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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会委員懇談会(11月13日開催)議事録

日時

平成25年11月13日(水)10時00分から11時40分

場所

中央合同庁舎第2号館 10階 総務省共用会議室2

出席者

(政策評価分科会所属委員)
 谷藤悦史分科会長、藤井眞理子委員、小峰隆夫臨時委員、高橋伸子臨時委員、立花宏臨時委員、田中常雅臨時委員、堤盛人臨時委員、中泉拓也臨時委員

(総務省行政評価局)
 渡会行政評価局長、濱西官房審議官、岩田官房審議官、白岩総務課長、清水政策評価官、吉田評価監視官、井上評価監視官、松田政策評価審議室長、飯塚調査官、中村調査官

議題

  1. 「消費者取引に関する政策評価」の方向性について
  2. 「食育の推進に関する政策評価」の進め方について

資料

会議経過

【谷藤分科会長】  おはようございます。本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから政策評価分科会を開催したいと思うのですが、残念ながら本日は、会議の定足数12名ですが、8名しか出席しておりませんので、委員懇談会という形で議事を進めることにしたいと思います。
 本日の政策評価分科会の委員懇談会では、議事次第にありますように、議題が二つございます。第1の議題は、「消費者取引に関する政策評価」の方向性についてでございます。議題2は、「食育の推進に関する政策評価」の進め方についてでございます。この二つの議題を本日は審議したいと思います。
 それでは早速、議題1の「消費者取引に関する政策評価」の方向性について、吉田評価監視官からの説明をお願いいたします。

