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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(平成25年9月26日)議事録

日時

平成25年9月26日(木)13時30分から17時55分まで

場所

全日通霞ヶ関ビル8階 大会議室B

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
 宮内忍独立行政法人評価分科会長、梅里良正、石田晴美の各委員、阿部啓子、荒張健、大西昭郎、岡本義朗、川合眞紀、河村小百合、木村琢麿、工藤裕子、齋藤真哉、鈴木豊、園田智昭、玉井克哉、宮本幸始の各臨時委員

(総務省)
濱西隆男官房審議官、白岩俊総務課長、吉開正治郎評価監視官、平野誠調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する各府省ヒアリング(厚生労働省、国土交通省、文部科学省)
  2. その他

配布資料

会議経過

【宮内分科会長】  ただいまから、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、先週に引き続き、今年度の見直し対象14法人のうち、厚生労働省所管4法人、国土交通省所管2法人、文部科学省所管1法人の見直し当初案に関する各省ヒアリングを行います。
 それでは、厚生労働省所管4法人につきまして、ヒアリングを行います。本日は、厚生労働省の成田大臣官房審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。
 それでは、医薬品医療機器総合機構の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明いただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。
 全体の時間の関係もございますので、5分程度で御説明をお願いいたします。

【成田大臣官房審議官】  厚生労働省の成田でございます。よろしくお願いいたします。それでは、着席して御説明させていただきたいと思います。
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構、この後、PMDAと言わせていただきますけれども、組織・業務全般の見直しの当初案につきまして御説明させていただきたいと思います。お手元の資料1−1−(1)をご覧いただきたいと思います。
 PMDAの第2期中期目標期間におけます業務運営の実績につきましては、去る8月28日に開催されました厚生労働省独立行政法人評価委員会におきまして、おおむね適切に運営されていると御評価いただいております。その中で、組織運営やコスト削減など、十分に成果を上げているとの御評価をいただいている分野につきましては、引き続き業務の効率化、経済性を向上させる努力を継続すべきと考えております。また、一部現状で目標達成が困難な状況にあるものにつきましては、目標達成の更なる工夫、努力、あるいは広報などについて検討したいと考えております。
 資料の表紙をおめくりいただきたいと思います。1ページをご覧ください。見直し当初案の基本方針をお示しさせていただいております。
 本年6月14日閣議決定といたしまして日本再興戦略、それから関係大臣申し合わせとして、同じく同年6月、今年の6月でございますけれども、健康・医療戦略が打ち出されております。こちらにおきましては、日本再興戦略でも、それから健康・医療戦略におきましてもPMDAの強化が掲げられております。さらに、革新的医薬品や医療機器、それから再生医療製品の実用化の促進、あるいは安全対策の強化を目指しまして、薬事法の改正案などの改正法案、関連法案を現在国会に提出させていただいているところでございます。これらを踏まえまして、世界に先駆けた革新的医薬品・医療機器、再生医療製品等の実用化の促進、更なる審査の迅速化、審査ラグ「0」の実現、あるいは審査の質の向上、戦略的人材確保など、PMDAの強化を図ることとしております。
 日本再興戦略に掲げられました事項の実現や、関連法案の施行に必要なPMDAの体制強化を進めていきたいと考えておりますけれども、そうした観点から、見直し当初案につきましては、日本再興戦略等に掲げられましたPMDAの体制強化を中心といたしまして、考え方、方向性をお示しする形で資料を作成させていただいております。
 2ページ目をご覧いただきたいと思います。ここからは業務の事業・事務の見直しについてでございます。
 まず、健康被害救済業務についてでございますけれども、広報等の活用を図りまして、必要なときに確実に救済制度の利用に結びつけるための仕組みを構築していく。また、救済事案の迅速な処理につきましても、データベースやシステムの活用により、引き続き努力していくこととしております。
 次に、審査等の業務でございます。まず、2020年までに医薬品・医療機器の審査ラグ「0」の実現に向けた施策を充実というところでは、評価方法の確立でありますとか、審査・相談の充実でありますとかを対応させていただきまして、また薬事戦略相談の拡充などによりまして開発ラグ等の解消の支援、それからガイドラインの整備や科学委員会との連携等によりまして、難病・希少疾病等への対応の促進、審査・相談の高度化に向けた強化、更なる国際化の取組を進めることとしたいと考えております。
 次に、安全対策業務でございますけれども、こちらも新たに導入されました医薬品リスク管理計画(RMP)に基づく相談・監督体制の強化、充実や、市販後情報収集体制の強化、それから医療情報データベース基盤整備事業の拡充によります安全対策の高度化などによりまして、体制強化を推進する内容としております。
 それから、3ページ目をご覧いただきたいと思います。組織・運営に係る見直しのところでございます。
 各業務の事務・事業の見直しのところでも御説明いたしましたけれども、それらの体制強化に加えまして、専門性の高い人材の確保の観点から、雇用条件の見直し等の検討を行うこととしております。
 また、PMDA関西支部の対応についても示させていただいております。
 取引関係の見直しについてでございますけれども、コストの削減、透明性の観点から、政府の定める計画等に基づきまして、取組を引き続き推進させていただきたいとしております。
 また、人件費・管理運営の適正化につきましては、優秀な人材を確保する上での競争力を考慮いたしまして、適正な職員の給与水準等について検討を行うこととしております。
 PMDAの役割にふさわしい財政基盤の検討につきましては、財源の安定的な確保に努めることに加えまして、PMDAの役割にふさわしい財源基盤についても検討することとしております。
 資料1−2の1ページから12ページにつきましては、PMDAの概要と組織全般のことの見直しについて、本委員会への提出様式に当てはめた詳細でございますけれども、これについては時間の関係で割愛させていただきたいと思います。
 以上、PMDAの組織・業務全般の見直し当初案について御説明させていただきましたので、よろしくお願いいたします。

【宮内分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました医薬品医療機器総合機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 どうぞ。

【河村臨時委員】  御説明ありがとうございました。
 私のほうから、全般的なこの機構の運営に際してのスタンス、方針を中心にお尋ねできればと思います。今般の政府の日本再興戦略等でも重点として位置付けられていて、極めて大事な仕事を担っていらっしゃると思うのです。国民からすれば、自分たちが使う薬であるとか、病院に罹ったときに使ってもらう医療機器であるとかは安全なものでないと困ると。かつて、国との間では、この手の非常にいろいろな難しい問題があって、薬害の話であるとか、実際に安全性に問題があるようなことがあったときに国の責任がどうなのかといったことが何度もあったのは我々も承知しておりますし、国として、安全性を確かなものにするために、とても慎重になられるのはよく分かるのです。慎重にお願いしないと、それは国民ももちろん困るのです。ただ一方で、今回重点付けられた方向というのは、もちろん安全性のこともありますけれども、やはり成長戦略との関係もありますし、どのようにこの業務を上手くいかして医薬品なり医療機器なりというところで成長につなげていくかといったところもあろうかと思うのですけれども、どうなのでしょうか。今までいろいろ資料を頂戴したり、ワーキング・グループでお話を伺ったりしている感覚ですと、どうもこの制度自体が、別に機構だけがということではなくて、この分野の行政運営全体が、やはり安全性の確保の方にすごく寄っていらっしゃるのかなという印象があり、その辺りをどうお考えなのか。我々でいろいろ議論もしまして、一つの視点として、やはり関連業界あっての仕事でもあろうと思いますので、医薬品業界なり医療機器メーカーなりの「業界のパートナー」というような側面もあるのではないかなというのが我々の考えなのです。こういうことも含めて、ただ安全性と両立しなければいけないということで、どのような考え方でこの機構の運営に臨んでいらっしゃるかということをお尋ねしたいのが1点です。
 もう一つは、少し具体的な質問で、いろいろなラグをなるべく短縮するということが目標に掲げられて、既にもう実現されている、達成されているところもおありだと承知しているのですけども、事前の段階での、例えば治験相談とかというのは、最初に私が申し上げた業界のニーズをうまく酌み取って、安全性に配慮しながらうまく業界の取組を伸ばしていく、そういったところですごく大事な業界との最初の接点なのかなと思うのです。けれども、今、いろいろな数字を伺っていますと、例えば、医薬品であれば、治験の相談の受入可能件数からすれば、年当たり1,200件ぐらいは受け入れられるはずなのに、実際には380件程度しか来ていないとか、やはりそういうところ、もう少しうまくニーズを取り込んで、何とかしてここに早く相談したいなと、相談するとメリットがあるなと企業に考えてもらえるような工夫をする余地があるのではないかなというような気もするのです。2点目はこういった具体的なところについてどうお考えか、どのように現状を受けとめていらっしゃるかについて、お伺いさせていただければと思います。

【成田大臣官房審議官】  どうもありがとうございました。
 PMDAの業務全体の運営の方針なのですけれども、PMDAもおかげさまで定員等を増やさせていただいておりまして、今、定員で700人ちょっと超えたくらいまで大きくさせていただいております。そういうこともあって、PMDAの職員全体の考え方の統一ということで、PMDAの理念というのを定めさせていただいております。これは数年前でございますけれども、その当時、PMDAの職員からいろいろ意見をいただいて、数カ月かけてPMDA職員の総意と、それから理事長も含めて、方針というか、こういう考え方で業務を行おうということで定めたものがございます。例えば、その中では、より有効で、より安全な医薬品・医療機器をより早く医療現場に届けることにより、患者にとっての希望のかけ橋となるように努めると。あるいは、最新の専門知識と英知を持った人材を育みながら、その力を結集して、有効性、安全性についての科学的視点による的確な判断を行うと。それから、国際調和の問題。それから、透明性等も確保しようというようなことで理念を定めておりまして、まさに、この理念で掲げられたものがPMDAの運営の方針だと思っております。ですので、当然、安全性というのはありますけれども、安全性というのは有効性とのバランスの問題でございますので、そういう観点から、まさに科学的な英知というところ、視点というのはそういうところだと思っておりますけれども、そういうことでPMDAの職員は業務を行っていると思っておりますし、私どもの厚生労働省のほうも、その方針で業務をやっていただければいいのではないかと考えているところでございます。
 それから、2点目のほうでございますけれども、相談業務につきましては、第2期中期計画当初、1,000件ちょっとということも考えておりましたけれども、実際には300件、400件というところになっております。ただ、これに関しましては今のところ、医薬品に関しまして、医療機器もそうですけれども、企業からの相談の要望につきましては全て対応させていただいている状況でございます。それで、その中では、安全性をどのように確保していくかというのが当然入っているわけでございますが、いかに効率的に開発を進めていただくかというところの観点も、相談の対象とさせていただいているところでございます。さらに、2年前になりますけれども、開発初期からの、薬事戦略相談と申しまして、できるだけ前からの相談体制も整備していこうということで取組をさせていただいているところでございます。そういうことで、パートナーという言葉がふさわしいかどうかはわかりませんが、私どもはPMDAも含めて規制当局でございますので、そういう立場を堅持しつつ、効率的な開発を進めるというところは、当然そういう観点でやらせていただいていると考えております。

【宮内分科会長】  よろしいですか。

【河村臨時委員】  ありがとうございます。理念のところを伺わせていただいて、本当になるほどといいますか、そういったお考えでやっていらっしゃるということで、大変良いと思いました。
 パートナーという言葉が先走るとよくないので、確かに今おっしゃられたようなお考えでやっていただければと思うのですが、ただやはり治験相談のところ、現状の分析をどの程度されているのかなと。来たものは全て受けていらっしゃる。それは当然しなければいけないことで、それで良いと思うのですけれども、1,200件と掲げておきながら380件しか来ないのがなぜなのかというところを、もう少しざっくばらんな感じで企業とお話しされたりするとか、もう少し工夫するともっと良いのかなという気もしますが、いかがでございましょうか。

【佐藤医薬食品局審査管理課長】  よろしゅうございますか。審査管理課長でございます。
 治験相談の場合には、機構の独自業務でございまして、通常の承認審査とは別でございます。これは旧機構、平成9年からある歴史的なものでございますので、その中で、当初はそれなりの件数と、あと殺到して、ただリソースの問題でなかなか受け切れなかったというところがございまして、PMDAの組織拡大に伴って、今、全ての申し込みについてはほぼラグがなく御相談に応じているということがございます。今、委員のほうから御指摘の問題につきましては、PMDAの中でも、件数をいかに増やすかだけではなくて、先ほど先生が御指摘のニーズをどう把握するかということについても、実際に業界との間でワーキング・グループを形成していただいて、その中で、新たなニーズがあるだろうか、それから、業界側も相談に対してどういう認識にあるのかという独自の分析をされておりますので、そういうものを基に、今後の相談の枠組みを拡大すべきなのか、現状で企業がこれで満足しているのかというようなところを今、話をしていると聞いております。

【宮内分科会長】  よろしいですか。
 ほかに。

【大西臨時委員】  どうも御説明ありがとうございます。私のほうからは、少し細かな点になるかもしれないのですけれども、3つほど質問させていただければと思います。
 まず第1点目なのですが、医薬品のことに加えて医療機器についても、成長戦略などで大変ハイライトがされている、もしくは、今後の成長に期待が寄せられているということはもう御承知のとおりなのですが、この分野でもPMDAはこれまでいろいろな活動をされてきて実績も上げておられると理解をしております。ただ、さはさりながら、実際に承認された新医療機器の数ですとか、これは優先審査のものは年間5、6件という状況になっていると理解しておりますし、それ以外の新医療機器ということであっても数十件というところであると。さらに、改良医療機器又は後発の医療機器というのは数百件あるわけでございますけれども、そちらに目を転じると、目標が必ずしも達成できていないようなところがあるのも事実かなと思うのです。成長戦略の中で期待されているということを考えた場合、今後5年間の中で、例えば、どの程度の新しい製品、改良であれ後発であれ新医療機器であれ、どのような製品が出てくるか、これはもちろん予測はできないのですけれども、少なくともこういった分野で産業が育っていくという状況になるとすれば、今申し上げたような数字のレベルとは少し違う次元で新製品の開発がされていくことがやはり期待されているのかなと思うのです。今後は、どのぐらいの製品開発が進むのか、パートナーという言葉が良いかどうかわかりませんが、業界に対するアドバイス、産業界に対する支援ということをお考えになっていくかということについても、何らかの目標設定、若しくは、取り組まれていかれるということも必要なのかなと思います。そういう中で、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグという言葉は既にいろいろ使われていますけれども、ドラッグ・ギャップ、デバイス・ギャップという言葉もありまして、これは他の国でどのぐらいの医療機器なり医薬品が使われていて、日本で使われていないものがどれぐらいあるかということのギャップみたいなものの概念ですが、そういう点についても、何らかのお考えを示されていくのも一つかなと思ったりするのですけれども、いかがでしょうか。これが第1点です。
 第2点は、審査期間の目標について、やはり新医薬品、新医療機器というところにハイライトがされているのですが、それ以外、先ほど申し上げたような改良、後発、こちらは医療機器の場合はとりわけ数が多うございますし、それから、医薬品と違いまして製品のライフサイクルが非常に短いですから、このあたりがたくさん世に出ていくサイクルが確立されていくということも必要なのかなと思いますので、こちらについても何らかの集中的な取組、もしくは目標を持ってやっていただくということも必要かと思います。また、私どもが伺った話では、古い申請年度のものもまだ一部残っていると聞いておりますので、業界がどういう立場で申請の処理を待っているのか分かりませんけれども、なるべく早くそういったものは片づけていただいた上で、是非新しいものに産業界が取り組んでいけるような形にしていただければなと思います。
 それから、3点目ですけれども、審査等の中に含まれるのかもしれませんが、個別の審査そのものの業務のほかの部分ですね。これは例えば、再審査ですとか再評価といったような分野もございましょうし、更には製造業の登録ですとか、QMSの監査とか、いろいろ法律の改正に伴って議論がされているところもあるかと思うのですが、そういう部分についても、国際的なハーモナイゼーションですとかをにらみながら、中期目標の中に何らかの目標のようなものを入れていただいたらどうかなと思います。つまり、審査は開発の中のサイクルの一部分でありますから、全体として、どう回っていくかというときに重要な要素として、今申し上げたような再評価もそうでありますし、製造業の品質管理、QMSの部分もそうであるということも視野に入れて組み立てていただければいいのかなと思った次第でございます。

【成田大臣官房審議官】  ありがとうございます。
 まず第1点目でございますけれども、新医療機器の承認申請件数といいますか、そういう観点からもということだと思いますが、実は新医薬品に関しては、先ほど審査管理課長から申し上げましたけど、業界とのアンケート調査の中で、数年後まで、どのぐらいのものが出てくるかという予測はかなりできるのですが、新医療機器になると、なかなか業界自体が、例えば新薬ですと新薬品を専用にやっている企業とか、後発医薬品とかOTCとかいうようにある程度はあるのですが、医療機器の場合はいろいろな企業がいろいろなレベルのものを、クラスI、II、IIIからIVまでいろいろ作っておりまして、それも新医療機器に当たるものかどうかというのも含めて作っておりまして、なかなか予測が難しいところがございます。ただ、昨年は四十数件承認しておりますし、申請件数もたしか60件くらいだと思いますが、その前ですと20件、30件というような状況でございますので、できるだけ先生のお話のように、どのくらいの予測ができるかというところも検討させていただいて、計画案を検討させていただきたいと思っております。
 それから、お話のありました医療機器の審査スピードの問題でございますが、医療機器と新薬のほうは、それぞれ5年計画で審査スピードの迅速化という取組を行っておりました。医療機器のほうは今年度、平成25年度が最終年度でございまして、医薬品のほうは2年前、つまり19年度から5カ年で、2年ほど早く進んでおりまして、そういう意味で医薬品のほうはかなり、今のところスピードは達成しております。医薬品も医療機器もそうなのですけど、大変申しわけないのですが、計画の2、3年後のところは実際計画がうまくいっていないというところがありまして、医薬品の場合も最終年度、1年前くらいからかなりスピードがアップしたという状況がございます。医療機器のほうも、達成ができていないところもございますけれども、今年度はかなりまた達成には近づくのではないかと思っておりますし、また先ほど話のございました古いものというのがございましたが、特に昨年度は改良とかの医療機器なんかは古いものをかなり処理させていただいたというような実績もございまして、そういう意味で、できるだけ業界、企業のほうに沿うような形で進めさせていただきたいと思っております。
 それから、新薬、新医療機器以外のものという御指摘でございますけれども、ほんとうにその御指摘はごもっともでございまして、次の計画には、今どちらかといいますと、やはり新医療機器、新医薬品のほうを集中してやっている影響もございまして、そういう意味で、周辺の分野が少し遅れぎみという印象を受けられているのはそうだと思いますので、そのあたりは、是正しなくてはいけないと思っております。例えば、後発医療機器をもう少し迅速化を行うとか、それから、今度、医療機器のほうの薬事法の改正がございまして、その取扱いも含めて、迅速化に向けた形をとりたいと思っているところでございます。
 それから、再審査、再評価につきましても、基本的には安全対策という意味ではそれなりに取り組んで、再審査期間中にも取り組んでいるということもございまして、ちょっと取組が遅くなっている感がございますので、実は昨年度くらいから迅速に、新薬のほうがかなり早くなってきているものですから、私どものほうでも取組をさせていただいているという状況でございます。先生から御指摘いただいたところは、PMDAのマネジメントということで、できるだけそういう形でやっていただくようお願いさせていただこうと思っております。

