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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(7月29日開催)議事録

日時

平成21年7月29日(水)13時30分から15時40分

場所

中央合同庁舎第2号館11階 第3特別会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、黒田玲子委員、森泉陽子委員
浅羽隆史、阿曽沼元博、稲継裕昭、梅里良正、岡本義朗、河村小百合、黒川行治、黒田壽二、鈴木豊、高木佳子、田渕雪子、野口貴公美、宮本幸始、山本清の各臨時委員
(総務省)
田中順一行政評価局長、江澤岸生官房審議官、讃岐建行政評価局総務課長、横山均評価監視官、菅原希評価監視官、細川則明調査官、平野誠調査官、高橋慎弥調査官

議題

  1. 役員の退職金に係る業績勘案率について
  2. 平成21年度の事務・事業の見直しについて
  3. 報告事項

配布資料

会議経過

【富田分科会長】  それでは時間になりましたので、ただ今から政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、「役員の退職金に係る業績勘案率について」、そして「平成21年度の事務・事業の見直しについて」の審議を行いますけれども、その審議に入ります前に、事務局に人事異動がありましたので、その紹介をお願いいたします。

【菅原評価監視官】  7月に人事異動が事務局の方でございましたので、その御紹介を申し上げます。
 まず、局長の関が退任いたしまして、その後任に総務省の官房長でありました田中が着任をいたしました。
 次に、審議官の渡会が内閣府の情報公開・個人情報保護審査会事務局長に転任いたしまして、その後任に行政改革推進本部事務局次長でありました江澤が着任をいたしております。

【江澤審議官】  江澤です。どうぞよろしくお願いします。

【菅原評価監視官】  それから総務課長の新井が内閣府の公益認定等委員会事務局次長に転任いたしまして、その後任に行政相談課長でありました讃岐が着任をいたしております。

【讃岐総務課長】  よろしくお願いします。

【菅原評価監視官】  それから独立行政法人第1担当の評価監視官の白岩が行政相談課長に転任いたしまして、その後任に公害等調整委員会事務局総務課長でありました横山が着任いたしております。

【横山評価監視官】  横山です。よろしくお願いします。

【菅原評価監視官】  以上でございます。

【富田分科会長】  それでは、新任の皆さんを代表いたしまして、新局長より一言ごあいさつをいただきます。

【田中行政評価局長】  ありがとうございます。この7月の人事で、総務省の官房長から、こちらの行政評価局長に着任をいたしました田中でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 先生方にはこれまで、独法の見直しや年度評価におきまして、誠に大きな成果を出していただいております。この点、日ごろの御活動に対しまして深く敬意を表しますとともに、感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 御案内のとおり、世の中選挙一色になってまいりまして、マニフェストの中にも独法の字が躍っております。また、いろいろなプレ選挙戦での政策論議を聞いても、独法の御議論がされております。私どもは、国民からこの独法に対して注がれる視線は非常に厳しいというふうに認識をいたしております。したがいまして、先生方、この独法に対する評価の信頼性を向上させて、また独法の業務や経営の質を高めるために、何とぞ引き続きよろしく御尽力を賜りたいと強く念じております。私ども新体制で、事務局といたしましても当委員会のサポートを精一杯務めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしく御指導いただきますよう、お願い申し上げます。
 ありがとうございました。

【富田分科会長】  よろしくお願いいたします。
 それでは、審議に入ります。初めに、役員の退職金に係る業績勘案率につきまして、事務局より説明していただきます。

【細川調査官】  それでは、役員退職金に係る業績勘案率につきまして、御説明させていただきます。
 業績勘案率資料の1−1というのを御覧いただきたいと思います。今回、御審議いただく業績勘案率(案)でございますが、資料のその総括表にございますとおり、5法人の7人でございます。この7人のうち、一番上の日本万国博覧会記念機構の理事お1人、それから下の方、水資源機構の理事お2人のうちのお1人が0.9ということでございまして、他の5人につきましては、業績勘案率は1.0となっております。
 なお、現在検討中のものとして、2法人の役員3人の案件がございます。こちらにつきましては、ワーキングでの御検討を踏まえまして、先方に事務的な申し入れを行っており、それぞれ所管省の独法評価委員会において現在検討中でございます。
 それでは、資料を1枚おめくりいただきたいと思います。資料1−2というものでございます。今回、御審議していただきます案件につきまして、まず、日本万国博覧会記念機構、万博機構の理事の業績勘案率から御説明させていただきます。
 当該理事は、在任期間が、御覧のとおり平成17年10月から20年の8月まででございまして、この間に事業部の担当、それから総務部の担当理事をそれぞれ歴任しております。業績勘案率につきましては0.9で通知されておりますが、ざっとこれまでの経緯を御説明させていただきますと、財務省の独法評価委員会からは、昨年12月に業績勘案率を1.0とする内容で通知をいただきました。
 しかしながら、当該理事が総務部の担当であった平成19年の5月に、万博機構が運営いたします万博記念公園の一部でございますが、遊園地がございます。エキスポランドという施設でございますが、そのジェットコースターにおきまして、痛ましい死傷事故が発生し、この死傷事故によりまして、その後遊園地は閉園に追い込まれるという事態が生じております。
 このような事態を踏まえまして、担当のワーキングにおきましては、昨年12月以降慎重に議論を重ねましたが、1.0という数値は、法人等の業績が良好かつ適正で何ら問題がなかった場合に当てはまる数値でございますので、業績勘案率を1.0といたしまして、退職金を十全に支給することはできないのではないかということから、財務省に対しまして、事務局から申し入れを行ってまいりました。
 その結果、この度財務省の独法評価委員会におきまして、死傷事故を重くみるということで、業績勘案率を0.9とする内容で政独委に対する通知を再提出いただきました。決定に至った事由の説明でございますが、財務省の独法評価委員会におきましては、死傷事故という重大な事故が発生したこと、それから当該理事本人から、病気休暇があったとして退職金の一部自主返納の申し出もあったということにつきましても勘案した結果ということで、0.9という業績勘案率ということでございます。
 この通知に対します政独委の意見案でございますが、資料1−2の後段、2の政独委の意見案のところでございますが、(案)といたしましては「意見なし」としております。財務省の独法評価委員会から通知されました0.9の業績勘案率につきましては、死傷事故が発生し、その後遊園地が閉園となったという事実を踏まえて、当分科会の業績勘案率に関する方針、勘案手順に照らしてみました結果、妥当な率、数値であるということでございます。万博機構の理事につきましては、「意見なし」という案とさせていただきたいということでございます。
 万博機構の理事の業績勘案率につきましては、以上でございます。
 続きまして、資料番号が少し飛んで恐縮でございますが、先に農林水産省所管の水産総合研究センターの理事及び監事の業績勘案率につきまして、御説明させていただきたいと思います。資料1−4を御覧ください。
 この水産総合研究センターでございますが、水産に関する技術の向上に寄与するための試験及び研究などを行っておりまして、当該理事の方につきましては、研究開発の推進などを担当する企画担当ということでございます。当該理事及び監事の業績勘案率につきましては、担当のワーキングにおきまして御検討いただきましたところ、法人等の業績及び個人の業績のいずれにつきましても、当分科会の業績勘案率に関する方針、それから勘案手順に照らしまして、特に加算すべきような業績も、また他方で減算すべきような要因もないということでございます。したがいまして、政独委の意見案としましては、資料にございますとおり、「意見なし」とする案とさせていただいております。
 水産総合研究センターの理事及び監事の業績勘案率につきましては、以上でございます。

