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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(12月9日開催)議事録

日時

平成23年12月9日(金)15時30分から16時20分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第1特別会議室

出席者

(委員)
岡素之委員長、阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、山本清独立行政法人評価分科会長代理(※)、田渕雪子委員(※)、森泉陽子委員、縣公一郎(※)、荒張健、稲継裕昭、岡本義朗(※)、梶川融(※)、河野正男、河村小百合、木村琢麿(※)、柴忠義(※)、鈴木豊、園田智昭、玉井克也(※)、野口貴公美(※)、宮内忍(※)、宮本幸始、山谷清志(※)の各臨時委員
(※)を付した委員は、議決の一部に参加していない。

(総務省)
川端達夫総務大臣、主濱了総務大臣政務官、新井英男行政評価局長、井波哲尚大臣官房審議官、三宅俊光行政評価局総務課長、永留世悟政策評価審議室長、北川修評価監視官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

<政策評価・独立行政法人評価委員会> 
(1)「中期目標期間終了時の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性(案)」について
(2)「平成22年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見(案)」について
(3)報告事項
<独立行政法人評価分科会>
(1)役員の業績勘案率(案)について
(2)報告事項

配布資料

会議経過

【岡委員長】  定刻になりましたので、ただいまから第59回政策評価・独立行政法人評価委員会を開会いたします。
 本日は公務御多忙のところ、川端総務大臣及び主濱政務官に御出席いただいておりますので、御挨拶をいただきたいと思います。
 最初に、川端大臣から、よろしくお願いいたします。
【川端総務大臣】  皆さん、こんにちは。総務大臣の川端達夫でございます。
 本日は勧告の方向性と評価の結果等についての意見について、取りまとめていただく運びになりました。今日に至るまで、そして、普段も含めて、委員の皆さん方には大変お世話になっていること、この席をかりて、お礼を申し上げたいと思います。
 これらの御提言を踏まえまして、的確な見直しが行われることで、独立行政法人のパフォーマンスの向上、国民の一層の信頼が得られるように、我々としても取り組んでまいりたいと思います。
 独立行政法人に関しましては、現在、行政刷新会議において、抜本的な組織の在り方を含めての検討が見直し作業として行われております。その中で、多種多様な独立行政法人がありますので、一律的に全て同じということではなく、例えば、組織の運営や予算の執行という共通のことはあるのですけれども、それぞれの役割、位置付け等々、異なる部分もありますので、そういう部分で、事業の特性に応じたガバナンスの在り方を含めて、今、検討されているところでございます。そういうことも相まって、新たな制度の方向性が年内には明らかになってくると思っておりますが、私としては、法人のパフォーマンスの向上、その成果の国民への還元という観点を重視しつつ、これらの改革の動きに連携・協力をしてまいりたいと思います。政策評価・独立行政法人評価委員会は制度の発足以来10年余り、法人運営の適正・効率化や評価の質の向上に多大な貢献をいただきました。委員の皆様方におかれては、新たな制度の下でもこの使命は変わりませんので、今まで築かれてきた評価の経験が活用されるよう、引き続き精力的に評価の取組を進めていただくことをお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。引き続きよろしくお願いいたします。
【岡委員長】  大臣、ありがとうございました。
 続きまして、主濱政務官から御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。
【主濱総務大臣政務官】  総務大臣政務官の主濱でございます。
 本日は御多忙の中、御参集いただきまして、ありがとうございます。今年度は延べ40回以上の会合の開催ということで、例年より短いスケジュールの中で指摘事項の取りまとめを行っていただいているところであります。
 貴重なお時間を割いていただいて、御審議いただいていることに厚く御礼を申し上げたいと思います。
 ただいま、総務大臣からお話がありましたけれども、独立行政法人改革における新たな制度設計に係る議論の整理ということで内閣官房の行政改革推進室、あるいは内閣府の行政刷新会議で議論の整理をしている段階になっております。様々なことを進めておりますけれども、見直しの動向も踏まえつつ、引き続き精力的な御審議を賜り、国民の期待にこたえる評価の取組を進めていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。
 改めて御礼を申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。本当に今日はありがとうございました。
【岡委員長】  ありがとうございました。
 ここで川端大臣と主濱政務官は公務のため御退席されます。本日はお忙しい中、御出席、ありがとうございました。
【川端総務大臣】  ありがとうございました。また、よろしくお願いします。
【岡委員長】  ありがとうございました。
(川端総務大臣・主濱総務大臣政務官 退席)

【岡委員長】  それでは、本日は「主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」及び「平成22年度における独立行政法人等の業務の業績に関する評価の結果等についての意見」を御審議・御議決いただきたいと思います。