【大西臨時委員】  どうもありがとうございます。
 やはり産業界の状況を考えますと、医療機器の場合はどうしても、新製品が出ても、それを改良していくことが多い。改良していくに当たっては、先ほどの再評価又は再審査の結果などを踏まえながらということになってきますから、全体のサイクルが回るという前提で審査の業務を組み立てていただくというのが肝要かと思います。それから、PMDAでなければ審査をすべきでない部分もあるでしょうし、必ずしもPMDAでないところも審査ができるのではないかというような考え方も法律の中では取り入れられていると理解しておりますので、そういったことも含めて今後の計画の中にいかしていただければと思います。

【成田大臣官房審議官】  ありがとうございます。
 今までほんとうに新薬、新医療機器の審査の迅速化というのはかなり重点的に対応させていただいておりますけれども、次の第3期中期目標、中期計画におきましては、開発の段階から市販後に至るまで育薬、医療機器も含めて、サイクルが回るような形の体制が好ましいと思っておりますので、そういう観点からの計画案作りということを心掛けたいと思っております。

【宮内分科会長】  ほかにございますでしょうか。

【梅里分科会長代理】  時間が足りなくなりそうですけれども、今ディスカッションがあったようなこと、これらについて中期目標に明示していただくことは考えていただけますでしょうか。

【成田大臣官房審議官】  中期目標、中期計画は対でございますので。

【梅里分科会長代理】  はい、よろしくお願いいたします。
 それから、先ほどの説明の中で、審査ラグ「0」、これを目標にということで話がありました。この審査ラグというのは、ドラッグ・ラグとかデバイス・ラグ全体を解消するというように理解してよろしいですか。審査だけではなくてですね。

【成田大臣官房審議官】  ここで示しておりますのは、審査期間という意味だと理解しております。つまり、ある程度、審査期間の短縮も、PMDAあるいは厚労省だけの努力ではできないのですけれども、どちらかというとPMDAの体制のほうが、強化がそれにかなり効いてくるというところで掲げさせていただきました。

【梅里分科会長代理】  ただ、開発の支援をすることも重要な業務ですよね。

【成田大臣官房審議官】  ええ。それは重要なのですが、ただ開発ラグ「0」というところまで言うのはなかなか難しいといいますか、PMDAの関係の業務だけではなかなか難しいところがあると理解しております。

【梅里分科会長代理】  審査だけがゼロになって、諸外国とのギャップが埋まらないというようなことはありませんか。

【成田大臣官房審議官】  例えば審査ラグをゼロにするためにはどうするかといいますと、一つは審査前の相談体制を密にやるということが必要になってまいりまして、それによって審査が結果的に早まるということでございまして、相談体制を強化するということは結果的には開発ラグの短縮にもなるのですが、ただゼロというところはなかなか、PMDAだけではない、企業の関係もございますので難しいということがあって、目標では審査ラグ「0」ということになっていると理解しております。また、ほんとうに審査ラグ「0」ということを考えますと、一つは、今、目標値というのは中央値で考えておりますけれども、それを中央値でなく、もう少し60とか70とか、そういうタイル値で考えるかというところもございますし、またゼロということを考えると、日本発の、日本が世界で一番最初に承認するという品目を増やさないと、結果的にはなかなかゼロにはならないのじゃないかと思っておりまして、そういう意味で、日本が世界で一番最初に承認する品目を増やすというのも、その中には含まれているのではないかと理解しております。

【梅里分科会長代理】  関連なですけど、このPMDAは、ほかの独法と比べて、唯一と言っていいのでしょうか、増員とか体制強化が図られている法人ですよね。今回も計画の中で、更なる増員ということを考えておられるようなのですけれども、今のラグの解消で、どのところがどのぐらいネックになっていて、ラグがどう残っているのかという業務分析をお示しいただけないかというお話を以前にもしたことがあるのですけれども、これらについては内部の分析というのを、当然ですけど、相当程度やられているはずですよね。そのあたりのところをお聞きしたいです。これは通常の工程管理でいうと、クリティカルパスというのが非常に有名な方法ですけれども、これらについては実施しておられますか。パスの分析とか、クリティカルパスでなくてもいいのですけれども、業務を分解して、どの部分がネックで、このラグが起こっているのか。それから、今回の増員計画、前回の増員計画で、どこのところにどれだけ投入して、短縮がどれだけ図られたかというような分析をされていると思うのですけど、それらの資料をお示しいただけないでしょうか。

【秋山医薬食品局総務課長補佐】  御質問ありがとうございます。
 今、御指摘のございました点でございますけれども、次期中期目標期間に向けた体制強化につきましては、PMDAと厚労省とともに、細部の業務ごとに、どの部分がネックになっているか、どこを増強すべきかということは、当然ながら分析を今進めております。

【梅里分科会長代理】  5年間やっていなかったのですか。

【秋山医薬食品局総務課長補佐】  いや、継続してやっております。

【梅里分科会長代理】  そうですか。

【秋山医薬食品局総務課長補佐】  ただ、定員ということで考えますと、第2期は751名までという上限でずっとやってきていますので、これを埋めつつ、次の中期に向けた力点をどこに置くのかということで今、審査ラグ「0」ということを代表で出しております……。

【梅里分科会長代理】  ぜひお示しいただければと思います。

【秋山医薬食品局総務課長補佐】  はい。今、関係省等と協議を進めておりまして、財源の問題もございますので、その中で進めております。時期が来ましたら、また御案内することになろうかと思います。

【梅里分科会長代理】  分析の財源じゃないですよね。

【秋山医薬食品局総務課長補佐】  そうです。それは分析の財源ではなくて、増強に必要な財源というのが、手数料であれ、国費であれ、ございますので、ここの相談を進めております。

【梅里分科会長代理】  では、よろしくお願いいたします。

【宮内分科会長】  それでは、今の資料については、また追ってお願いするということで、大体よろしいでしょうか。
 時間の都合もございますので、医薬品医療機器総合機構については、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思っておりますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもわかりません。その場合には、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、説明者の皆様方は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

【成田大臣官房審議官】  ありがとうございました。

(説明者等入替え)

【宮内分科会長】  次に、労働者健康福祉機構について、安藤労働基準局労災補償部長から御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もありますので、5分程度で御説明をお願いいたします。

【安藤労働基準局労災補償部長】  厚生労働省労働基準局労災補償部長の安藤と申します。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。失礼して、座って説明させていただきます。
 独立行政法人労働者健康福祉機構の組織・業務全般の見直し当初案について御説明申し上げます。お手元の資料の1−1−(2)になりますけれども、概要版でございますが、こちらで御説明を差し上げたいと思います。
 概要版の表紙をめくっていただきまして、1ページ目の現行中期目標期間における業務の効率化等の取組状況についてでございます。現行期間におきましては、中期目標に沿って、海外勤務健康管理センター、労災リハビリテーション工学センターなどの施設を廃止するとともに、二つございました助成金事業を廃止いたしました。また、産業保健推進センターにつきましても、全国で15カ所に管理機能を集約することで効率化を進めまして、また本部の人件費の削減や国立病院機構との医療機器や医薬品の共同購入などによる事業経費の節減に取り組んだところでございます。労災病院につきましても、診療報酬上有利になります上位施設基準の取得を進めるなどしました結果、収益体質の改善が図られましたし、また給与カーブのフラット化による人件費の節減にも取り組んだところでございます。その結果、平成22年度には機構全体として単年度収支の黒字への転換を果たすことができました。また、労災病院の運営に関しましては、従来から運営費交付金は使われておらず、自前で経営ができておりますし、また現行中期目標期間からは労災病院の施設等の整備につきましても、国庫からの繰入れはなくして、全て自前で行っております。
 次のページにまいりまして、以上のような取組実績を踏まえまして、今後の事務・事業の見直しにつきましては、更なる効率化について努力を続けるとともに、労福機構の政策的機能の充実・強化を目指すということにしております。
 1番のところが、いわば今後の大きな方針でございまして、次期中期目標期間に向けて、労福機構に与えられた使命の再確認をしようというポイントでございます。すなわち、最近はアスベスト関連疾患や印刷事業所における胆管がんの発生など、これまで想定していなかったような疾病が社会問題化するといった状況が見受けられる中で、機構には引き続き、その政策的機能、すなわち職場における労災疾病あるいは労働に関連した疾病の予防の推進、高度専門的治療の提供、そして、リハビリをはじめ、事業所とも連携いたしました早期職場復帰の支援や、治療と就労の両立支援といったことについて、一貫したものとして実施することを求めております。あわせて、労災病院につきましては、それぞれの地域において、その特性をいかしながら、地域医療に貢献すべき存在でもございますので、地域の実情に応じた効率的な医療サービスを実現していくこととしております。
 次の2以下が、個別の事業に係るポイントとなっております。
 2は予防に関する分野の見直しでございまして、産業保健三事業の一元化による産業保健支援の充実・強化を挙げております。これは、現在、産業保健活動推進につきまして厚生労働省では3つの事業がございまして、ここに記載してございます後段のほうの2つの事業、地域産業保健事業とメンタルヘルス対策支援事業につきましては、これは国からの委託事業という形で運営しているところですが、これを一本化いたしまして、1つの事業に組み直して機構の事業として位置付けるということで、より効率的、効果的に事業所における産業保健活動を促進していこうというものでございます。
 これによりまして、次の3のところに出てまいりますが、労災病院が臨床研究に基づいてモデル的に開発いたしました職場復帰支援方策や作業関連疾患の予防方策、また労災疾病に係る研究の成果というものが、産業保健活動を通じて、より社会に普及しやすくなるものと期待しております。その3番目のところでございますが、ここは、職業人生が長くなりまして、その途上でがんや脳卒中に倒れる方も増えております。しかも、これらがもはや不治の病とは言えなくなっているような状況の中で、そうした勤労者の方々が職場復帰を果たして、就労と治療の両立が可能な状況を作っていくということが大変重要な課題となっております。労災病院におきましては、産業保健関係者とのつながりも深いところでございますし、作業関連疾患などに関する労災疾病研究で得られた知見、こういったものをいかして、早期職場復帰を視野に置いた支援や、治療方針の選択、治療と就労の両立支援につきまして、まさに政策的、先導的な役割を担いながら、モデル的な取組を開発、普及してもらいたいと考えております。
 4番目は、労災疾病等に係る研究開発の推進ということで、労災疾病に係る臨床研究について、現在は脊髄損傷やアスベスト、メンタルヘルスなど13の分野を設定して、モデル医療やモデル予防法の研究開発を行っているところでございます。この分野について、現在の政策課題を反映させるために、もう少し大くくりにしまして見直しを行おうと思っております。また、今は診療を行いながら医師に研究をしていただいておりますので、研究補助体制の充実を図りまして、限られた人材をより効率的に研究に振り向けることができるようにしたいと思っております。また、労災病院においては、昭和59年から収集している膨大な病職歴データベースというものがございますので、これを更に活用した研究開発に取り組んでいただきたいと考えております。
 5番目は優秀な人材の確保、育成で、特に医師をはじめとする医療関係スタッフの確保は病院経営においては死活的に重要なものでございますことから、大学との関係の構築や公募の活用、また医療機器の整備、研究体制の整備など、あらゆる手だてを尽くして、これに取り組むということでございます。
 次のページにまいりまして、6番目の燕労災病院の件でございます。新潟県にございます燕労災病院につきましては、現在、県が主導する形で地域医療再編の動きがございます。燕労災病院と厚生連三条総合病院というのを統合再編いたしまして、県央基幹病院というものを創設するというような検討が進められているところでございます。これはまだ結論が出た話ではございませんけれども、県における検討状況を踏まえながら、地域医療に貢献するという視点から私どもとしても対応していきたいと考えております。
 7番目の労災リハビリテーション作業所につきましては、現時点までに5カ所を廃止いたしまして、3カ所が残っているという状態でございます。うち2カ所につきましては今年度中に廃止の予定となっておりますが、残り1カ所につきましても、予定された平成27年度末までに、入所者の行く先も確保しながら、円滑に全廃できるように取り組んでいくということでございます。
 次に、6ページ目でございます。業務運営の効率化・財務内容の改善についてということでございますが、冒頭申し上げましたように、事業面、管理面での効率化に積極的に努めました結果、平成22年度には機構全体として単年度黒字への転換を果たしたというところでございますが、一方で、累積欠損金につきましては24年度末で380億円存在するということで、これを28年度末までに解消することを目指すことにしております。この繰越欠損金でございますが、発生要因として大きな部分を占めているのが、資金運用環境が最近悪化いたしまして、厚生年金資金の減少に伴う退職給付費用の増加というものがございます。これが全体で210億円ということでありまして、この退職金費用の計上というのは国立病院機構では生じないものでございますので、この点につきましては、厚生年金基金制度に係る法改正もございましたことから、早急に国に代行返上して、更なる収支改善に向けた取組を推進することとしております。
 このほか、現在、川崎駅前のビルに賃貸の形で本部事務所を確保しておりまして、賃貸料も相当に上りますので、これについては移転によりまして経費の削減を図るということ。また、病院単位で詳細な財務関係資料が作成可能となるように、システムの見直しを行って、ガバナンス機能を向上させるということ。また、国立病院機構との連携によりまして、共同購入などを更に進めていって、業務運営の効率化、財務内容の改善を図っていくということにしております。
 以上、簡単に御説明を差し上げました。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【宮内分科会長】  それでは、ただいま御説明いただきました労働者健康福祉機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

【梅里分科会長代理】  ありがとうございました。少し質問させてください。
 今の御説明の中で、労災という政策的な医療を中心に、地域医療にも貢献するという御説明だったと思うのですけど、「地域医療にも」というよりも、労災病院は、現在ではほとんど地域医療なのではないですか。労災疾患を診ている割合というのは、ほかの病院と比べても、労災病院が際立って高い比率であるとか、そういうふうにはあまり認識していないのですけれども、むしろ地域で労災病院に期待されているのは地域医療そのものではないのかなというように感じています。そういたしますと、労災病院が独法としてやっていく必要性というのはどのようにお考えになりますでしょう。

【安藤労働基準局労災補償部長】  労災病院におきまして、労災患者のパーセンテージが下がっているというのは、これは事実でございます。これは労災の発生件数そのものが下がっておりますし、労災指定医療機関も増えておりますので、相対的に労災病院で労災患者を全部引き受けるというような仕組みにはなっていないというところもございますが、やはりそうは申しましても、労災疾病に対する高度専門的な医療の提供でありますとか、労災に係るデータ収集、研究の推進が必要であるということです。……。

【梅里分科会長代理】  それらのデータ収集は、労災病院だけからではなくて、一般の病院で労災に関わる疾患を診ておられるところとネットワークを張ってデータを収集することもできますよね。

【安藤労働基準局労災補償部長】  はい。ただ、労災病院におきましては、先ほども申し上げましたとおり、昭和59年から病職歴データベースという形で、職歴も含めたデータ収集をしております。この部分につきまして、なかなか一般の病院で同じレベルの情報収集を図るということは難しいのではないかと思っております。

【梅里分科会長代理】  それは進め方だろうとは思うのですけれども、新しく勤労者の医療ですか、この辺のところを役割として打ち出すというように見えるのですけど、勤労者だけの医療という切り口というのはあり得るのでしょうか。労災病院というのは勤労者以外診ないということは絶対あり得ないわけで、それから、疾患という意味では、5疾病・5事業ですか、そういうようなところが医療機関として中心的な役割になってまいりますよね。そう考えたときに、労災は勤労者の医療だけを診るというのが、新しい役割として設定できるものなのかどうかというのは非常に疑問に思うのですけど、そのあたりはいかがですか。

【木原労働基準局労災補償部労災管理課長】  ある同じ病気について、それが勤労者であるか、それとも非勤労者であるかによって治療方法が変わるということは、それはないわけではございます。しかしながら、労災病院の大きな特徴は、職場との関係というものを意識しているということでございます。

【梅里分科会長代理】  どの病院でも職場復帰は強く考えているところなのですね。労災病院だけが勤労者の職場復帰を考えているわけではなくて、どちらの病院も、働いている方だったら、できるだけ早く、早期に職場復帰を考えているということで、それは労災病院の特徴にはなり得ないと思うのですけど。

【木原労働基準局労災補償部労災管理課長】  自らの課せられたミッションとして、例えば早期の職場復帰ですとか、勤労者が職場復帰でき、そして健康に働けるようにというような観点から、予防ですとか治療ですとかリハビリテーションですとか、それからいろいろな措置について一貫して実施していくということをやっているのは労災病院だけかと思っております。それを、更にモデル的な医療ですとか、そういうものを作って、広く地域の労災指定医療機関ですとか医療機関に提供していく、そういった役割も果たしている、担っている病院でございます。

【梅里分科会長代理】  そういう意味で、国立病院機構とかJCHOとか、それらとも相まって、独法が行う医療機関としてのこれからの役割について、もう一度検討されてはどうかと思うのですけれども、今、一番日本で求められているのは、個人的な意見かもしれませんけれども、各地域で、医療過疎であったり、十分な医療を受けられない、そういう方たちに民間病院がそこで医療を提供しようとすると、とてもやっていけなかったり、成り立たなかったりというようなところに、国としてというか、公的な役割を持つ医療機関が、かなりの病院の数を持っておりますので、それらが連携しながらそういったところの医療をカバーしていくというようなところが、これからの時代の新しい公的な役割となり得るのではないかという考えを持っております。労災病院は、そのような点についてはどうお考えでしょうか。

【安藤労働基準局労災補償部長】  労災病院といたしましても、ここに挙げておりますとおり、地域医療についても非常に重要な役割だということは認識しておりまして、この中期目標期間におきましても、例えば、地域医療支援病院の指定の取得施設につきましては、平成16年度には4病院しかなかったものが、21年度には17病院、更には24年度には24病院という形で拡大しておりますし、地域連携パスの策定、運用も大きく拡大しております。そういった形で、地域に役立つ病院であるという側面についても十分認識しながら、更に労災医療としての役割を担っていくというのが、労災病院の行く道であると思っております。

【梅里分科会長代理】  是非、次期中期目標の中に、そういう新しい役割をどう持っていくかというようなところも、再度検討して盛り込まれることを期待したいと思っております。よろしくお願いいたします。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。

【宮本臨時委員】  産業保健三事業の一元化ということに関連してお伺いいたします。一元化するということでの制度設計というのは、しっかりなされているかということですけれども、目指すところは効率化が一つあると思いますので、一元化によって、これまでの三事業としての費用が縮減されるということも一つの目標として設定されているかということが一つ。同様に、利用者へのサービスの向上、あるいは支援の充実ということも目指されているでしょうから、それにつきましても、具体的な目標としては次の目標にどのように設定しようとしているかをお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【泉労働基準局安全衛生部労働衛生課長】  まず、三事業を一元化しての効率化の点でございますけれども、今まで各都道府県に拠点を持っておりますが、その拠点をばらばらに持ってございますので、そこを統一することによって管理業務を合理化していきたいと。さらに、これまで、例えば関係者を集める連絡調整会議のようなものも、対象者は似通りながら、それぞれ実施してきたところなどもございますので、そういったものを集約化することによって開催回数を減らすといったことで事業の効率化を図っていきたいと思っております。
 それから、利用者の方々への利便性といたしましては、例えば小規模の事業所の方にしてみれば、健康診断のその後の指導について相談するときは地域の産業保健事業にお願いする、あるいは有害業務を取り扱うところの作業管理について相談するときは県レベルの産業保健推進センターにお願いする、メンタルヘルスについては、またメンタルヘルス事業ということで、拠点がばらばらだったというデメリットがございましたが、そこを一元化することによって、1カ所に相談すれば、その後は相談がつながるような形のワンストップサービスというものを目指していくということを考えております。

【宮本臨時委員】  方向性は今言われたとおりで、その方向性のためにそういうことをやるとうたっておられると思うのですが、目標として、より具体的に設定できるかどうかというか、設定していただきたいということでございます。よろしくお願いいたします。

