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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(12月12日開催)議事録

日時

平成23年12月12日(月)10時00分から12時15分

場所

中央合同庁舎第2号館 総務省第1特別会議室

出席者

(政策評価分科会所属委員)
谷藤悦史分科会長、藤井眞理子委員、森泉陽子委員、小野達也臨時委員、門脇英晴臨時委員、城所幸弘臨時委員、佐藤主光臨時委員、高橋伸子臨時委員、立花宏臨時委員、田中常雅臨時委員、田中弥生臨時委員、堤盛人臨時委員、中泉拓也臨時委員、森田朗臨時委員
(独立行政法人評価分科会所属委員)
河野正男臨時委員
(財務省)
大臣官房文書課政策評価室古川室長
(厚生労働省)
田原政策評価官
(農林水産省)
大臣官房評価改善課金丸課長
(総務省行政評価局)
川端総務大臣、新井行政評価局長、井波官房審議官、上村官房審議官、三宅総務課長、山内政策評価官、永留政策評価審議室長

議題

目標管理型の政策評価の改善方策に係る試行的取組の実施状況等について

配布資料

会議経過

【谷藤分科会長】  おはようございます。時間になりましたので、ただ今から政策評価分科会を開会いたします。
 本日の政策評価分科会には、川端総務大臣に御出席いただいております。初めに、川端総務大臣から御挨拶をお願いいたします。
【川端総務大臣】  皆さん、おはようございます。総務大臣の川端達夫です。本日の会議の開催に当たり、一言御挨拶申し上げたいと思います。
谷藤分科会長を始め、皆様方には御多忙の中、精力的に審議を進めていただいておりまして、日頃の御活動に対して改めて御礼を申し上げたいと思います。
 政策評価は、申すまでもなく、各府省におけるPlan-Do-Check-Action(プラン・ドゥ・チェック・アクション)という、PDCAのマネジメントサイクルを有効にしっかりやっていただくということと同時に、国民への説明責任を果たしていただくことに対して、個々に、あるいは全体的にいろいろな角度から評価をしていただいて、しっかりとその機能を果たせるようにということで、国民に対して信頼される行政を進めるために大変重要なものであると思っております。政策をしっかりやっていくということの評価を行うためには、政策の目的と手段の対応関係を改めてはっきり明示するとともに、あらかじめ政策効果に着目した目標を設定することが必要であると思っております。
 また、評価結果等の公表に当たっては、国民にとって理解しやすいものとなるように工夫していくことも大変大事だと思っておりまして、皆様方の御議論は、基本的にその方向に沿って、そういう認識の下にやっていただいていると思っております。是非とも、事後の評価というよりも事前の評価、あるいは目標設定がしっかり行われ、そして、それが国民に対して分かりやすく明示されていくことによって、いい行政が行われることに資するために、しっかりと御議論いただき、評価をしていただきたいと思っております。私としても、さらなる政策評価制度の改善に取り組んでまいりたいと思います。皆様方にはより一層の御指導、御協力をお願い申し上げます。
 簡単ではありますけれども、御挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。川端総務大臣におかれましては、公務の都合により、ここで退出されます。本日は御出席いただきまして、どうもありがとうございました。
(川端総務大臣退室)
【谷藤分科会長】  さて、本日の政策評価分科会では、前回に引き続きまして、「目標管理型政策評価の改善方策に係る試行的取組の実施状況等について」、皆様から審議をいただきたいと思っております。
 初めに、財務省、次に厚生労働省、最後に農林水産省より、それぞれの実施状況等につきまして御説明をいただき、質疑応答を行いたいと思います。
 三つの省が終わった後に、フリートーキングとして、目標管理型の政策評価の改善方法に係る試行的取組の実施状況等を踏まえ、委員より御意見を伺いたいと考えております。
 それでは、財務省からヒアリングを行いたいと思います。本日は、財務省の古川政策評価室長に御出席いただいております。まず、古川政策評価室長から10分ほど御説明をいただいた上で、質疑応答を行いたいと思います。
 それでは、古川政策評価室長の説明をお願い申し上げます。
(財務省着席)
【古川政策評価室長】  財務省の古川でございます。本日は、このような機会を設けていただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 早速ですけれども、資料1「目標管理型の政策評価の試行状況等について」及びその参考資料に基づいて御説明申し上げます。
 まず、資料1の1ページに、財務省の政策評価の概要がございます。財務省では、主要な政策分野全てを対象に評価を実施してきております。まずは、実施計画の内容について、今年度を例に御説明いたしますと、「総合目標」、「政策目標」、「組織運営の方針」からなる39の「政策の目標」を決定しております。
 総合目標等の性格は、点線枠内にお示ししているとおりでございます。具体的な例といたしましては、参考資料の3ページを御覧いただきたいと思います。総合目標としては、例えば、総合目標1として、「我が国の厳しい財政状況を踏まえ、経済成長及び社会保障改革とともに、財政健全化を推進…」といったものがございます。
 また、政策目標といたしましては、例えば、「1−1 重点的な予算配分を通じた財政の効率化・質的改善の推進」がございます。
 資料1にお戻りいただきたいと思います。
 このような政策の目標に関して、政策効果の定量的な把握のため、98の「業績指標」を設定しております。しかしながら、財務省の業務においては、国の財政、税制といった定量的な目標の設定が難しいものも多いという状況がございます。こういったことに鑑みまして、参考指標の設定、定性的な記述によっても対応しているところでございます。
 一方、評価におきましては、 (1)「業績指標等に照らした目標の達成度」から(4)「政策や政策評価システムの改善について有益な提言がなされているか」の四つの観点から評価をして、単に成果だけではなく、所期の効果が上がらなかった場合の要因や改善策の提言なども検討しております。
 おおむね、以上のような内容で政策評価を行っておりますけれども、その活用状況につきましては、2ページを御覧いただきたいと思います。
 財務省では、政策評価の目的を三つ掲げております。(1)「常により効率的で質が高く時代の要請にあった成果重視の行政を目指し続けること」から(3)「職員の意欲の向上、組織の活性化を図ること」でございます。こういった三つを掲げた上で、国民の皆様、職員各層にとって政策評価が有用なものになるように努めているところでございます。
 具体的な活用例は点線枠内に幾つか書いております。省内での活用例の三つにつきましては、前回11月18日の分科会での資料1−3「目標管理型の政策評価の改善方策に係る試行的取組の実施状況等」に記載されているものでございます。
 また、対外的な活用といたしまして、評価書等を財務省の「白書」に代わるものとして、ホームページに掲載するほか、全国の主要図書館などに配付しております。
 先ほど、定量的な目標設定が難しく、参考指標の設定、あるいは定性的な記述により対処しているということを申し上げました。こういったことによって、財務省の評価書は多少ボリュームのあるものになっております。これは、評価書が財務省の白書的なものであるということだと我々としては考えております。財務省での政策評価に関する有識者懇談会においても、これは非常に重要な点であると御評価をいただいているところでございます。
 次に、資料の3ページ、「平成23年度における試行的取組について」御説明します。まず、今回、財務省では、評価書等の作成・公表のタイミングの問題、また、震災対応といったこともございまして、実施計画・評価書は、これまでの形で作成しております。
 新様式の試行といたしましては、従来様式で作成した評価書等をもとに、一部の施策についてサンプル作成を試みております。これは、従来様式で作成した評価書等の一部を新様式に当てはめてみるということを部内的な作業としてやってみたということでございます。
 こういったことも踏まえ、検討を進めておりますけれども、検討のポイントといたしましては、まず、従来様式による実施計画及び評価書においても、新様式で記載すべきとされている要素は、おおむね網羅されているのではないかということがございます。
 しかしながら、従来様式にはない項目、例えば、「事前分析表の指標の選定理由及び目標値の設定根拠」については、新たに記載が必要となる要素でございます。こういったものにつきましては、可能な限り取り入れてまいりたいと考えております。
 しかし、当省の事情として、新様式について、政策官庁としての特性に基づくカスタマイズが必要ではないかと考えているところでございます。端的に事業官庁、政策官庁という言葉を使わせていただきますと、新様式はどちらかと言うと、事業官庁によりなじむものではないかと思います。正直なところを申し上げますと、政策官庁として使いづらいところが若干あると感じているところでございます。この点につきましては、次ページ以降で具体的に御説明をさせていただきます。
 また、これも政策官庁としての特性に関連することでございますが、現在、作成しております評価書等は、白書的な機能を果たしているということもございますので、引き続き作成することとし、新様式は、「要旨」として用いる。つまり、事前分析表、標準様式は、それぞれ実施計画の要旨、評価書の要旨において用いることが適切ではないかと考えているということでございます。この点につきましては、前提として、財務省では実施計画についても要旨を作成しているということがあります。これは、御案内のとおり、政策評価法上は求められていないものですので、自主的な取組でございますけれども、財務省では、実施計画、評価書、双方について、要旨を作成しているということでございます。当然、公表もしております。
 また、財務省におきましては、繰り返しになりますけれども、定性的な記述が重要なものになっており、これによって、評価書が白書としての機能を持つと考えております。政策評価に関する一覧性の確保について考えるに当たっては、このような点も考慮する必要があるのではないかと思っております。
 例えば、事業官庁に合わせて、新様式によって評価書等を作成することになりますと、記載は相当程度簡潔なものになるのではないかと思うわけですけれども、そうなった場合、適切な政策評価という観点から、問題が出てこないか、また、国民の皆様への情報提供という点からどうなのか、こういった点で懸念を感じているところでございます。
 こういった状況で我々として考えておりますのは、評価書等のいわば本体では政策の特性を踏まえ、政策評価について丁寧に記述する。そして、要旨では、一覧性確保ということを考えて新様式を用いて必要なカスタマイズをして、簡潔に記載するということでございます。
 次に、4ページ、5ページで具体的なカスタマイズについて御説明を申し上げます。
 先ほど、財務省では、新様式の試行としては、サンプル作成を行ってみたということを申し上げました。現在、カスタマイズについては、まだ検討を進めているところでございますので、作成したサンプル等の提出は差し控えさせていただきたいと思います。したがいまして、恐縮でございますけれども、資料としては、前回の分科会の資料1−3「目標管理型の政策評価の改善方策に係る試行的取組の実施状況等」の別紙1、2を御覧いただきながらお聞きいただきたいと思います。