 本年は、東日本大震災を受け、各府省や独立行政法人を含め、国の総力を挙げて復旧・復興に当たる中で独立行政法人評価作業を行ってまいりました。概算要求が9月末となったことに伴い、審議期間が例年より1か月短くなりましたが、委員の皆様方には、節電で暑い頃から評価の準備に取り組み、効果的・効率的に評価作業を行っていただきましたことについて、心から感謝申し上げます。
 それでは初めに、事務局から一括して説明をさせますので、よろしくお願いいたします。
【北川評価監視官】  まず、勧告の方向性についてでございます。資料1−1の表紙をお開きください。主要な指摘事項をピックアップして、簡略にまとめております。
 内容につきましては、前回11月7日の独法分科会で中間報告をさせていただいたところですが、そのポイント及び方向性は変わっておりません。その後も各ワーキングにおいて、各省・各法人との間で精査の作業、事実認識や改善に向けての方策としての合理性やフィージビリティについて、更に精査し、併せて文章表現も練りまして、ここに至ってございます。各省とも、やりとりを通じまして問題意識を共有させていただき、データ・資料の提供等を通じまして、真摯な御対応をいただいたものと認識しております。
 見直しの具体例でございますが、まず、1ページ目の「法人のミッションを踏まえた事務・事業の見直し」でございます。
最初は郵貯・簡保機構でございます。これは実際に約2万3,000程度の郵便局で商品を取り扱っているということで、これを実地監査していくに当たり、40人規模の法人では十分に行いにくいということでありますので、業務委託先及び再委託先であるゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、更に郵便局会社の内部統制機能を活用して、これらとの連携を組み合わせて、実のある監査を充実させていくべきという方向性を指摘しております。
 続きまして、国際協力機構(JICA)でございます。ODA事業につきましては、会計検査院等からも事業効果の発現が不十分なものも見られるという指摘もございます中、より有効な、無駄のないODAを実現していくためには、現場、つまり在外機能を総合的に強化していくことが必要であり、開発途上国の真のニーズに応えるため、現場主義をより充実させていくことにより、ODAを戦略的・効果的・効率的に実施していき、ODAに係るPDCAサイクルを着実に推進していこうということです。それから、在外機能強化ということで、JICAの国内定員と在外定員の割合でございますが、数年を見ましても、あまり変わっていないところであり、在外の方にシフトしていくこと等を組み合わせまして、在外機能を強化していくべきという指摘になっております。
 続きまして、科学技術振興機構でございます。競争的資金の配分が機構の主要な事業でございますが、これまで以上に研究成果が国民生活や社会に還元される、あるいは還元されたかということについて、より一層国民に具体的に分かるように説明責任を果たしていくべきであるということを指摘しております。また、この法人は多数の特許を保有しておりますが、長期間未利用になっている特許が数多くあることから、技術移転活動の活性化を推進するとともに、未利用特許の計画的・継続的削減など研究成果の活用と管理の適正化を推進していくべきという指摘になってございます。
 続きまして、労働政策研究・研修機構です。主に3点、研究と調査、管理の部門について、それぞれ指摘をしております。研究に関しましては、労働政策への寄与度をより明確に示し、労働政策の企画・立案に直接貢献する調査研究により重点化していくべきだという方向性で指摘を行っております。
 続きまして、日本貿易保険でございます。この法人は貿易再保険特会の廃止、特別会計改革の絡みでの指摘事項がございます。刷新会議の方では特殊会社化を視野に議論がされておりまして、法人の根本的在り方自体が非常に流動的な中でございますが、その事業の中身といたしましては、国際金融市場の不安定さや国際政治的なリスクが顕在化していることに対応し得るリスク審査能力を向上させていくべきという指摘を行っております。
 続きまして、原子力安全基盤機構でございます。これはまさに11月7日の中間報告のころに、原発への検査に当たり、検査要領について、検査を受ける対象の事業者に下書き的なものを作ってもらっていたという報道が出たこともあり、中間報告以降、より厳しい方向での活発な議論をワーキングでしていただきました。指摘事項でございますが、度重なる検査ミス等により失墜した国民の信頼を回復するために、組織風土自体を刷新する必要があるということであります。また、検査の独立性と検査員の中立性・公正性の確保の観点から、検査を原子力事業者等の出身者に依存することがないような体制を構築していくべきである。今、検査員の多くが事業者のOBの方であるという現状もございますので、そういった体制の再検討と人員面をあわせまして、検査の在り方、内部チェックの仕組み、監査の仕組み等の抜本的な見直しと検査に係る情報をより開示していくということを指摘しております。それから、オフサイトセンターでございますが、福島原発事故で福島に設置されているセンターが使用不能になったという反省も踏まえての在り方の見直し、更に、日常的な運営を事業者に委託しているということ、そういった管理運営の方法も含めた見直しが必要であると指摘し、まとめております。続きまして、研究等業務でございますが、福島原発事故収束への対応等の喫緊かつ最重要課題に資源をより集中投入していくために、長期間半ば固定的になっている研究テーマについて一層見直して、研究のマネジメント、資源投入のメリハリ付けや進捗管理といったマネジメントをより徹底すべきということを指摘しております。また、この法人の人員構成でございますが、技術系の職員の方、50歳以上の人が3分の2以上を占めておられる。新規採用が非常に少なくて、中高年齢になってからの中途採用の方が多く、その多くは事業者OBであるという状況について、中長期的視点から人材の育成確保の在り方を再検討していくべきであるという指摘をまとめてございます。