【平野調査官】  続きまして、業績勘案率資料1−3を御覧ください。厚生労働省所管の勤労者退職金共済機構の理事長代理と、雇用・能力開発機構の監事の業績勘案率につきまして御説明させていただきます。
 厚生労働省評価委員会から通知された業績勘案率(案)は、いずれも1.0となっております。ワーキング・グループにおいては、2人の業績勘案率について、2回にわたり御審議いただいております。
 最初に、雇用・能力開発機構の監事から御説明させていただきます。監事の在職期間中の法人の業績は、厚生労働大臣から指示された中期目標等についてはおおむね達成しており、業績自体は良好であると考えられました。また、監事個人の業績につきましても、特段の減算要因や加算要因もありませんので、通常であれば、通知された業績勘案率案1.0について、「意見なし」とするところではあります。
 しかしながら、機構の業績につきまして、機構が平成20年12月の閣議決定「雇用・能力開発機構の廃止について」において、機構自体の廃止や業務の移管、費用対効果の面で強い批判を受けた「私のしごと館」の廃止などが決定されたことを踏まえれば、同機構の業績は必ずしも良好であったとは言えないのではないか。今回、閣議決定によって廃止することとされた機構の役員の業績勘案率1.0について「意見なし」とすることについては、国民の目線、視点から見ると違和感があるとの議論がワーキング・グループにおいてありました。
 このような違和感について、ワーキング・グループにおいては、まず、政独委として、雇用・能力開発機構の監事の業績勘案率について1.0とすることについては、あくまで現行制度や中期目標の達成状況を勘案して、異議なしとするものであることを明確にしてはどうか。また、機構自体が廃止に至った最大の要因である私のしごと館や、かつてのスパウザ小田原などの大型福祉施設などは、機構自身が設置を決めたものではないことなどから、必ずしも機構の業務運営のまずさが原因で機構自体が廃止になったものではなく、機構自体の廃止を直ちに機構の役員などの責任に帰することについては困難な面があるのではないか。
 また、その一方で、機構が中期目標等に沿って業務運営を行ったにもかかわらず廃止に至ったということは、厚生労働大臣の事務・事業の設計や、機構に指示した目標等の妥当性についても問題等があったのではないかと考えられることから、こうした点について、事務・事業の見直しや、目標策定の際に大臣に意見を述べる立場にある厚生労働省評価委員会に対して、こうした検討の際に厳格な検証をするように要請してはどうかという議論等がございました。
 次に、勤労者退職金共済機構の理事長代理についてですが、当該理事長代理は建設業退職金共済事業を担当しております。建設業退職金共済事業は、日雇いの建設労働者の退職金制度でございまして、建設会社や建設現場を転々と移動するという日雇い建設労働者の就労の特性から、共済手帳に就労実績に応じて共済証紙を貼付するという方法により掛け金が納付されており、共済手帳が2冊になれば退職金の受給資格が生じることとなっております。
 同共済事業においては、退職金の受給資格がありながら、長期間にわたり共済手帳を更新しない者が約41万人いることが、国会等で話題になりました。これにつきまして、この問題に対する法人等の取組み状況について、ワーキング・グループ等で確認したところ、法人自体は国会等で話題になる前から実態調査をするなど、長期未更新者対策に取り組んでいること、当該理事長代理も在職中に追跡調査の実施に取り組んでいることから、結果として1.0で異議なしということになりました。
 以上のことを踏まえまして、最終的には厚生労働省評価委員会に対する回答は、資料1−3の(案)のとおりとさせていただきたいと思います。
 続きまして、業績勘案率資料1−5を御覧ください。水資源機構の退職役員の業績勘案率です。水資源機構は、利根川水系等7水系において、水資源開発基本計画に基づきダムの建設・管理等を行っている法人でございます。この法人の用地部等担当理事とダム事業部等担当理事の2名の理事の業績勘案率について、お諮りいたします。
 今回、国土交通省評価委員会から通知された業績勘案率(案)は、用地部担当理事については0.9、ダム事業部担当理事については1.0となっております。今回の通知がある前に、国土交通省からは事前に、両理事とも1.0という案が示されて、今年の2月にワーキング・グループにおいて検討した際、減算要因と考えられる不適切事案があるにもかかわらず、不適切事案についての国土交通省評価委員会における審議が不十分であるとして、不適切事案について審議するよう、事務局を通じて国土交通省に伝えたところでございます。これを受けて、国土交通省評価委員会は5月に不適切事案を踏まえ業績勘案率について再度審議し、今回、その結果が通知されたものです。
 今回、退職役員の業績勘案率に関係するとされた不適切事案は2件ございました。いずれも岐阜県の木曽川水系の徳山ダム建設に係る案件でございます。
 最初の事案は平成16年10月に発生したもので、徳山ダム建設事業に係る土地取得等に関する不適切事案でございます。一言で言えば、既に用地補償が行われている土地について、地元の共有財産管理会からの要求に応じ、共同企業体からダム事務所の職員が1,500万円の協力金を受けとり、管理会に手渡したものでございます。これについては職員7名が処分を受けるとともに、理事長及び副理事長は給与を自主返納するとともに、理事長は国交大臣より文書厳重注意を受けております。
 次の事案は平成18年9月に発生したもので、同じく徳山ダム建設事業に係る、索道補償に関する不適切事案です。本件は補償対象外としていた索道について、担当職員が契約書の差し替えをするなどして移転補償契約を締結して、補償金の支払いが行われたものでございます。機構は補償金を受け取った者に対して、支払われた補償金の返還を求めております。これについては、理事長は包括的責任として文書厳重注意を受けております。それから職員、ダム事業部長と用地部長については監督責任として、文書厳重注意等を受けております。
 この不適切事案につきまして、国土交通省評価委員会、実際審議をやったのは水資源機構分科会でございますけれども、業績勘案率を減算する場合には、不適切事案と本人の職責との関係を厳密に判断する必要があり、理事の職責の範囲内の事案かどうかについては、一義的に水資源機構組織規程に基づき判断すべきものであり、2件の不適切事案は、いずれも用地部のみにかかわるものであることから、業績勘案率は用地部担当理事については0.9、ダム事業部担当理事につきましては1.0として、今回、当委員会に通知があったところでございます。
 しかしながら、2番目の事例、索道補償に関する不適切事案につきましては、平成18年10月に本社のダム事業部長と用地部長が、所管事業の監督者として適切な指導監督をしなかったことによる監督責任として、文書厳重注意を受けていることから、ダム事業部担当理事についても監督責任がないと言えないのではないかということが、ワーキングにおいて議論されたところです。
 この点について、国土交通省評価委員会では、機構組織規程に基づき判断すれば、ダム事業部担当理事に対し処分を行うことは不自然と思われ、その理由について機構に確認したところ、ダム事業を管轄するダム事業担当部長にも同様の処分を課すことにより、今後の職務上の改善・向上を図るために行ったものとの回答を受けましたが、仮にこの水資源の分科会が意見を求められれば、このダム事業部長を処分するということはなかったであろうと言っております。国土交通省評価委員会においても、最終的には水資源機構の組織規程に基づいて、用地部担当理事について0.9、ダム事業部担当理事については1.0と判断しているところでございます。
 ワーキング・グループにおいても、ダム事業部長が実際に処分されておりますので、実質的にはダム事業担当の理事も責任があるのではないかとの懸念はありますけれども、この判断を否定するほどの材料もないため、1.0に異議はないものの、ダム事業部長が処分されていることとの関係で疑問があるということは明らかにしておくべきとの考えから、資料1−5の案文を国土交通省評価委員会に対して返したいと考えております。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今の事務局からの説明がございました案につきまして、御審議をいただきたいと思います。どなたからでも御発言お願いいたします。
 いかがでしょうか。河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  河村でございますが、水資源機構の件について、確認をお願いしたいと思います。
 今、御説明があったとおりで、事実関係はややちょっと不可解なところもあるんですけれども、不適切事案があったと。それで、お2人の部長が機構の中で処分をされていると。にもかかわらず、それぞれの部長の上司の立場におありになる理事の方に対する判断が分かれると。
 ただ、部長の方に対して処分は行われているんだけれども、国交省の分科会でも検討されたところ、組織規程に照らすと、ダム事業部長の方というのは所掌事務ではなかったはずであるという話でして、ひとつ確認をお願いしたいんですが、この水資源機構のもともとの部長への処分がどうかということをこれ以上何か確認をするとかどうのということは事実上もう難しいとも思いますし、ただ、外見上判断すると、こうして部下の方、しかも部長という立場ですから極めて偉い方だと、責任のおありになる方だと思いますけれども、すぐ直属の部長が処分されているのに、この担当の役員の、この退職金に係る業績勘案率に影響がないというのは、ちょっとあまりない例かなという気もするんですが、過去にそういう例がおありになったことがあるのかどうかということを御確認お願いしたいと思います。

【富田分科会長】  事務局、いかがでしょうか。

【平野調査官】  担当役員の所掌業務に関して、当該業務についての不祥事等で部長等が処分されたケースで、担当役員の業績勘案率に影響しなかった、減算されなかったケースは今のところございません。ただし、担当職員が不祥事等で処分されているにもかかわらず、理事長の業績勘案率に影響しなかった、減算されなかったケースは一部ございます。

【富田分科会長】  よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  事務局に確認をさせていただきたいんですけれども、業績勘案率の数値の結果については意見がないけれども、それに関していろいろと申し上げたいことがあるという場合に、どのような処理をされるかということなんです。
 万博機構には0.9の方がいらっしゃって、0.9の結果については異論がないという、そのとおりなんですが、財務省の評価委員会から出てきた、なぜ0.9になったかという理由について、私は釈然としないところがあるということを申し上げたんです。そのときに、結果について0.9だからいいじゃないかという議論と、いや、そこに至る理由がどうも釈然としないということについて、どのようにこの政独委として考えていらっしゃるかということなんです。確認させていただきたいことは。
 今日どういう案が出てくるかなと見ていましたら、万博機構の理事の勘案率は、特段結果については意見がないということで、それ以上述べていない案文になっている。ところがもう一つの0.9について、あるいは0.9じゃなくても、いろいろ書かれている。その辺の違いはちょっと御説明いただかないと、私はまだ万博機構の理事の勘案率の算定理由について若干意見があるものですから、ちょっと確認をさせていただきたいと、そういう趣旨でございます。

【富田分科会長】  事務局、いかがでしょうか。案文の相違についての御発言ですけれども、これは、細川調査官。

【細川調査官】  岡本委員の御疑問、ワーキングでも結論について、数値についてはそこはよろしいと。ただ、それに至った経緯を考えますと、その理由等釈然としないものがあるという御指摘かと思いますけれども、今回、厚生労働省の関係、それから水資源機構の国土交通省の関係ということで、業績勘案率そのものの数値とは別に、疑義を挟んでいるということでございます。
 それにつきましては、それぞれの個別の案件ごとに、いろいろと御議論等を踏まえて判断させていただいているということでございますが、万博機構の業績勘案率について言いますと、確かに理由としては死傷事故を重くみたということでございます。そのほかに、財務省の評価委員会では病気休暇ということも理由として挙げているということでございますが、この件につきましては、その激務による病休ということでございますし、死傷事故とそれによる公園事業への影響ということが、まず、政独委ワーキングとしては一番重くみたのではないかと。そこが最大の問題であったということでございます。
 それで、激務による病休ということも理由の一つとなっておりますが、そのことにつきましては、今後、そのような案件がございます場合には、また個別に検討していかなければならないということがあるかと思いますけれども、死傷事故と、それから公園事業に関する重大な影響ということが最大の問題ということを勘案しますと、業績勘案率が0.9ということについては、異議を差し挟むというか異議を認めるものではないという結論とさせていただいたということでございます。
 それで、その辺の扱いについてということですが、確たる一定のということではなくて、個別の案件ごとにいろいろとやりとりを踏まえて御判断させていただいた。それから今後の業績勘案率の取り組みについてよりよくしていくために、つまり各省の評価委員会できちんと御判断していただくべきものをやっていただくという意味では、一言付言したほうがいいというものについては、そのように判断させていただいたという取り扱いと考えております。

【富田分科会長】  どうぞ。

【平野調査官】  まず、雇用・能力開発機構について意見をしたということなんですけれども、やはりこの雇用・能力開発機構というものは、閣議決定で廃止されたと。それから、国民の目線もすごく厳しいものがあると。これについては、やはり政独委としてもそのまま認めるのはどうかという問題提起がございました。
 それから水資源機構につきましても、国土交通省の評価委員会自体も、この部長の処分と今回の勘案率との関係は疑問があると。国土交通省の評価委員会自体もそういうことを認めている以上、政独委としてもそこははっきり書いたほうがいいんじゃないかという特殊な事情等があったから、そういうふうな記載になったということでございます。

【富田分科会長】  岡本委員、いかがですか。

【岡本臨時委員】  私としては、まず数値はもう了承したというふうに個人的には思っています。そこを言っているわけではなくて、例えばワーキングなんかで議論しなきゃいけないものは何かということで、多分数値の結果ではないと思うんです。その過程でどういうふうなことがあったかということについて、どこまでこういう場に出すべきものかどうかと。
 要するに、ここはオープンになっている中での議論ですから、そこでオープンにすべきものというのはやはり私は基本的に出すべきものだろうと思っています。そのときに、非常に微妙な問題というのがよく分からない。これははっきり申し上げますと、財務省の評価委員会がなぜ1.0というものを0.9に変えてきたのかというところが、意外とこちらの方には伝わっていなくて、そこが非常に議論すべきではないかと思っていましたということと、それから病気等々言われましたけれども、それは非常に最後の段階でついてきたような話ですから、我々が議論したわけではないわけです。ですから、そのようなことが大きな理由となっていることについて、私自身はちょっと釈然としないものがあるということを申し上げました。
 したがって、今、ここでああでもない、こうでもないということは毛頭ありませんので、今回、これで私はいいと思うんですけれども、その1.0、0.9はいいんですけれども、なぜそういうことに至ったかという経緯について、やはり主務省の評価委員会側とこの政独委の意見が違うのであれば、何がどこが違うかということを、もう少しオープンになるような場で、分かるようにしてほしいということを申し上げたいと思っております。ですから、もう、これで結構でございます。