 まず、標準様式についてでございます。本日の資料1の4ページの最初の「施策の予算額・執行額等」の欄について、これは、標準様式の上から4段目の欄にございますが、これにつきましては、財務省の政策の特性上、予算事業の達成が政策の目標の達成に寄与する程度が低いものが少なくないことなどから、記載する予算情報は資料に書きました形で簡素化するということでございます。
 冒頭に財務省の政策目標の例として、「重点的な予算配分を通じた財政の効率化・質的改善の推進」を挙げましたけれども、例えば、これについての予算といたしましては、予算編成支援システムの構築に係るものがございます。しかしながら、このシステムを構築すれば、重点的な予算配分といった目標が達成されるわけでは必ずしもないであろうということでございます。予算編成といった作業は、いわばマンパワーで行っている業務であろうということでございます。こういった財務省における予算の位置付け、また、財務省では6月末に評価書を作成・公表しているということで、この時期では当年度予算執行額などは記載できないといったこともございます。こういったことから、御説明いたしましたカスタマイズを行いたいということでございます。
 次に、「施策に関する評価結果」の欄でございます。財務省における政策評価の四つの観点、これは資料1の1ページの1番下のパラグラフの(1)から(4)の観点でございますけれども、こういった事柄が記載できるように変更するということでございます。端的に申し上げますと、標準様式の施策に関する評価結果の欄に四つの仕切りを設けて、定性的な記述を的確に行うということでございます。
 続いて、事前分析表でございます。これはまず、「測定指標」の欄については、政策の特性上、定性的な記述が重要であるという点から、そのような記述をする欄を追加しております。また、指標の「年度ごとの目標値」につきましては、設定が困難な場合が多いということから、このような欄は設定可能な場合のみ記載するということでございます。
 最後に、5ページになりますけれども、事前分析表の一番下の段にございます「達成手段」の欄についても、先ほど申し上げた財務省での予算事業の位置付けを鑑みまして、簡潔なものにしております。また、非予算関連の達成手段については、一つ前のカスタマイズとして御説明しました、「定性的に記述する欄」に記載するということでございます。
 以上が、主なカスタマイズの内容でございます。多少、細かい話でもあり、分かりにくい説明だったかとも思いますけれども、基本的な考え方といたしましては、予算額等の数値を示す欄は、簡潔なものにし、また、定性的な記述を行う場所を確保するといったことでございます。
 私からの説明は、以上でございます。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、各委員から御質問を受けたいと思います。御発言をお願い申し上げます。
 田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  一つはコメントと、一つは質問をさせていただきます。
 今の御説明でも、事業型と政策型とで、官庁では使い勝手がかなり違うということは、予期していたことなのですけれども、よく分かりました。その上で、少し財務省の政策評価の中身について質問をさせていただきます。参考資料の3ページの政策目標1に、財政健全化に向けた目標が書かれております。つい最近、税と社会保障の一体改革ということで、消費税の引き上げを示しましたけれども、これは2015年までの目標で、2020年については、政治の方でなかなか明確にはメッセージを出していないところなのですね。この目標を見て、極めて政治的な判断に近いところの政策だとしますと、一体その省庁で行っている政策評価の結果というのが、どこまでこういったトップの判断に用いられるのか、あるいは影響を及ぼせられるのか、言葉を換えれば、政策評価の範囲がどこまでなのかということをお伺いしたいと思います。
【谷藤分科会長】  お答え願います。
【古川政策評価室長】  まさに御指摘のような状況がございまして、我々として政策評価における目標設定というものを、御覧いただいたような形でやっておるわけですけれども、我々からしますと、外部要因と申しますか、そういったものの影響がかなり強い状況ではないかと思っております。そういう中で政策評価をするに当たりまして、我々として考えておりますのは、外部要因は外部要因としてあるのですけれども、それを踏まえた上で目標に関する仕事の状況がどうであったかということをきっちり整理し、それを分かりやすい形でまとめて、幹部の方にも御覧いただくということではないかと思っております。いろいろな制約要因と申しますか、状況がある中で、政策評価の一つの役割として、そのようなものがあるのではないかと考えております。
【田中(弥)臨時委員】  もう一点、政策評価の結果というのは、総務省行政評価局で集めて国会に提出するということになってはいるのですが、この政策評価の結果は、直接、大臣、あるいは内閣に対して届いているのでしょうか。
【古川政策評価室長】  まず、財務省の中におきましては、毎年度の実施計画、評価書、いずれにつきましても、大臣を含めた政務三役の御決裁をいただくという手続きになっておりますので、そこは手続的にはということになるかもしれませんけれども、しっかり大臣まで御報告することになっております。総務省行政評価局にお渡しして以降の件については、総務省行政評価局からお答えいただいた方がよろしいかと思います。
【谷藤分科会長】  そのほか御意見ございますか。
 山内政策評価官。
【山内政策評価官】  今、お話にありましたとおり、各省が政策評価を行って公表するとともに、私ども総務省行政評価局に送付していただきます。送付いただいたものにつきまして、私どもで取りまとめをしまして、国会で年に一度報告している状況でございます。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。そのほかに御意見、御質問はございますか。
 小野委員、どうぞ。
【小野臨時委員】  今回の目標管理型の政策評価は、事務事業単位でチェックする行政事業レビューとの関係が意識されているわけです。財務省においては、行政事業レビューと目標管理型の政策評価との関係がどうなっているのかお尋ねします。先ほど、目標管理型の政策評価の中に求められている数字の指標以外の部分と言いましょうか、主としてマンパワーによる部分とか、定性的な記述で実績評価を行っている部分があるという政策官庁ならではの御説明がありました。行政事業レビューの今年度のシートなども、指標を中心に事務事業をチェックする格好になっていると思うのですけれども、そのことも含めて目標管理型の政策評価と、行政事業レビューとの関係が財務省の中ではどういうふうに使われているか、整理されているかをお尋ねします。
【古川政策評価室長】  まず、基本的な考え方といたしましては、政策評価をより有用なものにするという観点からも、レビューとの連携は非常に大切であろうと考えております。ただ、繰り返しになりますが、財務省における政策評価、あるいはその対象になる目標、業務の性格を考えますと、正直なところ、なかなか具体的な連携が難しいところもあることも事実だと思います。前回の分科会で、総務省からもダイレクトな関係はなかなか難しいという御発言があったように聞いておりますが、当省においてもそのような難しさがあると思っております。しかしながら、今日お示しした資料の中の活用例にも書きましたとおり、会計課におけるいろいろな仕事の際に、政策評価もできるだけ絡ませていくことをやっておりまして、レビューとの連携についても、問題意識は持っているところでございます。
【谷藤分科会長】  立花委員、どうぞ。
【立花臨時委員】  田中弥生委員から御質問があった点に関連するのですけれども、政策評価における判断と、特に民主党政権における政治主導と言いましょうか、政治の御判断との整合性がどう保たれているのか、保たれていないのかというのがよく分かりません。若干、遡る話になるかもしれませんが、例えば、朝霞の公務員宿舎の問題についても、いろいろ財務省で政策評価をやった上で一定の評価を下し、政治の判断で最終的にゴーサインが出たところ、今度は事業仕分けの絡みで、またさらに縮小を余儀なくされると。その辺の政策評価と政治主導との相克と言いましょうか、整合性をどう図っていくかということを、実際に担当している方々から見ていてどういうふうに御苦労されているのかという点を教えていただきたいのですが。
【古川政策評価室長】  また繰り返しになるかもしれませんけれども、参考資料で御覧いただきました我が省の政策目標等を御覧いただきますと、やはり政治的な意味合いのあるものも少なからずある状況でございまして、そこで御指摘のような関係性が出てくるわけでございます。これは、財務省としての業務を行っていく上で、あるいは、政策評価を行っていく上で、与えられた一つの状況ではないかと思っておりまして、政府の方針、内閣の方針に沿ったところで政策目標を設定していくものと考えております。政権交代があった際には、実際に新しい政府・内閣の方針に基づいて、財務省における政策目標を変更したこともございます。
 ただ、例えば、宿舎の問題ですとか、少なくとも私どもからしますと、急に顕在化してきたような問題については、年度ごとの目標設定、評価になかなかうまく組み込めないということはございます。本年度が終了したときの状況によるのかもしれませんが、評価書において宿舎の関係等についての評価と言いますか、我々としてどういう仕事をしたかということを記述することになるのではと考えております。お答えになっているかどうか分かりませんけれども、そういう状況でございます。
【谷藤分科会長】  田中委員、どうぞ。
【田中(常)臨時委員】  今言ったことにも関係するのですが、いろいろな政策の中で優先順位があって、どれを優先して判断するかというのは、政治的な判断があるのだと思います。今回、税制の抜本的な改革をすると言うとき、実際には「ペイアズユーゴー」というルールを前提に出して話が進んでいるような気がするのですが、これは政治的な判断でそうなっているのか、財務省が「ペイアズユーゴー」という考えを持って政策を判断しているのか、この点についてはどういうふうにお考えでしょう。
【古川政策評価室長】  答えになっているかどうか分かりませんけれども、政府として「ペイアズユーゴー」といったことを踏まえて税制改革をやるということであれば、それは財務省としての業務をやる上でも、当然、我々の目標になると考えております。
【田中(常)臨時委員】  今の「ペイアズユーゴー」が適正かどうかという評価はどこかでなさるのでしょうか。
【古川政策評価室長】  個々の施策において、例えば、税制についての業務においてということでございましょうか。
【田中(常)臨時委員】  はい、そうです。
【古川政策評価室長】  政策評価の対象となるとは思いますが、評価書において「ペイアズユーゴー」がどのように機能したかといったことを具体的にどのように書くかについては、確たることを申し上げられる状況では、まだないと考えております。
【田中(常)臨時委員】  はい。ありがとうございました。
【谷藤分科会長】  河野委員、どうぞ。
【河野臨時委員】  カスタマイズのことでお伺いしたいと思います。政策官庁としての財務省が、その特徴を評価書に出すことでカスタマイズするというのは十分よく分かるのですが、各府省がそれぞれカスタマイズしますと、国民の側からは一覧性が低下し分かりにくくなるかと思います。追加項目は分かるのですが、削除項目をそのまま残しながら空欄にするとか、そういうことはお考えにならなかったのですか。各府省において削除するという項目が増えますと、それぞれは微々たる修正かもしれませんけれども、国民の側から見ると府省ごとに違う表が出てくることになるものですから、標準様式としては、空欄のところはあっても、できるだけ削除することがない方が分かりやすいと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
