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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(平成26年3月13日)議事録

日時

平成26年3月13日(木)10時00分から11時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館11階 第3特別会議室

出席者

(委員)
宮内忍分科会長(※)、梅里良正分科会長代理、石田晴美の各委員、阿部啓子(※)、荒張健(※)、有信睦弘、大西昭郎、岡本義朗(※)、河井聡、木村琢麿、齋藤真哉、園田智昭、宮本幸始の各臨時委員
(※)を付した委員は、議決の一部に参加していない。

(総務省)
渡会修行政評価局長、濱西隆男官房審議官、白岩俊総務課長、吉開正治郎評価監視官、平野誠調査官

議題

  1. 平成25年度末に中期目標期間が終了する法人の新中期目標(案)等について
  2. 役員の業績勘案率(案)について
  3. その他(報告事項等)

配布資料

会議経過

【宮内分科会長】  ただいまから、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日の会議につきましては、「政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会の運営について」に基づき、非公開で行うことといたします。
 本日は、「平成25年度末に中期目標期間が終了する法人の新中期目標(案)等」及び「役員の業績勘案率(案)」について、事務局から説明を受け、御審議いただく予定としております。
 初めに、議題1の「平成25年度末に中期目標期間が終了する法人の新中期目標(案)等」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【吉開評価監視官】  それでは、資料1、横長の資料に基づきまして、御説明を申し上げます。
 この資料の構成でございますけれども、昨年12月16日の政独委におきまして、「勧告の方向性」における主な指摘事項として御紹介申し上げた点を、左側に掲げております。それに対応する新中期目標等を、右側に掲げております。今年に入りましてから、「勧告の方向性」の反映状況を各ワーキング・グループにおいて御確認いただき、必要に応じて各省と更にやり取りを重ねており、その状況を現時点で取りまとめたものでございます。なお、右端の欄は、次期中期目標の終了年度、及び昨年度末の閣議決定に基づく主な措置事項となっております。
 まず、海洋研究開発機構でございますが、「勧告の方向性」における主な指摘内容といたしましては、機構独自の役割を明確化し、研究内容の見直し及び重点化を求めるとともに、具体的な目標設定等を求めるものでございました。右側の欄をご覧いただきますと、そのような指摘内容が反映された中期目標になっていると考えております。一例といたしまして、海洋・地球環境変動研究開発を掲げておりますけれども、第1段落で、機構の独自の役割が書かれております。それから第2段落で、かなり詳しく、研究内容について何をやるのかが書かれております。それから最後の段落で、何年度に何をやるということで、目標設定等の記述がかなり具体的に書かれておりまして、全体を見まして、現行中期目標と比べてかなり具体的なものになっているのではないかと考えております。
 次のページに参りまして、日本司法支援センター、通称、法テラスでございますけれども、「勧告の方向性」の主な内容といたしましては、独法通則法の準用法人といたしまして、通則法の枠組みに沿った目標等の明確化、それからマネジメントの確立等を求めたものでございます。右側をご覧いただきますと、可能な限り具体的かつ定量的な目標設定を行うこととしております。具体例といたしまして、コールセンターの応答率90%以上、それから国選弁護等関連業務における手続類型別の目標時間の設定等、遅くとも24時間以内ということで、目標設定がなされております。それから3番目の項目、司法過疎地域事務所への常勤弁護士の配置でございますが、これにつきましては、右側の欄で、業務量の把握・分析に基づいて配置を行うことが明記されていると考えております。