 続きまして、自動車事故対策機構です。交通事故により遷延性意識障害になられた方への専門の医療施設である療護センターにつきまして、入所できる人と、入れずに在宅で介護している人の間の処遇の差異が非常に大きいということでございますので、その公平性をいかに確保していくのかという観点から、センターの周知の徹底を図るとともにセンターで得た知見・成果をより広く普及促進するとともに、在宅介護をされている方への支援を推進していくということをまとめています。
 住宅金融支援機構については、この機構の中心業務であります証券化支援事業について、繰越欠損が依然として発生しているという状況に鑑み、経営状況を改善すること、また、住宅ローンの金利のうち、機構の経費相当分についての経費率は低下していることを反映した金利の引き下げの検討を含めて商品の見直しを実施していくべきであるということを指摘しております。
 おめくりいただきまして、「業務実施体制の見直し」です。法人の内部組織の在り方でございますが、JICAは本部が多数の部局課から成っておりますので、ここを組織再編、スリム化を検討すべきということでございます。自動車事故対策機構は全国50か所、ほぼ各県毎に支所がございますが、安全指導業務への民間参入を促進するということも別途指摘しておりますので、これも踏まえて支所の合理化を図るべきとしております。
 それから、事務・事業の縮減です。傾向的に事業のパイが減ってきているという事業については、組織・人員の合理化は計画的に図っていくべきであるということで、こういった法人について指摘しております。
 次に「その他の見直し」ですが、郵貯・簡保機構について、権利消滅金等の国庫納付を検討すべきであるということです。
 それから、国際協力機構、国際交流基金ともに、在勤手当等の見直しを行い、それを次期中期計画等に的確に反映していくべきと指摘しております。
 それから、自動車事故対策機構ですが、安全指導業務につきまして、民間参入を促進する具体的な措置を講じていくべきということでございます。
 住宅金融支援機構ですが、住宅融資保険業務及び住宅資金貸付業務のうち、民間の事業者で代わって提供できるような状況を踏まえて機構の見直しを検討すべしということでございます。
 また、横断的な事項でございますが、まず、各法人共通のこととして、内部統制の充実・強化です。昨年の3月に総務省の研究会でも内部統制についての報告書をまとめましたし、私どもの二次評価の意見でも内部統制を取り扱っておりますので、こういったものも参考に充実・強化を図るべきということです。それから、運営費交付金債務残高の発生状況にも留意した運営費交付金額の算定をということでございまして、こういった横断的な指摘事項については、刷新会議の制度改革でも内部統制を充実させる、運営費交付金をより透明に、事業の遂行との即応関係をより明確に示していく方向性と整合するものでもあると思います。
 見直しの関係の概略は以上でございまして、続きまして、今年度の二次評価の意見について御説明を申し上げたいと思います。
【萬谷調査官】  それでは、資料2−1で説明させていただきます。
 表紙を1枚めくっていただきまして、1ページです。今回の二次評価の対象としましては、1ページの上段にございますが、104の独立行政法人です。これは18ページにその一覧を掲載しております。これらに加えて、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団(助成業務)、国立大学法人等を対象としています。
 これらの対象につきまして、今年も例年と同じように、枠書きの(1)にございますが、主要な視点、基本的な視点といたしまして、(1)国民に分かりやすいものとなっているか。それと、業績の増進、サービスの質の向上を志向した評価がなされているか。要は、法人の運営改善を促すような評価がされているかどうかということでございます。
 (2)としましては、政府方針、あるいは政独委が出した過去の勧告の方向性や二次評価意見の指摘に対して、それの改善がきちっとされているかどうかということでございます。
 (3)としまして、財務、資産、内部統制等々についてはどうかということでございます。これらの基本的な評価の視点に立ちつつ、(2)にございますが、今年は震災がございました。震災の発生に伴って、各法人においては被災者支援や復旧・復興対応等々でいろいろな取組をやっている中でありますので、昨年度の指摘事項のフォローアップに特に留意しながら、二次評価を効果的・効率的に進めましょうという姿勢で御審議をしていただきました。
 1枚めくっていただきまして、内容でございます。
 2ページですが、こちらは各府省評価委員会に対する共通の意見でございます。まず、一つ目が内部統制についてです。
【平野調査官】  内部統制の充実・強化につきましては、平成22年3月に独立行政法人の内部統制の概念等を整理した総務省の研究会報告が取りまとめられております。この研究会には樫谷前分科会長代理や梶川先生、鈴木先生にも御参加いただいております。
 この研究会報告書を受けまして、政独委としても、法人におけるマネジメント改革が重要であるとして、評価活動を通じて、内部統制の充実・強化に昨年度から取り組んでいるところでございます。
 昨年度は初めての評価でありましたので、法人の内部統制への取組について、評価結果において言及されていない評価委員会に対し、言及するよう意見を述べたところです。
 今年は、法人の長のマネジメントに関する事項を中心にしてフォローアップしたところでございますけれども、多くの評価委員会で言及されるようになり、内部統制に関する評価はおおむね定着したのかなと思っております。
 今後は、評価内容の充実に取り組む必要があるとして、参考となる留意点などを提示し、引き続き、評価委員会における内部統制の充実・強化に向けた取組を慫慂(しょうよう)していきたいと思っております。
 主な留意点としては、組織にとって重要な情報の把握や法人のミッションの役職員に対する周知徹底や各役職員における自らの職務の位置付けであり、まさにここは一人一人の職員の意識改革が重要であるということでございます。
 あとは、トップと現場等における双方向の意思疎通でございます。
 それから、リスクの洗い出し、組織全体として取り組むべき重要なリスクの把握・対応で、こういうふうに業務の改革を職員一人一人が積み上げていくことが重要でないかということを指摘しております。
