会議資料・開催案内等

政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(2月27日開催)議事録


  1.  日時  平成18年2月27日(月)1000分から1200

  2.  場所  中央合同庁舎第2号館 総務省第1会議室

  3.  出席者
    (分科会所属委員)
      金本良嗣政策評価分科会長、新村保子政策評価分科会長代理、寺尾美子委員、宇賀克也臨時委員、翁百合臨時委員、高木勇三臨時委員、高橋伸子臨時委員、田辺国昭臨時委員、谷藤悦史臨時委員、田中常雅専門委員
    (総務省)
      福井行政評価局長、伊藤官房審議官、渡会総務課長、岩田政策評価官、横山評価監視官、松本政策評価審議室長ほか

     
  4.  議題
    (1)  最近の政策評価の動向について
    (2)  平成18年度行政評価等プログラムにおける政策評価テーマ等について


【金本分科会長】  時間になりましたので、ただいまから政策評価分科会を開会させていただきます。
 早速でございますが、議題に入らせていただきます。まず、議題1の最近の政策評価の動向についてですけれども、政策評価関係の動向については岩田政策評価官から、そして認定関連活動の取り組み状況については横山評価監視官から説明をいただきます。
 それでは岩田評価官、お願いします。
【岩田政策評価官】  私からは議題1について説明させていただきます。資料はお手元の資料1−1、1−2、1−3です。
 前回11月30日のこの分科会以降の動きについて説明します。  
 1つ目は、基本方針の改定と新ガイドライン案です。昨年の11月30日、この分科会において基本方針の改定についての意見を集約していただき、その後、12月12日に政策評価・独立行政法人評価委員会に竹中総務大臣から諮問を行い、答申をいただきました。その後、与党審査を経まして、12月16日に基本方針の改定として閣議決定しました。また、新ガイドラインは、同じく12月16日に開催した政策評価各府省連絡会議で了承を得ました。
 この改定基本方針及び新ガイドラインを踏まえ、来年度以降の政策評価について、各府省において基本計画又は実施計画を改定あるいは策定することになります。その内容につきましては、6月の政策評価の国会報告にも盛り込むべく、改定・策定作業を年度内に終えるよう、各府省に督励をしているところです。
 2つ目は、規制の事前評価の義務付けです。これにつきましては、昨年、規制改革・民間開放推進会議が12月21日に3か年計画の再改定についての答申を行っております。資料1−2です。そこでは、規制の事前評価を含むRIAの義務付けについて述べており、「具体的施策」をごらんいただきますと、政策評価法の枠組みのもとで18年度中に必要な措置を講ずるよう求めております。また、義務付けに至らない規制についても必要な措置を講ずるよう求めております。
 この答申については、資料1−3で、翌12月22日に政府として最大限尊重し、所要の施策に速やかに取り組むという決定をしているところです。
 次に、行政改革の重要方針と行政改革推進法案についてご説明します。資料1―1になりますが、昨年末、小さく効率的な政府を実現するための行政改革の推進のために、中馬行革担当大臣のもとで、行政改革の理念、各重点分野について改革の基本方針等をとりまとめて、「行政改革の重要方針」として閣議決定をしています。その中に、7の「規制改革・民間開放の推進」及び8の「政策評価の改善・充実」の2点を盛り込んでいます。
 まず、規制については、先ほど申し上げたように、12月21日に3か年計画の改定についての答申がありまして、通常であれば3月に閣議決定で再改定をするわけですが、それに先立ち、規制の事前評価については、18年度中に所要の措置を講ずるという旨を12月24日に閣議決定したところです。
 次に、「政策評価の改善・充実」ですが、基本方針の改定と基本的には重複しますが、8のアを見ていただきますと、「施政方針演説等で示された内閣の重要政策を踏まえ、各府省の政策の体系化を図り、それらに応じた政策評価の重点化・効率化を推進する」と、改定基本方針よりも、内閣レベルの判断として、内閣重要政策を踏まえ、各府省政策の体系化を図った上で政策評価を充実するという、ある意味、一段高い決定をしています。これは、改定基本方針に書いてある内容ではありますが、委員長・分科会長談話の中に入っておりました内閣のリーダーシップを図るようにという趣旨も踏まえ、このような文言を盛り込んだところです。