【泉労働基準局安全衛生部労働衛生課長】  そこは具体的に検討しているところでございます。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。河村委員。

【河村臨時委員】  御説明ありがとうございました。いろいろな業務をやっていらっしゃると思うのですが、私のほうからは、労災病院のところに絞って御質問させていただきます。
 今までいろいろな数字等も拝見させていただいて、7月にワーキング・グループでヒアリングもさせていただいて、その後、いろいろお煩わせしたと思うのですが、名古屋のほうにも視察にも行かせていただきました。御協力いただき、いろいろ実際のところを拝見することができてよく分かりました。ありがとうございました。
 それで、私どもの認識としては、端的に申し上げて、繰越欠損金のお話、解消計画というお話が先ほど部長からもございましたけど、正直申し上げて、これまでを見ても、なかなか減らないと。病院ごとのいろいろなパフォーマンスの数字とかを見ても、出ていないところもあるかもしれませんけれども、少しどうなのかなという感じがするのです。片や、同じ主務大臣の下にある病院を運営する法人ということで国立病院機構がおありになり、もうこれは衆目一致するところで、大変高い立派な業績を上げていらっしゃる機構だと思います。同じ主務大臣の下で、もちろん立ち位置が少し違うのは承知しております。政策医療といっても、国病がやっている政策医療と、労災病院がやっていらっしゃる政策医療は違う。それも承知しております。しかし、正直言って、これほどにパフォーマンスに差が出てしまったのはなぜなのかというのが問題意識でございます。これはどうしてなのか。同じ独法で、もともと片や国から来た、片や特殊法人から来たということなのか、よく分かりませんけど、実際の運営にいろいろ問題があったのかとか、どのような関わりを本部なり本省なりがなさっていたのかとか、そういったあたり、どうなのかなという感じがしておりました。だからこそ、7月のワーキング・グループのヒアリングのときにも、例えば病院ごとの経営分析についてお伺いしました。別にお金が全てではないのです。お金を削ればいいということではなくて、各地域に良い、質の高い医療を提供していくことが大変大事だと思うのです。そういった意味で、きちんと本部が把握して、各病院の提供する医療が、労災の部分だけでなく、地域医療としても地域から大変期待されていますから、良い医療を提供できるようにできていますかとお尋ねすると、分析もしています、フォローもしています、指導もしていますというお話だったのです。ところが、名古屋に伺いました。名古屋医療センター、国病のほうにも伺いました。それから、労災病院のほうにも伺いました。いろいろ伺うと、どうも本部のグリップというのは、全然この2つの機構でお違いになるのだなということが分かりました。名古屋の例かもしれません。名古屋が全てではない、全国ではないかもしれない。しかし、片や、本当に国病機構は各病院の詳細な経営分析と、それから地域との関わり等の分析をされて、本部から各院長、大変グリップががっちり掛かっていらっしゃいます。そういった意味で、別に赤字病院をなくせとか、そういうことではないのです。名古屋の労災病院にお邪魔しました。きれいな病院ですね。立派なホテルのような病院です。ただ、欠損金が名古屋としても結構おありになるはずです。お尋ねしました。院のトップの方、院長代理先生は御存じなかったみたいです。本部は何をやっていらっしゃるのですか。本省は何をやっていらっしゃるのですか。各病院にそういう意識がなくて、果たして解消できるのか。先ほど部長は、平成28年度までに解消とおっしゃってくださいましたけれども、それで大丈夫なのかなという気がするのですが、そのあたり、例えば国立病院機構であれば、別に全部赤字病院をなくそうというつもりで、そこまではやっていらっしゃらないと思いますけど、リスタートプランというものを作って、きちんと目標と期限というのを、機構全体だけじゃなくて病院ごとにお作りになって、それができなかったときには組織の在り方をゼロベースで検討するとか、結構厳しいことをやっぱりやっていらっしゃると思うのです。そういうことを同じ主務大臣の下にあるそちらの機構として、よく御存じだと思うのですけど、どういう形で業務改善していこうとお考えになっていらっしゃるか、まずそのあたりをお伺いしたいと思います。

【木原労働基準局労災補償部労災管理課長】  まず、繰越欠損金の問題ですけれども、労働者健康福祉機構におけます繰越欠損金の大きな要因というものは、厚生年金基金の資産の減少に伴います退職給付費用の増によるものでございます。したがって、厚生年金基金をどうするかということが労働者健康福祉機構にとりましても大きな課題となっておりまして、これが制度の見直しに関する法改正も行われましたので、これを踏まえて国への代行返上ですとか、新たな企業年金制度への移行ということを速やかに実現していきたいということを考えております。もちろんこれも基金という機構とは別な法人に関することでございますし、いろいろな調整ですとかもございますけれども、労福機構としましても、基金の見直しについて真摯に取り組んでいく考えでございます。
 もちろんそれだけではございませんでして、いろいろな病院ごとに、データを基に、どのような特色があるのか、強みは何か、弱みは何かといったようなことも検討しておりますし、それを更に本部においてデータを集積して分析をし、それぞれの病院との協議の中でいろいろな検討をしているという取組もいたしております。しかし、御指摘のあったように、それで十分なのかという側面、これはまだ道半ばというところもあるのかもしれません。
 国立病院の例についても御指摘いただきましたが、国立病院機構との連携を推進するために、両機構の本部の役職員などで構成しております国立病院機構・労働者健康福祉機構協議会というものも構成しておりまして、ここでいろいろな情報交換などもさせていただいております。参考にすべき点は参考にし、労福機構として、今も一生懸命取り組んではいますが、なお取り組むべきところは取り組み、医療の提供という点でも、それから財務面においても、次期中期目標期間では更なる改善を図っていきたいと考えております。

【河村臨時委員】  ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
 1つ、厚生年金基金のところ、お話のあった、要するにサブプライム危機の関係の影響、厚生年金基金の扱いは国病と違うから、それは承知しております。しかし、多分それだけで繰越欠損のことが解消するかどうかということはなくて、やはり各病院の努力も必要だと思います。
 ちなみに、サブプライムローン等の影響による厚生年金基金資産の減少に伴う云々というのが見直し当初案の整理表のところにも書いていらっしゃるのですけど、はっきり申し上げて、サブプライムローン危機で何が起こったか。その前に金融資産のバブルが起こっていたわけです。バブルが崩壊したわけです。バブルに頼ってやっていたわけですよね。それは別にこちらだけじゃなくて、どこもかしこも打撃を受けているわけで、でも、これを除く要因ということで言い訳のようにこうやって書いていくと、本当にこの要因が残っている限りは何も改革しないでいいということになってしまいます。私は金融を専門でやっている人間ですが、このサブプライム危機の影響は日本よりももっと欧米のほうが深刻です。しかし、もう5年も経った今となって、「この要因を除く」なんて言い訳がましい分析をしているところはもっと影響が厳しかった欧米でも見たことありません。やっぱりもうこういうのはおやめになられて、バブルが崩壊したのだから、それを言ったってバブルが元に戻るわけじゃないと思います。
 国立病院は参考にしてというお話があったのですが、やはり各病院のことをきちんと分析して、グリップを掛けていくことが必要だと思います。政独委のミッションとしては、行革ではありませんので、あくまで事務・事業の見直しですので、その観点から申し上げます。今、協議会というようなお話もありまして、是非、そういうこともお続けいただければと思うのですけれども。我々が思うのは、改革を成功させるにはどうしたらいいかというと、国病は病院ごとに分析のノウハウを持っていらっしゃいますので、それを取り入れられたらどうですか。分析の、それからマネジメントのノウハウも持っていらっしゃいます。具体的には、人事交流をお進めになられてはいかがですか。経営分析の部隊、かなりしっかりした部隊が国病機構におありになります。そこの目で見ていただく。各労災病院の分析もしていただく。人に来ていただく。1人や2人じゃだめだと思います。こちらの労福機構のほうの方も、逆に人事交流という形で国病のほうにも出向して、そういうものを是非吸収していただくとか、それから、全部の病院ということじゃないですけど、どこか改革のパイロット病院をお決めになって、そこのトップの病院長に、国病の病院長を経験された方を人事交流という形で持ってこられたらどうですか。そこで本部からきちんと分析してもらって、新しい病院長の下でマネジメントをする。その病院がどう変わるか、どう改善されるか、そういうことを試してみる価値はあるのではないかと思いますが、そういったあたりはどうお考えでしょうか。

【木原労働基準局労災補償部労災管理課長】  労働者健康福祉機構としては、今でも一生懸命ガバナンスを効かせられるようにやっているということをとりあえずは申したいとは思うのですけれども、でも、まだまだ学ぶべきところはあるのではないかというのは、そのとおりかと思います。
 人事交流という御提案をいただきましたけれども、これは相手のある話でありまして、すぐに結論が出る問題ではないかもしれませんが、人事交流によっていろいろなノウハウを吸収する、交換し合うというものも、経営改善という観点からは効果のあるものかと思います。ここは、申しましたように相手方のある話ですので、今ここでどうするということは申し上げにくいのですけれども、貴重な御提案ということで、また機構のほうにも伝えたいと思います。

【宮内分科会長】  最後に一つだけ。

【園田臨時委員】   管理業務について伺いたいのですけれども、いろいろな施設で管理業務を分散してされていると思うのですが、効率化とともにクオリティーの向上も考えなければいけないわけなのですけれども、例えば、集約化みたいなものもあるかと思いますし、それから業務の標準化みたいなものもあると思うのですが、そこら辺をどのように方針として考えられているか、簡単に教えてください。

【坂田労働基準局労災補償部労災管理課長補佐】  現在、労福機構の管理業務につきましては、グループウエアシステム、また人事給与システム、財務会計システム、こういったものについては本部で一括して管理しております。また、それぞれ各施設でも、そういったシステムを用いた業務ということをやって、できるだけ業務の効率化を図っているところでございます。

【園田臨時委員】  標準化みたいなものは図られているのでしょうか。

【坂田労働基準局労災補償部労災管理課長補佐】  はい。それぞれのシステムは基本的には標準化を図っております。実際の事務は各病院単位で管理業務を行っております。

【園田臨時委員】  システムが同じというのは、つまりソフトウエアの話ですか。

【坂田労働基準局労災補償部労災管理課長補佐】  そうです、はい。

【園田臨時委員】  ソフトウエアが同じじゃなくて、具体的な業務処理のプロセスの話をしているのですが。

【坂田労働基準局労災補償部労災管理課長補佐】  各管理業務につきましては、採用、あと給与計算、資金管理、また決算、情報システム、その他、それぞれ全てが一元化というわけではなくて、各業務に応じて、病院単位であったり、また本部でまとめて処理していたりということになっております。

【園田臨時委員】  はい。だから、現状はそうかもしれませんが、将来的にはどのようにされるかという方針を伺いたいのですが。

【坂田労働基準局労災補償部労災管理課長補佐】  将来的な方針といたしましては、中には必ずしも一括して集中化させることが、費用対効果があるかどうかということも検討する必要があると思いますので、先ほど申しました、それぞれの各管理業務、それぞれについて費用対効果を検討した上で、集中化すべきかどうかということを検討してまいりたいと思っております。

【園田臨時委員】  分かりました。

【宮内分科会長】  大体よろしいでしょうか。
 それでは、時間の都合もございますので、労働者健康福祉機構については、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもわかりません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、説明者の皆様方は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【宮内分科会長】  次に、国立病院機構について、神田大臣官房審議官から御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もございますので、5分程度で御説明をお願いいたします。

【神田大臣官房審議官】  国立病院機構の担当審議官の神田と申します。座って説明させていただきます。お時間も限られておりますので、お手元の国立病院機構の組織・業務全般の見直し当初案について御説明させていただきます。
 1ページおめくりいただきますと、概要が出ておりますけれども、平成16年に独法は発足いたしております。今年度までで第2期が終わるということでございます。1ページをご覧いただきますと分かりますように、5月1日に1つ合併しておりまして、現在、病院数が143でございまして、約5万2,000床の病床を抱えております。そのうち約1万3,000床は、左下にございます心神喪失者等の医療観察法、筋ジス、重症心身障害児等、もし国の機構でやらなければ、なかなかほかに担い手がいない、いわゆるセーフティーネットの医療を行っております。こうした中で、入院患者1日約4万4,000人、外来約4万8,000人の診療を担当しているということでございます。入院患者の約4分の1も、先ほど申し上げたようなセーフティーネット機能の入院患者の方々でございます。
 財務につきましては、今、約9,100億円の経常収益に対しまして、費用が8,600億円ということでございますので、500億円の経常利益を上げてございます。1ページの右下のほうの「財務」というところでございますけれども、法人発足当時74ございました赤字病院については、平成24年度決算では19病院まで減っているということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目の一番下をご覧いただきますと、今申し上げましたようなことから、経常収支比率は105%ということで、目標を達成していると。それから、長期借入金につきましても、法人発足当時7,600億円ございました長期借入金については、約3,000億円減らして、今4,600億円まで来ているという状況でございます。
 主な事業の内容ということで、上をご覧いただきますと、「診療事業」のところでございますが、特に特筆すべきということでいいますと、やはり国の危機管理的な医療ということで、平成21年には新型インフルエンザが発生いたしまして、55病院から多くのドクター、看護師を検疫所等に派遣いたしております。それからまた、ワクチンの迅速な臨床試験を実施いたしております。
 それから、平成23年3月の東日本大震災に際しましては、全国の災害医療チーム、DMATの派遣・指揮をいたしました。当時、380チーム、1,800万人が現地に入っておりますけれども、その約1割は国立病院機構から直接出向いている者でございます。それからまた、避難所について、1万1,000人の方々に対する巡回診療を実施するなど、延べ1万人の職員を派遣して災害医療に当たっております。
 それが危機管理的な医療ということでございますが、そのほか、先ほど申し上げたセーフティーネット医療、2ページの一番上でございます。かなりのシェアを占めておりまして、この機構で行わなければ、ほかに担い手がなかなかない医療ということでございます。それから、地域におきまして、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病等のいわゆる4疾病・5事業と、救急、災害、僻地、周産期、小児といったような地域で必要とされる医療についても貢献いたしております。
 その次の臨床研究、2ページの二つ目でございますけれども、本部に中央治験審査委員会というものを設置いたしまして、一括して審査を行いまして、この病院ネットワークを活用いたしまして共同治験を実施し、この中期目標期間の間に新規に承認されました薬の5割の治験に関与いたしております。それから、レセプトのデータですとか、データを分析いたしまして、臨床評価指標というものを70策定いたしております。これは民間病院でも作成していただけるようなマニュアルを作成して、還元もいたしております。
 それから、教育研修につきましては、特に地元の方々の医療従事者ですとか、そういう者に対する研修ということで、これも当初と比べますと4割近い増加をいたしております。
 事務・事業の見直しについてということでございますけれども、3ページ以降でございますが、基本的な診療事業につきましては、先ほど申し上げました、今回の中期目標期間の暫定評価におきましても非常に高い評価をいただいておりますので、骨格的な診療の柱については大きな変更はいたしておりません。地域医療との関係で、在宅医療の推進などの地域連携ということで、そういったものは入れておりますけれども、基本的には、(1)にございますようなセーフティーネット分野の医療、それから地域における5疾病・5事業の医療、それから(2)にございます災害医療ですとか新型インフルエンザ対応等の危機管理的な医療ということを柱として行ってまいりたいということでございます。
 それから、4ページ目の臨床研究についてでございますけれども、これにつきましては、特に健康・医療戦略におきまして、我が国におけます国際的な治験ですとか、そういうものを積極的に推進していくということをうたっておりますので、それに対応しまして、国際医療水準の臨床研究の充実を図っていく。それから、出口戦略を見据えた医薬品・医療機器の開発支援に取り組むということをしてまいりたいと考えております。
 それから、(2)でございますけれども、DPCデータですとかレセプトの診療情報データベースというのがございますけれども、さらに、治療効果などをしっかり分析できるように、電子カルテの導入ですとか、電子カルテ情報の収集・分析についての検討を進めて、特に臨床研究のIT基盤の充実を図ってまいりたいと考えております。
 引き続きまして、5ページ目の教育研修についてでございますけれども、これについても良質な医師を養成するといったことなどについては基本的には同じでございますけれども、5ページの下の段でございますが、看護行為の中で特に高度な技術ですとか判断力を要するような行為につきましては、医療法、保助看法を改正いたしまして、一定の研修が義務づけられるということになってございます。これまでも国のモデル事業に参加いたしておりますけれども、特にこういった分野での専門職種の育成・研修というものにも取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、6ページ目でございますけれども、法人形態の見直しということでございますが、医療事業の特性を踏まえた見直しについて検討していくということにいたしております。今、独立行政法人の改革の一環として見直しが検討されておりますので、その中で検討していきたいと考えております。ただ、そこにも「医療事業の特性」と書いてございますけれども、基本的には独立採算というものに近い形で診療報酬の収入で賄っております。これは法定価格ですので、売り上げ、価格設定の自由度がございませんので、中長期的にコスト削減していくとか、あるいは患者が来なくなれば収入が入らなくなりますので、中長期的な観点に立って、医療の高度化に対応するような設備投資、施設・設備の整備等をしていく必要があるという特性を踏まえた見直しを検討していく必要があるのではないかと考えております。
 それから、非公務員化につきましても、法人改革、形態の見直しと併せて検討してまいりたいと思っております。
 業務運営体制についてでございますけれども、先ほど申し上げましたような電子カルテの導入ですとか情報分析を進めていくという観点から、本部のIT関連部門の体制強化等に取り組んでまいりたいと考えております。それから、それを踏まえて、経営分析体制ということでございますが、今、経常収支比率等、財務会計システムからとった情報で経営分析はもちろんいたしておりますけれども、さらに先ほど申し上げたようなDPCなどの診療に関するデータを経営分析に活用できないかと。それによって、地域におけるその病院の強みですとか弱みですとか、どういう機能を果たしているのかというような分析に役立ててまいりたいと考えております。それから、本部の組織の再編ということで、例えば、病院の建設ということについて、財務と企画部門で投資についての判断が両方の部にまたがっているとか、効率化できる部分については効率化してまいりたいと考えております。
 概略、以上でございます。

【宮内分科会長】  それでは、ただいま御説明いただきました国立病院機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

【梅里分科会長代理】  どうもありがとうございました。
 国立病院機構については、昔は年間2,000億円もの赤字を出していた時代がありましたから、それから考えると隔世の感があるのですけれども、経営状況が良くなってきて、今、本部による情報分析等を伴う全体的な改善の方向にも進んでいる。恐らく経営的に余力が出てきて、どんどん良い方向に回転しているのかなと伺ったのですけれども、独立行政法人として、経営がかなり良くなりましたので、民営化してもよいのではないかとか、そういう考え方すら出てくるのではないかという気がします。今、それぞれの地域で財政状態を見て、どういう基準で統廃合を進めておられるのか、必ずしも財務状況だけで病院はなくせないということがありますね。だから、これからの国立病院機構として、各地域で必要な病院であるのかどうかというようなことの判断、それからさらに、必要な地域には医療を提供できるような機関を増やしていくとか、そういうことについてのお考えはどのようになっているのかというのを最初にお聞かせいただきたいと思います。新たな公的役割と言ったらいいのでしょうかね。

