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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(11月7日開催)議事録

日時

平成23年11月7日(月)15時30分から17時30分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、田渕雪子委員、森泉陽子委員、縣公一郎、浅羽隆史、荒張健、石田晴美、梅里良正、岡本義朗、河野正男、河村小百合、木村琢麿、鈴木豊、瀬川浩司、木佳子、玉井克也、野口貴公美、宮本幸始、山谷清志の各臨時委員

(総務省)
新井英男行政評価局長、井波哲尚官房審議官、北川修評価監視官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

1 主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性の検討状況について
2 平成22年度業務実績評価について
3 報告事項

配布資料

会議経過

【阿曽沼分科会長】  それでは時間になりましたので、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開催いたします。
 10月に2回行ったヒアリング以降も、各ワーキング・グループにおかれましては精力的に御議論をいただきました。担当主査を始め、お忙しい中、御対応くださいました委員の皆様に改めて御礼を申し上げます。
 本日は、これまでのワーキング・グループにおける検討状況を踏まえまして、「主要な事務及び事業の見直し」及び「平成22年度業務実績評価」について御審議いただく予定としております。
 初めに、今年度の主要な事務及び事業の見直しにつきまして審議を行います。まず各ワーキング・グループにおける検討を踏まえた論点について、事務局より報告をいただいた上で質疑応答を行います。よろしくお願いします。
【北川評価監視官】  監視官の北川でございます。よろしくお願いします。ではまず資料1を御覧いただけますでしょうか。
 現在、各ワーキング・グループで「勧告の方向性」の文章の原案を練っていただいているところですが、この「勧告の方向性」の文章から主要な点をピックアップして、議論のポイントということでここに書かせていただいております。
 私どもの議論のポイントを白丸で、その下に、行政刷新会議における独立行政法人改革に関する分科会のワーキングで議論されていることも御参考につけておりますが、総じて申せますことは、刷新会議の方ではまさに組織の在り方について議論しておりまして、私どもは事務・事業について議論しているということで、重複やバッティングというのはおおむねないであろうということであります。組織の在り方というのも、私どもの検討において影響を与えるところもありますので、引き続き刷新会議の動きを注視して、各ワーキングで御報告・御相談してまいりたいと思います。
 それでは勧告の方向性のポイントでございますが、まず第1ワーキングで3法人、御議論いただいています。
まず、郵便貯金・簡易生命保険管理機構。資料1の右側の方でございますが、郵便貯金・簡易生命保険管理機構の保有する民営化前の旧契約に係る監査業務について、扱い先が2万3,000ほどの郵便局ということになりまして、これを40人の法人でやっていくということがなかなか大変でありますので、機構からの業務委託先・再委託先の内部統制機能を活用して、実施効果を得るなどの手法をとるということが一つ目です。それから契約の保有残高の減少ということなどを踏まえまして、組織・人員について計画的に削減していくということが二つ目。三つ目として、権利消滅金等について、真に必要な額というのを控除の上、国庫納付すべきだということがポイントになっております。
 続きまして国際協力機構でありますが、技術協力、有償資金協力、無償資金協力事業について、援助先の真のニーズにこたえるという観点から、要請主義ではなくてプログラム・アプローチによって戦略的・効果的に実施していく。その際、PDCAサイクルというのを着実に推進していくことが必要であるということが一つ目です。それから、国内定員と在外定員の比率でございますが、定員を国内から在外へシフトしていくべきということ、本部組織のスリム化という形で御議論いただいています。
 続きまして国際交流基金ですが、これは昨年末の基本方針におきまして、国内の文化芸術交流事業は原則実施しないこと等とされたことを踏まえて、組織・人員をスリム化していくということが一つ目です。それから重複排除等の観点から、他省所管の国際関係の独法との役割分担と連携強化というのを構築していくべきということがポイントになっております。
 続きまして第2ワーキングですが、まず日本貿易保険は、この法人の在り方自体に大きな影響を与える貿易再保険特会の廃止についてまだ検討過程でありますので、その状況を引き続き注視しつつでありますが、カントリーリスクの審査能力を向上させていくべきということがポイントとしてあります。
 続きまして原子力安全基盤機構でありますが、これは第2ワーキングの委員の方々とも御相談させていただいておるところでありますが、先週、原子力施設への検査において、検査員が検査を受ける側の事業者に検査要領書を書いてもらって、それをほぼ丸写ししておるというようなことが常態化しているのではないかという報道があったところでありまして、国民から非常に厳しい目が向けられているということであります。ワーキングでもこういった検査の在り方、特に機構と関連する事業者との関係性ということについて非常に厳しい御意見をいただいているところであります。この検査要領書の報道に関しましては経産省の方でも対応をしておりまして、先週、枝野経済産業大臣が会見で機構に対して検査業務の在り方について抜本的な見直しを指示したということです。また、機構の方からは、機構に第三者委員会を設置して抜本的な見直しを図っていきますという報告があったようでございます。この機構に置かれます第三者委員会は年内を目途に報告をまとめるべく検討されていくということでございますので、その動きも第2ワーキングでしっかり注視していきたいと思います。また、国会の方ですが、衆議院の決算行政監視委員会の方でも事業仕分けを行うという話がございまして、その事業仕分けの対象の中に原子力関連の法人に対する国からの支出が入っております。こちらの国会の動きも注視してまいりたいと思います。そういう状況の中で、ワーキングで御議論いただいていますのが、ここにありますとおり、検査ミスなど、国民の信用を失墜させる事態が発生しておるという点です。関連業者との関係性を含め、組織風土の改革が必要であろうということであります。更に、原発関連企業の出身者との関係性において、失墜した国民の信頼を取り戻すために抜本的な見直しが不可避であろうということ、予防のためのオフサイトセンターについては、関連企業に委託している状況でありますが、十分機能しているかという観点からその管理運営方法について見直すべきということであります。研究業務については、固有のテーマで固定化しないように、必要性の認められないプロジェクトや長期実施しているプロジェクト等については中止や一時停止等を図っていくべきだということ。それから人員構成でございますが、50歳以上の技術系の方が3分の2以上という構造について、中長期的視点からの人員の採用・育成策を図っていく必要があるという御議論をいただいています。
 続きまして第3ワーキング、科学技術振興機構でありますが、事業再編を行うに当たりまして、成果の社会への還元についてより明確に説明責任を果たすべきという点が一つ目です。二つ目は、競争的資金の配分に当たって、研究領域・研究総括の選定プロセスの一層の透明化と評価の厳格化を図るべきということ。三つ目は、特許について科学技術移転活動の活性化の推進等を図っていくべきということでございます。
 続きまして第4ワーキングは2法人ございます。まず自動車事故対策機構でありますが、安全指導業務については民間参入の促進のための具体的な取組を明記するという点。自動車事故などの重篤な被害者の専用施設であります療護センターにつきましては、公平な治療機会を確保するという観点からの取組、知見・成果の普及や在宅介護者への支援を進めるということでございます。それから交通遺児等への生活資金貸付業務について貸し倒れの比率が非常に高い事業でございますので、債権管理・回収の一層の強化等を図っていくとともに、あわせて制度そのものの在り方についても検討すべきということです。それから全国50箇所の支所がございますが、一つ一つの支所は小規模なものになっておりまして、業務の集約化・合理化を図るべきということでございます。