【富田分科会長】  どうぞ、黒川委員。

【黒川臨時委員】  私は以前、財務省所管法人担当のワーキングの主査でございましたので、ここには視察にも行ったし、その後別のワーキングに移ったものですから、その後の経緯は分かりませんが、資料1−2の別紙の方の理由というのでしょうか、ここのところでちょっと教えていただきたいのです。最後の0.9の決定の事由で、確かに重大な事故が発生したこともあると、それから激務で無理されたと、それで一部返納の意向が示されたと、三つが書かれているのですけれども、「この意向を尊重し」という言葉が入ったために、三つの事由の中で御本人が返納したいという言葉を尊重して、当方としては0.9という原案どおり、というふうにこの文章だと読めるんです。
 要するに三つ原因を検討したのだけれども、最後の三つ目が決定的理由だと。それは、先ほど調査官から説明されたのは三つともあるとおっしゃったことと異なりこの文章から見ると、私はその経緯は分かりませんけれども、文章だけから見ると最後のこの御本人の意向を尊重しというふうになっているので、こちらとしては第1と第2については何も言っていないに等しいような印象を受けるように思うのです。
 そこで先ほどからお聞きしていると、そうではないのだということであれば、「この意向を尊重し」という言葉をとれば、三つの原因が並行して何となく総合勘案した結果として0.9になったふうに読めるので、そこだけ削除したらどうかなという、感想でございます。

【富田分科会長】  黒川委員、これは、財務省の評価委員会の決定理由を記載したものなので。

【黒川臨時委員】  すみません、財務省のものなのですか。

【富田分科会長】  これは読み方として、三つなのか二つなのかというのは、ちょっと独特の記述ですね。

【黒川臨時委員】  すみません。勘違いしました。そうすると、財務省は「この意向を尊重し」ということは、検討したけれども、御本人の意向を尊重して0.9にしたのだというふうに財務省は言っているということですか。

【富田分科会長】  それはだから、発生したことと、それから病気を理由にする一部返納の意向という、多分2つなんでしょうね。

【黒川臨時委員】  とは書いてあるのですけれども、最後の結論が「この意向を尊重し」という言葉。「この意向を尊重し」という「この意向」は、一部返納の意向ですよね。だから「この意向を尊重し」という言葉がなければ、いろいろ全部勘案してというふうに読めるのですけれども。すみません。これは僕の勘違いで、こちらではないんだと。財務省の方の言っていること。

【富田分科会長】  はい、これはそうなんです。先方からこういうのを頂いて、当方としては「意見はない」。

【黒川臨時委員】  なるほど。すみません。当方としては「意見はない」ということは、これをそのまま認めたということですね。ちょっと勘違いしていたので何とも言えないのだけれども、ワーキングの方だとこれはどういうふうに読んでいたのですか。

【岡本臨時委員】  ちょっと細かくなってあれなんですけれども、よろしければ、私の方が経緯をよく知っているということで。

【富田分科会長】  どうぞ。

【岡本臨時委員】  今、黒川先生がおっしゃったことは、以前、私も黒川さんと同じワーキングにいて議論していた中で、今の文理解釈のような形をとってくると、この文章は我々が議論したことと違う理由をもって0.9にしているという気持ちがあったから、私たちが釈然としないというふうに申し上げていたわけです。そのときに、今の黒川先生の「この意向」という言葉をうまく判断したんじゃなくて、全体をもう少しふわっと読んで釈然としないということだったんです。
 議論すべきことは、なぜこういう理由になったかという、財務省の評価委員会がどのように考えてきたかということの説明であったはずであるし、それに対する財務省の見解であったわけだと思うんです。こういうふうに文章で出てきたものを読むと、確かに理由としてはおかしいんじゃないか。ただ、結果が0.9ということであれば、0.9ということについて異論がないのであれば「意見はない」ということで、ワーキングはそういう方向で取りまとめたものは、そこについては特段意見はないという形で整理をしていいんじゃないかということで申し上げたんですが、今日出てくると、ほかのワーキングで議論されたものについてはいろいろ議論の過程が書いてあるので、私としては釈然としないと先ほどから申し上げているということなんです。
 したがって、繰り返します。もう長くするつもりはないんですけれども、結論は結論としてよろしいんですけれども、何か付言をするときには、どういう形で付言をするのかというのが、私の目から見るとワーキングによってばらつきがあるように思います。それはやはりよくないのではないかなということでございます。

【富田分科会長】  そういう意味で、今日のような分科会を開いているわけですけれども。どうぞ、阿曽沼委員。

【阿曽沼臨時委員】  私は新任のワーキングの主査でございますので、少し意見を述べさせていただきます。長い歴史の中での議論は、黒川先生を始めこれまでの取組を承知しておりまして、私の理解が間違っていればちょっと事務局から御指摘いただきたいと思いますが、平成19年5月にエキスポランドにおいて死傷事故という重大な事故が起こったことに関しては、業績勘案率には関係ないということを財務省はずっと言い続けていて、そうではないでしょうということがあって、あちらから事故が発生したということを1つの理由になさったということに関しては、自らおっしゃったということに関しては評価をしていこうと。
 ただ、併せて、病気休暇というものがついてきたと、理由としてついてきた。そういう理由がついて、どうもセットで0.9ということに関して、釈然としないものがあるなという意見がありましたが、0.9という数字に関しては、我々が求めていた0.9ということになさったので、それに関しては意見がないということです。
 ただ、岡本先生がおっしゃるように、ほかのワーキングとの間の中で、オウム返しでもいいから、やはりその経緯が明らかになるように文章、何か意見を言うということが今後必要であれば、それはワーキングの運営の中で共通の認識とするため、今後、議論していきたいと思っています。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【鈴木臨時委員】  今の件で、重大な事故と、長期の病気休暇と、返納の意向という三つの要素は全く別の要素だと思うんです。
 この業績勘案率というものがどういうふうに業績を測定するかというのは非常に難しい。確かに総合的にはありますけれども、じゃあ、例えば何もなくて返納の意向があったというときに、それが業績勘案率との関係で0.9になるのかどうか。極端な話ですけれども。あるいは、その方が病気休暇があったけれども、中期目標とか中期計画がちゃんと成り立っているということであれば、それは多分1.0で行くのであろうし。
 ということで、全くこの長期の病気休暇と、返納の意向というのは、特に返納の意向は、全くこれはこの業績勘案率とは関係ないと思うんです。長期の病気休暇はちょっと怪しいと感じる。そうすると、重大な事故がやはり一番の原因でなくちゃいけないのに、こういう表現があって、そしてこれについて意見はないというのは、ちょっとこれでよろしいのかなと。やはり、ここに書く0.9自体はいいんですけれども、これに至る経緯について、やはりこの評価委員会として何らかのコメントがつくべきではないかなというふうには感じるんですが。

【富田分科会長】  山本委員。

【山本臨時委員】  いずれにせよいい悪いは別にして、しっかりした結論を出していただけないようであれば、もう一度ワーキングで御検討いただくしかないでしょうね。そうでないと、これからこういうワーキングの案に基づいた分科会審議ですから、会議の円滑な運営上、ワーキングとして統一的な提案を出していただくというのが筋ではないでしょうか。

【富田分科会長】  どうぞ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  私がややこしくしてしまったので。私はこのままでいいんですけれども、重ねて申し上げていますように、議論すべきものは何かということをちょっと言いたかったということと、それからもう一つ確認したいのは、今日のこの財務省の出してきた算定理由は、どういう扱いになるんですか。
 というのはなぜかというと、もう一度読み直すと、確かにこの意向というのは、黒川先生が御指摘されたところというのは、あまりにもちょっとやはり議論とは離れていると思わざるを得ないというのを改めて思いましたので、要するに財務省評価委員会の考える算定理由が公表されると同時に、この政独委の「意見はない」という文書が出るのであれば、ここはやはりもう少し丁寧に扱わなきゃいけないのかもしれないなということを思います。

【富田分科会長】  これは、だけどこの意見に対して意見を言っているわけですよね。

【細川調査官】  はい、そのとおりです。財務省の説明でございますけれども、ここは2点考慮していると、事由だということでございます。一つは、死傷事故という重大な事故が発生したこと。それから、激務があったということは長期病気休暇の理由でございまして、それで長期病休ということで、前理事御本人から退職金を一部返納したいというような意向も示されたと。そのことも加味しているということでございますけれども、政独委ワーキングの議論では、先ほど阿曽沼主査の方からお話がございましたけれども、死傷事故があって、その法人の業務運営に重大な影響を与えているということにつきまして、これが業績勘案率に反映すべきものかどうかというところで、いろいろと御議論をいただいたところでございまして、それにつきまして、財務省は当初から、それは業績勘案率に影響しないものだということで、いろいろとやりとりがあった、事務的にやりとりがあったというところでございます。
 確かに財務省の説明自体は二つの理由を並べております。ただ、少なくともそのワーキングを踏まえて、いろいろと申入れしてきましたその死傷事故の重大性ということについては、改めて財務省の評価委員会でもそこは御議論の上、お認めになったということでございまして、それからもう一つの理由についてどの程度のウエイトでみるのかということは、それぞれあるかと思いますけれども、そこは具体的には全く二つの理由が同じぐらいの重みなのかどうなのかということは分かりませんけれども、少なくともその死傷事故ということについて、業績勘案率に反映すべきであるというお考えを示されたというふうに理解しているところでございまして、それにつきましては、政独委ワーキングで御議論いただいた内容と一致するものと考えていたところでございます。
 そういうことでございまして、事案の性格からいきますと、例えば水資源機構の事案につきましては、明らかに担当理事お2人のうち、それぞれの配下の部長が同じ理由で処分を受けていると。にもかかわらず、その上の担当の理事2人のうち、お1人しか不祥事には関係はしていないという御説明は、これはそのことについての説明がきちんとなされていないということと、これはある意味、こちらの万博機構の件は死傷事故の重大性ということと、もう一点の要素、本人から退職金の一部返納の申し出があったということ、そこの判断についての考え方といいますか、それをどの程度ウエイトをもってみているのかということとは、ちょっと性質が違うものではないかと理解しております。