 次に、中小企業基盤整備機構でございます。この機構に対する主な指摘内容といたしましては、助言・支援業務について、中小企業政策の中核的実施機関として、より難度が高く、より専門性の高い業務に重点化することを求めるとともに、アウトカム目標の設定等、中期目標の明確化を求めたものとなっております。右側をご覧いただきますと、助言・支援業務の重点化でございますが、「勧告の方向性」の指摘どおりの記述になっていると考えております。それから3番目の項目、中期目標の明確化でございますけれども、これにつきましては、この資料では、海外展開支援、それからインキュベーションの例を挙げておりますが、具体的な目標設定がされていると認識しております。
 続きまして、次のページの環境再生保全機構でございますが、こちらに対しましては、この法人が行う業務の必要性等について、国民の理解をより一層深める必要がある。そのため、環境省の政策目標、それから業務を取り巻く現状を中期目標に記載の上、本法人の必要性と役割を明確化することを求めております。右側をご覧いただきますと、これは前文の抜粋でございますが、この前段といたしまして、環境行政の全体像が書かれております。それから機構を取り巻く現状が記述されておりまして、その後、ここに引用しております機構の必要性と役割が、中期目標の前文の中に3点明記された形になっております。
 続きまして、日本学生支援機構でございますが、一番上の項目は、第一種それから第二種奨学金を併用して借りている者につきましては、延滞率が高い傾向があるということで、修学を行う上で真に必要となる額となるよう、貸与上限額の引下げなどについて検証を行うことを求めております。そのほか、2番目、適格認定制度の着実な実施や、3番目の機関保証の検証方法の見直し等を求めたものとなっております。右側をご覧いただきましても、「勧告の方向性」を反映した新中期目標となっていると理解しております。
 続きまして、次のページの国立高等専門学校機構でございますが、こちらに対しましては、1番目と2番目の項目でございますが、ミッションの再整理を行い、定量的かつ具体的な成果目標の設定をすること、法人本部のイニシアティブによって学校の配置の在り方の見直しや、学科再編の実施をすることを求めております。右側をご覧いただきますと、ミッションにつきましては、グローバルな視点を持って社会の諸課題に立ち向かう、科学的思考を身につけた実践的・創造的技術者の養成と整理されております。それから定量的かつ具体的な成果目標といたしまして、一例といたしまして、法人本部主催の海外インターンシップの派遣学生数につきまして、前中期計画期間に比べて200%を目指すことが設定されております。それから2番目の項目といたしまして、学校の配置の在り方の見直しや学科再編の実施も、新中期目標に明記されたということでございます。
 続きまして、大学評価・学位授与機構でございますが、こちらにつきましては、認証評価事業について、民間評価機関育成の観点から、先導的役割に特化することを求め、更に機構自らが実施する認証評価の数を段階的に削減し、将来的な廃止を含め、在り方を検討することを求めました。このほか、学位授与事業の運営費交付金負担割合の見直しや、大学ポートレートの運営に係る目標の明確化等を求めております。いずれも右の欄をご覧いただきますと、「勧告の方向性」の指摘内容が反映された記述となっていると理解しております。
 続きまして、次のページの国立大学財務・経営センターでございますが、この法人につきましては、「勧告の方向性」におきまして、他の法人との一体的な業務実施の検討を求めたところでございます。この法人につきましては、昨年末の独法改革の閣議決定におきまして、大学評価・学位授与機構と統合することとされておりますので、新中期目標におきましては、その統合の決定を踏まえた記述となっております。