 続きまして住宅金融支援機構ですが、業務の中核であります証券化支援事業について、フラット35の金利のうち事務運営経費部分を引き下げる等の商品性の見直しを図るべきということがあります。また、住宅融資保険事業、住宅資金貸付事業及び住情報提供事業といった周辺の事業については一部分を除き廃止されるということになっておりますので、見合った要員の合理化を図るべしということ。それから、前身の公庫から引き継いだ既往の債権管理勘定以外の勘定の繰越欠損については第2期中期目標期間の最終年度までに解消すべきということです。
 最後に第5ワーキングの労働政策研究・研修機構でございますが、ここは3点ございます。まず一つ目は研究の部門でございますが、労働政策への寄与度をはかって調査研究を重点化していくべきということ。二つ目に、調査員という職種がこの法人にはございますが、研究員と調査員の成果を明確にした上で、調査員の存在の位置付けを検証して、適正規模を図っていくべきということ。それから三つ目として、労働の研修の部分は国に戻ることになっておりますが、こういったことも踏まえまして間接部門のスリム化を図るべきということ。組織の再編とあわせて職員構成も含めて業務運営体制の見直しを図るべきという御議論をいただいておるところでございます。
 本日の御議論も踏まえまして各法人の所管の府省に打ち出して、事実認識の齟齬や合理的な理由のある反論があれば、各ワーキングの委員の方々と御相談して12月に向けて文章を整理し、練り上げていきたいと思っております。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ただいまの事務局からの報告につきまして各ワーキング・グループの御担当の主査、また第3ワーキング、第4ワーキングについては主査の先生方が御欠席でいらっしゃいますので御担当の委員の皆様から、追加して御報告をいただく事項がございましたらお願いいたします。それではまず第1ワーキングからよろしくお願いいたします。
【河野臨時委員】  第1ワーキング主査の河野であります。総務省所管の1法人と外務省所管の2法人でございます。まず、総務省所管法人の郵便貯金・簡易生命保険管理機構でございます。この法人につきましては平成22年度末で郵便貯金残高が約45兆円、簡易生命保険契約件数が4,000万件、契約金でいうと約98兆円ございます。これが次期中期目標期間終了時には郵貯残高が約8兆7,000億円、契約件数が1,619万件に減ることが見込まれることに関して当ワーキングの指摘がございます。膨大な資金を管理・運用するわけですけれども、それを委託しており、委託先が2万数千件あるので、実質的な当法人の仕事は、その委託先あるいは再委託先の監査ということに関わってきます。ところが、全部の監査はできないということがございますので、委託先や再委託先のゆうちょ銀行やかんぽ生命の内部統制を活用して、効率的な管理を進めてはどうかというのが1点目でございます。
 それから、資産が平成28年度には大幅に減るということで、部・課の統合を含めて組織や人員の計画的な削減をしてはどうかというのが2番目であります。
 3番目は経理に関することです。膨大な資金を運用していますが、満期になっても郵便貯金あるいは保険の受取人が現れないということがございます。これについて一定期間が過ぎると権利が消滅するということで、この権利消滅金が積立金として処理されていますが、国庫に納付してはどうかということです。これに関連して、権利消滅金が増えないように広報活動を活発にすべきではないかというような議論もございまして、そういう指摘もしたいと考えております。
 それから外務省所管の国際協力機構、いわゆるJICAと国際交流基金でございます。JICAにつきましては、ODAの技術協力、有償資金、無償資金協力事業の3事業について、従来の要請主義ではその国の真のニーズに合っていないのではないかということ,プログラム・アプローチにより戦略的・効果的な実施をしてはどうかという指摘をしております。それにあわせて事業の事前評価、事後評価といったPDCAサイクルを回してきちんとやってはどうかという意見が出ているところでございます。
 更に2点指摘がございます。分科会でもヒアリングを行いましたが、国内定員が在外定員を大幅に上回った状況が数年来続いているということがありまして、在外機能を強化するということから在外定員の計画的な増員を図ってはどうかという指摘をしております。それから、JICAはかなり大きな組織でございますが、硬直的な運営が見られるとも思われますので、ここに指摘されていますような、柔軟かつ機動的な本部組織体制の構築のため、本部組織をスリム化してはどうかという指摘を考えている次第でございます。
 国際交流基金につきましては、基本方針によって一部事業の廃止とか縮小ということが指摘されていますが、その指摘に沿って組織人員をスリム化すべきというのが1点目でございます。それから国際交流基金が行う事業の一部については、文部科学省所管の他の法人等においても類似の事業を実施しているということが見られますので、これら他の組織と連携をとりながら効率的な事業推進をしてもらいたいというのが2点目の指摘につながっております。
 最後に、資料1には記載していないのですが、JICAと国際交流基金の双方について、海外事業所の共同利用や在勤手当の見直しということも指摘したいと思っております。以上です。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは第2ワーキングの鈴木主査から御報告お願いします。
【鈴木臨時委員】  第2ワーキング・グループでは経済産業省所管の2法人、日本貿易保険と原子力安全基盤機構について議論しております。先ほど概要については説明がございましたので、主要な論点についてコメントさせていただきます。
 まず日本貿易保険でございますが、先ほど説明がありましたとおり、特にリスク審査の部分については、先日、法人の視察をさせていただいたときにも、昨今の欧州信用問題等様々なリスクが顕在化している中で、現在のリスク審査体制では十分に対応できているのかというような疑念を委員共通の認識として持ったところでございまして、組織全体として国とは独立してまず精緻なリスク審査体制を構築させることが必須であることから、担当職員個々の専門能力を向上させることが重要ではないかということを考えております。
 続きまして原子力安全基盤機構でございますが、先ほどの説明にもございましたように、原子力安全規制行政は来年の4月に環境省に移管するということで、原子力安全基盤機構も新組織の所管ということになっております。新組織が設置された後、原子力政策全般に関する見直しが行われるということになっておりますが、私どものワーキング・グループでは現行制度を前提として政策見直しへのシグナルを送るという観点から、本来どうあるべきか、根本的・構造的な問題点を含めて議論が繰り返されました。法人視察も10月に行いまして、虎ノ門にある本部にて意見交換を行いました。一つ一つ述べていきますと時間がかかりますので主要なところだけを申し上げますと、まずこの法人のコアミッションであるところの検査業務の問題でありますが、先ほど話が出ましたように、事業者の検査資料を丸写しで検査要領書を作成していたという報道がございました。原子力関係の検査業務は「ひとのいのち」にかかわるものであって、重要な作業だと考えるべきであろうと考えております。したがってこの法人は「ひとのいのち」の安全を確保するということのために検査業務を行っているわけでありますから、このような丸写しがあったという実態についてはワーキング・グループとしては厳しい姿勢で取りまとめを行うべきだという方針で一致しております。
 この法人の検査業務については検査ミスがこのほかにも繰り返されておりまして、それだけを見ましても法人の組織風土の問題、職員一人一人の危機意識の欠如、さらには内部チェックシステム、マネジメントや業務のレビュー等のシステムが機能していない等、様々な問題点があるのではないかという意見がございます。特に検査の品質管理についてはリスク分析やリスク管理が希薄ではないかというふうに評価しておりまして、品質管理の面で、検査の各段階及び各検査作業において品質管理レビューが正常に行われるように、独立性の強い外部の第三者がこの法人の検査を監視できるような体制を構築すべきだという議論でございました。このため、検査等業務に関する現行の業務管理、チェック体制についてはゼロベースでの刷新が必要であるということで意見が一致しております。
