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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(2月26日開催)議事録

日時

平成22年2月26日(金)15時00分から17時30分

場所

中央合同庁舎第2号館 総務省第1特別会議室

出席者

(政策評価分科会所属委員)
金本良嗣分科会長、森泉陽子委員、青山彰久臨時委員、小峰隆夫臨時委員、高木勇三臨時委員、立花宏臨時委員、田中常雅臨時委員、田辺国昭臨時委員、谷藤悦史臨時委員、堤盛人臨時委員、森田朗臨時委員、吉野直行臨時委員
(財務省主税局)
安居税制第三課長
(総務省自治税務局)
山口税務企画官
(公正取引委員会事務総局経済取引局)
藤本調整課長
(総務省行政評価局)
階総務大臣政務官、田中行政評価局長、新井官房審議官、江澤官房審議官、讃岐総務課長、佐伯政策評価官、羽室政策評価審議室長

議題

  1. 行政評価機能強化検討会について
  2. 租税特別措置の政策評価について
  3. 政策評価に関する情報公開の推進について
  4. 規制による競争状況への影響分析について
  5. 成果志向の目標設定の推進について
  6. その他

資料

会議経過

【金本分科会長】  それでは、時間が参りましたので、ただいまから政策評価分科会を開会させていただきます。
 本日は階政務官に御出席いただいておりますので、まず階政務官にごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【階政務官】  皆さん、いつもありがとうございます。担当の政務官の階と申します。政権交代後、私ども行政評価にもっと力を入れていくべきではないかということが事業仕分けなどでも言われまして、今原口大臣以下で行政評価をいかにしていくかということを一生懸命議論しているところでございます。
 つい先だっても、行政評価機能強化検討会を開かせていただきました。そういった中で今後ますます皆様方の政独委のお仕事が大事になっていくわけでございまして、是非皆様の知見を私どもにお貸しいただきまして、よりよい行政評価、政策評価、独立行政法人評価をやっていければと思っております。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。本日はお忙しいところありがとうございます。

【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、早速でございますが、始めさせていただきますが、その前に今回新たに2月25日付で加藤浩徳東京大学大学院准教授と堤盛人筑波大学大学院准教授の2名の方に臨時委員へ御就任いただいております。本日は堤委員に御出席いただいておりますので、一言ごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【堤委員】  堤でございます。これまで公共事業評価にかかわる勉強をしてまいりましたが、それ以外の政策評価、行政評価に関しては、慣れるまでしばらくの間勉強させていただくばかりかもしれません。鋭意努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【金本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に移らせていただきます。まず議題1、行政評価機能強化検討会について、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

【佐伯政策評価官】  それでは、お手元の資料で御説明させていただきたいと思います。
 まず最初に、机上に配付させていただいておりますけれども、行政刷新会議の事業仕分けのペーパーが1枚ございます。こちら、昨年11月13日に仕分けを受けまして、そのときの評価者のコメントが左側に書かれております。取りまとめのコメントといたしまして、11名が見直しを行うことを選択し、機能を強化する方向でしっかりと見直しを行うべきであるという意見であった。抜本的な機能強化を結論とするということで、結論が書かれております。
 なお、前向きな期待の声が出ていることを重く受け止め、これまで行ってきた評価等の業務を自己評価し、こうした期待に応えるための対策を打ち出していただきたいということを付言するということでコメントをいただいております。
 それを受ける形で、これも机上配付ですけれども、行政評価機能の抜本的強化ビジョンを取りまとめさせていただいて、今年の1月、大臣のほうから公表されたものでございます。これの具体化を図っていくということでございますが、本日の分科会の位置付けとしましては、お手元の資料の1−1を御覧いただきたいと思いますけれども、先日2月17日に開かれました行政評価機能強化検討会、こちらでいろいろ御意見をいただいております。大臣からも重要な視点をお示しいただいており、そういうものを踏まえて、きちっとした政策評価についての議論をいただくということで、場を設けさせていただいたということであります。
 政策評価に関する基本的事項、あるいは総務省が行う評価に関する重要事項については、この分科会のほうにかけていくということになっておりますので、そういうことでお願いしたいということであります。
 本日、御議論いただいた後、3月中旬に改めてもう一度、この分科会を開かせていただくということで考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1−1の下に先日の検討会での大臣のごあいさつの部分を付けさせていただいております。このごあいさつの中に我々がこれからいろいろな検討を進めていくに当たっての重要な視点が示されているということでこの資料1−2を御覧いただきたいのですけれども、大きく3つの視点があるのではないかということです。国民視点に立った行政のパフォーマンスやアウトカム、公開度・説明度(説明責任)の徹底、国民との対話・協働ということで、この3つの視点を踏まえて、本日、事務的に資料を用意させていただいており、それぞれの議題についてどういうものが入っているかということを一覧で示させていただいております。こちらも今後の議論の御参考にしていただければということでございます。
 資料1−3でございますが、こちらは大臣の視点以外で、第1回の検討会におきまして、いろいろ指摘を受けておりますが、政策評価関係について主なものを拾い上げたものでございます。幾つか白丸がありますけれども、上から4つ目までは評価の利用について意見をいただいているものをまとめております。それから、その下の5つ目、6つ目の丸のところは職員のモラルアップ、士気の向上、あるいは政策の実行責任者への評価の連動というようなところについての意見でございます。
 その下、3つありますが、政策評価の予算への反映の取組の関係、それから、政策の優先順位付けについての御意見でございます。
 その下につきましては各府省にまたがる案件の評価、公共事業のやり方についてもっとというような御意見でございます。
 最後のところは非常に大きな話で、政策評価の仕組み自体についての問題提起ということで、本日の御議論におきましては、こんな御意見もあるということで是非これを踏まえて御議論いただけたらということでございます。
 その後には、検討会議の議事要旨、政策評価だけでなく全体のものをお付けしているということでございます。
 とりあえず検討会の状況につきましては以上でございます。

【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、個別の案件の審議に入る前に、政策評価の抜本的機能強化に関する問題につきまして、御意見等お願いしたいと思います。大所高所からの御意見をいただければといったことのようでございます。

【吉野委員】  よろしいですか。

【金本分科会長】  吉野先生、どうぞ。

【吉野委員】  吉野でございますけど、2点あるんですけども、まず1つは、国民的視点というのは非常に重要だと思うんですが、どの国民から見るかということによって評価が違うと思うんですけれども、ちょうど私、消費者金融の議論をさせていただいたときに、多重債務者から見れば、おそらく今の法律はすごくいいと思います。しかし、それは業者、あるいは供給側から見て本当にそういう視点でいいんだろうか。ですから、国民的視点という場合に、例えば需要者、利用する人から、供給者、マーケット、いろいろな視点があると思いますので、政策評価の場合にも、全部に一番いいのか、どの視点から見るかというのがいろいろあるんじゃないかというのが1点です。
 2点目は、様々な政策評価をするときに、例えば日本全体で、成長戦略としてこういうところが一番あるべきであるというような視点というのはここに入ってないような気がいたしまして、日本の景気回復みたいなのがないと一番いけないわけですから、そういうことを目指した中での政策評価という視点があり得るんじゃないかというふうに思いました。
 以上の2点です。

【金本分科会長】  どうもありがとうございます。

【高木委員】  よろしいですか。

【金本分科会長】  はい。

【高木委員】  今回、民主党政権になって、この辺のところの強化ということで検討されるということで、私は1つ注目した点がありまして、それは現在の行政評価局の調査と会計検査院のところとの整理の問題なんですが、こういうことを言うと事務局から嫌われるのは分かっているんですけれども、確かに現在の省庁の構成になった時点においては会計検査院のほうにおいて、いわゆる3Eの監査、検査がほとんど行われていなかったというのは事実だと思います。そこのところが最近においてはそれなりに行われるようになってきたというふうに言えるかと思うんですが、本質的な問題として、今申し上げたような観点のところについて、今後行政評価局の調査と会計検査院の検査と併存する形で残しておくのがいいのかどうか。アメリカなどの場合ですと、私の理解ではGAOでまとめてその辺のところをやっているという理解なんですけれども、その辺のところの整理というのが今回の仕分けのところでも出てこなかったし、その後の検討の中でも出てこなかったので、私は肩すかしを感じたというようなところなんですが……。その辺のところの今後の改めての整理というのは、私、必要なのではないかなというふうに思うのが1点ですね。
 それから、今の政策評価法に基づく評価ということで、3つ掲げられているわけですけれども、性格が3つそれぞれ異なっているというところが、まだ十分に多くの方に理解されているとは言い難いのではないかなと。評価という言葉1つで括られているというところで生じている混乱が、私は少なからずいろいろ議論のところを見ていますと感じるところでして、改めて多くの方が御理解できるような形で整理しておくという必要があるというふうに思いますし、場合によっては政策評価法そのものの立て付けをもそろそろ見直してもいいのではないかというふうに思っておりまして、とりあえずその2点をコメントとして出させていただきます。

【金本分科会長】  今の2番目の件につきまして、関係していない方々は政策評価って1つだと思っておられるんですが、政策評価には少なくとも3つ、全く違うものが交じっているということで、目標管理型で、日本ではボトムアップでなかなか目標がうまく設定されていなかった傾向があるんですけれども、そういったものをもう少し国民の視点から政治の側で設定して変えていこうという、その類の議論も1つありますが、もう一つは公共事業評価が典型ですが、各事業について効率性とか有効性が十分かという評価を行うといったものがもう一つあります。勘どころが全く違いますので、何をやっているか、何に焦点を当てているかということが非常に重要かなという感じがいたします。
 ついでに、公共事業評価等に関して言えば、なかなか難しかったのは、白黒つけろというのが今までのやり方でございまして、B/Cが1を超えていればオーケーだ、超えてなければだめだというふうなルールがなぜか日本ではどこにも書かれていないんですが、実はつくられている。諸外国でそんなことをやっているところはあまりない。基本的にはB/Cの数字って不確実性が非常に高いわけで、こんなもの、1つの数字が絶対正しいなんてあり得ないですね。その不確実性の幅をちゃんと考えて、その上で政治が意思決定していくといったふうなことが今までなかったので、B/C=2が正しいかどうか、絶対的に正しいところがないものに、絶対的に正しいかどうかという議論をしているといった傾向があったという感じがいたします。
 そういったことを含めて、これからいろいろ検討していく必要があるのかなという印象を持っております。谷藤委員、まずどうぞお願いします。

【谷藤委員】  この中で事業仕分け以降から指摘されておりますことは、機能強化というようなことが言われているわけでございます。そうしますと、機能強化というものをどのようにしてとらえていくかということは大変重要になるというふうに思うわけです。それは既存の制度的なフレームとか、組織的なフレームの中で機能強化を図っていくのか。あるいは、今高木委員がおっしゃいましたように、ある種の既存の制度フレームと言われるようなものを超えて機能強化を図っていったり、あるいは組織と言われるようなものの再編と言われるようなものを含めて機能強化の議論をしていくのかどうかというようなことですね。ここら辺をどうとらえていくのかというようなこと。ここについては、事務局には何らかの考えておられるようなものはあるんでしょうか。あるいはそういう方向で組織編成とか、制度フレームとか、あるいは評価法そのものを大きく検討していくというような方向になっていくのかというふうなことについては、どう私どもは考えていったらいいんだろうか。

【金本分科会長】  田中行政評価局長。

【田中行政評価局長】  行政評価局長でございます。ただいまの御指摘につきましては、私どものとらえ方といたしましては、要するに、役に立つ政策評価にしたいということに尽きるわけでございまして、制度改正、法改正も含めて検討すべき御指摘だと受け止めております。ただ、一方で、現実問題としましては、私どもがいろいろな御指摘を受けて一番自覚いたしておりますことは、そもそもの行政評価局が従前持っています調査能力の質の問題があると考えておりまして、それをまずもって高める必要があるんだろうと非常に深く認識いたしております。
 方々、実は、これは愚痴になりますが、現在約1,300人の定員のうちの半分程度が年金の記録回復の関係のあっせん業務に携わっておりまして、志高く持ってもなかなか動かないところがございまして、まずもっては、私どもの調査能力の質を上げるというところに重点を置きたいと考えております。それで、お手元に2月17日の機能強化検討会にお出しした資料がございますけれども、ちょっとおめくりいただきますと、2ページ目にいわば機能強化の全体像、目次的な資料を入れてございますけれども、そこにいろいろ書いておりますが、これは現在の制度をまずもって前提としていろいろな強化方策を考えておりまして、その結果をこの年度末の来年度以降の業務運営方針である行政評価プログラムに盛り込みたい。今先生御指摘の制度改正、法律改正に係る話については、この表の欄外、注書きにございますけれども、中期的課題ととらえまして、引き続き、調査対象、調査権限、行政相談委員の在り方等々、制度改正も視野に入れるということでございます。
 いずれにせよ、繰り返しですけれども、まず私どもの調査能力の質を上げるということに重点を置いて検討をいたしているということでございます。