 続きまして、都市再生機構でございます。まず、さらなる経営改善のための賃貸住宅ストックの再編・削減目標の設定と、その再生・再編方針の内容を見直すことを指摘いたしましたところ、指摘どおり、目標を設定することと、方針を見直すことが新中期目標に明記されております。2番目の、ニュータウン事業の完了期限を見据えた指摘でございますが、これにつきましても、期限終了後も賃貸用地の管理は続くということでございますので、その管理・処分の基本的な考え方と、具体的な管理・処分方針を策定することが明記されております。それから3番目の、技術研究所の在り方の抜本的見直しについてでございますが、右側をご覧いただきますと、将来的に独立行政法人建築研究所に移管することを検討し、平成26年中に結論を得るという記述がございます。この点は、「勧告の方向性」の指摘よりも踏み込んだ中期目標となっているのではないかと理解しております。
 続きまして、次のページの奄美群島振興開発基金でございます。この基金の設置根拠法は、奄美群島振興開発特別措置法でございますが、この法律が今年度末に期限切れとなりますので、日本政策金融公庫等との連携など、効果的・効率的な業務の進め方の検討について、指摘したところでございます。それに対しまして、日本政策金融公庫等との人事交流及び業務連携等を実施することが明記されております。財務内容でございますが、多額の繰越欠損金を抱えていること、それからリスク管理債権比率が極めて高いということでございますので、それを踏まえて業務の見直しと財務内容の改善を指摘したところでございます。これに対しましては、リスク管理体制の充実・強化、それから収益改善、経費節減等に関する具体的な計画の策定をする。それから具体的な繰越欠損金の削減目標といたしまして、中期目標期間中に約8%削減することが明記されております。
 続きまして、労働者健康福祉機構でございます。労災病院の関係でございますが、労災患者の比率が低下している、それから地域医療への役割が相対的に増している状況を踏まえて、地域で果たすべき役割を明確にし、地域の実情に応じた医療を的確に提供するように指摘したところでございます。これに対しまして、労災病院が地域で目指すべき役割を明確にして、公表する旨が記述されております。それから経営改善でございますが、労災病院の経営改善につきまして、本部の主導で病院ごとに繰越欠損金の解消計画を策定して、経営改善を進めるとともに、経営改善に成功した国立病院機構の取組、例えば収益の確保対策や、コスト削減対策を参考とするように、指摘いたしました。右側をご覧いただきますと、指摘どおりの記述となっておりまして、特に国立病院機構との人事交流などの検討についても言及されているところでございます。
 続きまして、国立病院機構でございますが、こちらに対しましては、地域医療に対して更に貢献すべきであるという旨を指摘しております。これに対しましては、地域の診療所や他の病院と連携する旨、地域完結型の医療を実現する旨等が記述されております。
 続きまして、医薬品医療機器総合機構、PMDAでございますが、こちらに対しましては、ドラッグラグ及びデバイスラグの早期解消につながる取組を着実に進めて、審査を一層迅速化するよう指摘いたしました。これに対しましては、審査の的確な進行管理を行う、それから相談業務の見直し、治験の推進等について具体的な記述がなされております。4番目の項目で体制の強化の話がございますけれども、これに当たりましては、現状の業務プロセス等における課題を分析・検証して、必要な改善を図るよう指摘したところでございます。これに対しましては、次期中期目標期間の中間時点をめどに、業務プロセス等における課題を可能な限り定量的に分析・検証し、必要な見直しを実施する旨が明記されております。
 最後に、年金・健康保険福祉施設整理機構でございます。これは本年4月から、地域医療機能推進機構という新たな独法に改組されることになっておりますが、新しい機構に改組後、直接、社会保険病院等の57病院を運営することになっております。各病院でしっかりとした医療供給体制を構築して、地域の実情に応じた医療を的確に提供するよう指摘したところでございます。また赤字病院が14ございますけれども、これらにつきまして、国立病院機構の取組も参考として、病院ごとに経営改善計画を策定することを指摘いたしました。これに対しましては、1番目の項目ですが、他の医療機関等との連携のもと、地域での取組が不十分な部分を積極的に補完することが書かれております。それから2番目の項目では、経営改善の取組を含む事業計画を毎年度策定する旨が記述されております。
 駆け足でございますが、私からの説明は以上でございます。