【古川政策評価室長】  御指摘のような点につきましては、私どもとしても考えてみたわけでございます。ただ、内容によって、特に予算関係などにつきましては、かなり多くのものについて空欄になるのではないかということも考えまして、もしそうであれば、財務省のカスタマイズとしては、そこの欄は簡素化する形が望ましいのではないかと思っています。その背景として、繰り返しになりますけれども、予算情報、あるいは予算事業と目標との関係性を考えますと、できるだけ空欄を少なくするように書き込むという対応をすると、むしろ誤解を与えると申しますか、目標とそれほど関連性がない場合でも、関連性があるものとして国民の皆様に理解されてしまう、それが適切なのかどうか疑問を感じております。どのように記載するか、どのようにプレゼンテーションするかということもあるのですけれども、そうであれば、予算情報の位置付けを考えて簡素化するカスタマイズの方が、より適切なのではないかと考えた次第でございます。
【谷藤分科会長】  そのほかございますでしょうか。
 堤委員、どうぞ。
【堤臨時委員】  政策官庁的なところが難しい、財務省はそういう意味で一番難しいところという気がしたのですが、一方で税金、特に徴税など事務手続き的なことであれば、割と乗ってくるのではないかという気はします。その辺りの感触、財務省の中で、提示された標準様式に乗りやすいものというのを御紹介いただきたい。
 あと、これは少し話が外れてしまうかもしれないのですが、そもそも予算案のいろいろな折衝の過程自体を後から振り返って、あそこは少し削り過ぎて効果が発現できなかったといった反省が、財務省という官庁の役割からは必要ではないかという気もするのですけれども、そういったことは難しいのかについてお聞かせいただけますか。
【古川政策評価室長】  まず、今回、御説明の際には省いてしまいましたが、我々としてもできるだけ具体的に書けるもの、例えば、数値目標になじむようなものにつきましては、それはそれとして目標設定をしているということがございます。例えば、関税局の業務に関するものでございますけれども、関税等の適正な賦課徴収といった目標に関しまして、審査、検査における非違発見件数ですとか、あるいは、通関に要する時間といった設定もしているところでございます。
 それから、予算関係でございますけれども、もちろん、個々に具体的な分野、あるいはその費目についての検討を行うこともあり得るのでしょうが、そうしますと、もともとかなりボリュームがあるものが、さらに増えてしまうということもあって、いわば全体的な、概括的なポイントを絞った記述にならざるを得ないという面もあると思っております。また、具体的な予算、あるいは予算事業に関しての事後的な評価については、財務省においての評価と同時に、それぞれの主管官庁においても行われるものと考えております。
【谷藤分科会長】  大体よろしいでしょうか。時間が参りました。ほかに御意見があろうかと思いますが、追って事務局にお伝えいただければと思います。事務局から財務省に問い合わせがあるかと思いますけれども、そのときに財務省におかれましては、対応をよろしくお願い申し上げます。
 本日はお忙しい中、この委員会に出席いただきまして、ありがとうございました。本日の説明を今後の調査並びに審議に活用したいと思っております。本日はどうもありがとうございました。
(財務省退席・厚生労働省着席)
【谷藤分科会長】  続きまして、厚生労働省からヒアリングを行いたいと思います。厚生労働省の田原政策評価官に御出席いただいております。
 まず、田原政策評価官から10分ほど御説明をいただいた上で、財務省と同様に質疑応答を行いたいと思います。
 それでは、田原政策評価官、御説明をよろしくお願い申し上げます。
【田原政策評価官】  厚生労働省の政策評価官、田原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料2「厚生労働省における目標管理型政策評価の実施状況等」に基づきまして、説明させていただきます。
 まず、「I.厚生労働省の政策評価の枠組み」でございます。厚生労働省におきましては、基本計画を5年ごとに策定しております。それと、実施計画を毎年度作成しております。それに基づき、政策評価を実施しております。
 目標の数としましては、9個の「基本目標」、24個の「大目標」、87個の「中目標」、150個の「施策小目標」を設定しておりまして、中目標で実績評価書等を作成ということになっております。
 今の中期計画が今年度で終わりまして、24年度から第3期の中期計画ということでございまして、今、その中期計画、実施計画の設定作業を行っております。
 具体的には、8ページに全体の体系が載っております。左側に基本計画がありまして、基本計画が、基本目標、大目標、中目標をカバーしております。施策中目標は87あり、これに基づきまして実績評価書を作成しております。施策中目標は予算の項と対応しているということでございます。
 それから、実施計画ですけれども、毎年度策定しておりまして、これは中目標、小目標等が規定されております。
 1ページに戻っていただきまして、「II.目標管理型の政策評価の実施・活用状況等」でございます。東日本大震災の関係もありまして、通常は87の中目標のうち30ぐらいは実績評価書を作っているのですけれども、今年は6の施策に限定して作りました。残りの81の中目標については、モニタリングの結果報告書を作成しております。
 事前分析表についても、同じく6の政策について、厚労省でカスタマイズした様式に基づきまして、事前分析表を作成しております。
 具体的なカスタマイズの内容につきましては、別添1−2、2−2を参照していただければと思います。実績評価書は、2ページ目が総務省行政評価局から示していただきました標準様式で、3ページ目が当省でカスタマイズした部分です。どこの部分をカスタマイズしたかと申しますと、まず、目標名をきちんと書くようにということで、「施策名」という欄の名前を「施策目標名」に変更しております。
 「達成すべき目標」については、「施策の背景・枠組み(根拠法令、政府決定、関連計画等)」という形で、具体的にこういうものを書くということを原局等に指示するという意味から、名前を変更しております。
 それから、特にできるだけ予算に反映していこうという意思がありますので、新たに「予算書との関係・関連税制」という欄を設け、予算とどのように関連するかということを記述できるようにしております。
 少し飛びまして、測定指標のところでは目標にはならないけれども参考指標として重要なものも記述できるように、「【参考】指標3」という欄を加えてカスタマイズした様式にさせていただいております。モニタリングの場合は、ここまでの記述になりますが、評価書の場合はその下も書くことになっております。まず、「評価結果と今後の方向性」の欄とし、有効性、効率性、必要性、今後の方向性もそこで書くという形でカスタマイズさせていただいております。詳しく評価できる形ということです。
 その次ですけれども、「評価結果の施策への反映の方向性」の欄を設け、実際の予算等にどう反映していくかということが、我々としては非常に重要ということで、予算、税制改正要望、機構・定員への反映について記載させていただいています。
 そのほか、幅広に参考資料を載せるということで、「参考・関連資料等」と名称を変えております。以上が、実績評価書の様式のカスタマイズです。
 次に事前分析表ですが、4ページ目が総務省行政評価局から提示していただきました事前分析表のフォーマットで、5ページ目の別添2−2が当省でカスタマイズしたものでございます。基本的には、実績評価書と同じ形でカスタマイズしております。変更点としましては、4ページ目の3段目の「達成すべき目標」という欄は削除させていただいております。これは、右下に「測定指標の選定理由及び目標値の設定の根拠」という欄があり、記載内容が重複するのではないかということで、簡素化という意味で削除させていただいております。
 それから、5ページ目の真ん中の「測定指標」のところで、フォーマットでは複数年度の目標値を設定することになっていますけれども、当省では、複数年度ではなくて次の年度の目標値を記載することとしております。当省の場合、年度ごとの目標値を複数年度に向かって設定することはまれなので、最終年度と当該年度の目標値を記載し、あわせてその右側に、目標値の水準の適切性を検証できるよう、最新値の欄を追加する形でカスタマイズさせていただいております。
 また、「測定指標」の3のところに「○○の基本方針を定めること」と書いていますけれども、数値目標で設定されない目標もありますので、いつまでにどういう方針を決定するとか、文章で記述できるような目標がある場合は、そういう形でも書けるようにしております。
 それから、一番下の「達成手段」のところで「○○事業」とあるのですけれども、当省の場合は、特に行政事業レビューの項目は全部掲載するということでやっております。以上が、カスタマイズの状況でございます。
 それから、1ページ目に戻りまして、「III.今後の課題」でございますけれども、一つ目のマルの実施計画と実績評価書、事前分析表との関係を整理しなくてはいけないと考えています。
 6ページを見ていただきますと、これは厚生労働省が現在も使っている年度計画の健康局の一つの記載例ですけれども、年度計画で何が記載されているかと申しますと、一番上の欄に基本目標がありまして、その次の段に大目標、左から3列目のところに中目標に対するそれぞれの指標として、健康局の場合は、四つ掲載しているということでございます。健康局におけるこの施策の場合には、三つの施策小目標がありまして、施策小目標に対応した「(5)目標達成手法」の欄に、それぞれに関係する事業を記載しております。そして、それぞれの小目標ごとの目標がございます。今回、実績評価書を中目標ごとに作ることになりまして、従来はこの実施計画に基づき、当然、小目標ごとに実績はどうだったかということを評価し、それらを集めた形で中目標の成果を評価する。事業との関係も見ながら中目標の評価をしていたということになっております。行政評価局から示していただいた実績評価書には、小目標ごとの政策評価の記載欄はないので、小目標という体系をどうしていくかという考え方を、今後、第3期の中期目標に向けて整理していかなくてはいけないと思っております。また、事前分析表と年度計画は、多分、ほぼ同じ役割を果たすものなので、今後、事前分析表が年度計画に替わることになるのかとも思うのですけれども、そことの関係で年度計画をどこまでフォーマットできるのか、あるいは、今の年度計画をどういうふうに扱っていくのかなどについて整理しなくてはいけないと考えております。
 それから、1ページ目の二つ目のマルのところですけれども、行政事業レビューとの関係の整理をしなくてはいけないと考えております。まず、実績評価書とのリンクについて言いますと、今回、6の施策を評価していただいた中で、やはり個別事業の状況が分からないとなかなか評価が難しいという有識者会議の意見もありました。実績評価書の中で個別事業も見える形にどこまでできるのかということもあるのですが、そういうことも検討していかなくてはいけないと思っています。当省の場合は87と目標の数が多いので、モニタリングも活用しています。他方、行政事業レビューのレビューシートは1,000近くあるのですが、一応、全部評価していることになります。行政事業レビューで全部評価していて、政策評価ではモニタリングで数値だけを追う形にしていていいのか、そういうものとのリンクもきちんと整理しなくてはいけないだろうと思っています。
 また、原局では、個々の事業の事業評価書も作っているのですけれども、それは行政事業レビューと重なり負担になるという意見が出されているので、そこもきちんと回答できるように、総務省行政評価局とも協力しながらやっていかなくてはいけないと思っております。