 具体的な取組等につきましての例は19ページ以降に書いております。
 また、本体の報告書においては、かなり具体的な例を記載させていただいているところでございます。
【萬谷調査官】  次に2ページの下のその他に二つございます。一つ目は基本方針への対応等ということで、昨年12月に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」のフォローアップを引き続き適切にやっていただきたいということ。二つ目は震災に関連した評価ということで、被災者支援や復旧・復興対応の取組に関して評価することになった場合は、その取組自体が法人の本来のミッションなのかどうなのかというところを踏まえた上で評価することが重要ではないかということと、業績低下等によって目標未達になった業務について、震災との関係はどうなのかと、震災だけの影響によってそうなったのかどうなのかというのを入り口できちんと精査することが重要であろうということを指摘しております。
 3ページになります。こちらからが個別意見になります。数えますと53事項です。去年については60事項でしたから、ほぼ同じぐらいの事項数と考えております。便宜の整理として(1)、(2)、(3)とございます。(1)につきましては、昨年度の二次評価意見等についての指摘がきちっと直っているかどうか、評価が十分であるかどうか。
 (2)につきましては、評価の結果について、評定や評価の理由・根拠についての説明が十分なのか、不明確なのかということ。(3)については、法人運営について、改善を要するところがあるものについては促すような評価がされているかどうかということです。
 (1)につきましては、ここにありますが、医薬品医療機器総合機構等をはじめ7法人、5評価委員会です。(2)につきましては、北方領土問題対策協会をはじめ37法人、8評価委員会。(3)につきましては、情報通信研究機構や原子力安全基盤機構を含めまして9法人、3評価委員会に対して二次評価意見ということで指摘を整理しております。
 次のページから具体的な事例になりますが、全部説明していると時間がございませんので、主要なところだけ簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 まず、4ページ、医薬品医療機器総合機構です。こちらについては、平成21年度、22年度の当委員会の意見としまして、目標未達の場合における要因分析と改善策を法人に明らかにさせましょうということで意見を出していたのですが、今年度の評価の内容を見ますと、行政側の申請期間に関しては言及があるものの、申請者側については目標を下回っているけれども、何らの言及もないということを指摘しております。
 めくっていただきまして、6ページになります。自動車事故対策機構についてです。こちらは生活資金貸付業務に関して、人件費、債権回収経費等のコスト要因分析をしっかりして、その上で業務の見直しをきちっとやりましょうということを勧告の方向性で言っております。
 これに対しては、平成19年、20年度までは要因分析をしていたのですけれども、21年度はコスト要因分析自体が行われていない、これをきちっと履行するように指摘すべきであるということを言っております。
 8ページをごらんください。評価の内容が不明確、不十分というものでありますが、国際交流基金です。ここは2点あります。1点目は研修センターに設置されている図書館の来館者数についての評価をしているのですけれども、そもそも来館者数の目標値が設定されていない。
 2つ目は、ウェブマガジン、定期刊行物の関係ですが、アクセス件数等々についても、目標値が設定されていない中で、素晴らしいという評価をしているので、そこは目標値を明らかにした上で、きちっと評価をすべきではないかということを指摘しております。
 12ページを御覧いただけますでしょうか。先程のものと同じ、評価が不明確・不十分という分類のものでございますが、こちらの農畜産業振興機構では、野菜関係業務の交流会という事業をやっているのですが、この交流会に出展したあるいは参加したということを評価の指標としております。しかしながら、交流会自体の本来の目的というのは、商談につながるか、契約につながるかということでして、事業の目的に沿った指標に基づいてきちんと評価をすべきではないかということを指摘しております。
 最後に、16ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは、業務改善を促すような評価を行うべきというものの事例でございます。原子力安全基盤機構に関しての指摘でありますが、左の欄の下線部を見ていただきますと、評価委員会の評価としましては、各部門間で総合点検の仕組みも機能し、内部統制については既に一定レベルに達しているという評価をしています。
 右の欄を見ていただきますと、当方の意見でございますが、二つ目の段落で下線を引いておりますが、実際には検査ミスが多発しているのと、先ほど北川監視官からも説明がありましたけれども、今年の11月ごろに、機構側が業者から出てきた資料を基に、検査のチェックリストを丸写ししたというような報道もされています。そういった事象が起きているということから見ると、内部統制が一定レベルに達したというのは、ちょっとおかしいのではないのかということで、きちんと法人の方に職員の意識改革、あるいは業務全般の抜本的な見直しを促すような評価をするということが重要ではないかという指摘をしております。
 以上でございます。
【北川評価監視官】  引き続きましてですが、勧告の方向性と二次評価意見の公表にあわせまして、例年、委員長の談話というものを発表しております。資料1−2の表紙をおめくりいただけますでしょうか。こちらに、取りまとめに当たっての委員長の談話の案を掲載しておりますので、朗読させていただきます。
 1.本日、当委員会は、平成23年度末に中期目標期間が終了する9の独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性を各主務大臣に対し指摘するとともに、平成22年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見を、各府省の独立行政法人評価委員会等に通知しました。
