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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月9日開催)議事録

日時

平成21年9月9日(水)13時30分から15時20分

場所

法曹会館 高砂の間(2階)

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理 縣公一郎、浅羽隆史、阿曽沼元博、荒張健、稲継裕昭、岡本義朗、河村小百合、田渕雪子の各臨時委員

(総務省)
田中順一行政評価局長、江澤岸生官房審議官、讃岐建行政評価局総務課長、横山均評価監視官、細川則明調査官、平野誠調査官、高橋慎弥調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する府省ヒアリング(農林水産省、経済産業省、法務省)
  2. 報告事項

配布資料

会議経過

【富田分科会長】  まだお見えでない委員もいらっしゃいますけれども、時間となりましたので、ただ今から、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。

 本日は、昨日に引き続きまして、今年度の見直し対象となっております16法人のうち、農林水産省所管3法人、経済産業省所管1法人及び法務省所管1法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。

 まず、農林水産省所管3法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行います。本日は、農林水産省・小栗審議官始め、御担当の皆様にお越しいただきました。

 それでは、種苗管理センター、農業生物資源研究所及び農業環境技術研究所の見直し当初案につきまして、その主要なポイントについて御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の都合もありますので、恐れ入りますが、10分程度で御説明をお願いします。よろしくお願いします。

【藤本研究総務官】  農林水産省の技術会議事務局で研究総務官をしております藤本でございます。本日は、ただ今御紹介もございました種苗管理センター、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所、この三つにつきまして前倒しで見直して統合するという計画につきまして、ヒアリングをいただきまして大変ありがとうございます。

 それでは、大きな資料を用意させていただきましたけれども、資料1−2に基づきまして御説明させていただきます。まず、農林水産省の政策推進上のこの三つの法人の役割について簡単に御説明を申し上げます。農林水産省の政策体系でございますけれども、まず一番上にございますとおり、食料・農業・農村基本計画、これは現行のものは平成17年3月に閣議決定したものでございますけれども、これに基づいて施策を進めているわけでございます。食料・農業・農村基本計画では、この3行に書かせていただきましたけれども、食料の安定供給の確保に関する施策、農業の持続的発展に関する施策、農村の振興に関する施策、こういった形でそれぞれの施策を推進させていただいているわけでございます。

 このうち、関係部分でこの法人に関係のある部分を少し抜き書きさせていただきました。更にそれを具体化するものとして、2008年度に作った「21世紀新農政2008」というのがございます。これは、平成20年5月に食料・農業・農村推進本部で決定されたものでございます。この中では、国際的な食料事情を踏まえた食料安全保障の確保、農業に関する国際交渉等への戦略的な対応ということが決められてございまして、これに基づいて施策を進めております。

 また、研究所の方、これは独立行政法人の生物資源研と環境技術研究所でございますけれども、これは別途研究基本計画というのを持ってございます。平成17年3月に決められたものが現行のものでございますけれども、これでいわゆる農林水産関係の研究の進め方というものが決められてございます。この中で、こういったものを重点的に研究してまいりましょうというふうになってございます。

 その下に、これらに基づいて今行っております3独法の法人の目的と中期目標を書かせていただきました。種苗管理センターは、適正な農林水産植物の品種登録の実施及び、優秀な種苗の流通の確保というのが法人の目的でございます。そのために知的財産の保護でございますとか、種苗流通の適正化でございますとか、こういった仕事をしているところでございます。

 真ん中が生物資源研でございます。これは生物資源の農業上の利用に関する技術上の基礎的な調査及び研究が、法人の目的でございます。これに基づきまして、いわゆる遺伝子、ゲノム関係の研究でございますとか、農業生物、特に蚕でございますが、こういったものを中心に研究を進めております。

 右側が農業環境技術研究所でございますけれども、農業生産の対象となる生物の生育環境に関する技術上の基礎的な調査及び研究、これが農環研の目的でございます。例えば主に温暖化でございますとか、そういった環境に関する研究を進めているところでございます。

 次のページに参ります。それぞれの研究所なり、種苗管理センターの私たちの生活とのかかわりについて、今こんなところで利用されているというところを、少し具体的に御説明させていただきたいと思います。

 まず生物資源研でございますけれども、この左上、農業の現場でこのように使われている。これは稲でございますが、遺伝子、植物、品種によって、例えば病気に強いとか、弱いとか、早く取れるとか、背が低いとか、いろいろな性質を持っております。これをうまくかけ合わせて品種改良していくわけでございますけれども、最近はそれが遺伝子によって制御されているということが分かってまいりました。そうすると、かけ合わせのときに、この遺伝子を持っているところを早く選択していこうじゃないかというやり方をしております。こういったところで、病気に強い稲を作るというような、そういう仕事をしております。

 また、左下でございますけれども、この生物資源研が持っております遺伝資源、いろいろな種をいっぱい持っております。これは、もうほとんどなくなってしまったようなものをずっと保管しております。こういったもので、今は使われていないけれども、昔こんなのでものすごくおいしい小麦があったはずだということを復活するのをお手伝いしたり、そういう仕事をしております。

 右上でございますけれども、これは豚肉の例でございます。肉になってしまいますと、白い豚か、黒い豚か分かりません。黒豚だと書いてあっても消費者に分からないわけですけれども、そういった消費者に対する情報が正しいものかどうかということを、遺伝資源を使ってこれを確認するという手法を確立するということもさせていただいております。

 更に、右下でございますけれども、最近では、農業から周辺の分野にもこの生物研はウイングを広げております。ここでは蚕の例を書いてございますけれども、蚕に人工血管をつくらせるというような研究も進めているところでございます。

 1枚おめくりいただきまして、次に農環研でございます。農環研は国際機関で非常に活躍している研究所でございます。左上でございますけれども、今よく言われております温室効果ガス、水田というのは世界中で使っているところは大体アジアに限定されているわけでございますけれども、水田の特性を世界にちゃんと分かっていただくという仕事をしております。メタンなり一酸化二窒素という温暖化ガスを、どれぐらいで出てくるんだという極めて精緻なモデルをつくるということから、このIPCCというノーベル平和賞をもらっている機関から、協力してくれてありがとうという感謝状をいただいたというような活躍をしております。こうしたことを行政機関でも利用しておりまして、水田からのメタン発生を抑制する、温暖化ガスができるだけ出ないようにするというような研究をしております。

 また、右上でございますけれども、日本の土壌というのはカドミウムという重金属がたくさん含まれているところがございます。こういったものをできるだけ稲が吸わないようにしようということで、どうやればカドミウムを吸わないような作付けができるかというような研究も行っております。

 この研究所のちょっと特異的なところでございますが、右下にはいろいろな環境リスクというモニタリングのような仕事もさせていただいております。原子力の放射能の関係のモニタリングもしているわけでございます。ここには書いてございませんが、1999年に起きましたJCOの事故の際には、茨城県から農作物をここの農環研に運びまして、茨城県産の農産物は安全であるというような安全宣言をしたときの分析もここの農環研で行いました。ずっとこの放射能のモニタリングということもやっております。

 4ページにまいります。種苗管理センターでございますけれども、これは研究所というわけではないのでございますが、日本の農業の国際競争力を強化するという意味での仕事をしております。

 左側ですけれども、まず品種登録に対する栽培試験といったことを行いまして、優良品種の開発を促進しております。この作物、品種を作っていくというのは、育成者権という形で今保護されているわけでございますけれども、植物における特許というと少し違うかもしれませんが、こういった形で知財権を保護しているということをやっております。

 左下にそれを管理しているというところもございまして、Gメンによる育成者権の侵害対策というのをやっております。今18名のGメンによりまして、日本で育成した品種を勝手に増やしたり、外国でそれを勝手に増やして、それを日本に持ってくるということのないように、日々監視をしているという仕事をさせていただいております。

 また、右側でございますけれども、農業の現場におきましては、無菌苗、病気にかかっていない苗をこういう形で増殖いたしまして、それを流通させる、高品質な種苗を流通させるという仕事をしております。

 また、ここではばれいしょとさとうきびと書いてございますが、この2品目につきましては原原種、つまり農家が作る前に種になるところでございますけれども、その種の種をここで安定供給させていただいているところでございます。これによりまして、病気にかからない健全な苗を農業の現場に供給することができるという仕事をさせていただいております。

 1枚めくっていただきまして、見直しの考え方とこれまでの経緯を簡単にまとめさせていただきました。経済財政改革の基本方針2007で、独立行政法人の整理合理化を行うというふうになっております。また、独立行政法人整理合理化計画で、この三つの独立行政法人を統合するということになっております。

 当然、今年の基本方針2009では、独立行政法人について、来年度中期目標期間が終了する統合予定法人の見直しを前倒しすることにより、独立行政法人整理合理化改革を確実に実施するというふうに書かれております。私どもとしては、これに沿いまして、この三つの法人を統合するとともに、現在新たな融合領域といいますか、統合の効果というものも併せて検討させていただいて、新しい法人のあるべき姿というものを、今検討しているところでございます。

 6ページにまいります。新法人のミッションと統合効果について簡単に御説明させていただきたいと思います。新法人のミッションといたしましては、ここに書いてございますとおり、革新的農業技術や新たな価値の創造による豊かな社会への貢献。これは、農環研と生物資源研が、どちらかというと基礎的・基盤的な研究をしているという研究所でございますので、こういった農業の分野での基礎的な研究の充実を図っていきたいということでございます。

 研究開発及び新品種の育成・普及への貢献。この二つの研究所並びに種苗管理センターというのは、今までいろいろなデータを集めてきている研究所なり施設でございますので、こういったデータベースを活用して、それをいろいろと複合、統合して使うということによって、更に知的基盤を充実していきたいと考えております。

 次に、中長期的環境変動予測・影響評価に基づく農業環境政策立案等への貢献ということで、これは主に環境研がやっておりました温暖化対策でありますとか、こういったところに生物資源研が持っておりますゲノムの情報でありますとか、種苗センターが持っております、自分のフィールドにおける品種の栽培試験といった能力を使いまして、環境政策の立案へ更に貢献していきたいということでございます。

 最後に、地球規模の課題解決に向けた国際的取組への貢献という形で、こういった研究成果なり、業務成果を国際的に発信していきたいということも含めて、新たな法人のミッションというふうに考えているところでございます。

 それぞれ三つの研究所なりセンターの統合効果でございますが、この生命科学研究と植物品種、更に農業生態系というような形で統合効果をねらっております。

 次に、1枚めくっていただきまして、具体的にこういうふうに統合効果があるのではないかということを考えてまいりましたので、7ページをお開けください。まず、生物資源研と農環研の融合領域でございますけれども、生命科学と環境科学の融合ということが考えられます。例えば、今地球温暖化に対して、これを止めるためにはどうすればよいかということも研究されておりますけれども、我々農業をやるところは、そうは言っても場所を変えるわけにいきません。