【吉田評価監視官】 それでは、消費者取引の政策評価について御説明をさせていただきます。資料1−1「「消費者取引に関する政策評価」の取りまとめの方向性(概要)」、資料1−2「消費者取引の適正化に係る施策の展開イメージ(概要)」、資料1−3「消費生活相談の動向と法改正に伴う効果の把握・分析について」及び資料1−4「消費者取引に関する意識等調査結果(速報版)」を使って御説明をさせていただきます。
 まず、資料1−1を広げていただければと思います。去年の今ぐらいに、このテーマにつきまして、基本設計についての御審議をいただきました。それで本年の4月から7月にかけて実地調査をやりまして、併せて消費生活相談員に対する意識等調査ということも行ってまいりました。現在、取りまとめ中でありまして、今日御説明するのは、そういう現時点での取りまとめた状況ということでございます。この先、年度内の評価結果の出力を目指してまいります。
 お手元の資料1−1でございますが、1ページ目の上半分について大まかに御説明をしますと、消費者取引に関するトラブルを低減させるべく、その下にあるような抽象的な政策脈絡の大筋のもとで、いろいろ施策を打っております。
 その結果、一番上のところに少しデータ的な数字を置いていますが、代表的な指標であります消費生活相談件数の推移を見ますと、10年前からほぼ半減してきております。一時急増した架空請求事案を除いてみても、減少しているということが言えると思います。その下に参考というところで、警察庁の統計ですが、被害額も大幅に減ってきているという数字がございます。
 このような代表的な指標を幾つか、既存のマクロデータ等や我々の意識等調査の結果も活用しながら、その概括的な整理をしつつ、全体像を眺めていくということにしております。
 下の方にまいりますが、その抽象的な政策脈絡を実現するために、消費者基本法に基づく消費者基本計画というプログラムが策定されておりまして、それに基づいて、例えば、法律の新たな規制を設けるといった見直しや、また財政面で疲弊している地方公共団体に対し、地方消費者行政活性化交付金を、平成20年度以降だけでも300億円を超える交付金を投入したりしてきています。
 そうした個々の施策について分解して、以下御説明をしていきますが、この資料1−1の1ページ目の下の方ですが、個々の施策について、この資料の構成としては、投入、活動・結果、成果と、一連のプロセスセオリーを追いかけるような形で整理をしております。最後に個々の施策についての評価の方向性と検討事項についてコメントを加えて、それらを全部オーバーライドするような形で、その全体についての評価を整理しようという試みであります。
 ここで、我々が実地調査としてどのような機関を相手にしたのかというのが、資料1−1の1ページ目の真ん中ぐらいのところに吹き出しで書いておりますが、国の出先機関としては経済産業局が9つ、財務局が10、地方整備局も10。我々のブランチである管区行政評価局・行政評価事務所を動員して調査をしておりますが、26都道府県、64市区町村、51教育委員会、それから消費者とのインターフェースになります90の消費生活センター、こういった機関等を対象にしております。
 資料1−2をお開きいただければと思いますが、資料1−2は、そうした消費者取引の適正化という施策に登場するプレーヤーを、概括的に整理しております。概要ですので、いろいろ細かなところを割愛しておりますが、大まかに申し上げますと、右側の流れ、関係省庁から始まって、一部権限的には地方公共団体の指導監督部署にも、並行権限行使ができるようなものは、法律の執行という形で事業者に対する指導監督を行う、そのことによって消費者取引の片側のプレーヤーである事業者に対する関与をしてきている、こういう流れがございます。
 それから左側の流れは、主に最後は消費者とのインターフェースにたどりつく地方公共団体、特に市区町村の消費生活センターの窓口に通じる流れでして、間に国民生活センターが介在して、PIO−NETと呼ばれる消費生活情報のネットワークシステム、こういったものも駆使しながら、いろいろ相談事のデータ等を掌握して、関係施策に活用しています。
 このような流れがあり、先ほど少し申し上げましたが、財政的な支援として、地方消費者行政活性化交付金というものを交付して、地方消費者行政の現場の体制整備や、消費生活相談員の増員とか、消費者への普及啓発、こういった仕事をやっているという流れでございます。最後は消費者と事業者が向き合う、資料1−2の図で言うと左右矢印の部分、ここにそういった様々な政策の効果が現れてきます。
 このような大きな流れの中で見ますと、例えば資料1−2の右側の流れの中では、後ほど細かく説明できればと思いますが、消費者取引の適正化に関連する施策の中で予定されていたプログラムの作動条件を我々として確認し、プログラムの作動条件どおりに実際の現場が動いているのかといった指導監督断面についても見ております。その中で幾つか、やはり改善をする余地があるであろうという事柄が見えてきております。
 また、左側の方でも、PIO−NETの使い方、特に入力方法、そこから上がってきた情報の共有の仕方、それから消費生活センターの消費生活相談員と消費者のインターフェースの部分では、消費者から受け付けた苦情のあっせんという行為を行うことになりますが、そういうあっせんという活動も濃淡があるのではないかという実態も分かってきました。
 また、資料1−1に戻らせていただきますが、まずは、各種の法令改正の効果、インパクトのようなことをどのように分析できるのかという試みについて御説明します。
 トップバッターとして、特定商取引法の改正というものが挙がっておりますが、特定商取引法の改正は何回かありますが、例えば、平成20年改正であれば、これまでは訪問販売では、特定の指定された商品とか指定の役務だけが、この法規制の対象になっておりましたが、そういう指定制度を撤廃することで、販売形態が当てはまれば、この法律による救済、例えば、クーリング・オフの対象になるであるとか、期間内であれば権利を行使できるようになるというものです。それから再勧誘の禁止や、通信販売であればオプトイン規制ということで、あらかじめ同意なしには電子メール広告を送信してはいけない、そういう規制を入れることで効果を上げてきているという内容です。
 具体的な分析は、恐れ入りますが、お手元の資料1−3をお開きいただければと思います。資料1−3の10ページです。この資料の構成自体を簡単に御説明しますと、まず各府省庁が規制を定める前に、平成19年以降は規制の事前評価というものが行われることになっております。その規制の事前評価において、各府省庁がどのような指標で、それをどのように改善すると見込んだのか、そういったことを手がかりにしながら行政評価局として分析をしております。
 そういった指標の多くは、消費生活相談の相談件数ということでありまして、なかなかきれいにアウトカムを把握したわけではないので、そういったものを少しでも補完すべく、我々の実地調査で行政機関、国の機関や、地方公共団体の指導監督部署、あるいは消費生活担当の窓口で集めてきた効果に関わるコメント、それから消費生活相談員に対する意識等調査を包括して整理しております。
 具体的に申し上げますと、例えば、資料1−3の13ページですが、今の特定商取法の改正の効果を、どういうタイミングでその法律改正が動き出して、改正が行われたかというトレンドとともに、相談件数の推移をグラフで整理をしてきております。例えば、図表2では平成24年度の相談件数を見ると18年度と比べ減少しています。
 14ページを御覧いただきますと、それを補完するものとして、経済産業省の相談受付件数を掲載しておりますが、15ページの表であれば、これは訪問販売形態でのトラブルの相談件数を整理しております。ちなみにこのような整理をするときに、売り上げとの関係で、当然外部要因の効果等があるかと思いますので、例えば、この15ページであれば、売り上げの変化に対して相談の方は少なくなっていることも整理しております。
 次の16ページ、これも通信販売の相談件数ですが、同様の整理をしております。
 17ページの図表8は、我々の実地調査で法改正の効果について経済産業局等及び都道府県の特定商取引法の指導監督部署に、こういう施策を打ったことによる効果がありますかと聞いたもので、「大いに効果があった」又は「ある程度効果があった」と回答した部署を合わせると約9割を占めていました。そういうようなことにあわせて、図表9では、意識等調査における法改正の効果についての消費生活相談員がどの程度効果があったと思うか聞いたものであり、相談の窓口にいる消費生活相談員の方々は、「大いに役立っていると思う」又は「どちらかといえば役に立っていると思う」と9割以上の方が回答しています。
 行政当局の方は、このような規制が加わることで、処分に至るまでの実行可能な行政ツールを手に入れるということが、「大いに効果があった」とする答えの理由のようです。それから消費生活相談員の方は、相談を受けた消費者に対して、クーリング・オフの対象になりますよ、ということを教示することで、被害の救済が図れる、こうしたことが大きな効果の要因と見ております。このようにして、この法律のことであれば、効果が一定程度発現していると考えられるのではないかと見立てているということでございます。
 あわせて、その次の改正事項であります、貴金属の訪問買取りということについて紹介させていただきますが、資料1−3の20ページをお開きください。これは月次データで、貴金属の訪問買取り、いわゆる「押し買い」というものですが、それに対する相談件数を把握してみました。そうすると、いろいろこういうトラブルが世の中に出てきた平成22年12月あたりには、国民生活センターが注意喚起情報をアラームとして発出しています。その後も増え続けてくるわけですが、こういうことに対して規制をかけなければならないだろうという議論が始まってきたころからか、右肩下がりにこの相談が減少しております。「押し買い」に対して行政が対策に取りかかるであろうということに対して、業者がいわば逃げていく、そういうアナウンスメント効果があったとみておりますが、この案件であれば、実は改正法が施行されたのは今年の2月なものですから、今引き続きその先のデータを把握して、分析を足そうとしているということであります。
 資料1−1にお戻りいただきますと、一応1ページ目は御説明をさせていただきましたので、次のページへお願いします。
 この法律の今度は指導監督断面で分かってきたことでございますが、資料1−1の2ページの上の真ん中の固まりのところにありますように、行政処分の実施状況なんかをみますと、都道府県間でばらつきがあります。調査した都道府県からは、ノウハウ不足を課題とする意見なども見られたりしています。また、いろいろ役所同士、都道府県間の連携という手を打っている事例もありますので、そうしたことも評価のときの材料として使っていこうとは思いますが、右端にありますように、ここの項目で言えば、都道府県間格差の是正とか連携の推進、こういったことが課題として受けとめられるのではないかと思っております。
 時間の関係もありまして、説明を大幅にスキップさせていただきますが、このような感じでそれぞれの法律についての分析を行ってきておりますが、トピックとして御紹介しておきたいと思ったのは、例えば、資料1−3の44ページあたりからお開きいただきますと、これは金融商品取引業に関する内閣府令の改正の効果の検証の一部分ですが、外国為替証拠金取引、FX取引で、ロスカットルールや、レバレッジに上限をかけるといった規制が行われました。そうしたことが市場及び取引に、どのような影響を与えるのかということを見てみますと、資料1−3の46ページをお開きいただければと思います。そういうルールの改正が行われたことによって、例えば、46ページの図表4であれば、未収金に係る口座数がゼロで推移しています。つまり事業者にとっても回収ができなくなることが減るというメリットがあり、その下の図表5であれば、未収金の金額自体がこのように推移をしてきているという、いわばウィン・ウィンの関係として捉えることができるのではないかという分析をしております。
 右側の47ページの図表6は、そうした規制があった後も、それほどFX取引の出来高が大きく変動しているわけではないのかと、25年1月以降はアベノミクスの完全な外部要因だと見立てております。このような分析もしながら、規制の影響ということについて整理をできればと思っております。
 資料1−1にお戻りいただきまして、今度は資料1−2でいうと左側の方の作用について御説明をしたいと思います。
 資料1−1の3ページの下半分以降の消費者向け施策と書いてあるところでございますが、まず1番目に整理をしておりますのが、地方公共団体に対する地方消費者行政活性化交付金の使い道です。地方消費者行政活性化交付金のメニュー別に見てみますと、ゴシックで書いてありますように、消費者教育・啓発活性化に37%、消費生活センター・窓口設置充実に22%、消費生活相談員配置増員等に14%、消費生活相談員の養成、研修開催・参加支援に10%、こういった実情を把握して整理をしようとしております。消費者行政活性化交付金について、どのような効果の検証をされているのかという視点で見ましたが、残念ながら消費者行政活性化交付金の効果を検証している地方公共団体というのはほとんどありません。資料1−1の3ページの一番下のところです。一方で、そうした地方公共団体の中で、消費者行政の効果の指標として、被害救済金額や被害回復率というものを設定しているところもあり、こういうことを把握することが、今後のこの政策をマネジメントしていくときの手がかりになるということを考えております。
 最後、資料1−1の4ページに行きますと、消費者行政活性化交付金の今度は具体的な使用方法との関係ですが、4ページの一番上のところで説明しているのは、消費者教育・啓発活性化事業を実施していますが、その効果が検証されていない。それから、そういう普及啓発予算と、相談件数の掘り起こしにつながったのかどうかといったところの相関関係は見られなかったということであります。
 一方で、新設した消費生活センターや相談窓口には、おおむね相談件数が増加という傾向がある一方で、そういう事業を実施した後も低調な消費生活センターや相談窓口があるので、やはりどこにどういう資源を投入するのかという、選択と集中ということが気になっております。
 それから、その下の地方公共団体における消費生活相談の実施状況というところです。ここは実はある意味、我々にとってちょっと当てが外れたと申しますか、実は「あっせん解決率」という、把握可能だと考えていた指標があったのですが、これについていろいろ実情を解明してみると、もともと解決率自体にばらつきがあり、どうもその「あっせん解決率」の定義自体がばらついていたり、「あっせん」というもののやり方自体に差があったりすることが分かってきました。もちろんそのための投入資源の人数、それから消費生活相談員の質、そういったものも影響していると思われます。したがいまして、我々は「あっせん解決率」でいろいろな事柄の評価をするということを、やや断念せざるを得ないような状況になっていますが、逆に言うと、そういう指標をしっかり質をそろえ、きちっと設定していく必要があるのではないかということが、浮かび上がってきたともいえるかと思います。
 それから、資料1−1の4ページ目の下のPIO−NETの使われ方の部分では、登録に短いセンターでは平均3.8日、長いセンターでは平均156日もかかるという、やはり現場実態のばらつきということが見えてまいりました。なぜ長期間になっているのかというと、やはり正確性を期すあまり、事務処理が完結してから登録をするということが調査で分かっております。ただこれは、もともと不正確でもいいから早く情報を共有しようというPIO−NETの目的からして、どのようなものかということが気になってまいります。
 それから、その下のところであれば、法制度として注意喚起をしますとか、重大な財産事案に関する被害については、報告をしてくださいという通報制度があります。こうしたものが通知をする立場にある行政機関、地方公共団体によってばらつきがあり、そういう制度を承知していない部署等があることが分かってきました。そういうことから、こういうシステムをどのように最適に運営していくのかといったことが課題ではないかと思っております。
 それから、最後の項目になりますが、消費者に対する教育・啓発というところでは、地方消費者行政活性化交付金を使うことや、独自の事業等で教育・普及啓発事業は行われていますが、効果検証・フォローアップがあまりやられていないということが分かりました。物理的に作られたDVDや資料、こういったものの利用状況という面でも、使われていないという実態も浮かび上がっております。ニーズとのギャップをしっかり是正していく必要があるということが、この項目の課題かと思います。
 こうしたことを含めて、もう一度資料1−1の1ページにお戻りいただきますと、右側の上のところです、全体評価に向けての論点ということで、政策目標が抽象的ですが、目標の達成度を測るための指標をうまく工夫していけば、もっとうまくマネジメントできるのではないかということを考えております。もとより、そうしたことの司令塔であるべき消費者庁が、ますますその機能を発揮していただくためにはどうすれば良いのか、こういったことが整理できればと思っております。
 それから、最後になりますが、資料1−4、今の説明の中でも言及しましたが、消費生活相談員に対して意識等調査を実施したものの速報版でございます。この資料1−4自体はとりあえず一次的な集計ですので、今後いろいろクロス分析をしたりして、この評価の本体に使っていきたいと思います。1ページを御覧いただきますと、この概要が載っておりますが、約3,400人の地方公共団体の消費生活相談員の方全員を対象にして実施し、回収率は約7割でございました。
 御紹介する時間の余裕があまりありませんが、例えば、あっせんについてどの程度対応していますか、フォローアップをやっていますかということを聞いたりしております。
 それから、地方公共団体の現場で不足している事項について10ページあたりにいろいろ書いてあります。その10ページのグラフを見ていただきますと、こういう現場の消費生活相談員が思っているのは、「カ」にありますように、「事業者に対する指導・処分」、これについてあまり実施できていないのではないか、「消費者教育」のところも、50%を超えるぐらいの人が「あまり実施できていないと思う」又は「全く実施できていないと思う」という感想を持っておられます。
 それから、どのような規定が役に立っていますかということで15ページのグラフを見ると、圧倒的に現場では、「クーリング・オフ」という契約の解除の通告ができるという仕組みが有効だということが読めると思います。
 それから、17ページでは今度は、消費者トラブルに遭いやすいと考えられる被害者像について把握する設問として、トラブルが発生する原因は何ですかと聞くと、「(6)事業者の勧誘方法」や「(7)詐欺的商法の増加」、「(2)の消費者の知識・情報の不足」という回答が多いことが分かります。
 次の18ページは、「未成年」、「成人一般」、「高齢者・障がい者」の対象によってトラブルの被害者となる人の傾向について聞きました。未成年の方がトラブルの被害者となる人の傾向としては、「(6)」にありますように、「契約やルールに関しての理解ができない者」、その上にありますように「消費者トラブルへのリスク回避能力が十分でない者」が多くなっています。
 19ページでは、成人一般の人の傾向ですが、「(9)」にありますように、「消費者トラブルに遭わないと思い込んでいる者」が、消費者トラブルの被害者像のトップでした。
 20ページでは、高齢者・障がい者について聞きました。「(7)」のように、「消費者トラブルへの対応について、助言者や解決するための支援者がいない者」というのが圧倒的多数を占めていました。このような感じで、消費生活相談員からお聞きしたことの中で、幾つか面白いことが分かっております。
 最後に紹介しておきたいのは、24ページです。ずばり、消費者庁が設置されて改善されましたかということを聞きました。ちょうど「改善されたと思う」と「改善されていないと思う」が半々に分かれております。
 このようなことを御紹介させていただきまして、とりあえずの私の御説明にさせていただきます。少し長くなって恐縮でございました。