【富田分科会長】  ちょっと今の点ですけれども……。

【阿曽沼臨時委員】  ワーキングの主査としてちょっとお話を申し上げたいんですが、この財務省の説明に関して、確かに皆さんがおっしゃっているように、「この意向を尊重し」という言葉は余計な言葉であるというふうにも思いますので、この部分を「これらを勘案し」というふうに変えていただいて、なおかつ財務省の説明には(案)と付されてありますので、(案)ではなくてきちんと文書を出していただいて、0.9でそのまま「意見なし」ということにさせていただくということで、ちょっと早急に事務局と御相談をして、と思いますけれども、いかがでしょうか。

【富田分科会長】  今、ワーキング・グループの主査からお話があったんですけれども、今の点でいかがですか。事務局、これをもう一回交渉というのはあり得るんですか。

【細川調査官】  財務省の説明ぶりでございますけれども、財務省の評価委員会としてその0.9に至ったものを、私どもはこういうふうに判断しましたということで御説明をする文書をつけていただいたということでございます。これを直すということは、それは財務省の評価委員会の御判断を変えていただくということになりますので、それは事務局としてはちょっといたしかねるということだと思います。

【富田分科会長】  そうすると、資料1−2の当評価委員会の意見(案)というものについては、財務省から頂いた文書について意見はないということを答えているということですか。

【細川調査官】  そのとおりでございます。

【富田分科会長】  というのが今のあれなんですけれども、いかがですか。
 阿曽沼委員、今、事務局からお答えがあったんですけれども。

【阿曽沼臨時委員】  それで、私、今、理解をいたしました。私の理解が少しあいまいでございましたので、それは失礼いたしました。
 基本的に、今、岡本委員が申し上げた一番の大きな理由は、資料1−5にあるように、いろいろな評価・意見のやりとりについてなお疑問が残るんだけれども、こうこう、こうであれば異議がありませんという意味合いを、やはりここでも表現したいといったときに、このワーキングとして、そこについての十分な議論がなかったなということでありますので、ただ、今までの議論を通して、この0.9ということ、これを全体を勘案して0.9に関しては異論はないということについては間違いありませんので、その点で構わないのではないかというふうに思います。

【梅里臨時委員】  すみません、よろしいですか。

【富田分科会長】  梅里委員、どうぞ。

【梅里臨時委員】  財務省の説明ぶりについて修正ができないということであれば、当委員会としての決定のところに0.9であることについては異議はないけれども、その0.9とする事由について、本人の意向によるものではないということを付記してはいかがですか。そのとおりを受け取って0.9を認めたものではないという趣旨のことを付記されてはいかがでしょうか。

【富田分科会長】  これは、今の資料1−2のところにですね。

【梅里臨時委員】  そうですね。こういう「意見ありません」ということじゃなくて、その他のところでも、1.0で意見はないけれども、よろしいけれども、こういうことについては留意してくださいという付記がございますよね。その付記の形で、同じように表現してはいかがでしょうか。

【富田分科会長】  はい。だから、政独委委員長の名前で出すべきこの意見として載せるという意味、そういう手続ですね。それはよろしいですかな。

【江澤審議官】  ちょっとよろしいですか。

【富田分科会長】  どうぞ。

【江澤審議官】  ただ今の御意見も一つの処理方法だと思うんですが、今、ちょっと調査官に確認しましたところ、財務省の評価委員会の説明には(案)が付されているんですけれども、なぜ(案)なのかということを、今、ちょっと事務方に確認しましたら分からないので、したがいまして、可能性としては(案)でございますから、財務省の評価委員会の考え方をもう少し議論をして合意に至るということもありますし、あるいはもうこれが決定的なのであれば、今、委員がおっしゃいましたような、なぜ0.9にしたのかということを当委員会の方で記述する。二つの方法があろうかと思います。

【富田分科会長】  そうしたら、今の件は事務局経由でもってちょっと御確認いただいた上での処理ということでよろしいですか。

【江澤審議官】  その上で、あとは主査と分科会長とで御相談するというような形でよろしいんでしょうか。そこで御判断いただくということで。

【富田分科会長】  はい。業績勘案率、ほかの府省の評価委員会の分はよろしいでしょうか。
 それでは業績勘案率につきましては、ただ今の議論を踏まえまして、所要の修正を行った上で分科会の回答とさせていいただきたいと思います。具体的な修正及び事後の処理につきましては、先ほど事務局より御説明がありましたとおり、私が御担当の主査と相談の上対応させていただくということで、御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【富田分科会長】  それでは、そのように取り扱わせていただきます。
 次に、今年度の事務・事業の見直しの議論に移りたいと思います。
 まずは今年度の事務・事業の見直し対象法人につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

【菅原評価監視官】  資料2−1を御覧ください。これは6月23日に閣議決定されました、いわゆる「骨太方針2009」と言われるものでございまして、この中でアンダーラインを引いているところですけれども、「独立行政法人について、来年度に中期目標期間が終了する統合予定の法人の見直しを前倒す」ということにされたところでございます。
 したがいまして、次をめくっていただきますと、資料2−2で平成21年度見直し対象16法人の概要一覧というのがございますけれども、本年度に中期目標期間が終了する7法人に加えて、来年度に中期目標期間が終了する法人のうちの統合法人9法人、合計16法人が本年度の見直し対象法人となったということでございます。
 これらの見直し対象法人につきましては、各ワーキング・グループにおきまして、既にその論点の洗い出しでありますとか、所管府省からの業務のヒアリング、あるいは早いところでは法人の現地視察などを逐次行っていただいておる状況でございます。
 私のほうからは以上でございます。

【富田分科会長】  それでは、見直し対象法人にかかわります論点について御議論をいただくことといたしますけれども、対象法人数が多いので、議論を前半と後半に分けて行いたいと思います。
 それでは、事務局から見直し対象法人について、説明をお願いいたします。

【細川調査官】  それでは事務局から、見直し対象16法人の主な論点について、御説明させていただきます。
 最初に、農林水産省所管の種苗管理センター以下の3法人でございます。これら3法人につきましては、平成19年12月の整理合理化計画におきまして、平成23年4月に統合することが指摘されております。
 まず種苗管理センターでございますが、植物の品種登録に係る栽培試験、それから種苗の検査、ばれいしょ及びさとうきびの原原種の生産及び配布などを行っております。
 次の農業生物資源研究所でございますけれども、イネゲノムに関する研究とかバイオテクノロジーを中心とする基礎的・先端的な研究、植物科学、動物科学、昆虫科学の分野の研究を行っております。
 その次の農業環境技術研究所でございますが、農業生産の対象となる生物の生育環境に関する技術上の基礎的な調査及び研究とございますけれども、農業生産に関連したいろいろな環境問題を解決するための研究活動を推進しているという法人でございます。
 主な論点でございますけれども、これら3法人の事務・事業の見直しに関しまして、ワーキングで御議論いただいた論点でございますが、まず3法人の統合に向けて、3法人共通の論点ということで4点ございます。
 1点目は統合メリットの発揮についてでございます。各法人がそれぞれ実施してきた調査研究の業務につきまして、どのように融合を図りつつ、業務のウエイトづけを行って重点化を図っていくのか。また有効な研究評価のシステムとして、どのようなシステムを再構築していくのか。さらには、統合による組織・体制の合理化・効率化にどのように取り組んでいくのかといった点でございます。
 2点目といたしましては、最初の論点にも関連しますけれども、ほかの研究機関が実施する調査研究との重複排除、役割分担でございまして、3法人の統合に向けて、他の研究開発独法や大学、地方公共団体の試験研究機関等において取り組まれている調査研究との関係が改めて整理されるべきではないかということでございます。
 3点目といたしましては、研究成果の活用・普及につきましても、3法人の統合により、農業関係の先端研究というものと種苗に関する知的財産の保護・活用ということが結びつきますので、それぞれの得意分野や知見、ノウハウを生かした新たな取組や、それによる効果が期待されているというところでございます。
 それから4点目でございますけれども、これまでの勧告の方向性、あるいは整理合理化計画により実施されてきた支部とか事業所とか、そういう組織の廃止・統合、あるいはその技術専門員等の業務の効率化、そういうものが意図したとおりに効果を発現しているかという点につきまして、適切に評価・検証が行われているかということが論点ではないかということでございます。
 次に、個々の法人の業務につきましての論点でございます。
 最初に種苗管理センターでございますけれども、2点ございまして、まず1点目でございますけれども、品種登録に係る栽培試験業務でございますが、花、花卉類を中心とした栽培試験が行われているということでございますけれども、民間事業者の活用、そういうものなどを含めまして、今後の在り方につきまして、検討の必要があるのではないかということでございます。
 それから品種登録に係る権利侵害に関する相談の受付とか助言、それから情報の収集・提供というこの品種保護相談役、通称品種保護Gメンと呼ばれておりますが、そのGメンが、現在、7道県に18人配置されておりまして、さらに拡充されるということでございますけれども、その役割・機能につきまして、これまでの権利侵害事案の内容とか、件数等の実績の分析・検討を行いまして、より有効かつ効率的なものにしていく必要があるということではないかという点でございます。
 それから農業生物資源研究所でございます。遺伝資源の収集・受入れなどを行うジーンバンク事業というのを行っておりますけれども、統合される他の2法人がサブバンクという役割を果たしておりますので、管理システムの合理化とか、利便性の向上や体制の効率化ということが、統合効果として発揮できるのではないかということが論点ということでございます。
 以上が、農林水産省所管の3法人につきましての論点でございます。
 続きまして、法務省所管の日本司法支援センター、法テラスでございます。法テラスは平成16年6月の総合法律支援法の公布を受けまして、平成18年4月に設立されました。同年10月から業務を開始した法人でございます。法テラスは独立行政法人ではございませんが、総合法律支援法の規定におきまして、独立行政法人と同様に、政独委が中期目標期間の終了時において、主要な事務・事業の改廃に関し、主務大臣に勧告することができるとされているところでございます。
 法テラスの主な業務でございますが、資料にございますとおり、情報提供業務など大別して五つの業務がございます。常勤職員数が614人ということでございますけれども、その約4分の1、149人が常勤の弁護士ということになっております。
 法テラスに係るワーキング・グループの主な論点でございますが、4点挙げてございます。
 まず1点目でございますが、資力の乏しい国民に対する弁護士費用の立替えを行う民事法律扶助業務でございますけれども、これにつきましては、毎年度の立替え額に対して、償還額の割合が70%にも満たないという状況がございますので、財務の健全化に向けて、償還の促進とか自己収入の確保や、貸倒引当金の財源の手当てにどのように取り組んでいくのかということが、一つ、論点かと思います。
 次に、司法過疎対策業務でございます。この業務というのは、地方裁判所の支部管轄単位で弁護士の登録が全くないか、あるいは1人しかいないという地域を含みます、弁護士が極めて少ないという地域、いわゆる司法過疎地域に、法テラスの地域事務所を設置しまして、法律サービスを提供するものでございますが、公設事務所というものを設置している日弁連との関係や、それから地域のニーズに応じた効率的・効果的な業務の実施方法を工夫するなどして、地域事務所の配置につきまして見直していくべきではないかということでございます。
 それから3点目の情報提供業務でございますが、これは民間事業者に業務委託しているコールセンターが都内の23区内に所在しておりますが、その業務運営につきまして、より経済的・効率的なものとなるよう、その設置場所とか契約の相手先、受付時間や受付体制などを見直していくべきではないかということでございます。
 それから4点目として、犯罪被害者支援業務につきましては、関係団体や地方公共団体等の関係機関との役割分担を踏まえまして、効果的な連携を促進するなどの取組が必要ではないかということでございます。
 以上が法テラスの主な論点でございます。
 続きまして、経済産業省所管の産業技術総合研究所、産総研でございますが、産総研は平成13年4月に旧工業技術院の16の研究所等を統合してできた法人でございまして、常勤職員数が3,000人を超えており、公的な研究機関としては国内最大級ということでございます。
 産総研は鉱工業分野の研究開発とその成果の普及促進を実施しておりますけれども、特色としましては、基礎研究の成果を製品化につなぐという研究に重点が置かれているということと、それからライフサイエンスとか情報・通信、エレクトロニクス、ナノテクノロジー、材料とか製造の分野とか環境エネルギー、あるいは地質、それから標準、計測の分野など、広範な分野の研究が行われているということがあるかと思います。
 ワーキング・グループにおいての主な論点でございますけれども、3点挙げております。
 1点目としまして、産総研には運営費交付金以外に、外部から研究資金を受けて行っている研究、例えば新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOでございますが、そこからの受託研究費とか、あるいはいわゆる競争的研究資金というものを受けて行っている研究開発というものが相当あるということに着目したものでございます。
 その外部資金の性格というものでございますけれども、例えば研究者の自由な発想による基礎研究を後押しするものとか、国の研究開発施策に対応した技術開発とか、あるいはその大規模なプロジェクトなどに手当てされるものなど多様でございます。そのような外部資金を受けて行う研究開発につきまして、そういった資金の性格とか、あるいは産総研のミッションに照らしまして、本来行うべき研究開発といったものとの関係がどうなのかと。あるいは産総研の研究実施体制や研究者の人員配置といった人的資源との関係が、明確に整理されているのか。産総研として優先的に取り組むべき研究が実施されているのかというのがここでの論点でございます。なお、この論点はほかの研究開発独法にも共通するものではないかと考えられるところでございます。
 それから2点目でございますけれども、産総研の研究者の構成とか地域センターなどの研究拠点に着目したものでございます。産総研の研究者をみますと、常勤の研究者としてパーマネントの研究者、そのほか任期つきの研究者もおります。また非常勤の研究者として、主にポスドクでございますけれども、特別研究員、そのほか招へい研究員という研究者もいらっしゃいます。それらの研究者の構成とか配置、役割はどのようになっているのか。その時々の研究ニーズに応じて、最適な研究体制が構築できるようになっているのか。人材の育成という観点から有効かというようなことが、ここの論点でございます。
 もう一つの研究拠点としての方でございますが、それにつきましては、つくば、東京以外に北海道から九州まで、合わせて7か所の地域センターがございます。さらには事業所といわれるところとか、サイトといわれる拠点もございます。そのような地域に所在する拠点の意義につきましても、それぞれの地域の研究ニーズに対応した研究や、地域への技術移転というものが行われているのかといったところが、ここでの論点のもう一つでございます。
 それから3点目でございますけれども、研究開発以外の業務に関するものでございます。研究開発以外に、計量法関係の検査・検定とか、それから産総研の研究開発の成果を企業化するというベンチャー開発、あるいはそのベンチャー企業の育成・支援のための施設の貸与とか、技術相談、指導といったような業務、あるいは特許微生物の寄託機関としての業務など、産総研は多様な業務を行っております。それらの業務につきましても、ほかの機関との役割分担に応じた効率的な業務実施体制を構築することや、それぞれの業務の有効性や成果などを、例えば投入資源と対比して検証していくなどといった取組が必要ではないかといった点も論点の一つでございます。
 産総研の主な論点についての説明は以上でございます。