【神田大臣官房審議官】  民営化できるのではないかということについては、冒頭申し上げましたように、危機管理という、DMATという災害医療チームの要請そのものも国立病院機構の災害医療センターで行っております。年間でいいますと、例えば、平成25年度ですと154チームの研修をして養成をすると。それから、全国に1,150あるチームの派遣調整ですとか、そういう重要な任務も担っております。それから、10月から関西にもDMATの事務局を設けております。それから、先ほど、新型インフルエンザがあったときに、なかなか行き手がないときに、検疫所に率先して二百数十人の医者を派遣するとか、そういう危機管理というのは、民営化して本当にやっていただけるのかどうかと。これは何か重大なことがあったときにはちゃんと要請ができるという法律上の根拠もございますし、理事長の人事権ですとか、やはり目標による管理というのは、担っている医療の性格上、必要ではないか。筋ジスとかいうと96%はこの機構で担っていますし、触法の先ほど申し上げた精神喪失者の方々に対する医療についても6割をこの機構で担っています。自由でいいということになったら、民間に委ねて、そういう命令ができるかというと、それは困難ではないかと思っております。
 それから、おっしゃられるような地域における役割ということについては、総合的検証というのを実施いたしております。地域においてどんな機能を担っているのかとか、近隣にどんな病院があるのかというようなことについては、全ての病院について検証して公表いたしております。ただ、先ほど申し上げたように、もともと、昭和61年の再編計画の当初239あったものを今143まで既に減らしてきております。これはもう、おっしゃられるように一般の通常の医療をやるのであれば国立でやる必要はないのではないかということがございますので、総合的な検証の中でも、先ほど申し上げたような、がんですとか急性心筋梗塞ですとか脳卒中とか、あるいは救急、災害、僻地といった、医療計画の中に位置付けて計画的に確保していかなければいけない医療というのをきちっと担っていくということで、今、143の病院について、いずれかのそういった機能がない病院というのは一切ございませんので、政策的医療を担うか、今申し上げたような、地域で求められている、地域医療計画に位置付けられているような機能を担うものでございます。もちろん今後、機能の重複ですとか、そういうことがあれば、それは地域の中で検討するべきことだと思います。医療法の改正等が検討されていまして、地域における急性期病床ですとか、それを2025年に向けまして、必要量を検討して、地域医療ビジョンという形で示していくとなっておりますので、なかなか代わりの急性期機能ですとか、先ほど申し上げた機能を担っていただけるところは少ないと思いますけれども、仮に重複していて要らないということであれば、そこは検討する余地はあるかとは思っております。

【梅里分科会長代理】  ありがとうございます。大変しっかりしたお考えのもとに進んでいるということがよく分かります。
 更に欲を言えばなんですけれども、僻地とか過疎な地域とか、医療崩壊が叫ばれているような地域に対する医師のローテーションによる派遣だとかサポート、今現在、国立病院機構の病院がないような地域でも、その辺を支援していくような計画、お考えというのはございますでしょうか。

【神田大臣官房審議官】  先ほど申し上げましたように、地域の中で、例えば僻地医療ということで、僻地医療の拠点病院というのがございますけど、それは今12病院、僻地医療を担っているところがありますが、そのうち拠点病院が八つございます。そういう形で、地域の僻地医療に直接拠点病院、無医地区に診療所がありまして、そういうところに代診を派遣したりとか、そういう機能を持ったものが僻地の病院になりますけれども、当然そういう機能は果たしております。
 それから、医師が足りないということについて言いますと、今、地域医療支援センターというのを各都道府県に設けまして、地域枠という奨学金を与えて、地域の病院に勤めていただくとか、あるいは足りない山間に勤めていただくということで、地域枠を設けながら派遣調整するというようなことがございますけれども、こういったことについては、公的な病院については一定の法律上の協力する努力義務がかけられておりますので、そういう点で、協力できる部分については当然協力していく必要があると思っております。

【梅里分科会長代理】  はい。もう1点、よろしいですか。
 今の国立病院機構の中の一つ一つの病院の目標設定というのでしょうか。その病院が置かれている地域の実情等に合わせて目標を設定されているのか、一律、同じような、臨床指標とかそういったようなものもたくさん集めておられますけれども、病院ごとに少しずつ変わってもよいのかなという気がしているのですが、その辺はいかがでしょう。

【神田大臣官房審議官】  それは一律ということでは当然ありませんで、先ほど申し上げたようなそれぞれの特性がございます。例えば救急を担っている病院は今111病院ございますけれども、その中で特に三次救急と言われるような、24時間体制で、広範囲熱傷ですとか、指がなくなった方とか、そういう高度な医療に対応しているところが18ございます。それから、災害医療を担っているところの災害拠点病院、これは災害時の医療について中心的な役割を担うところですが、災害医療を担っているところは57ありますけれども、拠点病院は29ですとか、それぞれ先ほど申し上げたような医療計画の中でしっかりとした位置付けがございますので、一律ということは全くございませんで、地域の中で、各都道府県で、医療計画の中に具体的な国立病院の名前を挙げて位置付けがされておりますので、地域の中で何を担うかということについては、各都道府県の医療審議会等で議論して、その中で、先ほど申し上げたような将来のビジョンも見越して今後も議論がされますので、その中で必要に応じて、その機能を更に追加するのか削るのかという議論も当然あり得るとは思いますけれども、一律ということは当然ございません。例えばで言えば、今申し上げたようなことでございますけれども。

【梅里分科会長代理】  ありがとうございました。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。園田委員。

【園田臨時委員】  各施設で実施する管理業務について伺います。効率化とともに業務のクオリティーの向上というのも同時に達成しなければいけないわけなのですが、例えば本部に集約するとか、シェアードサービスという手法がありますが、そういったようなことを将来的に考えていらっしゃるのかということと、もう一つ、ブロック事務所の体制を廃止され、本社組織の再編ということが書かれていますけれども、あわせて、どういう形になるのか教えてください。

【神田大臣官房審議官】  ブロック事務所については平成26年度に廃止するということにして、建築とか企画機能は本部に既に一元化しておりますし、本部で行ったほうが効率的な業務については、ブロック事務所も廃止して、基本的に本部で一元化するという方向にいたしております。それから、一部、会計事務や給与事務などについては、これは各病院で早出、遅出、緊急呼び出しとか多様な事務がございますので、本部でそれを吸い上げてやるのが果たして効率的かどうかというと、むしろ現場で実情に応じてやったほうがいいものについては、これは本部で一括処理するというよりも、現場でそういう部分はやってもらったほうがいいのではないかと。

【園田臨時委員】  今のお話は入出金の話ですか。

【神田大臣官房審議官】  入出金というか、給与事務について、夜勤の体系ですとか、早出だとか緊急の呼び出しがあったりとか、かなりアドホックに変わったりしますので、細かく変動したものに応じた給与支払いだとか、そういうような部分に関して言いますと、一括してどこかに委託するといっても、全国のこれだけのものを現場の時々の状況に応じて適切にやるというのはなかなか難しいという点がありますので、現場に近い部分でやったほうがいい事務については、どうしても残る部分はあろうかと思っています。

【園田臨時委員】  民間企業ですと、同じような、例えば、スーパーマーケットみたいにいろいろな職種の方がいらっしゃるところでも一括してされているのですけれども、そういった意味では、今の話というのはそんなに根拠があるとは思えないのですが、そこら辺はいかがでしょうか。

【神田大臣官房審議官】  スーパーマーケットと違う、多分医療の特殊性ということで言うと、緊急の例えば救急をやっているところだと、手術の体制ですとかそういうことで、待機状態であるけれども、呼び出しが実際に来るかどうかというのは、その時々、救急車が入ってきて、診断の体制ですとか、周りのパラメディカルのスタッフも出ていかなければいけないということがありますので、スーパーみたいなところは急に夜開けとかいうことはないでしょうから、そこはやっぱり医療としての特殊性という側面はどうしてもあろうかと思います。

【園田臨時委員】  それはでも、勤怠情報を作るという話ですよね、今の話は。どれぐらい夜勤をしているとか、そういう情報を作る作業の話ですよね。そういう作業は現場でされても構わないと思うのですけれども、実際の計算に関しては集約しても別に関係ないのではないですか。勤怠情報の作成の場所と計算の場所は違うと。

【神田大臣官房審議官】  もちろん会計事務ですとか給与事務のシステムですとか、そういうのは当然、全部統一して、支払いをするとか、そういうシステムの統一は全部やっておりますけれども、おっしゃられるような、夜勤というのはローテーションを組んでいますので比較的予見可能性がありますけれども、先ほど言った救急で飛び込んできたものに対する対応ですとか、どうしても突発的なものが入ってまいりますので、そういった点で、完全に本部に一元化するということになじまない部分があるのではないかということです。

【園田臨時委員】  ちょっと話がかみ合っていない気がするのですけれども。

【古川医政局国立病院課長】  実態といたしまして、まだ出勤管理自体はシステマチックになっていない状況であります。平成16年の移行時には検討いたしましたけれども、先ほど審議官から御説明があったように、管理室勤務者と、いわゆる交代制の勤務者があって、ばらばらで、あとは緊急の呼び出しとかがあったりして、そこがシステマチックになっていません。先生の御指摘の部分は検討の余地はあると思いますけど、総合して、それを導入したときに効率的かどうかということの判断は検証する必要があるのではないかと思います。

【園田臨時委員】  まだ、勤怠は結構手で書かれているとか、そういう形になっているということですか。

【古川医政局国立病院課長】  はい。まだそこはアナログです。

【園田臨時委員】  分かりました。そこら辺、もう少し効率化を考えていただければいいかなと思います。

【古川医政局国立病院課長】  はい。

【河村臨時委員】  御説明、いろいろありがとうございます。
 私のほうからは、国立病院機構は大変立派な業績を上げておられて、それは本当に称賛に値すると思っております。これは御相談というか、お願いで、機構の中期目標にどうのとかいうこととは違うかもしれないのですが、主務省としての厚生労働省に御相談というか、お願いです。というのは、厚生労働省、同じ主務大臣の所管で、ほかにも病院がおありになると。我々の目からすると、国病がこれほど立派な、旧特別会計時代からすればほんとうに顕著な、大変目覚ましい業績を上げられていて、それが単に収支の改善だけではなくて、各病院の地域医療への取組とか、そういうところにも非常に良い形で出てきているのだなということがよく分かりました。実際に視察も行かせていただきましたけれども、よく分かりました。
 我々の問題意識としては、国病ではなくて、ほかの機構なのです。ほかにどうやって改善を促すかというときに、どうして同じ主務大臣の下にある病院なのにというか、こんなに良い例が身近にあるのに、それを取り入れられないのか。これはもう随分前から言っているのですけど、全然進んでいないような感じがする。参考にしますとか、共同調達をやりますとか、さっきもお尋ねしたら、協議会をやっていますとかという話はあったのですけれども、国病はいろいろな強みがおありになって、立派な理事長がいらして、大変なリーダーシップを発揮されてやられたこともおありでしょうし、やっぱりいろいろ実際にお邪魔して伺ったりもすると、経営分析、それから医療の分析、大変すばらしい部署をお持ちです。大変すばらしい分析をしていらっしゃるのを少し見せてもいただきました。それを基に各病院への御指導等を大変厳しくやられている話も名古屋でも伺いました。やっぱりそういった辺りがすごく強みなのかなと思いますので、そういうのを是非、労福や今度新しくできるJCHOにも、取り入れていただくときに、例えば、御協力をお願いできる余地があるかということなのです。多分幾らまねしてください、まねしてくださいと言っても進まないのです。政独委としては人事交流とかで御協力いただくことが可能かどうかということなのです。例えば、これだけの経営分析の大変なすごい部隊を持っていらして、ノウハウもお持ちになって、実力のおありになる方がたくさんいらっしゃると思うのですが、そういうところと、例えば労福とで人事交流をしていただいて、お互いに勉強してもらって、持っていらっしゃるノウハウで今度、労災病院のほうの分析を徹底的にやっていただく、それから国病で経営改善、いろいろな実績もお持ちで、いろいろなことを御存じの病院長先生にどこかの労災病院の病院長先生になっていただいて、実際にそういう本部の分析を基に病院の改善をやっていただくなど、そのような形というのは、所管の局も異なることは、それは重々承知なのですけれども、でも我々から見ると、同じ厚生労働大臣の下なのにという気がするのです。少し厚かましいかもしれないのですが、こういった御相談、いかがでございましょうか。

【神田大臣官房審議官】  私の一存で、にわかに大丈夫ですとはあまり申し上げられないのですけど、非常に難しいなと。事務職ですとか、国立病院の担当事務局の人間で、新しく発足する地域医療機能推進機構のほうに人事交流で行っている人間ももちろんおりますので、事務方は比較的可能性はもちろんあるのではないかと思うのですけど、お医者さんのほうになりますと、やはり大学中心とか医局人事とかいうのがあって、こちらの病院長さんにあっちに行けよというふうに、通常の人事と同じように回せるかというと、そこはなかなか、出身の大学なり何なりとよく御相談しながらでないと難しいところもあるのではないかと思います。

【坊野医政局国立病院機構管理室長補佐】  あと若干経験則で補足させていただきますと、ある病院で非常に経営改善にうまく取り組んでいた院長先生がおられたとして、じゃ、同じ手法で、来たらうまくいくかというと、必ずしもそうではございませんで、非常に情緒的な話ではありますけれども、風土とか考え方とか、あるいは政策としても、医療としても目指すべき方向が違ったりとか、そうすると、単純にやればいいということではなく、なじんだ方であればすぐできるかもしれませんけれども、制度化して、さあ、みんな一斉にやりましょうというと、なかなか、経験則ですけれども、そううまくいかないケースもあったりするので、おっしゃったように、そういう循環をするとか、そんな考え方というのは、それは今審議官が申し上げましたけれども、事務方レベルでもやっていることも含めて、考え方としては否定されるものではないと思いますけれども、まずは今できるところから一緒に研修に参加するというようなところで、考え方を共有するというようなところで今始めているところでございます。

【河村臨時委員】  すみません。確かに実際いろいろ難しいところもおありになるとは思うのですけれども、やはり同じ大臣の所管の病院であるので、ぜひ何か可能な範囲でお力をお貸しいただくことができないかというか、せっかくこれだけのノウハウをお持ちなので、御検討いただければと思います。

【宮内分科会長】  大体よろしいでしょうか。
 それでは、時間の都合もありますので、国立病院機構については、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思っておりますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもわかりません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、説明者の皆様方は御退席いただいて結構です。どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【宮内分科会長】  それでは、次に、年金・健康保険福祉施設整理機構について、樽見大臣官房年金管理審議官から御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もございますので、5分厳守ということでよろしくお願いいたします。

【樽見大臣官房年金管理審議官】  わかりました。
 厚生労働省年金管理審議官、樽見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1−1−(4)というところで、年金・健康保険福祉施設整理機構が来年の4月以降、地域医療機能推進機構になるということが法律で決まっております。これにつきましての見直し当初案について御説明をさせていただきます。
 表紙の裏でございますけれども、ここに書いてありますような法律改正が成立しておるということで、もともと年金・健康保険福祉施設整理機構は社会保険のお金でつくりました施設について、これをできるだけ売却するためにつくった独立行政法人でありました。けれども、いわゆる厚生年金会館等の売却がほぼ終わりまして、その上で残るのは医療機関、病院といったようなところになったところで、これをどうするかというところで国会にて議論がありまして、このRFOを地域医療機能推進機構に改組しまして、残った病院、それから老人保健施設等の運営を行わせるというふうになったところでございます。
 したがいまして、新しい法人は、2のところで書いてございますけれども、救急医療等、公的に必要な5事業、リハビリ、地域医療・介護といったような機能を行うということになっているわけでございます。ただ、引き続いて売るということもできることになっているということでございます。
 この改組の時期が、その他のところに書いてございますけれども、平成26年4月1日となっているということでございます。
 したがいまして、次のページのところにございますけれども、目的、業務が大きく変わります。今までは売るということだったわけでありますが、救急医療等の5事業、5事業というのは僻地医療、救急医療、災害医療、それから周産期、小児となっておりますけれども5つの事業、それからリハビリといった地域の医療を提供する機能を確保するということになっておるわけでございます。
 業務といたしましては、売るということだったわけでありますけれども、病院、それから老健施設、それから看護師養成施設の設置、運営を行うということになるわけでございます。病院の運営は、今までもRFOが保有していましたけれども、全国社会保険協会連合会や厚生年金事業振興団に運営を委託していたのでありますが、今度は直営するということになるわけでございます。
 したがいまして、役職員も、今は理事長のほか常勤の理事は1人もいないということでございますけれども、理事長、監事2名のほか、常勤理事5名と、それから非常勤理事5名という形になるわけでございます。職員も、各地で50を超える病院を運営するということになりますので、職員も2万人前後という形になるということが想定されているところでございます。
 次のページでございますけれども、事務・事業の見直し当初案についてということで、事務・事業をどのようにやっていくのかということで、この法人の目的に即して着実に事業を開始し、運営していくということがこの法人に課せられた使命であると考えてございますので、「ポイント」というところで書いてございますけれども、各病院及び老健施設の強みをいかして、全国規模のグループということで、急性期から介護までのシームレスなサービスを提供するということでございます。特に社会保険の病院がなくなると地域医療が非常に薄くなってしまうというような地域も非常に多くあるということで、こういう立法がされて、病院を経営する法人に衣替えをすることになったという経緯を踏まえた対応をしっかりしていくことが必要であろうと考えてございます。
 それで、次の○ですけれども、約半数の病院に老人保健施設が附属しているというところがございます。これも、いわばこのグループの特色であろうと思いますので、こうした複合的なサービスを一体的に提供される拠点、それから地域における包括的なケア、地域包括というのは介護保険のもとでケアの在り方として重要であるということになってございます。そういうものを推進していくということにも取り組むことにいたしております。
 したがいまして、それの運営の仕方ということになってくるわけでございますけれども、次のページになりますが、透明性、説明責任を確保しつつ、スケールメリットを生かした組織運営を実現するということでございまして、地域を越える人事異動を行う。それから、機構本部。これまで社会保険病院は、わりと地域ごとの病院の自主性といいますか、地域ごとの病院の運営をいかしたといいますか、それぞれやっておるといいますか、そういう色合いが強かったわけでありますけれども、機構本部が積極的に関与して経営指導、この法人、この機構の病院として果たすべき使命ということがはっきりしているわけでございますので、そういう観点からの関与を行って、病院運営についての指導を行っていくということでございます。また、そうした形でガバナンスを発揮していくということを通じ、また共同入札を実施するといった、規模の利益をいかすといったようなことを通じまして、効率的な運営を実施していきたいと考えているところでございます。
 私のほうからの御説明は以上とさせていただきます。ありがとうございます。

【宮内分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました年金・健康保険福祉施設整理機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも発言願います。

【梅里分科会長代理】  御説明ありがとうございました。
 最初に、社会保険の病院だというようなことで、なかなか、これからどういう方向に行くのか難しいかなという気もするのですけれども、今のお話の中ですと、地域医療を担うということだと思うのですが、そうすると、役割としては民間病院とほとんど変わらないのですね。特段に独立行政法人としてやっていく意味というのは、どのようにお考えでしょうか。

【重元年金局事業企画課社会保険病院等対策室長】  社会保険病院対策室長でございます。
 今お話がありましたように、新しい機構は、地域医療機能を確保するということが法律の目的で定まっているわけでありますけれども、一方で、これからの医療、地域における医療提供体制ということを考えました場合、急性期から在宅医療まで、各地域の病院なり診療所なり、あるいは介護施設なりが、それぞれの役割に応じた医療連携体制が求められているのだと思います。一方で、我が国の医療の提供の実態を見た場合に、やはり提供する医療の内容というのは、医療機関のほうに大きな裁量があるということでありますとか、一部、不採算な部門もあり得るということで、なかなか民間医療機関だけで地域医療連携体制を確保できるような機能の確保というのができるのかということもあるのだと思います。この地域医療機能推進機構といいますのは、そういった地域で必要とされる医療・介護機能、特に地域において不足している部分について積極的にそれを補っていくということで、地域医療連携体制の一翼を担っていただくということを目的としておるということでございまして、そういった点で独立行政法人の病院グループとしてやっていくというところの意味があるのかなと考えております。
 それともう一つ、全国、今のところ57病院で船出をする予定なのですけれども、そういった全国に病院を持っているというスケールメリットを生かした医療の質の向上、いろいろなネットワークを活用した医療連携のための課題の集約とか解決策の実践、こういったことをより広く提供していくことで、独立行政法人としてやっていただくという意味がそこにはあるのかなと考えているところでございます。
 以上です。