【金本分科会長】  では、お願いします。

【立花委員】  ちょっと私、誤解している点があるかもしれませんので、その辺はちょっと補足してもらえば結構だと思いますが、行政評価機能強化検討会の議論と今民主党が国民からも評価されている、事業仕分けとの絡みですね。そこのところはどういうふうに連動していくのかなというのがちょっと分からないので、その辺を教えていただきたいのが1つ。
 それから、前々から私もちょっと申し上げていますけれども、今田中局長からもちょっとお話がございましたが、せっかくの専門家集団としての行政評価、行政監察の機能を政治はどう活用していくかという点が大事になってくると思うので、そこは恣意的にならないように、もちろん政治の指導性が大事ですけれども、やはりこういった行政評価の専門家集団としての役人のいい面をどう政治が吸収していくかと。その辺の配慮も必要かなと。
 それから、必ずしもバランスはとれないかもしれませんが、規制による競争状況への影響分析とかいう大事な視点がございましたが、例えばこれは私よく意味が分からないんですが、郵貯の問題なんかですね。郵政3事業の問題なんかもこういう分野から見ていくのかどうなのか。私は、規制による競争状況への影響分析というのはよく意味が分からなくて、もし何か、どういうインプリケーションなのかという点が分かりましたら、教えていただきたいと思います。
 以上です。

【金本分科会長】  どうぞ。

【階政務官】  ありがとうございます。政治がこの行政評価局をどういうふうに利用していくかというのは非常に大事なことで、先ごろの検討会でも同じような意見が出されました。それで、私どもはまずもって今年間6本から7本ぐらい行政評価局が調査しているわけですけれども、そういうもののテーマを政治が選ぶと。それから、政策評価について言えば、予算に反映させなければ意味がないだろうということで、政策評価を踏まえた予算編成をするという2つあたりがとりあえず政治が行政評価局をより活用していくというところでは重要かなと思っております。
 それから、最初のほうで御指摘のあった事業仕分けとの関係でございますけれども、事業仕分けの結果を踏まえまして、原口大臣のほうから行政評価局の機能強化を考えてくれということを言われまして、私のほうで事務方と相談しながら今の行政評価局の足りない分を強化していこうということで、抜本的な機能強化ビジョンを作らせていただきました。

【田中行政評価局長】  すみません。2点目の規制の関係の競争状況のお話、これは後ほど個別項目として別途御検討いただくことになっておりますので、そちらのほうで御議論いただければと思います。

【立花委員】  分かりました。

【金本分科会長】  そのほかございますでしょうか。

【高木委員】  ちょっとよろしいですか。

【金本分科会長】  どうぞ。

【高木委員】  再度の発言になりますけど、先ほど局長のほうから席上配付の検討資料というふうなことで、3ページ目のところについて言及されたので、このページのところで気になっているところを2点ほど申し上げたいと思うんですけれども、これまで10年近くになりますけれども、この委員会のほうでいろいろ拝見させていただいて感じますのは、まず政策の立案段階における問題がこういった評価についての十分性をなくしている大きな要素かなというふうに感じております。
 どういうことかといいますと、こういった席上で何度か申し上げていますけれども、我が国の政策そのものを見ていますと、極めて定性的な目標を掲げられた政策、施策か、あるいは極めて定量的なものであるだけの政策か、施策かという、どちらかに偏っていると言っても言い過ぎでないと状況的に整理できると思っていますし、また、前者のほうは圧倒的に法律といいますか、政策主体は多いわけですけれども、したがって、量だけ掲げられている政策であっても、じゃ、そこでどういう質的なものが前提となっての量なのかということが政策のところで明らかにならない。それからまた、定性的なものが掲げられているところにおいては、どういう量が目標として掲げられるのかというのが明確にならない。その辺のところを民主党さんのほうで改めて今後の新しい政策については打ち立てていこうというふうな御方針だということは理解しているんですけれども、政策評価のある部分をより機能させていくためには、今申し上げた部分をかなり整理しておかないと、なかなか評価といった観点からの機能は果たしにくいのではないかというのが1点でございます。
 もう一つが、今各政策の効果を見ていく中において、実績評価を政策評価のところで1つ中心といいますか、実績評価についてはすべからくやるようにするという基本的な方針の中で、そこで行われる施策単位で、款項目の目ができるように20年度なったわけですけれども、現在の目が1,800弱というかなりの数であるわけですね。今のような形で整理されるということは私なども提言したわけでして、そこのところが平成20年度予算の段階においてやっと実現したということなんですけれども、それまでの目より若干むしろ増えてしまった。1,800ぐらいの目のところの評価というようなことになりますと、これをもって並列的な形で見ていくということを考えた場合にかなり大変な作業になってくる。しかも、各府省の単位で見た場合に、施策と言っている切り分け方が少々質的な意味で相違が見られるというところがありますので、その辺の整理も必要になってくるだろう。中長期的課題として、私は、その辺のところも書き込んでいただきたかったなというのが個人的に感じているところというのをつけ加えておきたいと思います。
 以上でございます。

【金本分科会長】  どうぞ。

【階政務官】  私も目標設定が今までいい加減になされていたんじゃないかなという問題意識を持っています。例えば、独法の問題なんですけれども、GPIF、年金運用の独法がありますけれども、そこの中期目標を決めるときもかなりアバウトな決め方をしていて、目標期間が終わったときに、目標が達成されたのかどうかというのが一義的に明確でない。そういうものもあったりして、目標の設定のところで十分な議論がされていなかった。だから、一面では定性的なものになったり、一面ではテクニカルな定量的なものになったりというのがあったんだと思いますので、私は目標設定というところは重々気をつけてやっていきたいと思います。

【田中行政評価局長】  恐れ入ります。今の御指摘の点、目標設定の仕方と評価単位の問題でございますけど、これも後ほど個別の御検討をお願いする事項の中で御覧いただくようになると思いますが、2月17日の検討資料の4ページ目の下でございますけれども、2、成果志向の目標設定の推進とございます。実は、御案内のとおり、国家戦略室のほうで政策達成目標明示制度を導入するということを今御議論されておりまして、私ども、制度設計に今連携協力しているわけでございますけれども、まだ全体像が見えておりません。いずれにしても、ここでは成果志向の目標設定をしようということを目指しておりまして、私どものほうの政策評価においても、その成果志向の目標設定をする、いわば大きな政策体系と申しますか、そういう目標に対して、それと整合的な、体系的な政策の体系と申しますか、政策評価の対象施策を整理いたしまして、それごとにここでもやはり成果志向の目標設定をしていこうと。根っこのところにある政策達成目標明示制度は、まだ姿がはっきりしておりませんので、ちょっと抽象的な議論になってしまうんですけれども、国家戦略室でお考えの制度を頂点にして、それに合わせたような体系立った目標設定、あるいは評価対象の政策の整理をしていきたいというふうに考えています。

【金本分科会長】  小峰委員、どうぞ。

【小峰委員】  ただいま政務官のほうからGPIFの例が出たんですけれども、私、ちょっと関係しているんですけれども、GPIFは、これまでの目標は実質賃金プラス1.1、社債並みのリスクということで、これは私は目標としては極めて明瞭な目標が出ているというふうに思うんですけれども、しかも、それを再検討して、最近出たのは、当面は非常にあいまいな目標でやってくださいというような話が出てきているので、その辺の目標設定が不明確だというのは事実と違うんじゃないかという気がします。

【金本分科会長】  どうぞ。

【階政務官】  今、具体的なことをお話ししなかったので、もう一回説明しますと、実質賃金上昇率プラス1.1%という目標の定め方は運用の世界ではなかなか難しいものだと。一義的に利回りが幾らかというのは決められていませんし、実質賃金上昇率というものが何の運用商品によって追跡可能なのか、トラック可能なのかというところがはっきりしないわけです。そういう実質賃金上昇率プラス1.1%という目標を厚労省からGPIFのほうに与えて、GPIFのほうではそれを受けてどういうポートフォリオを組むかと言えば、リスクを債券並みで運用して、なるべく高い利回りを得るというような決め方をしているわけです。実質賃金上昇率プラス1.1%という厚労省から与えられた目標と実際の債券並みのリスクをとるポートフォリオとが、どういうロジックでつながるのかというのもはっきりしていませんので、私どもはそういう決め方ではまずいだろう。後から目標が達成されたのかどうかというのは、結果オーライで目標が達成されるということはあるかもしれませんけれども、そういうことではなくて、最初の段階でもっと明確な目標を与えられないかということで議論してまいりました。今の段階ではまだ結論が出ていませんので、4月1日からの新しい中期目標は、とりあえず今までのものを暫定的に継続して、今の検討の結論が出た段階でそこは改めてもらうというふうにしている次第でございます。

【金本分科会長】  そのほか。では、吉野委員、どうぞ。

【吉野委員】  たびたびすみません。1つちょっと視点が違うんですけれども、日本は最近国際的なルールでいろいろ諸外国に負けている部分が多いと思うんですが、そういうようなところの政策評価というのは、視点はないんでしょうか。つまり、例えば会計基準とかいろいろな基準、そういう中で、日本がどんどん負けている部分があるような気がするんですが、そういうのを具体的に日本がどうやっていけば国際的なルールの決め方の中に入っていけるかとか、そこでは政策的に負けているんだと思うんですけれども、そういう評価というのは、視点はないんでしょうか。

【金本分科会長】  じゃ、田中局長、どうぞ。

【田中行政評価局長】  今の御指摘は、やはりテーマ選定。1つは各府省でおやりになる政策評価に対して、私どもが制度官庁としてどういうテーマ選定についての考え方を示していくかという考え方の問題であるのと、各府省でできないものについて私どもが直接評価をやるときのテーマ選定の問題ではなかろうかなというふうに思います。テーマ選定については、これこそいろいろな御議論をいただいておりまして、いずれにしても、私どもは、政権の内閣の重要課題を国民的視点からセレクトして、まず高木先生の御指摘にきちんとお答えしてないわけですけれども、私どもの行政評価局の持っております調査機能の特殊性というのもございますから、その特殊性の生かされたテーマ選定をやる。その一環としての今の御議論ではないかなというふうに思います。したがって、ここは機能論で申していますけれども、むしろテーマ選定の中で議論すべきことなのではないかなというふうに受け止めました。

【金本分科会長】  法律に基づいてやっているということでございますので、基本的には各府省の自己評価がベースでといったことになっていて、各府省でやろうと思えばやれるけど、できるのかといったところが多分あるんだと思うんですね。政策評価というと何でもありというふうに皆さん思われるんですが、やっぱり政府の中できちっとしたかっこうでやっていこうとすると、どういうタイプのことについて、どういう手続でどういうふうにやっていくかというのを、かちっとというか、ある程度きちんとしたかっこうにしておく必要があって、これについて、成績をつけろといった感じでは必ずしもいかないのかなと。ですから、吉野先生のような問題意識があれば、それをどういうふうに評価の現場のところできちっとしたかっこうにしていくかということを考えなくてはいけない。そんな感じかと思います。
 そのほかございますでしょうか。

【田中委員】  今までに出てきたような話と少し重複するかもしれないんですが、原口大臣の資料1−2を見たり、政策評価推進機能の3ページを見たりすると感じるのは、国民視点ということが出てくるんですが、サービスを受ける側の感じだけの評価になってしまわなければいいなというふうに感じるんですね。先ほどから言っている国家的な視点はどこにあるのかとか、例えば経済成長をどう考えるのかとか、国際的な話はどうするのか。やっぱり政治としてとても重要な話だと思うんですね。そういうことをしっかりと出した上で国民の評価を受けるというのが本来の話ではないかなというふうに思うので、そのスタンスだけは政治側として忘れないでいただきたいなというのが、私の意見です。

【金本分科会長】  どうぞ。

【階政務官】  今のお話も大事なことだと思うんですが、政策評価というのは本当に漠とした概念じゃないかなと私は思っています。人によっては行政監察という意味で政策評価を使っている人もいらっしゃいますし、人によっては本当に大きな国家戦略をより進めていくために政策評価をやるんだということをおっしゃっている人もいますし、何か小さい話から大きい話まで、いろいろな人によってイメージしているものが異なるということで、私は政策評価の外延と内包をはっきりさせるというところが政治家としてまず大事かなと。多分、こうやって議論していても、私が政策評価という概念を皆さんと同じように正確に理解しているかというのは甚だ心もとないところで、まずそこをかっちり決めないと、政策評価の在り方というものが定まってこないような気がしていて、それは自戒を込めながら思っているところでございます。

【田中委員】  いいですか。

【金本分科会長】  どうぞ。

【田中委員】  そのとおりだと思うんですね。事業仕分けとどう違うのかとか、これから財政に直結させようとしたときに、どういうふうにその道を考えるのか、大事な問題だと思うんですね。ここでやっている政策評価自身の問題でもあるというふうに思いますので、それはよく政治と今やっていることについて擦り合わせをしていくことが大事だというふうに思います。

【金本分科会長】  特になければ、次の議題に移らせていただきたいと思います。

(財務省主税局、総務省自治税務局 入室)


【金本分科会長】  次は、租税特別措置の政策評価についてということでお願いいたしますが、まず、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