【高橋調査官】  それでは続きまして、文部科学省におきます見直し対象法人であります日本原子力研究開発機構につきまして、御説明申し上げます。この法人は平成17年の10月、旧日本原子力研究所と旧核燃料サイクル開発機構が統合し発足した法人でありまして、今回が初めての事務・事業の見直しということになります。
 まず、この機構の主要業務でございますが、第1に原子力に関する基礎的研究及び応用研究の実施。第2に核燃料サイクルを確立するために必要な研究及び技術開発。3点目といたしまして、研究や技術開発の成果を普及し、その活用を促進することとなっております。
 主な論点でございますが、これまでのワーキング・グループにおける議論では、まず高速増殖炉「もんじゅ」につきましては、平成7年のナトリウム漏えい事故以来、13年以上運転を停止しておりますが、それに伴う研究開発計画の遅延や予算の増大への対応状況など、全体像が明らかになっていないのではないか。それらを明らかにした上で、必要な見直しを行うべきではないかということでございます。
 また、2点目でございますが、研究開発の内容や施設・設備等につきましては、大学など他の研究機関との間や、機構内の研究施設間における厳格な役割分担や重複排除などが行われているのか。
 さらに3点目でございますが、展示施設などにつきましては、多額の運営経費などが支出されていることから、経費節減に資する運営改善などが必要ではないか。
 最後に4点目でございますが、分室につきましては廃止や売却を行うなど、さらなる合理化を図る余地があるのではないか、などが主な論点となっております。
 なお、平成19年の独立行政法人整理合理化計画におきましても、展示施設などの有料化の是非や分室の廃止、売却を含めた在り方の検討などにつきまして指摘されているところであります。
 前半の事務局からの説明は以上であります。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今の事務局の説明につきまして、各ワーキング・グループの主査の方から追加すべき点、お願いいたします。樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  樫谷でございます。今、事務局の方から論点を説明していただいたので、特に問題はないんですが、先日、ワーキングを開催して、農水省からヒアリングをしたときのワーキングでのいろいろな意見について、少しお話をしておきたいと思います。
 農水省からいろいろ各独法の各論の説明をしていただいたんですが、どうも印象として、全体の農水省の政策の中で研究開発全体、調査研究全体がどうなっているのかと。あるいはその中で、この独法がどういう役割を果たしているのかとかいう説明がどうもよく分からなかったんですね。したがって、今度統合するわけですから、こういったものをちゃんと整理をしていただいた上で、今後の新法人のミッションの設定とか、あるいは達成のための具体的な方策の検討が行われるべきではないかというような意見がございました。そこは、主な論点の2点目としてほかの研究機関に関することについても触れていただいております。
 それからもう一つですけれども、今まで研究成果があったということなんですが、じゃあ、この研究成果を挙げることが目的と。独法としてはそうなのかも分かりませんが、それだけではなくて、これにどのような意義があって、今後どういうものに結びついているのかと。つまり国民のメリットに何か結びつかなきゃいけないわけですけれども、研究成果は大事だと思いますけれども、研究成果に結びついたら、その次のどういう展開がなされたのか。あるいはどのような技術が向上して、活用されているのかというようなことも具体的に明らかにする必要があるんじゃないか、ということについても議論が出ました。
 それから種苗管理センターですけれども、品種保護Gメンというのがあるわけですが、これは相談役ということで、権利侵害に対していろいろな相談を受けるということなんですけれども、これは国内が中心で、実際、侵害されるのは海外について、海外において侵害される可能性があるので、これについてはどのように対処を考えているのか。海外にも目を向けるべきじゃないかという意見がございました。
 このようなことについての制度の詳細とか、侵害事案に関するデータを農水省に照会をしていただいているということでございますが、これらのデータを踏まえまして、Gメンの役割、機能についての見直しも検討していただく必要があるんじゃないかなということでございます。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 阿曽沼委員、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  それでは法テラスと産総研でございますけれども、私どもも先日ヒアリングをさせていただきました。その中で私どもがお願いしたのは、現状で自ら課題をどう認識されているのか。その認識、課題の解決のために、具体的にどういうアクション・プランをお取りになっているのかということをお聴きしたわけでありますが、それについては明確かつ具体的なお話がなく、その点についてはきちんと今後とも求めていきたいということが、この二つの法人に関して私どもワーキングでのお願いでございました。これは引き続き議論していきたいと思います。
 個別に少し補足をさせていただきますと、法テラスに関しましては、民事法律扶助業務については、法テラスの設立の前にこの業務を行っていた財団法人の法律扶助協会からすべての財産を継承して業務を行っておりますけれども、これら継承した財産を、会計上どのような考えに基づいて整理し、業務を行っているのかということについて、また毎年度、破産更正債権や貸倒懸念債権が発生しているんですけれども、今後、貸し倒れの引当金、もう引き当てていくことというのがずっと可能であるのかというようなことが議論の中心になりまして、今後、これをきちんと確認していくということでございます。
 また、司法過疎対策業務ということでございますが、この過疎というものの基準というものはある程度はっきりはしておりますが、こういったものを各地域ごとにイコールフィッティングができているのかということの基準の明確化、もしくは地域事務所の設置に代えて、近隣の地方裁判所の本庁所在地に設置されている地方事務所の常勤弁護士が、過疎地への巡回を強化することによって、充実をすることが可能なのではないかということの議論がありまして、これも具体的に検証していきたいと思っております。
 それから産総研でございますが、事務局の御説明のように16の研究所を統合したわけでありますが、その点、よくも悪くも、すべてのいいも悪いも遺産を引き継いでいるわけでありまして、いいところの局在化と、悪いところの解消というのも一筋縄ではいかないんだろうと思いますが、この点についてきちんと検証していくということであります。
 特に研究拠点は9か所ということでありますが、これ、ずっと地図を見ていくと、ああ、旧帝大系のところの近くにあるんだな、旧帝大系のない中四国には一つ、二つ設けよう。あとつくばの学園都市の開発というのがずっと続いていたので、そこに大きなものをつくろうという意図で、この9か所ができていると。そこにおけるテーマと、そこに従事する研究員との整合性というものについて、多くの確認が今後必要なのではないかというふうに思っております。
 産総研の研究組織はその時々の研究ニーズに応じて機動的に改変されて、非常に柔軟に対応しているんだという御説明がヒアリングの際にありましたけれども、研究組織としての研究ユニット、研究拠点としての地域センター、そしてまたそこに参加をしている研究者、こういったものの整合性を今後どういうふうに組織として求めていくのか。そこもきちんと確認をしていきたいと思っております。
 それから、産総研は非常に成果があるというような客観的な外形的な評価も一部であるわけでありますが、非常に広範な、総花的と言ってもいいかもしれませんが、研究開発を行っているわけでありまして、その中で具体的にみえるものというのは、すべてが具体的にその成果というものを確認できないという部分もありますので、今後、その辺についての御説明もきちんと受け、確認をしていきたいと思っています。
 産総研のミッションを考えたときにも、基礎的な研究から製品化の研究に至る幅広い研究というのが行われていることを考えますと、論文の発表の件数だけではなくて、特許の取得、もしくは産業化、そして製品化といったようなものの事実も踏まえた上で評価をしていくということが必要でありますし、その具体的な説明を受けていくということが、ワーキングとしては重要なのではないかと認識しております。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 黒田主査、お願いいたします。