 更にもう一つですが、度重なる不祥事によって国民の信頼を失墜させているということがございまして、特に機構においても検査は厳格で、そして中立性と公正の確保が必要だとされておりますが、その中でこの法人は原発関連企業から中途採用で人材を集めているという実態がございまして、検査担当者、検査責任者の独立性・適格性に対する考え方・基準が不適切であるのではないかと我々は考えておりまして、これらの検査対象機関からの人材採用はやめるべきだという意見もございました。
 次に原子力村という観点ですが、この法人は技術者集団ですが、先ほどの説明にもありましたように、平成15年の法人設立当時から年齢が高い職員が非常に多くて、またこれまでも新卒採用はわずか1割未満で、多くが50歳以上の中途採用で手当てされております。このため、現在の年齢構造は50歳以上が3分の2以上を占めておりまして、高齢化が年々進行しているという状況でございますので、今後は中長期的観点からの適格性のある人材育成が必要であるという意見で一致しております。
 またこの法人は研究業務や防災業務等も行っているわけですけれども、研究プロジェクトの進捗管理、実績把握が十分に行われておらず、また研究成果の活用・公表も不十分であるのではないか。また特に毎年多額の予算が原発関連企業へ支出されているという実態がございます。業務委託、研究委託の在り方については再検討を行うとともに、委託先ごとに選定理由や委託の内容及び契約金額等の詳細情報については迅速かつわかりやすく開示すべきであるという意見で一致しております。
 このほかにも、様々な多くの議論が重ねられておりますけれども、時間の関係もございますので、後ほどの討議の場で委員から御発言をお願いしたいと思っております。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは第3ワーキングの浅羽委員から御報告をお願いします。
【浅羽臨時委員】  第3ワーキングでございますけれども、先ほど分科会長から御紹介いただきましたように、主査が本日どうしても出席できませんので、私から追加の報告をさせていただきます。
 第3ワーキングでは、文部科学省所管の科学技術振興機構、JSTの1法人について議論しております。このJSTでございますが、競争的資金を政策目的に沿った研究に投じるといったことを、主たる事務・事業としてやっているところでございます。こうした業務といいますものは、目的としては新技術の創出というものですから、その性格上、必ずしも研究資金がすべて結実する、成果に結びつくといったようなものではございません。ただ、だからといいまして、仮に今、十のうち二つうまく実を結ぶというような現状があるとしたならば、せめてそれを三つとか四つとかに増やしていけないか。あるいは埋もれてしまったようなものがないかどうか。そういったことをきちんと今まで以上にやっていけるようにするというためには、どのような方策があるのだろうか。どういったことをすればいいのだろうか。そういったことを委員の共通の考え方の基盤としてこれまで議論等してまいりました。
 もちろん、そうした課題に対しまして、こうすればうまくいくということが簡単に言えるようなものでないことは明らかでございます。しかしながらJSTに関しましては、運営費交付金として年間1,000億円強のお金が投入されています。また、科学技術の成果を社会に一層還元すべきといった政府方針もございますので、次期中期目標期間において資金配分を大括りにするといった御提案もなされているところではありますけれども、それらに加えてより一層何かすべきことはないのかといったことを考えた上で、先ほど報告されたような提言につながっております。
 その場合に私どもで最も議論したポイントは、いかに説明責任を果たしていくのかということと、同時に、うまくいったケースも、あるいはいかなかったケースも両方含めまして、事後評価を厳格化できないかというところでございます。
 いろいろとヒアリング等を通じまして話を伺ったり、あるいは実際にそうした研究に関わっている方からのお話を伺ったりしている中で、研究領域の選定が本当に適当だったのかどうかといった点について、うまくいったケース、例えば山中先生のiPS細胞のプロジェクトなどはどんどんアピールされていて、それはとても良いことですが、いかにまた同じような成功をもたらすかといったことに加えて、その反面、やはりうまくいっていないものも多数ございますことから、そうしたものに対しての事後評価などを通じて、長い目で見て、先ほど言った十に二つうまくいっているのであれば、三つ四つに結びつけていくことはできないかといったようなことを考えてまいりました。
 しかもそれが個人的な事情によるといったものでなく、システムとして何かもっとうまくやれないかと、事後評価を厳格化していく中で、そうしたものを生み出していけないかといったことで、先ほど御報告があったような提案に至っております。
 また、研究資金を投じるといったこと以外につきましては、これまでこの分科会でも幾つか議論が出ました特許につきましても、特許で大儲けするといったようなことはなかなか望むべくもないことではありますけれども、いろいろとお話を伺いますと、長期間使われていないような特許も多数あるということですので、保有する特許の活性化ということに加えて、計画的かつ継続的に削減といったことも含めた効率的・効果的な管理が必要であろうと考えておるところでございます。
 さらには、そうしたものを取り巻く人員の問題等に関しましても、より一層のスリム化、あるいは効率化を進めていくべきというようなことで、話を進めてまいったところでございます。以上です。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは第4ワーキング、田渕委員からお願いいたします。
【田渕委員】  本来、山本主査から御報告をいただくのですけれども、御欠席ということで私から報告をさせていただきます。
 第4ワーキングの見直し対象法人は、国土交通省所管の自動車事故対策機構と住宅金融支援機構の2法人でございます。自動車事故対策機構は2回目の見直しですが、独立行政法人の見直しの基本方針で民間参入が決定している安全指導業務については、民間への移管ということを進めていき、本来業務である被害者援護業務の方に重点化していくべきという形で議論を深めてまいりました。
 被害者援護業務の重点化につきましては、公平性の観点ですね。現在、全国に6カ所、療護センターがあるのですけれども、これらの施設に入所された方とできなかった方の差をどうしたらいいかという観点で非常に議論が深められました。そうした公平な治療機会といったものを確保するという観点から、センターの周知、制度の周知、あと治療成果の普及促進、それとあわせて在宅介護者への支援。それを進めていくべきだという御意見などが強く出されておりました。
 次に交通遺児等への生活資金の貸付業務ですけれども、こちらは貸付件数が非常に少なくなってきている。それに反してリスク管理債権は増加しているという中で、本制度の必要性を含めて運用をどのように行っていくべきなのかという観点で議論を行いました。その結果として、制度の廃止という御意見も出たのですけれども、まず貸し付けの減少要因の分析ですとかコストの分析・削減等を実施した上で制度の存続を含めた検討をするという方向性に至ったということでございます。
 続きまして、住宅金融支援機構につきまして、こちらは先ほど御報告がありましたとおり、この機構の主要業務である証券化支援事業のフラット35の商品性の見直しという観点から議論を行っております。具体的には、機構の業務経費充当部分の金利を下げるといった商品性の見直しを行うべきではないかということで、こちらは勧告の方向性に入れさせていただいております。
 それ以外の、住宅融資保険事業、住宅資金貸付事業、住情報提供事業につきましては、計画的に撤退をすべきということで、行程表等々をしっかり策定して具体的な取り組みの内容を入れ込んで、計画的に撤退を進めていただきたいということを勧告の方向性の指摘事項として考えております。
 さきほどの報告の中にはなかったのですけれども、もう一点、住宅金融支援機構におきましては、不祥事が発覚しておりまして、機関運営面で内部統制においてもより一層の充実・強化を図っていくべきということで勧告の方向性の中には特出しで出すことを考えております。
 今後、国土交通省におかれましても、今申し上げたような第4ワーキングでの議論の趣旨を十分御理解いただいた上で、次期中期目標等対応いただきたいと考えております。以上です。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは第5ワーキングから縣委員お願いいたします。