 三つ目のマルのところですけれども、実績評価等の予算要求等への反映方策について、当省としても、当然これまでも、先ほどのフォーマットのところで説明しましたように、いろいろ工夫してきております。けれども、実際、予算要求は全体のパイが決まっている中の取り合いなので、なかなかダイレクトに反映できない面もあると思っておりまして、そこをどういうふうにきちんと反映していくかということが、各府省における共通の課題かなと思っています。強制的に、予算の査定のラインに乗せて必要な書類という位置付けをするのであれば、より直接的な反映になるのですけれども、今はそういうことにはなっていません。政策評価の中で、できるだけ反映していくことは引き続き検討していかなくてはいけないことだと思います。
 四つ目のマルの効率的な実施についてです。当省は87の中目標の実績評価を行うなかで、モニタリングも活用しながら効率的にやってきてはいるのですけれども、引き続きどういうやり方をすれば、実質的かつ効率的にできるのかということを検討していかなくてはいけないと思っております。
 その次にありますが、より適切な指標や目標値の設定、把握方法の検討は、引き続きやっていかなくてはいけないと思っております。先般の提言型政策仕分けの中でも、労働関係の指標について、きちんと目標管理の徹底をするようにという指摘も受けていますので、こういうことも引き続き課題と思っています。
 最後に、他府省の効果的な実施方法をいろいろ参考にさせていただきたい、こういう会議も非常にありがたいと思っております。おもしろいなと感じたものとしては、財務省などの府省でやられている指標を評定化する試みや、国土交通省が最新の予算要求額を入れていないということで、そうすれば、最後のばたばたで業務の削減もでき、あるいは財務省のように組織運営の方針のようなものを評価に入れる場合、別の枠でやってみるなど、いろいろな府省で工夫されているところもあるので、そういうものも参考にしながら効果的な実施方法を引き続き検討していきたいと思っております。
 以上でございます。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、各委員からご質問をお願いいたします。
 堤委員、どうぞ。
【堤臨時委員】  今後の課題でお話のあった、行政事業レビューとの連携というところ、非常に重要なポイントだと思います。今回六つ試行的にやられた上で、この部分に関しての見通しというか、割とうまくできそうなのか、いろいろな問題があるのか、その辺りをもし御検討されていたらお聞かせいただきたいと思います。また、実際にやられる中で事務負担という話がいろいろなところから出てくるのですけれども、厚生労働省としては事務負担についてはどうだったかということをお聞かせいただけますか。
【田原政策評価官】  行政事業レビューとの関係で、実際、今の評価書だと、事業がどういうふうに成果に対して貢献したのかが見られないという指摘があったので、できるだけ見えるような形にしたいと思っています。総務省行政評価局の今年4月の行政評価局長通知で、各中目標にぶら下がる事業を整理するという様式を示していただいていますので、そういうものも実績評価書の別添資料で入れるとか、あるいは、前年度になるかもしれないですけれども、政策評価の会議のときに、行政事業レビューのシートを参考資料で会議の席上配付するとか、今はまだ検討段階ですが、何らかの形で各事業についての評価の際に見える形にしたいと考えております。
【谷藤分科会長】  田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  ありがとうございます。二つ質問がございます。
 一つは、施策の中目標にかかわるところなのですが、厚生労働省がカスタマイズされたところを見ますと、この中目標を書く欄がなくて、それで施策の背景、枠組みを書き、そして施策の題名を書くということで、目標そのものを書く欄がないように見えるのですが、これは、中目標自体は、「施策目標名」のところに記載されているという理解でよいのかというのが1点です。
 もう一つは、総務省行政評価局から出したフォーマット、あるいは厚生労働省御自身で作られている施策の小目標を中心とした事業の計画に関する評価もそうなのですが、厚生労働省のお仕事というのは、クオリティー・オブ・ライフにかかわるところが大きいと思います。これですと、定量的なものは出ているのですけれども、定性的なところについては、どのように調べられているのかということについて、お伺いできればと思います。
【田原政策評価官】  まず、1点目の実績評価書のフォーマットで、達成すべき目標の欄がなくなっているという件につきましては、これは、名称は変わっていますけれども、「施策の背景・枠組み」の欄にきちんと目標を書くということです。なぜ名称を変更したかと言うと、政府として決めている数字を当然目標とすべきということなので、そこの部分をきちんと書くことで名称をこういうふうに変更しているということでございます。
 それから、2点目の定性的なものについては、当然、施策小目標や中目標でいろいろな指標がありますが、定性的なものについてもそれを踏まえて、それぞれ小目標ごとに、今年はやらなかったですけれども、昨年度までは評価していましたので、そういう意味ではこの数字を踏まえて、定性的なものも含めて書くという位置付けになっております。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。そのほかございますか。
 小野委員、どうぞ。
【小野臨時委員】  2点お尋ねします。まず一つ目が、先ほどから出ている話にも絡むのですが、行政事業レビューとの対応です。現在のこの様式の中でも施策と事業との対応はつくようにされていて、先ほど、有識者会議からの声として、施策の評価というのは、そもそも個別事業の成果なり評価を踏まえたものでなければいけないのではないかとありまして、一般論としてそのとおりだと思います。お尋ねしたいのは、厚生労働省で今行われている実績評価方式の施策評価では、基本的にこの87の施策中目標のレベルでのものが単位となっていると思うのですが、事務事業レベルの評価があり、チェックがあり、それを踏まえてその施策レベルの評価があって、PDCAサイクルを回すといったときには、この中目標でされることになるのでしょうか。中目標は87と数がかなり少なく、他方、行政事業レビューは1,000近くあるというなかで、両方リンクさせ、PDCAサイクルにつなげるという場合には、どういうことが想定されるのか。あるいは、現状の実績評価方式というのは、施策中目標レベルでもPDCAサイクルを回すようなことになっているのか、またはそれを目指す方向になっているのか。お伺いしたいのは、施策レベルの評価とは別に事務事業レベルの評価も行政事業レビューでやることになっているわけですけれども、それを実際につなげてPDCAサイクルを実現しようとした場合には、どういうことが考えられるのかということをお尋ねしたいです。それが1点目の御質問です。
 それから、今日の資料2の1ページの下から2番目のマルのところで、厚生労働行政の中には、測定指標とか、目標値の設定の把握が困難なものが多いと書かれています。御説明の中で少し触れられたかと思うのですけれども、どういうものが難しいのか、具体的に御説明いただきたい。それが2点目の御質問です。
【田原政策評価官】  まず、1点目のPDCAサイクルをどうやっていたかという御質問ですけれども、平成22年度までは、6ページにあるような年度計画に基づいてやっていましたので、当然、それぞれの小目標ごとの評価をして、それを踏まえた中目標の評価をしており、基本的には、小目標、中目標の成果、評価を踏まえて予算等に反映するということであります。今年に関しては、実績評価書のカスタマイズ版で評価しましたので、実質的に行われたのは6個だけなのですけれども、その中目標をこの様式に基づいて評価していただき、それを施策等に反映したということになります。
 それから、2点目の質問で、目標値の設定が困難なものですけれども、すぐに思いつくのは労働関係の指標で、例えば、ハローワークで就職率を指標に挙げているのですけれども、実際は就職率といっても、景気の変動で景気がいいとやはり就職率も良くなり、景気が悪いとなかなか難しくなるなど、外部要因によって結構左右されている部分があるので、設定が難しいです。そういうところを別の指標でできないかとか、もっと直接見られるような指標はないかなどについて引き続き検討していかなくてはと思っております。
【小野臨時委員】  1点目の質問に御回答いただいて分かったのですけれども、もう一つお伺いしたいのは、今の行政事業レビューについてです。事業を1,000本設定されているということで、その事務事業単位の評価というのがあるわけです。今年度の場合でもいいのですけれども、行政事業レビューにおける評価と、実績評価方式における評価とはリンクしなかったとすると、それはタイミングの問題なのか、それとも今の行政事業レビューに書かれている情報と、こちらの実績評価方式の情報とではそもそも直接つながらないということなのか、お伺いします。
【田原政策評価官】  行政事業レビューを策定するに当たっては、会計課中心にやっております。予算監視・効率化チームという外部有識者も2名入った会議があって、各局の総務課長と我々政策評価官室も入っております。そこの中でチームとしての評価をするような欄があり、そこで当室もチームの一員になっていますので、評価結果について一部コメントしたという感じになっております。行政事業レビューは1,000もあって、予算要求のばたばたの中で作っているということなので、今年は実質的にはなかなか連携が難しくございます。
【谷藤分科会長】  藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】  厚生労働省の施策中目標の設定を予算書の項と対応させているという御説明がありまして、そういう意味では非常に明確に組織立っているとも思えるのですが、実際に政策評価を実施されていて、全体がシステマティックになっていることによって、ここに書いてございます概算要求等への反映事項が実際にどのようにうまくできているのか、あるいは、もう少しこういうふうにしたいかというところの状況を教えていただければと思います。いかがでしょうか。
【田原政策評価官】  我々としては、予算への反映を結構重視して、反映状況の欄も作ってやっているのですけれども、逆にそのことが結構苦しいということもあります。予算のばたばたの中で、予算の作業というのは会計課中心にずっとやっていって、最後ぎりぎりまで各部局と調整するので、そういう中で当室も同じような欄を作って、「記入してください」と、当然、各部局にお願いするのですが、予算の方を優先しなくてはいけないところも若干あるので、どういうふうに当室の評価をきちんと踏まえて、予算の方も当然目を向けるのですけれども、当室の方にも目を向けつつ予算の作業をしていただくことは、非常な課題というか、各府省の担当者は苦労されていると思います。当室もきちんと期限があるし、予算の方もきちんと期限があるということで、最後のばたばたの中で逆にこういう欄をきちんと作ることによって、各原局は予算でばたばたしているのに、こっちの反映状況もきちんと書かなくてはいけないということで、いろいろクレームはいただいているのですけれども、できる限り反映するということで、各部局を説得しながらやっている状況でございます。
【藤井委員】  それは、年間計画のタイミングの問題ですか。それとも、中目標のカテゴライズの仕方の問題なのでしょうか。