 2.今回、当委員会は、対象9法人の主要な事務・事業についての徹底的な見直し及び平成22年度における業務の実績に関する評価結果等に対する政府横断的な評価を行いました。
 その結果、今回の「勧告の方向性」では、
・原子力施設の中立・公正な検査を確保し、国民の信頼を回復するため、法人の組織風土の刷新はもとより人材構成を含む業務全体の抜本的な見直し(原子力安全基盤機構)
・ODA事業について、現場主義の強化による、開発途上国の真のニーズを踏まえた効果的・効率的な実施(国際協力機構)
・競争的資金等による研究成果の企業化等を通じた国民生活への還元の明確化(科学技術振興機構)
など、それぞれの事務・事業の見直しについて具体的な指摘をしております。
 当委員会としては、これらの指摘が最大限に尊重され、適切な見直しが行われることによって、各法人の適正、効果的かつ効率的な運営に大きく寄与するものと確信しております。
 3.また、二次評価意見については、内部統制の充実・強化に向けた取組の促進などについての指摘を行うとともに、評定の理由の明確化等の指摘を行っています。当委員会としては、各府省の評価委員会において、今般の意見を踏まえ、一層の評価の質の向上に向けた取組が行われることを期待します。
 4.もとより、独立行政法人の適正、効果的かつ効率的な運営には、主務大臣並びに主務省の評価委員会及び担当部局の努力とともに、独立行政法人自らの努力が不可欠です。すなわち、積極的なマネジメント改革に取り組むとともに、現場の職員一人一人が自発的に意識改革を行い、業務の改善を積み上げることにより、トップダウンの改革とボトムアップの改善とがあいまって、法人のパフォーマンスが更に向上されることを期待します。
 5.また、未曾有の被害をもたらした東日本大震災から約9カ月。我が国は、震災の教訓を踏まえつつ、国の総力を挙げて、震災からの復旧、そして将来を見据えた復興へと取組を進めています。
 多くの独立行政法人においても、被災者支援等国民生活のための対応を行ったほか、大きな被害を受けた法人も業務の停滞を最小限に留めるべく対応しています。また、3月11日以降、ほとんどの独立行政法人が、各行政分野で、それぞれのミッションに則して復旧・復興に対応し、国全体の取組に貢献しています。
 今後とも、法人の長のトップマネジメントの下でのこうした積極的な取組を期待します。
 6.最後に、行政刷新会議における独立行政法人の組織・制度の抜本的な見直しに関しては、法人の事務・事業の特性に応じた類型毎のガバナンスの構築、実効性・中立性を確保した目標・評価の仕組みの構築、法人の組織・財政規律の整備・充実、国民への説明責任の徹底等について、当委員会とも問題意識を共有するものです。国の政策の実施に不可欠な公法人として国民の十分な信頼を得られ、真に実効的に機能し、法人のパフォーマンスの更なる向上に結び付く制度が確立されることを期待します。
 当委員会としては、引き続き現行制度下における中立・公正・客観性を担保する第三者機関としての機能に鑑み、適切に独立行政法人評価の活動を行うとともに、これまで10余年の経験も踏まえ、新たな公法人の評価制度の設計及び運用の検討にも寄与してまいる所存でありますので、引き続き御理解を賜りますようお願い申し上げます。
 以上でございます。
【岡委員長】  ありがとうございました。それでは、本件につきまして各委員の皆さんから御意見、御質問などがございましたらお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、お諮りさせていただきます。まず、「平成23年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」につきましては、政策評価・独立行政法人評価委員会及び独立行政法人評価分科会として、本案のとおり決定するということでよろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  ありがとうございました。それでは本件につきましては、委員会の決定とし、主務大臣あてに通知することといたします。
 なお、公表、事後の事務的な処理につきましては阿曽沼分科会長と御相談の上、対応させていただくことで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  よろしいですか。ありがとうございます。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
 続きまして、「平成22年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見」につきましては、政策評価・独立行政法人評価委員会及び独立行政法人評価分科会として本案のとおり決定するということでよろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  よろしゅうございますか。ありがとうございます。本件につきましては、案のとおり委員会の決定とし、関係独立行政法人評価委員会等の委員長あてに通知することといたします。
 なお、公表、事後の事務的な処理につきましては、本件も阿曽沼分科会長と御相談の上、対応させていただくということで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  よろしいでございますか。ありがとうございます。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
 続きまして、事務局から報告がございます。お願いいたします。
【北川評価監視官】  2点ございます。
 まず、資料3としてお配りしております独立行政法人評価年報(22年度版)でございます。冊子を机上に備えつけてございます。この評価年報でございますが、毎年度、独法の情報と評価の情報を取りまとめて公表しているものでありまして、本日、ホームページ上において公表を行いたいと思っております。中身は、平成22年度に行った評価についての取りまとめですとか、22年度の財務諸表に基づく統計でございますので、若干のタイムラグもございますが、一覧性のある統計・データブックとして各方面で活用されているものでございます。
