたが、よろしくお願いいたします。

【新井調査官】 事務局から御説明させていただきます。
 本年度の内容点検活動につきましては、この3月に基本的に改善が示されたものにつきましては、既に各省に改善通知を行ったわけですけれども、この4件、継続して審議ということで、本日、このような分科会におけますヒアリングということでお願いいたしまして、ありがとうございました。
 これに向けまして、各省それぞれ、3月の時点から一定の改善ということは取り組んでいただいたかなとは思っておりまして、本日、いろいろ出されました資料の公表、データの外部検証の確保といった点につきましては、今後、事務局におきまして、各省と最終的に相談をしつつ対応してまいりたいとは思っております。
 一方、内容面につきましては、分科会、ヒアリングということを想定しました各省の一定の改善ということはされたかなと認識しておりますので、これをきちっと確保するという意味で、今後、改善に向けた通知ということを進めてまいりたい、かように考えております。

【金本分科会長】 ということのようですが、この委員会はそういったことについて意見を言うという建てつけになっておりますので、委員の方々の御意見をお願いしたいと思います。

【吉野委員】 たびたび。先ほどのプレジャーボートなんかの事例を見ていますと、まさに縦割りの悪いケースで、ここはプレジャーボートがあって、それは困るんだからどうしようというので、ものすごいコストをかけて、一生懸命やられているわけですけど、その取り締まりをやるんだったら、これ、どこなんですか、警察庁なんですか、それとも海上保安庁になるんでしょうか。そういう横の連携が全然できてないために、まさにそういうのは将来的に政策評価としてやっていただいて、おそらくこういう事例というのは昔はなかったわけですから、新しいプレジャーボートの時代になってきて問題が起こってきたんだと思うんですけれども、是非そういうところも進めていただければと思います。

【金本分科会長】 この件はちゃんと知りませんが、多分、連携はとっているんだと思います。それなりに話はしているんだとは思います。取締当局のほうは、金がないので何とかといったことを言っているかもしれません。

【新井調査官】 今回は、特にCVMの出し方ということで着目してやりましたけれども、まさに、本日、御指摘いただいた点も踏まえて、連携というものも、さまざまな活動の中でとらえて考えていきたいと思っております。

【関行政評価局長】 同じ国土交通省ですから、もうちょっとやってほしいという感じはしますけど、前は建設省と運輸省と分かれておったんですけれども。

【谷藤委員】 それから、1つありまして、ここ、こんなにCVMが多用されているということを改めて実感したわけです。そうすると、CVMと言われるものをどういうふうに利用していくかということについての基本的な考え方と言われるようなものは、これは総務省がきちっと示されていったほうが私はよいと思います。それが便益算定の形で非常に、政策の正当化のために使われているような感じがしてならないものですから、そこの使用の原則みたいなものをお示しになったらいかがでしょう。

【森泉委員】 私も、それと同じような意見です。CVMのもう少し技術的なことを、やはり総務省が定義したほうがよいのではないでしょうか。例えば、先ほどの中央値と平均値があれほど違うというときには、普通、統計学では異常値が発生しているとみなし、異常値は除きます。集めた500サンプルを全部使っているのではないでしょうか。

【金本分科会長】 ちらっと、異常値は切っていると言っていましたけども。

【森泉委員】 そうですか。

【金本分科会長】 それでも、この上のところの数字って、ちょっと常識的には……。

【森泉委員】 クリーニングしたデータセットを使っているのではなくて、虫食いでも何でも、500しかないからというので使っているのではないでしょうか。そのようなことも含めて、もう少し技術的なもの、マニュアルとまではいかなくても、そのようなものを総務省がきちっと出すとよいのではないかと思います。

【新井調査官】 今回、3月来、内部点検をやってまいりまして、CVM手法はある程度多く問題点が見られたということで、3月の時点でも共通して見られる課題というのは一定整理いたしましたけれども、引き続き、確かにいろいろ出ました。課題点、まだまだございますので、内部点検していく中で、共通課題というところを拾っていく中で、そういった整理もきちっとしていきたいと引き続き思っております。

【中泉委員】 今まで委員の先生がおっしゃった意見の追加なんですけれども、前回、田辺委員もおっしゃっていましたように、原則、CVMを極力避けることとし、CVMでしかできないことがあれば例外的に認めるという方向を、実際そこまで限定できるかどうかは難しいかもしれませんが、できればその原則が適用できないか検討していただければと思います。

【金本分科会長】 ほか、よろしゅうございますか。
 じゃあ、今回の案件についてということではない意見も多いんですが、そういったことも今後の対応に参考にしていただいて、この4件については、今、新井調査官から言われた方向でやっていただくということに異論はなかったのかなという感じはいたします。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題でございますが、「平成20年度政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告(案)」について事務局から御説明をお願いいたします。