【縣臨時委員】  第5ワーキング・グループの見直し対象法人は、厚生労働省所管の労働政策研究・研修機構の1法人であり、2回目の見直しとなっております。本ワーキング・グループにおきましては、大きく三つの視点、すなわち第一に調査研究について労働政策の企画立案に直接貢献するものへの一層の重点化、第二に法人内に配置されている調査員の在り方、第三に法人の業務運営体制の効率化について議論を深めました。それぞれ少し説明させていただきます。
 まず、第一に、調査研究成果の労働政策への寄与度ということでございますが、審議会・研究会等での引用、白書や専門図書等への引用の件数等をもって把握しておりますが、どの程度、調査研究業務が労働政策への企画立案に直接に寄与されたかというものを示す肝心の指標が設定されていないということにつきまして、問題意識を持って検証及び議論を行いました。その結果、反映状況については、労働関係法制の改正に活用された件数等、分かりやすい指標を調査研究テーマごとに新たに設定・公表し、既設の外部評価委員会の活用により、事前・中間・事後の段階において成果が期待できないものについては廃止する等により、労働政策の企画立案に直接貢献するものに一層の重点化を行い、業務の縮減を行ってはどうかという方向に至りました。
 第二に、この法人には研究員のほかに内外の労働に関する情報や労働政策についての情報を収集・整理するという調査員の職種がございます。厚生労働省から提出された資料を見ましたところ、調査員の成果物の中には外部の研究者等の成果物と類似しているものがあると思われる。あるいは調査員の中には研究員と共同して調査研究を実施している方もおられますが、調査員の成果が明確になってはおらず、調査員の存在意義が分かりにくいものになっている。こういった点について問題意識を持って検証及び議論を行いました。その結果、調査員の位置付けや研究員との役割分担を改めて検討し、徹底した業務の見直しを行い、要員も適正規模に修正するという必要があるのではないかという方向性に至りました。
 第三につきましては、厚生労働省から提出された資料を見る限り、組織構造として専任職員がいない課が存在していることです。また、職員の方の構造を見ると非常に管理職の方が多いと感じられ、ほかの複数の組織のイメージから受けるいわゆる三角形的な人事構造ではなく、課長補佐以上の方が非常に多いと思われる。この点に問題意識を持って検証及び議論を行いました。その結果、職員の構成を含めた組織運営体制の徹底的見直しが必要ではないかという方向性に至りました。今後、厚生労働省との調整を通じ、勧告の方向性が決まっていくことになると思いますが、厚生労働省におかれましても、我々のワーキング・グループでの議論の趣旨を十分に理解していただけるということを期待したいと存じます。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは本件につきまして御意見、御質問などがございましたら、どなたからでも御発言をお願いしたいと思います。それでは梅里委員どうぞ。
【梅里臨時委員】  第1ワーキング・グループの国際協力機構について教えていただきたいと思います。説明の中で定員を国内から在外にシフトという話がありましたけれども、これは国外の人員が不足しているということが前提になっているのでしょうか、それとも国内・国外のバランスが悪いからということなのでしょうか。純粋に国内の人員が余っていなかった場合でも、国外の定員を増やすべきという意味でこういうことを書かれているのかどうかを教えていただきたいです。
【河野臨時委員】  実際のところ、国内定員が余っているかどうか、厳密にいうと外部からは明確にはわからないわけです。しかしJICAの性格から推して、一般の理解でいえば、JICAという海外で事業を展開する組織が、国内と国外の定員の割合について長年固定された状況のまま活動しているということについて、私どものワーキングのみならず、ほかのところでも批判されているところでもありまして、国外・国内の定員の見直しということについて取り上げてこのような議論になったわけです。
【山谷臨時委員】  補足をいたします。2003年10月にJICAが独立行政法人になったときに、理事長に就任された緒方さんが、在外機能の強化ということで、国内の要員を外部にシフトするという方針を示されました。そのときの国内と在外の定員の割合は2対1だったのですけれども、今現在は3対1になっております。これは組織的に見ても変ではないかということで、政権交代前の自民党時代から、政府・与党における議論が随分ありまして、宿題となってございます。それをもう一度ここで念を押したということです。
【阿曽沼分科会長】  よろしいですか。ほかにございますでしょうか。河村委員どうぞ。
【河村臨時委員】  私が所属しております第5ワーキングの労働政策研究・研修機構のポイントの3番目の点について少し意見を申し上げさせていただければと思います。「組織の再編とあわせて、職員構成も含めた業務運営体制の見直し」と書いてあるのですけれども、事務局、縣主査からも御説明してくださったように、この機構の場合には、分科会ヒアリングのときにも話が出たかと思いますけれども、非常に頭でっかちの構造になってしまっていて、年齢の高い方、管理職の方が多く、管理職しかいないような部署がたくさんあるという組織になってしまっている。つまり、この機構がミッションを十分に達成して力を発揮する上でもどうなのかというような状況になっているのではないかと思います。
 ただ、これはほかの独法にもかなり共通するところがあるのではないのかと思うのですが、政独委も含めて、独法等の改革の議論も今までいろいろなされてきた中で、人件費はカットしろ、業務は効率化しろということを言われてきて、では具体的にどう対応するのかというと、例えば本省との人の行き来であるとか、新規採用の抑制であるとか、とれる対応は実際に限られてしまってきているのではないかと思うのです。ですから、恐らく労働政策研究・研修機構も、過去に同じような経緯があって、ある意味では外からの指摘にも対応して進めてこられた結果、今のような構成になってしまっているのではないかということが考えられると思います。
 例えば民間企業であれば、人が余剰になってきた、あるいは、何かの業務を大きく見直さなければいけない時期が来たときには、割り増しの退職金を用意して早期退職の制度というのを導入するということがよくあると思うのです。もちろん民間と独立行政法人とは違いますけれども、トップのマネジメントで運営することが前提の独立行政法人においても、こういう方法が場合によっては考えられても良いのではないかと思います。時の流れとともに政策のニーズがどれだけ変わってきて、本省からおりてくる指示が変わってきても、人は動かせません、新規採用の抑制しか手がありませんでは、硬直的な組織運営から全く脱することができないのではないかと思います。ですから、そういうことも含めてぜひ御検討をいただけないかという意味を込めて、ここの御指摘をさせていただいているという次第です。
 今申し上げましたように、ほかの法人でも恐らく似たようなことになっているところというのはあるのではないかと思うのです。事務局に、独法で早期退職制度を設けることができるのかということをお尋ねしましたら、実際に国立美術館などで導入されている例もあるそうで、できないことではないのです。そうであれば、どの程度うまくいくかということは分かりませんけれども、そういった方法も使いながら、人件費も年齢の高い方から削減し、その分、今度、若い方を新規採用することができれば組織の中の構成のバランスもとれるでしょうし、業務の継続性というものに配慮することもできるでしょうし、効果があるのではないのかなと思われます。第5ワーキングで出ているこういうことなのですけれども、ほかの法人でもこれから御検討いただくことがもしできればいう意味を込めまして、このような指摘をしております。
 あわせて申し上げたいのが、先ほど第4ワーキングの住宅金融支援機構で最初の指摘としてあげられた、フラット35の金利が高過ぎるというところですね。これは前々から指摘してきたというか、ディスカッションの対象になってきたところで、ぜひこの指摘を入れていただいて、勧告の方向性に盛り込んでいただければと思うのですけれども、例えば「事務運営経費部分」とお書きになってらっしゃるところ、平たく申し上げるとこの機構、もともとは住宅金融公庫で直接融資をやっていたわけですよね。その時代にたくさん人が必要だった。そういう方々が引き続き残っている。だけれど、その方々を、直接融資の業務から撤退になったからといってすぐに減らせるかというと、難しいですから、恐らく、この法人も労働政策研究・研修機構と似たような問題に直面してらっしゃるのではないかと思うのです。そういうことも考えて、ぜひ勧告の方向性に盛り込んでいただきたいと思いますし、同じような問題が、ほかの法人とかにもあるのではないかと思いますので、そういった意味で、もし可能であれば検討に含めていただければと思っております。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。幾つかのご指摘、ご質問は独立行政法人において、どうリーダーシップを発揮すべきか、もしくは人事・給与というものの組織内での決定変更の自由度をどう持つかなど、組織のトップとしてどれだけリーダーシップを持って組織の中で日々運用できていくのかという本質的な問題の御指摘も含んでおります。この点に関して何か事務局の方からコメントがございますか。