【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。今、お手元にある資料をもとに御説明をいただきました。内容は多岐にわたっておりまして、わずかな時間で全部をきちっとフォローすることは大変難しいと思いますが、これに基づきまして、今の吉田評価監視官からの説明につきまして、各委員から御質問あるいは御意見等がございましたら、御発言をよろしくお願いいたします。それではどうぞ。

【堤臨時委員】  よろしいですか。

【谷藤分科会長】  堤委員、どうぞ。

【堤臨時委員】  資料1−1と1−2を拝見しまして、率直に申し上げて非常に分かりやすく、よく調べてまとめていただいたなと感じました。特に資料1−2を見て分かりますが、改めて非常に関係主体が多くて、複雑な構造であることを再認識しました。これを評価するときは、かなり難しいだろうなと想像したのですが、主体が何をするのかという役割をきちんと図として示していただきました。それに即して、資料1−1の形でまとめていただいた、非常に今後の参考になる事例であると思います。
 必ずしも全てのものがうまくいくわけではないと思うのですが、今回そういう意味では、うまくまとめていただいたことによって、明らかになったことが多々あると感じました。
 一つには、役所の方の相当の努力という部分もありますし、そもそもこの評価の対象となる政策自体が、比較的、誰に対して何をするかがはっきりしていて、事業者と消費者それぞれに対して、特に事業者に対してはどういう取引かに応じて、どの役所が関わるのかが明確です。ある意味で横並びに見たときに、どこがまだ問題あるかということや、ほかのところでどういうことを行っているかなど参考にすべきところが分かり易いのだろうと感じました。
 一方で左の方は、言ってみれば市区町村とか都道府県が一回入ることによって、若干後の方の御説明にもありましたが、いろいろ問題が出てきているようで、やはりプレーヤーが何をするかというところが、必ずしも現場レベルでうまく役割分担できていないということなのかと、今日のご報告を受けて感じました。
 繰り返しになりますが、全体としては、これは非常に参考になる事例だというのが私の印象です。
 質問は、細かいところになるのですが、資料1−3の49ページ以降のところです。金融商品取引法のところで、効果についてなかなか検証が難しいということがここだけあったのですが、これはそもそも法律改正等する以前から予想されていたことなのかどうかということが疑問になります。49ページの図表1でいきますと、検証可能と思われるみたいなことが書いてあるのですが、下の方を見ると、できないのだということが書いてあって、その辺はもう少し改善の余地があることなのかどうか。何でも全て無理やり評価をすればいいというものではないので、こういうできないものについては、それはそれで結構かと思うのですが、少しそこについて教えていただきたいということです。
 それからもう一点は、最後の方に御説明があったところです。こういった分析、あるいは実施等を踏まえて、だんだん例えば、被害者像に沿っていろんなことを行っていくのが次のテーマになっていくのだろうと思いますが、そういうところへの活用といった部分については如何でしょうか。意識等調査は、結果としては非常に面白いものが出ている気がしました。これはちょっと最初に申し上げるのを忘れたのですが、こういう整理と同時に、アウトカムで十分評価できないところを実地調査されるという、ここでは消費生活相談員の方を対象とした調査、これも非常に示唆に富む試みだと思います。そういうことを通じて、次のステップというのが見えてきたときに、次の政策をうまくやっていけるのか、あるいはそこにどんな問題があるかということが、今の時点でお分かりであれば教えていただきたいと思います。

【谷藤分科会長】  それでは吉田評価監視官の方から、今、二つほど質問があったと思います。

【吉田評価監視官】 まず資料1−3の49ページのところです。このアウトカムを把握しようとすると、投資者をまず見つけて、投資者に、判断に当たって信用格付業者かどうかということの自分の判断の取っかかりを聞いて回っていかなければ、結局、この仕組み、改正の効果がうまく上がったかどうかということが把握できないということで、これ自体は金融庁の説明にもありますように、どの程度可能になったかを分析することが困難だということで、我々もちょっとそれ以上のトレース作業を断念せざるを得ないということでありました。
 一般論として、もともとこういうトラブルの根っこにある暗数が、あまりにも大きいため、代表的な指標として消費生活相談に持ち込まれた相談件数で整理をしようとしております。そうしたときには、本来、相談をしたことによって、その相談が解決したというところまで、やっぱりフォローアップをしていって初めて、そういう取組のアウトカムが分かることになると思いますが、そうしたことのいわば投入資源との関係もあるかとは思いますが、その限界のようなことをどのようにしていくのかという苦労をずっと抱えながら、多分我々は、その都度のテーマで何ができるかということを検討するのだと思っております。
この分野について言えば、さらに我々が少し期待をしたいのは、今はPIO−NETという統計システムが、更新されようとしています。そこで新たな入力項目とかいったものを、来年度から実行できるような動きがあると聞いておりますので、そうしたものに対して、どこまで我々の注文が間に合うのかというタイミングもあるのかもしれませんが、そういう取組がそれぞれの世界の中で行われないと、結局このテーマに限らず、政策評価で情報を把握するということ自体がワークしないのではないかと、一般論として今の先生の御指摘を受けて思いました。
 少し答えがうまくかみ合っていないかもしれませんが、とりあえずそんなようなことです。

【谷藤分科会長】  それではそのほかに、御質問どうぞ。中泉委員、どうぞ。

【中泉臨時委員】  今の議論の補足なのですが、せっかく懇談会だということなので、何度も申し上げているのですが、一般的なことをまず一つ申し上げさせていただきます。例えば、規制の事前評価は、規制が導入される前に行われるわけですが、そのときの事前評価の分析というのは、事後的にはある意味で100%間違っているというか、完璧に合う確率はほとんどゼロに近いわけですね。
 そうすると、その事前評価が正しいか、間違っているかは事後にやると、要するに必ずぼろが出てくる。ですので、当然その事前評価を参考にしながら次の分析に生かすとか、それを参考にしながら将来の政策に生かすというのは、必ずやらなければいけないのですが、事後的に事前評価を何か評価するというのは、かえってその事前評価を行うインセンティブをそぐという傾向も忘れてはなりません。そこはまず注意していただきたい。
 ですので、先ほど事前評価がもっと厳密にできたかもしれないのに、事後的にみると実際にやっていないという話になったのですが、そういった事前の設計をあまり事後的に突っ込むと、事前評価自体が非常に曖昧なもので、機能しなくなるので、少しそれは注意していただきたいということです。これはあくまで一般論です。
 繰り返しになりますが。それによってさらに将来の分析の改善とか、規制の改善に使うというのは、当然やるべきです。しかしながら、事前評価の責任追及とは言いませんが、評価の点数つけるみたいなことを事後にやるというのは、非常に問題があることだけは認識していただきたいと思います。
 もう一つ、参考までということで先ほどの関連で、資料1−3の47ページ以降の資料を説明していただいたのですが、最近のメニューの誤表示の問題も含めて、こういう消費者取引等で非常に問題が起こる。それが情報の非対称性つまり売り手は悪い業者か、いい業者か分かっていて、買い手が分からないというような、情報の非対称性を生じる問題でこういう問題が起こると、当然いま起こっている誤表示の問題にもありますように、だまされた消費者は被害を受けるというのは、皆さん当然まず分かることだと思います。問題はそれだけかというとそうではなくて、ここでやっぱり消費者も賢いので、まずいと思うとそもそも取引を行わなくなるという行動が次に起こるので、実はさらに大きな被害者は、真面目につくっている人。当然真面目にやればやるほどコストがかかりますので、真面目にやっている人のほうが、買ってくれなくて、実は非常に大きな被害を被る可能性があるわけです。
 それを念頭に置きまして、この評価にアドバイスさせていただいたのですが、こういう実際の取引がうまくいっているか、いっていないかをチェックしていただいたという背景があります。そういう意味で、規制によってその消費者取引の問題が解決できて、情報の非対称性の問題みたいなものがもし軽減されたとすると、要するに健全な業者の取引がある種うまくいくという効果がありまして、それを間接的にこういう取引高、証拠金の残高の推移みたいなものを見て、トレースしていただいたということでございます。
 当然これから規制の影響を厳密にとらえるというか、検出するというのは、計量経済学の手法を使ってもかなり難しいので、ここから効果があったかということを厳密に言うことは難しいのですが、少なくともまずい効果が軽減されたということはわかると思いますので、こういう経済データをいろいろとっていただいて分析していただくのは、将来的にも非常にいいかなと思います。そう言う意味でも、こういう評価をして頂くのは個人的には非常に高く評価したいと思います。
 長くなりましたが以上です。