【田原政策評価官】  例えば、国土交通省は最新の要求額を入れていないというようなことを聞いたのですけれども、我々の場合、最新の概算要求額等を入れなくてはいけないですし、反映状況もきちんと書いてもらうことにしているので、タイミングとしては同じ概算要求終了時に総務省行政評価局へも会計課へも出さなくてはいけないということになっております。そういう意味では、予算の最後の締めのばたばたの中で、各部局にお願いして作っていただいているという状況になっております。
【谷藤分科会長】  ありがとうございました。時間がまいりましたので、ここで打ち切りたいと思います。先ほどと同じように、ほかに御意見がございましたら、追って事務局にお伝え願えればと思います。
 それでは、厚生労働省の皆様におかれましては、御多忙の中、当分科会に御出席いただきまして、どうもありがとうございました。御礼申し上げます。
(厚生労働省退席・農林水産省着席)
【谷藤分科会長】  続きまして、農林水産省からヒアリングを行いたいと思います。本日は農林水産省の金丸評価改善課長に御出席していただいております。これまでと同じように10分ほど説明をいただいた上で、質疑応答を行いたいと思います。
 それでは、金丸評価改善課長からの御説明をよろしくお願い申し上げます。
【金丸評価改善課長】  農林水産省の評価改善課長、金丸でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、農林水産省の目標管理型の政策評価の実施状況につきまして、資料に基づき御説明を申し上げます。クリップをほどいていただきまして、資料3と参考資料1、2とございます。それぞれ御参照いただきながら御説明をいたします。
 まず、3ページに、「1−1.農林水産省政策の検証プロセス」がございます。農林水産省の政策は、食料・農業・農村基本法、あるいは森林・林業基本法、水産基本法といった基本法に基づきまして、これらの基本計画を策定することが義務付けられております。
 そして、2段目でございますが、食料・農業・農村基本法に基づきます食料・農業・農村基本計画などの基本計画が農業や林業、水産業についてそれぞれございまして、10年程度見通して策定することになっています。なお、基本計画は、おおむね5年おきに見直しを行っております。
 さらに、それに基づきまして、政策目標がございます。評価に当たりまして、食料・農業・農村基本計画等を踏まえ、政策評価体系を構築して、政策分野ごとに目標を設定し政策の効果を検証するものでございます。したがいまして、農林水産省はこの基本計画が政策のベースにあるということでございます。
 次の4ページをめくっていただきますと、「1−2.政策評価の対象と方法」でございます。農林水産省の政策評価体系につきましては、「大目標(使命)」、そして「中目標」として六つのものがございます。基本計画に基づきまして、「1.食料の安定供給の確保」、「2.農業の持続的な発展」、「3.農村の振興」等、これが食料・農業・農村基本計画で、「4.森林の多面的機能の発揮と林業・木材産業の持続的かつ健全な発展」が森林基本計画、そして「5.水産物の安定供給と水産業の健全な発展」が水産基本計画、最後に、「6.横断的に関係する政策」でございます。
 政策分野は全部で21ございまして、それぞれの中目標にぶら下がっているものでございます。
 「6.横断的に関係する政策」の研究開発、地球環境対策等は、複数の政策分野にまたがるようなものについて、横断的に実施する政策として総合評価を行うことにしております。
 6ページは、今申し上げました政策評価体系と評価対象・評価方法の関係でございます。実績評価と総合評価、それから、公共事業、研究開発等につきましては事業評価という評価方法を組み合わせまして、評価を実施いたしております。
 「1−3.平成23年の評価スケジュール」が7ページにございます。これは22年度政策の評価と23年度政策の目標設定、それから、参考に行政事業レビューについてのカレンダーでございます。
 23年度、どのように行ってきたかということでございますが、まず、震災前に22年度政策の評価書(暫定版)の作成作業を開始しました。そうしているときに震災が起こりまして、第三者委員会における意見聴取を経て公表するという段取りでございましたけれども、委員会の開催が中止になりました。そして、4月に総務省行政評価局から行政評価局長通知で評価書の標準様式が示されました。その後、7月に第三者委員会を開きまして、22年度政策の評価書につきましては、9月末に予算要求と同時に、公表しました。
 一方で、23年度政策の事前分析表でございますが、これにつきましては、11月に第三者委員会を開きまして、同月末に公表いたしました。
 行政事業レビューにつきましては、9月に行政事業レビューシートを公表するということで、その前に「予算監視・効率化チーム会合」というものを開きまして、その上で行政事業レビューシートを公表するということでございました。
 24年度新規要求事業に係る行政事業レビューにつきましては、10月に公表しております。本年は、震災がございまして、行政事業レビューにつきましては、行動計画の策定や、公開プロセス、レビューシートの中間公表を要しないということで、手続きが簡略化されました。このため、5月、6月、7月のスケジュールが昨年とは違っているわけでございます。
 8ページの「1−4.取組内容」は、具体的な取組内容でございます。「平成22年度実施政策の評価」につきましては、政策分野や施策ごとの評価を行わないで、総務省行政評価局から提示された様式を一部カスタマイズしまして、22年度目標値に対する実績値のモニタリングを実施したということでございます。実績値につきましては、被災地のデータを除くなど対応可能な範囲で把握し、震災に関連した指標については、実績値の把握が行えないものもございました。実際に、実績評価を行う16施策分野、128指標のうち、データが欠けた指標は19指標、震災に関連した指標は14指標ということで、評価が難しい指標もございました。
 当省独自の取組といたしまして、目標値に対する達成度合をABC判定するということをいたしております。特に達成度合の悪い指標につきましては、施策の有効な改善に資するように、要因分析を実施しております。
 また、評価の充実を図るための情報として、政策手段シートにおいて、これまで示してこなかった予算執行額を記載して、執行状況が悪いものについては、その理由も記載しております。
 具体的な評価書のカスタマイズにつきましては、参考資料1を参照しながら御覧ください。カスタマイズした部分として、まず、参考資料1の1−1ページのIの部分でございます。施策(1)「食品の安全性の向上とフードチェーンにおける取組の拡大」とありますように、この施策の欄を標準様式に加えております。
 それから、目標(1)と書いてございますが、目標の位置を移動しております。これにつきましては、資料9ページに理由がございます。これまで、政策分野ごとに施策を位置付け、また、施策ごとに目標を設定して評価を実施してきたという我が省の評価の仕方でございまして、「施策」と「目標」と「測定指標」の対応関係をこの様式において分かりやすく整理するためです。
 それから、IIでございます。ここに「達成度合」について、「おおむね有効」と書いてございますけれども、これまで目標値に対する達成度合に応じてランク分けを行っておりまして、この取組内容を継続していくということでやらせていただいております。
 それから、参考資料1の1−3ページでございます。ここにIII「要因分析」がございます。総務省行政評価局の様式では、施策に関する評価の結果について、目標期間が終了した時点で、あるいは、政策の改善、見直しに適切に反映できる時点で記入するとされているわけでございます。このため、この評価書において、年度ごとに評価内容を記入する欄がないということで、達成度合の悪いものにつきまして、その要因分析を書いていくという取組をいたしております。
 それから、1−4ページにIVがございます。これは、「評価結果の政策への反映状況」でございます。これにつきましては、政策分野の概要から、実績、政策への反映という一連のプロセスが分かるように、反映状況を丁寧に書いていくということでございます。別途、財務省から同様の作業がきておりまして、評価書の中にそのような項目を組み入れることで作業の重複を避けるという意味もあり、この部分を追加しているところでございます、
 その次に、事前分析表でございます。資料3の10ページに「概要」がございます。23年度の政策目標や測定指標等につきましては、22年3月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画等を踏まえまして、22年8月に一度公表済みでございますが、総務省行政評価局から提示された様式を用いまして、事前分析表として再整理したところでございます。今回の事前分析表の作成に当たりましては、既に22年8月に公表している内容を基本としながら、22年9月以降に、新たに策定されました長期計画等を踏まえ、また、22年度実施政策の評価結果を踏まえまして、必要に応じて測定指標の新設や見直しを実施しているところでございます。
 また、実績評価を行う分野のみならず、総合評価を行うことにしている政策分野につきましても、可能な限り事前分析表を策定したということでございます。
 カスタマイズの内容でございますが、参考資料2を参照していただきたいと思います。
 まず、参考資料2の1−1ページ、Iの部分でございます。これは、施策と目標の欄でございます。施策欄を追加し、目標の欄の記入位置を変更しました。これは、評価書のカスタマイズにおける説明と同じでございまして、施策と目標と測定指標の対応関係を分かりやすく整理するためです。
 それから、参考資料2の1−5ページでございます。これは、「各指標における実績値の把握方法及び達成度合の判定方法」という欄を追加しております。これは、達成度合を毎年把握し評価していくということでございますので、評価を実施する時点で用いる目標の達成度合の判定基準をあらかじめ明示するということでございます。
 2枚後ろの1手段−1ページに事前分析表の様式を示しています。このIIIの部分につきましては、関連施策の政策手段の記載方法を変更するということでございまして、総務省行政評価局から提示された記載要領では、予算事業である達成手段については全て記入するが、そのくくり方は適切に判断する、また、非予算関連の規制(法律)、租税特別措置等の達成手段については、特に有効な達成手段と認められるものを記入する等とされております。当省におきましては、これまでも政策手段シートとして、政策分野ごとに関連する政策手段を全て整理してきたという経緯がございまして、今回の事前分析表の作成に当たりましても、法律、予算、税制全ての政策手段を整理して記載しているというところでございます。
 また、政策手段一覧への予算の記載に当たりましては、翌年度実施される行政事業レビューの実施単位と整合性を取った形で整理することにいたしました。政策を実施する前に事前分析表として整理した政策項目、政策目標、政策手段等に対しては、事後に、上位の政策に対しては政策評価を行い、個々の政策手段に対しては行政事業レビューで検証するといった二段構えにするという基本的な考え方のもとで、それぞれの記載項目に揃えるという修正を行い、事前分析としてお示ししたということでございます。
 それから、資料3の12ページ、試行的取組等に係る課題でございます。評価方法について、毎年の評価は、実績値のモニタリングを中心に行うこととした場合に、評価書に政策の有効性、効率性という内容が明示されないということでございます。政策検討の段階では、当然、こうした観点を把握しながら進めていきますが、評価書という形では明示されなくなるということで、評価書の活用のしやすさ、あるいは、国民に対して評価の内容を知らせるという観点から、課題があるのではないかと考えました。先ほど御説明しましたとおり、要因分析等の工夫をしておりますけれども、次年度以降、また検討していかなければならないと考えているところでございます。