 温度が上がったからといって、みんなで北の方に上がっていけばいいんですけれども、そういうわけにはまいりませんので、もし上がるのであれば、その上がったところで生産力をちゃんと確保していかなければなりません。高温に強い稲を作るとか、そういったことをやる必要があるわけでありますけれども、今の農環研の知識と、ゲノムなどを使った生物資源研の手法といったものを融合することによって、新たに温暖化に強い、高温障害の出にくい育種を進めていくという分野に、非常に両研究所の知識が融合して使えるのではないかと考えております。

 次に真ん中でございますけれども、これは農環研と種苗センター、この2つの融合効果を考えております。実は、土壌の中にはいろいろな微生物がおります。この微生物というのは、分かっているものというのはごく少数でありまして、1割ほどしか分かっていないと言われております。残りは培養することもできない、そういう微生物はいっぱいおります。そういう中に大体悪さをするやつとか、役に立つやつとか、いろいろいるわけです。

 その役に立つやつも、悪さをするやつも、よく分からないわけですけれども、それを今分かる手法として、培養はしないんだけれども、そのまま土ごと遺伝子を分離してくるというようなやり方、メタゲノムという名前で呼びますけれども、そういう手法が今確立してきております。こういった手法を使って、実際に今ばれいしょなりさとうきびを植えていて、非常にクリーンな種を供給している、こういった種苗管理センターのほ場にどんな微生物がたくさんいるんだろうと。

 逆に、悪さをする微生物がいるぞということが分かっているところでは、こんな微生物がいるぞと。それを比べてみることによって、こういうのがいるといけないんじゃないかということがよく分かってまいります。それは同定しなくても分かってくるわけでございまして、そういった手法を用いて、農薬を使わなくても、こういうのが出てきたら、少しこういうふうにすればいいじゃないかというような新しい手法を確立する。しかも、環境に優しい手法を確立するという点で、新たな領域が生まれるのではないかと期待しております。

 最後に、種苗管理センターと生物資源研の融合領域でございますけれども、これは先ほども若干申し上げましたけれども、昔もう植えなくなってしまったすごくおいしい麦があるんだと、これを復活したいという場合に、今生物資源研で種を持っております。これを供給して、もう一回復活するというようなことができるわけであります。このためには、種の保存であるとか、栽培試験をするとか、こういったところに多大な労力がかかっております。これを超低温保存技術だとか、ごくわずかな芽のところだけ冷凍して保存するというような新たな生物資源研の手法を用いて、保存スペース、保存コスト等をぐっと下げることができるのではないかと。種苗管理センターと生物資源研の融合領域として、こういうことも考えられるということを今期待しております。

 それぞれの今までのセンターなり、生物資源研の業務だけでなく、こういった融合領域も含めまして、新たに我々としては、ただただ統合するだけではなく、新たな融合領域について研究なり業務を進めてもらいたいと期待しているところでございます。以下、研究所の概要等、参考資料としてつけておきました。

 ちょっと早口になりましたけれども、私の方の説明は以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今御説明いただきました3法人の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  御説明ありがとうございます。今お聞きしていて分からない点が何点かありますので、質問させていただきます。

 今御説明いただいた資料1−2で5ページ、6ページのところなんですけれども、期待される統合効果ということで、研究課題への対応は分かったんです。どういう形で統合のメリットがあって、どういう形で検討を進めていくかということも、ざっくりとですけれども御説明いただいたかと思います。

 ただ、こちらの委員会で実施する評価というのは機関評価になりますので、要するに運営ですが、そこの部分の説明が6ページの左側に1行しかないんです。効果的・効率的な資源(人材、資源、施設)の管理運用、これしかなくて、中身が全くみえないんです。ここの委員会でのポイントというのは、むしろそちらの方にあるかなと思いますので、そうした意味からいくと、期待される統合効果、大きなところはコスト削減効果という形になると思います。

 そこで、農林水産省としては、3法人を統合することによってどのぐらいのコスト削減効果が見込まれているのか。要するにここがなければ、肥大化してしまったら、それは逆行してしまうことになりますので、要するに整理合理化ですから、どう整理合理化されるかといったところを、農林水産省としてはどう想定、どう見込んでいらっしゃるのか。それに向けて3法人が今検討中なんだろうと思うんです。ここに記載されている、期待される統合効果を実現するためにどうしたらいいかということで、検討されていると思うんです。ですので、まず最初に、コスト削減効果、そこの部分での想定、見込み。

あと、それを実現するためにどういうアクションプランを立てていらっしゃるのか。もう整理合理化計画がなされて、23年4月から統合されるわけですね。もう半分ぐらい来てしまっているわけですね。ですので、現在の検討状況、どこまで検討が進んでいらっしゃるのか、要するに主務省としての農林水産省の中で、あるいは3法人の中で。

 今後、どういう形で平成23年4月に向けて進めていこうとされているのか、その辺りをお聞かせいただけますでしょうか。

【富田分科会長】  お願いいたします。

【藤本研究総務官】  実は、正直申し上げまして、どこまで削れるか。当然統合でございますので、どこまでこれを合理化できるか、どこまで予算、人員を減らせるかというのは、正直申し上げまして、今のところまだ本当に検討中でございます。今のこの段階で、ここまで削れますということを申し上げれば、本当はいいんですけれども、今ちょうど半ばまで来ているところでございます。

 実際にこの新法人のミッションを決めるというところから検討が進んでおりまして、まだどういう形でこの新しい業務をするんだと。実際に研究室がぶら下がっているわけですけれども、そのために人間を増やすわけではありませんので、どういう形で新しく期待されているところに人間を張りつけていくんだというところは、まだ検討中でございますので、今の段階で、従来どれだけ減らすんだという、普通のままであれば、これだけ減らすんだというのはありますけれども、それ以上に、これだけの効果がありますというのを、実際の数字として今の段階で申し上げるわけには、私の方では今のところはございません。

【佐藤室長】  基本的な方向としましては、本部機能を一本化しましょうという話は、方針としては決めております。つまり、企画総務部門を1か所に集めましょうということになっております。ですから、いわゆる総務部門への業務が重複する部分での一定の効率化というものは図られるというふうに考えております。

 更に具体的なことを考えますと、三つの法人、二つは研究法人でありまして、一つがそうではないという特殊性を考えながら、これから更にその具体的なところは考えていかなければならないだろうと思っております。

 土地建物につきましても、できるだけ効果的な共同利用等による効率化などについて検討を進めていくといった状況にございます。

【富田分科会長】  田渕委員、いかがですか。

【田渕臨時委員】  今検討中ということで、実質的なお答えはいただいていないんですけれども、おそらく中では、ある程度見込みなり何なりは立てなければ進んでいかない。それではまずいと思うんです。コスト削減効果がどのぐらいだということをつかんだ上ででなければ、その先動けないはずなので、まず最初に、それがざっくりでもいいので、あるのではないかと。その辺りを国民の皆様にも分かるように説明していかないと、三つの法人を一つに形を変えただけというふうに思われてしまうので、そうではないんだと。この三つが統合すると、これだけの研究成果が上がって、コストもこれだけ削減されると。実質的な国費が削減されるといったところも含めて、もう少し具体的な形がみえるようなもので、順次検討中でも、今こういう検討をしていますとか、オープンに。何をやっているかがよく分からない状況ではなくて、オープンに、検討中であれば検討中ということを随時示していかれた方がよいのではないかと思います。以上です。

【富田分科会長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  すみません、御説明いただいて、全体のところは何となく頭の方に入りましたので、ありがとうございました。ただ、先ほど田渕委員がおっしゃったような、統合するということは、当然効果的・効率的な資源の配分をして運用するということになると思うんです。

 そういう意味では、各論のベースで、資料1−2の7ページで、こういういいこともあるんですよということをおっしゃっていただいて、ああ、なるほど、統合によって、統合しなくてもできたのかも分かりませんが、統合することにより、こういうのが促進するんだということもよく理解できました。

 ただ、これとほぼ同時に、こういうことをやることによってコスト面では上がるのか、下がるのか。こちらの方のジーンバンクの方については、統合することによって保存コストが下がるので、したがって場所も削減されるので、いいですと、より効率的になりますということで、これは非常に我々は分かりやすいんですが。

 生命科学と環境科学の融合だとか、あるいは真ん中のリスクの高度化などについては、これはむしろ統合効果による品質のアップであって、コストの方はそれほど下がらないと考えてよろしいんですか。まず第1問。

【藤本研究総務官】  コストや人員の削減について、これはこんな言い方をすると非常に怒られるんですけれども、研究領域というのは無尽蔵にありますから、コスト面だとか、予算とか、そういうことを考えなければ、我々も、研究所もそうですけれども、いくらでも仕事は増えていくという性格にあります。

 ですから、この中で我々としては何に重点を当てて仕事をしなければいけないのかということを、まずこの法人のミッションは何なんだということをきっちり決めて、それで今期待される融合効果というのがありますけれども、これをしっかりと加速化することによって、じゃ、何を合理化できるのと、研究の中でここに重点を入れた分だけ、何を削ることができるのということも含めて検討していかなければならないと思います。

 ですから、先ほどコストの全体を早く決めなければいけないのではないかというお話がございましたけれども、我々としては、ここの法人のミッションをまずしっかりと決めさせていただいて、ここはこういうことをやるべきだということをしっかり決めた上で、人員と研究資源の重点的な配分ということを検討させていただければなと考えております。

【樫谷分科会長代理】  おっしゃっていることはよく理解できます。ただ、こういう時代ですので、正直言ってやりたいことは山ほどあるということだと思うんです。ただ、予算とか、人員とか、あるいは設備の関係で、極めて限られてくると。そういう中で特別に重点化しなければいけないところに特化するということなんですが、特別に重点化するというところがちょっとみえないんです。説明の時間が短いのでそういうことになるのかは分かりませんが、非常に大きなところからずっと落としていただいて、実は、前回ワーキングでヒアリングしたときよりも随分分かりやすくはなったんですが、なぜここに重点化するという、3法人が持っている資源を最も有効に活用するにはこれが一番いいんだというところがみえなかったんです。

 そこで、全体の中で、何でここなのかということがみえない。つまり、やることは山ほどあるだろうと、予算が無限にあれば、人員も無限にあればということだと思うんですが、その中でなぜこうなったのかというのがよくみえないということです。

 それから、先ほどの御説明にもありましたように、少し生物資源研と環境技術研究所の2つの研究所と、それから種苗管理センターは少し毛色が違うというか、それが統合になったということで、これについて、統合して本当に、逆に言えばデメリットが出るかも分からないというところもあるわけですね。