【北川評価監視官】  早期退職に割り増しの退職金を付けるというのは、基本的には長の経営裁量の域、経営判断の域ではないかと理解しておりますが、運用上での横串的な制約や統制があるのか否かについて、現時点ではお答えできる準備がありませんので、今後、検討していきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  他のワーキングでも同様の御議論などございますようでしたら、事務局ともよくご相談ください。ほかに何か、御意見、御質問ございますでしょうか。大体よろしゅうございますか。
 それでは、当分科会といたしましては、本日の審議を踏まえまして、各ワーキング・グループで引き続き御議論をいただきまして、独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性につきまして取りまとめを進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは続きまして、平成22年度業務実績評価についての議論に移りたいと思います。まず事務局から報告をしていただきます。
【萬谷調査官】  では、説明させていただきます。年度評価の二次評価意見に関しましては、とりあえず各ワーキングで御議論いただいている中間状況報告という形で報告させていただきたいと思います。資料2というのがございますが、まず資料(1)「構成案」、全体の構成案なのですけれども、基本的には昨年と同様の形にしております。最初に通知文がつきまして、別紙1というのが本体になります。そして、共通意見と個別意見という構成になっておりまして、別紙2・3及び4については、推奨事例的な事例も、参考事例として整理をしようと考えております。最後の別紙5については、平成23年3月11日に震災が起きましたので、それに関して独法でどのような業務上の影響があったのか、あるいはこの対応のためにどのような被災者支援あるいは復興・復旧対策に取り組んでいるのかというのを今整理しておりまして、各省にも御協力いただいて事実確認等々しているところですが、各省にも参考になるという判断の下で、参考送付させていただきたいと考えております。
 それで、昨年との大きな違いといいますと、別紙1の「共通意見」のところですが、昨年については保有資産、内部統制について実態把握もしながら重要事項と位置付けておりましたので、保有資産と内部統制を共通事項としておりました。今年については震災の影響等もあり、基本的にはフォローアップを中心にチェックをしていくというスタンスに立っておりますが、内部統制については引き続き共通的に意見を考えております。
 それと基本方針は、先ほど説明の中にありましたが、昨年の12月に閣議決定しました基本方針のフォローアップを、どちらかというと念押し的に一言言っておこうということです。
あとは震災関係についてです。
1枚めくっていただきまして概要の方なのですけれども、資料(2)になりますが、通知文は例年のようなことを考えております。共通意見の内部統制については、後ほど平野から内容について説明させていただきます。基本方針の対応のところなのですけれども、こちらについては、こういった政府方針についても評価の中でフォローアップし、推進するというのも一つの評価の役割だろうという認識の下で、今年の評価の内容を見ましたところ、おおよそ、問題になるものについてはフォローアップされていました。来年度の評価においても、平成23年度措置事項についてどうなっているのかというフォローアップについて、引き続ききちっとお願いしますということを念押し的に言ってはどうかということで考えております。
 「その他」と書いております震災関連のところですが、こちらにつきましても、今年は平成22年度の業務実績が対象であり、震災のあった3月11日から約2週間の業績について対象になるということでありますが、来年度の評価につきましては年度初からいろいろ影響があると思われます。延期になったり中止になったり、目標についてもなかなか困難性を伴うような業務もあると思いますので、来年については震災関連の評価事項や事象に出くわすことも多々あるということから、業務実績が低下したものや業績が芳しくないものについては、それが本当に震災の影響によるもののみの話なのかどうなのかというのを、評価をする前に事前にきちっと精査することが必要ではないかということと、復旧・復興対策についても、それが本来の法人のミッションなのかそうでないのかということで、評価の軸もいろいろ変わってくるだろうと考えております。ですので、事前にそういったことをきちっと見極めた上で評価に入るということが重要ではないかということを、留意点として一言二言言及してはどうかということで考えております。
 個別意見に関しましては、次のページ、資料の(3)になりますが、二次評価については各ワーキングにおいて、事務局から案として御提示したものについてどのような状況なのかということを御参考までに載せております。内容については事務局の方で便宜整理したものということで御理解ください。
 まず一つ目のところですが、昨年の二次評価あるいは勧告の方向性で指摘した事項について、今回の一次評価の内容を見たときに、まだ不十分な点はあるということです。その中で、保有資産に関係するものと、業務全般に関係するものとに分けております。保有資産に関係するものということになりますと、例えば昨年度の二次評価意見で、施設の利用率に関して利用機関数のみを評価の軸としておったのですが、利用日数もきちっと精査・検証した上で評価すべきではないかというものに対して今年度の評価の内容を見たところ、引き続きその日数についての考慮がされていなかったというものとか、あとは、その他の業務のところですが、こちらの方は特許の関係で、例えば、経費がかさんでいるので効率的・効果的な管理をしなければいけない、ついては事前の審査をきちっとやるということが重要ではないかということであったのですが、それがされておらず、それについての指摘がないというところです。
 (B)のところですが、こちらは例年よくあるものですけれども、評定・評価の根拠が不明確あるいは不十分なものということです。根拠が不明なもの、目標値自体の設定がされていないけれども、なぜかA判定になっているもの、昨年と今年とを比べて目に見えた業績が上がっているようには見えないのだけれども、なぜか1つランクが上がっているものといったようなものです。それと、評価の視点・指標の関係につきましては、これも例えば事業の目的に沿った指標をきちんと設定していない、抜けているといったようなものです。
 次の(C)のところですが、業務運営の改善を促すような評価を行うべきと。こちらは、どちらかというと、法人の方で改善すべき運営の実態がありながら、それを改善せよというような指摘をしていないというものです。特に財務上の問題のところですと、今年の会計検査院の指摘等々、運営費交付金の算定の根拠になる自己収入が実態と乖離していたという指摘等々があって、それに関係した指摘等について現在、検討の俎上にのっているということです。
 最後に震災の関係ですが、法人自体が被害を受けた関係のものと、震災対応、復興・復旧関係のもの。被災のところについては、先ほど共通意見で一言二言言っておこうというところがありましたけれども、本当に震災の影響のみにより目標が未達だったのかどうなのか。そこら辺に疑義がある案件があるというようなところでございます。
 いずれにしましても、括弧内の件数につきましては今まさに精査中ということですので、今後、事実確認を含めて先生方の議論も深めていただいた中で当然増減するということで、御参考までに見ていただければと思います。
 最後に資料(4)でございますが、今回、別添5として考えておる震災関係の整理表なのですけれども、法人ごとの表にして整理をしていまして、今は事務局の中で精査したものについて抜け漏れ等があるかどうか、誤解があるかどうかということで各省に照会しております。それを整理しているという状況でございます。