【佐伯政策評価官】  最初に、租税特別措置の政策評価の関係につきまして取組の経緯を簡単に御紹介させていただきます。
 昨年と一昨年の通常国会におきまして、民主党提出の法律案として、租税特別措置の透明化法案というのが提出されております。いずれも廃案になったわけですけれども、この法律案におきましては、租税特別措置の事前評価、事後評価の実施の義務について規定がされておりました。
 今次内閣のもとでは、この法律案の内容を踏まえた制度化の取組を進めるということで、政策評価につきましては政策評価法の体系において適切に規定していくということとなっております。
 昨年12月に22年度の税制改正大綱が閣議決定されておりますけれども、租税特別措置の抜本的な見直しに関して政策評価を厳格に行うという文字も置かれているというところであります。こういう経緯を踏まえまして、税務当局と連携して租税特別措置の政策評価の制度化に取り組んでいるというところでございます。

【金本分科会長】  それで、今回、財務省主税局から安居税制第三課長と総務省自治税務局から山口税務企画官に御出席いただいてございます。今事務局のほうから取組の経緯について御説明いただきましたが、続きまして、租特の概要などにつきまして、主税局と自治税務局から御説明をいただいて、最後に政策評価の基本的な枠組み等について事務局のほうから説明していただく、こういうことにさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【安居税制第三課長】  財務省主税局税制第三課長の安居でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日はこういう時間をつくっていただき、誠にありがとうございます。私のほうから、租特の内容と、今この政権が取り組んでおります租特の見直しにつきまして、実は、先ほどの事務局の御説明で大体尽きているとは思いますが、もう少し周辺のことをお話ししたいと思います。
 右肩に資料2−1と書いてあります説明資料に沿って御説明をしたいと思います。
 めくっていただきますと、目次がありますが、それを飛ばしていただいて、右下1ページというところを御覧ください。租税特別措置法による特例措置の概要というもので、チーズの形の図を示しております。租税特別措置という言葉は、実は、どういう意味なのかというのがはっきりしないところがございまして、講学上の定義もいろいろございますし、今回先ほど御紹介いただきました租特透明化法で定義するまでは法令上の定義もなかったものですから、まず租特とは何だろうというところから考えていたわけでございます。その上で、とりあえず租税特別措置法に定められた措置を租税特別措置と考えようというところから話を始めてございます。
 下に書いてあります注にございますけれども、そうした前提で項目数を数えてみました。この項目数の数え方というのも実はすごく難しいのですが、ここでは基本的に条ごとに1項目というふうにカウントし、個人と法人に共通する措置は1つとして、さらにメインのほうに割り振るという形で整理してみると、上の円グラフのようになっております。
 全体で310項目あるうちに所得税関係が約3分の1強、法人税関係が3分の1弱、その他が3分の1強というような感じでございます。
 ただ、このうち左側に地価税関係というのがございますけれども、これは御承知のとおり、地価税の執行を停止しておりますので、項目としては数えておりますが、実質的には適用がないというのが現状でございます。
 1枚おめくりいただきますと2ページでございます。租税特別措置に定めます特例措置の主な類型を整理しております。今ざっくりと租税特別措置というのは、租税特別措置法に定められた措置であるというふうに申し上げましたけれども、その中も実は様々なものがございます。左側に類型として整理しておりますけれども、一番上のAとあるところ、課税の免除や繰り延べなど税負担の軽減等を定めるもの。これは後で政策税制措置という言い方をしますけれども、これが一般的には租税特別措置と考えられるものであろうと思われます。
 ただ、租税特別措置法にはそれ以外にもBにございます、本則に定める原則と異なる課税方法を定めるもの。右側を見ていただきますと、要するに、土地もありますけれども、金融所得関係の分離課税を定めているものでございますが、これも租特と言えば租特かもしれませんが、あくまでも所得税の総合課税に対する例外として定められているものでございまして、いわゆる租特とは違うであろうということで、Bという分類にしているところでございます。
 Cは、租税回避の防止や課税の適正化を図るものでございまして、右側の例を見ていただきますと、いわゆる国際課税における移転価格税制やタックス・ヘイブン税制といった、これも本法に対する例外措置ではありますけれども、国際課税においては極めて本則的な措置ですので、別の分類としてございます。
 Dはその他でございまして、徴収方法の特例や手続の特例ということで、税額を変えるものではありませんが、さまざまな手続について定めている条項でございます。
 ということで、租税特別措置における措置にもいろいろなものがありますが、その中で、特に着目するべきは、一番左上のAとあるところのものであろうということで議論を進めてきたところでございます。
 3ページを御覧いただきますと、今度は金額で見ていただくために、租特による特例の増減収見込額の表を載せております。右側のタイトルのところにございますとおり、この数字は平成21年度の平年度ベースで、21年度の当初予算のときにつくられた数字に基づいて、表記しております。したがって、当初、例えば税収全体で申しますと46兆円と見積もっておりましたが、実補正後の現在ですと、約37兆円と、10兆円ぐらい落ちていますので、これが直近の状況を示すものではないと思われますけれども、新しい数字がまだできてないので、少し古い数字を載せております。
 これで見ていただきますと、租特は一番左下の減収のものを全部足しますと約7兆円強、増収策が約2兆円で、差し引きで約5兆円というのが租税特別措置法が定めます租特の全体の姿でございます。その中で所得税関係が1.5兆円、法人税関係が、減税が1.1兆円、増収が3,000億円で、差し引きで約8,000億円の減収。その他は減収見込みが4兆6,000億円と書いてありますけれども、このうち、次で見ていただきますが、3兆6,000億円はナフサ関係の減税が占めておりますので、それを除くと1兆円。増収が、これはいわゆる暫定税率の分でございまして、1.9兆円がプラスであるというのが全体の姿でございます。
 1ページおめくりいただきますと、右下4ページというところですが、租特の減収額が大きなものを並べてございます。法人税関係を見ていただきますと、一番大きいのが研究開発税制というもので、試験研究を行った法人に対する特別措置でございます。次が中小企業投資促進税制で、中小企業関係のものです。所得税関係を見ていただきますと、一番大きいのが住宅ローン減税で、約8,000億円の減となっております。その他のところは、先ほど申しましたけど、一番大きい3兆5,940億円がいわゆるナフサ減税、すなわち、石油化学製品の製造のために消費される揮発油にかかる揮発油税の免税等の措置が一番大きな項目でございます。それから、その次の地価税の課税の停止で約2,000億円といったものがございます。こうして見ますと、租税特別措置はこういった様々な項目からなっておりまして、これらを全部廃止するということはなかなかできないかなと思われるところでございます。
 1枚おめくりいただきますと、昨年12月22日に閣議決定した平成22年度の税制改正大綱からの抜粋でございます。先ほど申し上げましたとおり、租税特別措置の見直しというのは新しい政権において非常に重要な課題として掲げられておりまして、昨年10月8日に総理から新しい税制調査会に対して諮問がなされたすぐ翌日の10月9日に、租税特別措置のプロジェクトチームが立ち上がりまして、そこから約1カ月で10回程度の会合を重ねて、報告書をまとめ、それがこの大綱に盛り込まれるというような形で作業が進められたところでございます。
 この大綱の文章に基本的な考え方がまとめられておりますので、若干早口で読み上げてみたいと思います。2の(1)の「ふるい」による租税特別措置の抜本的な見直しというところでございます。2行目から見ていただきますと、租税特別措置については、その多くが特定の者の税負担の軽減などをすることにより、産業政策等の特定の政策目標の実現に向けて経済活動を誘導する手段になっているとあります。そこから、そのパラグラフの下から3行目の「しかし」というのが真ん中にありますけれども、現状では適用実態がはっきりしないものや適用件数が非常に少ないもの、導入から相当期間が経過し役割を終えているもの、特定の業界や一部の企業のみが恩恵を受けていると思われるものが散見されますという問題意識に従いまして、その次のパラグラフにありますとおり、税制における既得権益を一掃し、納税者の視点に立って公平で分かりやすい仕組みとするためには、租税特別措置をゼロベースから見直し、整理合理化することが必要ですという考え方に立って、ふるいを使って、全部の項目を見直していくということが書かれております。
 次のページ、6ページ目を見ていただきますと、では、どんな方針に基づいて租税特別措置の見直しをしていくのかということが、11月17日の税制調査会に対する租税特別措置プロジェクトチームの報告でまとめられております。先ほど申し上げたのとかなり重なっておりますが、見直しの対象は、先ほど見ていただいた租特法に定められた措置のうち、政策税制措置と言われるような負担軽減措置、これが全部で241項目ございますので、これを対象として4年間で見直すということを述べております。
 見直しの方針については、全部は申し上げませんけれども、基本的には各年度末に期限が来るものを中心として見直していくというようなことが書かれております。
 1ページめくっていただきますと、見直しに当たっての6つのテストが提示されておりまして、7ページに書いてございますけれども、合理性、有効性、相当性というメルクマールに基づいて、それぞれ2項目ずつ、全部で6つのテストが定められております。このうち政策評価との関係ですと、4というところを見ていただきますと、政策評価法に基づく所管官庁の事後評価等において、税収減を是認するような有効性(費用対効果)が客観的に確認されているかが1つのテストとして入っているところでございます。
 1枚めくっていただきまして、8ページ、平成22年度税制改正における見直しの状況をまとめたものでございます。繰り返しになりますけれども、租特法に定められております措置310項目のうち、いわゆる政策税制措置という負担軽減措置、インセンティブ税制のようなものは241ございまして、今年度見直しを行ったのがその左にございます82項目でございます。このうち47項目は本年度末までに期限が到来するものでございますが、そのほかのものも加えて82項目となっております。
 見直しの結果がその右側でございまして、82項目のうち12項目を廃止し、29項目を縮減するということで、縮減・廃止で41項目、ちょうど半分の措置について、縮減・廃止を行ったところでございます。
 1枚めくっていただきますと、もう一つ、今回のことで申し上げておくべきなのは、ここにございます、いわゆる租特透明化法の制定についてでございます。先ほどの御説明にもございましたとおり、今、ちょうど国会に法案がかかっておりますけれども、租税特別措置法の適用状況の透明化等に関する法律案を提出しているところでございます。問題意識は、1つ目のパラグラフにありますとおり、現行の租税特別措置の中に適用実態の把握や効果の検証が十分なされないものが少なからずあるのではないかという問題意識に基づきまして、第2パラグラフにありますように、ちょうど2行目の右側ぐらいからですけれども、法人税関係の租税特別措置について提出を求める「適用額明細書」を集計するなどの方法により租税特別措置の適用実態調査を行い、その結果を国会に報告するということを定めるものでございます。
 1枚めくっていただきますと、10ページに租特透明化法案の概要を記してございます。先ほど申し上げたとおりの内容を定める法律でございます。
 めくっていただきますと、11ページに租特透明化法に基づきます作業イメージが書いてございますけれども、法人税関係の租特の適用を受ける法人は、法人税の申告書を出す際に、租特の額を1つの明細書に書き写して1枚の紙をまとめていただき、それを税務当局に提出していただきます。それを集計して、報告書を作成し、国会に提出する。その過程で必要な情報は関係省庁にお渡しして、政策評価に役立ててもらう。そういうものでございます。
 以上、租税特別措置とその見直しの概要について御説明いたしました。ありがとうございました。