 そういう意味でデメリット、メリットはもちろんあるとは思いますが、メリット、デメリット、多分統合するときに、性格が違うのでデメリットが出ますみたいなことも御説明を受けたような気がするんです。デメリットの部分は何か解決していかなければならないわけですが、その辺は現在のところどういうふうにお考えなんでしょうか。

【藤本研究総務官】  現時点のお話をさせていただければと思います。6ページに、全体の統合効果の絵をかかせていただいておりますけれども、この生物資源研なり、農業環境技術研究所、それから種苗管理センター、これは真ん中の部分に書いてございますけれども、先端・基盤研究及び知財権利保護を支える知的基盤の強化というふうに書かせていただいております。

 例えば、生物資源研で最も強いゲノムの研究でございますけれども、これは何が一番強いかというと、イネの塩基の並びをみんな押さえてしまった、みんな分かってしまったという、知識として、知的財産をたくさん持っているというのが、この生物資源研の強みであります。

 農業環境技術研究所も、これはIPCCの基準を変えさせるというところまで、自分たちのデータをいっぱい蓄積したというところが、非常に大きな強みになっております。

 それから、種苗管理センターですけれども、これは今まで品種登録をいっぱい持っておりますので、どんな品種がどんな性質を持っているのだというようなデータをいっぱい持っております。そういう意味では、この三つの組織というのは、農業の研究を支える知的基盤を有している施設であろうかと思っております。

 今回、一番大きな統合効果というのは、そういったそれぞれが持っていた知識を統合することによって、運用もこの1か所でできるようになる。それぞれの今まで気がつかなかった知恵の統合というのができるようになるというのが、非常に大きな統合効果ではないかと考えているところであります。

 もちろん、今まで、今日は生産局と技術会議事務局で来させていただいております。所管局も違うところでございますので、いろいろと業務に特化しているところと、研究に特化しているというところがありますので、統合してすぐには、今までの風習と少し違うということはあるかもしれませんけれども、我々、統合をお願いする側としては、統合することによって、コスト面のカットもさることながら、そういった研究の基盤の強化が十分図られるというところを中心に置いて進めさせていただければと考えております。

【樫谷分科会長代理】  おっしゃっている意味はよく分かります。できるだけ見えるような形で目標なり、計画に落とし込んでいただくと。

 それから、研究だと、非常に重要なことを3法人、今まではそれぞれ別々にやっていたと。連携はあったのかも分からないけれども、統合によってより充実しますと、これはよく分かります。研究することが実は目的ではなくて、最終的にそれを世の中に広めると。できれば、日本の農業に広げていきたい。あるいは、産業に広げるものも中にはあるかも分からんということですね。その部分がちょっとね。研究しますというのは分かります。ただ、研究することが目的ではないんです。ここの研究所はそうかも分かりませんが、農水省全体としては、研究していいものができましたねと、それでおしまいですということではなくて、その次に進めなければいけない。

 その部分というのは、どこがどういうふうに役割を担われると考えたらよろしいんでしょうか。企業なり農業との間のブリッジですね。

【藤本研究総務官】  例えば3ページの農環研のところを御覧になっていただきたいのでありますけれども、この農環研も、生物資源研も、非常に基礎的な研究所でありますし、種苗管理センターというのは品種の保護の管理をやっているところでありますけれども、例えば今日は私たちの生活とのかかわりという形で、こういう成果がどういうふうに今生かされているのかということを少し書かせていただきました。

 特にこの農環研の場合、国際機関に対して非常に強い影響力を持っておりますので、昨日も、25%の温室効果ガスを削減するというような御計画を発表されていますけれども、そういった中で日本のメタンなり一酸化二窒素というのは温暖化ガスですけれども、これを減らすためにはどうすればいいかというところで、しっかりと貢献をしていきたいと。こういった行政的な貢献というのが、まず一つではないかと思います。

 それから、これらの基礎的な効果をこれからどういうふうにして使っていくか。先ほどの生物資源研のところで蚕の人工血管を載せさせていただきました。これをどうやって産業化していくかというところでございますけれども、我々がやっているのは基礎研究といっても大学ではありませんので、応用の基礎というか、目的を持った基礎研究でございます。ですから、ここまでやったら、次はこれをどうやって産業化していくんだというところを、農林水産省の中て実用化の計画なり、戦略をつくって、ある程度進めさせていただければと今考えております。

 実際に研究所はここだけ作っていいのよということではなくて、ある特定の医薬品の会社でありますとか、衣料品を作っている会社でありますとか、そういったところにもいろいろ売り込んでいただくというような作業もさせていただいているところであります。

【樫谷分科会長代理】  そのとおりだと思いますので、できればそういう戦略の中で、基本的には食料の安定供給、確保だとか、農業の持続的発展という基本計画があるわけで、これと結びつかないといけないわけですね。だから、研究は必要なんです。研究したものはどうするんですかということがもっと必要になってくると思いますので、その部分ももう少し意識して国民にちゃんと説明しないと、研究するためにお金が要るんですと言われても、それはそうかも分からないけれどもという話になるので、役に立ちますということを前提に考えていかないと。

 私も、何となくこれを聞いて初めて分かったんですが、蚕の研究をしていますと言われても、今さら蚕かと、何十年も何やっているんだという話につながっていきますので、明確にしていただいて、予算の方も特化していただくとか。もちろん、これの実現可能性もよく評価していただかないと、すばらしい研究だけれども、やっぱり実用化できませんでしたということ、まだ分かっていないでしょうけれども、それでは困りますので。

 そういうことにめどをつけながら進んでいっていただかないといけないのかなと、こういうふうに思ってはいます。だから、こういう戦略の中で本当に可能性を探しながらやっていくんだということも、評価の中でやっていただきたいと思います。

 それから、研究評価システムをそれぞれ二つの研究所は導入されているんですが、この研究評価システムというのは同じ概念であって、別にシステムの何とか銀行と何とか銀行の統合でシステムを障害したということにはならないということですか。同じポリシーでやられているということですか。

【藤本研究総務官】  ポリシーといいますか、考え方というのは基本的にはあまり変わらないんですけれども、もちろん今まで全然違う研究について評価をしておりますので、その評価のやり方についても、今回統合することを期にどうするかというのは、併せて検討させていただいております。

【樫谷分科会長代理】  それは、是非その辺は同じ物差しで測っていただかないと、それぞれ違う物差しで測って、よかった、悪かったと言われてもうまくいかない。私、素人なので間違った言い方をしているかも分かりませんが、是非その物差しは統一していただくということで、よろしくお願いしたいと。

【藤本研究総務官】  それは当然内部でもそういう指摘がありますので、今までの評価、一つの法人としての評価は違ってまいりますので、そこは今検討しているところでございます。

【樫谷分科会長代理】  よろしくお願いします。また後で。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。稲継委員、どうぞ。

【稲継臨時委員】  御説明ありがとうございました。今お2人の委員の方から、統合に関する質問が続いたんですけれども、私も統合に関するものを1点と、種苗管理センターに特化した質問1点と、2点させていただきます。

 一つは、統合で人に関する問題なんです。生物資源研究所と農環研の方では研究職がかなりの数おられて、種苗管理センターの方には研究職はゼロだとお聞きしております。一般職がかなりいて、そのうち技術専門職と呼ばれる技術の補助員さんのような方々が種苗管理センターにはかなりいて、ほかの研究所にもそれぞれ何十人かずつおられると聞いています。

 出身法人にとらわれず、この3法人、一つになるわけですから、人員の再配置とかをかなり大胆に進め、また、いわゆる単純労務にかかわる部分については、政府全体としてもアウトソーシングの方針にあるわけですから、それをやっていくということが必要だと思うわけです。それについて、どのような考え方で進められるのかということ。

 それから、特に統合したら、人の部分については、間接部門、管理部門については相当削減余地が出てくるのが通例ですけれども、それについての検討状況はどうなのかというのが1つ目の大きな質問でございます。

 2つ目の種苗管理センターに特化した質問なんですけれども、今御説明いただいた資料1−2の4ページの左下にGメンによる侵害対策ということが書かれているんです。もう一つ、頂いている資料1−1の中でもGメンのことについてちょっと説明しているところが、8ページとか、13ページのところに出ているんですけれども。このGメンというのはそもそも、私、勉強不足で申し訳ないんですが、そういう言葉を使われるとマルサとか、あの辺を想像してしまうわけですが、一体どういう資格を持っている人がこのGメンになれるのか。そして、具体的にどういう活動をしているのか。

 ここに書いていることで言うと、逆輸入を阻止したり、不当な海外への持ち出しを阻止したりとか、そういうことをすることになっているんですけれども、全体の人数としてはまだ十数名と聞いておりますので、果たしてそんな大きなことができるのかどうか。そして、見直し案の中には、資料1−1の13ページのところですけれども、Gメンを研修講師として各国に派遣して、悪いことをしないように研修すると書いているわけですけれども、果たしてそれが本当にGメンと我々がイメージするもののやる仕事なんだろうか。水際でもっと何か摘発するような人たちのことをイメージしているわけですけれども、このGメンの位置づけと、今後これをどのように発展させていくお考えなのか、この点について、2点目としてお伺いしたいと思います。

【藤本研究総務官】  まず1点目の方。先ほど統合効果で人員、予算、資源、そういったものをどうするのかという御質問と同様の質問であろうかと思いますけれども、これから単純に、例えば畑を耕している人が何人いるかとか、実際に研究管理をしながらやっている人が何人いるか、そういったことを含めて業務の質を詳しくみていかないといけないと思っております。いわゆるアシスタントでありますけれども、研究アシスタントの業務の性格、今までは多分違っていると思いますので、そういったものも含めまして、統合でどれだけの削減ができるか、動かせるかということについては、先ほどの繰り返しになりますけれども、検討させていただきたいと思っております。

 それから、どれだけ削れるかというところで、先ほど室長からお話し申し上げましたとおり、一番削れるのは、統合してできるのは管理部門であることは論を待たないと、我々も思っております。したがいまして、管理部門、間接部門についてどのような削減ができるかということについては、もちろん削減できる方向で、私どもも検討しているところでございます。

 今三つとも本部はつくばにございますので、その中で本部機能をどこに置くのが一番いいとか、そういったことも含めて検討させていただいておりますので、それはもう少しお時間をいただきたいと思っております。

【小栗審議官】  2点目の新種Gメンの関係でございます。生産局審議官の小栗であります。

 お手持ちのこの大きな資料1−2の一番最後のページの種苗管理センターの概要というところを見ていただきたいと思います。主な業務の1つ目の丸の2つ目の点に「品種保護Gメン」云々と書いているところがございまして、「品種保護Gメン」による登録品種の「育成者権」侵害に対する相談、情報収集・提供、品種類似性試験等を実施と書いてございます。