【宮内分科会長】  それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問などありましたら、どなたからでも発言願います。

【梅里分科会長代理】  海洋研究開発機構について、昨年の行政改革推進会議独立行政法人改革等に関する分科会では、ぎりぎりまで防災科学技術研究所との統合が議論されておりました。その時に、この機構を独立した法人として残す一番の理由になったのが、海底資源開発の重要性だったのではないかと記憶しております。そういった意味で、この新中期目標(案)の中で、海底資源開発を機構が経済産業省とどのように連携しながら進めていくのかに関する記載、あるいは地震等の防災について、どのような計画を持っているのかということについての記載はありましたでしょうか。

【吉開評価監視官】  今御指摘のありました防災研との関係でございますが、まず、地震・津波観測監視システム、通称、DONETについて、これを海洋研で整備することは海洋研の中期目標に書かれておりまして、その整備自体は海洋研でやるのですが、その整備が終了した時点では、このシステムを防災研に移管することになっております。それが1点でございます。それから、防災研との人材交流を、防災減災分野において実施、促進することについて書かれておりまして、そういった取組を通じて海洋研と防災研との連携をより一層強化することが中期目標(案)において明記されております。

【梅里分科会長代理】  海底資源開発については、どうですか。

【吉開評価監視官】  海底資源開発につきましては、この機構が行う研究開発として細かな記述、具体的な記述がありまして、更に他の研究開発機関や大学・民間企業との連携を強化することと、開発した技術が速やかに実海域調査に活用されるよう、民間企業への技術移転を進めることが、記述されております。

【梅里分科会長代理】  ありがとうございます。昨年、統合が議論されていたときには、機構は、いろいろと独立の必要性を訴えていたわけですけれども、そういった役割をはっきりと認識し、中期目標に明記してもらいたいという思いがありましたので、確認の質問をさせていただきました。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。岡本委員。

【岡本臨時委員】  途中の経緯をよく存じ上げないので、資料1を読んだ限りの話ですけれども、少なくとも今回の見直し対象法人として、地域医療に係る独立行政法人が三つあり、それぞれが地域医療について取り組みます、あるいは重要視していますと書かれているわけです。なおかつ一つの法人は、地域医療という名前をつけて新しく発足する。そのような状況の中で、この三つの法人がそれぞれ地域医療をどう捉えているのか。もっと言うと、厚生労働省の政策に関わる議論だと思いますけれども、地域医療政策の中でなぜこの三つの法人が必要になって、それがどういう役割をしているのか。
 少なくとも、国立病院機構が、多くの独立行政法人の中で比較的運営に成功している例だとなっているのであれば、そことの関連においても、ほかに二つの法人がある中で、地域医療全体をどのような観点から適切に遂行していくのかという、全体像が示されているのかどうか。そのあたりは、どのような議論になっていたのかを御紹介ください。

【吉開評価監視官】  御指摘のように、国立病院機構で言えば、政策医療と地域医療をやる。それから労働者健康福祉機構で言えば、労災病院が労災の医療と地域医療をやるということで、それぞれの法人が地域医療をやることになっているわけですが、この点につきましては、行政改革推進会議の議論の中でも取り上げられたことは承知しておりますが、この三つの法人を統合するところまでは、今回の独法改革の中では踏み込まれなかったと承知しております。ただ議論はなされたということでございますので、また将来的な検討課題かと認識しております。

【岡本臨時委員】  行政改革の観点からの統合というお話を申し上げているつもりはなくて、この委員会は政策評価をやっているわけで、次期中期目標に評価結果を反映させるわけです。そうすると、政策評価の結果を次にいかすという観点から見ると、委員会の指摘事項として地域医療への貢献を挙げておいて、それに対する回答がそれぞれあるというイメージがあるのです。それぞれあるのはいいのですが、その全体がどのように、今後地域医療に貢献しなければいけないかということを厚生労働省はどのように考えているのか。資料1で書かれているのは、自分たちの業務が地域医療に関係あります、あるいは地域医療を今後頑張っていきますということですが、地域医療に、これら三つの独立行政法人が絡んでくる必要性があるのかどうかというところは、いかがでしょうか。

【吉開評価監視官】  おっしゃるように、第5ワーキング・グループの中で、例えば労災病院でいきますと、かなり労災医療の比率が下がってきているということで、地域医療に軸足を置こうとしているが、それが果たして正しい姿なのかという議論は確かにございました。ただ、厚生労働省が所管している3病院について、全体として地域医療の位置付けをどう考えるのか、あるいは国の機関である独法として、地域医療をどこまでやるべきなのかというところまでは、議論はありましたが、結論を得るまでには至っていないところでございます。