 それでは内部統制の関係について平野から。
【平野調査官】  ただいまの資料の2ページを開いていただきたいと思います。内部統制の充実・強化につきましては、平成22年3月に前樫谷分科会長代理、梶川先生や鈴木先生に御参加いただいて、独立行政法人における内部統制の定義等を明らかにした「独立行政法人の内部統制に関する研究会報告」を取りまとめていただきましたが、これを受けて昨年度の二次評価においては内部統制というのが重点事項となったところでございます。最初の評価であったため、昨年度は内部統制について、評価結果において言及されていない評価委員会に対して評価結果において言及するように指摘いたしました。今年度はフォローアップということで、昨年度評価結果において言及されていなかった評価委員会の評価のフォローを実施しているところであります。フォローアップについては現在事実確認中でございますけれども、評価結果において言及することについては、府省評価委員会の中には評価書等の様式自体を変更するなどして対応がとられており、評価結果に言及すること自体はほぼ定着しているという感じがしております。それでもまだ言及されていないところは、今年指摘することを考えております。
 今後の評価については、評価内容に踏み込む段階に来ており、これまでの研究会報告や二次評価結果をもとに主な留意点を例示することを考えております。主な留意点につきましてはここに書いてありますように、組織にとって重要な情報の把握がされているか、ミッションの周知徹底、各職員が職務の重要性を認識しているか、トップと現場の意思疎通が十分行われているか、体系的な研修等が実施されているかといったことです。更に、法人のミッションの達成を阻害するような要因、リスクの把握・対応等がきちっと行われているかどうか。こういうことを留意点として例示できればと思っております。
 昨今、独法の様々な不祥事が起こりまして、原因究明や対策のために設けられた第三者委員会等の報告等を見ておりますと、原子力関係の方でも言われておりますけれども、やはり不祥事発生の背景には法人の組織風土などがあり、組織風土改革というのが重要ではないかということが言われておりまして、そのような点にも着目した形で、こういう留意点などを例示していければと思っております。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは本件につきまして、御意見、御質問などございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。どなたか何か御質問はございますか。それでは河村委員どうぞ。
【河村臨時委員】  すみません。震災関連の評価のところで幾つか確認をいたします。まず資料2の(2)、共通意見のところで新規として「その他(震災関連)」というのがありますが、これはある意味、来年度の評価をどうするかということを言っておくということで、萬谷調査官から御説明があった、法人別のシートを作ってくださっているというのは、平成23年3月11日からの2週間の分についての22年度中の業務への影響等について整理されているということでしょうか。
【萬谷調査官】  平成22年度中に限らず、現在までという意味です。
【河村臨時委員】  平成23年度にかかる部分についても整理をされているということですね。分かりました。
 その上でお尋ねしたいのは、共通意見のところで書いてらっしゃる内容を拝見すると、震災の影響で業績が低下した業務や、被災者支援、復興・復旧対応に関する評価に対して留意すべき点ということで、もちろんこういう点、考慮をしなければいけないと思うのですが、以前の分科会等でも議論をしたことがあったかと思うのですが、震災の影響を受けて中期目標、中期計画自体を変更する、あるいは実際に変更したというような動きがどの程度あるのでしょうか。そういう変更がされていれば、震災後の状況変化に合った一つの物差しが既にあって、その新たな評価軸に対して評価を行うということになるのでしょうし、もし変更がなく、イレギュラーな形で評価を行うということになると、震災対応であれば何でもOKみたいなことになってしまうのも、ちょっとどうかなと思いまして、そのあたりの実態等をお教えいただければと思います。
【阿曽沼分科会長】  事務局の方からどうぞ。
【萬谷調査官】  すみません。その関係について御説明から抜けておったのですけれども、今、各省にこの別紙5の内容の事実確認とともに、今回の震災に関係して個別法の改正、中期目標、中期計画、年度計画等々、枠組みの変更について今まで行った実績と今後の年度末までの予定について照会中でございまして、今週中には全て集まるかと思われますので、取りまとめましたら先生方にまず御報告をさせていただこうと思っております。今、事務局で業務実績報告書や一次評価書を見る限りでは、ごく限られたところしか中期目標の変更はされていないと思われます。一番多いのは個別法です。新たな貸付業務をやるので、個別法の業務の範囲から飛び出る、そこで法改正に連動して中期目標、中期計画を変更するというものとかです。あとは施設が被災した関係で復興・復旧にお金がかかり、予算の枠組みが変わるとなると、中期目標に金額が書いてありますので、その変更を伴うかもしれないという程度のものしか今のところは見当たっていません。ただ、申し上げましたとおり、各省に現在、照会しておりますので、その状況も踏まえてまた先生方に報告させていただこうと考えております。
【阿曽沼分科会長】  よろしいですか。河村委員どうぞ。
【河村臨時委員】  評価軸が新しくなるかどうか、その評価の仕方についてはどうお考えですか。
【萬谷調査官】  中期目標変更の状況を見てから、来年度評価に向けてどうされるのかというところは確認しようと思うのですけれども、これが全体を示すのかどうかわかりませんが、今年度の評価を見ていますと、目標を変えずに評価されています。震災ということはありますけれども、震災以外の様々な災害や事故が生じたときにも目標を変えていないので、達成しなければBならBという形で単純に評価しています。その上で、こういう事情がございますねとコメントや所見を述べているのが多いように思います。目標を変えずにBなのにAにするというのは、見た限りではございません。
【阿曽沼分科会長】  事務局からの御説明の中でもありましたように、対応が本来のミッションなのかどうかということが非常に重要なチェックのポイントになる。ただ一方で、独法は業務等が重複していたりふくそうしているということもございますので、そういった意味では、新たな業務、ミッションというものができたときに、それが本当にふさわしいのかどうかという面も含めて評価をしていただくということも必要なのではないかと考えます。ほかに何かございますでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 それでは当分科会としましては、本日の委員の皆様の御意見を踏まえながら各ワーキング・グループにおいて平成22年度業務実績評価に関わる意見の取りまとめを進めてまいりたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 それでは続きまして、事務局から行政刷新会議の独立行政法人改革に関する分科会における独立行政法人制度の見直しについての審議状況を報告していただきます。よろしくお願いします。
【北川評価監視官】  お配りさせていただいております資料3を御覧ください。前回の分科会でのヒアリング以降の追加資料として、(7)、(8)を追加しております。刷新の分科会の流れでございますが、9月21日のキックオフ後、来年の通常国会への法案提出を目指して、年内目途に親会議であります行政刷新会議に報告をするということで、ほぼ週1回ぐらいのペースで開催されています。その過程で各省・各独法からのヒアリング等もございまして、一つは研究開発法人の新たな制度との関係ということでございますが、内閣府の科学技術担当の大串政務官と事務局とのヒアリングがございまして、新たな国の研究開発機関については、内閣府で制度設計をしているということを前提としつつ、研究開発法人について成果を最大化すること、あるいは非常に専門的であり成果の捕捉が長期的で難しいということ、法人の自主・自律性や弾力性ということの名の下に財政規律や組織の規律が緩み過ぎるようなことのないようにという観点からの意見が刷新側から幾つか出されました。また、研究開発法人はいわば実施機関でありまして、国全体としての科学技術政策の戦略の司令塔をしっかりと築いていただき、その司令塔の下でしっかりと相応の統制を図っていただきたいということが言われております。