【黒田(壽)臨時委員】  それでは日本原子力研究開発機構について、御説明をしたいと思います。
 全体の内容につきましては、事務局の方から説明がありましたとおりでありますけれども、日本原子力研究開発機構の国家的事業として最大の事業が、高速増殖炉であります「もんじゅ」の運転の再開ということにかかっていると思うのです。これは、当初ナトリウム漏れという、技術的には大した事故でもなかったのですが、それを隠したということによって社会問題が発生して、13年間、そのことによって止まってしまったということなんです。投資した費用が6,000億円。今では1兆円近くなっていると思うんですけれども、そういう資金を投下しながら、13年間もなぜ止まったままでいたかと。今年の秋には再開をしたいということを言っているのですけれども、いざ再開しようというと、13年間の止めていた間の検証をする必要がある。それをやっていきますとまた故障箇所が見つかるということで、今回は腐食で穴が開いたということなんかがあるわけです。使っていないですから、どうしてもそういうことが起きるわけですが、そういうことが次々と起きてきますと、ますます信用をなくしてしまうということになるので、この辺のことを本当にどう考えるのかということであります。
 一にも二にもこの「もんじゅ」が、これは世界的な事業としてやっているわけでありますけれども、日本の威厳をかけてこれをやるのだろうと思うのです。もう一つはここでやっています照射試験炉があるわけです。
 照射試験炉も本当に単純な技術的ミスで止まっていると。「常陽」なんかはそうなのですけれども、そういうことをみていきますと、整理合理化計画で人員がどんどん減らされているということで、日本原子力研究開発機構の常勤職員数をみていきますと、確かに毎年減っているのです。ところが任期付き職員、それから非常勤職員が増えていっています。毎年50名ぐらいずつは増加しているのです。ですから、常勤職員を減らして、任期付きとか非常勤で補っているということは、素人に近い人が現場へ入ってきて機械操作をするという状態が繰り返されている。そういう中で技術的な事故、単純なミスが起きてしまうという、そういうことが起きていると思うのです。
 ですから、本当に常勤職員を減らすのならば、やっている事業のどこかを削るということをやらないと、これは減らないと思うのです。そういうことが非常に大きな問題だと私は思います。先般も東海村の本部へ行っていろいろと見てきたのですが、ひしひしとそれを感じます。本当に非常勤とか任期付きの職員が、それも派遣で来ているわけです。ですから、本気になってその技術を継承するということをしていない。そういう中で事故が起こっており今後も起きる可能性がありますので、真に必要な事業の人員ならば、こんなに減らさなくていいのではないかと。きっちり人員は確保しながら、この事業を遂行していくべきだと思いますし、逆にそれ以外の事業については、どれをやめるのだということをはっきり決めて人員の削減をやっていただく必要がある。そうしないと、原子炉にかかわる問題は非常に高い社会的な批判を受けているわけですから、その安全性というものをもっと社会にきっちり示していただくということが必要だと思います。
 今の「もんじゅ」の話でありますけれども、これも事故の原因究明とか対策については講じられているわけです。その資料なんかも公表されているわけですけれども、事故により13年間も運転が停止していることによる計画や地元住民等への影響や対策などについて、果たして地元に対してそれらをどのように説明して、どういう理解を得たかということが公表されていないのです。ですから、実際にやったことについて公表する。事故の原因とかそういうものは技術的に調査して分かるわけですけれども、それをもって地元にどう説明して、どういう理解を得たか。だから再開できるのだというところまできっちりやっていただく必要があると思いますので、今度は8月5日になると思いますが、敦賀の「もんじゅ」の方にも視察に行くことになっていますので、その辺のことも十分見てきて、きっちりした調査をしたいと思っております。
 今後見直すとすれば、国民に分かりやすい言葉でどう責任を果たしていくのかということ。それをしっかりやっていただくということが必要ではないかと思っております。
 以上です。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明がありました6法人の論点につきまして、御意見などがございましたら、どなたからでもお願いいたします。
 ないようでしたら、続けて後半見直し対象法人についての議論に移りたいと思いますが、じゃあ、事務局からお願いいたします。

