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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(11月22日開催)議事録

日時

平成22年11月22日(月)13時00分から15時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 総務省第1特別会議室

出席者

(委員)
岡素之委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、金本良嗣政策評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理(※)、黒田玲子委員、森泉陽子委員、縣公一郎、浅羽隆史、阿曽沼元博、荒張健、梅里良正、岡本義朗(※)、梶川融(※)、河野正男、河村小百合、木村琢麿、黒川行治、黒田壽二、鈴木豊、木佳子、田渕雪子(※)、宮本幸始、山本清、山谷清志の各臨時委員
(※)を付した委員については、審議の一部に参画していない。

(総務省)
内山晃総務大臣政務官、田中順一行政評価局長、宮島守男大臣官房審議官、讃岐建行政評価局総務課長、横山均評価監視官、平池栄一評価監視官、城代充郎政策評価審議室長、高橋巧調査官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

○ 政策評価・独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価分科会と合同)
(1)中期目標期間終了時の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性(案)について
(2)その他

配布資料

会議経過

【岡委員長】   時間になりましたので、ただ今から第56回政策評価・独立行政法人評価委員会を開会いたします。
 本日は、公務御多忙のところ、内山政務官に御出席いただいておりますので、御挨拶をいただきたいと思います。内山政務官、よろしくお願いいたします。

【内山政務官】  総務大臣政務官の内山晃でございます。岡委員長をはじめ委員の皆様には、御多忙であるにもかかわらず、このような会議の場だけでなく、独立行政法人の現場を視察し意見交換されるなど、貴重なお時間を割いて御審議いただいていることに、厚く御礼を申し上げます。昨年9月の政権交代以降、行政刷新会議による事業仕分けにおいて、多くの独立行政法人の事務事業が取り上げられている中で、独立行政法人に対する国民の視線は依然として厳しいものがございます。委員の皆様におかれては、このような状況を踏まえ、本年度に中期目標期間が終了する43法人の主要な事務事業について、厳しく見直しを行うべき審議を行っておられると聞いております。他方、行政刷新会議では、独立行政法人のすべての業務を検証し、その結果に基づき、各独立行政法人の事務事業についての見直しの基本方針を年内に策定し、組織の見直しや制度につながることとしています。片山総務大臣は総務省として積極的に行政刷新会議に協力する考えであり、大臣からのその旨の指示が出されております。政策評価・独立行政法人評価委員会では、これまで各府省における独立行政法人評価に対して範となるべく、活動を重ねておられ成果を上げていただいております。委員の皆様におかれても、行政刷新会議における見直しにも資するよう、引き続き精力的な御審議を賜り、国民の期待にこたえる評価の取り組みを進めていただきますようお願い申し上げます。また、政策評価につきましても、行政刷新会議が進めている行政事業レビューとの連携の在り方などを検討していることであり、引き続き委員の皆様には御尽力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。挨拶といたします。

【岡委員長】  ありがとうございました。ただ今の内山政務官の御挨拶を踏まえまして、政策評価・独立行政法人評価委員会としても、行政刷新会議に最大限協力してまいりたいと存じます。
 本日は、独立行政法人評価分科会と合同で、平成22年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性(案)について御審議いただきます。
 審議に先立ちまして、委員の皆様方には御多忙の中、精力的に見直し作業に取り組んでいただきましたことについて、心から感謝申し上げます。
 なお、本日の会議につきましては、政策評価・独立行政法人評価委員会議事規則に基づき、非公開で行うことといたします。
 それでは、富田分科会長に議事進行役をお渡しいたします。

【富田分科会長】  それでは、平成22年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性(案)についての審議に入ります。
 まず、事務局より勧告の方向性(案)及び委員長談話(案)について、一括して説明をお願いいたします。