 続きまして、行政刷新会議における独法改革の状況についてでございます。お配りしていますのは、11月25日に行われた独立行政法人改革に関する分科会(第9回)の資料でございます。前回11月7日の当方の分科会以降、刷新会議の方における分科会は4回開かれまして、制度について引き続きの議論がなされております。12月7日に開催された第10回の分科会も、傍聴してまいりましたが、まだいろいろな方向からの意見が出ております。また、制度と並んで組織の統廃合については、公表できるような案はまだ提示されておらず、刷新会議側と各府省の間で調整中でして、先行きはなかなか見えにくい状況でございます。
 制度の議論の中身でございますが、お配りしています資料4の中の通し番号の3ページに大まかなものがございますが、現行の状況に対する問題意識と、これに対応するためのどういう設計の方向性を考えるかということがまとめられております。
 一つ目は組織規律で、独法の自主・自律性というのを非常に重んずるのが今の制度でございますが、その分、主務大臣の関与が弱くなっておりまして、主務大臣が政策実施ツールとして機動的に活用していくという面では弱いことになっているということ、それと内部ガバナンスに不十分な面があるのではないかということで、組織に関しましては、国の監督権限を強める方向、それと法人の内部ガバナンス強化ということで、監事機能の強化等を図っていくという方向性での議論です。
 財政規律に関しましては、運営費交付金の使途が不透明であるということ、それから、不要な金融資産が法人に残留しているという例があり、こういったことについて、より交付金を透明にする措置を講ずる方向で考えられております。
 目標・評価でございますが、中期目標をより明確、具体的なものにしていくということで、目標管理というスキームの実効性の向上が言われておりますが、これはもとより、今回の勧告の方向性でも、政独委が何度も言ってきたことでございまして、勧告の方向性でも総論に記載しておりますし、各論でも各法人に指摘していることであり、軌を一にするものでございます。それから、二次評価の絡みでございますが、統一的なルールがない、評語s、a、b、cの付け方、分布がまちまちであること。それから、評定の理由が不明瞭なところもあり、不祥事等があった法人に対してもaとかsとかいうことが続いていることがあるということで、統一的なガイドラインを整備していく必要があるという方向が議論されています。
 最後に、透明性・説明責任と情報公開の内容を拡大していく、それから会計基準の見直しを図っていこうという総論的方向性が示されております。
こういった総論がございます一方で、今現在102ある独法を、特性に応じて類型化して、濃淡つけて当てはめて制度設計していこうという大きな議論のアプローチがありまして、そういった類型化につきましては、16ページ以降に法人類型がございます。まず、前提といたしまして、現在102の独法は、大きく三つに分けられると思います。一つは、国に戻すべきものも含めた、非常に国に近いグループ、行政執行型の法人でして、このグループについては、中期で裁量的マネジメントをして成果をどんどん上げていくというよりは、毎年度確実、正確にやっていくと、それをいかに効率的にやっていくかということでございます。片や対極に廃止があり、民間法人化があり、あるいは民営化、すなわち特殊会社のような形、より民に近い方向でというグループがございます。その真ん中に、いわばポスト独法といいますか、目標管理でやっていきましょうというグループがございます。真ん中の目標管理グループについて、16ページの「2.研究開発法人」以下の、さらに目標管理型の中での内訳といいますか、類型別の考察がなされております。
 16ページにあります研究開発法人、それから17ページに文化振興法人、大学連携法人、めくっていただきまして金融関係法人、国際関係法人、人材育成法人、行政事業法人と、この7つほどの類型のイメージが示されております。組織の統廃合を含めた組織論はまた別途並行してやっておりますので、具体的にどの法人がどれに入るのかは、まだ流動的ではっきりしないところでございますが、このようなタイプが提示されております。
 前回の刷新会議の分科会を見ていましても、大きな議論になっているのが、研究開発法人の取り扱いでございまして、刷新会議の分科会では研究開発法人も包含して、独法全体の改革像を検討しております。片や、内閣府の方では、我が国の科学技術イノベーション政策全体をどうもっていくかということで、そのための司令塔体制を整備するべきだと。その体系において、司令塔の下の実施機関たるポスト独法研究開発機関のようなものの在り方も考えているということでありまして、この二つが今、同時に進行しております。どちらも12月中下旬の取りまとめを目指しておりまして、両者の議論をすり合わせていく調整も、今始まり出したばかりであるという状況でございます。
 このように、先がまだなかなか明確に言えない不透明な状況でございますが、来年以降もさらに改革の進捗に応じまして、議論が具体化すればするほど当委員会事務局としても、関わりは一層深くなってくるのであろうと思いますし、新しい評価の在り方等々についての政独委の貢献というのも考えていかなければいけないということであろうかと思います。ということで、引き続き注視しまして、委員長、分科会長等と御相談してまいりたいと思っております。
 御報告は以上でございます。
【岡委員長】  ありがとうございました。ただいまの事務局の報告につきまして、何か御意見、御質問がございますでしょうか。
【縣臨時委員】  ありがとうございます。一つだけ伺います。今、伺った法人の類型は、どれぐらいの意味があるのでしょうか。つまり、類型を分けた分だけ違ったタイプの法人が実際にできるということなのか、或いは、機能上区別しているというだけなのか、最終的に制度はどういうことになるのかということです。