【谷藤分科会長】  ありがとうございます。今は御意見として伺っておけばよろしいでしょうか。

【中泉臨時委員】  はい。

【谷藤分科会長】  それでは、そのほかの委員からの御質問ございますか。立花委員、どうぞ。

【立花臨時委員】  いい方向でまとめていただいて、まずは、事務局の皆さん方にお礼申し上げたいと思っているのですが、その上で二つ気が付いた点を、参考までに申し上げたいと思います。一つは、正直申し上げますと、私は実は貸金業の苦情相談の方の委員会にちょっと関係しておりまして、そういう面で、貸金業界の方からもいろいろお話を伺うことがあるのですが、資料1−3の38ページに、貸金業者の数の推移ということで、平成18年年度の1万1,832から直近の24年度では2,217ということで、8割の方がリタイアして、2割しか残っていない。
 これはもちろん、やめた方が全部悪徳業者だったと言うことではなく、この問題の背景には、例の過払い金の返済問題もあって減ってきたわけですが、確かにこの貸金業法の規制強化によって、総量規制の導入等、多重債務の減少とか、あるいは業界による自主規制が強化されて、非常に改善されてきたことは、私もよく承知しているわけです。一方ではやはり無担保、無保証で小口金融のメリットというのは、私は亡くなった藤沢周平という小説家の大ファンなのですが、彼の小説なんかでも、金貸しの話は、「借りるときのえびす顔、返済するときの閻魔顔」ということでちょくちょく出てきて、昔からそういった状況は変わらないのですが、一方でこういった貸金業者が激減して、そういったニーズにどう応えていくのか。
 一方ではヤミ金が増えたとか、幸い事務局の方で、ヤミ金の実態についても減ってきているという話がありましたが、ヤミ質屋とか、いろんな新たな動きもあるわけで、こういった貸金業法の規制強化によって、消費者の方の被害、あるいは多重債務等、大きく減少したわけです。それはそれで私ももちろん評価するわけですが、一方では、無担保、無保証、小口金融のそういった役割、これはこれで世の中やっぱり必要なわけで、そのところをどうやって保っていくのかという点は、ちょっと私も今直ちに具体的な回答があるわけではありませんが、一つ課題としてあるのではないかなという点がございます。
 もう一点は、吉田評価監視官から御説明いただいた中で、資料1−1の4ページ目で、各地域の消費生活センターの対応に非常にばらつきがあると。幾ら中央の消費者庁でいろんな情報を流しても、実際に現場のところが水漏れを起こしているといいましょうか。私の娘が、実はある地方公共団体の窓口業務をやっていて、話を聞いてみると、霞が関の皆さん方のお仕事ももちろん大変なのだが、一方では行政の窓口の現場の方々の苦労も、娘の話を聞いていると非常に大変だなと。いろんな方が窓口に来るものですから、それに四苦八苦しているという話をよく聞かされるのです。それとの対比で、現場の消費生活センター、あるいは相談窓口、ここで働いている人たちのモラルといいましょうか、はっきり正直言うと、ガバナンスがどうなっているのかなという点が、ちょっと私は気になるわけです。
 こういった現場で非常に大事な仕事をやっている、消費者と直に接している方々のやる気といいましょうか、モラルといいましょうか、さらに言えば、こういった人たちはどうすれば自分たちの動きが評価されて、処遇なり待遇が改善されるのか、その評価の基準が一体どうなっているのかなという点までやらないと、単に情報の報告が遅いとか、時間がかかっているとか、あっせんの言葉を誤解しているとか、いろいろ現場での問題があるわけで、この一番検討事項のところ、消費生活センター間の質の差の解消など、こういった点の背後にある、現場で働いている人たちのガバナンス、あるいはモラル、そのための評価、その辺まで突っ込んでいかないと、なかなか解決の道というのは出てこないのかなと。
 もちろんそれだけじゃないわけですが、そんな点がちょっと印象に残りました。どうもありがとうございました。

【谷藤分科会長】  ありがとうございました。吉田評価監視官、後半の問題、ここでは、検討事項として消費生活センター間の質の差の解消ですが、この差を生み出している原因というのは、そのガバナンスの違い、たとえばノウハウと言われるようなものがきちっと共有されていないというところにあるのでしょうか。差を生み出している原因に、どのような印象をお持ちですか。

【吉田評価監視官】  根本的な質問なので、どのようにお答えするかを、今頭の中をめぐらせていますが、もともと消費者行政というのは、確か昭和40年代の地方自治法の改正の中で、いろいろ経緯はありますが、オイルショック、もう少し前ですか、物価の高騰や、不当表示、そういうことが起きたときに、地方公共団体の仕事と地方自治法の改正で書き込まれたという経緯があって、いわゆる今で言うと、基本的には自治事務ということで、住民に身近なところの行政の一つの代表ということになっているわけです。
 ただ、そういうときにいろいろ事業者の権利を制限したり義務を課すという規制をかけようと思えば、これは法律でないとかけられませんので、そういう事業者に対しての技をかけるという立法措置、規制措置には国が関与していきます。ですが、その枠組みの中であっても、広域的な事案については国も関与しますが、並行的権限行使で自治事務としてそういう指導監督権限というものが、自治体に任されているものがほとんどなわけです。
 一方で直接のインターフェースとして、そういう現場でいろいろ話を聞く方々が御苦労されているわけですが、例えば、今現場にいらっしゃるおおよその消費生活相談員については、3種類ほどの民間資格を持っている方で賄われています。我々の意識等調査でも、その辺の感じがどうなっているのかというのを把握したかと思いますが、資料1−4の31ページです。これはフェイスシートで、意識等調査にお答えいただいた方に聞いています。3大資格というのがこの31ページにある消費生活専門相談員、これは独立行政法人の国民生活センターの資格です。消費生活アドバイザー、これは日本産業協会というところの資格です。その下の消費生活コンサルタントというのは、日本消費者協会というところの資格と、そういう消費生活相談員の方々の位置づけにおいて、民間ベースでの資格制度があるということが一つありまして、これを例えば、全部国家資格化しろという議論も片側ではあると聞いていますが、そういう方によって支えられています。
 自治事務ですので、基本的にこういうところにどれだけのお金を投入するのか、そういうこと自体が地方公共団体の御判断ということになりますので、まさにその地方公共団体の個性が出てくるというのは、構造上当然、というと、少し何か突き放したような言い方で、語弊があるといけませんが、なわけです。
 さはさりながら、そこを何とか最後、国民の全体の福祉を目指すのは国の役割でありますので、そうしたものであっても、消費者基本法とか消費者契約法とか、最後は民と民に関わるような問題にしても、国がいろいろな法律を作ったり、基本原理を作ったりして支えてきた流れがこの世界にはやはりあって、その個性をどこまで統一化したり、裾上げをしていくのかということが、抽象的な命題としては、司令塔機能としての消費者庁なりが、どのようなビジョンを描いていくのかということだと思います。
 ですから我々の作業とすれば、まずはマクロデータで、そういう地方公共団体間のばらつきというものも分かっているものもありますし、今回の調査で抽出した都道府県、市区町村、その辺のばらつき加減が分かりましたので、うまく比較といいますか、こういうところもあればこういうところもあるということを整理して、できないところをたたくというよりは、むしろ一生懸命取り組んでいるとか、いいところの例をうまく出していくことによって、そういうことに倣ってやっていけばいんだという雰囲気を作るなどということができればいいかと、今のお話をお聞きして思いました。