【横山評価監視官】  資料1のA3の縦長の紙になります。表頭が青い紙であります。「平成22年度見直し対象43法人の概要及び勧告の方向性(案)の主な指摘事項」であります。表頭を見ていただきますと、一番左側にワーキング、主務府省、法人名、主な業務、職員数、予算、それから勧告の方向性(案)の主な指摘事項について書いております。
 まず、第1ワーキングであります。第1ワーキングは総務省所管1法人と農水省所管10法人を担当していただいております。ワーキング開催は10回、視察は3回で、6独法8機関を視察していただきました。
 それではまず、総務省の情報通信研究機構について説明させていただきます。勧告の方向性の主な指摘事項を御覧ください。1)であります。これにつきましては、研究開発が進展したそれぞれの段階で成果を還元して、産業界における実用化支援を行っていただきたいということです。それから国際標準化を意識した研究開発の推進をしていただきたいということであります。それから2)であります。総務省は3つの研究開発課題のうち、1つの研究開発課題について外部委託費の精査を行いまして、予算を縮減したところです。それで、他の2つの研究開発課題の外部委託費についても、同様な見直しを行っていただいて、精査を行っていただきたいということであります。それから、3番目でありますが、ベンチャー出資業務に係る繰越欠損金でありますが、これが591億円ほどに達しております。こうした繰越欠損金について、事業者へ助言をしまして、速やかに回収していただきたいというものであります。それから4)は、海外事務所の共用化を他の独法と進めていただきたいというものであります。5)であります。特許収入に比べて、特許の維持費用が非常に高いという状況にありますので、判断の厳格化をしていただきたいということと、特許の実施許諾収入の拡大を図っていただきたいというものであります。
 次に農林水産省であります。農林水産消費安全技術センター、FAMICであります。斜め字になっているのは、公務員型の独法という意味であります。1)であります。8センターにおいて、食品表示監視業務の科学的検査を実施していますが、この8センターの配置人員の適正化を図っていただきたいというものであります。2)であります。相談窓口の業務について、技術的な企業相談に特化していただきたいというものであります。3)であります。国民生活センターと連携していただいて、専門的な見地から連携体制を構築していただきたいというものであります。4)であります。来年に本格化する独法の組織及び制度の全体の見直しの中で、非公務員化の可能性を検証していただきたいというものであります。
 次に種苗管理センターであります。品種保護Gメンは、植物品種の知的財産権を保護する仕事をしております。こうした人を東アジアに、人材養成のため派遣していますが、海外派遣は効果的なものに限定していただきたいというものであります。2)であります。種苗検査業務について、現在の3カ所から1カ所に集約化するということを踏まえまして、配置人員を適正化していただきたいというものであります。3)であります。余剰原原種を一般種のいもとして付近の農家に売っているわけでありますが、こうしたものについても更に売っていただいて、自己収入を拡大していただきたいというものであります。更に、それでも余った余剰の原原種については、でん粉用として企業に随意契約でお渡ししていますが、これを一般競争入札で行っていただきたいというものであります。
 次に家畜改良センターであります。家畜の改良と増殖業務については、都道府県や民間ではできないものに特化していただきたいということです。具体的には、新たな品種を作る改良技術や多様な系統をつくっていただきたいということであります。それから、家畜の飼料作物に係る種苗の生産・配布について、随意契約で日本草地畜産種子協会という社団法人に随意契約で行っていますが、こうしたものについては競争性のある手続をやっていただきたいというものであります。それから、種畜検査の都道府県への移管については、コストの事前検証と責任の明確化を前提にして移管を実施していただきたいというものであります。それから、家畜改良センターでも調査研究業務を行っていますが、例えば農研機構など他の研究機関との役割分担を明確にしていただきたいというものであります。それから、家畜改良センターの本所が福島県の西郷村にありますが、そこでジャパンケネルクラブの東日本救助犬訓練施設に、それから家畜改良事業団という関連公益法人に土地を貸しております。関連公益法人である家畜改良事業団には無償で貸していますが、これは有償にしていただきたいということです。それからジャパンケネルクラブの場合には、必ずしも家畜改良センターの事務事業と密接な関連があるわけではありませんので、こうしたものについては見直しをしていただきたいというものであります。
 次に水産大学校であります。これは国立大学法人との連携強化を図っていただきたいということです。これによって、人材育成の効果的、効率的な在り方について検討していただきたいというものであります。
 次に農業・食品産業技術総合研究機構であります。通称、農研機構であります。農研機構と関連する研究開発独法として他に3つの法人がありまして、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所、国際農林水産業研究センター、こうした4つの法人が類似の研究や共同研究を行っています。1)は、こうした4つの法人については、研究課題の成果の一層の向上と、シナジー効果を発現させる観点から、事務事業の一体的実施を視野に抜本的な見直しを行っていただきたいというものであります。2)でありますが、これは3Dドーム型の農村の景観シミュレーションシステムに関連する研究であります。これについては22年度限りで廃止していただきたいというものであります。それから3)であります。これは、昨年12月9日の政独委の二次評価で御指摘いただいた内容であります。農業者大学校については、定員の充足状況、過去3年間40人の定員のところ31人しか入学者がいないという状況にかんがみまして、存廃を含めた評価を行うべきとの政独委の二次評価を踏まえて、その在り方について抜本的に見直していただきたいというものであります。それから4)であります。民間研究促進業務であります。これについては、繰越欠損金の状況に鑑みまして、新規案件の募集・採択の停止を含めた抜本的な見直しを行っていただきたいというものであります。それから5)であります。基礎的研究業務のうち競争的資金業務については、農研機構以外に本省でも同様の競争的資金業務を行っていますので、農水省との一元化も含めて検討していただきたいというものであります。それから、6)です。平成7年から11年にウルグアイ・ラウンド対策が行われ、それに関連する研究成果普及事業がありましたが、この研究成果は既に成果が陳腐化していますので、基になった資産を返納していただきたいというものであります。それから5)と6)の基礎的研究業務を行う東京事務所があります。それから農研機構の成果普及を行っている東京リエゾンオフィスがあります。こうしたものについては、本部を含めて移転を検討していただきたいというものであります。
 それから農業生物資源研究所であります。これは、先ほど述べました4法人業務の一体的実施というものがあります。それから放射線を当てて育種の突然変異を誘発するという、そうした放射線育種場というものがあります。その寄宿舎の利用率が低下しているということから、寄宿舎を廃止していただきたいというものであります。それから放射線育種場の依頼照射手数料でありますが、民間等から1回5,800円を取っていますが、独法と国立大学は無償なので、有料化を検討していただきたいというものであります。
 次でございます。農業環境研究所につきましては、先ほどの4法人の業務の一体的実施であります。
 国際農林水産業研究センターであります。これも4法人の業務の一体的実施であります。それから、石垣島にオープンラボ施設というものがありまして、島嶼環境技術開発棟ということで、亜熱帯気候の中でどのように土壌が流出したり、海洋汚染につながるかという実験をしていますが、これがこの3年間で利用が5分の1に減っています。これについては利用促進を図っていただきたいということです。
 それから森林総合研究所であります。1)を見ていただきますと、森林・林業分野の試験や研究業務については、森林・林業政策上の優先事項を基に研究課題を重点化していただきたいということです。2)で、こうした重点化を踏まえまして、森林の保護やレクリエーション機能の活用技術の開発というものについては廃止していただきたいというものであります。それから3)でありますが、森林・林業分野の温室効果ガスの影響効果の研究を行っていますが、こうしたものは国立環境研究所など他の研究機関の研究課題と重複があり得ますので、こうした重複排除を図った上で連携を強化していただきたいというものであります。それから4)ですが、財投を利用しまして水源林の造成事業を行っています。そして、将来その水源林の林木が売れたお金で、財投にお返しするということであります。しかし、その見通しを聞きますと、平成22年度には分収林の収益が2.5億円と見積もっているものが、平成79年度になると400億円台ということで、非常に伸びが急激なものになっていまして、こうしたものについては精査を行っていただきたいというものであります。それから、森林総合研究所は緑資源機構の業務を引き継いでおりまして、今申し上げた水源林造成事業を行っている森林農地整備センターがあります。森林農地整備センターの本部と関東整備局がそれぞれ川崎市と港区にあります。こうしたものについては、森林総合研究所の本部がつくばにありますので、本部との統合を含めて移転・共用化の検討を行っていただきたいというものであります。それから、森林総研という研究所の部門とこうした水源林造成事業を行う部門が一緒になっているということについては、若干違和感もあるということを森林総研の理事長も言われており、こうした水源林造成事業の実施主体の検討を早急に進めて、結論を得ていただきたいということです。7)でありますが、老朽化した職員宿舎については、売却または国庫返納していただきたいというものであります。
 それから水産総合研究センターであります。試験研究や技術開発業務について、都道府県の試験研究所や民間、大学との役割分担を踏まえて、重点化をしていただきたいということです。こうした重点化を踏まえると、漁業・漁村が持つアメニティーや自然環境保護等の多面的な評価手法の開発、多面的な機能の向上手法の研究については廃止していただきたいというものであります。それから海洋水産資源開発関係の調査業務において、漁獲物収入が減少した時に備え、21億円ほど保有しています。ただ、この中期目標期間中全く使用実績がありませんので、真に必要な財源を除きまして国庫返納していただきたいというものであります。
 以上が第1ワーキングであります。
 第2ワーキングは、財務省所管2法人、経済産業省所管4法人、それから環境省所管1法人を担当しております。ワーキングは8回開催しまして、視察は3回、3独法に行っていただいております。
 まず、酒類総合研究所であります。酒類総合研究所については、国税庁の税務行政に直結する業務に重点化していただきたいということです。また2番目に、研究・調査業務についても同様に行政ニーズに直結したものに特化をしていただきたいというものであります。3番目で、鑑評会や講習会というものを日本酒造組合中央会と共同で行っていますが、こうしたものについては、できるだけ民間による単独での実施にしていただきたいというものであります。こうした民営化や重点化を踏まえると、法人の在り方としては独法という形態ではなく、国の判断、責任の下で実施することも含めて検討すべきではないかというものであります。
 次に日本万国博覧会記念機構であります。ここにつきましては、中期目標期間の延長について、既に主務大臣と財務省の評価委員会、それから大阪府も同意しております。そのため、勧告の方向性の対象からは除外したいと考えております。
 次に経済産業省であります。
 経済産業研究所です。法人のミッションを明確にするとともに、達成すべき目標水準を客観的かつ定量的に設定していただきたいというものであります。それから、15億円ほどの運営費交付金がある中で、運営費交付金の債務残高が、平成21年度末で既に4.3億円に達しているということであります。これは、研究プロジェクトの進行管理に問題があるということなので、これを厳格化していただきたいというものであります。
 それから工業所有権情報・研修館であります。この工業所有権情報・研修館はもともと特許庁の中央図書館であったものが、特許の審査に必要な図書の収集と欧米の特許情報の和文の抄録や日本の特許情報の作成業務に加え、研修業務、英文の抄録を付加され、さらに、特許庁の情報システムを委託されています。特許情報の和文や英文の抄録については、関連公益法人に委託しているという状況であり、特許庁から切り出した業務を工業所有権情報・研修館が関連公益法人に委託する形になっており、たてつけのよくない形になっています。それから、今後特許庁自らが業務・システム最適化計画に基づき新しい情報システムを構築しますので、この研修館が持っている情報システム関係の業務がなくなるということで、組織・人員の削減を実施していただきたいということです。それからこの研修館では、特許庁職員に対する研修を行っていますが、これは特許庁自ら実施することを含めて、抜本的に見直していただきたいというものであります。こうした見直し等を踏まえると、必ずしもこの研修館については独法で行うことがどうかということでありますので、抜本的に見直していただきたいというものであります。
 次に製品評価技術基盤機構、これも斜め字になっていまして、公務員型の独法であります。
 1)であります。生活安全分野と化学物質管理分野、バイオテクノロジー分野、適合性認定分野という4つの分野を行っていますが、これを果たして一体的に実施することが必要なのかどうかということに疑義がありましたので、これについては国民にわかりやすい形で明示していただきたいというものであります。2番目でありますが、国民生活センター等との連携についても構築していただきたいというものであります。3番目でありますが、公益法人に委託していた講習業務については廃止していただきたいというものであります。4番目でありますが、特許微生物寄託センターはNITEにありますが、産業技術総合研究所にも特許生物寄託センターがあります。生物と微生物で1字違いのセンターになっていますが、やっている業務は同じであります。こうしたものについては一元化していただきたいというものであります。それから、来年本格化する独法の制度及び組織の見直しの中で、非公務員化の可能性についても検証していただきたいというものであります。
 次に日本貿易振興機構であります。日本企業の海外支援について、海外ネットワークを有効に活用した基盤的な事業に重点化していただきたいというものであります。それから対日投資ビジネスサポートセンターが全国に6か所ありますが、これらの中には入居率が17%という非常に低いものもありますので、入居率が改善しない場合そうしたものについては廃止を行っていただきたいというものであります。それからJETROにはアジア経済研究所もありますが、この統合によるシナジー効果を検証して両者の業務を効率化していただきたいというものであります。国内事務所については36カ所ありますが、例えば中小企業基盤整備機構と共用化を図っていただきたいということです。それから海外事務所については、他の独法との共用化を図っていただきたいというものであります。5番目として、保有資産についても、国庫納付や集約化を図っていただきたいというものであります。
 最後に環境省の国立環境研究所であります。環境省では、環境政策への貢献と国内外における環境研究の中核的役割を担う研究機関であると位置付けております。そうしたことから、次期中期目標において具体的な責務や戦略を明記して、具体的な数値目標、政策目標を立てていただきたいというものであります。それから2番目として、これは先ほどの森林総研等との連携の強化を図っていただきたいというものであります。3番目で、エコチル調査によって得られたデータについては、環境研究だけではなく、医療など他の分野の研究にも最大限活用し得るよう、仕組みを構築すべきであるというものであります。それから、国立環境研究所の本所の西3キロに生態系研究フィールドIIというものがありまして、樹木の光合成の研究などをやっております。こうした研究が終了した後、速やかに国庫納付をしていただきたいというものであります。
 第2ワーキングは以上です。