【平野調査官】  それでは国土交通省所管法人の見直し対象法人について、御説明いたします。
 見直し対象法人は資料のとおり、研究開発法人4法人と、日本高速道路保有・債務返済機構の全部で5法人でございます。交通安全環境研究所等の研究開発法人は、いわゆる先行独立行政法人でございまして、平成13年4月に国の機関から切り離されて独立行政法人化されたもので、事務・事業の見直しは今回で2回目となります。
 最初の事務・事業の見直しにおいては、いずれの法人も研究業務の重点化・効率化と非公務員化が指摘されております。また、独立行政法人整理合理化計画において、これら4法人は平成22年度までに統合することとなっておりますが、これら4法人のルーツをたどりますと、昭和25年4月に設立された運輸省運輸技術研究所でありますので、統合により元に戻るということになるかと思います。
 続きまして、各法人の業務等について御説明いたします。
交通安全環境研究所は、自動車、鉄道等に関する研究開発を行っており、最近の主な研究としては次世代低公害車開発のほか、新交通システム等の技術基準の策定に関する調査研究等を行っております。また、この交通安全環境研究所は、自動車メーカーが開発した新車とか、部品メーカーが新たに開発した自動車装置が保安基準に適合しているかどうかの審査等も行っております。独立行政法人整理合理化計画では、4法人の統合以外に、この交通安全環境研究所については、審査業務等の自動車検査独立行政法人への移管等が決まっております。
 次に海上技術安全研究所でございますけれども、当研究所は船舶技術に関する研究開発等を行っておりまして、最近の主な研究としては高効率船舶の基盤技術開発とか、外洋におけるプラットフォーム研究開発等を行っております。
 港湾空港技術研究所でございますけれども、この法人は港湾とか航路の整備保全、飛行場の整備保全に関する基礎的な調査研究等を行っており、最近の主な研究としては、大規模地震とか津波防災に関する研究等を行っております。
 続きまして、電子航法研究所ですが、航法というのは航空機や船舶などの移動体を目的地まで安全にかつ効率よく導く技術のことでございまして、航空管制等に関する試験研究等を行っている法人でございます。
 これら法人の論点でございますけれども、4法人共通で、これら4法人は統合されることになっておりますので、統合メリットを発揮する観点からの調査研究の重点化とか、他の研究機関との重複排除、役割分担等がワーキングにおける論点となっております。
 次に、日本高速道路保有・債務返済機構でございますけれども、同機構は平成17年10月に特殊法人整理合理化計画における道路関係4公団の民営化の方針を受け、6つの高速道路株式会社とともに設立された法人で、今回が初めての見直しとなります。
 機構は高速道路に係る道路資産の保有、道路会社への貸付け、承継債務の返済、協定に基づき、道路会社が行う高速道路の新設、改築、修繕、または災害復旧に要する費用に充てるため負担した債務の引受け及び当該債務の返済等を主要な業務としております。道路関係4公団の民営化から45年以内に会社が支払う貸付料により、公団から承継した債務と会社から新たに引き受けた債務を完済することとされており、その時点で、高速道路は本来の道路管理者に帰属し、無料開放されることとなっております。
 この日本高速道路保有・債務返済機構の論点でございますけれども、この機構のミッションは、とにかく45年以内に確実に債務を返済するということでございますので、その資金調達に関する金利とか、交通需要の変動などを的確に想定して、そういう返済不能のリスクをいかに少なくするかというのが課題でございまして、そういうリスクに適切に対処しているかどうかというのが一つの論点かと思います。
 また、債務が返済された後、高速道路が無料開放された際にも、道路資産がその後の使用に耐え得る状態を維持するため、必要な維持管理がなされているのか。あと、機構と道路会社との間で締結される協定において定められる道路資産の貸付料とか、新築・改築・修繕に係る債務の引受額は適切のものとなっているかなどが主な論点となっております。
 次に内閣府所管の国立公文書館、厚生労働省所管の国立健康・栄養研究所等4法人、計5法人について御説明します。このうち、国立公文書館、国立健康・栄養研究所は2度目の見直し、医薬基盤研究所、年金積立金管理運用独法は今回初めての見直しとなります。労働安全衛生総合研究所も統合後、初めての見直しとなっております。
 国立公文書館でございますけれども、国立公文書館は、国の機関から移管を受けた歴史的資料として重要な公文書等の保存及び一般公開を主要な業務とする公務員型の法人でございます。公文書館は平成13年4月に内閣府の国立公文書館から独立行政法人化されたものでございます。独立行政法人整理合理化計画では、公文書制度の充実を図る観点から、体制等の在り方について検討するとの指摘がされております。なお、先の国会で成立いたしました公文書等の管理に関する法律によりまして、保存期間が満了した文書のうち、歴史的公文書等は原則、国立公文書館に移管すること等が法律で規定されました。また、公文書館等へ移管する文書の対象を、独立行政法人等の文書にも拡大することにもなりました。
 この公文書館の論点につきましては、ワーキング・グループでは、現在マイクロフィルムで保存している紙媒体の歴史的公文書については、マイクロフィルムはクリーニング等にコストがかかるので、デジタル保存すべきというようなこと。あとは民間委託のさらなる拡大の余地はないかというようなことが主な論点となっております。
 続きまして、厚生労働省所管の国立健康・栄養研究所でございますけれども、この法人も13年4月に厚生労働省の国立健康・栄養研究所から移行してできた先行独法でございます。その業務は、国民の健康の保持・増進及び栄養に関する研究で、具体的には生活習慣病の予防とか、健康食品を対象とした食品成分の有効性評価等の研究を行っております。また、健康増進法の規定に基づく国民健康・栄養調査の集計事務、販売の用に供する食品につきまして、乳児用、幼児用、妊産婦用等の特別の用途に適する旨の表示をしようとする場合は、厚生労働大臣の許可が必要となっておるんですけれども、大臣が許可を行うにつきまして、この研究所が必要な試験を行うこととなっております。独立行政法人整理合理化計画では、国民の健康の増進についてより多角的に研究を進める観点から、独立行政法人医薬基盤研究所との統合について指摘されているところでございます。
 続きまして、医薬基盤研究所でございますけれども、この研究所は一言で言えば、企業等が新しい医薬品等の開発をするための支援をする業務等をやっている法人でございます。具体的には、新しい医薬品等の開発のための基盤となる研究、例えば医薬品の安全性予測システム等の開発とか、試験研究用生物資源の供給、研究開発の振興のためにベンチャー企業等に対して研究委託、資金の提供等を行っております。
 この法人につきましては、独立行政法人整理合理化計画で、健康・栄養・食生活に関する研究等の連携を図る観点から、先ほどの国立健康・栄養研究所との統合について指摘されているところでございます。
 この2法人につきましての論点でございますけれども、2法人共通としては、先ほどの国交省の関係と同じなんですけれども、調査研究の重点化とか、役割分担。あと、国立健康・栄養研究所独自のものとしては、健康増進法に基づく国民健康・栄養調査の集計業務等をやっているんですけれども、なぜ研究機関で集計作業を行わなければいけないのかということが一つの論点となっております。
 また、健康増進法に基づく特別用途表示の許可に関して、この研究所が試験とかを行っているわけですけれども、これにつきましても、民間の登録試験機関等がございますので、そういうところをもっと活用すればいいんじゃないのかという論点等もございました。
 あと、栄養情報担当者認定業務というものがございますけれども、この研究所が独自に健康食品等に関する正確な情報知識を消費者に対して提供できる人材の育成を目的として、こういう栄養情報担当者認定試験等を設けて行っているわけですけれども、民間でも同じような資格等がございますので、独法でこういう認定業務を行う必要性について、どうかというのが一つの論点となっております。
 医薬基盤研究所の論点でございますけれども、実用化支援業務、いわゆる新しい医薬品等の開発に取り組んでいるベンチャー企業に対して、研究に対する委託費を出して、研究が成功してもうかるようになったら、その売上げをもとにその資金を回収するということでございますけれども、この業務につきましては、平成20年度末で繰越欠損金の額が約54億円となっておりまして、繰越欠損金の増加を抑えるため、平成21年度からこの研究所では新規募集を停止している状況にあり、その事業手法の見直しが必要ではないかということになっています。
 あと、研究リソース事業、いわゆる試験研究用生物資源の提供業務等も行っておりますけれども、これにつきましても他の研究機関、例えば理化学研究所ではバイオリソースセンターというのがございますし、製品評価技術基盤機構でもバイオテクノロジー本部において、同じような資源の提供等を行っておりますので、同種業務を行っておる法人の実施業務やニーズを踏まえた見直しの余地がないかということが、一つの論点となっております。また、この生物資源提供業務を行うにつきましては、関連公益法人と協力してやっておりますので、その関係がどうなっているのか。その辺の適切性についてもみていこうということがワーキング・グループでは議論となっております。
 あと、薬用植物資源研究センターでございますけれども、ここの和歌山研究部でございますけれども、これは近畿圏内の薬用植物の保存・栽培を行っているところで、これについては技官1人しかいないので、本当に必要なのかということが論点となっております。
 次に、労働安全衛生総合研究所でございますけれども、ここは事業場の災害予防及び労働者の健康増進、及び職業性疾病に関する研究を主な業務とする法人でございます。この研究所は、平成16年の事務・事業の見直しにおいて、労働災害の工学面からの防止について調査研究を行っておりました産業安全研究所と、医学面からの疾病予防について調査研究を行っておりました産業医学総合研究所が統合することとされて、平成18年4月に設立された法人でございます。独立行政法人整理合理化計画では、労働安全衛生に係る研究業務の一層の総合化を図る観点から、労災病院等を運営しております独立行政法人労働者健康福祉機構との統合について指摘されているところでございます。
 これまでのワーキング・グループの論点といたしましては、統合ということでございますので、調査研究の重点化とか、他の研究機関との役割分担というのが論点になっております。
 あと、行政ミッション型の研究を行う法人としての役割分担、機能の発揮ということでございますけれども、これは、行政ミッション型の研究というのは、この研究所だけが使っている言葉でございまして、職場における労働者の安全及び健康の確保という労働行政の目的に資する研究を行う法人だということを言っているんですけれども、そうであれば、やはりそれに応じた、他の試験研究機関とは違ったそういう目標・計画の設定の仕方があるのではないかということが、ワーキング・グループにおいては論点になっておりました。
 あと、過去の統合に伴う間接部門の合理化・効率化等も論点の一つとなっております。
 最後でございますけれども、年金積立金管理運用独立行政法人でございます。この法人は、厚生労働大臣から寄託を受けた年金積立金の管理・運用を主要な業務としておる法人でございます。運用資産額は平成21年3月末現在で約118兆円となっております。
 この法人の論点についてでございますけれども、年金積立金の適切な管理・運用に資するため、定期的かつ適切に運用受託機関の見直しが行われているかどうか。この管理・運用を行うことが法人の目的でありますので、こうしたことがちゃんと確実に行われているかどうかということが一つの着目点かなということでございます。
 あと、国内債権及び外国株式について、運用手法の高度化を図る観点から、運用手法の見直しの余地はないか。また、運用手数料等の運用経費について、縮減の余地はないかということが、ワーキングでは主な論点となっております。
 以上、後半の業務と論点の説明を終わらせていただきます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ワーキング・グループの主査より、追加して御説明いただく点を説明していただきたいと思います。山本主査。

【山本臨時委員】  最初に4研究所の統合でございますが、一つ港湾空港技術研究所がやや異質で、少し場所も離れている点がございますが、四つの交通安全に係るシナジー的な研究所となることが可能かどうかという点で、とりわけ4研究所のうち電子航法研究所あたりはかなり、先ほどから非常勤の研究員という話が出ておりましたが、大学との連携等も含めた、いわゆる派遣元が人事権を持っているような、そういうような研究員もおられまして、常勤の職員の4研究所分野における再配置、こういったことが円滑にできて、より効率的で効果的な研究体制を組めるかどうかというのが、多分大きなポイントになろうかと思います。
 それと、日本高速道路保有・債務返済機構でございますが、これは一番実は大きな問題というのは、例の交通事業の見直しが昨年ありまして、それのいわゆる貸付料等への反映とか協定の見直し等において、今、まだ作業をやっている最中だというのが、ヒアリングのときの向こうの回答であったわけですが、それが今回、今度9月に我々独法のヒアリングを行うわけですが、そのときに間に合っているかどうかというのが非常に大きな課題であると思います。
 それとあと、資金調達コストの効率化というのが、今のところ定量的に文言に、第1期の中期計画の目標には書いていないものですから、そういった資金調達の効率化に向けた明確化、あるいは定量的な目標設定というのが、調達方法も含めた大きな課題であるというように思っております。
 以上でございます。

【富田分科会長】  黒川主査、お願いいたします。

【黒川臨時委員】  詳細は先ほど事務局から説明がありましたので、補足というような形をとりたいと思います。
 ヒアリングは2回行いまして、主として議論があったところということですが、国立公文書館については2点ありまして、一つは保存の仕方について、マイクロフィルムで保存ということを今のところ検討しているということですけれども、もう少し進歩した、技術的な進歩を勘案した方法で、将来に向けて保存することができないかということについて、各委員から検討をお願いしたということです。
 それから2番目は、保存する書類の提供というのでしょうか、それについて、円滑に重要な書類を各部門からここに集めてくると。それについて、そういう運用の面で工夫をしていただけないかという、この2点でございます。
 次に、国立健康・栄養研究所ですけれども、ここはいわゆる、メタボの指標なんかをここで作ったというようなことを言っておりまして、ああ、そうかということなのですけれども、そういうメタボの指標を作るというようなものや、先ほどから出ている試験というようなものは、ある意味で民間との間合いという点で考えると客観性が必要なのですけれども、それと同時に、民間との共同研究ということもしている。ですから、その内部統制といいましょうか、利益相反がないように運営がなされているかどうか。この辺について、一緒に検討しようということでございます。
 それから医薬基盤研究所については、特に二つの大きなファミリー企業と言ってしまっていいのかどうか分かりませんけれども、公益法人と連携しているのです。一つはヒューマンサイエンス振興財団というところで、ここでいろいろな研究機関に配るため、細胞の増殖みたいなものをここにお願いをしている。それからもう一つは、お猿さんなのですけれども、実験用の霊長類の研究所があって、そこでお猿さんを育てているのです。これも試験用なのですけれども、それを予防衛生協会という法人と一体化していると。
 そういうことが直ちに悪いことではなくて、別の組織にしている方が、同じアウトプットを得るのであればより費用が安いのかどうか。それであればいいのですけれども、要するに垂直的統合をするのか、分離しているのがいいのかという話なんです。ですからその辺について、いろいろとこの二つの公益法人についての資料を頂きながら、今回、見直しということですので、厚生労働省の担当の方とも一緒に、組織自体を考えてみようかなと思っています。
 次に労働安全衛生総合研究所ですけれども、これは先ほど事務局が言ったように、行政ミッション型の研究を行うというふうにすごく強調している。その目標は、結局、各事業所での災害予防と労働者の健康増進だと言っているわけなのですけれども、研究所ということもあって、論文の数とかそういうようなことで成果を定量化しようということも言っている。そこが非常に矛盾じゃないかというふうに我々は感じたのです。
 これは皆様方の御意見も伺いたいのですが、この当委員会も10年近くたって、産総研なんかのときも私は感じていたわけですけれども、当初において定量的な評価が大事だということで、論文の数とかそういうことを我々としては求めた時代もあったと思うし、それはその時代、今から10年ぐらい前の時代であれば、こういうところは民間に比べて効率性を重視して、研究者の姿勢についてもう少し定量的に評価をして、ある意味でぬるま湯的なものではないかというような予見を持って接していたような気もしないではない。
 それから時間が経過しまして、もう彼らは一生懸命効率的にやっているけれども、そのやっている、研究している中身自体が、大学とかそういうところとの競合もあって、もっと国民に近いところの研究をやってほしい、また、組織的研究へのシフト、個人の業績ではなくて組織の業績というところに、ニーズがシフトしてきているのではないか。こういうふうに私自身は感じていて、特に労働安全衛生総合研究所は行政ミッション型だと言っているので、それならば個人の論文の数とかそういう話ではないのではないか。一番の業績は、現実に事業所での労働災害が本当に減ったのかどうかについて、この研究所がどれだけ役立つ研究をしたのかと、そういうところで判断すべきじゃないかと、こういうことを議論いたしました。ですから今年はそういう点で、研究所の目標の具体的な立て方と指標、そういうようなところも少し相談したいなと思っております。
 最後に年金積立金管理運用独立行政法人ですけれども、これはここでの運用成果について云々ということは直接問わないようにしようと私どもは思っています。また、運用の仕方についても、それぞれ時代に応じて、もう少しリスクを取るような運用をしろとか、あるいはリスクを取ってはいけないというようないろいろな文章が出ていて、振り回されるのが一番いけないのではないかと思っています。
 そこで二つ。一つは、具体的な運用をするのは委託しているファンドなりそういうところですから、どのような方針や評価によっていろいろなファンドを選んでいるのか、あるいは見直しをしているのか。そういう点のマネジメントについてよく聴いてみようと。
 それから2番目は、大きなポートフォリオ。これは年金ですから、非常に長期にわたって運用するということなので、短期的な目先のポートフォリオではなくて、21世紀の半ばぐらいまでにらんで運用するという、その運用のポートフォリオの大きな方針を決めるのは、それなりの委員会を設けるということなので、その委員会にどういう知見を持った人たちを選ぶのか。このような役割が、ここの法人の役割ではないかと思っています。そういう点で、この法人の理事長に、8月に視察に行ったときにお伺いしようと思っています。
 長くなりました。失礼いたします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御報告いただきました10法人、それから先に報告をいただきました6法人も含めまして、御意見ございましたら御発言願います。いかがでしょうか。
 どうぞ、梅里委員。