【梅里分科会長代理】  そうしますと、今のお話で、例えば、医療整備が進んだ地域にあるというような病院があれば、これは引き続き売却もできるのだという御説明でした。これについては売却をしていくとか、それから、各地域の五十数病院、地域ごとの置かれている状況によって、どのような機能を持たせるかということを分析をし、性格付けをしていくというように聞こえたのですけれども、このような作業は、次期中期計画の中で、いつごろまでにそれぞれの病院の必要性や機能というものを設定していく予定でしょうか。

【重元年金局事業企画課社会保険病院等対策室長】  1点目の売却の点につきましては、平成23年に成立しました法律の中でも、地域における医療が確保されるということが担保されるのであれば、自治体の意見も聞いた上で譲渡することができるということになっているところでございます。今のところ、新機構になって以降、予定が具体的にあるということではありませんけれども、それはまた今後、新機構を運営していく中で、そういうような状況が出てきた場合に具体的にどうしていくかということを検討していくことになるのだろうと思っております。
 それから、第2点目の各地域にあるそれぞれの病院の機能とか役割とかの見きわめ、見定めという点でございますけれども、今現在、来年4月の新機構への移行、船出に向けまして、RFOのほうで今、各病院に対して、今年度の前半に病院ごとに来年度以降の事業計画の策定に向けたヒアリングをやる中で、各病院の地域におけるニーズと、その病院が提供している医療の現状といったようなことも含めて、来年度以降の経営計画といいますか、そういったことの議論を進めていったところでございます。今現在、各病院がそういったRFOとの議論を踏まえて、来年度以降の経営計画といいますか、そういったものを作成しているところでございまして、また今後近々、さらに各病院の事業計画、病院が果たす役割とかそういったことも含めてだと思うのですけれども、そういったことについて再度、RFOと各病院の間でヒアリングの場を通した議論をして、内容の妥当性等について検証していくということになっていきますので、そういった作業を通じて、各病院の来年4月以降の役割とか機能とか、そういったことを整理していくということになるのかなと思っております。

【樽見大臣官房年金管理審議官】  それは年度中に作るのですか。

【重元年金局事業企画課社会保険病院等対策室長】  はい。今年度中に来年度以降のものを作っていくと。

【梅里分科会長代理】  そうですね。事業計画を出して終わりということではないと思うので、その後、どういう性格を持たせるかというようなことを本部のほうで分析して定めていく。それを次期中期目標期間のどの時点に置くかというようなことを、中期計画の中に明示されることを期待したいと思います。よろしくお願いいたします。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。

【宮本臨時委員】  ただいまの質問に関連すると思いますけれども、新しい組織体制の具体的なものというのはいつ関係者に明示される御予定かというところなのです。現在の機構の勤務関係者が、無用な不安とか、あるいは不信とか、そういうものを持たないということを含めてだと思うのですけれども、いつ具体的な新体制のメッセージが出されるかということです。
 関連して、新しい組織においては、今まで大きく3系統あったと思うのですけれども、それぞれの保有するシステムをどう統合していくか、それをどういうスケジュールで行うか、あるいは、各データの管理システムをどうしていくのか、統合するのか。それぞれの現場から見ると、非常に関心があり、あるいは、不安を持ったりするというところがあると思うのですが、そういうところについて、どういう計画であり、どのように目標に組み込んでいかれるのか、その辺をお聞かせください。

【重元年金局事業企画課社会保険病院等対策室長】  まず第1点目の組織体制につきましては、各病院の体制につきましては、今年の7月に全病院長を集めてRFOが主催しました病院長会議の中で、病床の規模に応じたモデル的な組織体制案というものをRFOから示しておるということでございます。それを踏まえて、今、各病院のほうで、先ほどのお答えの中で申し上げました事業計画を作る中で、病院ごとの具体的な体制といいますか、そういったものを詰めていくということにしておるところでございます。それから、新機構の本部のほうでございますけれども、こちらにつきましては今ちょっとRFOのほうで検討しておるところでございまして、こちらにつきましては可及的速やかに案を固めていくということで作業を進めておるところでございます。
 それから、第2点目のいろいろなデータとか業務に関するシステムの関係でございますけれども、最初、年金管理審議官のほうから御説明しましたように、今、病院は主に3団体に経営委託しておりまして、それぞれの団体でシステムを持っているということでございますけれども、来年4月以降、新体制が発足しますので、こちらにつきましては、当然のことでございますけれども、財務、会計、人事のシステムにつきましては統合した新しいシステムを構築するということで、今その準備を進めておるところでございます。当然のことながら、新機構の発足に間に合うような形で準備を進めているということでございます。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。園田委員。

【園田臨時委員】  今の質問にちょっと関連した質問なのですけれども、管理業務なのですが、直営ということで、特にガバナンスの観点で考えますと、本部にある程度集約したほうがいいのではないかという気がするのです。あとは効率化の面からもですね。そういった点について、どのようにお考えになっているのでしょうか。

【重元年金局事業企画課社会保険病院等対策室長】  業務の本部への集約の点でございますけれども、新機構は今の予定ですと57病院ということになるのですが、それぞれ57病院で、給与の関係であるとか、いろいろな日常の財務、会計、支払いの関係とかありますけれども、業務の性格によって、全部本部に集約してしまうと、逆に効率的にどうかなというところもあるかと思いますので、そこは業務の性格を見た上で、本部でやるべきもの、各病院でやるべきものということを仕分けしていって、より効率的なやり方というのが大事だと思いますので、そういった形で業務の仕分け、本部と施設との役割分担、そういったものを検討していきたいと考えております。

【園田臨時委員】  その方向でお願いできればとは思うのですが、本部に業務を集約した場合、人の問題があると思うのですけれども、地元で雇われた方が今している仕事を本部に集約した場合に、その方はどうなるのでしょうか。

【重元年金局事業企画課社会保険病院等対策室長】  各病院で採用された方につきましては、基本的にはその病院での人事になるとは思うのです。ただ一方で、新機構では、全国に病院が散らばっていますので、ある程度、地域ブロックで一定の、そこの地域ブロック内での異動とかそういったことも含めて、そういったことも人材育成の観点から検討することとしておりますので、そういった形で対応していくということでございます。広域的な病院間の人事異動ということです。

【樽見大臣官房年金管理審議官】  少し補足します。室長のほうが私より詳しいのですけど、例えば、いわゆるバックオフィス的なところとか、そういうものは本部で集中管理することによる効率化というのは考えられると思います。実際、57病院ありますが、社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院、やっぱりそれぞれの若干個性もあったり、運用の仕方、あるいは病院間における給与の規程の差というのも率直に言ってございましたので、そういうものを今そろえるという作業をRFO本部のほうで調整をとってやっております。それも一気にというか、恐らくある程度経過措置を経てそろえるような格好にならざるを得ないと思いますので、そういう作業を行いながら、バックオフィス的なところをどの程度共通化していくのか、それから各病院の監督、まさにガバナンスを効かせるという意味での例えば研修とか人事とか、そういったところというのは出てくると思います。人事も、今、室長から申し上げましたように、こういう人事をやろうということを考えておりますので、そういういろいろな手法を使いながらガバナンスを確保するということをやっていかなきゃいかんと思っています。そういう中で、まさに地場で雇われた職員をどれだけ転勤させるのか。これも、ここの新しい法人における人事管理方針という中では、やはり大きな課題になるだろうと思います。ただ、一応、病院間の人事異動もやろうということで見直し当初案にも書いてございますけれども、広域異動というのを入れていこうとやっていますので、そういうもので、例えば一気に鹿児島の人を東京というのは難しくても、九州ブロック内で動かすとか、それから、そういう中で、若干玉突きをしながら、東京でバックオフィスみたいなのをやるところに人事を集中させるとか、いろいろなことが考えられると思いますので、そういうことをいろいろ考えていきたいと思います。

【園田臨時委員】  どうもありがとうございました。

【宮内分科会長】  ほかにございますでしょうか。大西委員。

【大西臨時委員】  御説明、いろいろありがとうございます。
 見直し当初案のポイントというところに書かれている、今後のグループとしての役割というところで示されておりますけれども、これは非常にタイムリーといいますか、御存じのとおり、今、厚生労働省のほうでは2025年に向けて医療体制全般を、また介護も含めて見直していくということがこれから進んでいくだろうという最初の5年間に当たるわけですので、地域、それぞれ各県、自治体の中でいろいろな検討がされていき、病床をどのように機能を分けていくのか、又は配置を変えていくのか、病院ごとの役割を見直していくのか、また連携の体制をどうとるか、いろいろな議論が進むと思います。その中で非常に重要な役割をこれから担われていくと思いますし、一方で、今議論がありましたように中央で管理していく部分というのもございましょうし、地域の中にシステムなりデータなりを共有させてもらって上手く回るようにしていくという部分も出てくると思いますので、その辺りも是非、今後どのように地域、自治体、もしくは地域の医療機関と連携されて検討を進められるかということも計画の中に具体的に盛り込んでいただければと思います。

【重元年金局事業企画課社会保険病院等対策室長】  今の点につきましても、新機構の法律の中にも、病院の所在する地域の関係者とのいろいろ協議会的なものを、地域の意見、声も聞きながら病院の運営等にも反映させるというような法律の規定もございますので、そういった規定も、取っかかりといいますか、活用しながら、そういった仕組みというのもきちんと構築していく必要があるのではないかと考えております。

【宮内分科会長】  よろしいでしょうか。河村委員。

【河村臨時委員】  統合後の新しく発足されてからの組織の運営のことをお尋ねします。もともと三つ違う形でぶら下がっているところを一つにまとめられるということで、大変でいらっしゃるのはよくわかるのですが、先ほど病院の体制は7月に一つ案があってということで、また最終的にお決めになるのでしょうけれども、この機構全体としての本部の体制というのを大体どのようにお考えなのかということをお尋ねしたいと思います。特に見直し当初案のポイントに書いてくださった3点の中の真ん中のところで、「経営指導など病院運営について、機構本部が積極的に関与」と掲げてくださっていて、是非これをお進めいただければと思うのですけど、三つのものをおまとめになるのはすごく大変でいらっしゃるとは思うのですが、せっかく新しく作るときですから、やはり最初が肝心といいますか、最初どういう組織の構成にして、本部が各病院へどういう関わり方にしていくのかというので、ものすごい違いが後々出てくるのかなという感じもしますので、その辺、どのようにお考えかお尋ねできればと思います。

【重元年金局事業企画課社会保険病院等対策室長】  新機構の発足した後につきましては、最初のほうにも御説明しましたように、各病院に対して、本部がいろいろな経営戦略なども含めまして、きちんと各病院に対して、グリップを効かせると言うと少し言い過ぎかもしれませんが、そうしていく必要があると考えております。本部の体制の細かいところはまだ検討中なのですけれども、そういった各病院に対する経営戦略、本部から一元化したような戦略的なものについても、きちんと各病院に対して行き渡るように、いろいろ運営企画の担当のセクションも当然のことながら設けたりしながら、そういった各病院に対する経営指導ということをきちんとやっていかなければならないと考えておりまして、RFOのほうでも、そういった問題認識のもとで今検討を進めていると承知しております。

【樽見大臣官房年金管理審議官】  先ほど私が御説明しましたように、地域医療機能推進機構になりますと、役職員が理事長、それから監事2名、常勤理事5名となります。理事長は既に、法律が平成23年に通りましたので、こういうふうな医療、病院を経営する団体に移行するということを見越して、昨年の4月から尾身茂理事長、この方は自治医科大学の出身で、WHOの西太平洋事務局長などをやられた、まさに地域医療の専門家でありますけれども、尾身理事長に昨年の4月から替わっていただいていまして、今度の3月、4月をまたいでも尾身さんがそのまま理事長でやられる。まさに尾身理事長のもとで、新しい地域医療機能推進機構の組織作り、本部の組織作りもやっておるというのが今の実情でございます。理事長を中心に、常勤理事についても理事長のところで人選を考えておられると承っておりまして、それぞれ理事長を助けて、どういう部門を担当するかということになるわけですが、今、部門についても、室長から申し上げましたような経営企画的な部門、あるいは医療指導的な部門、それから例えば労務管理とか研修をやるような部門ということをそれぞれの部として持って、その下にそれぞれ組織を持つというようなことを想定して、理事の張りつけなんかも含めて、理事長のところで今検討しておられると聞いております。

【河村臨時委員】  ありがとうございます。ぜひその方向でお進めいただければと思います。
 それで、いろいろ経営戦略とかについても本部が関与ということで、是非ともそのようにお願いできればと思うのですが、元々の現状の把握というか、データ分析等というのがやっぱり大事かなと。もちろんそれは経営陣の方のリーダーシップもものすごく大事だと思うのですけど、データの分析とかも大変大事かなと。それについて、もともと三つの主体でぶら下がる形で病院を持っていらっしゃいましたよね。今までそれぞれの主体でやっていらした分析とかもおありになると思うのですけど、そういったところの統一というか、どのように整理していこうとお考えになっているのかということ。あと、我々の目から見ると、同じ厚労省の所管の中で国立病院機構が大変立派なパフォーマンスを上げていらして、いろいろ伺ったり資料をいただいたりしていると、やはりベースの分析がすごいです。ものすごいお力をお持ちになっていらっしゃるので、場合によっては、そういうノウハウがせっかく同じ役所の中におありになるのであるから、例えば人事交流をするとかいう形で、国病のほうに企業秘密というのがあるのか、私はよく分からないのですけれども、でも、せっかく同じ独法の病院なので、そういう良いところは是非とも取り入れるような形でとも思うのです。ただ、さはさりながら、3グループそれぞれでというところもおありでしょうし、どうお考えでしょう。

【重元年金局事業企画課社会保険病院等対策室長】  現状、その3団体に委託している部分のベースにつきましても、新機構という形で一本化するわけでございますので、そこは統一した方針のもとできちんとやっていくということで、御意見をいただきました、例えば国病機構なんかのノウハウの活用などについても、おっしゃるように、同じ役所の中の独立行政法人ということでもありますので、そういったことも今後きちんと検討して、新しい新機構の運営にいかせるようにしていきたいと考えているところでございます。

【宮内分科会長】  大体、よろしいでしょうか。
 それでは、時間の都合もありますので、年金・健康保険福祉施設整理機構については、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、厚生労働省の皆様方は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

【樽見大臣官房年金管理審議官】  どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。

(説明者等退室)

【宮内分科会長】  ここで15分程度の休憩をとりまして、16時より再開させていただきます。

( 休憩 )

【宮内分科会長】  それでは、再開したいと思います。
 続いて、国土交通省所管2法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行います。本日は、国土交通省の蝦名大臣官房政策評価審議官をはじめ、御担当の皆様方にお越しいただいております。
 それでは、都市再生機構の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係もありますので、5分程度で御説明をお願いいたします。

【蝦名大臣官房政策評価審議官】  国交省の政策評価審議官をしております蝦名でございます。委員の皆様には大変お世話になっております。全体の御説明をまずさせていただきます。
 当省は20の独立行政法人がございますけれども、都市再生機構と奄美群島振興開発基金の2法人が今回中期目標期間を終了するということで、見直し当初案の御説明をさせていただきます。
 国交省の評価委員会のほうでも、両法人ともに中期目標の達成に向けて着実な実施状況にあると御評価もいただいているところでございます。平成22年の閣議決定の事務・事業の見直しの基本方針などを踏まえまして今般いろいろな見直しを行ってまいりましたので、それぞれの担当のほうから御説明を申し上げたいと思います。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  住宅局の担当の佐々木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。では、座って御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 では簡単に、都市再生機構の組織・業務全般の見直しの当初案整理表というパワーポイントの資料2−1−(1)、これに基づきまして、ざっとアウトラインだけ御説明させていただきたいと思います。
 まず、URのこれまでの経営改善に向けました取組状況でございます。基本的にURにつきましては、経営改善の取組といたしましては、キャッシュフローの改善、それから、バランスシートの改善及び組織のスリム化を図りまして、繰越欠損金の解消や有利子負債の圧縮を着実に進めているというところでございます。基本的には、賃貸住宅部門、都市再生部門におきまして着実に収益を上げて繰越欠損金の解消を図るということと、それから、ニュータウン事業とか団地再生に伴う保有資産の売却と毎年の利益の積み上げによりまして有利子負債の削減に努めていくということが基本でございます。
 繰越欠損金の解消につきましては、これまでにニュータウン宅地の譲渡方法の多様化によります販売収入の確保とか、又は賃貸住宅のリニューアル等による商品価値の向上、それから、発注単位の大くくり化、あるいは調達方式の改善による事業コストの縮減など様々な取組を進めることによりまして、機構発足当時の7,288億円から、繰越欠損金につきましては2,110億円まで縮減しているという状況でございます。
 それから、有利子負債の削減でございますけれども、これも「ストック再生・再編方針」という機構の方針がございますけれども、これに基づきます管理コストの削減とか、若しくは採算性の低いニュータウン事業の中止等の不採算事業の見直しや、販売用不動産・遊休施設等の保有資産の売却を図りまして、これも機構設立時の16.3兆円から3.5兆円の削減を達成しているところでございます。
 また、左の下でございますけれども、一般管理費につきましては、機構発足直前の平成15年度末に比べまして35%削減しております。現行中期計画上の目標でございます20%削減も、2年前倒しの平成23年度に達成している状況でございます。
 それから、右下、常勤職員数の削減でございますが、これにつきましても平成15年度末に比べまして28%削減しております。現行中期計画の目標である2割削減目標につきましても、平成20年度末の4,000人体制から、24年度末までに約3,400人まで削減している状況でございます。現行計画の削減目標についても、震災復興支援に人員を派遣しつつ通常業務を執行するという厳しい状況の中で、この目標を達成すべく最大限の努力をしているという状況でございます。それから、組織体制につきましても、組織内カンパニー制の実施など部門別の執行体制による経営管理の徹底を図っているというところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、2枚目でございます。今後の改革の報告性・考え方でございます。都市再生機構は、政策実施機関として現下の住宅・都市政策の課題に的確に対応する、また、国民負担を最小化し、効率的に事業を実施していくため、民間の資金・ノウハウを活用し、収益力の強化や更なるコスト削減を図り、経営改善を進めていくということが基本でございます。
 具体的な政策課題といたしまして、左側に書いてございますけれども、まずは東日本大震災からの復興支援でございます。被災地域の早期復興に向けまして、被災市町村等に職員を派遣いたしまして、復興計画等の技術支援とか、災害公営住宅・復興市街地整備等の復興まちづくりを推進し、着実に施工を図っていくということが必要でございます。URは、復興市街地整備事業の約半数の地区、それから、災害公営住宅の約3分の2の事業を被災市町村に代わって実施しておりまして、9月1日現在では316名の現地体制で取り組んでいるところでございます。今後、復興事業が本格化、特に福島県における面整備等の追加受託による事業量の増加も見込まれますので、その中でも引き続き復興支援に必要な要員の確保と、コミュニティの再生や維持に配慮したまちづくりを進めるという観点から、公共団体と連携を図りつつ着実な執行を図っていくとしているところでございます。
 それから、二つ目の政策課題、少子・超高齢社会への対応でございます。特に大都市圏では、郊外部を中心に今後高齢者が急増すると見込まれておりまして、高齢者の居住の安定が政策上の大きな課題だと認識しているところでございます。特別養護老人ホームなどの施設の拡大には限界があると承知しておりますけれども、可能な限り在宅で住み続けられる、必要な医療や介護サービス、生活サービスが在宅でいながら受けられるということが必要となってくると思っております。
 機構につきましては、団地の立地する地方公共団体からも、高齢者が安心して住み続けられるような団地のストックを改善していくこととか、若しくは団地内の土地や建物を活用して、医療や福祉施設を誘致して、団地を地域の福祉拠点とするようなまちづくりをしてほしいという御要請もございまして、PPPの手法など民間の活力も活用しながら、ミクストコミュニティなども進めつつ、持続可能なまちづくりを進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、最後でございますが、都市の国際競争力の強化、あるいは密集市街地の整備による防災性の向上と、こういう政策的意義の高い都市再生事業につきましては、民間との連携、役割分担をより進めていくということとしているほか、地方公共団体との役割分担も徹底しながら、ノウハウの不足や人員・組織の不足する地方公共団体の支援あるいは補完を進めていきたいと考えているところでございます。
 簡単なアウトラインですが、以上でございます。