【平池評価監視官】  では、引き続きまして第3ワーキング以降については私の方から御説明いたします。
 第3ワーキングは文科省所管の8法人について、ワーキングを7回、視察を3回行っていただいております。
 まず、国立特別支援教育総合研究所、これはいわゆる障害者に対する教育の研究を行っている独法でございます。これにつきましては、ナショナルセンターとしての役割、国としてやらなければいけないこと、そういう先導的な指導方法の開発といった、国の政策課題や教育現場の課題に対応した研究に重点化すべきであるという指摘が1番目でございます。2番目につきましては、この法人は自治体等の職員に対し、研修等も行っておるのですが、参加者数が少なかったり、参加都道府県に偏りが見られますので、そのような研修の在り方を見直すべきではないかという指摘でございます。3番目の指摘でございますが、リエゾンオフィス、これ東京の芝浦にあります。ここの独法はそもそも久里浜にあるのですが、東京で会議とか行うときはこの芝浦の会議室を使っておるのですが、文科省関係の独法にはこういった東京の会議室、東京の事務所、これを持っているのがたくさんございまして、これにつきましては廃止して集約化すると。学位授与機構の学術総合センターというのが一ツ橋にあるのですが、ここに集約化するということを指摘しております。
 それから大学入試センターでございます。これはいわゆるセンター試験の実施と研究を行っておるのですが、その研究業務については試験実施とか選抜方法の改善に係る調査研究に特化すべきではないかという指摘が1点目でございます。2点目は、法科大学院の適性試験をやっておりましたが、これについてはもう終了することになっておりますし、それから、ハートシステム、ガイドブックといった進学情報提供事業については廃止と仕分けされておりまして、そういう事務がなくなる以上、要員の合理化を図るべきであるという指摘をしております。
 3番目に、国立青少年教育振興機構でございます。これはいわゆるオリセンと、あと青少年交流の家、自然の家という箱物で、いわゆる研修事業を行うものでございます。1番目の指摘としまして、地方に27施設、青少年交流の家、自然の家というのを持っておるのですが、これは自治体、民間に移管ということが事業仕分けで指摘されております。基本的には文科省もその方向で検討するということなのですが、なかなか自治体も引き取り手がそう簡単には見つからないという状況でございます。なかなか移管先が見つからないということで、ずるずるとならないように、行程表の作成とかいった取組とともに、厳格な進行管理を行って着実に推進すべきであるという指摘が1点目でございます。2点目の指摘といたしましては、この地方27施設が移管されるまでの間にありましても、国の政策課題に対応した事業に厳選・特化すべきであるという指摘。3番目の指摘が、いわゆる自己収入の確保、受益者負担の観点から利用料金等の設定を見直すべきであるという指摘でございます。
 続きまして国立女性教育会館でございます。これにつきましては、埼玉県の嵐山町に大きな研修施設を持っておるのですけれども、この研修対象者について、実は参加者に偏りがある、関東近辺の人たちに偏りがあったりしている状況でございます。したがいまして、研修の対象者や課題等を厳選し、かつ、研修効果の普及状況を的確に把握して研修事業に反映させるべきであるという指摘が1点目。それから2点目なのですが、ここは結構広大なテニスコートとか駐車場とか、広大な施設を持っておりまして、もともと埼玉県から借りておったのですが、こういう研修に不要な敷地は埼玉県に返却し、土地借料を削減すべきであるという指摘でございます。
 続きまして、国立科学博物館でございます。ここはいわゆる上野で展示を行っているほかに、自然史の研究等を行っております。1点目は、研究テーマの中には、いわゆる研究者がやりたいことをただやっているだけではないのかというものが見受けられまして、もっと独法のミッションを的確に踏まえたものになるよう、外部研究者も交えた評価とか組織ガバナンスを強化すべきという指摘をしております。2点目は、新宿分館というのを持っておりますが、これはつくばに移転するということでございますので、その土地処分とか、あと産業技術史資料情報センター、これは日本橋のビルに借りておるのですが、そこもつくばに移転いたしますので、この辺の賃貸借契約の解消を早期に行うべきだという指摘でございます。
 続きまして国立美術館でございます。国立美術館の指摘といたしましては、展示とか企画を立案する者のことをキュレーターと申しておるのですが、この高度な学芸員としてのキュレーターを養成するための研修の参加実績が低調であるということで、その在り方をもっと見直すべきであるという指摘をしております。
 それから国立文化財機構、いわゆる国立博物館でございます。国立文化財機構につきましては、いわゆる公用車の運転者さんですね、こういう業務についてまだまだ独法の職員がやっている状況もございますので、外部委託も含めて計画的にアウトソーシングを進めるべきであるという指摘を行っております。
 続きまして教員研修センターでございます。ここにつきましては1点目として、学校管理研修について、国の教育政策上真に必要な研修に厳選・特化する。この研修には都道府県ごとに参加者が著しい差があります。ある県につきましては、毎年毎年何人も参加者がある一方、ずっと参加していない都道府県がございます。これはまさに、国としてやるべきものかどうか疑義がございますので、もうちょっと妥当性を検証して、研修の在り方を見直すべきという指摘でございます。2点目の喫緊の重要課題研修、これにつきましても、先ほど申しました学校管理研修と同じような状況が見られますので、研修の在り方を見直すべきであると。それから3点目の東京事務所、これは虎ノ門にありますが、先ほど述べましたとおり、他法人の施設へ集約するという指摘でございます。
 以上が第3ワーキングでございます。
 続きまして第4ワーキング、これは国交省所管の11法人を対象としておりまして、これまでワーキングを7回、視察を2回やっております。ここはまた独法だけでなく、関連する民間企業、全日空とかこちらの方にも視察をしているところでございます。
 まず土木研究所でございます。土木研究所につきましては、まず国交省の関係の研究所というのは、政策の基準策定、こういう研究を行っているものが多いのですが、そういうものに重点化すべしという指摘でございます。それから、なお書きのところでございますが、国土交通省所管の独法及び関連研究機関の業務について、その在り方を検討すべきであると指摘を行っております。これは、国交省の所管はまず基準策定関連の法人が、この後6法人、この土木研究所から始まって建築研究所、交通安全環境研究所や海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所、電子航法研究所と、計6法人あります。また、国交省のこれは独法ではなく、本省に国土技術政策総合研究所、いわゆる国総研といっているものがございます。まさにこういう研究法人が結構ばらばらにある状況でございますので、その在り方を検討するべきであるという指摘でございます。2点目につきましては、関連研究機関が実施している研究内容を把握すべきと。これは例えば、土木研究所で地震が起きた場合の耐震性の構造とかそういう研究をやっているのですけれども、これは例えばほかに防災科学技術研究所という文科省所管の研究所などもありまして、そういうところともっと連携強化を図って、研究業務の効率的、効果的な実施に努めるべきであるという指摘でございます。3点目でございますが、これは土木研究所はもともと北海道開発土木研究所と国交省の土木研究所が統合したところでございますが、その北海道開発局から引き継がれております寒地技術推進室というのが、北海道に4カ所ぐらいございますので、もっと集約できないかという指摘でございます。それから4点目、別海実験場とか湧別実験場、これについてはもう既に廃止が決まっておるところでございますが、それについて保有資産を国庫に納付すべしと。また朝霧環境材料観測施設についても一部廃止したところであるので、来年度に国庫に納付すべしという指摘でございます。
 それから建築研究所でございます。1点目の指摘につきましては、先ほど土木研究所と同じ重点化と研究独法の在り方の検討と。2点目につきましても、先ほど土木研究所で申しました関連研究機関との連携強化、例えば防災科学技術研究所ともっと連携を図るべしと。後段に、「また」というところでございますが、国際地震工学研修、これは途上国支援というので、途上国を対象にJICA、UNESCOと連携してやっているのですが、なかなか研修効果がこうであるということが明らかになっておりませんので、もっと研修効果を明らかにした上で、効率的な実施に努めるべしという指摘でございます。3点目、これは知的財産権の管理、審査につきまして、この建築研究所が持っている特許権といった知的財産権はほとんど民間の共同研究で取得したものでございます。こういうものの利用に当たりましては、客観性や公平性、公益性の確保に努めるべしという指摘でございます。
 次に参りまして、交通安全環境研究所でございます。これは運輸技術について、いわゆる旧運輸省の関係の独法でございます。1点目につきましては、先ほど土研、建研と同様、行政施策の立案や技術基準の策定、こういったものの研究に重点化すべきと。また、国交省所管の独法、研究機関の業務について在り方を検討すべしという指摘。2点目につきまして、これも民間の関連研究機関、例えば財団法人とかがやはり研究業務を行っておりまして、そういうところとの連携を、中立性に留意しつつ連携を強化すべしという指摘でございます。3点目の自動車アセスメント事業、これはいわゆる事業仕分けで、独立行政法人自動車事故対策機構、これがやっていた事業なのですが、まさにこれを交通安全環境研究所で統合してやるべしという事業仕分けの指摘がございまして、それを受けて交通安全環境研究所でやるのですが、移管に当たってはやはりトータルのコスト、これがあまり変わらないとかそういうことにならないよう、トータルコストの削減につながる実施手法・体制を検討すべきという指摘でございます。それから4点目、自動車審査業務及びリコール技術検証業務、これは昨年のトヨタ自動車のリコール問題等々を背景に、国交省として政策上強化すべしというものでございますが、体制を強化するに当たりましても、既存の資源を活用するなど、なるべく効率的な体制で、変に焼け太りにならないように業務実施体制を検討すべしという指摘でございます。
 それから海上技術安全研究所でございます。1点目は先ほどから申している研究の重点化、それから国交省所管の研究機関の在り方の検討です。2点目につきましても、ここもやはり関連研究機関、例えば港湾空港技術研究所、こういうところとも、似たような研究をやっていますので、そこできちんと連携強化を図って効率的にしなさいという指摘でございます。3点目でございます。特許等の知的財産権につきまして、ここは結構、技術移転を産業界に積極的に実施しておるのですけれども、そこの対価としての実施料の算定をもっと適正化、適切にしなさいと、で、自己収入の拡大を図るべきという指摘でございます。4点目でございます。ここは大阪支所という、職員数5人の支所がございます。ここが、まさに地方公共団体での中小企業支援策を実施しておりますので、自治体への業務移管を含めて大阪支所の在り方について抜本的に見直すべしという指摘でございます。
 それから港湾空港技術研究所でございます。これも、港湾土木、空港土木の調査研究をしておりますが、まさに重点化と研究独法の在り方の検討のお話。それから関連機関との連携強化、先ほど申し上げました海上技術安全研究所とか、こういったところの連携も強化すべしという指摘でございます。
 それから電子航法研究所、いわゆる航空管制に関する技術の研究でございます。これにつきましても、1番目はまさに重点化の話と研究機関の在り方の検討のお話。2点目はやはり関連研究機関の連携強化というお話。それから後段のところなのですが、航空交通量の伸びが大きいと予測されるアジア太平洋地域、こういうところとも積極的に技術交流をするべしという指摘でございます。
 それから航海訓練所でございます。航海訓練所の練習船、まず大成丸というものがもうそろそろ寿命にきておりますので、まさに代替するに当たっては燃費効率の高い船舶を導入することにより、経費縮減、要員縮減を図るべきという指摘。2点目は、航海訓練所は、この後に説明いたします海技教育機構とか、あと東京海洋大学とかそういったまさに座学を教える機関から委託を受けて、いわゆる航海実習をやっているところでございます。そういうまさに委託を受けるに当たって、もっと受託費等を引き上げる等による自己収入を拡大するとか、あと船員の供給を受ける内航海運会社についても、受益者負担を求めることを検討すべしという指摘でございます。それから3点目でございますが、まさにこの船員教育機関とか、あと民間海運会社との人事交流を含めた連携強化に努めるべしという指摘でございます。
 それから次の海技教育機構でございます。こちらの船員教育はいわゆる座学を中心にやるところでございます。1点目でございますが、まさに教育関連業務について、IT技術を活用することにより効率化を図り、要員の合理化を推進すべしと。2点目でございますが、これもまさに海上技術学校とかそういう短期大学校の授業料について、段階的に引き上げることにより自己収入を拡大すべしと。それから海運会社等にも費用負担を求めるべしと。3点目でございますが、先ほども航海訓練所でありました関連船員教育機関とか民間海運会社と人事交流を含めた連携強化を図るべしという指摘でございます。
 それから航空大学校でございます。ここはパイロット養成を行う独法でございます。1点目といたしまして、現在私立大学といった民間でもパイロット教育をやり始めております。そういったところにまさに訓練ノウハウの提供を行うべしという指摘。2点目でございますが、これは航空大学校の卒業生の採用実績がある国内航空会社、こういうところがちゃんと負担を公平に求めるような仕組みを導入すべしという指摘でございます。
 それから自動車検査、いわゆる車検独法でございます。1点目、いろいろ機械を導入して検査を高度化しておるのですけれども、その成果について定量的に検証し、業務運営の効率化に引き続き務めるべしという指摘。それから2点目、いわゆる民間指定工場による指定整備率の向上、こういったものが進んでいくと、当然業務量が縮減するわけでして、そういう業務縮減状況を踏まえて、検査コースの削減や要員の見直し、事務所の統合ということを検討すべきという指摘。3点目につきましては、事務所を四ツ谷のビルに間借りをしておりまして、これは賃料が相当かかりますので、23区以外の移転を検討するという指摘でございます。
 それから海上災害防止センターでございます。これは海で出てしまった油などの防除のための措置をやっているところなのですけれども、これにつきましては、緊急時における海上保安庁長官の指示に基づく確実な排出等の防除措置の実施等を、きちんとそれが確実にできる仕組みを維持した上で、いわゆる指定法人の業務として実施すべしという指摘でございます。
 最後に第5ワーキングでございます。これは全部で6法人、文科省所管3法人、厚労省所管2法人、防衛省所管1法人で、計12回のワーキングを行っております。また視察も、駐留軍の機構に1度行っております。
 まず物質・材料研究機構でございます。これは、つくばのほかに目黒にも研究所を持っております。ここは廃止してつくばに統合するとともに、跡地の国庫納付、要員の合理化を指摘しております。2点目、ここも東京会議室を持っておりますので、これは他法人へ集約すると。3点目、ここは結構事務職員の配置がばらばらあるのですが、ちょっと合理的でないばらつきがございますので、そういう要員の合理化を図るべきという指摘でございます。
 それから防災科学技術研究所でございます。これは先ほど土木研、建築研でも説明いたしましたが、やはり他機関と役割分担を明確化しろと。研究内容の重複排除を図るため、テーマの事前調整とか連携の強化を図るべしという指摘でございます。2点目、これはいわゆるE−ディフェンス、これは結構大規模な施設を持っておりますので、これの外部利用のさらなる拡大の指摘でございます。3点目、地震防災研究フロンティア研究センター、これは神戸にある事務所なのですが、ここを廃止するという指摘とともに、要員の合理化をやるべきという指摘でございます。4点目でございますが、ここもやはり事務職員の配置がややばらばらとなっておりますので、要員の合理化に取り組むべしという指摘でございます。
 放射線医学総合研究所でございます。1点目、ここはまず重粒子線がん治療、これについての研究を行っておるのですが、国内外の早期普及を図るため、もっと戦略的なロードマップを策定すべしという指摘。2点目でございますが、那珂湊支所というものを持っておりますが、ここの廃止が決まっておりますので、その要員の合理化、事務職員の合理化を図るべしと。3点目でございますが、研究施設等整備利用長期計画というのをこの法人は策定しておるのですが、ややちょっとPR館とかアトリウムとか、不要不急ではないかと思われる施設がありますので、こういう建設は行わないよう計画全体を見直すべしという指摘でございます。
 続きまして国立健康・栄養研究所でございます。まず1点目、ここはいわゆる特別用途食品の試験事務、いわゆる特定保健用食品で、ヘルシアとかああいうところの試験事務を行っておるのですが、民間でも実際登録試験機関がございますので、もっとそこを積極的に活用すべしという指摘。それから栄養情報担当者、NR認定制度と申しておりますが、この資格制度につきましても早期に廃止するとともに、要員の合理化を図るべきと。3点目でございますが、これは9月のヒアリングのときに、この法人と医薬基盤研究所、労働安全衛生総合研究所と統合について検討しているということが厚労省からありましたが、もっと具体的なメリットやデメリットを慎重に検討した上で結論を出すべしという指摘でございます。
 続きまして労働安全衛生総合研究所でございます。まず1点目でございますが、研究テーマの選定に当たっては、もっと現場に足を積極的に運んで、その上で研究課題の選定に的確に反映すべしというのが1点目。2点目でございますが、研究成果の評価、これは例えば法令への反映度合いとか労災の減少とか、こういう具体的な数値で目標を示して評価すべしという指摘。3点目につきましては、先ほどの3法人の統合についてと同じ指摘でございます。
 最後に駐留軍等労働者労務管理機構でございます。これはいわゆる米軍基地に勤める日本人の労働者の労務管理をやっておりますが、いわゆる給与計算とかいった内部管理事務でございますので、もっと徹底して効率化を行って大幅に要員を縮減すべしと。大幅な要員縮減に努めれば、当然ここの法人ということが果たしてやるのが効率的なのかどうか、もっと業務実施体制をゼロベースとして見直した上で、国自ら実施することを含めて最適な業務実施体制についての結論をできる限り早期に得て、所要の措置を講ずるべきという指摘でございます。2点目でございますが、ここは大田区蒲田と横浜に分散している本部機能、先週NHKでちょっと特集があったところでございますが、これを早期に集約すべしという指摘。3点目、既に廃止した旧コザ支部の土地については、国庫納付すべしと。4点目でございますが、この法人の各支部の近くには防衛事務所もございますので、そういう庁舎へ入居するなどといった検討をすべしという指摘でございます。
 以上でございます。