 この品種保護Gメンというのは、警察権力とか、そういった特別な権限が与えられた資格ではございません。栽培試験を実施しております種苗管理センター職員が専門知識を生かしながら、育成者権の侵害というのが、個人の育成権者の権利を守るということでございますので、その権利を持っている育成権者から、私の権利が侵害されているのではないかと相談を受けるとか、あるいは、あそこに怪しいやつがあるので、それの採取に付き合ってくれとか、あるいは、そのものを保存することを手伝ってもらいたい。あるいは、具体的に怪しいものにつきまして、品種の類似性試験、まさに育成者権が与えられている品種と怪しい品種が同一品種であるかどうか、DNA検査をするといったような、品種の育成者権を守るための支援業務を行う者を、私どもは便宜的に品種保護Gメンという名称を与えました。

 この品種保護制度、まだまだ普及が進んでおりませんので、育成者権を持っている方々を、国なり独法がこういう立場で、あなた方の権利──権利は自ら守っていただくわけでございますけれども、それに対する支援をする、こういうような役割の人間を置きましたということにつきまして、PRを兼ねまして品種保護Gメン、ある意味大げさな名前かもしれませんけれども、そういった名称でPRをさせていただいているところでございます。

 そういうことでございまして、御紹介のありました東アジア品種保護フォーラムにおける研修講師派遣というのは、この品種保護制度、欧米、アメリカとかヨーロッパ、日本ではかなり確立しておりますけれども、これから我が国の農産物の輸出が大いに期待される東アジア地域におきましては、まだまだそういった制度が一部の国にしか普及しておりません。中国、韓国、シンガポール、ベトナム、実際に品種保護制度が制度されておりますのは、東アジア地域、その4か国程度でございますので、そういったものを東南アジア全体で取り組んでいただきたいということで、昨年、東アジア植物品種保護フォーラムという、ASEANプラス3、ASEANと東アジア、3カ国に入っていただいて、フォーラムという形で品種保護制度の重要性なり、普及の在り方ということを、既に確立しております私ども日本をはじめとして、そういった国を中心に御説明をしているわけでございます。

 その際に、制度をつくるだけではなくて、制度をフォローアップするものとして、こういった品種保護Gメン的な、支援的な、こういう活動も必要なんですよということについても御説明しまして、そういったことも重要であるので、そういう点での研修も受けたいので、いわば品種保護Gメンの方も研修講師としても来てもらえないかというお話もあるということで、ここでそれを明記させていただいているところでございます。概要はそういうことでございます。

【稲継臨時委員】  今、育成者権侵害に対する相談等を受けるということなんですけれども、具体的に相談件数は国内で何件で、海外で何件ぐらいあるんですか。

【川合課長】  最近は、18年度からこのGメンを置いておりまして、特に相談件数については18年度29件、直近20年度で47件という相談件数が来ております。

 あと、実際に自分は育成者権を侵害されたと、その記録を保存してほしいという要望もございます。そういった記録を保存した件数が18年度は3件だったんですが、20年度は12年ということで、最近こういった相談なり、活動というものの件数は増加傾向にございます。

【稲継臨時委員】  それは国内ですか、海外からの相談件数もあるわけですか。

【川合課長】  海外からと言いますか、国内で育成者権を持っている方が、海外から自分の権利を侵害されたものが輸入されてくると、こういったものをチェックしてほしいと。これも取り締まり自体は税関当局にやってもらうことになるんですが、それに際して、最近やった分かりやすい事例としては、熊本県では「ヒノミドリ」という品種がございます。どうもこれが、イグサなんですけれども、中国でかなり栽培されているのではないかという情報が寄せられております。

 そういった中で、私ども、全国の輸入業者に対して、ヒノミドリを輸入した場合には罰則の対象になりますよ、民事訴訟の対象にもなりますよ、注意してくださいねということを申し上げましたところ、各ござの輸入業者の方から、自分が輸入しようとするものは育成者権を侵害しているのではないだろうかと。ついては、是非Gメンの方でDNA鑑定してくださいと、こういう要望がこのわずか数か月の間で78件寄せられていると。そういった形の要望というか、対応というものをやっている次第でございます。

【縣臨時委員】  細かい点を伺いたいんですが、田渕委員と稲継委員がおっしゃられた役職員数の整理合理化の見通しと、その効果、それから、それが根拠なのかもしれませんが、たまたま今本部がつくば市に3か所あるとして、それが統合された後、施設としてどういう見通しなのか。それ以外の下部組織についても、どういう見通しで、どういう統合効果があるかということについてデータを出していただくというのはいかがでしょうか、分科会長。

【富田分科会長】  今すぐでなければ、後で事務局経由でお届けいただければと思うんですけれども。

【藤本研究総務官】  先ほど申し上げておりますとおり、本部機能は確かに3か所の本部機能を1か所にするということでほぼ確定してございますけれども、それに対して、管理部門をどれだけにするかというところまで、まだ完全に詰め切っておりません。そこは検討中なのでございますけれども、今の段階で数字を出せと言われると、まだ検討中なんですけれどもというお答えしかできないところは、御理解いただけないでしょうか。

 ですから、出せるものを検討させていただきたいと思いますけれども。

【富田分科会長】  先ほど来のお話では、統合によって管理部門の節減効果というのはあらわれるのだということを何回も強調されていましたので、今のような御指摘があったんだと思うんですけれども、よろしくお願いします。

 それでは、時間の都合もありますので、種苗管理センター、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所につきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りましてありがとうございました。

 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 また、本日は時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。

 農林水産省の皆様方は御退席をいただきまして結構でございます。ありがとうございました。

【藤本研究総務官】  どうもありがとうございました。

(農林水産省 退席)

(経済産業省 着席)

【富田分科会長】  続きまして、経済産業省所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。経済産業省・西本審議官を始め、御担当の皆様にお越しいただきました。

 それでは、産業技術総合研究所の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、経済産業省から御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係もありますので、御説明、5分程度でお願いいたします。

【西本審議官】  経済産業省の西本でございます。よろしくお願いいたします。

 本日はこのような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。それから、先日、ワーキング・グループの先生方に産総研までお出ましいただきまして、非常に短時間ではございましたけれども、産総研での私どもの取組の一端をかいま見ていただくことができたのかなと、非常にありがたく思っております。

 本日、お手元に資料を用意いたしましたけれども、資料2−2、これは7月に私ども経済産業省の独法評価委員会で御審議いただいて、更に8月24日に親委員会の経済産業省の独法評価委員会で御審議いただいた内容、そこでお諮りした資料でございます。ページ数が多うございますので、本日は5分での御説明ということでございますので、青いA3横長の1枚紙、ポンチ絵にしまして、これで御説明したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私ども産総研の今の現状でございますけれども、これは上の青いところの業務の特徴と書いてございますが、平成13年に16ある研究機関が、旧工業技術院の研究所が統合されまして、独立行政法人産業技術総合研究所という形で発足させていただきました。主な業務は三つに大別されております。一つが、鉱工業分野の研究開発ということで、ここはイノベーションの創出を担う部分ということで、萌芽的な研究から基礎研究の成果を製品化に結びつけていくところまで、これを担っております。

 二つ目に産業基盤の整備ということで、これは明治以来、地質の調査とか、計量標準のメートル原器とか、1キログラムとか、1ボルトとか、温度とか、そういった産業の標準を供給している日本で唯一の機関でございます。

 それから、人材育成ということで、企業等で即戦力として活躍できる研究人材を育成していく。

 この三つの柱で私ども産総研は来ているわけでございますけれども、この中でも、第1期から2期に移るところでも、組織業務見直しをきちっとやってということでうたわれておりまして、旧研究所の枠組みにとらわれない資源配分の最適化、それから社会的、政策的な研究ニーズに応じて機動的に、柔軟に組織を見直すべしという心構えでやってきておりまして、私ども16の研究機関を一個に統合するときに、基盤的な研究を担う研究部門と、それぞれの3年から7年ぐらいで一つの成果を出すようなセンターということで、機動的に、柔軟にそれが改廃できるような体制で進めてまいりました。

 その結果、目標とするような特許件数とか、計量標準とか、あるいは論文の被引用件数等々書いてございますけれども、これら、いずれも目標達成できるような段階にまで来ているのかなと思っております。

 あるいは、気候変動の関係でのIPCCへの報告書への貢献とか、あるいは大陸棚の問題で、大陸棚の延長をどうするか、これは国益に直結するような問題でございますけれども、こういったものの調査への貢献とかいうような社会的な貢献をいたしております。それから、組織の中にあっては、コンプライアンス本部を設置して内部統合を強化するということでやってきているわけでございます。

 先を急ぎますけれども、産業技術をめぐる最近の状況でございます。これは、今の世界市場での競争が非常に激化しているということとか、あるいは直近での民間研究投資の落ち込み、就業環境の悪化等々を踏まえまして、私ども産総研には三つの期待があるのかなと思っております。

 一つは、新たなイノベーションモデルをきちっと構築し、このイノベーションの部分で貢献するということ。二つ目に、新しい時代の産業基盤の整備ということで、これまでの計量標準とか、あるいは、いろいろな標準を出しているわけでございますけれども、新しい時代に応じて産業の基盤となるような標準等の供給ということで貢献が求められているのかなということ。三つ目に、高い水準の研究を行う人材をきちっと養成していくということで、イノベーティブな人材を継続的に養成していくということが、産総研に求められている期待かなと思っております。

 主要事項、取り組むべき組織・業務の見直しということで四つ挙げさせていただいております。一つは、産総研そのものの社会での活用。効率的・効果的な業務組織運営を目指すということでございます。一つは、産学官の研究の拠点となるべしということでございます。二つ目に、地域発のイノベーションの拠点となるということでございます。それから、その中では下に書いてございますけれども、自己収入の増加ということがうたわれております。今630億円ぐらいの交付金に加えて、200億弱の外部資金を獲得しておりますけれども、こういったものをきっちりと拡大していくということが必要かと思っております。

 二つ目に、政策的・社会的課題対応ということで、「産総研研究戦略」を作っているわけでございます。これに当たっては、業務をきちっと重点化していく。戦略目標をきちっと定めて、必要な課題対応の研究プロジェクトを提示していくということで、業務を重点化していく。あるいは、重点化の中では、10年、20年先を見据えた基礎的研究についてもきちっと進めていくことかと思っております。

 更に、業務の重点化の下に少し書いておりますけれども、産総研の研究戦略を効率的・効果的に進める観点から、海外の機関・企業等との連携とか、あるいは国際標準化への取組についてもきっちりやるべしということでございます。具体的には、先般、5月ですけれども、アメリカのDOE傘下の5つの国立研究機関とMOEを結んで、きちっと新エネルギーとか、いろいろな分野の研究開発を共同でやろうという取組が始まっております。