【梅里分科会長代理】  岡本委員の指摘していることは非常にもっともなところだと思います。労災病院は、もともと労災という役割がありましたけれども、今事務局から説明がありましたように、現在では労災の役割が比率的にはかなり低下していて、自分たちの存続の必要性を、地域医療、勤労者医療に性格を変えてきているところがあります。ですから社会保険も、社会保険制度が発足したときに、社会保険が成り立つためには医療を提供する施設が十分になければいけないということで、社会保険団体自らが開設をしてきた病院ですから、これだけほかの性格の病院が出来てきた状況において、社会保険団体が病院を運営していかなければいけないのかどうかについては、大分情勢が変わってきていることは、まさに御指摘のとおりだと思います。
 今後、社会保険病院をどうするかというときに、国立病院機構との統合の話も出たし、民間病院に売却して全部整理するという議論も十分になされたわけです。ここから先は、本来の必要性についての議論のほかに、もう一つ、現段階での政治的な判断があるのだと思いますけれども、とりあえず現段階ではこれらを一つの機構として残すという結論になったわけですが、今のような議論の経過がありますから、このままずっと続くということではなくて、将来的には地域医療を賄っていくために全体としてどうしたらいいかという議論がこれから進むだろうと思います。
 その場合には、労災病院とか、新しくできる社会保険病院、地域医療機能推進機構等が再び統合されて、1本で地域医療を考えるというような議論が、これからは活発になってくるだろうと思います。ただ、それまでの過渡期において、今すぐにこれらを統合するという結論には至らなかったわけですので、我々第5ワーキング・グループとして求めているのは、これらの三つの法人が、相互によく連携を図る、地域ごとに地元の地域医療の推進の仕方をよく合議をしていただいて、連携を図りながら、全体として地域住民のための医療を提供していくという方向を、そういう行動をしてもらいたいということを、各法人に申し上げている段階です。
 それと、先ほど設立された経緯を申し上げましたが、その後地域で、全部とは申しませんが、実際に必要な地域医療を提供している病院もかなりあるのです。ですから、それらを全て、この病院は地域で、国立も労災も社会保険もあるので、どれかが要らないだろうという結論は、量的な側面からもできないところがありますので、三つの法人で連携を図りながら、地域によってはどれかを統合してもいいという地域もあろうかと思いますので、進めていってもらいたいというのが、現在の我々の考え方でございます。

【岡本臨時委員】  梅里先生に反論するわけでは全くないので、そこは御理解いただきたいのですが、申し上げたいことは、それぞれの3法人が独立をしていて、その三つの法人のもとに、それぞれ個々の病院がある。1個1個の病院が法人の枠を超えて地域医療に貢献することは事実として、私はあると思うのですが、そのそれぞれの病院が違う法人に所属していかなければいけない理由は何だろうと。三つの法人の性格が違うことによって、コアとして、こういう特性がある、だから連携していく、個々の病院に法人の特性があらわれて、その結果が個々の病院の違いとなって現れてくるというのだったら、説明が分かりやすいのですが、個々の病院がどこに属していようと、地域にそれぞれ頑張っていらっしゃって、それで法人が三つに分かれている理由が、私には分からない。連携というのが書いてあるけれども、個々の病院は連携しているかもしれないけれども、法人のところで何か地域医療に関して連携する必要があるのだろうか。なおかつもう一つ、地域に名前を冠した法人が今度でき上がると。これは、梅里先生がおっしゃっているように、過渡期として私も分かるのですが、どうもすわりが悪いのではないでしょうか。
 ですから個々の病院が各地域医療において貢献されていることは分かるのですが、それが、それぞれ別の法人に属していて、法人がそれぞれ別の本業みたいなものがあるにもかかわらず、全部、地域医療を言い出して、また新たに地域という名前を冠した法人になるというのは、行革の観点においても疑問ですけれども、むしろ医療の観点においても、もっと主張すべきところはあるのではないかと、素朴に思います。
 それがこの委員会として、どういう形で言えるかどうかは分かりませんが、少なくとも我々のミッションは、政策評価をやった結果としての何らかの提言になると思いますので、行革とは違いまして、そこを今後やっていく必要があるかなというのが、私の意見です。

【梅里分科会長代理】  私も異論はありません。今三つの法人に分かれていて、国立病院機構が政策医療という意味では一つ明確な役割、特徴を持っているかなという認識はありますけれども、労災病院などは御指摘のとおりだろうと思います。今後、この委員会から働きかけをしていくということであれば、それは私も異論がないところでございます。

【宮内分科会長】  ほかにございますか。
 ないようでしたら、私からお伺いしたいことですが、環境再生保全機構の「存在意義の明確化」の項目に関して、1、2、3で書かれている内容が、これが具体化されたものになるのか、今までとあまり変わらない漠然とした目標に見えるのですが、この辺りはどのように感じでおられるのでしょうか。