 一方で、このように丁寧に分かりやすく評価書を作っていこうということになりますと、やはり作業を行う事業担当者の事務負担が非常に増えてまいります。行政事業レビューもありますし、また、いろいろな依頼元からの作業がありますが、そういう各種作業につきまして、必要性の観点から、メリハリをつけてやっていくことが必要なのではないかと考えます。
 それから、政策評価と行政事業レビューとの連携に向けた課題でございます。これは、先ほど申し上げましたように、政策評価の作業と行政事業レビューの作業につきましては同時並行で行うことになりまして、非常に短期間の作業となるということでございます。
 その中で、この両者の機能を十分に発揮させて、それぞれの結果を施策の企画・立案に反映させていくためには、スケジュールを適切に設定しないといけないということでございまして、政策評価を用いた施策の検証、それから、行政事業レビューを用いた政策手段の検証を一体的に実施するために、主として時期の問題でございますが、総務省行政評価局や行政刷新会議の事務局とがよく調整いただき、来年の作業に向けて御配慮いただければと考えております。
 以上で、私の説明を終わらせていただきます。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、農林水産省の御報告に対して御質問がございましたら、お受けしたいと思います。どうぞ御発言をお願いいたします。
 佐藤委員、どうぞ。
【佐藤臨時委員】  御丁寧な説明ありがとうございます。参考資料の2について質問なのですが、政策手段を一覧で非常に丁寧に書いていただいていて、いろいろと法律、予算、交付金、補助金、経費、事業などがあります。これらはお互いに重複するところはないという理解でよろしいのでしょうか。それから、関連する指標という書き方があるのですが、それぞれの政策手段に対する目標というのは、特に記載されていないと考えてよろしいのでしょうか。
【金丸評価改善課長】  重複の関係でございますが、まず法律が書いてあって、それから、予算が出てくるという順序で整理しております。
 それから、目標につきましては、事業レビューシートの方で達成目標等が出てまいりますので、そちらで対応していくということでございます。ここでは、関連する指標との関係のみを整理するということにしております。
【佐藤臨時委員】  重複はないという理解でいいのですか。
【金丸評価改善課長】  重複はございません。
【谷藤分科会長】  よろしいですか。そのほかに御発言ございませんか。
 小野委員、どうぞ。
【小野臨時委員】  資料3の12ページの最後で、現状では目標管理型の政策評価の仕事と行政事業レビューの仕事が両方重なっていて、事務負担も大変でという話もあったのですけれども、その下の括弧の中に書かれていることというのは、農林水産省としてこういう順番であれば、予算要求に向かって、ある程度順を追った形であまり作業の重複がなくいくということなのかもしれないのですが、確かに、こういう順番でいって予算要求というのは分かるといえば分かります。ただ、上位の政策レベルの評価となると、その基礎には事業単位の評価というか、チェックがあって初めて大きいくくりの評価ができるということが、一般論としてあると思います。もし、仮にこういう順番で先に政策単位の評価があって、その次に事業レビューとなったときに、単純化して言いますけれども、事業単位のチェック抜きに政策レベルの評価を先にすることになるのかもしれないですが、そこはどういうことになるのでしょうか。
【金丸評価改善課長】  同時にやりたいと思っていまして、一体として進めたいと思っています。評価改善課という名前がついておりますけれども、当課の場合は、今年から事業レビューと政策評価を同じ課でやることになりました。そういう意味で、実は作業担当者の負担の関係からも一緒にやった方が非常に効果的に行えるということで、同時にやりたいと思っています。
【小野臨時委員】  ありがとうございました。
【谷藤分科会長】  そのほかございますか。よろしいでしょうか。
 藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】  今の時期の件ですけれども、同時というのは、例えば、資料3の7ページに23年度のスケジュールを実際にお示しいただいているわけですが、それがどういう形になると望ましいということで、課題として挙げていらっしゃるのでしょうか。
【金丸評価改善課長】  予算要求に向けた作業が4月から7月にかけてずっと続いてまいります。その段階で予算編成担当部局、それから政策企画立案部局は、それぞれ調整しながら進めてまいりますので、5月、6月、7月あたりで双方の作業が同時に進むようにというイメージでございます。
【藤井委員】  そうしますと、年度の始まりの段階で実績を把握するというのは難しいわけですよね。
【金丸評価改善課長】  ぎりぎり、できるものはできると思います。
【藤井委員】  分かりました。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。
 堤委員、どうぞ。
【堤臨時委員】  5ページ目の「6.横断的に関係する政策」とのところで、これは総合評価を行う、という御説明があったと思うのですが、これについても、今日御提示いただいた表でおおむねうまくいくのか、もう少し場合によっては変更が必要なのかということが、もし、今の時点でお分かりになれば知らせていただきますか。
【金丸評価改善課長】  これにつきましては、なかなか数値目標を入れるのが難しいものもございますので、工夫を要すると思います。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。
 田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  大変きれいに体系的に整理をされていて、感心しながら拝聴していたのですけれども、質問が1点ございまして、参考資料1の1−3ページの「要因分析」のところであります。指標に基づいて達成したのか、達成していないのかということも重要だと思うのですが、やはりどうしてうまくいったのか、あるいはどうしてうまくいっていないのかという要因分析が、私はとても重要だと思うのですけれども、ここは達成度が悪い場合しか書かないのでしょうか。例えば、非常にうまくいった場合の要因についても、ここは記されないのでしょうか。
【金丸評価改善課長】  基本、なぜうまくいかなかったかを記載することとしております。予定どおりいっていれば、それは問題がないので、むしろ悪く、なぜ達成ができないのかということを中心に書いていくということでございます。しかし、例えば、150%以上目標を達成してしまった場合は、目標の立て方に別の考え方があるのではないかということもありますので、検討が必要かと思っております。
【谷藤分科会長】  よろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。追って幾つかの質問が出てくるかと思います。そのときは事務局から御連絡申し上げますので、対応よろしくお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。御礼申し上げます。
(農林水産省退席)
【谷藤分科会長】  前回及び今回の分科会におきまして、目標管理型の政策評価の改善方策に係る試行的取組の実施状況について、事務局から概要を聴取し、その後、文部科学省、国土交通省、総務省、本日、財務省、厚生労働省、農林水産省の6省からヒアリングを行いました。これらを踏まえまして、皆様と意見交換を行いたいと思います。本日までの御報告からも分かるように、記載項目とか事前チェック表そのものに対する大きなカスタマイズというものが、さまざまになされております。そういう状況を踏まえ、現在の状況につきまして御意見がございましたら、御発言をお願いしたいと思うわけでございます。フリートーキングの形で各委員から声を出していただければ幸いでございます。
 城所委員、どうぞ。
【城所臨時委員】  2点申し上げたいのですけれども、一つは、先ほども少し意見が出ました、この目標管理型の政策評価は誰に対して行うものかということに関連するものです。各府省ヒアリングの結果、細かい点が、いろいろカスタマイズされていることがわかりました。それぞれは細かいカスタマイズなのですが、しかし、もしこれが国民向けであるとするならば、それを一覧に並べたときに見にくいと思います。だから、どの程度カスタマイズを許すのか、総務省行政評価局の側でカスタマイズしていいとしているのか、できるだけ標準様式を使うこととしているのかというのは、ちょっと私は分からないのですけれども、もし国民の側に分かりやすく見せるのであれば、カスタマイズは基本的には認めないで、備考欄か何かを作っておいて、そして、そこに違うところは書いてもらうとした方がいいのではないかと、私はそう思います。確かに各府省のカスタマイズ項目は微細なのですが、全部並べてみたときに違って見えます。
 もう一つは、各省庁の方が異口同音におっしゃっているのは、結局、評価疲れということだと思います。前回の分科会の参考資料の2と3には、行政事業レビューと政策評価の関係が一応整理されているのですが、実際やっている府省からすると、一体これは何がどう違うのかということになると思うのですね。そして、さらに最近は事業仕分けもあるので、図らずも農林水産省の方が行政評価レビューと政策評価を同一の部署でやるようになりましたとおっしゃっているのですが、そうすると、いろいろな評価をどういうふうにやっていくのかという目標が失われて、ただ、評価のための評価に陥るという可能性があるので、そういうことを考えていく必要があるのではないかと思います。
 これは、経済をやっている者からの目なのですが、日本の政策評価で一番弱いのは、効果を科学的・定量的に検証することだと思うのです。会計検査院がやっている評価というのは、例えば、この政策の実行は鉛筆5本でなくて鉛筆3本でも可能であったといったことや、パナソニックの電池ではなくてアスクルの安い電池でも可能であった、というように、どういうふうにコストを省くかという話です。そうではなくて、この政策をやったらどんな効果があって、それは投入した資金に見合うものだったのかということが、日本の政策評価に欠けているので、その観点から一度、さまざまな政策評価に関連するものを整理していく必要があるのではないかと思います。いろいろお話を伺っていると、実は「政策評価」というのは、総務省行政評価局が政策評価法を所管されているのでやっているという感じなのですけれども、もう少し大局的な観点から、科学的・定量的に効果を得て分析することが必要なのではないかと思います。フリートーキングということで発言させていただきました。
【谷藤分科会長】  総務省行政評価局から何かありますか。
【山内政策評価官】  先生のおっしゃるとおりだと思います。今回の目標管理型の政策評価というのは、政策評価法の中でもある一部、あらかじめ目標を立ててそれを事後的に検証するというタイプの政策評価につきまして、どのような形でやるのがいいのだろうかということで、試行的取組を行っているものですが、それ以外にも総合評価といった形で行うものもございます。
 レビューとの関係等につきましては、私どもとしても、行政刷新会議等、関係部局とよく相談してまいりたいと思っています。
 評価疲れのことに関しましても、そういった御意見があるのは重々承知しておりまして、今回の試行的取組というのは、それへの改善のための一歩として考えております。今回、6府省からの御意見にありましたとおり、まだまだどのように進めていくのかということを検討していかなくてはいけないと思っています。