 三つ目のコラムでございますけれども、業務とか成果をきちっと「見える化」すべしということでございます。一つ目が活動内容とか研究成果、これは私どもも努力しているわけでございますけれども、更に一層「見える化」を進めるべしということでございます。

 成果を社会的に普及させるための効率的・効果的な運営方針を立てるべしということでございまして、イノベーション推進のための部署の統合的運用とか知財の管理等々について、きめ細かい取組をするべしということでございます。

 最後に、絶えざる業務組織運営改革ということで、そこに六つほど掲げさせていただいておりますけれども、費用対効果の視点を取り入れて数値目標を設定するということ。あるいは、人材の確保。これまでいろいろドクターの人を採用したり、研究部門以外の事務部門でも一律に採用していたわけですけれども、やはり幅広い分野から優秀な人材を獲得するような仕組み、あるいは、中でのキャリアパスの構築等々を図るべしということでございます。

 三つ目の丸でございますけれども、人事評価につきましても、きちっと能力・職責・実績によって評価して、給与等に反映させるということにするべしということ。あるいは、業務を効率化するためにはアウトソーシングを活用する必要がございますし、アウトソーシングしていたものでも、内部化した方がいいものについては内部化していくということ。あるいは、研究評価結果への評価業務への一層の反映、あるいはコンプライアンス推進のための取り組みということを進めて、絶えざる業務組織の運営改革を進めるべしと。

 このような4本の柱で私ども、進めていこうかなということでございます。以上でございます。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今御説明いただきました産業技術総合研究所の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

 岡本委員、どうぞ。

【岡本臨時委員】  どうもありがとうございました。それから、先日はどうもありがとうございました。

 今御説明いただいた点、若干触れられた点がありますので、そこを契機に御質問をまずさせていただきたい。私が関心を持っておりますのは、前回の訪問のときにも御質問させていただきましたけれども、この産業技術総合研究所のミッションと財源の関係です。この法人のミッションの必要性、重要性というのは十分認識しているつもりでございますが、財源との関係がどうしてもあまり明確にならないのではないかという問題意識です。

 単刀直入に申しますと、自己収入の増加というところで述べられた点に関係するわけですが、本来ならば、法人が非常に必要な業務をやっているのであれば、本来的な財源である運営費交付金をもって充てるべきだろうと、私なんかは思うわけです。ただ、いろいろ数値を出していただいてみてまいりますと、外部資金がある一定の割合でずっと入ってきていると。多くの財源は経済産業省とNEDOから来ていると思っております。大体30%ずつぐらいあるんでしょうか。そう思いますと、法人のミッションで本来やるべき内容というものと、財源はうまくマッチしていないのではないかというのが、1点、問題意識として持っているということです。

 それから、どうしても自己収入の増加というふうに書きますと、これを増加させることがいいことだと思いがちで、産総研以外の研究所においても多くのところがそういうふうになっているかと思うんですが、果たしてそれはいいことなんでしょうかという観点から、若干御意見をお伺いしたいんですけれども。

 例えば、見直し当初案で、個人評価における研究資金獲得に係る項目をより明確にすることで、研究者個人のモチベーションを向上させ、外部からの研究資金獲得の増加を図るということを、経産省は総務省の方に提出されていらっしゃるかと思います。ここ、もう少し具体的に、モチベーションというのは、これをすることはいいことだと思うんですが、ややもすると、研究者自らのいろいろな研究目的等から、資金獲得に走ってしまうのではないかという懸念を私なんかは思うわけです。

 もう少し国策としてという言い方はあれなんですけれども、もともとは国研という流れがあるかと思いますけれども、そういうところでやっている研究でありますから、政策、あるいはその戦略に基づいて研究活動などはやるべきだと思いますから、その辺で経産省、あるいはこの産業技術総合研究所の戦略というものがあって、個々の研究ではないかなと思いますので、その辺、どのように考えていらっしゃるかという点を、まずはお聞きさせていただきたいと思います。

【西本審議官】  私ども産総研の役割というのはどういうところにあるかということなんですけれども、ここの2号業務、3号業務と言いますか、きちっとした標準を提供するとか、あるいは基本的な研究のインフラを提供するとかいうことは、これは収益があるものではありませんので、国としてきっちり提供していくものだと。1メートルのメートル原器とか、1キログラムとか、2,000度とか、1ボルトとか、そういった標準を提供する。あるいは、地質のデータを提供するというようなこと、こういったものについては見返りがございませんので、きっちりと国としてやらないといけない。そういうものだと思うんです。

 一方で、研究も、基礎的な、共通的な基盤の研究、これはやはりきちっとやるべきもので、リターンがあるものではありませんけれども、一方で、産総研がやらないといけないもう一つのミッションは、トランスレーショナルリサーチというか、橋渡しのところはきっちりとやらないといけない。それは、おそらく独りよがりでは駄目な部分があって、相当産学連携の枠の中でやらないといけない。産業界の希望等を全部吸い上げながらやっていくというところでは、やはり産業の期待にこたえて、しかし、一定の産業からのリターンも得ながらやるというところが、実際に産総研の研究の進め方にとって一番理想的にはいい形なのかなと思っています。

 実際問題として、独法、産総研に対する交付金がどんどん減っていくという中で、背に腹はかえられないという側面は別途あるにしても、一方で、民からの資金もある程度いただきながらやることによって、情報も入ってくるんです。ですから、そういう部分では外部資金をきちっともらってやるということが、むしろ研究を進める上で独りよがりにならずに、外の情報も取りながらやるということで、いいのかなと。

 例えばドイツのフラウンホーファーなどは、外部の資金をどれぐらい持ってくるのか、それは外部のニーズでもあるわけですから、外部の研究資金を持ってこれる研究者が立派な研究者というふうな評価にもなっていると聞いていますし、産総研にもそういう側面があるはずだと、私どもも思っているわけです。

【富田分科会長】  岡本委員、いかがですか。

【岡本臨時委員】  そのときに、経済産業省は、委託という立場に立たれるときの経済産業省という意味でございますけれども、これはやはり経産省が産業技術総合研究所に委託する研究というのは、経産省の方で評価されていらっしゃると思うんですが、それはどういう仕組みになっているか。この問題意識は、経産省からの外部資金が全体の中で大体3割程度ずっとあるという、そういう数字的なある一定の常態化ということが若干気になっているものですから、そういうふうに申し上げているわけです。

【西本審議官】  私ども、当然外に委託している場合、それは産総研であれ、どこであれ、私どもの評価の仕組みの中できっちりと評価した中でまず選んでおりますので、それは産総研に常態的に行われているというものではありません。プロジェクト・バイ・プロジェクトで、どこの大学に流すか、どこの研究所に流すかということをきっちりと評価した上で委託しているということでございますので、そこについて特に恒常的にこうなっているということはございません。

【岡本臨時委員】  透明性も確保されているということですね。

【富田分科会長】  どうぞ、荒張委員。

【荒張臨時委員】  先日はどうも、いろいろありがとうございました。

 私の質問は、成果がどう還元されるのかという視点に立って御質問させていただきます。前回視察したときも、ナノチューブで、ある企業と共同でお金を出し合いながらすばらしい成果を出されていたと思うんです。それはまさに今審議官がおっしゃったように、製品化につながる橋渡しとして非常に大きな役割を果たしていると思うんですが、逆に、あそこで出た革新的な生産方法とか、そういったノウハウを、例えばあの研究だと、一緒にやった企業というのは投資もするけれども、かなりメリットも受けるわけですね。

 ですから、そういった最初の共同研究をする段階で、どういうふうに選定を。どの企業とやっていくのかというところで、どういう判断をされているのかなと。要するに公平性とか、そういった観点で、どういうふうにみているのかというのをまず教えていただきたいと。

 それから、そういった成果が特許等という形で形になると思うんですけれども、これも的外れかもしれませんが、国が特許権を持ってパテントを得るというのも一つの考え方だと思うんですけれども、そもそもこういった橋渡しをするために研究所があるというのは、そういったものを産業界にどんどん出していって、それが我が国の産業が発展していくことによって国益に資するのかなと、私は思っていまして、そういった観点から、どういうふうにこれを還元していっているのかというのが、二つ目にお聴きしたいところです。

 3番目に、ここにも書いてあるんですが、海外機関とか企業との連携、取組ということで、非常にグローバルに企業や研究機関とやり取りをし、お金ももらいながらやっていく中で、先ほど私が申し上げた国益という観点で、研究所として世界的なレベルでどんどん発展していくということは、逆にいろいろな外国企業からのオファーもあるし、お金も入ってくるのかなと推察するんですが、逆に外国企業の方に革新的な技術がどんどん渡っていくと、結果的に国益に資さないんじゃないかなという素人考えがあります。そういったところを産総研さんはどういうふうにお考えになられているのかを、教えていただきたいと思います。

【西本審議官】  まず企業との共同研究ですけれども、私ども産業技術総合研究所は企業に開かれた研究所でございますので、私ども、オープンイノベーションという言葉を使っておりますけれども、産総研と共同研究をしたいという人は自由でございます。その中で、私ども産総研が持てるリソースの問題もございますけれども、産総研にたまっている知を活用したいという方がいらっしゃれば、それはオープンであるということでございます。

 成果をどういうふうに管理するのかということでございますけれども、個別に契約があるわけですが、基本的に共通基盤的に得られた技術というのは、共有できるものだと思っています。ただ、個別に企業が資金提供もしてやったものについては、それは契約によりますけれども、企業との相談の中で企業に帰属させるものということは契約で最初に取り決めて進めるということになっております。

 それから、海外からの資金の獲得というのも、今のところ非常に少ないわけですけれども、本来、諸外国の研究機関を見ても、やっぱり外部の資金は外から取ってくるというのは、本来は外から評価されればそういうことになるわけで、日本の企業も随分海外の研究機関と共同研究とか、お金も出しているわけです。そこのところは、もう少し日本の産業技術総合研究所も、もっと世界から地位を認められれば、もっと外からもお金が引っ張れると思っています。

 そのときに、産総研がやっているのは、非常に共通基盤的、基礎的な部分に重きがあるわけで、それによって、ありていに言えば、情報の安全保障、貿易管理的なところは当然歯止めはあるわけですけれども、そうでないものは、基本的に共通基盤的なものはオープンにできると思っています。そこは中でコンプライアンスをきちっと図っておりますので、おかしなことにならないように管理はできていると考えております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。

【阿曽沼臨時委員】  岡本委員の御質問に少し具体論として追加の質問をさせていただきます。外部の資金というものを取ってくることがいい研究者だということは、最近の大学でもそういうことでありますから、そう思いますが、エフォート率というのが当然ございますね。