【岡本臨時委員】  今、分科会長がおっしゃった点ですけれども、当方の第2ワーキング・グループで主張させていただいたのは、言葉が悪いかもしれませんが、環境省の今までやってきた幾つかの業務が、理由もなくこの法人の中に集まっていて、この法人として一体になっている意味があるのでしょうかというところを、根本的な出発点として申し上げてきたところです。これは何回かやり取りをさせていただいて、抽象的に言えば、ここの1、2、3に書いてあるような役割を担っているということを、基本線として環境省に整理をしていただいた。それと環境省との施策との関係性も説明というか、中期目標あるいは中期計画の中に書かれてきているという状況になっていると理解しております。それで十分かというと、必ずしも私はそうではないと思っているのですが、一応環境省の政策の実施機関としてこの機構を位置付けてきた。
 次に、先生のおっしゃった、この1、2、3が具体的にどのように業務に分化しているかということについての論理的な展開は、個々にはあると思います。確かに十分であるとは思いませんが、前の中期目標期間に比べれば、前に進んできているのではないかという認識であります。

【宮内分科会長】  分かりました。個人的にも、私は前のステップの状況なのかなというイメージがあったものですので、今の岡本委員の御回答で私は十分に納得しました。
 もう一つ、これは会計の話で、奄美群島振興開発基金の3つ目の項目について、繰越欠損金を約8%削減するというのは、次期中期目標期間中で約8%削減の意味ですよね。

【吉開評価監視官】  はい、中期目標期間中に約8%削減ということです。

【宮内分科会長】  これでやっていくと、消えるのに何年かかるかというと、大変膨大な期間がかかって、このテンポで大丈夫なのかについて、期間の相場観で少し疑問を感じたのですが。

【吉開評価監視官】  現在、国土交通省から聞いております計画では、約20年強で繰越欠損金を解消すると説明を受けております。

【宮内分科会長】  今期は8%だけれども、その後どんどん急速に圧縮されていくという。

【吉開評価監視官】  はい、そういう理解をしております。

【宮内分科会長】  分かりました。
 ほかに何かありますでしょうか。大体よろしいでしょうか。

【梅里分科会長代理】  一つよろしいでしょうか。

【宮内分科会長】  どうぞ。

【梅里分科会長代理】  日本学生支援機構の機関保証について、新中期目標において、他の保証機関ではなく、公益財団法人日本国際教育支援協会に機関保証を依頼する必要性についての記述はあるのでしょうか。事業コスト等を踏まえた事業計画の検証について、資料1に記述がありますが、この公益財団法人が機関保証を今後も行っていくことの妥当性について、新中期目標にどのように記述しているのでしょうか。この協会はいろいろな機関保証を請け負っているわけではなく、日本学生支援機構の機関保証のみを受けているのではないかと思うのですが、同協会に機関保証を委託することによって効率性が高まるとか、リスクが低減できるとか、そのようなことが検証できる新中期目標になっているのでしょうか。最終的にリスク面で、日本学生支援機構自らが行うこととどれだけの違いがあるのかが、資料1ではよく理解できません。

【吉開評価監視官】  この機構は、公益財団法人日本国際教育支援協会に機関保証していただいているということですが、これについてはワーキング・グループでも機構が保証業務を内製化できるのではないかという議論はございました。一方、ほかの教育資金を貸し付けている民間機関でも、組織の外部で機関保証をしてもらっており、リスクを切り離すという観点からは外部保証がふさわしいのではないか。ただし、外部保証をする場合は、コストを踏まえた事業計画の検証をしてくださいと、勧告の方向性で指摘をしてございます。

【梅里分科会長代理】  おっしゃるような事業計画の検証だけでは、ほかの民間の貸付け等で外部保証をしているようなところに、日本学生支援機構が機関保証を依頼することはまずいことなのかという疑問には答えられないのではないでしょうか。公益財団法人国際教育支援協会はそういった機関保証を専門にやっている公益財団法人ではないのですよね。そこに依頼をしなければならないのはなぜなのかがフォローされていないのではないですか。