 今後の方向性としては、新たな国の研究開発機関の制度設計等、特に司令塔の在り方については内閣府の科学技術担当で検討し、現在の研究開発法人については、その統廃合を含めて刷新の方で検討した上で、年内に向けて突き合わせていくということになっております。
 それから、制度改革の過程の一つの重要なプロセスとして、連合及び公務の労組からのヒアリングも行われております。組合側としては、こういった改革自体に反対するものではないが、国民に対する行政サービスの質の確保と、雇用や法人に勤める職員のモラールについての配慮をお願いしたいということです。そこは組合側との十分な交渉協議というのを経ていただきたいという要望が申されました。
 そのようなヒアリングを挟みつつ、制度設計についても議論しておりまして、制度設計の部分は主に4パーツございます。一つは新たな法人制度における目標・評価の在り方、二つ目が財政規律の在り方で、ここまでは(7)、(8)の資料にありますように分科会で一度議論されました。次回は、新たな法人における組織規律の在り方、組織内部のガバナンス体制ですとか、監事の権限や責任の明確化といった話です。それから法人に何らかの審議機関を置く類型についての検討と、透明性・情報公開についてです。会計基準や役職員の給与の公表ということも含めてでございますが、そういった透明性の話を議論し、次々回、すなわち11月中旬以降、制度論を通しで議論し、あわせて個別独法の統廃合についての議論の状況も取りまとめて、報告書の案を作成していく。そして、11月後半から12月初旬にかけて報告書の取りまとめ作業を行っていくという状況であると聞いております。
 中身でございますが、私どもに特に関係が深い点について御紹介いたします。資料3の20ページを御覧いただきますと、研究開発法人、文化振興法人、資金管理法人などいろいろな類型があります。こういった事務・事業の特性に応じた何らかのグルーピングを念頭に、それぞれに応じた設計というのを考えていくというのが基本スタンスです。ただ、この法人の類型というのは、これで固定化されたものではなく、どれにも属さない法人ですとか、複数の類型にあてはまる法人もあろうということで、まだ一つのたたき台であると認識しております。これを踏まえまして、評価に関してですが、22ページを御覧いただきますと、【見直しの方向性】として、法人の評価をする主体ですけれども、現行制度では各府省の評価委員会が位置付けられておりますが、これを主務大臣に変更することとしてはどうかという案が出されております。主務大臣の責任と名の下に一貫したPDCAを回すということです。現在は府省評価委員会が評価し、中期目標の設定や事務・事業及び組織の見直しは主務大臣が行っています。このつながりがあまり明瞭ではないというのもありまして、主務大臣に変更することとしてはどうかとされています。
 23ページでありますが、評価主体を主務大臣にする場合は、合わせてお手盛りということにならないような措置が必要であろうということです。評価の中立性を確保し、恣意性を排除することが重要であろうということで、23ページの上の方に(1)、(2)、(3)とありますが、こういった措置が必要であろうと書いております。23ページの中ほどですが、何らかの第三者機関を設置し、主務大臣をチェックする役割を持たせようという手法が提案されております。この第三者機関は、主務府省に置くのか、制度所管府省に置くのか、両論あります。それぞれ留意点がございまして、分科会で議論になりましたが、主務府省に置くべしという明示の御意見はなく、制度所管府省に置くという意見が大勢でありました。
 それから26ページ、新たな制度設計における評価の基準についてです。二次評価の作業を政独委の各ワーキングで行っている際にも御議論になることでありますが、評価の基準が法人や省によってまちまちであるということです。A、B、Cの付け方、分布のさせ方、その当てはめの理由といったことについて統一的な対応が確保されていないということで、下の方の【見直しの方向性】において、一つ目の○で「制度所管府省において、各府省横断的に評価基準を統一するガイドラインを示すこととしてはどうか」という論点が示されております。
 それから29ページ。中期目標ですが、定性的で曖昧なものが多いということです。目標を与え、達成度を評価するという法人制度の根幹的な枠組みが十分に機能しているかということで、【見直しの方向性】として、「目標設定については制度所管府省が改めてガイドラインを作成し、各省に示すこととしてはどうか」という御意見が出されております。
 かいつまんでの御説明で恐縮でございますが、そういった議論がなされておりまして、こうしてはどうかという論点に対して明示的に反対する御意見はなかったように記憶しておりますが、実際にどういうものを作っていくのかというのは、これからの議論ということになっております。その状況をよく注視し、随時、御報告申し上げていきたいと思います。御質問等ございましたら、いつでも事務局にお問い合わせいただければ、わかる範囲でございますけれどもお答えをさせていただきたいと思っております。以上です。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは本件につきまして皆様方の御意見、御質問などございましたら、どなたからでも御発言をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。それでは、河野委員。
【河野臨時委員】  ただいまの御説明の中で、研究開発法人の改革ということに関わって、「司令塔」という言葉があったのですが、司令塔というのは、各研究開発法人がそれぞれの研究分野で司令塔の役割を果たすように機能強化するのか、あるいは研究開発法人を束ねた、まさに一国全体の司令塔といいますか、そういうものを念頭に置いた議論が行われているのか、どちらの方でしょう。
【北川評価監視官】  それは後者でございます。法人に限らず、我が国の科学技術政策をどういうふうにかじ取りしていくか、世界のトップを目指してどういう政策を組んでいくかについて、国全体として一つの司令塔があり、その政策を実施していく中で、実施機関としての各研究開発法人がある。そういったものを束ねた、政策全体の司令塔と理解しております。
【河野臨時委員】  ということは、省庁を超えた非常に高度な組織を念頭に置いているということですね。
【北川評価監視官】  はい。
【河野臨時委員】  ありがとうございます。
【阿曽沼分科会長】  それはこの資料3の26ページに【見直しの方向性】として書かれているということで理解してよろしいでしょうか。
【北川評価監視官】  そうですね。26ページの下のところでございます。研究開発法人でいえば、新たな司令塔の下に一つの体系立った世界を作り、そこで、特有の評価ルール、スキームを作っていこうということであります。総合科学技術会議を改組して設置する予定の科学技術・イノベーション戦略本部(仮称)というのがまさに司令塔になるということです。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。ほかに何か。縣委員どうぞ。
【縣臨時委員】  現在の独法評価制度が成立して11年になると思いますが、その経験を踏まえて、どの程度ドラスティックに制度全体を変えようとされているのか、それからそれを検討する上で、今伺った計画が、どの程度の役割を果たせるのかということについて見通しをお聞かせいただきたいと思います。例えば現状として大ざっぱに言えば、中期目標、中期計画というものを中心にして各省が事後評価に基づいて評価を行ったものを二次評価する、あるいは勧告の方向性を出して主務大臣が中期目標を立てるという統一の制度を、機能の違う100以上の法人全て当てはめているということにいろいろな問題点があるという認識は、多くの委員が共有していると思います。それを踏まえた上でどの程度ドラスティックな見直しを行うのか。また、この制度は発足以前に岡本委員を中心として大変な御尽力があって、かなり時間をかけて作ってきた制度であると理解しています。制度改革をするにしても、その期間や制度発足後の約10年間のことを踏まえて案を作っておられるのか。行政刷新会議の方ではかなり最近になって議論を始めているように見えるのですが、そうした時間の流れの中で企図している制度というのが奏功するような形で構想できるのかということについて、見通しをお聞かせいただきたいと思います。