【谷藤分科会長】  藤井委員、ありますか。

【藤井委員】  質問も含めまして、3点伺わせていただきたいのですが、まず全体の評価として、こちらの資料1−1のところでは、規制等を中心に一定の効果があったのではないかということになっておられると思います。それはそれで結構なことだと思うのですが、全体として幾つかの法改正の中で、いろいろ指標が不明確ということの御指摘もありますが、主として使っておられるのはやはり相談件数の減少と被害額、あるいは救済額の減少というところだと思います。そうした指標に注目した場合に、どの分野、あるいはどういう世代にうまく働きかけることができたので、ここの原因を中心にこういう規制が効果を発現したなどの点が整理できれば、より説得力がある形になるのではないのかなという感じがいたしました。
 2点目は、先ほど議論になっております地方公共団体の話なのですが、今、吉田評価監視官からお話があった、地方公共団体とおっしゃっているときに、具体的な単位が、先ほどの地方消費者行政活性化交付金等も含めまして、どういう単位で配られているのか、あるいはその意思決定の主体となっているのか、教えていただければと思います。
 資料1−2を拝見しますと、基本的には都道府県があって、その下に市区町村が位置づけられているということなのかなとも思うのですが、それでよろしいのでしょうか。仮にその単位がある程度把握できるといたしますと、この資料1−4の意識等調査結果も、地域属性、先ほど、結論の方では、地方公共団体によって取組とか成果に差があるということを言っておられるわけですので、その地方公共団体によってというのは特定されていると思うのですが、それはこういう取組みをした地方公共団体で効果があったなどの点が明確にできるのでしょうか。あるいは、予算の配分が多いところに効果があったということなのでしょうか。この地方消費者行政活性化交付金がどういう基準で交付されるのかということもあろうかとは思うのですが、資料1−4の意識調査の結果と、資料1−1の地方公共団体ごとに幾つか評価に差が出てくるという、そこをうまく結びつけることによってより具体的な絵が見えてくる可能性はないのだろうかという感じがいたしました。
 資料1−4の調査の結果は大変に興味深いので、是非うまくまとめていただければと思いますが、多少今の状況ですと、まさに1次調査なので、やや見にくいところもあるのではないかと思います。1位、2位、3位の回答をとっているので、グラフが錯綜しがちなところがありますので、例えば、スコアリングするとか、指標も1位にしたり比較可能にしたりなどにより見やすい形で示し、併せて先ほどの自治体間の差ということとうまく結びつけてお示しいただけると、大変に興味深い内容が得られるのではないかなと思います。
 3点目は、個別の話で恐縮なのですが、先ほど、堤委員の御発言でもございましたが、資料1−3の49ページ以降で、金融商品取引法の関係が幾つかございまして、金融庁の結果でも、行政評価局のお考えでも、効果を検証することは困難と書いておありの部分がございました。
 例えば、49ページですと信用格付業者、それから51ページですと店頭デリバティブ、それからその次に無登録業者の未公開株の売付け等とあり、ここでも相談件数が参考指標になっているようなのですが、国民一般が関わる、広く消費者一般を対象としたものということとは少し異なり、金融商品取引と特定されています。金融商品取引業者等の大部分は、登録なり営業認可なり、何らかの形で行政が見ている対象業者であると思われますので、もう少し見ていただいて、何らかの効果、例えば、その信用格付業者が云々という信用格付業者も、大きい機関は三つか四つしかなくて、ここで言っているのがどういう業者かよく分かりませんが、必ずしも広く拡散した業者で見ることが困難ということではないのではないかとも思います。金融庁とも御議論いただいて検証できれば。検証が困難というのはあまり芳しくないコメントではないかと思います。
 金融商品取引法の改正によって、金融商品取引業者等の側のコンプライアンスのコストは増えているはずで、いろいろな金融商品取引の手続段階においてプロセスを踏むようになっているはずだと思います。そうしたことの効果があったのかどうかということについて、具体的なプロセスを見ていけば、ある程度何らかのコメントが付せる行政取組の状況というのは分かるのではないかなという感じもいたします。金融商品取引法の関係は、ここでも三つ四つ取り上げられていますが、もう少し金融業界というところにフォーカスした場合に、何らかの効果検証ができないのかということを御検討いただければと思います。
 なお、先ほど最初に、どこで効果があったかということを分析していただきたいと申し上げたのは、最初のまとめにもお書きいただいていると思いますが、資料1−3の、例えば、3ページを見ますと、70歳代以上の相談件数が増えているとあります。これが今後のトレンドを示唆しているわけですが、高齢者に対して、そのほかの資料では、販売チャネル別、あるいは法律別とか、幾つかの切り口がありますが、年齢とのクロスの関係で、減少した部分がどういうチャネル、どういう商品、あるいはどういう取組の結果かということが分かると、反射的に、ここが今後増えそうだとか、あるいは当初の効果を発現した、しかし新しい問題がでてきたなどの分析につながることもあるかと感じましたので、最初のコメントをさせていただきました。
 以上です。ありがとうございました。

【谷藤分科会長】  御意見ということでお伺いしておけばよろしいですか。

【藤井委員】  単位は分かるのでしょうか。

【谷藤分科会長】  どの単位ですか。

【藤井委員】  自治体の単位。

【谷藤分科会長】  自治体の単位ですが。

【谷藤分科会長】  そこだけ少し。

【吉田評価監視官】  自治体の単位というのは、我々の調査をして、並べることができるかどうかということですね。それは固有名詞をどこまで出すかという実務的な問題はあるんですが、並べる単位というのは、都道府県の単位と市区町村の単位と。

【藤井委員】  両方あるということですか。

【吉田評価監視官】  はい、両方になります、その取組の比較という意味では。

【藤井委員】  ここでおっしゃっているのは主としてどちらなのでしょう。

【吉田評価監視官】  その法規制の場面によって、都道府県が主導権を持っているときは都道府県であったり、市区町村であったら市区町村。

【藤井委員】  施策別に異なるということでしょうか。

【吉田評価監視官】  そういう2段構造になっています。

【藤井委員】  ありがとうございます。

【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。そのほかの委員の方から、何か御意見ございますか。高橋委員、どうぞ。

【高橋臨時委員】  まず全体についての感想、意見を述べさせていただきます。今回、消費者取引に関する政策評価ということで、非常にいいタイミングで中間報告がでたと感じています。  消費者庁が誕生し、消費者委員会も発足して、消費者行政が大転換したのが2009年の9月からということになるわけですが、ちょうど5年目に入り、今後消費者基本計画の見直しとか、先ほど来お話があります国民生活センターやPIO−NETのあり方とか、今いろんな見直しが始まるときに、こういうデータが示せるわけです。政策評価は今までタイミングが悪いとか、スピード感がないとか、終わった後とか言われてきたのですが、今回に限っては非常にいいタイミングで進んでいるなと思っておりまして、特に大がかりな行政評価局ならではの調査をされたということで、これに関しては、私は実は消費者委員会の委員もしておりますので、大変感謝申し上げたいと思っております。
 今回、そういういろいろな相談件数を指標にして評価したところ、私も申し上げたと思うのですが、相談件数だけでは測ることができなくて、解決件数ということで、その指標としてあっせんについて調べていただいたら、その基準そのものが非常にばらつきがあって、指標として使えないことが分かったり、被害救済金額等、これも算出しているところとやっていないところがあり、きちんと数字として上がってこないことが分かったわけなのです。是非この結果は世の中に公表していただいて、今後の政策の参考にしていただく努力が、私たちとしても非常に必要かなと思っております。
 それから、今回は法令改正に伴う効果の把握分析を大きくやっているわけです。全体的な方向性についてはこれでよいと思うのですが、気になる点が一、二ありましたので、申し上げたいと思います。
 一つ目は、資料1−3の11ページの特定商取引法、特商法の改正についてなんですが、これは改正の概要として、指定商品、指定役務制の廃止についての分析をやっていて、これに関しては、最後のところで一応の一定の効果が発現していると考えられると。
 これに異議があるわけではないのですが、実は特商法の対象になっている指定というのは、商品、役務だけではなくて、権利というのがあったわけですが、この三つの中の権利の改正というのを、今回見送ってしまっているのです。権利の改正を見送ったことによって、抜け道ができてしまっているという指摘もございます。権利の取引という形で逃げられてしまうということもありますので、改正されなかった点に対してもフォーカスしていく必要があるのではないかと思っております。
 この問題は、実は消費者委員会と消費者庁との間で、まだ議論が続いているところでございますので、政策評価の中でも、検討対象が三つありながら何で改正が二つだったのか、一つを改正しなかったことで何か悪い影響は出ないのかという点については、是非検証していく必要があるのではないかなと思っています。
 二つ目は、やはり法令改正の点です。今回、商品先物取引とかデリバティブ取引とか、非常に難しい金融商品取引分野に踏み込めたということは、大変意義があるなと思うのですが、例えば、資料1−3の41ページに、平成21年度商品先物取引法改正、施行は23年になるのですが、これについての効果検証をやっていて、これも48ページのところで、効果が一定程度発現しているものと考えられると、こういう方向性を出しています。ところが、実はこの商品先物取引法に関しましては、今度、総合取引所ができるということで、取引所取引に関しては、商品を金融商品と位置付ける過程の中で、今、金融庁や経済産業省がいろいろ検討されているようなのですが、不招請勧誘の禁止を外すという検討がスピーディーになされているということなのです。
 今まで不招請勧誘の禁止規制は効果があったとされているわけで、このほかにもこの後のFX取引、先ほどはロスカットルールのところで効果があったと書かれていて、そのとおりなのですが、FXは不招請勧誘の禁止を最初に導入した金融商品です。これも非常にいい効果が得られたと各方面から評価されているところです。消費者団体の方は、不招請勧誘の禁止をいろいろな取引に広げるべきであるという方向性を示していて、たしかこの報告書のどこかにも、資料1−3の52ページですね、訪問販売とか、電話勧誘販売について、金融商品取引法のところで少し追記されています。
 そのほかにもどこかに書かれていたように思うのですが、望まない人に対して、しつこい勧誘、あるいは寂しい高齢者に対して、電話とか訪問で必要のないものを売っていくということに対しては、そもそもそういう勧誘をすること自体に問題がある、適合性の原則に違反するような取引が容易に行われてしまうということで、いろんな意見が出ているところでございます。
 ですので、不招請勧誘に関しても、今回、商品先物取引とか、そういうものだけでなく、そもそも望まない消費者取引というのがどのぐらい存在するのかに関しても、私たちはフォーカスしていく必要があると思います。
 今、アベノミクスの成長戦略、経済活性化対策の中で、個人金融資産、個人のお金をもっと市場の中で活性化させるという方策が、いろいろ考えられているわけですが、その中で、まさに不招請、望まない訪問とか電話とか、そういうことで巻き込まれていく、それから商品先物取引とかデリバティブ取引とか、ある意味では投資というよりは投機性の非常に高い、プロと一般の人が戦って勝てるはずがないところに巻き込まれていく、こういうものを容易にしていくような傾向が出ておりますので、そういうことに対してもこれまでの政策を何のために作ったのか、経済活性化のために簡単に撤廃していくようなことがあっていいのかということについて、政策評価の中で判断材料になるものを示せるようなことをしていく必要があるかなと思っております。
 長くなりましたが以上です。