【宮内分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました都市再生機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言をお願いします。石田委員。

【石田委員】  では、賃貸住宅の耐用年数の妥当性について伺います。今、賃貸住宅の耐用年数は70年で計算しています。民間企業では、鉄筋コンクリート造りだと法人税の耐用年数で47年としており、かなり民間との乖離があります。実際の建て替えも40年から50年で行われています。昨年の「独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会」議事録がホームページに公開されていますが、そちらでも当時の国土交通省の住宅局長が、「実際は40年前後で建て替えをしています。ですから、耐用年数70年とは乖離がありますね」という質問に、「はい、そうです」とお答えされている。耐用年数70年はやはり長過ぎという気がするのですが、その辺についていかがでしょうか。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  お答えさせていただいてよろしいでしょうか。まず基本的に機構の賃貸住宅につきましては、物理的にいいますと70年耐用可能なスペックを持っております。基本的には機能的にも、きちんとした手を入れて、きちんとした管理とか維持・保全をやることによって、70年の賃貸住宅としての居住性能を確保するということは十分可能だと考えています。
 御指摘のございました、例えば昭和30年代ぐらいにつくりました管理団地というのは、実は低層棟も多くございます。ある意味、建設当時と比べると確かに住宅に求められるニーズとか水準は大幅に向上していますけれども、立地的にいいますと、比較的交通利便地が多くて、しかも低層でございますので、周辺の土地利用と合わせて土地の高度利用が図られるということが可能でございましたので、当然に事業採算性ということは検証を行った上で、40年から50年という形で建て替えを行っているというところでございます。
 一方、機構の実はメインストックでございます昭和40年代に管理が開始されたような団地といいますのは、これは比較的郊外に立地しておりまして、実は既に一部高層化も図られているところでございます。ある意味地域の住宅事情に応じまして、既存の住棟を活用しつつ、集約であったり、改修であったり、あとは一部建て替えであったりという、複合的に選択的に実施していくということでございます。住棟を建て替える場合であっても、いわゆる団地再生の全面建て替えのようなものではなくて、一部住棟に限定するということで、残りの部分につきましては、基本的に必要な修繕とか改修を実施しながら、耐用年数活用し続けるということが前提としているところでございます。したがいまして、70年間の減価償却期間というのは適正なものと考えているところでございます。

【石田委員】  今までも何度かやりとりさせていただいて、その都度そういう御回答を得るわけですが、耐用年数70年を47年にすると減価償却費が年間約900億円増えますというデータも併せて見せていただきました。さらに、URの賃貸住宅は、70年の賃料収入で回収していくスキームだからという資料も見せていただきましたが、やはり70年は長いのという感じがします。
 あと、躯体は物理的には70年大丈夫だけれども、機能的減価にも対応しつつというお話がありました。URは平成19年に「賃貸住宅ストック再生・再編方針」というのを作られています。そちらでは住宅の規模や間取り、設備水準等が老朽化、陳腐化しているものも多く、市場ニーズにマッチした改善が急務とされています。さらに、人口減少、世帯数の減少に対応したストック量の適正化を図ることをうたっていて、平成30年度までに約10万戸を再編し、約5万戸を純減。さらに、平成60年度までに、今の概ね3割、約23万戸減ということが既にうたわれています。この計画があること自体、70年という耐用年数とすることがもう環境変化に合っていないということになるのではないでしょうか。耐用年数というのは、やはり環境変化に合わせて変わってくるものだと思います。御回答は結構です。是非ここは今までの「独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会」でも、70年は長いというのはずっと言われ続けてきているわけですから、御検討を是非よろしくお願いします。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  すみません、一言だけ。ただ、ストック再生・再編計画は、URの75万戸のうち、実はストック活用という形で引き続きこれをずっと持ち続けていくという。住戸分類でいうと、それが50万戸ぐらいで、75万戸のうちの50万戸ほとんどはずっと使い続けるという、基本的にはそういう制度設計になっていますので、それを踏まえて、引き続き70年だというように、我々としてそこは適正かなと考えているところでございます。委員の御指摘もいただきましたので、それはそれでまたいろいろ検討させていただきますけれども、今の段階では、すみません、繰り返しの答弁になってしまいますけれども、そういった考え方でやっていると、そういうところでございます。

【石田委員】  私も一言よろしいですか。耐用年数70年についてですが、今の建築水準と、それから、50年ぐらい前の建築水準、60年前の建築水準は、同じ鉄筋コンクリート造りでも多分相当違うと思うのです。近年に建てたものは機能的変化にも対応できるよう、間仕切りを簡便に変えられるとか、水周りの設備を良くしているとかあると思うのですけれども、60年前のもの、あるいは50年前に建てた建物についても耐用年数を70年とひとくくりでしていいのかという疑問があります。こんなに長い時間が経ち建築水準が変わっているのに耐用年数を70年ひとくくりにしていいのかという疑問です。以上です。

【宮内分科会長】  ほかにございますでしょうか。

【石田委員】  引き続き、質問してもよろしいでしょうか。

【宮内分科会長】  石田委員。

【石田委員】  今日の資料の1枚目に経営改善に向けた取組状況、キャッシュフローの改善、バランスシートの改善ということがうたわれています。貸借対照表、損益計算書等の財務諸表を適切に作り、そこから経営改善を図っていただきたいと私も強く思っています。
 過去の「独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会」の議事録等を見せていただくと、公団から機構に移るときの開始貸借対照表で、減価償却の仕方を変えたとあります。賃貸住宅について、もともと建物は5兆円、土地は3兆円、合計8兆円だったのだけれども、建物を5兆円にしておくと、減価償却費が相当高くなるので、建物は3兆円に評価減をしましたと。でも、そうすると債務超過になってしまうので、土地をプラス5兆円上乗せしましたということがホームページで公開されている議事録に記載がありびっくりしました。その中には、もともと開始貸借対照表は実態と乖離しています、適切ではありませんでしたというようなことが載っているのですが、これについて現在は解消されているのでしょうか。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  平成24年の在り方調査会の中での議事録については当然手前どもも承知しておりますが、ただ、機構発足時の賃貸住宅のまさに資産評価の仕方について、御説明させていただきたいと思います。
 基本的には、当時の資産評価というのは、土地と建物一体の価格を収益還元価格と積算価格を比較考量して決定した上で、基本的には固定資産税評価額の比で土地と建物を案分して評価されているという状況でございます。この資産評価方法は一般的に認容されている方法であるとともに、あとは、国交省の中に当時設置いたしました、不動産鑑定士とか公認会計士の入った有識者による資産評価委員会で御議論いただいて決定されたものでございますので、これは適正なものであったと認識しております。
 さらに、現在の機構の財務諸表につきましても、減損会計や定価法等の企業会計のルールに基づき適切に処理を行い、監査法人の監査を受けた後、独法評価委員会に付議された適正なものであると考えているところでございます。

【石田委員】  ありがとうございます。今そこで減損という言葉が出てきたのでお伺いします。まず減損するときは減損の兆候を見ると思います。そのときに、2年連続で赤字になっていないかというのが一つの基準だと思うのですけれども、2年連続赤字になっていないかどうかといったときの費用は、やはり耐用年数70年で計算されているのですよね。だから、甘目甘目で費用が少な目になっていると、やはりここでいくら減損をやっているといっても甘くなるのではないですか。
 さらに、将来キャッシュフローの見積計算も多分、耐用年数70年でずっと使うことが前提になっている。つまり、減損会計を適用していても、耐用年数70年で実態と乖離しているものを使っている限り、やはり財政状態を適切に示せないのではないかという不安を拭い切れないのです。耐用年数はぜひ民間並みの47年に変更することをご検討いただきたい。減価償却費で約900億円年間のコストがアップするから変更できないというのは理由になりません。当初設定したスキームが崩れたとしても、本当の姿を国民に見せないと、URがどうなっているかわからないと思うのです。
 独法の会計基準を企業会計に近いものにした理由は、財政状態と経営成績を適切に表示して、透明性を高め説明責任を図るということですよね。さらに、効率的な運営を図るためということですから、やはり真実に近い、コストが本当は相当あるのだというようなものを出していただいて、効率化に向けてさらに努力していただきたいと思います。以上です。

【宮内分科会長】  ほかにございますでしょうか。

【木村臨時委員】  今のお話にも出てきたところなのですが、御説明資料でいいますと2ページ目の政策課題の二つ目の囲み、「少子・超高齢社会への対応」というところで、その二つ目の賃貸住宅部門の関係ですけれども、先ほどお話にありましたように、平成60年ごろまでにストックのおおむね3割を削減するというお考えを示しておられる。その根拠としては、平成60年ごろには人口が現在のほぼ7割に見込まれるということを踏まえたということですけれども、根拠としては、素朴に考えれば、総人口だけではなくて、団地の所在する地域の人口予測とか、あるいは民間賃貸住宅全体の供給予測とかを踏まえた上で、より精緻な分析をするべきだというふうに考えますが、その辺はいかがでしょうか。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  委員御指摘のとおりなのですが、実は経営改善計画を平成24年に作ったときも、それから、このストック再生・再編をやったときも、端的に言いますと、10年ぐらいのところにつきましてはそれなりに見通せるということで、経営改善計画も30年までという形で作っておりますけれども、いかんせん平成60年という非常に長いスパンになりますと、人口動態とか、それとあとは世帯の動向みたいなものにつきましては、そこは寄って立つべきいろいろな推計もあると思いますけれども、いわゆる団地の所在する地区ごとの例えば民間事業者の賃貸供給の動向などは、正直、推計がなかなか難しいということでございます。ある意味、30年までは作ったけれども、では、平成60年まではどうなのだといったときに、そこは全体的な見通しとしてはそのぐらいになるだろうという形で作ったというところが正直なところでございます。そこまで精緻にやるということ自体につきましては、正直、なかなか困難ではないかなと考えているところでございます。

【木村臨時委員】  平成60年というのが仮に困難だとしても、平成30年以降の平成35年とか、その辺の中期的な目標ぐらいは立てられるのではないか。それから、地域的な数値にこだわるつもりはないのですが、全国的な数値にしても、もう少し精緻な分析をされる、そういう見込みは全くないという、そういう理解でよろしいのですか。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  すみません、ある意味で、次期中期計画・中期目標に合わせまして、当然ながら経営改善計画も一定程度見直ししていかなければならないと思っていますので、その作業の過程の中でできる限りの精緻な検討ということはしていきたいと考えているところでございます。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。はい。

【工藤臨時委員】  今のお話にも若干関係するかと思うのですが、先ほど石田委員からは個々の住宅の話が出ていて、今日の資料では直接ないのですけれども、今の木村委員の御発言にも関係するかと思うのは、ニュータウンの整備のほうで、これも今日の説明資料にはないのですが、もう一つの附属の分厚いほうの資料の8ページ、これによりますと、基本的な問題意識といいますか、質問の趣旨は、先ほどの石田委員とほぼ同じで、要は、見込みが甘いのではないかということなのです。
 平成30年度までに処分完了に向けた取組を促進ということなのですけれども、現行中期計画時でも一度も年度計画の値を達成していませんし、それから、平成21年から24年、この間の処分面積は計画の達成率6割ということで、これから換算していきますと、今後、に平成30年までに完了するためには相当厳しい状況かと思うので、本当にこれ、実現可能かということを改めてお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。

【里見住宅局住宅総合整備課長】  ニュータウン担当をしております。今の御指摘、販売でございますけれども、確かに第2期中期目標期間には、平成20年ですかね、リーマンショック以降の不動産市況の急激な冷え込みがありましたので、確かにほとんど達成されていないというような数字になっておりますが、実はその前の平成16年から20年までの期間は、むしろ最初、目標が2,000に対して2,600ぐらい、途中で上方修正していますけれども、ある程度行っていると。ですから、過去の実績ということになりますと、どちらを見るのが適切かということになるかと思います。
 そういう意味でいきますと、例えば平成24年度、直近の実績は391ヘクタールということでございます。残っているのが、その時点で2,200ヘクタール供給処分しなければいけないということでございますので、もし400ベースが続きますと、残りの、平成25年度も入れますと6年間になると思いますけれども、一応、今のペースが続けば達成はできる、あるいはそういう計算になるという意味で、確かに第2期中期目標期間だけを見ると甘い計画ということかもしれませんけれども、第1期あるいは直近の状況を見ると、URに努力していただければできるのではないかと見ることもできると考えているところでございます。

【工藤臨時委員】  そうしますと、結局は、今の状況が続けばとこれも仮定なのですが、実際には6年丸々でいくとあるので、これ、実際にきちんと事業が完了できるのかというのは多分今言うのは少し早いのかなという気もするのですが、このあたりについては今後の経済動向とかも関係するので、今、確定はできないかもしれませんけれども、実際にはできるだろうというのが今のお考えということでよろしいですか。

【里見住宅局住宅総合整備課長】  できるかどうかは、エコノミストでもありませんので、今の直近の実績、どれだけそれが落ち込むかというのはありますけれども、努力をすれば、達成可能な目標だというような認識は持っているということでございます。

【工藤臨時委員】  分かりました。ありがとうございました。

【宮内分科会長】  ほかにございますでしょうか。はい、どうぞ。

【玉井臨時委員】  今日の御説明になかった技術研究所なのですけれども、事前にこちらからさせていただいた質問に対しては、他には例を見ない技術開発を行っているということなのですけれども、これは国土交通省には、ほかに建築研究所とか土木研究所とか立派な研究所が幾つもあって、そこでできない技術開発をなぜこの技術研究所がやっているのか根本的に疑問なのです。建築研究所などができない技術開発とは一体どういうものなのでしょうか。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  お答えいたします。先生おっしゃるように、建築研究所の担当ではないのですけれども、建築研究所でできないのかと言われると、そこはできるものはあるのだと思っております。端的に申し上げますと、まず建築研究所のほうの彼らの政策目的なり、やる取組という中で、要は、運営費交付金をもらいながら、基本的には日本の建築基準のいわゆる基準を策定するための研究をやるという法人でございますので、能力的にできるかできないかと言われますと、そこは部分によってはできるところは当然あるのかなと思っていまして、それはURの研究所じゃなければ絶対できませんよというふうに胸を張って別に言うつもりもございません。
 ただ、先ほど機構の賃貸住宅のストックのお話をさせていただきましたけれども、今後は長く修繕をして活用していくということを見た場合に、ある意味、民間の企業でいえば40年とかそのぐらいで潰してしまうというところを、URとしては逆に言えば、もっと長く活用していくというための技術は一定程度必要かなと思っております。そのために、実物大の実験施設とか、そういった今、既存であるURの施設もございますので、そういったものを有効活用しながら、URの持っている必要な知見等を活用しながら、引き続きそういう研究をしていくと、そういうことでございます。

【玉井臨時委員】  ということは、民間であれば47年の耐用年数でやっているのを70年もたせるために、例を見ない技術開発をやっていると、そういうことですね。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  基本的には、機構賃貸住宅、これに特化したような形の技術研究をすると、そういうことでございます。

【玉井臨時委員】  そういう特殊なニーズがあるのかどうか、私、つまびらかにしませんけれども、もしそういうものがあるのであれば、これは国土交通省の行政目的つまり、URが持つ75万戸の非常に立派な住宅を70年もたせるという行政目的のために建築研究所がやるべきことであって、それができるのにやらないということであれば、それは国土交通省が建築研究所はやるべきことをやっていないということを認められるという、そういうことですか。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  建築研究所は建築研究所としての、つまり、国の政策と密接に関連するということは当然URもそうですけれども、技術基準に関連する研究開発に特化するというのが研究所の使命だと認識しております。すみません、そこは建築研究所の担当ではございませんので何とも言えませんけれども、ある意味、URのいわゆる機構賃貸住宅のそういった技術については、URが自らの独自財源の中で逆にやっていくということでございますので、そこは今のURの知見を生かしながら技術研究をやっていくということが非常に効率的ではないかなと思っているところでございます。

【玉井臨時委員】  URの知見というのは、当然、建築研究所にも提供すべきものですよね。そこで能力がありながらやっていないというのは、能力的に重複しているのにあえて建築研究所はやっていないというのは、そちらがおかしいということになるし、できないというのであれば、それは能力が建築研究所は不足しているということになる。しかし、そんな難しいことをやっているというお話は一つも伺っていないので、少しお答えになっていないような気がいたします。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  先生の御満足のいく回答ができていないのかもしれませんけれども、建築研究所の話は置いておいたとしても、URとしていろいろな知見とかストックとかを持っていて、それを研究していくということ自体は、これは別に手前どもとして何かおかしいというふうに思っているわけでございません。逆に外部化できるものについては、当然外部化しているところでございますので、その意味では、非常に高度な、日本の最先端を行くような研究開発をしているのかと言われればそうではないのかもしれませんけれども、ある意味、機構の持っている賃貸住宅のストックに特化したような技術の研究をしていると、そういうことでございます。

【玉井臨時委員】  そこがおかしくないという認識がおかしいのだと思います。建築研究所でできるのであれば、URは手放すべきなのであって、そちらにやってもらうべきなのです。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  またすれ違いになってしまうかもしれませんけれども、建築研究所は建築研究所の目的に従って研究を行うということでございますので、そこの範囲内でできるものについては、そこはやっていただくということは当然あると思っております。

【宮内分科会長】  よろしいですか。ほかに。はい。

【工藤臨時委員】  今の玉井委員の御意見とも少し関係するかと思います。今日の資料にはないのですけれども、事前に御回答いただいたもの、WGのときに御質問させていただいた件で、委託とか今の件とも関係するかと思うのですが、御回答の中で、外部機関に依存すると時間とか経費とか情報面でロスが発生して非効率になるというようなお話があったかと思うのです。これは例えば建築研究所でできるけれども、今、独自にやっているものを外に委託すると、ロスが発生して非効率になるというのは、何か実際に検証されているのでしょうか。

【佐々木住宅局総務課民間事業支援調整室長】  基本的には機構の中にもインハウスの技術者がおりまして、実際に施設でも実物大を持っていて、過去から機構の独自で昔開発して作ったような施設についてずっと経年でデータも持っている。機構内部にはインハウスの職員がいて、一定程度知識や、もしくは現場から上がってきたいろいろな技術開発ニーズみたいなものをそこで受けとめてやっている。それを今ある施設と違って全く外部機関でやって、外部機関で類似の施設があるところであればそこは別にできるのでしょうけれども、そうでなければ、ある意味、機構の職員がその施設を活用しながら研究するというほうがむしろ効率的じゃないかと考えているところでございます。