【谷藤分科会長】  そのほか御意見ございませんでしょうか。
 どうぞ、小野委員。
【小野臨時委員】  今出た御意見とは少し反対の意見のようなところがあるのですけれども、カスタマイズについては、私は今回の各府省からの御説明を聞いても、簡単に言えば、できる限りカスタマイズを許すような格好で、基準の方式として求めるのは最小限にした方が良いのではないかと感じました。その理由ですけれども、もともと実績評価方式というのは、政策評価制度ができたときに、もう少し統一のフォーマットでやると決めたほうが良かったと、その点はまさにそう思うのですが、国民から見ても、これまでの各府省の実績評価というのは、非常にまちまちですから、比べることは全然できないということが実態としてあったと思います。ただ、この段階でどこまで統一化するかということについては、もう10年以上、各府省で進化なり定着なり、あるいは停滞しているところもあるかもしれないけれども、それぞれの取組があります。その中で各府省に対し、規制するよりも支援する立場でやるべきというか、これまでとの継続もありますし、各省庁の取組があるのを、できるだけ、活かすという観点から、今回のカスタマイズの様子を見ても、より詳しくとか、いろいろなものを付け加える、あるいは、どうしてもいらない部分があるなど様々な話があったと思うので、最低の項目だけは求めるということだけをされた上で、あとは、各府省、好きにやってくださいというのではないという意味で、総務省行政評価局がチェックの役割を担うことが必要だと思います。国民から見て一般的な、共通のものにすることの分かりやすさよりも、やはり各府省、今回のヒアリングでもそうですし、おそらく私が現状を知る限り、行政事業レビューも含めたくさん評価の書類があり、評価疲れが確かにある一方で、評価情報を使ってPDCAサイクルが各現場で回っているかというと、おそらく非常に回っていないのだと思うのですね。そのギャップは非常にありますから、各府省において、実際に各現場でPDCAサイクルを回すためにはどうしたらいいかという意味で、統一性、国民から見ての分かりやすさを要求することが基本的には必要だと思うのですけれども、それよりも各府省独自の取組なり状況なりをできるだけ反映してやるべきではないかとも思いました。
 フォーマットを統一すると、これまで各府省で工夫されたものがなくなる可能性があるという趣旨の話が2、3あったと思います。それは非常に具合の悪いことですから、今回の標準様式を、要旨にしか使わないというのは財務省でしたが、それも大いに良いと思いますし、どうしても必要な部分というのは総務省行政評価局から示して絶対に守ってもらうということにして、各府省がそれをふくらませる方向というのはむしろ奨励する形でやるのが、私としてはいいのではないかと思いました。
 それと、少し違う点になりますけれども、行政事業レビューとの関係もいろいろお尋ねしました。政策評価のそもそもの目的として、予算要求への反映は一番重要なものの一つだと思います。政策レベルのチェックと、事業レベルのチェックがあって、それをどういうふうに予算要求に結び付けていくかというのは、やはりそこが一番重要なものの一つだと思いますので、そういう観点でこの目標管理型の政策評価も使いやすくする、そこで使ってもらえるようにするという観点で、総務省行政評価局も、各府省にもう既に話を聞かれているかもしれないですけれども、調整の過程では是非考えていただきたい。ですから、事前分析表についても、各府省からいろいろな意見があったところですけれども、例えば、事前分析表に一覧表として挙げることが、各府省の過程でどのぐらい意味があるかという意味でのチェックといいますか、おそらく、今のようなフォーマットに一律で義務付けることはあまり得策ではないのかもしれない。例えば、あそこに書いてある手段の一覧が、予算事業だけに限ると、政策官庁である財務省などでは、あまり役に立たない部分になってしまうことがあります。一方、農林水産省のように、法律から全てを書くということもあると思うのですけれども、要するに、本来の意味の政策手段であれば、事業レベルの評価と、政策レベルの評価を結び付ける手段となると思うので、ここもいろいろなケースがあり得ると思います。府省ごとに政策レベルと事業レベルのチェックをどう結び付けるか。おそらく政策分野や、政策官庁か事業官庁かによっても違っているなど、いろいろなことがあると思うので、各府省なりのPDCAサイクルが回るようにどうしたらいいかという観点でひたすらやるべきというのが、私の考えです。以上です。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  一つは、総務省行政評価局に再確認という意味で質問した上でコメントを申し上げたいのですが、そもそもこのフォーマットを導入した背景にある課題は何かというところを再度確認させていただいて、今回の取組が課題解決の手段になっているのかどうかというのをちょっと問い直したいと思います。
 その上で、私は、今回の一連の府省のお話を聞いていて、気付いたことが2点あります。一つは、府省間によって、いわゆる政策体系という政策の階層を描いているのですが、それぞれかなり違うということで、あるいは、体系がうまく描けていないところに対しては、このツールを導入したことによって、無理やりかもしれませんけれども、何らかの体系に整理をしようとしていたところはあると思います。ただ、総務省行政評価局で全体を見るのであれば、各府省の政策のレベルの違いをもう少しはっきりさせることが必要ではないかと思います。
 もう一つについては、この三角形の政策体系図がありますけれども、どの府省においても、この行政事業レビューと政策の達成手段のところが重複しているわけですから、この政策評価の一番頂点から最後の行政事業レビューまで、串刺しにして全部見られるようにするというのが、本来、ここでの私たちの役割ではなかったかと思います。以上です。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。最初の問題に係りますけれども、これも各府省から要望として出されているのが、事前分析表を作っていく理由は何なのかということ、意味が分からない、この使い方が分からないというのは出ております。今の田中委員の御質問とあわせて、導入の一番の課題というのは何だったのでしょうか。
【山内政策評価官】  前回の会議でお配りした参考資料1「平成23年度における政策評価の実施について」を御覧いただけますでしょうか。その1ページ目でございます。「1 基本的考え方」(1)の後半、「他方、現状における運用については」ということで、これまでの政策評価、目標管理型の政策評価の問題点について整理しております。
 読み上げますと、「焦点が絞りきれておらず、重要な情報も埋没しがちではないか。府省や施策ごとの特性に応じた多様な評価が発展した結果、評価内容・スタイルが過度に区々となり、政府全体の俯瞰や府省横断的な施策への活用が困難ではないか。施策の達成手段やそのコストについての情報が不十分ではないか」となっております。
 こういった点がもともとの問題意識としてありまして、これに対応するために各府省、統一的に横並びで見られるような様式を御提示し、改善に取り組んでいこうとしたものでございます。
 それから、事前分析表の意義ですけれども、目標管理型の政策評価は、当然ながら事前に目標が設定されていなければ、事後にその目標をうまく達成できたかどうかを検証できないということで、事前に目標を設定するに当たっては、具体の施策につきましてどのような事務事業を使うことでどのような目標を実現していくのかということをあらかじめ整理いたします。それによって、各府省担当者の頭の整理にもなりますし、国民の方々に対しての説明責任として、このようなことでやっていくのだということが分かるようになると、そういった考え方で御提示したものでございます。
【谷藤分科会長】  立花委員、どうぞ。
【立花臨時委員】  今日、冒頭に大臣からも、政策評価の目的というのは、PDCAサイクルをきちんと各府省に回してもらうことと、国民に対する説明責任、アカウンタビリティーをきちんと果たしてもらうのだというお話があったわけです。そういう意味から言うと、私は、田中一昭先生と農林水産省の政策評価に一時期携わった経験があります。農林水産省においては、随分前に、ウルグアイラウンドの6兆円が非常に無駄だったのではないかということを批判され、それに対してきちんと自分たちなりに組織として評価し直そうということで取り組んだということから出発しただけに、いろいろ先行した苦労もあったのだろうと思うのです。公共事業官庁であると同時に、政策官庁という両面も持ちつつ、なぜ施策の効果が上がらなかったのかという点について、きちんと評価したり、データを出したりして、非常に分かりやすくかつレーティングもしているということで、国民に対するアカウンタビリティーという面では、私は見るべきものがあるだろうと思っております。ただ、非常に資料が膨大で、国民に対する説明責任を果たすと言っても、多くの人はこの膨大なものをそればかり読んでいるわけにもいかないでしょうから、国民とこういったさまざまな政策評価のデータを共有して、政策論議のレベルを高めていくためにも、もう少し工夫していただきたい。農林水産省の場合にはあらゆる情報が非常に丁寧と言いましょうか、網羅されているのですが、一方では、その欠点として膨大になってしまっていて、全てを読み通すのが非常に難しいのではないかという点があります。そういう面で言うと、農林水産省は随分いろいろと一生懸命やって頑張っているということを見て、私なりに安心したという面がありました。
【谷藤分科会長】  佐藤委員、どうぞ。
【佐藤臨時委員】  まず、本末転倒にならないようにしないといけないと思います。もし目的がそもそも一覧性にあり、府省間での比較性・横断性を重視するのであれば、やはり原則カスタマイズは最小限にして一覧性を重視し、各府省の利便性を重視する観点から空欄を認めるとしても、何を比較しているのかよく分からないということがあっては困ると思います。
 ただ、そこは考え方だと思うのですね。むしろそうではなくて、あまり政策評価をしっかりとやっていない府省を手助けして、もう少しいろいろとやらせてみるという点であれば、当分というと日本の場合、永久になってしまうのですけれども、当分の間の移行措置としてカスタマイズを認めていくというのは、各府省からいろいろなアイデアがあるかもしれないので、一つの考え方かと思います。自分たちの中で戦略をきちんとしておかないと、やってみて当初の目的と全然違う結果になったのでは意味がないので、そこは気を付けられた方が良いと思います。
 それから、今回ヒアリングをしていてつくづく驚くのは、事前分析表のところで、目標に対する達成手段がなぜ必要なのかという御批判が多かったように思うことです。施策の目標に対してそれぞれ事務事業という手段が対応しているはずだという、その縦の関係があまり理解されていないという気がしました。それぞれのレベルで見ると、政策評価もしっかりとやっているし、事務事業もしっかりとやっているし、ただ、縦串という話がありましたけれども、その関係がうまくつながっていない府省が多かったかと思います。むしろ、そこは啓蒙活動というと変ですけれども、理解を賜るように努力する必要があるのではないかということと、それから、これは好みなのかもしれないですけれども、こういう政策評価でも事務事業評価でも行政事業レビューでも、予算要求の手段として使われるのはどうかという気がしております。厚生労働省の方が予算確保のためという言い方をしていましたが、それはちょっと都合の良い話で、これらはむしろ自分たちの健康診断です。私も仕分けをやったのでよく分かったのですけれども、やはりいらない事業はたくさんあります。人に言われてやめるのではなくて、自分たちの中で選別するための手段であるべきです。もちろん、その上で必要なものについては予算要求されればいいわけですが、予算要求ありきだと、いかに良いことを書くかということに終始してしまいます。同じ目標に対していろいろな達成手段が対応しているわけですので、その中で選別していくためにこういう評価を使いましょうといった、そういう視点を持たなければいけないと思いました。