【北川評価監視官】  そこは、まだ明確なものは打ち出されていないと認識しておりますが、7グループを成果目標を達成する○○法人という1個の法人形態にして、その中で文化振興をやるグループといったような、それぞれの特性に応じた特則のようなものを付けていくという、大きくくくれば一つの船とした中で差異をつけていく方向が一つあろうかと思います。七つの船があるのか、一つの船の中に七つの小部屋があるのかということについては、今時点でははっきり明確になっていないと思います。
【岡委員長】  よろしゅうございますか。
【縣臨時委員】  はい。
【岡委員長】  他に、いかがでございましょうか。
 それでは、ございませんようですから、先へ進めさせていただきますが、最後に阿曽沼分科会長から御発言をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
【阿曽沼分科会長】  岡委員長、ありがとうございます。
 「勧告の方向性」及び「22年度業務実績評価意見」の取りまとめに当たりまして、独立行政法人評価分科会各ワーキング・グループの委員の皆様には、例年よりも短いタイトなスケジュールの中で、延べ46回、会合を開催していただきまして、精力的に御審議をいただきました。まずは委員の皆様に御礼を申し上げたいと思います。
 各委員の皆様には、時には法人の所管府省と厳しく対峙していただきました。特に、国民からも厳しい指摘のある原子力安全基盤機構の検査業務については、抜本的な見直しを求めることといたしました。このような厳しい姿勢による審議プロセスを通じまして、中立・公正な第三者機関としての当委員会の役割を果たせたのではないかと考えております。
 原子力安全基盤機構の見直しの中でも議論になりましたが「人材の育成」については、原子力安全基盤機構のみならず、全ての独立行政法人のマネジメントに共通する重要課題であろうと考えております。特に原子力安全基盤機構に関しましては、中長期の視点で考えるならば、学校教育の段階まで遡った人材の育成プログラムの再考も必要になってくるのではないかと考えらます。専門能力の一層の向上と組織的運営の高質化を図るとともに、高い士気、そしてまた誇りをもって、積極的に自己改善を図っていける意欲旺盛な人材をいかにして育成していくかが問われています。このことは、実は独法だけに限らないわけでありますがけ、特に独立行政法人に関しましては、各法人の長の方々の強いリーダーシップによる改革の取組を期待したいところでございます。
 また、多くの独立行政法人におきましては、復旧・復興のために様々な活動を行っております。長のリーダーシップの下で行われる法人のミッションに資する活動については、積極的に評価を行い、法人の自律的な活動を促すことが重要であります。一方、それが目標未達の言い訳になってはならないわけでございますから、評価の目利きというものが、この委員会にとってもより重要になってくるであろうと考えるところでございます。
 ただ今、御説明がございました独法制度の改革の関連で一言申し上げたいと思いますが、行政刷新会議において、独立行政法人の制度と組織の在り方を抜本的に見直す検討が行われております。前回の分科会でも申し上げましたとおり、当分科会としてもその議論を注視してまいりたいと思っております。
 刷新会議の制度改革の議論の整理を見ますと、全ての独法を一律に扱うのではなく、特性に応じて類型化をして制度設計していくというところでございます。先ほどの質疑応答の中でも、まだまだはっきりしたところは固まっていないようでございますが、こういった議論の中で、評価の実効性を高めていくために、中期目標自体をより明確・客観的なものにしていく方向が示され、また目標・評価の中立性・公正性を確保するための第三者機関の設置などの案が示されております。当分科会の問題意識と軌を一にしているわけでございますので、こういった点についても注視をしてまいりたいと思います。
 このような新しい目標・評価制度が、真に有効に機能するためには、今後の制度の設計や運用のルール作りにおいて、約10年間の経験を踏まえて、当委員会の経験・知見が、十分に生かされていくことが必要だと考えております。新制度への移行には相応の期間が必要でございますので、当分科会と致しましては、移行までの間、現行制度における中立・公正な第三者機関としての使命を適切に果たしていくことは当然でございます。が、これまで当委員会は独立行政法人全体を俯瞰して評価を行ってきたわけでございますから、その経験を生かしまして、新たな目標・評価制度が、より効率的・効果的に行われるように我々としても貢献をしていまいりたいと考えております。引き続き、委員の皆さん方には是非、今まで以上の積極的な活動をお願い致しますと共に、議論をより深めていただきたいと思っております。ありがとうございました。
【岡委員長】  ありがとうございました。阿曽沼分科会長をはじめ分科会の委員の皆様方には、大変精力的な御審議を経て、今般の取りまとめをいただいたことに改めまして感謝申し上げます。
 今日のまとめとしましては、先ほど事務局から既に読み上げていただきました「委員長談話」で、私の考え方は整理させていただいております。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会を閉会することといたします。なお、10分間の休憩の後、引き続き独立行政法人評価分科会を開催することとなっておりますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
( 休  憩 )

【阿曽沼分科会長】  それでは時間になりましたので、ここから政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 先ず最初に、「役員の業績勘案率について」の審議を行います。
 事務局から説明をお願いします。
【平野調査官】  それでは役員退職金に係る業績勘案率につきまして、説明させていただきます。資料5−1を御覧いただきたいと思います。1ページ目の総括表ですけれども、今回、御審議いただく退職役員は3省15法人で19名となっております。このうちの18名は業績勘案率1.0となっており、文部科学省所管の物質・材料研究機構の理事1名が1.1で通知されてきております。1.0で通知されました18名の役員の業績勘案率につきましては、それぞれの担当ワーキング・グループで御審議していだいた結果、いずれの法人も役員在職中の法人の業績は良好であり、中期計画等を達成していること、各役員の個人業績につきましても特段の加算要因も減算要因もないとして、政・独委の意見案としては2ページ以降に記載されておりますとおり、「意見はない」という案になっております。