【山口税務企画官】  総務省自治税務局の山口でございます。よろしくお願いします。
 それでは、私のほうから地方税関係について御説明申し上げます。右肩資料2−2という資料をお願いいたします。
 2枚めくっていただきますと、今財務省のほうから御説明ありましたものと似たような資料をつくっております。まず1ページ目が、地方税法による特例措置の概要ということでございます。地方税の場合には、いわゆる租税特別措置的な特例措置については、すべて地方税法という1本の法律の中で書いております。地方税法の中に掲げられている特例措置を数えたものでございます。
 御覧いただきますと、固定資産税・都市計画税関係、それから不動産取得税関係というものが中心になっているということがお分かりいただけると思います。一方、個人住民税関係、法人住民税、あるいは事業税関係につきましては項目数は少なくなっておりますけれども、下の注の1というところを御覧いただければと思うんですが、個人住民税について言いますと、所得の計算について所得税法の所得の計算の例に倣っておりますし、例えば法人住民税につきましては課税標準を法人税額自体というふうにとらえているところがございますので、国税における租税特別措置の影響というのが直接的に地方税に及んでくる部分があるということでございます。地方税法固有の項目として338項目、それから、下にあります個人住民税関係で、先ほど御説明のありました所得税関係111件中の41件、あるいは法人2税関係中の92件中88件というものが地方税法のほうにも影響を及ぼしてくる項目であるということでございます。
 2ページをお願いいたします。これも先ほどの財務省さんの資料と同様のものでございますけれども、やはり地方税法における税負担軽減措置につきましても、おおむねABCDというような、こういう4つの分類ができるのではないかと。いわゆる政策税制措置として見直しの対象とすべきものは、ここで言うA、まさに一定の政策目的に基づいて税負担を軽減したり、繰り延べたりしているものだろうということでございます。詳細については省略いたします。
 3ページをお願いいたします。今度は、それを金額的に見るとどうなるかということでございまして、項目数としては国税よりもむしろ多いぐらいなんですけれども、金額について見ますと、先ほど御説明ありました国税に比べると大分少なくなっております。特に中心となっております不動産取得税、あるいは固定資産税等関係の特例措置につきましては、項目数はあるんですけれども、実は1件当たりの適用金額というのはさほど大きくございませんので、マクロベースですと、国税に比べるとそれほど大きくはなく、減収見込額で合計で1兆3,000億円余り、増収額は約6,000億円、増減収差し引きで8,000億円程度の減ということでございます。ちなみに、ここで増収として上がっているのは、旧道路特定財源の暫定税率分の上乗せ部分ということでございます。
 4ページをお願いいたします。これが今掲げました増減収見込額のうち、主なものということでございます。大きなものといたしましては、不動産取得税の関係で、例えば住宅あるいは土地の取得をする場合の税率につきまして本則4%を3%にしているもの。あるいは宅地評価土地の取得に係る特例措置、これがこの表の中で最大のものになっておりますけれども、これは御記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、固定資産税の関係で、いわゆる7割評価というものを入れたときに、評価額が急激に伸びたときがございまして、それに伴って不動産取得税の課税標準を割り落とすというような措置を講じていることによるものでございます。
 また、そのほか大きなものとしましては、固定資産税で新築住宅に係る特例措置というのがございまして、これは新築の住宅について家屋に係る固定資産税を3年間、2分の1に減額するという措置でございますけれども、これが1,500億円余りというようなことになっております。増収項目は先ほど申し上げた暫定税率関係でございます。
 5ページをお願いいたします。地方税における税負担軽減措置についてどのような方針に従って見直していくかということでございますけれども、見直しの対象につきましては、いわゆる338項目のうち(2)のところでございますけれども、先ほどのAに分類される政策税制措置に該当する286項目を対象にしていこうという考え方でございます。
 見直しの方針につきましては(1)にございますけれども、先ほど財務省さんから御説明ありました租税特別措置の見直しに関する基本方針、これは租税というものを一定の政策目的で軽減するという以上、国税、地方税、共通の方針になるんだろうということで、基本的にこれに準じて行うということを言った上で、(2)でございますけれども、固定資産税、不動産取得税、あるいは自動車関係税等、地方税固有のものにつきましては(1)から(3)、実施期間が長期のもの、あるいは適用件数が少ない措置、適用金額が小さい措置、こういったものは特に厳格に見直しをしていこうというようなことを掲げているのが1つの特色です。
 (3)のところに、ちょっと耳慣れない言葉で、新サンセット方式というのが書かれておりますけれども、これは一定の政策目的を税制で実現する際にできるだけ早いうちにやってもらおう、早くやるほど税制上の特例措置が大きく受けられるような措置というものを考えていこうということで、そういったものを入れているところが特色でございます。
 次のページ、6ページをお願いいたします。今申し上げました338項目という税負担軽減措置の中で、見直しの対象とする286項目ございますけれども、このうち本年度見直しの対象としましたのが90項目。そのうちの76項目は本年度末までに期限が到来するものでございますけれども、これにつきまして、右側の見直し結果を御覧いただきますと、廃止、あるいは縮減合わせて57項目ということで、金額面では必ずしも大きなものになっていませんけれども、少なくとも項目数について見る限りは、例年に比べるとかなり大きな成果が上がっているのではないかというふうに考えています。
 続いて、7ページをお願いいたします。これが今まさに法案がかかっているものでございますけれども、国税のほうは、実は租特透明化法案というのを1本の単独の法律として出されておりますけれども、私ども地方税の関係は、先ほど申し上げましたように、地方税法という中にすべての項目をいわば書き切るような形になっておりますので、ここに書いてありますことを、地方税法の改正法案の中に盛り込む形にしております。
 次のページに概念図がありますので、そちらをお開きいただければと思います。左側のほうに2つ四角がありますけれども、大きく地方税の関係では、冒頭御説明申し上げましたように、地方税法に規定する税負担軽減措置ということで、地方税独自の措置がございます。主として固定資産税あるいは不動産取得税を中心としたもの。それから、下のほうにあります法人税法等の租税特別措置の直接の影響を受けるもの。これは個人住民税あるいは法人2税の関係でございます。大きく2つがございますけれども、上のほうの地方税法に規定する地方税法独自の措置というのは、税法上の用語で、賦課課税というふうに言っておりますけれども、基本的に課税団体である市町村なりのほうで課税資料をすべて収集して税額を確定した上で納税通知書をお送りするというような形になっておりまして、都道府県、市町村に相当程度、課税資料というものがあります。現在もそれらの資料を総務省のほうでは統計資料的にいただいておりますので、総務大臣のところでその資料を整理した上で報告書を作っていくことにしております。
 一方、下のほうの国税の租税特別措置の直接の影響を受ける部分につきましては、先ほど財務省さんから御説明ありましたけれども、例えば法人税関係であれば、適用額明細書というものに基づいて軽減額等を出していくということでございますので、その資料について情報提供いただきまして、それを一定のルールに基づいて総務省のほうで影響額を推計するということを行いまして、報告書を作成して、公表、あるいは国会に提出していくという措置を考えております。
 私からは以上でございます。

【佐伯政策評価官】  それでは、資料2−3、2−4、2−5につきまして御説明したいと思いますが、その前に、基本的枠組みにつきまして口頭でコメントさせていただきたいと思います。
 現在の政策評価法の体系のもとでは、事前評価については政策評価法施行令を改正すべき事項、それから事後評価については政策評価に関する基本方針、こちら閣議決定でございますが、これを改正すべき事項ということでございます。
 本日は、租特の政策評価に係る基本的枠組みをまず御説明いたしまして、政策評価に関する基本方針の改正案、租特の政策評価の方法について定めるガイドラインの案についても御説明したいと思っております。特に評価の方法について定めるガイドラインの案について重点的に御議論いただければと考えております。
 なお、事前評価に関します政策評価法施行令の改正案につきましては現在作成中でございますけれども、政令で規定しようとする内容については、本日の基本的枠組みの資料の中に盛り込んでおります。
 続きまして資料のほうの御説明をさせていただきたいと思います。資料2−3を御覧いただきたいと思います。租税特別措置に係る政策評価の基本的枠組みについてということで、租特の政策評価については以下により制度化を行うこととしたいということで、1番目としまして、その措置の基本的対象範囲ということで、政策評価の対象とする租税特別措置の範囲については、平成22年度の税制改正大綱の考え方を踏まえまして、租特のうち特定の行政目的の実現のために税負担の軽減、繰り延べを行うものを基本とするということでございます。
 続きまして、事前評価についてでございますが、各府省が租特の新設を要望しようとする場合または既存の租特の拡充または延長(期限の廃止を含む。)を要望しようとする場合に、事前評価の実施を義務付けるため、政策評価法施行令を改正したいということであります。
 義務付けの対象とする税目でございますけれども、各府省における実態把握の可能性等を踏まえ、法人税、法人住民税、法人事業税とし、その他の税目については法令上の義務ではないが、政策評価に関する基本方針において積極的に評価に取り組むよう努めることを明記するということであります。
 事前評価の実施時期でございますが、租特の要望に係る事前評価の結果というのは各府省における要望の意思決定、税務当局を中心とする税制改正作業において重要な情報として用いることが認められるということで、実施の時期につきましては例年8月末に税制改正が行われますけれども、それに向けた各府省の検討過程において評価結果が有効に用いられるように的確なタイミングで実施する必要があろうかと思っております。
 施行時期でございますが、今年の夏以降に行われます23年度税制改正作業におきまして事前評価の結果が活用されるように速やかに施行令の改正を行いたいと思っております。
 評価方法について定めるガイドラインについても同時に策定したいと考えております。
 事後評価につきまして、一番下のところでございますけれども、各府省が作成いたします政策評価に関する基本計画及び事後評価の実施計画、基本計画は3年から5年のもの、実施計画は毎年のものでございますけれども、こちらにおいて租特が事後評価の対象施策として確実に位置付けられるようにするため、政策評価に関する基本方針を改正したいと考えております。
 義務付けの対象とする税目ですけれども、事前評価とパラレルな形で決めたいということでございまして、事後評価の実施を義務とする税目としましては法人税、法人住民税、法人事業税ということで、その他の税目については積極的に評価に取り組むことに努めるということを明記したいと考えております。
 事後評価のサイクルにつきましては、10年以上にわたって存続している租特から順に取り組むなど評価の必要性の高いものから計画的に実施していくということで考えております。評価のサイクルとしましては、政策評価に関する基本計画の期間を踏まえまして、3年から5年に1回は少なくとも評価を行うということを原則としたいということであります。また、今年の税制改正作業以降の3年間で事後評価の義務付けの対象となる税目に係る租特はすべて評価の対象とするということでございます。これは昨年決められた大綱で、4年間で一通り見直していくというところに沿ったものでございます。
 事後評価につきましても適切に活用されるタイミングで実施する必要があるということであります。施行時期も同様でありまして、速やかにということで考えております。
 今の御説明の内容を3ページのところでございますけれども、図でまとめたものであります。これは御参考までに付けさせていただいております。
 資料の2−4に移りたいと思いますが、こちらでも御説明したとおりでございまして、政策評価の実施に関する基本的な事項の中で事前評価の対象となる政策をきちっと書くということで、Iの4のキのところで追加させていただきたいということであります。
 それから、事後評価の実施に関する基本的な事項ということで、2ページのほうに参りますけれども、カのところで租税特別措置に関する事後評価について書かせていただいているということでございます。
 あと関連するところで政策評価の結果の政策への反映に関する基本的な事項のところに租税改正要望、あるいは税制という文字を追加させていただいているというところであります。
 あとは形式的な改正であります。
 以上は資料2−4でございます。
 続きまして、資料2−5を御覧いただきたいと思います。租税特別措置の政策評価の実施に関するガイドラインの骨子でございます。1ページのところですけれども、前文、省略しまして、IIの評価の方法、1の評価の対象については施行令、あるいは基本方針の内容について補足するような事項があれば記述していくということであります。
 評価の単位につきましては、評価結果が有用な情報として活用できるようにするため、原則として個々の税制改正要望の単位に対応させるということにさせていただきたいと考えております。
 それから、分析及び評価の内容ということで、共通する前提といたしまして、事前評価、事後評価について、分析の対象とする期間の設定、それから、租税特別措置の費用としては減収額ととらえるということ、それから、事前評価における費用及び効果の推計に当たっては、租税特別措置がない場合に生ずると予測される状況をベースラインとして設定して、これとの比較を行うということかと思います。
 続きまして、事前評価の基礎的要素ということで、評価書の中において、何を明らかにすべきかということでございますが、まず新設の場合につきましては、租特の名称、内容、適用期間。分析の対象とする期間。適用した対象者数、これは適用件数という形になる場合もあるかと思います。適用額・減収額の見込み。それから、租特措置を講じることにより実現しようとする政策目的と上位の政策の内容、根拠規定等があるかと思います。達成すべき目標、その測定指標についても書いていただく。
 2ページのほうに参りまして、評価の観点、着眼点ということで必要性、効率性、有効性、相当性についてきちんと説明してもらうということかと思います。
 拡充、延長の場合も、ほぼ新設の場合と要素としては同様でありますけれども、既に租特の措置が実施されているということで、実績をきちっと評価書の中に書き込んでいただくというところが大きな違いかなというところでございます。
 それから、3ページに行きまして、事後評価の基本的要素というところでも、その点について同様でありまして、実績についてきちっと書いていただくということが必要になってくるかと思います。
 4ページのほうに参りまして、評価書の記載事項ということで様式の統一ということですが、今日お付けしておりませんけれども、租税特別措置に係る評価が横並びで比較検証できるよう3の評価の要素を踏まえて、評価書の記載事項を統一することとし、具体的な様式を示していきたいということでございます。
 それから5番目といたしまして、評価の実施、公表の時期ということで、これは既に先ほど御説明したとおりでございますので、省略させていただきたいと思います。
 以上、ちょっと駆け足になりましたが、租税特別措置の政策評価の関係の御説明でございます。

【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。吉野先生、どうぞ。

【吉野委員】  御説明ありがとうございました。昔、租税特別措置の業種別のいろいろ推計をやったことがあるものですから、もともとこの租税特別措置が入ってきたのは、私が調べたところですと、シャウプの税制のときで、当時も日本が財政赤字で、戦後すぐに輸出を増やして経済成長しないとだめだったものですから、租税特別措置を持ってきて、日本の成長産業、あるいは輸出産業を育成しよう、こういうことだったと思うんです。
 それで、効果を測っていただく場合には、多分業種別にしっかりやって、いろいろなのがあると思うんですけれども、そうすると、それぞれの業種別に投資であれば投資関数を推計していただいて、その中で租税特別措置の部分がどれくらいの効果があったかというのがまず必要だと思います。それを私、昔やったことがあるんですが、さらにそこから必要なことは、研究開発であれば、R&Dのスピルオーバー効果があるはずですから、そうすると、それがどれくらいなのか。マクロ的に見ると、昔の私の計測ではあまり効果がなくなっていたというのは事実なんですが、本当にミクロ的にもすべての業種に関してそれが悪いのかどうかというのは分からないと思うんです。ですから、是非定量的にやっていただくのであれば、効果を業種ごと、それからプロジェクトごとにやっていただいて、それをしっかり見ていただくというのができていれば一番いいのではないかと思います。コメントです。