【横山評価監視官】  最後に、委員長談話案を朗読させていただきます。資料3であります。それでは朗読させていただきます。
 「平成22年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」の取りまとめに当たって(案)。平成22年11月、政策評価・独立行政法人評価委員会委員長、岡素之。
 本日、当委員会は、平成22年度末に中期目標期間が終了する42の独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性を各主務大臣に対し指摘いたしました。
 これらの取りまとめに向けた検討・審議に当たっては、各主務省から見直しの検討状況やその考え方について詳しくヒアリングを行うとともに、委員自らが現地に赴き実情の把握に努めながら、精力的に議論を行ってまいりました。本年6月以降、独立行政法人評価分科会、ワーキング・グループ等の開催回数は、延べ50回以上に及びます。
 昨年12月に独立行政法人について抜本的な見直しを行うとの政府の方針が示される中、当委員会としても対象の42法人の主要な事務・事業を徹底的に見直す方針で取り組みました。
 その結果、今回の「勧告の方向性」では、法人の在り方の見直し、事務・事業の廃止や重点化、具体的な目標の設定や成果の検証等による改善、不要資産の国庫返納等の指摘をしております。また、各法人に共通する事項として、給与水準の適正化、契約の適正化、内部統制の充実・強化等の指摘も行っております。
 当委員会としては、これらの指摘が最大限に尊重され、適切な見直しが行われることによって、各法人の一層の効率的・自律的な運営に大きく寄与するものと確信しております。
 今後、各主務大臣におかれては、本年の予算編成過程において、今般の「勧告の方向性」の指摘の趣旨を最大限いかして見直しを進めていただくとともに、独立行政法人による国民に対しての一層効率的で質の高い行政サービスの確保のため、御尽力されることを期待します。
 なお、行政刷新会議では、当委員会の議論と並行して、すべての独立行政法人の事務・事業を検証し、見直しの「基本方針」を策定する作業を行っています。当委員会としては、行政刷新会議において当委員会の議論を活用できるよう最大限の協力を行ってきたところです。今後、当委員会の勧告の方向性と行政刷新会議の抜本的見直しとがあいまって、独立行政法人による効率的で質の高い行政サービスが確保され、独立行政法人に対する国民の信頼が高まることを期待しています。
 もとより、独立行政法人の適正かつ効果的な運営には、主務大臣並びに主務省の評価委員会及び担当部局の努力とともに、独立行政法人自らの努力が不可欠です。すなわち、積極的なマネジメント改革に取り組むとともに、現場の職員一人一人が自発的に意識改革を行い、業務の改善を積み上げることにより、トップダウンの改革とボトムアップの改善とがあいまって、法人のパフォーマンスが更に向上されることを期待しております。当委員会としても、独立行政法人等の適正な運営と経営の質の向上の一助となるべく、今後とも積極的な活動を行ってまいる所存でありますので、引き続き御理解を賜りますようお願い申し上げます。
 以上です。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それではただ今の事務局からの報告につきまして、各ワーキンググループ御担当の主査委員の皆様から、追加して御報告いただく事項などございましたらお願いいたします。第1ワーキング、樫谷委員どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  第1ワーキングの樫谷でございます。横山評価監視官の方からもう詳細に御報告いただきましたので、私の方からはそれほど追加することはないのですけれども、幾つか御説明をしたいと思います。
 第1ワーキングは総務省所管の1法人と農林水産省の10法人の計11法人でございますが、ヒアリングあるいは視察を精力的に行いました。その後また分科会でもヒアリングということでございますが、まとめたものについては横山評価監視官の方から御説明していただいたとおりであります。
 特に総務省所管の情報通信研究機構でございますが、これにつきましても、この分野というのは日々進歩しておりますので、これに即応対応した研究開発が肝要であるということでございますので、研究成果を早期に発現して、産業界における新たな情報通信技術の実用化を今まで以上に支援すべきと。特にこの厳しい経済の中、早目に前倒しをしていただきたいということでございます。
 それから、農水省の所管の家畜改良センターでございますが、これにつきましては、これもほとんど御説明いただいたので省略したいと思いますが、特に農業・食品産業技術総合研究機構と農業生物資源研究所、農業環境技術研究所、国際農林水産業研究センター、これにつきまして、北海道の十勝だとか、あるいはつくばの方に視察をいたしまして、理事長などにヒアリングをいたしました。その中でいろいろ御意見も聞かせていただきましたが、この4法人についてはむしろ一体的にやった方が、単なる効率化だけではなくて、研究活動もさらに進むのではないかというような感触を、私ども第1ワーキングのメンバーは受けております。ただ、この研究機関の在り方については、もう1度見直しをするということもございますので、このような一体的に行うということについての方向性ということで、今後事務事業の一体的実施を視野に入れて、組織の在り方、業務の実施方法を抜本的に見直すことを求めておりますという記載にしてございます。
 森林総合研究所でございますけれども、これにつきましては、将来のシミュレーション、特に水源林造成事業につきまして、借入金で行われている部分があると。その借入金の返済は今後、その造林の木材を売って返済することになっておりまして、そのシミュレーションを見せていただいたのですが、なかなかこのシミュレーションでいいのかなというようなところもございました。つまり実態が必ずしも予定どおりいっていないというところでございますので、これも常に事業の収支がバランスするように見直していただきたいというようなことが書いてございます。以上でございます。