【谷藤分科会長】  どうもありがとうございます。これにつきまして、吉田評価監視官から何かございますか。

【吉田評価監視官】 ぼちぼち収束の時間かとも思いますので、いろいろいただいた意見に加えまして、実はこの政策評価分科会の委員の何人かに、有識者的に御相談を個別に申し上げていた方々がいらっしゃいまして、本日御欠席の森泉先生、佐藤先生、大竹先生あたりからも、今から申し上げるような意見をいただいていまして、例えば、PIO−NET等の年齢データや被害の金額データというものも利用した分析をすべきであるとか、法改正の前後の比較を、法改正の議論が始まったところから少しさかのぼって比較をすべきという御指摘もいただいて、一部反映できているのもありますが、まだそういう追加整理をしなければと思っており、それからあとは、売上高の市場推計を、あるテーマについてだけ取り入れたりしていますが、一部だけ取り入れていると少し恣意的に見えるという御意見もいただいており、一応ほかのジャンルのものも、データが取れるものから補正する作業もやり出したりしています。それから、消費生活センターの相談対応の実態について、消費生活センター間のパフォーマンスの違いを比較するようにという、同様の御指摘を今日いただきましたが、そんな指摘もいただいています。
 今日いただいた御意見と併せて、いずれにせよ我々はどこまでできるか分からないと言うと、ちょっと防御的に聞こえてしまうかもしれませんが、精一杯努力をして、いい評価結果を出せるように取り組んでまいるという決意表明をして、引き取らせていただきます。

【谷藤分科会長】  どうもありがとうございます。次の議題もありますので、この辺りでもって大体、「消費者取引に関する政策評価」の方向性についての議論を終わりたいと思います。基本的にはこの方向でもって、一応報告書なりをまとめることは、基本的に御承認いただいたということで、本日出ました様々な意見をさらに加味いたしまして、最終的な報告書としてまとめていただきたいということをお願い申し上げます。
 また、このほかに、各委員の方々に御意見がございましたら、追って事務局へお伝えいただければと思います。
 少し延びましたが、続いて議題2の「食育の推進に関する政策評価」の今後の進め方をどうするかという議題でございます。
 これにつきまして、井上評価監視官から御説明をお願いいたします。

【井上評価監視官】  はい。それでは食育について御説明いたします。これは今お話がありましたように、計画段階で御議論いただくというものでございます。
 お手元の説明資料をめくっていただきまして、1ページ目の資料2−1「平成25年度第3期 政策評価計画(案)」でございます。これが計画書というべきものでございまして、食育は知育、徳育、体育の基礎となるということですが、この概念自体はどうも明治時代からちらほらあったようですが、政策として実現いたしましたものが、平成17年に食育基本法が成立したということでございます。
 これのもとで食育推進会議が設けられまして、基本計画が策定されている。これをもとに各府省が政策を実施しているということでございます。現在は平成23年に策定されました第2次計画に基づいているということであります。
 関係省庁といたしましては、調査対象機関としてありますが、取りまとめの省庁であります内閣府、それから主な事務事業を所管しているところといたしましては、文科省、厚労省、農水省ということになります。その他関連する事務事業を持っているところで、こういった省庁が調査対象となってくるということでございます。
 それから次のページ、裏側でありますが、資料2−2「『食育の推進に関する政策評価』スケジュール(案)」ということでございます。本日、こういった形で分科会で御議論いただくということですが、来年のこの時期に、方向性ということでまた御議論いただくことになろうかと思います。スケジュール全体としては、政策評価の標準的なスケジュールにのっとったものということであります。
 それから資料2−3「食育関連施策の全体イメージ」です。これは施策の全体像ということで、イメージをつかんでいただく趣旨の資料でございます。(1)から(7)のパーツに分けてございますが、これは基本計画上このように分かれていて、それにのっとってということでございます。
 最初に真ん中の家庭ですが、食育の施策の実施の一番中心となるのはやはり家庭ということでございますが、文科省、厚労省、こういったところが啓発運動ですとか、食事バランスガイド等を活用した活動というものを行っているということでございます。
 それから、(2)学校、保育所等、これはその上にございますが、ここでも、学校につきましては文科省が栄養教諭を中心として指導計画の策定ですとか、指導の実践、こういったものを中心とした施策を展開しております。あるいは厚労省は保育所におきまして様々な、例えば、講習会の開催等の活動をしているということでございます。
 それから(3)番目、地域、左側でございます。地域社会一体として食育を進めていこうということでございますが、ここでは厚労省の取組として、食事バランスガイド等を保健所等で活用といったようなことも記載させていただいております。
 それから(4)番目、食育推進運動、左下です。ここでは、取りまとめ省庁で内閣府が周知、PRの中心を果たすということでございます。その他、各事業に関連して、表彰等が行われているということであります。
 それから(5)番目、右横ですが、生産者と消費者との交流、農林漁業の活性化。これは主に農水省の関係の事業、例えばグリーン・ツーリズムのような話、あるいは地産地消のような話があるということでございます。
 それから(6)番目、左側、食文化の継承ということですが、例えば、郷土料理、伝統料理、こういったものを学校給食へ導入するという取組が行われております。
 (7)番目、真ん中の下ですが、調査研究、国際交流、その他ということでもございますが、各府省関連している施策を展開しているということであります。
 右下に食育の推進体制ということで図がございますが、まず国が基本法に基づいて、そこでの推進会議が基本計画を策定・実施し、各府省が施策を展開する。左の地方公共団体においては、各都道府県が推進計画を策定・実施、市町村がまた推進計画を策定・実施しております。特に国民あるいは住民との接点が大きいという意味では、市町村ということになろうかと思いますが、市町村がその右側の関係者・団体とございますが、学校、病院ですとか、農林漁業関係者、食品事業関係者、NPOですとか、あるいは保護者も含めて、そういったところとタイアップしながら、各種施策を構築しているといったところが、食育の中心的な取組となっております。
 それからこれの裏側でございますが、資料2−4「食育の推進に関する政策の脈絡図(未定稿)」であります。左から二つ目の列に、先ほど御説明した七つのパーツに分けて、我々で各府省からヒアリングして、それぞれに該当する主要な事業というものをここに埋め込んでおります。
 それから、その右側に数値目標ということで1から11までございますが、これは基本計画に盛り込まれている数値目標でございます。例えば、食育に関心を持っている国民の割合の増加、90%以上ですとか、家族と一緒に食べる共食、週10回以上、朝食を欠食する国民の割合、子供ですと0%にするとか、あるいは学校給食において地産地消の話、栄養バランスに配慮した食生活を送っている国民の割合の増加、60%以上、こういった数値目標が盛り込まれているということでございます。
 基本的には、先ほど御説明した左側の各事務事業と数値目標の関係、これを検証していくといったことが、政策評価の中でも主要な着眼点になってくると考えております。ここにございます矢印は、我々が各府省から、どの数値目標にそれぞれ所管する事務事業が貢献しているのかということをヒアリングして、それを矢印にしたもので、かなり輻輳しているものでございます。基本計画上はこういったことが必ずしも明記されていないということであります。
 それから右側に、施策の目的ということで、右側から大目的、中目的、小目的とございますが、これは基本法自体でこういう文言で目的が定められているということであります。そして、こういった目標を達成するために各事務事業が、またどのように効果を発現しているのかということを検証していくことが必要になってこようかと思っております。そういう意味では、その検証するに当たっての指標となる数値目標が、この目標の達成といった中でどういった位置付けになっていくのかといったことも、よく分析する必要があると考えております。
 それから次のページ、資料2−5「食育の推進に関する政策評価の評価チャート(未定稿)」でございます。これは評価のチャートということであります。左側の評価の観点でありますが、政策評価ということですので、基本的な評価の観点ということで申し上げれば、政策の有効性をメーンの観点と位置付けていくことになろうかと思います。
 それから、その施策と数値目標がございまして、右側に把握・分析方法とございます。
 最初に1番目、数値目標の妥当性ということですが、先ほど御説明した11の数値目標、これの設定根拠ですとか、あるいは関連施策との関係、その構造を検討していくといったこと。
 それから2番目、施策の有効性ということですが、ここではいろいろなデータがございます。政府が持っているデータでも様々なデータがございまして、そういったデータの原票から当たるという意味での二次利用も含めて有効に活用し、かつ我々独自でのアンケート調査も行いながら、極力そういったデータをもとに、定量的な分析というものを試みたいと考えております。
 それから3番目、実地調査でございます。今回の調査におきましても、地方を動員して行いますので、地方における様々な取組、有効な施策といったものについても、十分検討、分析をしていきたいと考えております。
 説明資料は以上でございます。その他参考資料を添付させていただいております。
 説明は以上でございます。