【金本分科会長】  田辺先生、どうぞ。
【田辺委員】  3点ぐらいだと思います。
 1つは、こちらのガイドラインの骨子のところでございますけれども、事前評価のところの分析及び評価の内容というところで、そこの2つのポツのところに、租税特別措置の費用としては減少額ととらえることと書いております。これは、若干というか、かなり不正確だと思いますので、どういうことかというと、例えば公共事業とか、規制インパクト分析のときの費用といったときは、社会的費用を意味しているわけです。つまり、こういう制度を入れることによって新しく社会的な費用がかかる。例えば公共事業だったら、公共事業をやるときの投資分になりますし、規制をかけるときだったら企業等が設備投資をやらなければいけないというところの費用ですけれども……。ただ、租税特別措置のこの減収額というのは社会的費用はゼロでありまして、要するに、企業の中にあったお金を政府のほうに持っていくだけですから、移転であります。ゆがみがあるので若干問題がありますけれども、社会全体としてはプラスにもマイナスにもなってないので、この言葉遣いというのが、費用というのがほかのガイドラインでは全部社会的費用のことを意味するように考えていますので、この言葉は不適切ですので、変えたほうがいい。減収額という言葉をそのまま使えばいいだけで、費用という言葉を当てることによってほかのガイドラインとの並びが悪くなりますし、あと、例えばここでやるコスト・ベネフィット・アナライシスのときのB/Cとかは、Cというのを減収額であるというのは、ほかの公共事業とか、規制インパクト分析の場合には社会的費用と社会的便益を割算していますので意味があるんですけれども、これも租税特別措置の割り算の下のところは移すだけですから、意味がない。意味がないとは言いませんけれども、政府の側から見ただけで社会全体から見たものとはなっていませんので、そこは平仄をそろえるような言葉遣いにしてほしいというのが1点目であります。
 2点目は、事前評価の中でこれを入れていくということは非常にいいことですし、あと事後的にチェックできるというのも非常にいいことだと思います。例えば細かい話ですけれども、6つのテストの中で合理性があるとか、有効性があるとか、相当性があるとかいうのは、例えば1964年ぐらいの税調の中でも言われていたことでありまして、50年後、これがやっと手続としてチェックできるようになるということは非常に前進ではあると思います。
 2点目で言いたいことは、事前のほうは分かるんですけれども、事後のほうをいつやるか。それから、紙で様式をつくるというんですけれども、これを例えば実績評価の中に入れ込むのか、事業評価で個別の紙として出すのかというところと、評価形式のやり方のところはもう少し詰めてみないと、特にいつ事後評価をやるかというのは、基本計画の中で書き込むということにはなっていますけれども、例えば5年ごとに全部並べて1回やるとした場合、その間に租税特別措置の改正が入ってしまうとやっているものが見えないというようなことになりますので、そこのところはもう少し詰めて、実際上いつ総括するのかというのは個別の租税特別措置ごとに見られるようにしておいて、かつ義務付ける。ある程度義務付けるというか、お願いベースではありますけれども、きちっとこのときまでにやってよというのを見られるようにしておくということが必要なのかなというのが2番目のコメントです。
 3番目は、この紙をつくって、もう一回主税局のほうに投げる。税制改正要望、特に事前のほうでありますけれども、別の様式にすると、また二度手間になりますので、そこのところの様式というんでしょうか、やり方、つまり、これでガイドラインで作っておいて、主税局のほうから、補足資料というのはあると思いますけれども、主要な紙のところを共通化してこれ一本でいけるようにしておくと。そこで擦り合わせというのはきちっとやるようにお願いいたします。
 以上3点。

【金本分科会長】  あとちょっと、タイミングが気になるんですが、今までのいろいろな評価がうまくいかなかった大きな理由は、意思決定の最後に近いところで出してくるんですね。府省の中で決めて、採るか採らないかという段階のときに出してきて、そのときに詳しく見て、ここ、こういうふうに調べるとどうかとか、そんなことを言うことはできないという段階になっているんですね。租特に関しては、多分もうちょっと長いスパンで主税局とのやりとりとか、いろいろなものがあると思いますので、こういう評価を出させるタイミング、最終のものは最後に近いときに出るんでしょうが、もっと前の段階で資料を出させるといったことをしないと、実際にはいい評価にもならないし、うまくいかないのかなという気がいたしております。
 そのほか何か。では、森泉委員、どうぞ。

【森泉委員】  事後評価もそうですけれども、新たに新設した特別措置の場合は、やはり事前評価は非常に難しい面があるのではないかと思います。資料2−5のガイドラインのところの2ページ、クのところに、可能な限り定量的、具体的に説明とありますが、これはかなり調査をきちっとしなくてはいけないし、したとしても、新設に関してはどの程度出てくるかというのは、かなり難しいのではないかと思います。
 それから、吉野先生の話と関連するのですが、例えば家計の住宅取得とか、借入金の特別措置を例にとってみますと、マイクロのベースあるいは、マクロのベースで考えるかというのは、齟齬が生じてくる可能性が大きいと思います。この辺についても、事後に関しても十分注意しなくてはいけないですが、事前に関しては、定量的なところまで要求するというのはかなり難しいのではないかという気がいたしました。
 以上です。

【金本分科会長】  どうぞ。

【立花委員】  立花ですが、3点ばかり御質問とコメントを申し上げたいんですが、1つは、所得税、法人税、特に法人税絡みについては、先ほど吉野先生からもいろいろ国際環境の変化といいましょうか、そういう点がありました。国際競争の中で企業が海外で、いろいろ国家重商主義的な政策をとっている国との競争条件をどうやってイコールフッティングするかとか、そういった状況もあるわけで、税制の評価に当たっては国際競争力の評価というか、その背後には雇用の維持といいましょうか、その辺のこともきちっと是非評価の対象に含めた上で、考えていくべきじゃないかなという点が1つ。
 2つ目が、毎回、私、時々政策評価のときに申し上げているのは、税務当局はこういう租特をやると減収になるということをすぐおっしゃるわけで、確かにそのとおりなんですが、ただ、物事のスパンをどうとるかによって考え方も変わってくるんだろうと。短期には確かに法人税の減収ということになるかもしれない。あるいは所得税の減収となるかもしれない。だけども、例えば住宅減税なんかで見れば、消費税の増収ということで戻ってくるということで、根っこのところは、減収のところは法人税、あるいは所得税ですけれども、増収のほうは国税でなく地方税で戻ってくるとか、固定資産税とかですね。あるいは消費税で戻ってくるとかということがあるわけで、単に減収という短期的スパンだけじゃなくて、もう少し成長という観点といいましょうか、ダイナミックな論点もつけ加えて、増収という、そういったプラスの効果という面をどうとらえるかという点も、是非視点につけ加えておいていただけないかなという点が1つですね。
 それから、3つ目が、租税特別措置に政策評価の基本的枠組みの中で、事前評価、事後評価、もちろん私も賛成ですけれども、ここのところで、法人税、法人住民税、法人事業税の3つでこれを義務付けて、なぜそれ以外は義務じゃないのか。先ほど主税局の話でも所得税関係は1兆5,000億、法人税関係は8,000億の減収だとかという話がありましたけれども、なかんずく例の住宅減税なんかも規模としては非常に大きいわけで、明示的に法人税、法人住民税、法人事業税という、この項目だけ義務付けて、その他は義務付けじゃないと。だけど、努力義務だという、その辺がよく整合性がとれないというか、なぜそうなのかという点が、下手すれば法人いじめ的な感じにもなりかねないので、その辺はきちっと納得できるといいましょうかね。なぜ法人税に限って事前評価を義務付けているのか。所得税関係はなぜ対象じゃないのか。その辺のところがよく分からない。
 以上です。

【金本分科会長】  では。

【階政務官】  そもそも租特透明化法というのは、民主党が野党のときから立案しているものなんですけれども、これは租特という制度が表の補助金に対して隠れ補助金と言われるようなものではないかという問題意識から始まっております。ですので、企業や団体に対する補助金が隠れないように、なるべく表に出させるということで、租特透明化法というのをつくっているわけですけれども、そういった意味でどういった分野に隠れ補助金と言われる租特が使われているのかということを明らかにしようというところから始まっています。ですから、企業、法人税などが対象になっているということだと思います。
 それから、先ほど申し上げたように、政策評価という概念があいまいだということを申し上げたんですけれども、ここでも租特の政策評価の実施に関するガイドラインというふうになっていますけれども、ここでやりたいのは、政策評価というよりも租特が客観的に効果があるのかどうかという情報を提供してもらおうという趣旨なんだと思うんですね。評価自体はまさに租特をやろうとする側と我々政府の側とが交渉していく中で評価が定まってくると思っているんですが、昨年の租特の議論の中でも要求官庁側と総務省、財務省という査定側との間で、どちらかというと、定量的なデータよりも定性的な議論で何となく力関係で決まっていくというようなところもあったので、なるべく定量的なデータを出してもらいたいというところはあるわけです。
 そういう中でポイントは、資料2−1の7ページの下線部分だと思うんですね。政策評価法に基づく所管官庁の事後評価等において税収減を是認するような有効性が客観的に確認されているかという、要は費用対効果を客観的に確認するというのが政策評価といわれるものの目的であって、そういうことに焦点を当ててやっていけばいいんじゃないかなと思っております。ですから、先ほど来、事前評価については定量的な評価は難しいというお話もありましたけれども、そのあたり、どうすれば客観的なデータに基づいて租特の議論ができるかというところが大事かなと思っていますので、その辺について知見を貸していただければと思っております。

【金本分科会長】  公共事業のB/Cのようなかっこうで数字をかなりの精度をもって出すというのはほとんど不可能だろうなというふうに思います。ですから、今、階政務官が言われたように、とりあえず意思決定するために必要ないろいろなデータ、いろいろな情報を客観的な情報を出してほしいというスタンスで行かざるを得ないのかなということで、あまり高望みすると間違いが出てきますので、それなりにしっかりしたものを出してもらうというふうなスタンスで行かれたほうがいいのかなという気がいたします。
 多分、不動産取得税の評価なんてあまりちゃんとやらないと思いますが、ああいうのを見てみますと、もともと不動産取得税は日本のような税率であること自体おかしいという議論を私は前からしていまして、今、中古住宅の流通を活性化して資産を有効に利用したいというときに、住宅を売ったら結構な税額を取られてしまうという制度をいつまでも残していいかといったような議論もございますので、その辺もこの評価自体は減収額に対してどうこうというんですが、もっとトータルにとらえる必要が実はあるのかなといった感じを持っています。

【高木委員】  よろしいですか。

【金本分科会長】  はい。

【高木委員】  感想を含めまして何点か申し上げさせていただきます。4点ほどですが。
 まず、感想ということなんですけれども、昨年6月のこの会議だと思ったんですが、文科省のほうが租税特別措置の評価をある部分についてやるという方針が伝えられまして、私も租税特別措置の整理という一環で政策評価が活用できないかというふうに思っておったものですので、非常に文科省として前向きな取組だなというふうなことで、この会議のところで事務局のほうに租税特別措置についての評価を促すような構図をつくらないかという、そういうことを申し上げたことを記憶していますし、また、それを受けまして、その後で開催されました財務省の政策評価に関する懇談会のところで、財務省さんにも政策評価という形で租税特別措置の評価を義務付けたほうがいいんじゃないかというふうなことを申し上げたりしていたんですけれども……。そういったところ、今回このような形で取り上げられたというのは、なかなか私としては複雑な感じがあるというところなんですけれども……。
 あと、個別のところに関してですけれども、先ほど立花委員がおっしゃられた点は、私も今回拝見して、疑問として持っておりまして、要は所得税とかも対象にしなくてよろしいのかというところの疑問なんですね。住宅税ローン減税にしましても、これはもちろん個人の所得というふうなところに関連しますし、さらにマクロ的な経済全体というふうなところに関連するということが言えるんですが、同時に住宅産業そのものにかなり直接的なかかわりがあるというふうなことが言えるだろうという例が1つですね。
 それから、今回、子ども手当のところでかなり顕在化された話だと思うんですが、扶養者控除ですとか配偶者控除の位置付けです。平成16年と記憶していますけれども、政府税調のほうで出されたレポート。あれは、私は非常に評価できるレポートだと言っておるのですけれども、そこのところで、日本の世帯構造の変化が大きく取り上げられておりまして、そこのところからすると、子ども手当をやったとして、また同時に、配偶者、扶養者控除のところに手をつけるとして、その効果が、今の世帯構造からして、いろいろ報道なんかがされているような程度であるというのも言えるわけですけれども、そういったことなどが、いろいろ明らかになってくるということにもつながっていくだろうなと思いますので、原則として、法人関係だけではなくて、個人等も含んだほうがよろしいのではないかなというのが私の意見でもあります。
 それから、やはり事前評価が重要だと思っておりますのと、事後評価のところを見ていますと、事前評価のところで掲げられた目標を改めて検証するというような項目が、どうも入ってなさそうだなというふうに感じるんです。それから今回、ほぼ、全体的にいったん評価するというふうなことだとしまして、その数年後、3年ですとか5年後に評価し直すときに、今回の評価のところの結果というものを、さらに数年後の評価のときに、十分に斟酌して、改めて評価し直すという構図をしておくほうが適当ではないかなと。時系列的に見ないと、前にやったことが反故にされて、いかにも、その後の状況のところだけで評価というふうなことになってしまうと、せっかく前にやった評価がというもったいなさというのもありますし、新しいところで、文書だけがうまく作られて、問題点が見落とされていってしまうということも可能性として覚えますので、そんなことなども検討していただければと思います。
 それから、田辺先生が御指摘された費用という話ですが、確かに、おっしゃられたように、私もそうだなと思いますし、これ、会計的なところで言いますと、費用というのは、発生主義ベースの費用というふうな言い方で、一般的にとられてしまうだろうなというふうに思う点もあるということですし、コストという言い方をしたりしますと、これまた、コストという概念も、いくつか違う概念を使われているところがあったりしますので、その辺のところ、今後の言い換えのところでも、留意点として、蛇足ながら申し上げておきます。
 以上です。