【富田分科会長】  阿曽沼主査、お願いいたします。

【阿曽沼臨時委員】  第2ワーキンググループの阿曽沼でございます。第2ワーキング担当の財務省1法人、経済産業省4法人、そして環境省1法人、計6法人について、横山監視官から大変簡潔に、しかも議論の内容を踏まえた御報告をいただきました。ありがとうございました。私の方からは、御報告の中では具体的に御紹介のなかった、ワーキングの中でどんな議論が闘わされたのかということについて、少し御紹介を兼ねて御報告させていただきます。第2ワーキングでは、それぞれの法人について大変激論が交わされまして、勧告の方向性についても一言一句、その言葉の意味するところを多角的に判断しながら、気持ちを込めて書き込んだと考えております。
 まず酒類総合研究所でございますが、事務事業を重点化するとか特化するとか、もしくは抜本的に見直すという方向で考えると、その先にある議論は、先ほど横山監視官がおっしゃったように、国の判断責任の下で、これら事業を独法として本当にどこまでやっていくべきなのかということを、抜本的に検討すべきとの結論に至ったということでございます。特に、分析とか研究調査に関しましては、高度な分析だから我々しか出来ない、という御主張をされていましたが、残念ながら我々は高額な機器で分析をしているという事実は認識できましたけれども、高度な分析というのは科学的かつ客観的納得のいく御説明が得られなかったということも踏まえて、このような勧告の方向性になりました。   次に、日本万国博覧会記念機構は御報告のとおりでございます。
 続きまして経済産業省ですが、経済産業研究所は、御説明でもございましたように運営費交付金債務残高が4.3億円という異常な高さを示しております。これは研究プロジェクトのチェックというものをきちんとやってこなかった結果とも考えられます。決められた期限までに報告書が上がってこない、だから執行残が発生するという研究所としてはあり得ない実態が散見されているということでございます。研究テーマの選定や評価の在り方、そして研究予算の執行の在り方、例えば厚労省、文科省がやっている厚生科研、文部科研と同様な仕組みにするべきではないかという議論がありました。これもこれで問題があろうかと思いますが、それらを勘案しながら研究選定の在り方、プロジェクトメーキングの在り方を抜本的に検討する必要ありという認識を強く持っております。
 それから工業所有権情報・研修館でございますが、これは独法でではなく、本来特許庁自ら実施するべき事務事業が多いという御指摘をさせていただいております。ここも独法として事務事業を継続的に行うべきか、今後行われるであろう独法の見直しの中で、国の判断責任の下で、国が直接実施することについても検討が進むものと考えておりますが、抜本的に見直すべきという認識を、委員全体が持っているところでございます。特に平成27年1月には特許庁の新システム移行によって、この組織の在り方、業務の在り方そのものが抜本的に見直されるべきでありますから、そこの時期を踏まえて見直すということの認識で議論が行われました。
 製品評価技術基盤機構でございますが、この独法の議論に関しましては、同じ経済産業省所管の産業技術総合研究所又は文科省所管の理化学研究所等、他の法人との類似の研究テーマが多く見られるとの認識から、その役割を明確にするということの指摘を行っております。しかし、むしろそもそも、この独法自らがどうするかという議論以前に、主務省である経済産業として、産業イノベーションを担う経済産業省として、ビジョン、ミッションを明確にして、府省横断的に、これら類似の研究テーマの研究実施されている独法の在り方を、今後、原点に戻って議論していただくことが必要なのではないかとの強い認識を委員全員が持ちました。我々は、それらを具体的に指摘する役割を担っておりませんが、そういったことを共通の認識として充分に議論をしてきたところでございます。
 最後に日本貿易振興機構、いわゆるJETROでございますが、特に中小企業や地域の企業、それら企業の海外展開の支援の在り方が問われているわけであります。それら活動を実際に行った結果がどうであったかを自らきちんと自己評価をしていただく事が大変重要だという共通の認識がありましたが、評価が不十分だと感じました。これら事業をより充実させ、組織としてのミッションやビジョンの確認を含めて議論をいただきたいと思っています。また、この法人はアジア経済研究所と統合しましたが、この通称アジ研が、JETROの政策立案の企画部門としての機能が中心であるのか、もしくは国のアジア政策に資する為の活動を中心に行うのか、役割の在り方を踏まえながら、JETROそのものの事務事業とのシナジーの検討と検証が非常に重要であると御指摘をさせていただいているところでございます。
 最後に全体的な感想でございますが、各独法を委員自ら訪問し、トップの方々とお話を申し上げました。当然全てがそうではありませんが、独法のトップや幹部の方々の中には、独法を主務省からお預かりしている組織、つまり借り物の組織という意識で、その組織のアイデンティティーを高め、組織をより強くしなければならないという意識が多少希薄と感じる事が多々ありました。全体を見た組織の在り方、ビジョンやミッションの再構築など、独法の気概が見えにくく、そういった視点での組織運営の姿勢がまだまだ欠けているのではないかと感じました。今後我々が独法を評価していく上で、どういった視点で御指摘をしていくべきなのか等、まだまだ検討し議論していかなければならないとの強い認識を各委員が持ったところでございます。以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございます。黒田主査、お願いいたします。