【吉開評価監視官】  公益財団法人日本国際教育支援協会は、専らこの機関保証業務をやっているということでございますが、これ以外の機関に機関保証をやってもらうことができないのかということにつきましては、制度上は出来ないことはないと思います。ただ、日本学生支援機構の業務内容を一番よく理解している同協会に機関保証を実施してもらうのが、現状では一番ふさわしいのではないかということで、この協会が機関保証しているのが現状であると理解しております。

【梅里分科会長代理】  専ら機関保証をしているというのは、今やっているのは、日本学生支援機構の機関保証のみですよね。

【吉開評価監視官】  そういうことでございます。

【梅里分科会長代理】  そうすると、この機関保証をする専門の団体とは普通考えにくいですよね。他の民間の団体が機関保証を依頼しているところに機構も依頼するほうが、はるかにリスクが分散できると普通は考えるのではないでしょうか。

【吉開評価監視官】  おっしゃるように、ほかの民間の機関に機関保証をしてもらうという選択肢は論理的にはあると思います。ですので、なぜこの支援協会に機関保証をしてもらわなければいけないのかということを示すために、資料1には出ていませんが、将来の事業コストを踏まえた事業計画の検証を行う際に、保証料率について他の保証機関と比較した上でその合理性を明らかにして検証してくださいと勧告の方向性で指摘をし、その内容がそのまま新中期目標に記述されていると理解しております。

【宮内分科会長】  大体よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの委員の皆様からの御質問、御意見等につきましては、事務局において各府省に照会いただき、回答が来ましたら委員に御報告いただくなど、御対応方、よろしくお願いいたします。各ワーキング・グループにおかれては、これらの法人の新中期目標等が「勧告の方向性」を十分に踏まえたものになるように、引き続き、注視をよろしくお願い申し上げます。その上で分科会の開催等の対応が必要と考えられる場合は、各ワーキング・グループの主査から、私、分科会長と、梅里分科会長代理に御相談いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議題2の「役員の業績勘案率(案)」についての審議に移ります。まず事務局から説明をお願いいたします。

【平野調査官】  それでは、役員退職金に係る業績勘案率について御説明申し上げます。
 業績勘案率資料2−1から2−6をご覧いただきたいと思います。
 今回、御審議いただく退職役員は6省18法人で29名となっております。資料2−1から6で、いずれも各府省評価委員会から1.0で通知され、各ワーキング・グループで御審議していただいた結果、最終的には、いずれの退職役員も1.0で意見なしとなっております。
 29名の退職役員のうち、家畜改良センターの理事長、日本高速道路保有・債務返済機構の理事、国立国際医療研究センターの理事の3名につきましては、ワーキング・グループにおける審議におきまして、考慮した案件等がございましたので、それについて簡単に御説明させていただきます。
 まず、第1ワーキング・グループで御審議いただきました家畜改良センターでございますが、当該理事長の在職期間中の平成23年1月に、職員が課金や業者からの寄附金などの私的な積立金を、平成17年から21年にかけて約821万円流用していたことが発覚しました。理事長は、事件発覚後、事実関係を公表するとともに検証委員会を立ち上げるなど、その後の対応はきちっとやられているということです。一方、考慮しなければいけない加算要因としましては、平成22年度に全国各地で発生した鳥インフルエンザにおける防疫措置、人員や人材の機動的な配置などの支援業務において、理事長の方がリーダーシップを発揮されたこともあったということで、これらを総合的に考慮しまして、第1ワーキング・グループでは1.0で意見なしとなっております。
 それから、第4ワーキング・グループで御審議いただきました、日本高速道路保有・債務返済機構の総務担当の理事の方でございますが、退職後の平成24年12月に中央自動車道の笹子トンネルの天井板落下事故が発生しております。この事故につきましては、日本道路公団等民営化関係法施行法等において、高速道路等についての維持管理につきましては、第一義的にも全部高速道路会社が負っており、機構については法的責任がないということでございます。それから、この退職役員自体は総務担当の役員で、こういう管理業務等には担当ではないということで、結果的に第4ワーキング・グループでは、通知された1.0については意見なしとなっています。
 次、第5ワーキング・グループで御審議いただいた、国際医療研究センターの病院担当理事でございますが、在職中に看護師による薬剤の取り違えとか、劇物薬品の紛失という不適切事案等が発生しておりますが、2事例とも、センターの管理体制自体については、法令上の問題は特に問題は検証委員会等でも指摘されておらず、いずれも看護師のヒューマンエラーで、事故後の公表・対応も的確に実施されていたということで、第5ワーキング・グループでは、1.0で意見なしとなっております。
 事務局からの説明は以上でございます。