【金本分科会長】  どうぞ。

【山口総括評価監視調査官】  所得税のように、個人を対象とする税目も対象にすべきという御指摘でございます。
 先ほど政務官からもお話がございましたように、まずは客観的なデータをどれだけ正確に出せるかというところが重要なことではないかと思っております。私どもも各府省との間で議論しておりますけれども、それぞれの行政機関が、どの程度、適用の実態や効果を正確に把握できるか、どういう税目についてまず把握できるかということを調査いたしました。その結果、やはり法人を対象にする、法人税の関係、これが、これまで租特の評価をやってこなかった今現在においては、確実に評価をやっていけそうなところという結果が出ております。
 したがいまして、私どもも幅広い税目について評価を入れていく必要性、全く同じように考えてございますけれども、まず確実に、作文に終わらず、意味のある評価の取り組みを、まずどこからやっていくかということを考えましたときには、やはり法人税を中心に考えるのがよいのではないかと考えている次第でございます。
 それから、事前評価と事後評価。対応するように、時系列で検証できるように、全く御指摘のとおりだと思いまして、その視点が抜けていると思いますので、御指摘を踏まえて検討してまいりたいと思っております。それから費用の言葉の使い方についても、田辺先生、高木先生の御指摘を踏まえまして、これも再検討したいと思います。

【金本分科会長】  谷藤委員、どうぞ。

【谷藤委員】  事前評価の実施時期のプロセスの問題を、少し質問したいわけですけれども、資料2−3の(2)の、事前評価の実施時期ということになりまして、そこに出ております「各府省における税制改正要望の意思決定」と書かれておりまして、その次に「税務当局を中心とする税制改正作業」というふうなことになっております。そうしますと、この委員会は、各府省における改正要望というもの、意思決定の政策評価をしていくのか、あるいは税務当局が出された改正作業そのものの政策評価をしていくのかというふうな問題がある。あるいはそれ以前に、各府省と税務当局との様々な協議の中で出てきた結果を事前評価していくのかというふうな問題、それはどのようなプロセスになってくるのかというふうなことです。まさに、事前評価そのものの有効性を高めるにはどういう手続をとって、それからこの政策評価・独立行政法人評価委員会のほうには、どの段階でそういう情報が出されてくるのか。

【佐伯政策評価官】  よろしいでしょうか。

【金本分科会長】  どうぞ。

【佐伯政策評価官】  その点につきましては、こちらの事前評価の実施時期というのは、各府省がいつ行うのかというところを書かせていただいております。各府省におけるいろいろな意思決定、あるいは、税務当局に対する要望に当たってその説明をしていくときに、そのための意思決定とか、あるいは税制改正。各府省の中における意思決定とか、あるいは税務当局のほうが判断をしていく上で役立つようにと、そのための情報を提供するという意味合いですので、この委員会自体は、各府省が行った政策評価について、それが水準に達しているものなのかと。論理的な説明をとっているかという点からチェックをするということは、総務省の仕事としてありまして、さらにそれを、この場でも御報告させていただくということはあると思います。タイミングということになりますと、8月末より以前に、まず、各府省の中で意思決定をするための情報としてつくっていただくということで、直接、それをすぐこちらで、8月末より前にこちらで見るとか、そういうことではないかと思いますけれども。

【金本分科会長】  よろしいでしょうか。

【谷藤委員】  8月末の段階では?

【金本分科会長】  これ、政策評価法上の、正式な評価として出るのはいつなのかと。

【谷藤委員】  そういうことなんです。

【佐伯政策評価官】  それは、8月末の税制改正要望の時期ではないかと思います。

【谷藤委員】  その間におきましては、各府省の改正要望の意思決定プロセスといわれるようなことだとか、あるいは税務当局そのものの、さまざまな税制改正作業に出てきた、ある種の結論というのは、それが併記された形で出てくるんですか。

【佐伯政策評価官】  各府省の中においては、税制改正要望の意思決定をしたときの参考資料というか、意思決定をする際の重要な情報として出てくるということだと思います。

【山口総括評価監視調査官】  各府省において税制改正要望の意思決定をする際に、その意思決定にきちんと反映されるように評価が行われるということが基本であると思います。したがいまして、基本は8月末までに要望を行うことになると思いますので、それまでのしかるべき段階で、これは各府省、意思決定プロセスが様々あると思いますので、しかるべき時期にやっていただくということだと思います。9月以降、税制改正作業が行われることになるわけですけれども、その場におきましても、まさに政務官おっしゃいますように、評価をする重要な資料として、税調の場においても活用していただくべく、運ぶということを考えております。

【谷藤委員】  そうしますと、先ほど、財務省のほうからの説明資料、自治税務局からの資料にありましたけれども、最終的な報告書の中に、この委員会の意見といわれるようなものは盛り込まれてくるということになるんですか。

【山口総括評価監視調査官】  この委員会、どのように御知見を、租特の評価においていただくかについては、引き続き検討してまいりたいと思います。今現在、そこまで申し上げることができるだけ詰まっていないというところでございますけれども、検討してまいりたいと思います。

【金本分科会長】  よろしいですか。

【谷藤委員】  はい。

【安居税制第三課長】  すいません、先ほど財務省から御説明させていただきました、租特の適用実態調査に基づく報告書というのは、一種の統計集のようなものでございまして、どういうカテゴリーの人たちが租特を使ったかということを、統計として報告書にまとめて提出するというものです。そこで何かを評価するというよりも、事実を報告するためのものでございます。

【金本分科会長】  堤委員、どうぞ。

【堤委員】  現政権が進められようとしている地域主権の推進という観点で、若干論点がずれるかもしれないのですが、少し質問させていただきます。特に、地方税法ですね。今日お話を伺っていて、いかに、国の仕組みが地方のことを決めてしまうかということを改めて認識しました。これは現行制度上仕方のないことで、それは置いておきますが、その観点でいきますと、今日の御説明は、国と国民みたいな視点はあるのですが、都道府県民、あるいは市町村民、あるいは地方自治体みたいなものが全然出てこなくて、その辺をこの中で考えていく必要はないかということが少し気になりました。それについて、何かお考えはありますでしょうか。

【階政務官】  今の論点は全くノーケアでしたので、後で御相談させてください。

【山口税務企画官】  1つ、地方税法の関係で申し上げますと、最終的に課税をするのは各団体の条例に基づいて行っておりまして、その条例というのはいわゆる枠法である地方税法の枠組みに基づいて条例を決めております。そういう意味では、国が一律に、ある意味で強制的に市町村や都道府県が課する税について、こういう要件に該当する人については、税額をこれだけ軽減しなさいということを決めている部分があります。その部分は、国として租特の透明化に向けた取組の中で評価をしていくんだろうと思います。
 ただ、一方で地方税の条例の中には、いわゆる減免であるとか、不均一課税であるとか、いわゆる課税自主権の活用と言っておりますけれども、地方団体が独自に、政策的に減税をできる余地も残されております。それについては、やはり個々の都道府県なり市町村のほうで、こういった国での取り組みも踏まえてしかるべく対応していただくことが期待されているのではないかと思います。

【金本分科会長】  青山委員、どうぞ。

【青山委員】  私もさっきからそのことがずっと気になっていたのですけれども、課税自主権との問題で、そもそも論だけれども、ぶつかる部分がないかと思っていたのですが、当然、政策評価も連動して、これがどういう効果を持っているかという判定が、地方税の場合は少しややこしいことになるのではないかなという気がするんです。例えば、まだ法人関係税ならばいいけれども、これから所得課税の部分に入ってくると、先ほど金本先生もおっしゃったように、不動産取得課税だとか住宅ローン減税などのことを考えると、住宅政策の在り方が、地域的には相当異なっている部分があって、今までのように、戦後一貫してきたような、持ち家優先政策だけでやれていいのかどうかといった場合に、こんな減税をするよりも、そんなに減税しないで、そのお金を公営住宅の建設費に回すべきだというふうな地域もあるかもしれませんよね。ということも考えたり、そもそも、今、住宅ローンが払えなくなってきているような状況が広がってきていますよね。それは地域的にも相当異なるのではないかなと。そういうときの政策評価を、特に地方税の場合に、枠法だということは私も分かっていますけれども、その評価はちょっとややこしいことになるのではないかなと思うのですが、どうでしょう。

【山口総括評価監視調査官】  まさに御指摘のようなことかと思いまして、その点、どの辺に評価をするか、本日の御議論も踏まえまして、自治税務局とも連携をして、そこは詰めてまいりたいと思います。

【金本分科会長】  どうぞ。

【山口税務企画官】  ただ、我々の立場として、今、青山委員からお話がありましたけれども、まさに都道府県や市町村の置かれている状況が千差万別である中で、法律で一律に税額を軽減してしまう措置というのは、我々当局としては、基本的には極めて限定的にやっていくべきであろうという考え方でございます。全国一律に税負担を軽減するというからには、相当強い必要性が、事前評価の中で示されることが必要なんだろうと思います。

【青山委員】  逆に言えば、各地方自治体についても、こういう租特のような形で存廃をするときに、これだけの政策評価をするんだと。中央政府としてはするんだということの意味をきちんと伝えて、地方自治体自身が、本来やるべき作業の一部にもなっているんだと思うんですけれども、これは、直接のつながりはないと思いますけれども、そういうふうな中央政府の姿勢をきちんと地方自治体に、強制するわけではないでしょうけれども、伝えて、説明するということは大事なことだとは一方で思いますけれども、ただ、その辺の関係を、枠法と言いながら、地方議会などはほとんど審議せずに通ってしまいますからね、このことが違うんだということを言わないと、鳩山政権の言っている地域主権の基本的な方針と異なってしまうことになりかねないんじゃないかと。

【階政務官】  コメントですけれども、そもそも地方自治体のほうから、国に租特をやってほしいというふうに来るわけです。本当はそれ自体がおかしなことであるんですけれども、それはそれとして、非常に重要な問題提起だと思います。地域主権という中で、国が独断で、租特で地方を縛るということは、これからは考え直さなくてはいけないと思いますので、これから検討させていただきます。

【森田委員】  今のことに関連してですけれども、当然、租特をやった場合、全国的な国の制度であったとしても、今の話からしますと、地方によって現れる効果が違うという可能性もあると思うんですけれども、この場合には全国一律でもって評価をするという、それ以上の細かい評価というのはかなり難しくなるかと思いますけれども、全体としてどうなるかということを念頭に、現時点では置いてらっしゃるということでしょうか。

【金本分科会長】  まだそれは考えていないんじゃないかと思いますが、本来は、地域の差というのも入れなくてはいけないはずです。はい、では。

【安居税制第三課長】  すいません、財務省の立場から申し上げるのは大変難しいのですけれども、今のお話は、多分、各府省がそれぞれの租特を考えるに当たって、地域差を念頭に置いた措置とする場合には、当然、それをきちんと立証していただいて、地域によって効果が違うということを言っていだたく必要があるでしょうし、そうではなくて、この租特は全国一律に適用するということであれば、それは全国のものとして評価するということですので、それぞれ、租特を設けるときの目的やねらいに応じて、評価がなされるべきものなのではないかと。それを受けて、我々としてはそれが合理的なのかを見させていただいて、議論をしていくということになるのではないかと思います。

【金本分科会長】  今までの評価を見ていると、そんなに使えるような評価はなかなか出てこなくて、しっかりしたものをつくってもらうにはどうすればいいかというのを、かなり考えて押し込んでいかないと、使えるものにはならないという感じがしています。これから、皆さん努力していただいて。