【黒田(壽)臨時委員】  それでは第3ワーキング、文部科学省所管法人の見直しについて、細かいところにつきましては先ほど御説明がありましたので、私の方からは主立ったところについてお話をさせていただきたいと思います。
 今回、第3ワーキングとしては8法人を対象としております。1つは国立青少年教育振興機構、2つ目が教員研修センター、3つ目が国立女性教育会館、4つ目は国立特別支援教育総合研究所、5つ目が大学入試センター、6つ目が国立科学博物館、7つ目が国立美術館、8つ目が国立文化財機構と、この8法人でありました。
 その中で、特に私の方からコメントしたいと思いますのは、まず、国立青少年教育振興機構についてです。戦後、日本の青少年教育で非常に有効な装置として組まれてきた青少年の交流の家、自然の家、こういう施設は、この時代になって少し目的が変わってきたということだろうと思うのです。したがいまして、全国の27施設を地方自治体と民間に移管するということになって、そういう方向で進められているわけでありますが、この条件として、一定の条件が整ったところから順次移管をするということで進められているわけであります。この時代、なかなか地方自治体から受け入れるという回答が得られないという中で、ずるずるとなってしまいますと、いつこれが達成されるかわかりませんので、移管等を実施するに当たっては十分な手法をとりながら、管理をしながら、できればタイムスケジュールなんかも作っていただきたいということ、厳格にこの進行管理をする方法で着手していただくという、そういうことを申し上げております。
 それから、国立女性教育会館、これは先ほどお話がありましたように、埼玉県の大変交通の便の悪いところにございますので、その地域におられる方には開放されておりますが、ここで全国の女性のための教育をするという点では、非常に偏りが出てしまっている。そういうことで、女性教育のナショナルセンターとしての位置付けというのがまだ十分に果たされていない。したがいまして、ここで行われます本当の女性教育としての機能というものをどのように位置付けていくのかということ。それから、ここに置かれています運動場とかテニスコートとかいろいろある施設・設備について、ここの土地は借地となっているわけでありますが、利用状況が悪いところは埼玉県にお返しをするという、その交渉を今進めていらっしゃるようでありますけれども、これを抜本的に改革して進めていただきたい。その上で、女性教育としてのナショナルセンターの意味付けをはっきりもう1度再認識していただきたいということを申し上げております。
 それから教員研修センターでありますが、この教員研修センターは、これまでに3回の見直しが行われてきておるわけでありますけれども、地方自治体でやるべき研修と、国が直接やらなければならない研修、この辺の切り分けがもう一つうまくいっていないのではないか。したがいまして、先ほども説明にありましたように、都道府県によって参加者数に非常にばらつきがある。国が地方自治体の教員の責任者として養成したい、そういう意思はわかるのですが、その実態が伴っていないということがありますので、地方自治体のやるべきことと国がやるべき研修内容、これをもう少し合理的で有効的に見直しを進めていただきたいということで、ここに書かせていただいております。
 私からは以上でありますが、あと国立科学博物館とか国立美術館、国立文化財機構については、それぞれ日本の文化水準を国際的に表すものでありますので、そういう意味で事業仕分けでも国からの負担を増やさない形で大いに頑張れということで、できるだけ合理的に進めるということにさせていただいております。以上です。

【富田分科会長】  ありがとうございます。それでは山本主査、お願いいたします。

【山本臨時委員】  第4ワーキングは国土交通省が所管であります。主な内容は既に御報告いただいておりますので、少しどういう議論があったかということを御報告させていただきたいと思います。国土交通省の研究所に関しましては、かつてもいろいろな議論がされておりまして、例えば土木研究所と港湾空港技術研究所は、土木的な機能だからこの両者を合併したらどうかとか、あるいは、同一敷地内にあるような旧運輸省系の交通安全環境研究所と海上技術安全研究所、それと電子航法研究所ですね、このあたりは場所が共通しているんだから、共通して統合したらどうか。あるいは、場合によっては、同じ旧運輸省系の港湾空港技術研究所とも統合がいいのではないかという議論もありましたが、先ほど御報告がありましたとおり、国土交通省の所管の独法を含めて、それ以外の関連研究機関の業務との在り方について抜本的に見直しをされるということでございますものですから、そちらのまず判断を待とうということになったわけであります。したがって、前回のたしか見直し等においてはそういう議論もあったと聞いておりますが、今回はそういう文面になっているということが、1点御報告したいと思います。
 それと、教育機関といいましょうか、航海訓練所と次の海技教育機構でございますが、これについてもいろいろな議論がなされているわけでございますが、当面はその受益者負担を求めるということと、今後どういうふうな訓練形態があり得るかということについての検討の中で、また更なる検討がなされると思いますが、航海訓練所と海技教育機構、あるいはそれ以外の間におきます人事交流をさらに活発化することにおいて、今後の船員教育あるいは航海訓練の在り方について、更なる検討を今後していただくということを踏まえて、文面がこういうやや抽象的な文言ですが、そういうことになっておるということでございます。
 それと、航空大学校につきましては、これも御報告があったとおりでございますが、現在は一部の国内航空会社の受益者負担になっておりますものを、すべての適正な、公正な仕組みとなるような受益者負担の在り方について、勧告の方向性で盛り込むということでございます。
 それと、自動車検査につきましては、民間参入をさらに推進するということが、これは事業仕分けでも言われておりますから、それについて盛り込んでおるということでございます。
 私の方から、主な点といたしましては、以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございます。縣主査、お願いします。

【縣臨時委員】  それでは申し上げます。第5ワーキンググループでは、3省関係6法人の議論を行いました。この6法人それぞれに関する勧告の方向性案につきましては、平池評価監視官の御報告でほぼ尽きております。しかしながら、なお補完したほうがいいと思う点につきまして、2点申し上げます。
 まず、駐留軍等労働者労務管理機構であります。この法人は今回で2回目の見直しとなります。業務は在日米軍施設で働く勤労者の募集、提供、労務管理等で、相手が在日米軍という特殊性がございます。安全保障にかかわる業務を担当し、業務実施の重要性は高く、確実に実施していただきたいと考えております。他方、視察などを通して、その実施方法の実態をよく見ますと、最終的な意思決定は雇用者たる国、すなわち防衛大臣が行い、駐留軍等労働者の採否の判断、あるいは人事評価などは、使用者たる在日米軍が行っております。そのため、法人に実質的な判断業務は少なく、また各法人支部の近傍には防衛省の防衛事務所が存在することから、法人自身の現地必要性にも疑問符がつきました。法人の業務内容は民間の人材派遣会社と同じようと考えられ、いわば間接部門であります。民間並みの業務効率が求められてしかるべきでありますが、これまでは自らの業務効率のアップよりも、むしろアウトソーシングによる合理化が主でございました。今回、これらの点を踏まえまして、現在の実施体制が経済的、効率的か否か徹底的に検証しようと、ワーキンググループ一丸となって取り組んでまいりました。その結果、まず業務効率をアップし、徹底した合理化をした上で、次の段階として国、すなわち防衛省に戻す。戻した上で、大半の業務は民間に外注できるのではないかと、ワーキンググループでは考えましたが、時間的な制約もあって、最適な業務実施体制の在り様を防衛省と法人の検討にゆだねることといたしました。業務を防衛省に戻すとした場合には、国の定員問題、総人件費の問題、機構職員の雇用問題といった、政独委では解決できない課題もあり、今後の政府部内の検討に期待したいと思います。総人件費の問題は、公務員の人件費という狭い概念でとらえるべきものではなく、もっとトータルのコストでとらえるべきであると考えます。本省に戻すことによって、たとえ2割削減の考え方と異なる方向になったとしても、全体コストが低減すれば、社会的には何ら問題はないのではないかと思われます。いずれにいたしましても、防衛省には今後十分な検討を求め、私たちも年度評価を通じて取組状況をしっかりとフォローしていきたいと思っております。
 第2点目は、厚生労働省関連3法人の統合であります。すなわち、そのうち、国立健康・栄養研究所、労働安全衛生総合研究所が今回の見直しの対象になります。厚生労働省は、今回見直しとなる両研究所とともに、昨年度見直した医薬基盤研究所、この3法人の統合を検討していると聞いております。統合が実現すれば、旧厚生省系の法人と旧労働省系の法人が統合するという意味では、極めて画期的であります。しかしながら、これら3法人の統合に関しては、具体的な効果が明らかではない、研究領域の関連性が希薄であるなど、メリット、デメリットがはっきりしておりません。このため、安易な統合でそれぞれの法人の持ち味が薄れ、埋没してしまうという懸念もございますので、今後慎重な検討を求めたいと思います。以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、この勧告の方向性についての、全体を通じた御意見、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。いかがでしょうか。
何か御意見がないというか、ワーキングで随分議論に議論を重ねた結果であろうかと思われますけれども。
いかがでございましょうか。