【谷藤分科会長】  どうもありがとうございます。今後実施する食育に関する、いわば政策評価の基本的な作業についてのフレームワークの御説明をいただきました。
 それでは、今の井上評価監視官からの説明につきまして、御質問がございましたら御発言お願いいたします。堤委員、どうぞ。

【堤臨時委員】  先ほどの事例と、ある意味で対比的な感想を申し上げると、この食育の方は、関係する主体がいろいろといった点は共通しているのですが、向かっているベクトルというか目標が、わりと漠然としているように感じます。これは現場の事務方が悪いわけじゃなくて、そもそも政策自体がそういうものなので、多分非常にやりづらい事例なのかなという印象を持ちました。それを端的に表しているのが、この資料2−4なのかなと。いろいろな御苦労をされて、そうはいっても評価しなくてはいけないので、こういう形で整理をされているのだと。
 これは非常に評価したいのですが、どうしてもその前、前後して恐縮ですが、資料2−3の右下のところを見ると、さっきと違ってやはりこの主体と関係者の関係がわりと漠然として、すっきりしていないものですから、例えば、関連する関係者で言うと、農水省は多分農業事業者の方をべったり見ているような感じで、それぞれ向いているところが違うというところが特徴的です。そういう意味ではさきほどのような形での整理が難しいので、いろいろ今日御意見を委員の方々にいただいて、検討する必要が非常にあるなという気がしました。
 もう一回、資料2−4の方に戻りますが、ここである種、数値目標と事務事業の関係を整理していただいて、これで評価していくということだと思うのですが、実際右の方を見ていると、例えば、5番みたいな話は3本ぐらい矢印が来ていて、そうすると、どの事業が効いて目標が達成されたかというと、多分評価が難しいのだと思うのです。このところはこの後どうされるのか。ほとんどそうですけど、例えば、5番みたいな複数矢印が来ているようなものを分解していくということも考えられますが、それはそれで何か弊害の方が大きい気もしますし、この辺の分析は具体的にどうされるのか、お伺いしたいです。

【谷藤分科会長】  それでは井上評価監視官、お願いいたします。

【井上評価監視官】  まさにそこが頭を悩ませているところではございます。
 まず、この11の数値目標は現に計画に盛り込まれているものですので、まずこれの妥当性については十分検討する必要があると思います。それはまず根拠です。その数値の水準自体もあろうかと思いますが、例えば、参考資料で見ていただきたいのですが、参考資料2「第2次食育推進基本計画における目標値と実績値」ということで、数値目標と取り上げられているものの今までの変遷の経緯が記されております。そういう意味で、改善しているものもあれば、そうでないものもあるということであります。この線自体が数値目標の水準なのですが、これの置き方はどうだったのかと。あえて言えば、5年間で達成できそうなところに置いているとも見受けられますし、あるいはそれ以外の根拠もあるのかもしれません。
 そして、そもそもこの11の項目自体が、この目標を達成するに当たって必要十分な目標値であるのか。ある意味これも、データとして取り上げやすいものに依存している部分もあるのではないか。それは行政機関ですのでやむを得ない部分もあると思いますが、逆に言えば、この11の数値目標を所与とするだけではなくて、これに代わるような適切な数値目標というものも設定することができるのではないかということも視野に入れて分析したいと考えております。
 そういう意味で、御質問の点に戻りますと、現在各府省庁が行っている事務事業については、ここは主要な事業を左側に取り上げてございますが、ヒアリングの中では106あると伺っていまして、この106の事業はそれほど直接関連しないものも含まれておりますが、全てを分析することもなかなか現実的ではないということと、有意義な話でもないということでございますので、主要なものについて十分貢献しているのかということについては、統計的な手法で分析しながら、それの先ほど申し上げたような不足分についても十分補っていきたいと考えております。

【谷藤分科会長】  ありがとうございます。立花委員、どうぞ。

【立花臨時委員】  2、3申し上げたいのですが、たまたま食については和食がユネスコの無形文化遺産になるとか、あるいはメニューの偽装表示というか、ちょうど話題に事欠かないわけですが、私の娘がさっき市役所の窓口だと言いましたが、もう一人は保育園というか、幼稚園の先生をやっていまして、実は彼女は辞めたのですが、それはなぜかというと、非常に食べ物との関係が実はあります。
 実は御案内のとおり、確かもう1年ぐらい前になりましょうか、調布市の小学校のお子さんが学校給食で、私もあれは非常にショックだったのですが、食物アレルギーで、間違って提供されたものを食べて亡くなられた。
 私もそんなことで亡くなるのかと、本当に正直言って不勉強だったのですが、そういうこともあったわけで、食育、食育ということでこういった11の目標がありますが、命にかかわるようなことについて、どう考えていくのかという点は、食育基本計画の第2次を作った時にどの程度頭にあったのか、私は分かりませんが、今日的な課題といいましょうか、やはりなかなか保育所の先生、あるいは幼稚園の先生もそうかもしれませんが、食物に非常に繊細な子供さんがいるわけで、そういった子供さん方一人一人についてきちっとケアが、正直言うと現場ではなかなか難しいようで、こういった問題も待機児童の問題の背後には一つとしてあるわけで、こういった食物アレルギーによる被害の防止をどう考えていくか。これは直に食品行政というか、教育行政というか、その課題かもしれませんが、その辺の視点はどこに入るのかなという点が今日的な課題であるだけに、御質問したいのが一つ。
 それから二つ目が、この11の目標を見ると、国民の割合の増加というのが11項目の中で七つ入っているのです。何々に関する国民の割合の増加とか。確かに国民の割合の増加というのは、それはそれで政策の一つのターゲットになるかもしれませんが、だが、アンケートなんかでこれを聞くのでしょうが、それはおそらく同じことを表と裏、あるいは斜めから聞いているのを、ちょっと並べ変えた、表現を変えただけじゃないのかなという感じがしてならないのです。しかもそれがなぜ5割以上なのかとか、その辺の根拠があるのかもしれませんがよく分からない。この11の目標自体が、本当に政策の効果を測定する指標として妥当なのかどうなのかという点が、私からするとどうも、同じことをコインの表裏、斜めから見ているだけではないか。結果的に一番大事なことは、三つ子の魂じゃありませんが、学校教育の問題と、それから地域の問題と、農水省、厚労省が作った食品のガイド、あのガイドブックをきちっと普及させること。大きく言うとこの三つだろうと、私は思うのですが、どうもこういった11の指標について調べていくと、何か堂々めぐり的な感じが私はしてならないのです。
 以上です。

【谷藤分科会長】  ありがとうございます。井上評価監視官。

【井上評価監視官】  第1点目ですが、資料2−4で言いますと、左側に基本理念とございますが、ここの7番目、食品の安全性の確保に関する食育の割合、それに対応するものとして、7ポツとして、食品の安全性ということでございます。ここで食品の安全について盛り込まれているということかと思います。ただ御指摘のようなアレルギー対策の話というものが、十分盛り込まれているのかどうかということを含めて、今後、関係省庁にヒアリングしながら検討していきたいと思います。
 それから2点目の数値目標の妥当性ですとか根拠、これは先ほども御説明したとおり、事務局としても、あまり予断を持って現時点でというのもよくないかもしれませんが、やや疑問符を持っているところでございまして、ここのところについても十分検討していくべきことと考えております。

【谷藤分科会長】  ありがとうございます。その他。小峰委員、どうぞ。

【小峰臨時委員】  私はかねてから、日本政府って非常にパターナリスティックな面が非常に強いのではと思っているのですが、例えば、この目標を見ても、朝御飯をちゃんと食べなさいとか、よくかんで食べなさいとか、日本の伝統食品はいいんですよと、国が本当に国民に言うようなことなのかという点については、これは結構個人の価値観に相当触れる面もあるような気もするのです。
 ですから、こういう政策評価するときにはどうしても、どんどんやればやるほどいいんだという評価になるし、この指標が高ければ高いほどいいんだとなるのですが、何となく日本人が100%朝御飯をちゃんと食べて、100%ちゃんとよくかんで食べてというのも、何か気持ちが悪いような気もするのです。ですから、アンケートなんかをやるのでしたら、そういう逆の国民の意識みたいなのも、もし余裕があれば、入れていただければいいのではないかと思いました。