【森田委員】  いいですか。議論のための議論のような話ですので、あまり加えるつもりはありませんけれども、先ほどおっしゃいましたように、産業等によっては、地域によって、租特によってプラスの誘因の企業誘致とか、誘因の効果が出るとかがあって、それが多分、地方側でそれを要求する理由だと思うんです。その場合、全国的で見ると効果はないけれども、地域振興とか、そういう観点でいくとプラスの効果が出ると、再配分的な効果が出るというものもあり得るであろうと。それで見ますと、要するに評価自体が、全国、マクロでやったら、B/Cかどうかは知りませんけれども、プラスだけではなしに、別な政策目的のためには貢献しているということもあり得ると、その辺についても、評価をされる以上は、できれば地域的なデータみたいなものも考慮するほうが望ましいのではないかと、そういうことを申し上げたかったということです。

【金本分科会長】  それ自体は、法人地方税でやるとか、そういった議論がいろいろ出てくると思いますが。では、田中先生。

【田中委員】  今、有効性が認められているかというようなことなんですが、是非、有効性が認められていない理由も検証していただきたいなというふうに思うんです。商工会議所なんかが、非上場企業の事業承継税制について評価しているんですが、実は非常に使いにくくて、使っていないというのが現状なんです。このままいくと、想定外に少なくて、役に立っていないという評価でだめという話になってしまうのではないか。その理由はいくつかあると思うので、是非、そういう検証をする必要があるのではないかと思います。

【金本分科会長】  特にということがなければ、次の議題にいきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(財務省主税局、総務省自治税務局 退室)


【金本分科会長】  それでは、次は政策評価に関する情報公開の推進につきまして、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

【佐伯政策評価官】  それでは資料3を御覧いただきたいと思います。「政策評価に関する情報の公表に関するガイドライン」ということでございます。こちらの素案について御説明をさせていただきます。
 この政策評価に関する情報の公表ということにつきましては、資料3の下に、参考ということで資料が用意されておりますけれども、法律の中では、第10条の中で、政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報に関する事項をきちんと評価書の中に記載しなさいと。政策評価に関する基本方針の中で、どういうものを出していくかというところについて、その趣旨も含めて書かせていただいているということでありますが、いろいろな政策評価の取り組みの中で、実際、このあたりのところがきちんとできていないようなところがあり、これについてきちんと公表していくというところが非常に重要ではないかということで、基本的な考え方として書かせていただいております。「国民によるさまざまな評価や判断に資するような政策に関する情報提供をすることは政策評価の主たる目的の一つ」であり、「国民に提供される政策に関する情報については、信頼性が確保されていなければならない」ということであります。そのためには外部からの検証可能性を確保する必要があるということで、信頼される情報としていくためには、再現可能性、検証可能性というところが非常に重要だというところであります。こちらは、専門家の方たちが、公表データを使って情報を再現できるかというあたりが鍵になるかと思います。
 併せて、各府省の政策評価に関する会議のプロセスです。こちらについても公開をしていくことが必要ではないかということが、2つ目の大きな考え方としてあります。政策評価の実施に関するガイドラインの中で、「評価書・要旨の作成」という部分がありまして、こちらのほうで、公表される情報について規定を置いていたわけですけれども、ここを分離する形にしまして、今申し上げたようなことの観点で内容を追加いたしまして、新しいガイドラインを作りたいということでございます。
 その内容についてざっと御説明いたしますと、まず、1の評価書・要旨の作成ということで、政策評価を行う過程において使用した資料については、外部からの検証を可能とするため、適切に保存するということで、これは、適切に公表をしていくためには、当然、適切な保存が必要だということで入れさせていただいております。
 それから2ページにまいりまして、一番の上のところです。(2)のアの(1)。従来、個々の公共事業の評価の関係で、概要図が付いていないところもありまして、これはあったほうが分かりやすいということで、今回入れさせていただいているということであります。
 それから2ページの下のところでございますけれども、バックデータです。評価の過程で使用したデータ、文献等のバックデータについて、外部からの検証可能性が確保されることが必要であるということに留意しつつ記載をしていくということで、データと文献等に分けて、どういうものを記載していくかということを書かせていただいております。
 それから2ページの一番下から2行目、iiのところですけれども、個別の公共事業の評価について、以下にも留意するということで、こちらは評価書には載せられないかもしれないんですけれども、外部検証を可能とするような情報をきちっと出してくださいということであります。それから3ページの真ん中あたりでありますけれども、ウのところですけれども、外部からの検証可能性ということで、各行政機関が、外部の政策評価等に関する研究者の活用に資するという観点から、ここに書いてありますような情報をきちっと出していくということを推進したいということであります。
 それから一番下のところでありますが、政策評価に関する会議の公開ということで、各府省に置かれております学識経験者等からなる政策評価に関する会議につきまして、原則公開ということで、一般傍聴を可能にするとか、インターネット配信とか、いろいろな工夫の仕方があると思うんですけれども、やっていただきたいということでございます。
 それから、国民からの意見・要望というような形で出されると思いますけれども、それを活用した場合には、きちっとそういう意見・要望を考慮してやったということを公表していくということであります。
 あと、総務省できちっとフォローを行いたいということでございます。
 以上でございます。

【金本分科会長】  それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見などがありましたらお願いいたします。

【高木委員】  私の、冒頭のところで申し上げたところ、金本先生にフォローしていただいて、金本先生からすっぱり、3つの全く異なる性格のものが政府評価として行われているという話に関連するところなんですけれども、その3つの評価によって、この評価書の内容というのは、相当程度異ならないと、全く誤解された状態で公表されるということになりかねないと思うのですが、その辺の切り分けが、どうもこのガイドラインのところで予定されているように見えないというのが、私の大きな疑問です。公共事業と、実績評価と、全く同じような形でやっていくのでしょうか。一般のところに出されてしまうと、国民はますます誤解といいますか、混乱されるのではないかというふうに、大きく危惧いたしますというのが、私の意見です。

【柏尾上席評価監視調査官】  お答えいたします。情報公表のガイドラインの眼目は、政策効果の把握、それに使われたデータを、いかに外部検証可能なように、これを示すかということでございます。実績評価、事業評価、総合評価がございますけれども、いずれの方式によりましても、まず、政策効果が基礎。それを中心に評価を行っていくという形になっております。実績評価につきましては目標値を定めまして、それをどう達成しているかと、その達成しているものに対して、政策がどの程度寄与しているか、そういう段取りで評価をしてまいりますけれども、あくまでも政策効果の把握が最大の中心眼目と、それを証明するために、どのようなデータを使っているのか、それを外部の者が、その情報を使って再現できるかどうかと。ここに焦点を絞っておりますし、これが、情報公開を行う上で一番重要なことではないかと考えておるところでございます。

【高木委員】  今のお話に関しては、逆に御質問させていただきたいのですけれども、政策評価法に、今の御発言のように断定的に言い切られているというふうに言えるんですか。私はそのように理解していないのですが。したがいまして、先ほどの3つのものというのは、金本先生もおっしゃられていたように、性格が異なるものだというふうに理解、そしゃくしているというところであります。
 それから実績評価のところに関して言えば、私、冒頭のところで申し上げた話で、1,800ぐらいの単位になっているわけですね。1,800ぐらいの単位になっていて、さらにそれの括りが、府省によって精粗の差があるわけです。そういう状態の中でこれを展開していくというお話なんですか。そこのところも私、腑に落ちないところなんですが。

【柏尾上席評価監視調査官】  最初の御質問ですけれども、政策効果を基礎として、必要性、有効性、効率性の観点から評価するというのは、政策評価法第3条に定めておりまして、政策評価の在り方ということで、これは法律上、そのように政策評価を行いなさいということが書かれてございます。それを、実績評価、事業評価、総合評価というような、より政策の特性に応じた評価手法を用いなさいというのは、こちらは閣議決定の基本方針のほうで述べられておるということでございます。
 また、1,800の括りでございますけれども、様々な括りがありますけれども、それは、それぞれ現れる政策効果というものがございますので、それを測っていくということでは、括り方によって大きいものも小さいものもあるのは確かではございますけれども、政策効果を測ってという、コアの部分というのは変わりはないと理解してございます。

【金本分科会長】  多分、ここは普遍的に適用できるんだと思いますが、公共事業関係が、こういう面で非常に議論になっていて、それに関する書き込みが非常に多いといった感じになっているのかなと思います。そのほかのことについても、データは検証可能なようにきちっと出せというのは、言っておく必要はあるのかなといった気はいたします。
 吉野先生。

【吉野委員】  よろしいでしょうか。今の高木先生とか金本先生の御説明に関係するのですけれども、公共事業というのは、割合、コストベネフィットが測りやすい分野ではないかと思うんですけれども、例えばゆとり教育はどうだったかというと、いろいろな変数が入ってきて、その中で政策の効果というのは少ないと思うんです。ですから、定量的になかなか出ない分野、それからそのほかの要因がすごく多い分野と、それから割合明確に出る分野というのは、大分、ここでの言い方も違ってくるのではないかと思います。
 それからさらに関連しますと、それ自体で効果が出るのと、外部経済とか外部効果があるのとか、それから時間的なスパンも、それぞれの政策によって違うような気がいたしまして、ですから、少しそういうアローワンスがあるんだということは、どこかに入っていたほうがいいような気がするんですが。

【金本分科会長】  これは情報公開の話ですから、アローワンスの問題というのはあまり意味がなくて、とりあえず、やったことはちゃんと出せと、それだけの話だと思います。
 森泉先生。

【森泉委員】  分からないのでお聞きしたいのですが。外部の人が検証可能性を確保するという前提で、学識経験者が匿名データの作成を依頼し、積極的に分析に利用しています。外部から検証可能にするために、そのようなものを積極的に出すのですか。つまり、匿名データを使って、ここの評価の分析・研究を行ったとして、その評価を公表しますと、外部の人も匿名データを利用しないと検証可能ではないのですが。

【柏尾上席評価監視調査官】  ここの考え方なんですけれども、実は政策評価に対しましては、実は初歩的な分析もできていないのではないかという批判が随分あります。端的な例で言いますと、全国ベースの、1本の指標だけの上がり下がりを説明することで終わってしまっていると。通常であれば、最低2以上の要素を組み合わせて、比較したり、予測したりしなければ、何か分析をしたことにもなりません。ただ、かなり初歩的な分析もできていないという状況がある。これは、これから行政機関が、私どもも含めて評価の質を上げていかなければならないところでございますけれども、その方策の1つといたしまして、オーダーメイド集計、匿名データの提供というものは、研究者の方々が高度な分析を行うことが、行政機関に対しまして別の切り口を気付かせたり、あるいは緊張感を与えるといいますか、そういう側面というのは、実はあるのではないかと。それをさらにフィードバックして、政策評価に組み込むというようなことまでは考えているわけではございません。研究者の方々の政策評価に関する研究を促進することが、その波及効果として、政策評価の高度化につながるのではないかと、そういうことで盛り込ませていただいてございます。

【森泉委員】  そうすると、2ページに書いてあることは少し誤解を招くのではないでしょうか。今おっしゃったような意味ではないのですね。公的統計などを加工して、効果等を予測・検証したものについては、計算方法、使用データの所在を記載するというのは、これは別に匿名データということを言っているわけではないということですね。

【柏尾上席評価監視調査官】  それは行政機関が行わなければならない取扱いということでございます。この3点は、取りっ放しの統計であれば、中立性・信頼性というのは確保されていると思うのですけれども、データを二次加工する段階でバイアスがかかりましたり、あるいは意図を混入させるということが性質上可能と。であれば、分析方法と使用データと、その結果、3点は3点セットで世の中の目に晒すと、それでチェックを受けて、誤りがあれば正されるし、あるいは行政機関が気付かないというものを知らせていただけると、そういう効果もあるのではないかという考えから記載させていただいています。

【森泉委員】  分かりました。

【金本分科会長】  そのほか、いかがですか。

【堤委員】  最後の、当面、総務省がフォローアップを行うというところに関してお願いです。現行で、例えば費用便益分析マニュアルを、いろいろな府省のものを入手して、勉強しようと思っていたのですが、現行ではそういうものを得るのは非常に大変なんです。いろいろな府省のいろいろなところに潜り込んでいて、そういうものが網羅的に見られないということがあります。フォローアップではなくて、もう一歩踏み込んでいただいて、ある種主体的に、きちんとしたホームページをデザインしていただくとか、かなり細かな話もあるかもしれないんですけれども、網羅的にそういうものが見えるようにとか、より情報の収集がしやすくなるようなことをお考えいただければと思います。これはお願いです。

【吉野委員】  ちょっとよろしいですか。

【金本分科会長】  はい。

【吉野委員】  データを出していただいて、いろいろな研究者が分析するということは非常にいいことだと思うんですが、こういうのが進みますと、例えば大学院生が分析してみて、3年前にこちらが分析した結果と全く逆の結果が出たということもあり得るわけです。そういうときには、一々また説明責任というのに戻るんでしょうか。それはもう、そのときの結果と違うんだという、そういうことまで考えていらっしゃるんでしょうか。