【縣臨時委員】  それではちょっと1点。

【富田分科会長】  どうぞ、縣委員。

【縣臨時委員】  今回、関連する研究所がかなり同時に評価されておりまして、それぞれのワーキンググループで統合するとか、あるいはそのまま状況を観察するというようになっているわけですが、その際に何か政独委として1つの判断基準といいますか、あるいは視点の統一というようなことを考えるべきなのかどうか。考えてないとすればそれでよろしいのですが、考えるべきであるとすれば、どういうことを念頭に置いたらいいのかということについて、何か議論、教えていただければと思います。

【富田分科会長】  今の件、何か御意見ございますでしょうか。縣委員からの問題提起でありますけれども、いかがでしょうか。どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  第1ワーキングで4法人が統合という議論になったときに、私個人的には何が何でも統合すればいいというふうには思っておりませんで、むしろ統合した結果、かえって効率化だけではなくて、その事業というのですか、その効果も上がるというようなものを統合するべきだと思っておりますけれども、第1ワーキングもそういう議論をしたんですが、なかなか統一的なガイドラインをどこに設けるかということについて、まとまりは出ませんでしたが、結果的にはそれぞれヒアリングをして、何となく各ワーキングのメンバーが、あ、このぐらいかなというような感触を持ったということなんですが。本来、縣委員がおっしゃったように、何か政独委としても、どういう議論をしっかりしておくということが必要なのかなと。極論を言えば、今まで既に統合しているものでも、本来これはもうちょっと分けたほうがいいのではないかというものも中にはあるかもわかりませんので、そういうことを一たん議論しておく必要があるのかなと、私は思っております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  今の点に関しましては、先ほど阿曽沼主査からも御指摘がありましたように、例えば、JETROにおけるアジア経済研究所との過去の統合というのがあります。これについては、前提をどういうふうに置くかによって求める効果が変わってくる。そういうことを、やはりしっかりフォローするといいましょうか、必ずフォローアップをしていくことが必要だと考えて、いろいろ議論をさせていただいたのですが、なかなかそのあたりの議論が主務省側とかみ合わないという印象は持ちました。したがいまして、政独委としてどういうふうに考えるかというのを、統合問題に関しては改めて考えるのが私は意味があると考えておるということでございます。

【富田分科会長】  ありがとうございます。ほかに、研究関連の業務を行う独立行政法人についての御意見、ございませんでしょうか。ということで、縣委員御指摘の問題、一律に研究といっても、極めて独立行政法人、多様な業務を行っているという中で、やはり事後評価を的確に行ってフィードバックをやっていくということの重要性が、共通的な認識であろうと思われます。
 それでは別件のほうに移りますが、河野委員、で、岡本委員。

【河野臨時委員】  ありがとうございます。勧告の方向性の1ページであります。第1ワーキングの農林水産消費安全技術センターの4番目の項目です。非公務員化について検討したらどうかという結論に至っています。検査や品質保証にかかわる独法がありますが、そういう独法の中で、この第1ワーキングがかかわったセンターについては、非公務員化でやっているということですが、先ほどの第2ワーキングの製品評価技術基盤機構ですか、これも多分公務員ではないかと思うのですが、こういう公務員の身分で検査等を行う独法について、あるワーキングで仕事の内容を検討した結果、非公務員でもできるのではないかということで、非公務員化を指摘する。他方で、別のワーキングで検討して、いやいやこれは国が本来行ってもいいのではないかということで、国がやってはどうかという方向で指摘するという、2つの指摘が出ておりますが、この辺はやはりそれぞれのワーキングの判断で、仕事の内容に応じて判断するというのか、あるいは何らかの基準といいますか、分科会全体で基準を設けたほうがいいのかという疑問を、ちょっと感じたところであります。

【富田分科会長】  それでは、私よりですけれども、やはり業務の実態に即してそれぞれであろうと思うのです。立ち入り検査を行うときに、やはり公務員の身分が必要だということもありましょうし、そういう意味ではこちらでも、今御指摘の農林水産消費安全技術センターにおきましては、勧告の方向性としては非公務員化の可能性を検証せよということで、非公務員化せよということではなしに、今先生が御指摘のことも踏まえて可能性を検証ということで書かせていただいているということであります。

【河野臨時委員】  そういう結論であればそれで結構です。

【富田分科会長】  はい。それでは岡本委員、どうぞ。

【岡本臨時委員】  私が、半分感想めいたことになるのですが、御指摘をさせていただきたいのは、主務省を超えた横断的な指摘ということであります。第2ワーキングを中心に申し上げますと、例えばですが、先ほどございました製品評価技術基盤機構におけるバイオテクノロジー分野の研究内容。それから国立環境研究所がやっております環境分野の研究内容。これにつきましては、そもそも経済産業省あるいは環境省の所管でどうこうという議論は当然中心になるわけですが、例えばバイオテクノロジーに関しましては、先ほど阿曽沼主査もありましたように、理化学研究所との関係が非常に問題になると思っています。今回の勧告の方向性については、そこまで突っ込んだ記述はなかなかできかねるということだったと思うのですが、そういう所管省の範囲を超えた独立行政法人の業務の在り方については、やはり政独委の立場からも何らかの指摘をすべきではないかというふうな気がしてなりません。特に、国立環境研究所で行っている環境分野につきましては、国立環境研究所を中心に、その他独立行政法人あるいは所管省において、多くのオーバーラップが、オーバーラップがいいかどうかという問題自体もあるかと思いますが、そこの検討もございますので、そこはもう少し、何といいましょうか、ダイナミックな提言というものができないものかなということで、先ほど阿曽沼主査が申し上げられたように、結構議論が白熱したということでございますので、ほかのワーキングにおかれましてもどうであったかということともに、今後どうするかということもやはり御検討を賜りたいというように思います。

【富田分科会長】  それでは今の関係で、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  私、先ほど主査のコメントの中で、国立環境研究所については時間の関係もあって詳しく申し上げませんでしたけれども、実は多くの独立行政法人の中で、中核的な組織になるのだと、こういう御指摘をよくされるのですが、その中核的と言っている意味が何を示すのかということがあって。例えば国立環境研究所であれば、政策貢献型、政策立案に資する中核的な研究機関であると、こういうことでありますが、そうすると各府省の環境のいろいろな議論の中で、国立環境研究所としては横断的にどういう中核的な役割を担うかということを、それこそミッション、ビジョンの中できちっとはっきりさせていかないと、非常に抽象的な言葉だけで議論されていくのはいかがなものかということが、強い認識でございます。ちょっと補足して述べました。

【富田分科会長】  関連してほかにいかがでしょうか。縣委員、どうぞ。

【縣臨時委員】  今の関連では、第4ワーキングが担当になっておられる2研究所と、第5ワーキングの担当の1研究所について、日程を調整していただきまして同じ日にヒアリングをするという形態をとって、できるだけ同じような質問をして、かつ同じようなデータを出していただく。どういう研究分野で類似していると思うか、それからそれにどういう予算を使っているか、またどういう人員が配置されているかというようなデータを出していただくというようなことを求めました。その結果、最終的にはそうした近似している研究分野について、できるだけ事前調整というようなことをしてはどうかというような段階にとどまりました。しかしながら、そういうデータを今後積み重ねていって、中長期的にどうするかということは継続して考えていた方がいいのではないかと思います。

【富田分科会長】  ありがとうございます。ほかにこの点いかがでしょうか。私の基本的な理解としては、全体を、省庁をまたぐものを統合することについての勧告の方向性を出さないというふうなことを、先見的に我々は決めているわけでは決してなくて、また議論を、それを妨げていることではなしに、むしろヒアリングなんかの過程では、素直に私どもの問題意識を担当省にぶつけることもできた。あるいは逆に、合併してできた省の研究所の統合という案については、逆にそれはどうかなということも、どうかなと言ったらちょっとあまり短絡して申してもあれですけれども、縣委員が言われたような問題点から再検討をお願いするというようなこともやっておりまして、何か先見的にということは決してなくて、全体的な中でこういう議論になったと理解しておりますが。もし事務局から何か補足していただけることがあれば、お願いいたします。

【平池評価監視官】 先ほど縣主査の方からお話があったように、今分科会長がおっしゃったことと繰り返しになってしまうかもしれませんが、決して省を、別々の省にあるけれども似たような仕事をしているところというのは、やはり見るべきではないかと、いろいろ関連して見るべきではないかという議論もあったところですし、そういうこともやってまいりましたし、一方で省内の、統合だからまあいいんじゃないかということも、いや、それはどうかと、やはりほんとうにシナジー効果とかそういうメリット、デメリットがあるかどうかという効果をやはり検証すべきということを、いろいろ議論したところでございます。まさに、そもそも別にそういう省という枠で最初からたがをはめているわけではございませんので。ただ、やはり現実的な問題として、なかなか省をまたぐというところが、各省の抵抗と申しますか、そういうところも厳しいところがあるのは事実ですし、まさにそういうところをどうやって検討していくかということは、引き続き事務局としても検討してまいりたいと考えております。