【谷藤分科会長】  ありがとうございます。小峰先生、御意見として伺っておけばよろしいでしょうか。

【小峰臨時委員】  はい。

【谷藤分科会長】  それでは高橋委員、どうぞ。

【高橋臨時委員】  食育に関しては、実際家庭が核だという話は最初にあったのですが、家庭に近いところの地方公共団体、推進体制の中ではここが大きな役割を果たすのだろうと思うのです。ところがもっとも家庭に近い市町村になりますと、この食育基本法だけじゃなくて消費者教育の推進に関する法律とか、先ほどの多重債務者対策とか、いろいろなものがおりてきていて、あっぷあっぷ状態だと思います。
 それは先ほどの地方消費者行政とかなり似たような状況になってきていると思うので、これが推進できるのかどうかということに対して、どういう見方をしたらいいのか、私は少し分からないのですが、何らかの方策で明らかにしていく必要があると思っています。
 それの一つのキーになるのがボランティアだと思うのです。数値目標の中の8番目、食育の推進に関わるボランティア数の増加(37万人以上)というのが出てきているわけですが、これは参考資料2のところに、37万人以上という数値目標が書かれているのですが、過去のものからしますと、計画策定時は28万人で、現状が34.5万人で、最初の計画の時は5年間で2割増やすということで、それは○がついたということですが、そこから先が1割ということになっていて、この数値がどう設定されたのかというのが気になります。
 もしかしたら資料2−4、大きな冊子の4のところにある矢印の出方を見ていますと、食育推進運動の展開ということで、いろいろな全国大会とか、ボランティア表彰とか、食育推進基本計画の通知の発出とかと書いてあるのですが、予算があまり取れないので、こういうところをボランティアで手足になってもらおうということかと思います。ボランティア表彰されるような、本当に中身のあることをやる方も出てくるのだとは思うのですが、どんな人がボランティアなのか、まず現状を示していただいて、きちんと推進するためにはどういう質の人が今後必要なのかなど、これも多分消費者行政と同様で地域的なばらつきがあって、ボランティアがよく育成されているところと、本当に何か行事をする時の受け付けとか、そういうことをやってもボランティアにカウントされてしまっているのか、細かくみていく必要があると思います。
 それから、予算がない中で自治体がやっていくわけですので、いろんな工夫をして地域的に盛り上げているところがあると思うので、そういう実態なんかも調べていく必要があると思っています。
 以上です。

【谷藤分科会長】  ありがとうございます。御意見とお伺いしておきたいと思います。

【高橋臨時委員】  はい。

【谷藤分科会長】  田中委員、どうぞ。

【田中(常)臨時委員】  私も食育ということをよく聞くのですが、これを見るとすごく楽しくない話になっていますよね。本来楽しい話にしないといけないのではないかなと思うのです。
 それからこういう数値目標も、ライフスタイルを表していないですよね。やっぱりライフスタイルに直結するものだと思うのです。ですから、食事の時間はどうなのかとか、調理に誰が関わっているのかとか、これは自分の反省なのですけど、それが一番悪いのかなと思うのです。
 そうなると、この全体像にも職場とか地域のレストランが出てこないのは、おかしいなと思うのです。例えば、職場でお弁当大会を開こうとかいうのだってあるかもしれないし、料理教室を地域のレストランで開いてもいいし、そういうことがないとちっともおもしろくないですよね。展開もできないように思うので、確かにその食育という分野があるのかもしれませんが、やっぱり楽しいライフスタイルを推進するという原則に立って、もう一度見直していかないと、限界があるかなと考えます。
 以上です。意見です。

【谷藤分科会長】  ありがとうございます。井上監視官、何かありますか。

【井上評価監視官】  御意見として承りたいと思います。先ほど申し上げた、各府省からヒアリングした結果、106の事業というものがありまして、そのリストをお配りはしていないんですが、御指摘のレストランのような話だとか、職場の話も、かするという意味では多分含まれているのかもしれません。
 ただ、十分かどうかということと、併せて先ほどの立花委員からのお話もありましたように、各府省が持っている既存の施策を、あえて食育に関連するとすればという観点から束ねたというイメージ感は、やはり拭えないところもございまして、そういう意味で、きちんとそういった田中委員の御指摘のような点も含めて、まず食育というものはどうあるべきかということで、それぞれの構成する施策がどのようにそれに寄与するべきかという観点から、きちんと体系化されていなかった面もあるのかなとは思っておりますので、御指摘の点も含めて検討していきたいと考えております。

【谷藤分科会長】  ありがとうございます。よろしいですか。中泉委員、どうぞ。

【中泉臨時委員】  やや一般論になってしまうのですが、今までの先生方の御意見を反映させていただいて、民でやる部分と官でやる部分の区別がすごく分かりにくい政策だと思うのです。
 小峰委員も田中委員も立花委員もおっしゃっていたのですが、やはり例えば、朝食を必ずとるということを、政府が国民に命令するというのは多分不可能なので、そもそもの問題として、情報提供がきちんとできているかどうかということが、まず一つの効果として測るべきものだと思います。
 そういう意味で、まずは政府として、ある程度適切な情報提供ができているかどうかを、効果として測るという方向は、政策評価というのはまあまあ、基本的には間違っていないかなと思います。
 ただ、その時でもやはり、今申し上げましたように、民と官との区別というのはなかなか難しいのと、その中で何かいろいろ強制性があると、いろいろ問題が出てくると思うので、まず必要性の整理というのは重要かと思います。ここでは何か評価は、特に有効性の分析に中心を置かれるようですが、個々の規制にブレークダウンしても、必要性はある程度整理しておいた方がいいかなと思います。
 大きく分けると、例えば、文化の維持みたいなことと、あとは国民の健康の促進ということに分けられるかなと思うのですが、本当に行政が関与する意味がどこまであるかというのを、一度しっかり見ておいた方がいいかなと思います。
 私は全然フォローしているわけではないのですが、最近アメリカでもオバマケアが導入されるか、されないかという議論のなかで、今のアメリカの政府も、国民の健康の促進をかなり大きな目標に掲げていて、おそらくその関連の施策に対して、似たような政策評価もしていると思います。そういうのも参考にされてもいいかなと思います。以上です。

【谷藤分科会長】  ありがとうございました。御意見としてお伺いしておきたいと思います。
 フレームとして、効果の発現と言われるということに少し中心を置いているとお伺いしましたが、どれぐらいのコストと言われるようなものがかかってきたのかということと、いわゆる各府省庁、あるいは各政策ごとにどういうコストが重点化されて、どんな推移があったのかということを少し、コスト面の変化と、コストに見合った効果って一体何だったのかと、そういう視点も何か盛り込んでいただきたい。
 ちょうど参考資料のところに、食育関連の予算の概要が少し出ておりますので、そこら辺のところを少し詳細な分析を行ってもらいたい。私からの意見でございます。
 それでは時間の関係もありますので、大体よろしいでしょうか。
 それでしたら、ほかにもまだ細かい点の御意見があると思いますが、それにつきましては、先ほどと同じように、おって事務局へお伝えいただければと思います。それでは、第2の議題をこれでひとまず終えたいと思います。
 最後になりますが、その他の連絡事項につきまして、事務局から説明がございます。よろしくお願いいたします。清水評価官です。

【清水政策評価官】  2点でございます。
 一つ、本年、前回6月の政策評価分科会で御説明させていただきました、政策評価の評価基準の標準化、重点化による質の向上ということにつきまして、6月の政策評価分科会でワーキング・グループを発足させていただいておりまして、これまで3回開催させていただいて、議論させていただいております。コアメンバーの方も御指名をいただいておりますが、それ以外の先生方にも広く参加していただいておりまして、多くの委員の方々の御意見を反映させた形になっているかと思っております。
 その上で、前回のワーキング・グループの中の議論として、目標達成度について各府省共通の5段階の区分を導入する、また毎年度の評価対象を重点化して、目標の妥当性、達成手段の有効性を検証していくなどの踏み込んだ評価を実施するといったようなことの基本的な考え方を、ワーキング・グループでおまとめいただきまして、それを踏まえて、現在各府省の御意見を伺っているというのが現状でございます。この点、ワーキング・グループの状況として、中間的に御報告をさせていただきたいと思っております。
 なお、検討はまだ引き続き行うこととしておりまして、次回はワーキング・グループを来週に開催させていただく予定でございまして、各府省から寄せられた御意見の御報告をし、それを踏まえてさらに議論を進めていくということで、検討を進めていきたいと思っております。その上で、一連の検討の状況、各府省との調整の状況など踏まえまして、改めて政策評価分科会を開催させていただいて、御報告、御審議をお願いするということを考えているところでございます。
 全体として、年内を目途に結論を得るということで作業を進めておりますが、引き続き御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 それでは以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の政策評価分科会の本日は委員懇談会となりましたが、終了いたします。
 本日は定足数が達していなかったために、委員懇談会という形態にはなりましたが、政策評価分科会の原則に倣いまして、本日の議事録並びに本日用いました資料等につきましては、公表することにしたいと思います。それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【谷藤分科会長】  それでは、委員からの承認が得られましたので、そのような扱いとさせていただきたいと思います。
 本日は御多忙の中、御出席いただきまして、どうもありがとうございました。これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(以上)

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