【工藤臨時委員】  ただ、それは実際に検証されたわけでないのであれば、是非、本当にそのことによって非効率になるのかというのは検証する必要があるのと、恐らく今いただいたお話だけですと、必ずしも例えば建築研究所なり、場合によっては土木研究所なり、ほかとのむしろシナジー効果というか、同じような、似たような研究をたくさんされているわけですから、どちらかというとシナジー効果を使ったほうが効率がいいのではないかと一般的には考えられるので、是非、その辺はきちんと検証していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【宮内分科会長】  よろしいでしょうか。意見ということでお聞きいただければ。
 それでは、時間の都合もございますので、都市再生機構についてはここで一旦議論を打ち切らせていただきます。本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかも分かりませんが、その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、説明者の皆様方は御退席いただいて結構です。どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【宮内分科会長】  次に、奄美群島振興開発基金について、引き続き御説明をお願いいたします。なお、奄美群島振興開発基金については、共管府省である財務省からも橋本大臣官房金融課企画官にお越しいただいております。
 それでは、全体の時間の関係もありますので、5分厳守で御説明をお願いいたします。

【岡野国土政策局特別地域振興官】  それでは今から、奄美群島振興開発基金についての冒頭の御説明をさせていただきます。お手元の資料の資料2−1−(2)でございます。この3枚紙に沿って御説明をいたします。
 1枚目のところでかいつまんで申し上げますと、一番上の行にございますように、この奄美基金の設置は、奄美群島振興開発特別措置法、この法律の中で規定されてございます。これは、その少し下にあります、昭和28年、奄美群島が大戦後、アメリカの占領下にありまして、奄美群島が8年後に日本に返還された際に、急いでこの地域の復興を措置していこうということでできました法律、奄美群島の復興措置あるいは振興開発の措置、そのためにこの地域の金融を、資金を供給するために一般の金融機関の金融を補填あるいは更にそれを支援していくために設置されている金融機関です。ですので、これはこの地域のためにこの地域の振興開発を行っていく政策目的がありまして、そのための資金供給をするという役割を負った機関でございます。以来、5年ごとの時限立法措置が延長されまして現在まで至っているという状況でございます。
 それで、1ページめくっていただきまして、これをどういう形で今後進めていくかということでございます。2ページ目をご覧いただきたいと思っております。経済情勢等を踏まえまして、2ページ目の真ん中のところの中間あたりに書かせていただいていますが、奄美群島には依然として本土と比較して経済的格差がありまして、企業の信用力、担保力等は低い状態であります。これらの事業者の資金需要に応えていくために、引き続き奄美群島の一般の金融機関を補完・奨励するような政策金融としての位置付けが必要だと思ってございます。
 具体的には3点ございまして、一番下のところにございますように、事業者の業種や規模の特性に応じた資金供給。これは1次から3次までの幅広い業種にわたったものに機動的に対応、あるいは業種による上がり下がりがございまして、それごとに事業転換等をしていく人に対する支援をしていくというものが(1)でございます。
 (2)番が、これは地域に密着して、零細な事業者とか創業者等に対するよりきめ細やかな助言や指導、あるいは融資・保証の後に、債権管理、回収に至るまで、利用者の近くにいるという位置付けを活用しました活動が求められているものであります。
 それから、(3)番でありますけれども、これは国からの出資や地元の県、市町村からの出資もございます。これらのステークホルダーとの協調が必要でございます。
 さらに1枚めくっていただきたいと思います。一番下に繰越欠損金がございます。この繰越欠損金の解消に向けまして各種、基本的には延滞債権の発生を防止するために、より厳しい審査を続けていくこととか、これを担っていく職員の人材育成をしていくことから体制を整えていくということ、これらを踏まえまして、質を伴った融資・保証の充実というようなことを今後の方向性として考えているところであります。実際、理事長に新たに民間金融機関の方をお迎えしまして、この3年間連続で、融資額、保証額とも上昇してございますし、単年度の黒字の計上も記録したところでございます。今後この流れで進めていきたいと思ってございます。以上でございます。

【宮内分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました奄美群島振興開発基金の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 はい、どうぞ、玉井委員。

【玉井臨時委員】  この奄美群島振興開発基金は、独法の規模としては最小に近いものであるということだけでなくて、これ、釈迦に説法ですけれども、日本政策金融公庫に沖縄振興開発金融公庫も統合されるということになって、政府系の金融機関としてはかなり整理がなされるという中で、そちらと統合していただいたほうがという気がします。特に融資事業については、例えばコンサル機能を強化する、強化するというのは抽象的な言い方ですけれども、ほかの地域のいろいろな経験を踏まえてできるのではないかとか、あるいは財務状況も安定する、場合によっては貸出しに回せる金額も増えるかもしれない。それから、この奄美群島振興開発基金については、職員の年齢構成が非常にいびつであるという問題もあるので、少し大きな法人の一部になったほうがいいのではないかなという気もしております。
 これはもちろん毎回同じことを伺って、それで、いやいや、そんなことはないということも伺っているわけですけれども、沖縄振興開発金融公庫が統合されるというタイミングで、この奄美群島振興開発基金もどうされるのかなというような、これももしかしたら最後のチャンスになるかもしれませんので、そこのところは要請ですけれども、今後よくよくお考えいただきたいというのが、しつこいようですけれども、こちらの意見なのですが。

【岡野国土政策局特別地域振興官】  日本政策金融公庫との関係でございますけれども、私どもの基本的な考え方は、今後の健全な運営のためには、融資・保証を充実させていくということとあわせて、むしろそれに先立って、案件の厳格な審査を行っていくということの重要性の二本柱で考えてございます。その関係からいきますと、今現在、融資・保証の全ての案件につきまして、理事長含めた審査委員会での審議を行って、審査の徹底、あるいは融資後の債権管理を進めているところでございます。これにつきましては、いろいろな金融機関のノウハウ等を吸収することによりまして進めていくということなのかなと思っております。
 それから、同時に、今の奄美群島振興開発基金の置かれている状況の中で、積極的に業務を進めていくということも重要かと思ってございます。これはやはり地に足のついた金融機関としての活動の結果、融資案件、保証案件の獲得につながっていくということかと思ってございますので、これは地域性を有する、地域に根差した金融機関としての優位性が出てくるのかなと思ってございます。

【宮内分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 どうぞ。

【石田委員】  7月に奄美基金に伺わせていただきました。理事長はじめ職員の方々には、丁寧かつ詳細な御説明をいただきました。どうもありがとうございました。
 私からは、保証業務の保証基金について伺わせてください。今日の最初に御説明いただいたものではなくて、見直し当初案整理表の17ページですが、そちらの真ん中の表に、国からの財政支出額の推移ということで、平成21年度から26年度要求までの数字がずっと出ています。特別会計で平成21年度3億円、22年度2億円、23年度2億円、24年度2億円、25年度2億円、26年度2億円となっていますが、こちらは保証業務の保証基金への出資という理解でよろしいでしょうか。

【岡野国土政策局特別地域振興官】  はい、結構でございます。

【石田委員】  そうしましたら、先に御説明いただきましたが、理事長の非常に強いリーダーシップのもと、保証業務のリスク管理債権も随分減っていますし、審査の厳格化、事業者の経営実態に即した督促・回収が順調に進んでいます。リスク管理債権も減っているし、回収も進んでいる、平成24年度は単年度黒字達成ということですよね。今後も強いリーダーシップのもとに黒字化を続けていかれる、更にリスク債権も減らせていくということでしたら、追加の保証基金への出資というのは必要ないのではないでしょうか。
 資料2−1−(2)の1ページ目に、年度末の保証残高が48億円、24年度の保証実績は16億円とあります。現在の保証基金の残高は36億円ですよね。保証基金の15倍まで保証は可能なので、36億円の残高に15倍すると540億円まで保証できます。さらに、これから奄美基金は大丈夫です、非常によくなっていくということでしたら、今までずっと国から出資が毎年2億円あったからといって、今後も毎年毎年保証基金の積み増しの必要はないと思うのです。そこはもう大丈夫だということでしたら、自立ということをお考えになって、毎年2億円国から出資していくということは改めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

【岡野国土政策局特別地域振興官】  今の出資金の件につきましては、奄美群島振興開発基金で保証基金額を積み立てているわけでございますけれども、この保証基金額を運用することによります運用益、これを用いまして、代位弁済に伴う必要資金の供給につなげております。通常の全国の都道府県にあります信用保証協会が行っている保証の場合は、まさに保証協会が代位弁済をしたときに、そのためのリスクを更に二重の保証といいますか、信用保険というものを行っております。昔の中小企業保険でございますけれども、奄美群島振興開発基金の場合は保険の適用が除外されますので、自らそのための穴を埋めていくということが必要でございます。それを埋めるための資金は、自らの基金を造成して、それの運用益で賄っていくということが必要でありまして、現在まだあと24億円の追加が必要でございます。これを造成するための毎年2億円というのを財務省にお願いしているものでございます。

【石田委員】  ですから、お金を出してもらって、その運用益で賄うという考え方自体をやめていただきたいのです。国のお金の2億円をこの低利の時代で運用しても、安全性の高いものというと国債とかそういったものですよね。それのために国はなぜ2億円も出さなければいけないのですか。  さらに、理事長のリーダーシップのもとに、リスク管理債権が減っているというお話でしたら、もう既に67億円あるわけですよね。67億円あるのだけれど、損があるので31億円減っているため、ネットで36億円ある。その36億円で運用益を回せているわけですから、更に追加というのは甘えではないですかね。
 もう単年度黒字になったわけですから、あとは自立して行ってくださいというのがお願いです。これが赤字だったら、もう仕組み自体を変えましょうということになりますけれども、今、単年度黒字なので、ほかの金融機関と統合というお話はなくてもいいかなと個人的に思っています。しかし、国から毎年2億円もらって、その運用益で賄うというのはお考えいただきたくない。これは意見ですので、御回答は結構です。

【岡野国土政策局特別地域振興官】  少しだけ。これを自ら賄っていくための回し方をどうするかというと、今現在でもマイナスになるところをどう穴埋めをするかというのは、保証料率を上げるしかありません。ですので、保証料率を上げるということになりますと、これは全国の保証協会との比較から基本的には保証協会との並びが必要ですので、それよりも大きな保証料率でやっていく、採算を回していくために保証料率を上げるというのはなかなか難しいということだけは御認識をいただければと思っております。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。

【工藤臨時委員】  今の石田委員の御質問にも若干関連するかと思うのですが、今日の御説明資料の3ページで繰越欠損金の話がございまして、今の、特に理事長のリーダーシップで頑張っているから順調にという、少し抽象的なお話だったのですけれども、私も、今の現状からいうと、奄美群島振興開発基金というのは、ある程度、地理的な特殊性とか、規模の特殊性とかいろいろあるので、必ずしも合併しなくてもいいのかなということは個人的には考えているのです。しかし、いずれにしても、頑張っているのであれば、逆に繰越欠損金については、次期中期目標の中でどのくらい削減するのかとか、どういった方向で削減していくのかということについて具体的にもう少し御説明いただければと思っております。
 特に、今後どうやるのかということについては、進捗状況の点検・評価をしますということなのですけれども、そもそもどのように解消するのかという計画があまり具体的でないので、もしお考えがあれば、毎年どのぐらい削減するのかとか、そのあたりの削減目標値について、もちろん中期目標の中で言ったほうがいいと思いますし、具体的に案がおありでしたら御説明いただきたいのですけれども、いかがでしょうか。

【岡野国土政策局特別地域振興官】  次の中期目標・中期計画を策定する際に、毎年それぞれの収支状況を記載することになりますので、この期間に具体的にどこまで削減していくのかということについて言及する予定です。
 それから、ではどうやっていくのかということでございますけれども、奄美経済も戦後、順調に拡大をしてきたわけでございますけれども、ここのところ10年ぐらい、GDPは大体一定、横ばいでございます。というのは、基幹産業の衰退と新産業の振興というのをそれぞれ繰り返しており、まさに今、新たな産業の芽が出始めているところでございます。例えば世界遺産登録がこれから予定されてございますので、それで観光業の振興とか、あるいは農業の高付加価値化とか、このような新たな芽が出かかっております。これまで大島紬とか建設業に携わっておられた人たちが事業転換をして、新しい芽をこれから出そうとしています。
 奄美群島振興開発基金は、零細で事業が始まったような事業者が大きなお得意先でございますので、このようなところを中心に、それこそ世の中の認知度がないようなところを、路地裏を探していくような形で業務の拡大、あるいは他方で、拡大をするだけでいくということになるとまた同じことの繰り返しになってしまいますので、それを先ほどのような厳格な審査体制、それから、日々、地域に密着していくことにより、しっかりと債権管理をしていくという両立てで進めていくというのが具体的なこれからの考え方です。

【工藤臨時委員】  ありがとうございます。もちろん新規事業に新たに取り組まれているというのは既に御説明いただいていますし、今後良い要素があるというのは分かるのですが、いずれにしても繰越欠損金を解消するというのはまた粛々とやらなければいけない話で、今御説明いただいた話とは若干独立したお話だと思います。これ是非今後の中期目標等には毎年の削減目標とかをきちんと書いていただいて、3ページにもありますように、それをきちんと点検・評価を毎年実施していただくというのは非常に大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。

【宮内分科会長】  はい、木村委員。

【木村臨時委員】  組織的なことについてのお話なのですけれども、こちらの独法の場合には、本部のほかに2カ所の現場事務所があって、徳之島と沖永良部の二つの事務所があるわけなのですが、訪問者の数というのは、2カ所合わせて1日平均で8.7人という数字が出ていると思います。それから、いただいた資料ですと、その事務所経費として両者合わせて827万円という数字が出ておりまして、その一方で、本部からの2つの事務所への出張費については103万円にとどまっているという数字が出ていると思います。
 そういうことを考えますと、事務所を維持していく、存続させていく方法以外に、こういった出張を増やすということで対応できる要素があるのではないかと考えますが、その辺はいかがでございましょうか。

【岡野国土政策局特別地域振興官】  事務所の行っている業務の来訪者への対応はその一部でございまして、これ以外の部分でもいろいろな作業がございます。これはまさに債権の審査とか、あるいは返済の督促、あるいは保証人の意思の確認とか、それぞれ現場に職員が訪問して行うようなことがかなり多うございます。ですので、その業務だけではなくて、他の事業でもかなり忙しくしているというようなことがございます。
 それから、一方では本部からの出張ということにつきましても、本部でもやはり1人何役もこなすというようなことでございまして、1人が融資も保証も、それから、1次産業、2次産業、3次産業とそれぞれ分野の区別なく対応しているところでございます。こちらのほうでももう手いっぱいで作業しているところでございますので、それぞれのところで業務の量がかなり充実しているということは御説明させていただきたいと思います。

【宮内分科会長】  大体よろしいでしょうか。
 先ほどの繰越欠損金の目標に関しては、他の法人でも計画の段階で言及しているケースがございますので、年度の計画だけではなくて、全体の計画としていつごろなり何なりというような計画は立てられるかと思います。年度の計画は、逆に言うとそれをサポートするためにどのように毎年サポートしていくかという、そういう話になるのではなかろうかと思いますので、是非御検討をいただきたいと思います。
 それでは、時間の都合もありますので、奄美群島振興開発基金についてはここで一旦議論を打ち切らせていただきます。本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、国土交通省及び財務省の皆様方は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

(説明者等退席)

【宮内分科会長】  ここで15分程度の休憩をとりまして、16時より再開させていただきます。

( 休憩 )

【宮内分科会長】  それでは、再開したいと思います。
 続いて、海洋研究開発機構の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行います。本日は、文部科学省の鬼澤大臣官房審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。
 それでは、海洋研究開発機構の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係もございますので、5分程度で御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【鬼澤大臣官房審議官】  文部科学省研究開発担当審議官をしております鬼澤でございます。それでは、私のほうから独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の見直し当初案につきまして、御説明させていただきます。着座して失礼いたします。
 資料3−1でございます。表紙をめくっていただきまして1ページ目、一番上に「見直しの方向性・基本的考え方」と書いてあるページがございます。まず1の基本認識でございます。これは「科学技術基本計画」、及び今年度改訂されました「海洋基本計画」に貢献するということを基本的な考え方としております。これに加えまして、「科学技術イノベーション総合戦略」など関連する国の方針にも貢献するものという、そういう考え方でございます。
 次に、2の次期中期目標策定にかかる基本方針でございます。まず第1に、国家的・社会的なニーズを踏まえた戦略的・重点的な研究開発を推進しまして、画期的・社会的な成果を創出するということを掲げてございます。
 その上で、これを達成するために必要な、柔軟に研究を行う得る体制の構築と研究基盤の整備につきまして、二つ目の●、三つ目の●ということで掲げてございます。
 四つ目の●では、国際的な活動の強化と組織の国際化でございます。日本のみならず、海洋分野における世界の中核的研究機関として、国際的な頭脳循環の拠点としていきたいと考えてございます。
 次の●でございますが、大学及び民間企業との連携やネットワーク構築を進めまして、研究開発成果のより効果的な社会実装、社会還元、これを行うということでございます。
 このほか、人材の育成、あるいは「ちきゅう」「しんかい6500」「地球シミュレータ」など最先端の施設や設備の保有をしてございますので、この共用の促進並びに運用技術の蓄積などを行ってまいりたいと考えてございます。
 次、2ページ目でございます。JAMSTECの事業の変遷ということで、第1期から3期までの変遷を示してございます。大きな流れといたしましては、研究開発の融合化と重点化を進めております。第1期から第2期に移行する際には、研究開発活動を、下のほうに囲んで記載がございますけれども、地球環境変動、地球内部ダイナミクス、海洋・極限生物圏、この3つの研究領域に集約するということとともに、「ちきゅう」の完成、運用開始によりまして重要度が増しました統合国際深海掘削計画の推進及び地球深部掘削船「ちきゅう」の運用、これを明示したところでございます。さらに、第2期中期目標期間中に、社会的な要請の高まりを受けまして、海洋資源の探査、海洋技術の研究開発を重点研究開発領域として追加いたしてございます。
 3期におきましては、「科学技術基本計画」、「海洋基本計画」等を踏まえまして、先ほど申し上げたように更なる重点化を図ってまいります。地球ダイナミクス研究につきましては、海底地震あるいは津波研究に重点、比重を移してまいりますし、地球環境変動研究につきましては、まさに機構ならではの観測を行っていくことに重点を置いていきたいと考えてございます。また、海洋・極限生物圏研究につきましては、深海から得られた生物由来の新規酵素などを利用するための研究に重点化するというような、そういう心づもりでございます。
 また、組織的にも、社会課題の解決を目指しまして戦略的に取り組むべき課題につきましては、部署や研究分野の壁を超えた組織横断的な取組を柔軟に行い得る、そういう機構の総合力を発揮できる体制を構築していきたいと、そのように考えてございます。
 最後、3ページ目でございます。ちょっと縦長にご覧いただくことになりますが、第2期と第3期の事業の細かな比較ということで記載させていただいてございます。今、概要を大ざっぱに申し上げましたけれども、視覚的にご覧いただければと思います。御説明したとおり、研究分野を重点化していくということと同時に、社会課題の解決を目指した研究分野に重点化してくということとともに、一方、体制に関しましても柔軟な体制で実施していくということで、組織の大くくり化、こういうことを目指しているということをご覧いただければと思います。
 以上、簡単でございますが、概要の御説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【宮内分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました海洋研究開発機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 鈴木委員。