【金本委員】  よろしいですか。

【富田分科会長】  どうぞ。

【金本委員】  全くかかわっていないので、研究者としての直感からのお話なのですが、2つ以上の機関が同じような分野をやっていると、だから統合すべきという話は、研究開発については必ずしも成立しないというのが常識かなと思います。どこが成功するかというのはわからないわけで、大学にいる研究者の感覚からいいますと、いろいろな大学で同じような分野でやっていて競争し合っていて、どこかが成功すると。しないところも多いといった世界なのだと認識をしています。そういうときに、どういうふうな全体のガバナンスを考えるかということですが、ダブっているから統合して、その組織のどこかの研究グループに独占力を持たせるというのでは、国際競争には勝てないと私は思います。基本的に、一番問題なのは、競争して負けた人たちが残るというのが一番問題なので、競争はあってもいいのだけれども、負けている人がずるずる残っていくというのを避けるような仕組みをつくるというのが一番重要かなという気がいたします。ピント外れかもしれませんが。

【富田分科会長】  ありがとうございます。競争が大事だという、研究者としての金本分科会長の御指摘だったのですけれども、なかなか政府の機関としての競争ということは、国民にも見えにくいものがあって、いろいろな研究業務を行っている独立行政法人を、やはりすべての省庁を横ぐしで評価していくということの役割というのは、やはり当分科会が担う国民経済的に大きな役割だろうと思います。研究は競争ということなのですが、競争の促進をどうするかということも含めて、我々検討課題であろうと存じます。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、梶川委員。

【梶川臨時委員】  今、各省にまたがった試験研究というか分野の問題等出ていたんでございますが、どうしてもここで見直しに当たりますと、それぞれやはり個別論の検討というのが多いのだと思うのですが、これが一区切りつけられたところで、私はやはり横ぐしで、少し抽象的になるのですけれども、続けて御検討いただければと。例えば試験研究に関しまして、もちろん分野もございますが、ステージというんでしょうか、どの程度官が関与して行われる基礎研究分野であったり、逆に応用研究分野はそういう話なんだというようなお話で、研究分野のステージごとにどこの主体がどのように御担当されるのが一番国家的によろしいのかというような。この辺は、いろいろこういう議論の中で、受益と負担の関係でどこまでその受益者というものを、ある程度民に関連するものは受益を少し求めていこうとかというテーマで、逆に言えば、受益が遠いので、受益の特定が難しいので官がかなり関与していこうという、そういう意味で国自身がやられるもの、独法がやるもの、大学がやるもの、民間の、どこからか、主体がどちらにあるのかが何かあいまいになってきてしまう。もちろん、国は常に関与されるのでしょうけれども、民間がやるものに補助金を出すというようなステージもあれば、むしろ国が主軸になって民間が少しそれに協力しているというような主体性の問題等を、どの組織でどういうふうに整理されるか。今いろいろな省庁でやられている研究なんかでも、少しそういうような横ぐしで分類をしていただくようなというか、実態把握をしていただけるような御研究をお願いできたらと。
 これは、教育なんかでも同じようなことがありまして、例えばパイロットの、やれ船員だとかやれ何だという、このある特定業種、農業者大学校なんかもそうなのですが、受益者がある程度見えるところでどの程度まで、それじゃあ今後将来的にも国がある程度産業育成として関与され、逆に言えば、民間受益者にどのように今後方向性を求めるかみたいなものが、各省庁の分野でいろいろ、産業育成と教育という問題で連関する問題はすごくあるのではないかと。この辺がどこか、今のベースを基にもっと上げろとかもっと下げろということもすごく重要なのですが、本来のトータルの整理がぜひ、この試験研究とか教育とか。
 追加的に言えば、検定とか検査の話も、その公権力行使のどの程度のところをどの程度関与していけるかという話も、いろいろな分野で出てきておられると思うので、こういった、ちょっと抽象論になってしまうのですけれども、当たり前の教科書のイロハみたいな話なのですが、国の関与の在り方みたいなものを少し、こういう具体的題材の中で御整理をいただくという、少しアカデミックな作業もしていただけたらなという、非常にお願いでございます。

【富田分科会長】  それでは、今のは御意見として、みんなで共有しようということでよろしいでしょうか。

【梶川臨時委員】  もちろん、今のは意見に近いかもしれません。申しわけございません。抽象論過ぎて、すみませんでした。

【富田分科会長】  それでは、黒川委員。

【黒川臨時委員】  1点は、研究法人についてなんですけれども、先ほど金本先生もおっしゃっていたように、研究の分野がダブっているように見える部分で、金本先生のような解釈も1つあると思いますし、その以前に今日出ていたのは、そういうところは統合するかどうかということを検討する対象になるだろうということが、その前に出ていたと思うのです。3番目の解釈を1つつけ加えたいと思うのですが、特に研究法人について、政策とかかわって研究をしていただくというようなところが、特に大学とは違ってこういう独立行政法人には求めてきた。私も2年前まで第2ワーキングの方の主査でございましたので、国立環境研究所とそれから経済産業省関係のところとは両方見ていたのですが、そのときに特に大学との役割分担というところで、政策との関連性で研究すべきではないかとワーキングとしては結論に至って、そのように見ていたわけです。そこで、国立環境研究所とそれから産総研等々がダブって環境問題なんかやっているのではないかというようなこともあったのですが、そのときにやはり、それだったら環境省と経済産業省が一緒になれるか。これはどうしてなれないのかというところなのです。それは同じ環境問題にしても、その視点が違う。要するに政策を打つときの、国民に対するサービスを考えるときの視点が違うのです。ですから、同じ環境問題にしても、国立環境研究所とは産総研では、やはり視点が違うところがあるということに気がついたわけです。というわけで、3番目の指摘は、特に政策関係で研究をしていただくということになると、どうしても中立的な研究が求められる分野もあるけれども、政策的研究という点では中立的でなくなる可能性があるので、そういうところはなかなか合併するのは大変じゃないかなというのが、3番目の解釈であります。
 それから2点目は研究とはちょっと違うのですが、先ほどから横ぐしというか、横断的な統合問題ということが議論になっておりましたので、1つだけ。これはこの10年間の政独委で、この問題は富田分科会長もずっとおっしゃっていたように思うのですね。特に、研究ではなくて、サービス提供というのでしょうか、国民に対してサービス提供するところの法人間での連携とか、そういう問題を分科会長もおっしゃっていたように思いますし、我々もそういう点を、特に取り上げた時期もあったと思います。そこで、今回もなかなか、1つ1つの独立行政法人の改廃とかそういうようなことが、この数年、今年もそうですが、焦点になることが多いのですが、我々がこの10年間もっとゆっくりと、大きな目で見ていたときには、今度は厚生労働省の中の、例えばこれは前も議題になったと思うのですが、ちょっと障害がある人たちをどういうふうに国として一生面倒見ていくかというときに、厚生労働省の所管に来る前にまず文科省が、子供が生まれたときにそういう人たちを文科省所管のところで関係する。その後、大人になっていって、そうなるとその後は厚生労働省関係が関連するようになるわけですが、そういうようなときに、そういうようなものこそが、国民の中でどういうふうな我々が手助けをしなくちゃいけないのかという人たちに対して、ずっとこう一生を見て、いろいろな法人がかかわっていく可能性があって。ですからそういうふうな目で我々も見ていくというんでしょうか、ニーズのほうに対していろいろな法人がかかわっていくときに、その法人の中の政策の一貫性というんでしょうか、そういうような連携の仕方というんですか、そういうようなものを我々も議題にしたときもあったと思うので、このところちょっと、かなり急いでいる議題が多いものですから、少し政独委としてもう1度、今言ったような意味での連携、法人間の連携問題ももう1つ考えてみてもいいのではないかな、そういうふうに思いました。

【富田分科会長】  法人間の、独立行政法人の間の連携の問題ということで、これもまた御意見ということで皆さんで共有したいと思います。ほかにいかがでしょうか。大体よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、特にこの勧告の方向性についての修文ということはなかったということで、よろしゅうございましょうか。
 それではここで岡委員長に議事進行役をお返ししたいと思います。

【岡委員長】  ただ今、平成22年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性(案)について審議されました。本件についてお諮りいたしますが、これでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  よろしいですか。ありがとうございます。それでは本日の議論を踏まえまして、必要な字句の修正を行った上で、政策評価・独立行政法人評価委員会及び独立行政法人評価分科会として決定し、主務大臣あてに通知することといたします。修正及び公表など、事後の事務的な処理につきましては富田分科会長と御相談することを前提としまして、私に御一任いただきたく思いますが、御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  ありがとうございます。それではそのように取り扱わせていただきます。
 それでは最後になりますが、事務局から報告がございます。

【横山評価監視官】  それでは今後の日程につきまして、別途御連絡させていただきますが、今後は二次評価、年度業務実績評価について、ワーキングで御審議いただきたいと思います。次回の委員会につきましては、12月22日水曜日の午前中に開催する方向で調整させていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いします。

【岡委員長】  以上ですか。

【横山評価監視官】  はい。

【岡委員長】  それでは、以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会を終了いたします。
 本日は御多忙の中、御出席を賜りましてありがとうございました。


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