【北川評価監視官】  どの程度ドラスティックにということでございますけれども、確かに法人を類型分けしますが、中期目標・中期計画を作り、中期で目標管理していくということを主務府省任せにせずに何らかの第三者機関で牽制していくという枠組みは継承されておると思います。ただ「独立行政法人」というひとくくりの法人制度はやめますということで、それをドラスティックというかどうかですね。この中期目標管理を、どうしたらもっと機能するように実効性を上げられるかという点については、政独委の10年間の経験を刷新の事務局にも申し上げておりますし、また、刷新の分科会には政独委の委員の方もたくさん入っておられますので、そうそうずれはないと思っております。やはりスタートの中期目標自体をより明確に書かないと始まらないという認識は政独委から発したものであるところもございますし、評価基準についての斉一性を図っていこうという方向性についてもそう違和感はないと感じております。9月に立ち上げた分科会でこれだけの大改革について年内に報告をまとめるという運び・設定の仕方については、いろいろ御意見もあろうと思われますが、その点については刷新の方でお考えになることでございます。
【阿曽沼分科会長】  刷新会議の分科会に御参加されている立場から、岡本委員、何かございましたらどうぞ。
【岡本臨時委員】  縣先生が今おっしゃった、大きな制度改革をこの短期間に行えるかということですけれども、これは多分非常に難しいなと正直ベースで思うのですね。他方で、やらなければいけないタイミングというのは、実は震災前からずっと予定はされていたように我々も聞いておりまして、そこはあまり変わっていなくて、その上で来年の通常国会に法案を提出するということです。ですから始まる時期は確かに公式的には遅くなって我々は参加したのもつい最近なのですが、従来からいろいろ検討はされておられたように思います。
 それで、どういう方向性に向かっていくかというのは、やはり縣先生がおっしゃったように、一つは法人類型がいろいろある中で一つの制度でいいのかどうかというのが大きな問題意識です。これは今検討中でして、落としどころはどこになるかというのはこれからの話なのですが、幅広に検討し、11ぐらいの法人類型を俎上にのせて議論が行われているところです。
 それに関連して、目標管理が恐らく類型ごとに違うのではないかという問題意識がありまして、それをどうするかというのが一番大きな問題です。これは答えがあるわけではありません。その中で、研究開発というのは果たして今の目標管理でなじむのかという大きな疑問を、我々を含めいろいろな関係者が持っておるところなので、これをどうするかという議論が一つあるかと思います。他方で主務大臣の位置付けについて、中期目標を設定する時にもう少し独立行政法人を政策手段として位置付けて、大臣の責任というものに重きを置いた方が良いのではないかという議論はあります。したがって今回、今の独立行政法人通則法よりも事前管理、事前の責任とそれから政策評価をもう少しリンクさせるような方向で議論が進んでいくのかなと思っています。
 このような、いろいろな議論が行われていて、果たして年内に制度がまとめられて1月に法案を出せるのかというのは、非常に厳しい状況の中で頑張ってやっているということで、先ほど週に1回の頻度で開催されているとの御説明がありました分科会以外にもワーキングが毎日のように開かれておりまして、玉井委員も含め、我々は月曜日から金曜日まで独立行政法人ばかり議論しているというような状況がここ一ヶ月続いてきたというような状況であります。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。ほかに何か御意見や御質問等、ございますでしょうか。縣先生どうぞ。
【縣臨時委員】  個人的には、この制度は確かに目標を最初に設定するのですが、事後評価でいろいろな形のパフォーマンスを統制していこうという発想で作られたように大枠理解しております。しかし、施行されてみますと、事前の統制も強いし、中間も強いということで、理念は必ずしもそのまま体現される必要はないということではあるとしても、そうしますと今回制度変更されるとすると、そうした評価とパフォーマンスの関係などについても考え方として変更されるという理解でよろしいでしょうか。それから、評価とパフォーマンスのバランスというのは非常に重要な問題だと思います。評価をしなければパフォーマンスは上がらないかもしれませんが、評価をし過ぎてもパフォーマンスが下がるということは、いろいろなところで第三者として実感しているところでありまして、この評価とパフォーマンスの関係をどう調整するのかということを、今度設計を変更されるのであればぜひ重視していただきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。岡本委員、何かコメントございますか。
【岡本臨時委員】  それは十分理解しております。また御意見等賜りたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かございませんでしょうか。それでは私から一言、29ページで、中期目標設定における客観的な視点の確保ということが明示されているということは意味のあることと理解します。政独委においても評価において中期目標そのものに対してそもそも多くの意見があるにも関わらず、政独委の任務からすると立場上意見しがたいといという感があり、多くの委員が隔靴掻痒の感があったと理解しています。その意味で、評価の原点、源流である中期目標の設定段階で客観的かつ合理的な目標設定が可能となることが非常に重要であると思います。それから中期目標そのものが、項目過多となり、良く見ていくと自身の努力外のところで良い評価となるなどの、どちらかというと救済項目が多くあり、何に重点があって、どういうプライオリティー設定がされているかがなかなかわかりにくい点が散見されます。小項目毎にA、B、Cと評定がついても、全部足してみると全体としてAだったというような、非常に曖昧な評価の部分もあったのではないかと思いますので、この点について議論が活発化してくるのが必要なのではないかと考えています。
 それからやはり組織というものはアイデンティティーを持つということが非常に重要で、規律・統制・自律・独自性がその組織の責務に照らしてバランスが十分に取れているか、そしてそれを軸に組織一つ一つがアイデンティティーを持って活動できるかが重要であります。組織としてのアクティビティーの質とか、パフォーマンスの向上といったことが本当に図れていくのかという点も、今までの評価の過程で疑問が呈されてきたのではないかと思います。そういった点も踏まえながら、活発な議論が望まれるのではないかなと思っております。事務局の方としても、刷新会議の事務局と常に意見交換をしながら、この約10年間の議論の経験を踏まえて、いろいろ御意見を言っていただければと思っております。ほかに何かございますでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 行政刷新会議における議論というのは、独立行政法人という法人格自体を抜本的に見直そうというものでございます。どのような類型のものを想定して、それぞれの類型においてどのような目標管理や評価の仕組みを構築していくかといったところから、本当に白地で議論されていってほしいと思いますし、その様に進んでいくのではないかと期待しているところでございます。そのような中で現在、政独委が果たして、各府省、各法人を中立・公正な立場でチェックする機能というものがどうあるべきかといったことも議論をされているところでございます。議論を行っている行政刷新会議の分科会メンバーには富田前分科会長をはじめ、多くの関係者、委員も参加してくださっています。また本年1月に本分科会が行った今後の独立行政法人の評価の在り方についての議論概要も、事務局から刷新会議の事務局に提出されていると聞いております。政独委のこれまでの経験を踏まえて、得られた問題意識を多く共有できるようにぜひ努めていただきたいと思っております。
 今後の議論の方向性につきましては、引き続きこの委員会でも注視してまいりたいと思いますので、また御意見がございましたら活発な意見交換ができればと考えております。
 それでは次回の政独委の開催について、事務局から御報告ください。
【北川評価監視官】  次回、政独委の親委員会との合同で、12月9日金曜日15時半から、この総務省内の会議室で開催することを予定しております。今日、中間報告をさせていただきました勧告の方向性と二次評価意見を最終的に決定できるよう努めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。
 
 

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