【宮内分科会長】  ただいまの事務局からの説明について、御意見、御質問等ございましたら、どなたからでも御発言願います。
 特にございませんでしょうか。
 それでは、農林水産省、財務省、経済産業省、文部科学省、国土交通省及び厚生労働省の独立行政法人評価委員会から通知された「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」について、お諮りいたします。本件についての分科会の回答につきましては、案のとおりとさせていただくことで、御異議ございませんでしょうか。


(「異議なし」の声あり)


【宮内分科会長】  それでは、本案を分科会の回答としたします。事後の処理につきましては、私に御一任いただくことにさせていただきます。
 続いて、事務局から報告がございます。よろしくお願いします。

【吉開評価監視官】 御報告を申し上げたいと思います。
 独法改革の動向でございますが、昨年12月24日に「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」が閣議決定されたわけでございますが、現在それを受けまして、内閣官房で独法通則法の一部改正法案等を鋭意作成中でございます。スケジュールといたしましては、今開かれております通常国会に法案を提出して、成立させた上で、来年4月から新制度に移行することが予定されております。なお、閣議決定におきまして、幾つかの法人の統合が書かれておるわけでございますが、そのうち国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の統合につきましては、来年4月に実施すべく、今通常国会に所要の法案が提出される予定となっております。
 また、法人の分類が、中期目標管理法人、国立研究開発法人、それから行政執行法人の三つに分かれるわけでございますが、研究開発型の法人のうち、科学技術イノベーションの基盤となる世界トップレベルの成果を生み出す創造的業務を担うという位置付けの法人を、「特定」という言葉を冠しまして、特定国立研究開発法人として位置付けることとされております。昨日、総合科学技術会議が開催されまして、この席上、理化学研究所と産業技術総合研究所の2法人が、この特定国立研究開発法人の指定候補に決まったと聞いております。これらの法人に係る特別措置は、独法通則法とは別の法律によることとされておりますので、これに必要な法案を内閣府で準備中であると聞いております。
 以上でございます。

【宮内分科会長】  ただいまの事務局からの説明について、御質問、御意見等がございましたら、どなたからでも御発言願います。

【石田委員】  一つよろしいですか。いまの事務局の説明とは直接関係ないのですが、質問させていただきたいと思います。
 ここ二、三日、テレビ、新聞で、厚生労働省の高齢・障害・求職者雇用支援機構についての問題が取り沙汰されています。政独委としては、独立行政法人が発注する時は気をつけて見ているけれども、応札する時については、見ていない。けれどもコンプライアンスの観点からは今回の厚生労働省への応札の一連のやり取りは、非常に問題があると思います。国民の視点から見ると、厚生労働省と独法は一体かのように思われかねません。政独委に対しても適切に独法の運営を見ているのかという懸念が出てくる可能性があると思います。ですから来年度以降は、この独立行政法人が応札する時に注意して見ていかなければいけないのではないかと思っているのですが、その辺りについて事務局はどのようにお考えになっていらっしゃるのかを、お聞かせください。

【吉開評価監視官】  今、御指摘のありました高障求機構につきましては、かなり大きな取り上げ方をされたわけでございますが、お話のありましたように、応札の面につきましても見ていく必要があるのかどうか、今後御相談をしていきたいと思います。昨日の国会審議を見ておりますと、厚生労働大臣としては、この問題は独法の問題というよりは、むしろ発注側の厚生労働省の問題だという答弁をされてはおりましたが、それはそれといたしまして、応札側についてどのような見方をしていくかにつきましては、今後、御相談をしてまいりたいと思います。

【石田委員】  どうもありがとうございました。

【宮内分科会長】  よろしいでしょうか。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、ありがとうございました。


以上

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