【松林政策評価官】 毎年度、政策評価法に基づきまして、国会に報告を、政策評価の実施状況につきまして報告をするというものでございます。昨年度の報告書から、いろいろ見やすいように工夫を加えております。例えば、政策評価制度の概要を最初に持ってきて、一般の国民の方にもわかりやすく編集をしたり、あるいは、表が羅列してありましたので、その表から読み取れるポイントをその前に整理いたしました。
 閣議付議は5月22日に予定しております。
 内容に移りまして、政策評価の件数でございますが、20年度の場合は7,088件。昨年度と比べて3,400件弱の増加になっております。国土交通省が自主的に実施している公共事業の再々評価の関係で大幅に増加をしております。
 それから、一般政策につきましては、概算要求に合わせて、各府省から政策評価書の提出がなされておりまして、各府省は予算要求に当たり、その評価結果をすべて反映するということになっております。政策の内容に、何らかの変更を加えたものの割合は38.6%でありました。
 また、マスコミによく取り上げられます公共事業の再評価に係る休止、中止の件数でありますけれども、合計22事業、計2,816億円ということでございます。これは、政策評価法の施行から7年たちまして、累計でいきますと227事業、約3.9兆円の休止または中止ということになってございます。
 次に、20年度におけるトピックについて紹介させていただきます。政策評価の重要対象分野でございますが、19年度は少子化対策と若年者雇用対策について評価が実施され、現在、地震対策と医師確保について評価が実施されております。
 規制の事前評価につきましては、導入から1年半たちまして、いろいろな一般的な課題を指摘いたしました。それから、この規制の事前評価につきましては、今年度から個別の評価書につきましても、総務省においてチェックを行っていく予定です。
 各府省の取組についても若干紹介させていただいておりまして、例えば、文部科学省で、法律上義務づけられてはおりませんけれども、特定扶養控除の拡充等について、税制に関する事前評価を試験的に導入している取組。それから、国家公安委員会・警察庁の評価におきまして、数値化を向上させた例や、総務省において、総合評価の活用等、評価方式の見直しを積極的に実施したという例を取り上げています。
 また、統一性・総合性を確保するための評価。それから、客観性・厳格性担保評価について、記述しております。
 以上、駆け足で恐縮でございますが、ご紹介でございました。

【金本分科会長】 どうもありがとうございます。
 それでは、御質問とかありましたら。

【高木委員】 本日御紹介いただいた税制に関する事前評価、文科省の話ですけれども、あの文科省がというところで私も非常に驚いたんですけれども、かねがね税の、特に租税特別措置関係とその効果というところについては評価されるべきではないかという考え方を持っておりますんですけれども、例えば、具体的に、減税になるような租税特別措置とそれの効果というものは、文科省がこういうふうな形で、事前ということで出しましたけれども、事前事後のところを明示していただくということが私は望ましいのではないかなと思っておりまして、総務省とされて、その辺、うまくいくような施策といいますか、仕掛けをしていただくとよろしいのではないかなという提案ということでは1つございます。
 それから、短い時間で言うにはあまりふさわしくない内容ですけれども、政策評価自体の評価を改めて、もうこのぐらいの時点でやってみるのはいかがかなと思っております。こういう話を4年ぐらい前にも申し上げたことがございますが、年数も、制度が平成10年に始まって8年が経過するというところでありますし、政策評価法、当初のところでは、附則のところで、施行後3年たったら見直しという条項が入っておりましたけれども、その結果、平成17年ですか、見直しということで、ガイドラインの見直しが行われたということを記憶しておりますけれども、それからまた3年たつというタイミングでもありまして、何らかの見直しの要否の検討も必要であろうと思いますので、その辺の検討という意味でもと思いますし、先だっても、ある有名な方が、別にその方が思っていらっしゃるというのではなくて、ペーパーだけが積み重ねられている政策評価という、世間に少なからず言われているような言い方を用いてお話しされていましたけれども、政策評価、私はそれなりの成果を着実に上げつつあるとは思っておるんですけれども、ここらの時点で、また総括的なことをそろそろやったほうがよろしいのではないかなと思いますので、その辺の御検討をお願いできたらという提案でございます。
 以上でございます。

【金本分科会長】 ありがとうございました。
 これについて議論を始めると、時間がありませんので、とりあえず聞いておいていただくということでお願いしたいと思います。
 そのほか、ございますでしょうか。

【中泉委員】 規制の事前評価についてなんですけれども、現状でも、着実に行っている点は非常に評価させていただきます。ただ、事前評価の設計のときの検討でも議論になったんですが、どこまでを規制の事前評価の対象にするかということで、現在、確か政令までということになっていると思います。
 やはり経済に与えるインパクトが大きいものをできるだけ評価したいというのが基本だと思うんですが、例えば、省令でも、かなり大きなインパクトがあるにもかかわらず、省令のためにこういった評価をしないという部分もあると思います。
一部の医薬品のネット販売を規制する、禁止する規制につきまして、社会的な影響は極めて大きいにもかかわらず、省令ということだけで、こういう評価の枠組みに入ってないということが問題ではないかと思います。
 やはり社会的に重要なものはできるだけ評価していくというのが原則だと思いますので、事前評価を行う範囲につきまして、その点を考慮して再検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。

【金本分科会長】 これについても議論を始めると収拾がつきませんので、お聞きいただくということにさせていただきたいと思います。
 最後に、事務局から連絡事項がございます。

【松林政策評価官】 お手元にお配りさせていただいている横長の資料2というものでございますが、先日、御審議いただきました重要対象分野の評価設計案に関する分科会としての意見の取りまとめでございます。分科会長とも御相談をさせていただきまして、このような形で関係府省に通知をいたしております。御参照いただければと思います。
 次回の分科会の日程につきましては、また調整の上、追って御連絡申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

【金本分科会長】 それでは、これで本日の政策評価分科会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

ページトップへ戻る

政策評価・独立行政法人評価委員会
サイドナビここから
サイドナビここまで