【鈴木臨時委員】  ありがとうございました。ワーキングのヒアリング、そしてまた、現地視察でいろいろ御説明いただきまして、ありがとうございました。
 私のほうからは、今日は時間がありませんので簡単にまずお答えいただきたいのですけれども、私どもとして何度も御質問していることと関係するのですけれども、この海洋研究開発機構が担うべき役割をやはり明確にするということがこの政独委の課題なのです。したがって、それに対する回答をいただきたいということを今まで何度かヒアリングと質問をさせていただいているわけですけれども、しかし、残念ながら、私どもとしてはその回答が不十分であるというふうに考えているわけです。
 それは、例えば、今日いただいたものは確かに目標ということですけれども、そのほか詳細な御説明をいただいているわけですけれども、そういう役割を明確にしているということの記載がどうもない。それはどういうことかと言いますと、海洋研究開発機構でないと実施することができない研究ということ。先ほどお言葉の中に、「機構ならではの研究」という言葉はありました。したがって、「機構ならでは」というときに、できる研究とできない研究、あるいは担うべき役割、これをきちんと明確にしていただかないと、私どもとしては判断できないわけです。
 ということで、何度か御質問しているわけですけれども、今日は時間がないので、その辺のできない研究あるいは担うべき役割を具体的に御教示いただきたいとまず思います。お願いいたします。

【鬼澤大臣官房審議官】  十分表現できていないかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、海洋研究開発機構がやらなくてはならない研究分野として、海洋を中心とした研究開発分野、そして、社会的な要請に応え、国民への具体的な成果の還元に資する課題を明確化したということで、先ほど申し上げました重点研究開発課題を第3期に想定しているところでございます。
 少し具体的にということでございますので、例えば地球環境変動研究につきましては、これまで大気とか陸域も含む様々な観測研究、それと、それのデータを使った予測研究、こういうものを幅広く行ってきたわけでございます。「地球シミュレータ」なども活用した、そういう研究もやってございました。それを第3期には、地球観測研究として観測研究を中心とした研究内容に重点化する、そういう心づもりでございます。
 また、地球内部ダイナミクス研究というものも抱えてございますけれども、これも、地球中心部を構成するコアから表層まで、これは固体地球と言われる分野のあらゆる研究開発を行ってきてございますけれども、3期には、その中でも社会にとって非常に重要である地震及びそれに引き起こされる津波、これは海との関わりが当然深いわけでございますけれども、そういうものに重点化していく。これは地球の比較的浅い領域で生じるということで、船舶からの観測、あるいは計測のネットワーク、これはDONETというようなもので研究に大きく貢献するというように私どもも考えてございます。
 また、先ほども具体的に一つだけ申し上げたことで言いますと、海洋・極限生物圏研究、これも海洋の生物を中心にといっても、機能や多様性、非常に様々な研究があるわけですけれども、3期には、社会に役立てるということを目的とした地球生命工学、これを切り口として深海生物・微生物の未知の生命機能の利活用に関する、先ほど酵素等のと申し上げましたけれども、そういう研究開発を重点化して、社会への貢献というように、それぞれ十分書き切れておりませんけれども、かなり絞って具体化を図っていきたいと、そういうことを考えてございます。

【鈴木臨時委員】  それは多分今までも御回答いただいていると思いますし、そして、資料3−1の最後のページに変遷ということで少し詳細に書いたということなのですけれども、これでは、これを見れば分かるように、ただ、左側、右側のものがどのような構成になったかということで、先ほどの「具体的な」というところはこれだけでは我々どうしても分からないのです。
 なので、私どもとしては、もともと海洋という範囲をどこで切るのかという問題はありますけれども、海洋研究開発機構ですから当然海洋を主体としてやると。そこから広がっていくということについて我々は懸念しているわけです。政独委としてはそれが任務ですから、それに対してきちんと回答していただかなければやっぱりいけないわけです。
 そうなると、今までの資料等にもあったと思いますけれども、これに関連する、国立環境研究所とか、あるいは気象庁だとか、いろいろな機関があって、そことの間の区分けをきちんと説明していただかないと、やっていいものとやっていけないものということはないのですけれども、しかし、本来はやっていけないものはやってはいけないわけですね。ですから、そこの境を知りたい。
 あるいは、例えば鉱物資源でも資料をいただきましたけれども、文科省は科学調査だと、先ほど観測等を行うということですけれども、これは非常に広い領域になってしまいます。その後の技術だとか開発だとかというものは、この機構には入らないのだということですと、現地調査ですか、そのときに説明をお聞きしていると、例えば、研究から技術開発に行くところ、あるいは未到の研究観測について、それを行っていくのだと。その意味は分かるのだけども、私どものほうからすると、本来の独法が担うべき役割とかできない研究という、そういう実施することが、ここでしかできない研究の範囲を超えているのではないかと思っているのです。
 ですので、今日これ以上お答えいただいても多分同じことになりますので、そういうことに関連して、特にアドバイザリー・ボードでも同じような、役割をもっと特定してやりなさいとか、我々が求めているものは、先ほどの具体的かというのは、成果目標、これを示していただきたいということなのです。結果目標じゃないのです。成果目標を示していただきたいということですので、それはまた事務局を通じて質問したいと思います。私のほうは、これ以上時間をとるといけませんので、ここまでとさせていただきます。

【宮内分科会長】  ほかにどなたかございますか。

【川合臨時委員】  主査の御質問で、大体、私が聞きたいと思ったところはカバーされており、鬼澤審議官のお答えで内容は大分明確になっているのですが、書類だけ拝見しておりますと、重点的に実施する研究開発分野が現行のものとどういう関係にあるかというのが少し見えにくい。現行は組織的な表記で、次のものは課題的な表記になっておりますので、先ほど御説明あったように、大気及び陸域の予測というところはやめて、今後は重点的に海底の地震や津波の観測にフォーカスしたというところが分かるように書き出していただければと思います。多分それで選択・集中の理由と、それらを、選別した考え方の背景が大分見えてくるのではないかと思います。そこの書き振りを工夫いただければと思います。
 それから、もう1点、これも書き方の問題だと思うのですが、最初に見直しの方向性・基本的考え方という1ページのところで説明された二つ目の●でございます。一つ目の●の国家的・社会的なニーズを踏まえた戦略的・重点的な研究開発を推進し云々、これに対して、これを実施するに当たり、研究者が組織にとらわれず柔軟に動くという説明を先ほどいただきましたので、並列して書くのではなく、項目1を実施するために2の体制を考えているのだということが明確になるような書き振りにしていただくと意味がよく伝わるかと思います。是非その辺の工夫をいただきたいと思います。以上です。

【鬼澤大臣官房審議官】  ありがとうございます。貴重な御意見でございますし、おっしゃるとおり、ミッションオリエンテッドな組織にしっかりしていくという御指摘をしっかり踏まえて、また書き振りも工夫させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。

【阿部臨時委員】  中期目標の具体化ということについてお聞きします。先ほどから、どのようになっているのかというのがなかなか具体的には見えにくいということなのですが、この中期目標に関しましても、現行の中期目標は進捗状況の検証が非常に難しい記載となっております。それはアドバイザリー・ボードでも御指摘があったことでございますが、私どもの分科会でも、これが非常に評価しにくい、分かりにくいことになっておりまして、特に当初案ではそれがないのです。具体的には記載がないということになっております。
 他の研究開発法人においては、そういう具体的な目標を掲げていらっしゃる法人もございまして、したがいまして、海洋研究開発機構においても、次期中期目標においては、客観的で、かつ評価の際に検証可能な目標が記載されていると分かりやすいかなと思うのですけれども、それはどのようにお考えになっているのでしょうか。現時点では多岐にわたっているのでなかなか見えないというところはあろうかと思いますが、いかがでしょう。

【鬼澤大臣官房審議官】  別にその指摘を無視しているとか承知していないということではございませんで、文部科学省の評価委員会でも指摘をされてございまして、内部的にもそれはそのとおりと十分受けとめまして、これは次期中期目標期間において、可能な限り、具体的な目標、おっしゃるとおり検証可能な目標ということで記載を検討していきたいと考えています。すみません、今日の時点では申し訳ございません。

【阿部臨時委員】  ありがとうございます。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。荒張委員。

【荒張臨時委員】  すみません、私のほうからは各論のほうを一つお聞きさせていただきたいのですけれども、ワーキングのほうで、この見直し当初案の整理表等の検討をしている際に、前回の勧告の方向性で、たしか東大の海洋研究所から移管された学術研究船が2隻あって、こちらのほうの船舶運航の外部委託化を進めるという方向性になっていたかと思います。
 今日御用意いただいている資料3−2でも改めて確認すると、資料3−2の18ページの真ん中ぐらいですけれども、1隻については外部委託を開始しているということなのですけれども、その後、2隻目についてどうされるのかというところが我々の関心になっております。現在伺っている限りですと、船員を新たに一方で雇用し続けられているということで、増やしているということもあると。この辺どのようなお考えなのか、今後の方向性を含めて御説明お願いできませんでしょうか。

【井上研究開発局海洋地球課長】  私のほうから御説明させていただきます。基本的には閣議決定を踏まえまして船舶の外部委託を進めるということで、1隻については外部委託を達成した上で、もう1隻につきましても、運航の支援の部分につきましては外部委託を完全にこれは出しております。
 ただ、実際の運航のところでございますけれども、これ、実際に船を動かしていますと、船員さんを外部委託すると派遣してもらわなければいけないのですけれども、全て派遣に頼るとどうしても船の運航に現場で支障が出るところがございまして、どうしても必要なところだけは補充の意味で船員、職員を雇うということでやっております。いわゆる船舶法との関係とか、船員法とかの関係、そこら辺を考えて、どうしても補充が必要な部分はやっております。
 それと、今後残り1隻をどうするかということについては、これは我々の中で現在、大きな検討課題として検討しているのですけれども、恐らく全部外に出してしまいますと、例えば、まさに先日の3.11のときもあったのですけれども、急遽国の組織として船を出さなければいけないとき、放射線調査とか放射能調査とかあるときに、どうしても外部委託している部分の船はすぐには出せなかったのです。そういったところの対応。
 あるいは、今後、今、海洋機構は全部で8隻の船がありますけれども、そのうち7隻が外部委託できております。これ、運航を外に任せるに当たっても、組織として運航というものはどのようなものかということのノウハウを蓄積していく必要があるので、現在まだ結論は出ておりませんけれども、1隻については、これも完全に外部委託するというのはなかなかハードルが高いなということは、今、担当として私は感じているところでございます。

【荒張臨時委員】  すみません、ちょっと素朴な疑問なのですけれども、1隻はもう外部委託されているのですか。

【井上研究開発局海洋地球課長】  はい、しました。完全にもう外部委託しました。

【荒張臨時委員】  運航を行う実際の職員がいなくなってしまうと有事に出られないというところは、そういう考えもあるのかなというのは今伺って思ったのですけれども、最初の、何か支障があるというところは、既に1隻で丸々運航を外部委託できているのだったら、そこの支障というのは、ほかの既に移行しているところは支障があるのですか。

【井上研究開発局海洋地球課長】  これ、一つの船を運航するときに、ある程度、船員のクルーのチームを組んで動いてもらわなければいけないところがございます。そのチームを組む際にある程度、要は、全部そこを外部委託すると、生々しい話ですけれども、今いらっしゃる方を解雇してとか、そういったこともございます。これは実際に東大から船が移管するときに国会で、東大から移る船員の雇用をしっかりと確保せよと、そういう附帯決議が出ております。要は、そこを今、全部外部委託してしまうと、相当程度そこの雇用が確保できなくなるという事情がございます。

【荒張臨時委員】  分かりました。いろいろな要素があるということはこのヒアリングでも何となく感じたのですけれども、我々のほうで検討を進めるに当たって、また事務局を通してお願いしてもよろしいですかね。

【井上研究開発局海洋地球課長】  はい、検討させていただきます。

【荒張臨時委員】  どうぞよろしくお願いします。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。

【鈴木臨時委員】  契約のことについてお聞きしたいと思います。契約の適正化というのは従来から言われていると思うのですけれども、特に船舶の運航調査支援業務で費用が多く占められているわけで、これらの契約についての見直しだとか、また、特に随意契約で行われているわけですが、これについての見直しとか、どのような改善を図られるか、お教えいただきたいと思います。

【鬼澤大臣官房審議官】  契約あるいは調達の適正化ということにつきましては、会計検査院の検査、あるいは評価委員会の評価結果を踏まえて、真摯に対応してきてございます。例えばでございますが、公告方法、これについては地方拠点における入札会を他の拠点においても同じように実施していくとか、あるいは入札参加条件、これを経理部門から各職員へ応札者を限定するような仕様にならないように全機構の中で注意を喚起してございます。
 発注規模につきましても、経理部門におきまして、基本的に契約額が大きい案件、あるいは相手方との契約件数が多い案件、こういうものについては相手方が限定される仕様となっていないか、あるいは限定するために関連性のない業務を同時に受注させるような肥大化するような内容になっていないか、こういった観点で仕様のチェックも絶えず常時行っているところでございます。
 平成23年度には、前年度までの評価の指摘などを踏まえながら、外部の有識者から成る調達コスト検討会、こういうものも設置してございまして、そこで出された提案についても、可能なものから順次実施に移しております。御指摘につきましては、今後、不断の見直しを図りながら調達コストの削減ということで努力してまいりたいと考えているところでございます。

【鈴木臨時委員】  我々のほうから、契約をより細分化して調達できないかとの御質問をさせていただいたところ、平成25年8月の文部科学省からの回答では、それは非常に難しいというようなお答えだったと思うのですが、それについては更にこちらで検討したいのですが。
 そういうような場合に、原価監査を試行して出した、あるいは構築したところですと書いてあるのですけれども、少しでも原価を低めるための努力はどの程度なさっておられるのか、それとも、今後どうしようとしているのか。これは、簡単でいいです。また後でのお答えでもいいのですが。

【井上研究開発局海洋地球課長】  実際、随契の比率なども大幅に下げておるところですけれども、実際の現場での努力につきましてまたまとめさせていただきまして、回答させていただきたいと思います。

【鈴木臨時委員】  それともう一つ。先ほど、ほかの委員から話がありましたけれども、我々としてはきちっと目標を立てたり、検証可能な目標を立てていただきたいと。そして、それについてはこれから努力なさるということかもしれませんけれども、検証可能ということですから、検証しなければいけないわけなのです。先ほどの質問と関連するのですけれども、進行管理の検証といいますか、進捗状況の検証、これはどのように改善しようとされているのか。これも後からまた細かい文書でもいいのですけれども、何か今、具体的にお答えができるのだったらお願いしたいと思います。

【鬼澤大臣官房審議官】  恐らく大きな方向性について認識の違いはないと思いますけれども、数値的な目標が書けるものはそれをしっかりと書き込むというようなことと同時に、もしそうでないものについても、検証可能ということですから、客観性を持たせて、どこまで達成するのかと。やはり、中期目標の本質に関わることだと思っていますので、そういうイメージを持ちながら、単に何かを実施するとか、何々を研究開発するとか、そういうレベルじゃない、しっかりしたものをまさに新たな目標の中で検討していきたいと思っています。

【鈴木臨時委員】  そうですね。まさに今そのことで、お読みしていると、こういうことを実施した、実施する方針だと、そういうことだけしか我々の目には見えないものです。だから、具体的にそれをどのようにおやりになるか。あるいは、検証した評価の内部的な手続、それをお見せいただいたのだけれども、報告書としては残っていないけれども、自己評価したものについての評価、そういうものはあるのですけれども、その具体的な成果に対してどう達成したのか、どうしようとしているのか、それが見えないわけです。ですから、それは先ほど言いましたように、是非お答えをいただきたいと思っております。
 それと同時に、最後に一つだけ、運営の効率化等で業務運営体制の組織の集約・再編をするということなのですけれども、この見直し案ではそこの回答が空白になっているのですけれども、これについてはどのようにお考えになっているのでしょうか。

【井上研究開発局海洋地球課長】  今御指摘は、3−2の9ページの「該当なし」となっているところですね。

【鈴木臨時委員】  組織体制について「該当なし」でよろしいのかどうかと。広い意味で、あるいはいろいろな御質問している内容に対してということなのですけれども。これは全体のことですけれども、少なくとも業務運営体制の整備のために組織についてはどう考えておられるのかということなのです。

【井上研究開発局海洋地球課長】  実際には、研究部門につきましては、3−1の最後にもありますように、組織の大くくり化など、組織を改正していくつもりでございます。ただ、ここはすみません、これは単にこの様式を示されたときの記入の仕方なのですけれども、私どもが受けた指示は、これまでにこういう組織の見直しについて指摘を受けたりしたもの、そういうものがあるのかと、そういうふうに認識しておったものですから、それで、これまで具体的にそういう指摘を公式な形で外から受けていないので、該当なしと記述をしているところでございます。実際には次の中期目標・中期計画に合わせて、所要の組織の見直しを検討してございます。

【鈴木臨時委員】  それはまたこちらから御質問させていただいて、回答お願いしたいと思います。

【宮内分科会長】  大体よろしいでしょうか。
 それでは、時間の都合もございますので、海洋研究開発機構についてはここで一旦議論を打ち切らせていただきます。本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、文部科学省の皆様方は御退席いただいて結構です。どうもありがとうございました。

(説明者等退室)

【宮内分科会長】  以上で、本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたします。
 最後に、事務局から報告事項がありますので、説明をお願いいたします。

【吉開評価監視官】  本日は長時間にわたりましてヒアリングを実施していただきまして、どうもありがとうございました。お疲れさまでございました。
 私のほうから、連絡事項と報告事項を1点ずつ申し上げたいと思います。まず連絡事項でございます。次回のこの独法評価分科会の日程でございますが、来週の月曜日9月30日の15時半から17時50分まででございます。本日ヒアリングを行った海洋研究開発機構以外の文科省所管4法人をヒアリングすることにしております。場所は、総務省が入っております2号館の8階第1特別会議室でございます。
 それから、報告事項でございますけれども、本日の午前中に行政改革推進会議のほうの独法改革等に関する分科会の第1回目が開かれました。これは9月20日付で設置が決められておったのですが、今日が第1回ということでございました。分科会長としては樫谷先生、それから、分科会長代理ということで梶川先生が御指名をされたということでございます。
 こちらのほうは、組織見直しを重点としてやるということでございまして、組織見直しの視点について行革推進会議事務局のほうから説明がございました。組織の在り方は、事務・事業の見直しを踏まえつつゼロベースで検討するのだということが一つと、あとは、独法制度の創設の経緯と趣旨を踏まえて見直しを行うと。要は、企画と実施の分離とか、特殊法人の反省を踏まえてと、そういったことを踏まえてやるのだという話でございました。それから、3番目が、統合するということについても、数合わせというか、数ありきではなくて、政策目的と行革効果の向上を目的として統合するのだと、こういう視点が示されております。
 今後の進め方でございますけれども、各省別のワーキング・グループを三つ置きまして、そのほかに、UR、都市再生機構を専門に扱うワーキング・グループが一つ置かれまして、計四つということでございます。その中の一つが、研究開発法人につきましてもまとめて扱うという作りになっております。
 スケジュール的に申しますと、今月中に各ワーキングでヒアリングを始めたいということでございまして、10月、11月にかけてヒアリングを実施して、法人についての見直し案を作成すると。それを更に親分科会のほうで議論をして、12月に行革推進会議の分科会として見直し案の策定を行っていくと、こういうような御説明がございました。
 これにつきましては、また進展がありましたところで御報告を申し上げたいと思います。以上でございます。

【宮内分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は、御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。

(以上)

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