【柏尾上席評価監視調査官】  そういう状況を深く詰めているわけではないんですけれども、行政機関の行った政策評価は行政機関の政策評価として、まずあると。例えば3年後に大学院生の方が、同じようなデータを別の角度から分析して、別の結論を出したということは、それは可能性は十分あるかと思うんですけれども、これは、いずれが、より説得力があるかというような話になろうかと思います。もし大学院生の分析した研究のほうが、行政機関よりも説得力があると、大方の人間がそのほうが正しいのではないかと思うような状況になれば、政府のほうは、より自らを省みて、違う分析をしてみるという必要が生じるのではないかと思います。

【谷藤委員】  そうすると、このガイドラインによりますと、この委員会も含めて、各府省の、いわゆる政策評価にかかわる委員会は原則公開というふうなことになっていくわけですね。

【柏尾上席評価監視調査官】  自ら、そのようにガイドラインを作成します以上は、自ら公開していかなければならないかと考えております。

【金本分科会長】  ほかの議題もございますので、次の議題に移りたいと思います。

(公正取引委員会事務総局経済取引局 入室)


【金本分科会長】  次は、規制による競争状況への影響分析についてということで、お願いをしたいと思います。
 本日は、公正取引委員会事務総局経済取引局の藤本調整課長に御出席いただいております。それでは、御説明をお願いいたします。

【佐伯政策評価官】  それでは、資料4を御覧いただきたいと思います。規制の事前評価における競争状況への影響の把握・分析の試行についてということでございます。1ページでございますが、まず、目的としてなぜこれをやるのかということですけれども、規制の事前評価というのは、規制によって発生する効果や負担を予測して、それを評価するものということであります。規制の新設、または改廃によって発生または増減すると見込まれる具体的な費用とか便益、そういう要素は可能な限り列挙して説明することが求められるということと、規制の質の向上を図るという観点から、分析の多角化ということが必要であろうかと思います。
 この規制の事前評価における競争状況への影響の把握・分析というのは、規制の新設、または改廃が競争状況に影響を及ぼす場合があるということを踏まえて行う、その影響について、きちっと評価に当たって考慮していこうというものであります。
 現状を見ますと、規制の事前評価というのは、平成19年10月に義務付けをされており、そのガイドラインの中で、社会的費用の1つとして、競争状況への影響というのが位置付けられていますが、その把握・分析の手法というのは難しいということもあって、その普及・定着というところは、公正取引委員会の協力を得て進めるということとされておりました。こういうことで、ガイドラインの中の規定も受けまして、いろいろ研究を行ってきましたが、明らかに競争状況への影響があると思われるようなケースでも、それを費用として計上された評価がなされているとは言い難いという現状がございます。
 そこで、行政評価局が主導しつつ、各府省で足並みをそろえて、斉一に競争状況への影響の把握・分析に取り組んでいく必要があるのではないかということで、これは先日、強化ビジョンの中でも、事前評価の拡充というところで方針が出されておりますけれども、本当にきちんとできれば、これはその方針に沿っていくものということかと思いますが、実際に、この影響について把握・分析をして、それがどのように活用されるのかという点は、非常に重要な話かと思います。その点について、まず試行的に実施し、本当に使えるものにできるというようなことになるのかというところも十分検討した上で、本格的な実施をしていく必要があるのではないかと考えております。この試行について、具体的な内容は、まだ固まっておりませんので、どう活用していくかということも含め、次回、もう少し詳しい資料をお出ししますので、御議論いただければと考えております。
 以上です。

【金本分科会長】  それでは、御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。

【階政務官】  先ほど、どなたかもおっしゃったと思うのですが、これの意味がよく分からないという話が出たと思うんです。私もこれが、どういうふうに利用できるのかというのは少し疑問に思っていて、例えば、今、郵政の見直しの議論の中で、郵貯の限度額を撤廃しますよと、そのときに民間の金融機関は困りますねとかという議論があるんですけれども、そういう社会的な影響が大きそうな事案について、預入限度額を撤廃したときの影響がどうなのかということを、行政評価局にチェックしてくれと言ったときに、そういう問題について、迅速に対応できるようなものにしてもらえると、これは非常に使い勝手がいいなと思うんです。もちろんそれだけを基準にして結論を出すわけではなくて、1つの参考データとして機動的に出してもらえると、政治サイドとしては非常に助かるんですけれども、そういうイメージは持っていますか。

【佐伯政策評価官】  これは、各府省がいろいろな規制をやっていくに当たって、その前に、それが競争状況にどんな影響を与えていくかというところを、きちっと考えてやっていきましょうというところであります。

【金本分科会長】  今の日本の政策で、ここが一番の問題なのですが、これは、各府省が規制法とか省令とか政令とかを変えようとするときに、規制の事前評価が義務付けられているということで、そういうときでないと、この評価法上の規制の事前評価はできませんという話になります。ですから、政治の側でこういうことをやってほしいと言われたときのようなものというのは、これの外側でやっていただくといった感じかなと思います。
 ただ、実際に法律とかが出てくるときに、競争の影響というのを一応出せという話をしたいと、そんなことのようでございます。

【階政務官】  租特のときもお話ししたのですけれども、この手の話というのは、政治家は定性的な話だけで、どっちがいいかというのを議論しているわけですけれども、なるべく客観的なデータを基にして議論できれば、よりよい政策判断ができるのかなと思っているので、そういうことに役立たせるような仕組みにならないかなというのは、個人的に思っています。

【金本分科会長】  どういう例があるかというので、ひとつ。この前の検討会のときに、検定とかの話がありまして、計量法というのは日本では非常に厳しくできておりまして、その結果、最近議論になっているのは、スマートメーターとかスマートグリッドの議論がありますが、スマートメーターの値段が日本ではえらい高いと。海外ですと、通信機能をつけても大体1万5,000円ぐらいでできると。それが数倍という値段でしか作れないと。それは、計量法で1個ごとの検査が義務付けられていて、それを通そうとするような会社はそんなに多くなくて、海外からぽんと持って来られないといったようなことがあるようです。そういった話も、計量法を変えようと思うと、こういう評価の中に出てきて、それがマーケットの競争にどういう影響を及ぼすかというふうなものも分析していただけるかもしれないと、そんなことがございます。
 何かございますか。

【藤本調整課長】  よろしければ、少し。
 そもそも、私ども公正取引委員会のほうでも、公正かつ自由な競争ということを理念に行政をさせていただいているわけですけれども、日本経済が成長していくに当たって、経済の成長なり発展なりを維持していくために、新規参入を盛んにしていく、あるいは個々の事業者が、創意工夫をもって活発に事業を行っていくことができるということは非常に大事なわけでして、ただ、そこで、先ほど先生もおっしゃいましたように、別の政策目的によって、ある府省が規制をつくるということになりますと、どうしてもその規制というのは、事業者なりの足を縛るという、自由な経済活動という観点から見ると制約をかけることになりますので、そういう観点からは、経済全体に対して負荷がかかるということになります。自由な新規参入を阻害したり、創意工夫ができなかったりということで、先ほどのスマートメーターのお話では、たくさんの人が競争すれば、もっと良質なもの、多様なものができるのに、それがなかなか、規制があるが故にできなくなるというようなことがあり得るということだと思うんです。
 そういう観点から見ると、規制をつくるときには、競争に対してどういう影響があるか。つまり自由な経済活動によってもたらされるメリットを、どれだけ縮小させることになるのかということは、コストとして考えていく必要があると考えておりまして、まさに規制をつくるときの1つのコストとして、そこは考えていく必要があるんじゃないかということで、競争評価をするということは、非常に大きな意義があるんだろうと思っております。
 私ども公正取引委員会としても、同じような観点から、従来も政府規制というものが、公正かつ自由な競争の促進の妨げにならないようにということで、各府省といろいろ調整をさせてきていただいているという経緯もございまして、そういう意味から申しますと、各府省において、競争に与える影響、経済に対する負荷ということを考えながら規制をつくっていただくというところ、そのプロセスが非常に大切かなと思っております。そのプロセスをやるために、非常に重要なツールになるのが、この競争の評価ということになろうかと思います。

【階政務官】  今、新たに規制をつくることをおっしゃられていましたけれども、さっき言った郵貯の撤廃のように、規制を廃止するほうには、あまり公取は関心がないということですか。

【藤本調整課長】  いえ、規制が改正されて、それで自由な経済活動ができるということであれば、それはそれで構わない。競争の観点からは評価ができるということになろうかと思います。

【階政務官】  だから、そこのチェックは、そちらではかけないということですね。

【藤本調整課長】  現在は、各府省が制度を変えるに当たって、あるいは新設するに当たってということで、当然、法令協議などを通じまして調整はさせていただいているということでございます。

【金本分科会長】  やめる場合も、一応、この規制の事前評価はするということになっています。

【階政務官】  もちろん。このペーパーではそうなっています。公取がどこに関心があるかというところに、規制を設ける競争制限的なところにだけ関心があるようなお話だったので。

【藤本調整課長】  競争の観点で、どういう評価をするのかということでは、方法論を持ち合わせておりますので、そういうところでは協力させていただくということです。

【立花委員】  政務官のおっしゃったとおり、具体的にはおそらく、これはNTTとニューコモンキャリアとの競争状況を一体どう考えるか、規制をどう考えるか、それによって通信マーケットの競争状況にどういう影響を及ぼすかというのは、おそらく、グッドイグザンプルだろうという感じがいたします。従来、私ども民間の立場から規制改革というと、公正取引委員会は、規制の許認可等の廃止についてはあまりアクティブではないですね。むしろ、開放された市場に、公取の権限をいかにして強化するかという点については非常に熱心だと思いますが、規制そのものの許認可の撤廃についてはいかがでしょうか。私どもからすると、もうちょっとアクティブになってもらいたいなという感じがあります。

【田中行政評価局長】  ありがとうございます。ここでやろうとすることの目指す方向として、今議論していただいたことをよく踏まえたいと思いますが、何分にも、今、局面としましては、お手元の、御説明をさせていただいた資料の4の2ページ目にありますように、要するに、事前評価の対象として、政令で、規制の新設・改廃について各府省が評価をするということを義務付けたわけです。義務付けた際に、まさに競争状況の影響について、評価に入れるということを決めたのですが、現在、その把握なり分析がまだ行われていない。私ども行政評価局も、なかなかそこに熱心ではないというところを反省いたしまして、公正取引委員会の御協力を得て、これから本格的にやりたいと、そういう局面でございますので、その点、御理解をいただければと思います。

【谷藤委員】  これですと、競争という概念が極めて広範囲にわたっていまして、全く違うような視点から競争ということがあります。それは何かというと、例えば入学試験における割り当てというのがありましたね。あれは、例えばアメリカにおける黒人の割り当てだとか、女性の割り当てなんていうふうなことですね。あれも競争状況に対する1つの規制なわけです。ですから、この競争という状況が、一体何を、どこの領域をしているかということを明示的にしていかないと、何かあらゆる、競争といわれるようなものについて議論せざるを得ないというふうなことに、ちょっと、概念が拡張してしまうような感じがします。

【金本分科会長】  それは、まだガイドラインが出てきていないのですが、そういったものの中で明確にしていただけるという感じだと思います。
 吉野先生。

【吉野委員】  コメントですが、先ほどの政務官のような、郵便貯金が拡大した場合、非常にいろいろなシナリオがあると思うんです。郵貯はほとんど国債で運用していると、ですから貸し出しはどうかと。そういうときに、どのシナリオをとるかによって結論が違う可能性はあるわけです。そうすると、事前評価もそういう形でいくつも出してきて、最後は政治的に判断していただくということもあり得ないと、なかなか難しいような気がします。

【森泉委員】  しかし、おっしゃったように、計量モデルによって結論が変わりやすいし、郵貯の話も、家計側の分析から、吉野先生がよくおやりになっている金融マーケットでの分析とか、様々なことが考えられるのですが、そのようなことをここで評価するというのはなかなか難しいですね。

【金本分科会長】  多分、吉野先生の頭の中にあるようなものが出てくる見込みはほとんどないと。経済学者から見ると、初歩的というか、分析にもなっていないものが多分出てくるんだろうといった感じはございます。

【階政務官】  それだったら、やる意味はあるんでしょうか。

【金本分科会長】  それは、ちょっと見てからということだと思いますが、今の各府省の現状から見ても、公取の分析力の現状から見ても、定性的な作文が出てくるとか、分類が出てくるとか、その程度のものになるだろうと思います。ただ、コンセプチュアルな整理ができるというのは、階政務官が求めているレベルではないかもしれませんが、マイナスではなくて、若干のプラスなんだろうと思います。
 そのほか、ございますでしょうか。既に時間でございまして、あと2つ議題が残っておりますが、これは基本的に御報告で、まだ、政府の中でも決まっていないものの御紹介でございますので、次回にさせていただくということで、今回はこれで終わらせていただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、これで政策評価分科会を終了させていただきます。事務局のほうから連絡事項をお願いいたします。

【佐伯政策評価官】  次回ですけれども、3月中旬に予定しております。また御案内を差し上げますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

【金本分科会長】  それではこれで、政策評価分科会を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

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