 あと最後に一つ、先ほど御指摘もあったと思うのですけれども、データベースと言いますか、現状把握が非常にできていない、かつ外部の人間がそれをちゃんと追視できないというのが、日本の政策評価の最大の問題です。我々が見るのは、せいぜいきれいにできたグラフや図表で、これは一体どうやってできたのか、あるいはもう少しセグメントした分析ができるのではないかというのがあるので、政策評価をこれから進めて行く中で、これこそ総務省行政評価局の役割だと思うのですけれども、データベースをきちんとつくっていくことだと思います。外部の先生方からいろいろとアイデアも出てくるでしょう。最後は要望です。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 門脇委員、どうぞ。
【門脇臨時委員】  民間企業での経験から申し上げれば、このような施策に求められる最も重要な条件は、その組織がアウトプットとして求める価値を明確にしておくことです。単に国民に分かりやすくするといった目的で大作業を続けていくことには無理があるようにも思います。私には無駄な事業をこれによって浮かび上がらせて、それをやめる、改善する、あるいは新しい政策を作るというところに結び付けていく観点があまり見えない。データベースの集積による分析は、PDCAサイクルとは違った次元の作業です。アウトプットに何を求めるのか明確でない状況での大作業では、政策評価疲れのようなものが組織の中に出てくるのはある意味当然です。少なくともこれをやることによって、ある事業の効果があるのかないのか、効率的に進められたのか、非効率であったのか、判定できる方向性を出していくことが必要です。さらに効率的に事業を進めた人たちをどう評価するのか、人事システムも重要です。また、事業において効果がないものが浮かび上がってくる。そういうデータや仕組みがあって、自主的にPDCAサイクルが回せるようになることを認識すべきです。
 さらに、データベースを作ることを目的とすれば、カスタマイズをどんどん許してしまうと、データベースとはなりにくい。先ほど、日本の行政には科学的な分析がないという話もございましたけれども、国家ベースでデータベースを作るという作業は、これは極めて大きな第一歩であり、使えるものにして頂きたい。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。そのほかにどうぞ、御意見があればいただきたいと思います。
 堤委員、どうぞ。
【堤臨時委員】  幾つかの官庁のヒアリングをとおして感じたことなのですけれども、今日もお話がありましたが、事業官庁的なところと政策官庁的なところで温度差があるかな、と。同じカスタマイズをするにしても、割と積極的にやっていただくところと、ヒアリングを聞いていて、何となく仕方なくやっているような感じのところがあります。そういう意味では、最初に総務省行政評価局から提示されたものというのは、多分、事業官庁的なところについては、それぞれのカスタマイズが多少あるかもしれませんが、先ほどからお話があるような共通フォーマットとして、データベースに使えるようなものというのが、あるいは今回のヒアリングを踏まえて少しブラッシュアップをして新しいものを提示する形で、可能だろうという気がしています。一方で、政策官庁とか監督官庁的なところについては、評価はなるべく横並びにしたいということもありますので、最小限のカスタマイズでどういうふうにやっていくかというところは、少し宿題として残っているのかなという気がいたしました。
【谷藤分科会長】  そのほかございますか。
 藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】  先ほど総務省行政評価局から御説明いただいた「平成23年度における政策評価の実施について」にも書いてありますが、基本的考え方として、各行政機関の幹部職員によるマネジメントにおいて積極的に活用されることがその目的になっているということで理解する場合と、これまでも御意見が出ていますように、国民に分かりやすくということを重視するのかというのは、やはり整理しないと両方を同時に達成するのは難しいと思います。マネジメントに積極的に活用するためには、当然、各府省の組織体系や組織としての運営のやり方に密接に関連しますし、そちらを重視している府省もおありだったかと思いますが、他方で、それはまた別にやっているという府省もあったかと思います。全体として見てみますと、やはり各府省の組織としてのミッションを明確にし、体系付けて、マネジメントに活用することを通じて政策の質を上げていくという流れになっていると思われますので、その理解を基本にいたしますと、ある程度の分け方なり、カスタマイズなりというのは、やむを得ないというか、ある程度積極的に認めざるを得ないところもあるのではないかというようにも思いました。大きな枠組みとして、全府省を通じるものを総務省行政評価局が設定されているわけですけれども、全く同じ項目でできるかというと、それは逆に使いにくいものになって、使われないということになりかねないのではないかという感じもいたします。
 全体として改めて前回の会議のときに配っていただいた別紙3「各府省から寄せられた主な意見等」を見てみますと、そのおっしゃっている意味がヒアリングをした後でより分かるようになったという感じがいたします。各府省から寄せられた主な意見等の2ページ目のどういうふうに活用するかというところで、予算の関係で重複があるとか、予算の関係を重視するとスケジュールに制約が出てくるなどがここでも指摘されています。これについては、実践的に整理していただいて、どなたかからも御意見が出たと思いますが、評価書を作ってどういうふうに各府省の行政に役に立ったとか、よくなった、あるいは意味があったというところは、あまり御意見が出てこなくて、作成が大変だったというお話が多くありましたので、もう少しうまく使われるというところに結び付いていくように、総務省行政評価局で御相談いただいて取りまとめ、お進めいただけたらいいのではないかなと思いました。以上です。
【谷藤分科会長】  ここの段階では全く取りまとめいたしませんので、御意見だけ挙げていただければと思います。
 河野委員、どうぞ。
【河野臨時委員】  カスタマイズについて、藤井委員から意見がありましたけれども、内部評価用と外部報告用というのか、これはやはり目的が違いますから、情報も違ってきます。内部で評価に使う場合は、やはり詳しいものが必要でないかと思います。国民の目線と言いますか、国民もいろいろで難しいのですが、一般国民という形で言いますと、統一的な評価報告書が望ましいのではないかと思います。それで、財務省が、カスタマイズした様式を要旨として報告し、本体は従来のやり方でやるとおっしゃっていたと思うのですが、もしそういうことが可能なら、各府省の仕事が増えるかもしれませんけれども、報告用には要旨という形で各府省統一的な様式を用い、空欄がたくさんあっても結構じゃないかと思うので、統一的な報告を要旨でやったらどうかと思った次第です。意見です。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。そのほかに。
 中泉委員、どうぞ。
【中泉臨時委員】  今までもPDCAサイクルをいかに回すかということもよく言われていますけれども、政策決定にいかに政策評価を反映させるかというのが一番ポイントだと思います。公開をするという意味でも、政策が全部できた段階で、「こういう政策があります」と言って、「非常に悪い政策があります。でも変えられません」だと、公開してもあまり意味がないという気が非常にします。そういう意味では、各省庁でフォーマットを独自にカスタマイズしてもいいので、それを公開することを担保するのは必要だと思うのですけれども。カスタマイズしたからといって分かりにくくなるということはないと思いますので、私は、いくらカスタマイズしてもいいので、いかに政策決定に反映させるか、そこが非常に重要だと思います。せっかくの機会なので、総務省行政評価局にもお願いと質問なのですけれども、そういう意味でせっかく事前分析表を作られたのですから、それがこれから政策決定ですとか、今後の政策決定に活かされるような施策とか、対策などをもし考えていらっしゃるなら、少しお聞きしたいところです。
【谷藤分科会長】  説明はありますか
【山内政策評価官】  誠に申し訳ございませんけれども、政策評価の活用が重要だということは私どもも重々認識しておりますが、現時点で御説明できるような具体的な内容は持ち合わせておりません。
【谷藤分科会長】  そのほかはどうでしょうか。
【藤井委員】  マネジメントで使われるということであっても、今、御意見が出たように、それがその一定の枠組みの中で詳細であっても公表されるということは、作るほうにとっても大きな緊張感というか、国民が見ればいろいろなことが分かるという意味もあると思いますので、様式をあまり簡略化してしまって、そこだけ公開というよりは、やはりある程度情報量のあるものを公開することは重要ではないかと思います。
【谷藤分科会長】  森泉先生、何か。
【森泉委員】  どのように活用されるかというのは、中泉委員がおっしゃったように重要です。また、この100幾つもの指標をメジャーとして政策、達成度とかいろいろ使っていますが、どのような統計的処理をしたのかをお聞きしたいです。最終的には、城所委員がさっきおっしゃっていたようなことが出来れば望ましいことですが、まだ少し早いのかどうか、という点についてもお尋ねしたいです。やはりもうちょっとサイエンスとして一歩踏み出してほしい、各府省が、効果の発現の計り方がまだできていなくて、コスト削減にのみウェイトが置かれているような状況であるので、次はなるべく早くそういう段階に進んでほしいという要望を持っております。
【谷藤分科会長】  申し訳ございません。時間が過ぎておりまして、議論をしていくと果てしなく続くような感じがございまして、皆様の御意見を聞きましても、説明責任をどう果たすかという問題、政策決定にどう活かすかという問題、行政のマネジメントの改善にどう活かすかという問題、多様な目的をそのまま投げ込みにしたままで実はこれまでずっと来たわけでございます。その部分をある意味ではコンセプトを明確にしたいということもあったと思うのですけれども、なかなかそこで明確な結論を出すに至っておりません。少し今回の議論をまとめていただきまして、次回にでも議論を重ねていきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
 大変申し訳ございません。今日も時間を過ぎてしまいました。まず、事務局におきまして関係方面と調整をし、こういった意見をもう少し詰めていただきたいと思います。
 次回の分科会におきましては、来年度以降の取組について審議する予定になっていたかと思います。よろしいでしょうか。
 以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の政策評価分科会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。次回の日程につきましては、後日、事務局から連絡があるかと思いますので、どうぞよろしく御対応をお願い申し上げます。本日は御出席いただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)

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