 それから、あともう一つは、お一人お一人の研究者が主任研究員になって科研費などをお取りになっている。主任研究員ということになると、エフォート率というのは相当高くなってくるんだと思いますが、そういった工作科研、文部科研等々と、例えば科研費の研究テーマというものが本当にミッションの、自分が所属しているユニット、研究のテーマと総合的にシナジー効果があるんだという評価がされた上で、そういった研究の申請が行われているのか。もしくは、エフォート率の管理ができているのかということについて。

 もう一つは、先ほど外部で評価されていますと言っていましたけれども、具体的な評価の仕組みみたいなものがもしあれば、ちょっと教えていただけますでしょうか。

【西本審議官】  科研費みたいなものを取ってくるというのは、それぞれ研究者の中でどういったものを取るかというのは、一応産総研の本体として全部グリップできることになっていて、契約は産総研のところでやるわけですから、その過程で本当にその研究が産総研の全体のミッションにとって適合しているものなのか、どうなのかということはきちっと確認することになっておりますので、それは私ども、うまく機能していると思っております。

 当然産総研の研究者も非常に挑戦的な研究をいっぱいされていますから、知見も広げないといけないし、それがそれぞれのセンターなり、部門なりのやっているミッションと整合性があるかどうかということのチェックは、内部でやっております。私ども、個別の一つ一つの研究者について、本省サイドで1個1個みているわけではありませんけれども、彼らの研究の取組全体が産総研の研究戦略に合致しているかどうかということについては、チェックしているということでございます。

【阿曽沼臨時委員】  あともう一つ、すごく単純な話ですが、例えば受託収入等の実績を平成14年から19年ぐらいまでずっとみておきますと、運営費交付金は少しずつ減ってきていると。ただ、外部資金そのものはそんなに増えているわけではないと。ということは、年度の受託の研究のための収入というのは、それほど大きく変わっているわけではないわけです。

 ところが、御説明の中でカーボンナノチューブにしても、これからどんどん研究をしていかなければいけない、ロボットにしても。いろいろな一つ一つのテーマが、やらなければならないことが結構山積みになっているといったときに、ほんとうにこれだけの受託収入の中で何がやっていけるのか。そういったことが現実的には議論にならざるを得ないのではないかなと。

 そうなったときに、本来やるべき仕事と、これから発展が期待される研究に対するテーマに関して、本当に資金の問題というのは、今すぐ具体的にどうこうしたいということはないにしても、何に頼っていくのか。そのためには、どうしなければいけないのかということについて、何か具体的に今考えていらっしゃるようなことはございますでしょうか。

【西本審議官】  具体的にこうするという定量的なものがあるわけではありませんけれども、分野なり、研究のテーマなりのきちっとした絞り込みというのが要るんだろうなと思うんです。産総研は非常に手広くやっていますから、バイオもやり、ロボットもやり、ナノテクもやり、何でもやっているわけですけれども、その中でメリハリをつけて進めていくと。

 例えば今の産総研の中にナノテクセンターをつくろうと思っているわけですけれども、これからエレクトロニクスも世界的に見ても投資額がどんどん膨らんでいくし、そうすると、例えばインテルにしても、IBMにしても、自分で微細加工のところの試作なんかできなくなっているから、外に頼むということになって、オープンイノベーションの一番典型的な例ですけれども。

 そんなときに、ベルギーとオルバニーぐらいしかないわけです。そういう技術があるのは産総研だと、私どもは思っています。では、ここを徹底的にやろうと、これは一例でございますけれども、ナノテクノロジーの世界のセンターになるんだということで今やっているわけです。こういう分野ごとの在り方というものを、メリハリつけてやっていくということだと思います。研究者にも、研究費にも、リソースにも限りがございますから、今回の第3期のところでは、そういうメリハリをどういうふうにつけていくのかということを、はっきりと打ち出していく必要があると思っています。

【阿曽沼臨時委員】  標榜されているオープンイノベーションというのは非常に重要なテーマでありまして、これはどんどん進めていっていただきたいと思いますが、確かに海外のところとか、地域において大学とか、いろいろなところとの共同研究というのは出てくると思います。むしろ独立行政法人でいろいろな研究をされていらっしゃるところはいっぱいあると思うんですが、そういう意味での他の省庁とのいわゆるオープンイノベーションというようなものを中心になって旗振りをするということが、実はもっと重要なのではないかなという観点もありますので、その辺についていかがでしょう。

【西本審議官】  先ほどのナノテクセンターの話でいくと、つくばには筑波大学がございます。それから物材機構がございます。ですので、私ども産総研と物材機構、これは文科省傘下の独法でございますけれども、それから筑波大学と、この三者で合意をいたしまして、つくばのあの地区にナノテクのメッカを作るぞということで進めているところでございます。

 ですから、私ども、別に組織にこだわらずに、今回ナノテクの拠点ということでねらいを定めて、大学も入るし、企業もいっぱい集まってくると思いますけれども、他省の独法も入って、拠点をつくるということで取り組んでおりますので、そういう取組をいろいろな分野でやっていけたらと思っております。

【阿曽沼臨時委員】  最後に一つなんですが、この資料2−2の1枚目の一番左の中で、地域発イノベーションの創出のための地域拠点の重点化・効率化ということが重要だと。ワーキングで皆さん方と見学のときもお話をしたときに、センターが九つありますと、北海道から。そのセンターというものの場所的なものというのが、研究そのものは属人的でありますから、固定的にそこに大きなセンターを本当に必要なのかどうかという議論があったと思います。それについて、これからもいろいろ御回答をいただくんだろうと思いますが、むしろ地域発イノベーションというのは、地域の行政だとか、地域の企業、商工会議所だとか、もしくはその地域の大学というものの連携がものすごく重要です。

 それは、人もそうですし、プロジェクトの組成もそうですし、もしくは資金という問題でも、何も自分たち自らがすべての資金を提供するのではなくて、そういった地域のいろいろな大学を含めた、いわゆる活用ということも必要になってくるんですが、そういう意味での地域センターの役割という問題。ユニットなんかも随分改編されて、集約されたりなんかしていくと、そのセンターでやっていたことが必要なくなってくる可能性だってあるわけです。

 そこにおけるセンターの規模と役割、その辺の整合性を、これだけ絶えざる業務組織運営をやっていったときに、当然そのセンターの在り方というのも問題になってくると思うんですが、それについて何か基本的な考え方があれば教えてください。

【西本審議官】  私ども産総研には北海道から九州までそれぞれセンターがあるわけですけれども、本来、産総研のセンターは、まず基本的な地域の自治体と、地方に相当弱体化していると思いますが、公設試がありますね。それから大学とあって、その研究のセンターに位置づけられていますので、そこはきちっと連携をとって進めているわけです。

 ただ、一方で、私ども産総研の中での業務運営の見直しとか効率化の観点で、それぞれのセンターが全部総花的、百貨店的に技術を持つことはもうなかなか難しいということになっておりまして、平成13年の改編のときに、北海道は例えばバイオのセンターでいくぞとか、あるいは名古屋地区はセラミックスとかがありますから、こういう物質材料のセンターでいくとか、それぞれメリハリをつけて、そこのセンターになっているんです。

 ですから、例えば北海道などですとバイオのセンターになっていますから、北大の医学部とか、そういったものも含めて相当中核的な役割を担えるのかなと思っております。地域のすべての要望にすべての分野でこたえることはなかなか難しくなっているので、産総研はセンターごとに特徴を持っていますから、そこの分野では日本のトップだと思っていますので、相当先端的な業務ができると思っています。

 その他、一般的なところでは、公設試などにないような基礎的な研究等を進めておりますので、そういった中核的な役割を産総研は、本来地域センターは担っていけるのかなと思っております。

【富田分科会長】  今日は大分予定の時間が過ぎてしまっておりますので、今日のところは、ここでいったん、産業技術総合研究所につきましては、議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆様におかれましては、御多用な中御協力を賜りまして、ありがとうございました。

 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 また、本日は時間の都合で質問できなかった委員がおられるわけでありますけれども、この点につきましては、後日事務局を通じまして質問を照会したり、また、必要に応じてワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【西本審議官】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  経済産業省の皆様には、御退席いただきまして結構でございます。

(経済産業省 退席)

【富田分科会長】  それでは、続きまして法務省よりヒアリングを行います。法務省所管1法人の見直し当初案につきましてのヒアリングを行います。

(法務省 着席)

【富田分科会長】  本日は、法務省・深山司法法制部長を始め、御担当の皆様にお越しいただきました。早速ではありますけれども、日本司法支援センターの見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係もありますので、5分程度で御説明をお願いいたします。

【深山部長】  御紹介いただきました法務省大臣官房司法法制部長の深山でございます。本日は説明の機会を与えていただき、ありがとうございます。早速でございますけれども、当省が所管する法人である日本司法支援センターの組織・業務全般の見直し当初案について、お手元の見直しの資料3に沿って説明させていただきます。

 まず、法人の沿革や概要等が記載されている資料3の2ページ目を御覧ください。支援センターは、裁判その他の紛争解決制度の利用をより容易にするとともに、弁護士等の法律専門家のサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援を行う、いわゆる総合法律支援体制の中核となる主体として、今から3年数か月前の平成18年4月に設立され、平成21年度末に初めての中期目標期間終了を迎えるものです。

 支援センターは一般の独立行政法人の事業継続の必要性等について厳しい批判があることも十分考慮した上で、なおその意義が認められ、新設されたものです。しかも、その所管する業務の中には、昨年12月に開始された国選被害者参加弁護士制度の関連業務や、本年5月に開始された裁判員裁判に対応するための被告人国選弁護関連業務、やはり本年5月に対象が大幅に拡大された被疑者国選弁護関連業務など、運用が開始されたばかりのものも多く、こうした業務全般を実施する上で、現行の体制で真に十分と言えるかどうかも断言できかねる状況にございます。

 言うなれば、支援センターは、ようやく自力で立ち上がったばかりの幼児のような存在と言えると思います。

 また、支援センターの法律上の仕組みは、効率的な業務運営を行うために、必要な限度で独立行政法人の枠組みを利用しつつも、司法に関する業務を行うという特殊性から、最高裁判所が設立や運営に関与するものとされ、行政機関のみの判断で運営することが許されてはおりません。

 このような設計がされているのは、支援センターの業務が、いずれも憲法で保障された国民の裁判を受ける権利を担保するものであり、その運営が不安定となった場合には、司法制度の根幹を揺るがしかねない事態が発生するおそれがあるからでございます。このように、支援センターは、いわば司法と行政の中間に位置する存在であって、既存の行政事務や体制を切り出して作られた一般の独立行政法人とは、設立の前提事情が大きく異なるものであることを御理解いただきたいと思います。