 次に文部科学省評価委員会から1.1で通知されました、物質・材料研究機構の理事1名について御説明させていただきたいと思います。理事の在任期間は平成17年4月1日から平成23年3月31日の6年間で、重点開発領域や知的基盤の充実・整備等の部門を中心に担当しております。重点開発領域につきましては、ナノテクノロジーを活用した新物質や新材料の創生など機構の中心的研究を担っているというところでございます。
 法人業績につきましては、文科省評価委員会による評価ではいずれも中期計画を下回っている評価はなく、本件役員の任期中の法人業績は良好かつ適切に運営されるものと判断されます。更に、退職手当を加算支給するほど極めて好調か、という点から見ますと、対象役員の任期中における法人の業績等につきましては、若手の研究者を海外から集めて若手国際研究拠点を平成15年に作るという活動をしておりまして、その活動の結果が19年に外国人有識者を含む文部科学省戦略的研究拠点育成評価委員会で高い評価を受けております。また、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点として独法の中で唯一採択されており、そこにおける研究も東大とともに、高い評価を得ております。更に、材料分野における総論文被引用数においても、全世界の大学、研究所の中で独法化前に31位だったのが、平成20年度には3位となるなどかなり好調な業績となっている状況でございます。研究開発成果についても新材料の開発等に成功しており、世界で初めて成功した例などいろいろございます。このため、第3ワーキング・グループにおいては、法人の業績は退職手当を加算支給するほど極めて好調と判断できるのではないかということでございました。
 次に個人業績でございますけれども、この理事は先ほど申しましたように、機構の中心的な研究である重点研究開発領域を担当しており、当該理事の在任期間中の法人評価においてS評定が27個あるのですけれども、このうち24個がこの理事が担当した分野における成績でございまして、Sの9割がこの理事が担当している分野において高い評定を受けているところとなっており、また、主な担当業務の中でも、先ほど申し上げました平成19年の国際ナノアーキテクトニクス研究領域を担当していたり、その立ち上げにもかなり努力されているということがございます。知的財産や外部資金の応募につきましても、非常に高い成績を得ておりまして、特許収入やライセンス関連統計データなどを見ると物材研はトップレベルにあるというようなことでございます。また、減算要因については特段ないものとなっております。
 以上の検証結果を踏まえ、法人業績及び個人業績を総合的に勘案すると、理事について、法人業績及び個人業績とも加算要因が認められるとして、文科省評価委員会から通知のあった業績勘案率1.1については、意見はないものとしたいということになっております。
 それから、1年前ですけれども、この法人の理事長についての業績勘案率を審議した際は、1.2ということでございました。理事長自身がリーダーシップを発揮し若手研究者を引っ張ってきたり、個人としてもいろいろ努力されたということで1.2となっておりましたが、今回御審議いただく理事も担当の役員として、その理事長を補佐したということで、理事長が0.2の加算に対し、理事の加算としては、0.1で適当ではないかということで、1.1については意見はないものとなっております。事務局からの説明は以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  それでは、今の御説明につきましては御意見・御質問等ございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
それでは、財務省、文部科学省及び国土交通省の独立行政法人評価委員会から通知された、「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」についてお諮りいたします。本件についての分科会の回答につきましては、案のとおりとさせていただきますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【阿曽沼分科会長】  それでは、そのようにさせていただきます。事後の処理につきましては、私に御一任いただくこととさせていただきます。
 それでは、最後に事務局から報告があります。
【北川評価監視官】  今後の日程でございますが、まず本日付で各主務大臣あてに「勧告の方向性」を通知いたします。これを受けました各省では、平成24年度予算政府案決定までに見直し内容を決定することになります。また、見直し内容を踏まえまして、各省では、本年度中に次期中期目標を作成し、法人に指示します。これを受け、法人では次期中期計画を作成するという流れになっています。
 当委員会といたしましては、各省の見直しの具体化に向けた取組が、「勧告の方向性」にきちんと沿っているものになっているかどうかのフォローアップを、今後してまいります。もし、沿っていないような場合、必要がある場合には、中期目標期間の終了時に独法通則法に基づき勧告を行うこともあり得るということでございます。
 具体的な日程ですが、例年ですと、年が明けた2月初旬頃から各ワーキングで各省の見直し状況について御議論いただき、2月末から3月初めにかけて分科会を開催して御議論いただくということになっております。今年度の具体的な日程については、別途御調整させていただいた上で、御連絡させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日は御多忙の中、御出席を賜りまして、ありがとうございました。

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