【梅里臨時委員】  それぞれの法人に必要な論点の御説明をいただいたと思うんですけれども、一部は何となく似ているようなものも入っておりますよね。以前、1度見直しの視点というのをまとめたことがあるように記憶をしているんですけれども、例えばこれ、そもそもその法人が必要かというのがトップに来ますよね。ミッションとか、ミッションの妥当性。それからそのミッションが妥当だったときに、その業務がそのミッションにぴったり合っているか、ミッションとの整合性とか、そういうふうな評価の視点を見ていくと、ここに挙がっていないのは、逆に言うともう妥当だから、評価をしなくていいものと考えていいのかどうか。
 そういった意味では、例えば法務省の日本司法支援センターには、特段、ミッションについての指摘はないんだけれども、この法人はもう必要だということがもう前提になっているから、主な論点のところにそれが入っていないというふうに解釈していいのか。
 そういったような見方ですると、その評価の視点に沿った形で、ここに挙がっているものを1回整理をして抜けがないということ、それから各ワーキング・グループでの評価の仕方が一応標準的な線に沿った形で、評価の論点が洗い出されているということを1度見ておくのは、無駄ではないのではないかなという気がいたしますので、今の民間でやっているところとの役割分担の話だとか、それから経営の健全化の問題だとか、それが論点に挙がっている法人とそうでない法人があるわけですけれども、必ずしも見なくてもいいという話ではないようにも思いますので、ちょっとそういう整理が1回あってもいいのかなと。
 それとも、もう事務局でやられた上で、この論点が絞り出されているという解釈でよろしいのかどうか。その点だけです。

【富田分科会長】  その点、どなたか主査からお答えいただけませんでしょうか。
 共通の論点として、今、御指摘があったようなことは重々我々承知しており、またタイプ別にも独法の施設系とか、研究系とか、共通の論点も掲げておりまして、縦横様々な論点から見直していこうというのは多分共有されておると思うんです。
 そういう中で、多分、今日事務局から、そして各主査から御説明いただいたのは、とりわけこの独立行政法人について検討すべき事柄という特出ししていただいたものだと思いますので、梅里委員が御指摘の点は、多分含まれているように私は解釈しているんですけれども、それで主査の皆さん、よろしいですね。ということであります。

【梅里臨時委員】  はい。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ、岡本委員、そして森泉委員の順番で。

【岡本臨時委員】  例えばの話ですが、産総研の論点の1点目なんですけれども、問題意識を持っておりまして、ここにうまく書かれていただいていることなんですが、二つございます。
 一つは、多くは研究型独法と言われている法人だと思いますが、いわゆる外部資金を獲得すると。この外部資金を獲得することは非常にいいことだと一般的には思うんですが、そこは果たしてそうなのかなと。
 と申しますのは、本来法人で行うべき業務は、基本的には運営費交付金を財源にして行うべきものだろうという考え方に立ちますと、それ以外の資金で行う業務というものが増えていく、あるいはそれを活発的にやるというのは、確かに法人を活性化するという観点からはよろしいんでしょうけれども、果たしてそこがどうなのかというのは常に問題意識を持っております。
 そういうことで、よく法人の方々、あるいは主務省の方々に聴くんですが、交付金を財源にする業務と交付金じゃない外部資金を財源にする業務と、どのように考え方が違うんですかと聴きますと、これは明確な答えが往々にして返ってこないんです。ここはやはり、もう少し業務の在り方という観点からは、しっかり位置づけるべきじゃないかというのが一つ。
 それから、もう一つは外部資金の出所なんですけれども、先ほど事務方の御説明にもございましたけれども、産総研の場合、NEDOから外部資金が入ってくるということなんです。要するに、単純に言いますと、独立行政法人間で資金のやりとりをしているわけです。それはどういうふうにしてそのような理屈が立つのかということは、やはり主務省と独立行政法人、あるいは独立行政法人間の業務の在り方というのは、そういう観点から見直していったらいいかと思います。
 そういうことになってまいりますと、実はここに挙がっている独立行政法人以外でも、関係している独立行政法人、例えばNEDOなんていう名前が挙がってきていますから、そういうようなところも併せて見直すべきではないかと思います。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 森泉委員。

【森泉委員】  一つお聴きしたいと思います。主な論点のところに、他の研究機関、大学等が実施する調査・研究との重複排除、役割分担等というのがほぼすべてのところに挙がっています。この意図についてお聴きします。研究というのは全く同じものが重複するということは、まずないと思います。ですから、どのぐらいのグルーピングのことをここでは指摘されるつもりでしょうか。
 理系のことはよくは分かりませんが、私のフィールドで言えば、例えば金融というところで、幾つかの研究機関が調査・研究を行うということは、むしろ競争するという意味もあって決して悪いことではないと思います。したがいまして、どのぐらいのグルーピングで排除、いけない、ということを指摘するのかをお聴きしたい。グルーピングの仕方によっては、それほど排除すべきことではないのではないかという気がいたします。

【富田分科会長】  いろいろな御意見があろうと思うんですけれども、後者の点は、ビッグプロジェクトで重複するのはいかがなものかというのは、常識的にそうだと思うんです。あとは研究なのか、普及活動というかその分野を普及していくためにやはり必要なことで、本当の研究といったら変ですけれども、研究開発なのかどうかというのもあるんだと思うので、それはやはりケース・バイ・ケースで、いろいろ考えることで、我々はどれとどれが重複しているとは、なかなかちょっと言えないことだろうと思うので、御指摘のとおりであろうと思います。
 それから岡本委員の御指摘もそのとおりだと思うんです。やはり国全体の目標とか、そういうことから考えないと、その独法だけ見ていても評価できないこともこれまたある。また、国の政策を行う場合に、運営費交付金というタイプと、それから補助金で研究開発をやるというタイプもある。だからそれをどういうふうに考えるかです。いろいろな要素もあろうかというふうに思います。だからそこらをより具体的に、やはり事務・事業ごとに詰めていくことが肝要かなと存じます。
 それでは、この主要事務・事業の見直しについての議論は、今日はこの辺で終えたいと思います。各ワーキング・グループにおかれましては、今日の御報告、そして今日の議論というものを踏まえて、引き続き検討を深めていただきたいと思います。
 最後に、事務局から何点か御報告がございます。

【菅原評価監視官】  時間も押しておりますので、簡潔に御報告させていただきたいと思います。
 まず、報告事項の1点目としまして、資料3−1というのをお配りしてございますけれども、先週の22日に政独委の委員長と府省評価委員会の委員長懇談会を開催したところでございます。当日は岡委員長のあいさつの後、富田分科会長より政独委の最近の活動状況の報告がございまして、その後、出席者の間で意見交換が行われたということでございます。意見交換の具体的な内容につきましては、後日、その場に出席された方の確認を得た上で、議事録として公表するということにいたしておりますので、議事録ができた段階でお送りしたいと思いますので、この場では省略をさせていただきます。
 次に報告事項の2点目でございますけれども、前回の分科会で御紹介いたしました契約の適正化と、それから給与水準の適正化の関係で、調査をするというものでございますが、各省から提出のありました回答を現時点で集計しているところでございます。まだ、すべて出そろっていない段階でありまして、調査結果の分析はこれからの作業ということになりますけれども、この調査自体、政独委の2次評価に使うというだけではなくて、1次評価に活用していただくという趣旨でございますので、集計結果を各府省の評価委員会の方に、当該府省分はもとより、他府省分も送付をいたしておるということを御報告したいと思います。
 それから3点目でございまして、資料3−2でございますけれども、独立行政法人の内部統制につきまして、整理合理化計画で第三者の専門的な知見も活用し、検討を行うということにされておりましたけれども、今般、行政管理局長と行政評価局長の研究会といたしまして、「独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会」というのを開催することになりました。
 ページをめくっていただきますとメンバー、構成員の方が書いてございますけれども、当分科会からも樫谷先生、鈴木先生、それから梶川先生に入っていただいておりまして、第1回目の会合を先週24日に開催したところでございます。この研究会では、今後、今年内を目途に論点の整理を行うべく、月1回ペースで会合を開催するという予定にしてございます。
 それから報告事項の4点目でございますけれども、評価機関の一元化を盛り込みました独法通則法の改正案でございますけれども、御案内のように7月21日に衆議院が解散されましたので、廃案ということになっております、ということを御報告を申し上げます。
 それから最後に、今後のスケジュールの関係でございますけれども、衆議院選挙といったような状況もございまして、先行き不透明な部分もございますけれども、当初の予定で言いますと、8月末に事務・事業見直しの各大臣の当初案が提出される予定になっておりますので、次回は9月8日15時から、その次は9月9日13時30分から、その次は9月10日15時からと、3日連続で恐縮でございますけれども、事務・事業の見直し当初案について、各省からヒアリングを行っていただく予定といたしております。議題、場所等につきましては、また追って御連絡を申し上げたいと思います。
 以上です。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今の事務局からの報告事項につきまして、何か御質問がございましたらお願いいたします。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、以上をもちまして、本日の政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日は御多用の中、御出席を賜り、ありがとうございました。

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