 法務省といたしましては、こうした事情等も踏まえますと、現時点で法人や事業の廃止はもとより、業務の縮小・削減等ができるような状況にはないと考えておりまして、現在行っている情報提供、民事法律扶助、国選弁護人確保、司法過疎対策、犯罪被害者支援の五つの業務の見直し、組織の見直し、並びに運営の効率化及び自律化の見直しについては、それぞれ次に述べる限度で進めることをお許しいただきたいと考えております。

 1枚めくって、3ページ目を御覧ください。支援センターが行っている情報提供業務の見直しに係る具体的措置でございます。情報提供業務については、現在、地方事務所で対応している電話による問い合わせのうち、コールセンターで対応が可能なものについては、広報等によりコールセンターの利用の促進を図ることによって、その効率化を進めることとしております。また、情報提供サービスの品質を維持しつつ、提供に要するコストの低減策を検討することとしておりまして、平成23年度が業務委託契約の更新期に当たるコールセンターについては、設置場所の変更も視野に入れつつ、一般競争入札により適切に契約の相手方を選定すべきものと考えております。

 次に、4ページ目を御覧ください。こちらは、民事法律扶助業務の見直しに係る具体的措置でございます。民事法律扶助業務につきましては、立て替えた費用の償還を求めるべき者に対する督促を強化することにより、償還金収入の増加を図るとともに、免除制度の適切な運用によって債権管理コストの削減を図ること、審査事務等の事務手続を簡素・合理化して、事務の効率化を図ることとしております。

 次に、5ページ目を御覧ください。国選弁護人確保業務の見直しに係る具体的措置でございます。国選弁護人確保業務については、不服申立て事務等の事務手続を簡素・合理化して、事務の効率化を図ることとしております。

 更に、6ページ目を御覧ください。司法過疎対策業務の見直しに係る具体的措置でございます。司法過疎対策業務については、法的紛争の事件数、地域の実働弁護士数や弁護士に対するニーズ、支援センターの業務が補完的な性格を有するものであること、さらには、効果的・効率的な業務運営の観点をも踏まえ、事務所の配置が適正になるよう検討を行い、必要な見直しを行うこととしております。

 次に、7ページ目を御覧ください。犯罪被害者支援業務の見直しに係る具体的措置でございますが、その内容は、情報提供業務について申し上げたのと同様の内容でございます。

 最後に、8ページ以下に記載されている組織の見直し等について、御説明いたします。組織の見直しにつきましては、現在の地方事務所等の配置は適正なものと考えておりますが、今後の業務量の変動や社会情勢の変化等を考慮して、その配置が適正であるかを検討し、必要な見直しを行うこととしており、また、本部及び地方事務所の人員につきましては、業務量の変動、事務手続の合理化の推進結果等に基づいて適正な配置を行うこととしております。

 運営の効率化及び自律化に係る見直しとしては、資料3の10ページ目に記載してあるとおり、コンプライアンス・プログラムを策定するとともに、このプログラムに基づいてコンプライアンス・マニュアルを作成し、本部及び地方事務所の職員に対し研修等の実施を通じて周知徹底を図ることとしております。

 また、契約事務につきましても、随意契約の不断の見直し等を通じて一般競争入札への切替えを行うことにより、業務運営の一層の効率化を図るとともに、随意契約とせざるを得ないものにつきましても、その適性化を推進することとしております。

 甚だ簡単ですけれども、私からの説明は以上のとおりでございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今御説明いただきました日本司法支援センターの見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。どうぞ、荒張委員。

【荒張臨時委員】  すみません、民事法律扶助業務について教えていただきたいと思うんですけれども。我々の認識では、財団から承継した財産で、当初立替金の回収不能部分をその財産で充てていっているというような財務構造なのかなと理解しているんですけれども、その後、立替金がどんどん増えていて、その部分は運営費交付金で賄われているんですね。それというのは、立替金が交付されたときに、もう運営費交付金で充てていくような、そういう財務構造になっていくという理解でよろしいんでしょうか。

【瀧澤司法法制部付】  御質問の趣旨をもう少し。

【荒張臨時委員】  要は、運営費交付金で入ってきたお金を立替金の増加に充てているという、そういうお金の流れでよろしかったでしょうか。

【瀧澤司法法制部付】  はい、そういうことでございます。

【荒張臨時委員】  そのときに資産見返運営費交付金というのを立てているわけですね。

【瀧澤司法法制部付】  はい、そうでございます。

【荒張臨時委員】  ということは、立替金が全部償還されなくても、結局資産見返運営費交付金を取り崩すから損は出ないような構造にもなっている。つまり、立替金は全部国費で最初から賄われているという構造に、これは施行規則がそううたっているからなんでしょうけれども、そういう構造なんですね。

 つまり、お金を渡した時点で、返ってこようが、こまいが、法人さんとしては国が全部補てんしているんだという考えで成り立っている事業だということでよろしいですか。

【瀧澤司法法制部付】  基本的にはそうでございます。ただ、当初、扶助協会から財産を引き継いだという事情がございまして、それとともに扶助協会時代に立て替えた債権も引き継いでいます。それが焦げついてしまった場合に、では、どういう会計処理をするのか。

 これは厳密に申し上げると、扶助協会時代に立て替えたものと、それから支援センターになってから立て替えたものをきちんと分けて会計処理をするというやり方も一つあるんですが、いかんせん立替えの件数もかなり膨大でございますので、期末にまとめて会計処理をしています。その関係で、監査法人の御指導もありまして、これは区別はなかなか難しいので、とりあえずは扶助協会から受け継いだ資産があるのだから、資産見返物品受贈額という科目で処理をしましょうということで対応しております。

 ただ、これはそのうちいずれはなくなるということになりますので、なくなった後は運営費交付金だけで回していくということになりますので、その場合は資産見返運営費交付金と資産見返運営費交付金戻入、この科目でやっていくということになると考えております。

【荒張臨時委員】  会計処理はいろいろ考え方があると思うので、特にそれに言及するつもりはないんですけれども。そうしますと、かなり交付金に依存する事業になるわけですね。憲法で保障されているというのはよく分かるんですけれども、とはいえ今交付金が独法さん、みんなどんどん削減されている中で何とか事業を継続しようと努力されている中で、交付金がどんどん増えていくような状況に多分あるんだろうと推察します。

 特に、財団から受けている財産をほとんど食いつぶしているということになると、今後そういった立替金がどんどん増えていくと、それだけ国費がどんどん流れていくことになると思うんです。それをなるべく増やさないようにするためにどういった施策をお考えなのか。寄附金を増やしたりとか、そういうのもあるんでしょうけれども、果たして、寄附金を増やすといっても、かなり他人頼みな対策になるのかなと思うので、もっと抜本的な仕組みで、ある程度うまく回るような仕組みについて何かお考えがないのかなというのをお伺いしたいんですが。

【小山課長】  御指摘はごもっともなところがございます。ただ、結局、民事法律扶助というのは、お金がなくて裁判が起こせない方がいらっしゃる。その人に対して裁判費用を立て替えるということで、やはり事件といいますか、経済状況に応じるということになります。特にまた最近経済状況が厳しくなっております。そうなりますと、紛争も多くなりますし、その中でお金がなくて裁判が起こせない人の割合も増えてくる。そういうところを運営費交付金で立替え事業をやっております。

 逆に言えば、経済事情がものすごく好転して、結構世の中がよく回っている時代になりまして、お金がある人が増える、あるいは、別の観点ですが、トラブル自体が減る。そうなると、自然に運営費交付金の額というのは事件動向に応じて増減することになります。

 ですから、法テラスは、業務運営をしてまだ丸3年でございまして、この期間、経済事情がそう好転していることもなく、いろいろ事情もございまして、来年度要求も含めて運営費交付金の額は増額してございます。逆に言えば、例えば今多いのは破産とか多重債務に陥ってしまっている人、そういう方がなくなれば、事件が自然減すれば、そこの部分は減っていくということになります。

 ですから、もともとお金がない方のための事業だということを御理解いただきたいと思っておりますし、結局事件の増減に応じてやっているので、必ず右肩上がりで運営費交付金が増えていくという仕組みにはなっていないということを御理解いただきたいと思います。

【富田分科会長】  岡本委員。

【岡本臨時委員】  今の点なんですけれども、確かにこの業務の性格上、言い方はあれですけれども、そういう困った方に対する業務になるということなんですが、他方で、そうは言っても、他方でちゃんと財源的な手当て、あるいは法人としての業務の効率性という一般的な用語を使ってしまうけれども、それはやらなきゃいけないということになりますが、そのあたり、法人の組織運営として中にあるメルクマール、ある一定の水準まではとかというようなことは既に考えていらっしゃるのか、あるいは、既に運用されていらっしゃるのか、その辺りはどうでしょう。

【小山課長】  現行でも、大体どれぐらいの層の方を相手にするのか、収入とかそういうところで。そういうところの資産の基準がございますので、大体国民の所得の層の下位2割層でトラブルに陥った方を対象にするという基準はございます。

【岡本臨時委員】  運営費交付金の算定というのは、先ほどおっしゃったような形で、ある一定のメルクマールをもとにされて財務当局に要求されていらっしゃるわけですね。

【小山課長】  それは、先ほどお答えいたしましたように、事件の動向に従って、その年の事件量を推計してお願いをしております。

【富田分科会長】  ほかにいかがですが。阿曽沼委員、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  今のに関連してですけれども、償還の望みが低い自己破産というのも結構いろいろありますし、自己破産そのものの内容というのも、本来不適切ないろいろな活動によって自ら自己破産を招いている人たちとか、いろいろな理由があると思うんですが、その理由に関係なくすべて対象とするのかどうか。

 これは、すべて相談があったからといって、100%応じる義務があるわけではありませんね。ある一定のところで線を引いて、対応するかしないかを決めるわけですが、それについては、今適切に判断をされてガイドラインを持ってやられているという判断でよろしいんでしょうか。

【深山部長】  まず、自己破産は、御指摘のとおり、自分の例えばギャンブルであるとか、浪費で自己破産状態になってしまう方も相当数おられると思います。もともとこの法律扶助の対象になる方は、先ほど課長から申し上げた資力基準が一定以下であると、そういう資力状態であるということ、それから、破産宣告が認められる、つまり、訴訟であれば勝てるという見込みがある程度なければなりませんので、その点は、第三者の審査機関が審査をした上で扶助の決定をしております。

 破産法においては、自己浪費、ギャンブル等々で破産の申立てに至ったとしても、破産して免責を得るという手続が認められませんので、破産でも最終的な裁判でも勝訴に当たる、破産免責が認められるという見込みがないような人から破産申立てをしたいと相談があっても、あなたの破産はどうして起こったのかということを審査する過程で、これは破産免責決定が得られそうもないというような方については、いくら資力が乏しくても、それは扶助の対象にならないという形ではねられているものと承知しております。

【阿曽沼臨時委員】  時間がないので、いろいろと御質問したいんですが、一つ。国選弁護の関連業務の中で、今現在、採用弁護士数というのは常勤で151名ということでありますが、これはミッションに比して十分なことができているのか。もしくは、151人で、ものすごく本質的にトラブルなり問題が起こっているのでしょうか。

【小山課長】  難しい御質問でございまして、先ほど冒頭に部長からも御説明したところで、裁判員裁判というのが今年の5月から始まりました。同時に、被疑者の国選弁護という、逮捕拘留されている、まだ裁判になる前の国選弁護制度というのが3年前から入ったんですが、それが大幅に拡充されて、今全国で回り始めたところでございます。まだ数か月しかたっていないところで。

 ですから、現段階で国選弁護制度、担い手は大きくいって二つございまして、今御指摘のありましたスタッフの常勤の弁護士層、それから、もっと大きい層は一般の弁護士さんでございます。ここは、国から委託費をちょうだいして、国選弁護の報酬を決めて、要は外注してやっている部分がございます。

 全体として、今この時点でうまく回っていないのかといえば、回っている状況にございます。ただ、今後、事件数の動向等で、それが本当にこれから今のとおり回っていくのかどうかというのは、我々は慎重にみなければいけないと思っております。もちろん、スタッフ弁護士の数も、安心できるという数でいえば、もうちょっと多い方がいいとは思っておりますが、今の数でやっていけるのか、それは支援センターの方にも不断に見直しをしてやってもらいたいと考えております。

【阿曽沼臨時委員】  大きくは業務に支障が生じていないということでありますが、一方で、もともと法テラスの業務を行うのに必要な真の人数は300人だということをおっしゃっているわけですね。今151人で、現状況においてはそれほど支障がないんだといったときに、この300人という根拠、本当に300人が必要なのかということ。それにおける組織の設計というものが、今見直しをする必要があるのではないかという観点もあるんですが、それについてはいかがでしょう。

【小山課長】  その300人という数、もちろん法人設立前に非常に事件数の動向が分からない、スタッフの弁護士がどれぐらい業務を行えるかも分からない段階でつくっておりますので、300人でなければいけないという前提で今組織を運営しているわけではないんです。

 ですから、ほかの独法と違いますのは、予算要求も、毎年人件費も含めて全部積み上げ型の要求をさせていただいております。最初に大きく取って、後は一般管理経費をカットしていくというやり方ではなくて。ですから、その前提の中で、我々は300人いればいいなという前提で予算の仕組みもつくってはおりますけれども、300人でなければ最終的にいけないというふうには考えておりません。

 逆に、300人を想定しているからすごく非効率になっているというわけでもなく、何を申し上げたいかといいますと、大きく言って、司法支援センターの予算の中で運営費交付金の部分と委託費の部分がございます。この委託費の部分の割合の方が多いのでございます。委託費は国選弁護に対応する部分でございます。運営費交付金は、先ほどありました扶助の部分やその他の部分ですけれども、委託費の部分については不用額が出たらお返しするというシステムで運用しております。ですから、そこで国選弁護がある事件数が少ないとか、そういうときに、そのまま預かってほかに使ってしまうとか、そういうことのないお金でございますので、そこは御理解いただきたいと思っております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  我々にとってはなじみのあるというような情報提供業務なんですけれども、言葉の意味におきまして、これは、先ほど部長様のプレゼンテーションにおきまして、今外部委託をしておられて、それが期限が切れた段階で移転も可能、検討されるというふうに言われたんでしょうか。

【深山部長】  コールセンターの設置場所は、現在東京23区内にありますけれども、その場所を違うところで設けたいということで、入札する業者がいても一向に構わないという。つまり、もっと地方のいろいろな、そういうところでもいいですよということです。

【岡本臨時委員】  そういうことなんですけれども、わざわざ地価の高い東京に置く必要はないんじゃないかと当然思うわけですけれども、それは当然検討をされていかれるということですね。

【深山部長】  そういうことです。

【岡本臨時委員】  それから、細かい質問になって、先ほどちょっと聴き漏らしたんですけれども、民事法律扶助業務の点で、適切な回収管理ということを進めるというふうに言われた、これは具体的にどういうふうにやっていかれる方策があるんでしょうか。

【山ア大臣官房付】  適切な回収管理と申しますのは、今現在もいろいろと立替金の回収という意味では督促ということでやっておりますけれども、更に督促の回数を増やすとか、その債務の状態に応じて免除するものは、免除することになるだろうし。そのように、それぞれの債務に応じて、適切に回収については強化するものは強化すると、そのような内容を考えております。

【富田分科会長】  それでは、今日は時間の都合もありますので、ここで日本司法支援センターにつきましてはいったん議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆様におかれましては、御多用な中御協力を賜りましてありがとうございました。

 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられると思いますので、その場合には後日事務局を通じて紹介したり、必要に応じワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

(法務省 退席)

【富田分科会長】  それでは、最後に、事務局より報告事項がありますので、説明をお願いいたします。

【細川調査官】  報告事項でございますが、2点ございます。1点目でございますけれども、昨日の当分科会におきまして業績勘案率(案)を御審議いただきました際に、情報通信研究機構の理事の業績勘案率、これを0.9ということで御決定いただきましたが、その減算要因の一つとなりました委託研究開発につきまして御質問いただきました。それにつきまして、事務局として確認しましたので、御説明させていただきたいと思います。

 会計検査院の方から、情報通信研究機構が民間事業者に委託した委託研究の中で、委託費5,240万8,000円の全額が不当とされた案件がございます。このことに関しまして、当該委託費は全額回収されていると御説明申し上げましたが、そのときに委託研究の成果物の取扱いはどのようになっているかという御質問がございました。

 これにつきましては、本委託研究というのはブロードバンド技術に係る技術の開発ということでございまして、委託事業の成果報告書というものが委託事業者から情報通信研究機構に提出されております。委託契約自体の取消しは行われていないということでございまして、委託契約書上は、情報通信研究機構の方に成果報告書を事業者に返還するというような義務はないということでございます。

 併せて、委託費が全額回収されたのはなぜかというような点について、ちょっと御説明させていただきたいと思います。この委託事業でございますけれども、先ほども申しましたように技術開発でございまして、委託費はそのほとんどが労務費ということでございます。労務費と、その労務費に一定割合を乗じて算出する間接費、これと労務費との合計額が委託費でございます。その労務費の算定根拠でございますけれども、委託業務従事日誌で、その委託業務に従事した時間をはっきりさせると、これをもって所定委託費、労務費を算定するという仕組みになっております。

 ところが、会計検査院の指摘は、委託業務従事日誌そのものが実態を反映しているものではなかったということでございます。また、それ以外に、従事時間に関する書類もないということでございまして、全額を不当としたということでございます。

 このため、情報通信研究機構におきましては、委託費全額につきまして利息を付しまして、正確に言いますと、委託費全額と、その利息分、合わせて返還請求を行いまして、支払い済みであった委託費5,240万8,000円でございますが、これに利息329万8,000円ほどでございますけれども、これを合わせた5,570万6,444円という金額の返還を受けたということになっております。

 事務局として確認した事実関係を御説明申し上げました。これが1点目でございます。

 続きまして、次回の日程でございますが、3日連続のヒアリングということで恐縮でございますけれども、明日、また当分科会、15時から開催させていただきます。ただし、場所がこちらではなくて、明日は総務省の庁舎の8階第1特別会議室となっておりますので、よろしくお願いいたします。

 事務局からの報告は以上でございます。

【富田分科会長】  はい、ありがとうございました。

【縣臨時委員】  今日3法人が統合するという例が出てきたのですが、これまでも複数の法人が統合したことが何件かケースがあったと思います。それの効果を測定するための基準というのを何かお持ちですか。

 つまり、例えば今日の例は二、三年後にそういうことが分かってくると思いますが、例えば人員の上でどういうことになったら合理的な方法だったのか。ちょっとパフォーマンスの方は難しいと思いますが、施設等継続可能なものについて、何か過去のデータとかをお持ちであれば、相対評価は最後までできないと思いますが、ある程度比較して考える必要があるのではないかと今日思いました。いかがでしょうか。

【富田分科会長】  どうですか、事務局。

【細川調査官】  統合効果を比較する基準のお話でございますけれども、これといって確たるものということで言えば、持ち合わせてございません。ただ、可能であるとすれば、過去に統合した例につきまして、その実績として、例えば人件費なり、施設なり、どういうものがどういう効果を上げたかということを整理して、それを一つの判断材料とするということはあり得るかとは思います。

【縣臨時委員】  可能であれば、お教えいただければと思います。

【細川調査官】  そこは、今後の評価の際に検討させていただきます。

【縣臨時委員】  ありがとうございます。

【富田分科会長】  よろしゅうございますか。どうぞ、浅羽委員。

【浅羽臨時委員】  これはお願いなんですけれども、これはあくまで現時点では新聞報道のものだけなんですが、理化学研の主任研究員の方が逮捕されたというようなものが出ていて、どうも業務上にかかわるものでの逮捕というふうに、私は新聞から読み取ったんですけれども。今後、情報等が入りましたら、それがマネジメントに、あるいは組織運営に関係するものなのかどうか。また、どうも業務にかかわる、発注等にかかわるもののようですので、改善を要するものなのかどうか。そういうようなことにつきまして、情報等入りました時点で御教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  私もそうなんですけれども、ああいう悪いことがあると、何か我々まで変なことに荷担しているんじゃないかと。つまり、世論はそれぐらい厳しいわけであって、何か我がことのように感じてしまうというか、非常にこれは恥ずかしい話ですね。おそらくは、新聞報道によれば組織的な、つまり組織運営上の欠陥なんです。主任研究員になったら、えらい裁量があるとか、それが慣行としてあること自体おかしいわけです。そういう意味では、内部統制の問題、本当に恥ずかしい話でしてね。

 前回だって、緑資源で、先ほどの統合の問題だって、みんなそういう全く別のところから原因が発生して統合があるわけで、なかなかその統合の効果といっても難しい面があるわけです。

 だから、こういう不祥事というのは、浜の真砂とどちらがどういうんですかね、そういう問題なのかどうかということもあるんだけれども、今回のは、新聞によれば明らかに初歩的ミスですよ。だから、余計恥ずかしいんです。独法の評価、もう10年近くやってきて、まだこんなことがあるということ自体。もっと言えば、総務省の行政評価局もやっぱり、これを10年もずっと見てきて、まだこんなことが起こっているのかというのは、ものすごく深刻に反省しなければと僕は思いますけれども。

【横山評価監視官】  今御指摘いただいた点を踏まえまして、よく調べて報告させていただこうと思います。

【富田分科会長】  それでは、以上をもちまして、本日の政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。

 本日は御多用の中御出席を賜りまして、ありがとうございました。


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