 なお、この行政改革の重要方針については、今国会を行革国会と位置づけ、行政改革推進法案として提出する運びになっております。現在のところ、この政策評価については、内閣の重要政策を踏まえた各省の政策評価の重点化・効率化ということを規定すべく政府内で調整をしております。今のところ3月上旬、一応3月10日ぐらいを目途として閣議決定し、国会提出する予定です。
 以上が前回のこの分科会以降の動きです。
【横山評価監視官】  続きまして、認定関連活動について説明したいと思います。資料1−4「認定関連活動の取組状況について」という紙をお配りしております。
 「認定関連活動とは」ということですが、各府省が行った政策評価の内容について疑問が生じた場合に、各府省に事実関係を照会しまして、その上で疑問を解消し、その結果明らかになった問題の改善を図るものということであります。実施手順として、1)で書いてありますように、総務省は、各府省の政策評価について疑問があった場合には、各府省へ書面による照会を行うということになっております。矢印が2本ありまして、太線の矢印が2)に、点線の矢印が3)に行っています。太線の矢印の方の2)でありますが、事実関係の整理がついた場合には、その結果をこの分科会に報告をしまして公表するというものであります。今回は23件すべてがこの2)に該当しまして、評価をやり直す必要性等の認定までには至らないで終了したというものであります。
 3)の方が、事実関係の整理がつかないで、なお解明すべき事項が残っている場合には、分科会において調査審議をしていただくということになっておりますが、今回これに該当するものはございません。
 概況でありますが、本年度は23件(9府省)の事例がありました。昨年度は11件(7府省)でありました。そういった意味で、今年は倍増しております。疑問の類型として5つありまして、1つ目として、人口減少時代に入った等の社会経済の実態を反映していないと思われたものが4件ありました。2つ目として、あらかじめ設定した指標を用いて測定していないものが3件ありました。3つ目として、評価結果を導く論理に疑問を持ったものが9件、4つ目として政策の内容から判断して、より適切な別の指標で測定すべきというものが6件、5つ目としてデータの信頼性に疑問を持ったものが1件ありました。
 全部で23件ありますが、各類型ごとに1〜2件ずつ説明をさせていただきます。
 まず、1つ目の疑問の類型として、社会経済の実態を反映していないと思われたものということで、旭川市を事業主体とした厚生労働省の補助事業であります。忠別ダムという旭川市近郊のダムであります。昭和59年度に着工しまして、平成11年度に、評価法に基づかない再評価を行っております。今回問題にしたのは、平成17年6月に行われた厚生労働省の再評価であります。事業は旭川市等に水道を供給する事業で、平成18年度完成予定であります。総事業費は1,630億円で、うち92億円が水道にかかる部分であります。旭川市の人口は平成15年度段階では約36万人あります。これが評価においては平成65年度までには2万3,800人増加していくといった推計を行っております。総務省の指摘としましては、最近の人口動向を見ますと、最近5年間に3,348人、既に減少しています。さらに再評価が行われた3カ月後に、旭川市の基本構想が議決されていますが、これを見ますと、旭川市自体が、今後10年間に1万人減少するという見込みを示しています。さらに、再評価後に明らかになった平成16年度の人口が1年間で1,200人減少しています。また、厚生労働省所管の国立社会保障・人口問題研究所の推計を見ましても、今後25年間で6万6,200人減少します。平成42年には29万3,500人ということで、再評価の人口(同年に37万3,859人)と8万人の乖離が生ずると、そういった実態が分かったということであります。
 それで、ダムが必要となるラインが36万4,721人でありまして、このラインを超えないと、ダムの水道部分は必要がないという、そういった判断になります。厚生労働省からの回答としては、人口推計に適切でない部分があったので、旭川市に再推計を求めまして、再評価を行うということで、評価のやり直しということになりました。
 次は福岡県の伊良原ダムであります。これも厚生労働省の補助事業でありまして、福岡県の田川地区と京築地区という2つの地区の水道企業団が事業主体になっています。この伊良原ダムについては、まず田川地区の方は水質悪化等に伴う水源転換に対応するため、1日当たり2万7,000立法メートルの水を供給するというものであります。それから、京築地区の方では、新たに2つの町が加入するなど、団体が増えるということで、水利用の増加に対応するために、1日当たり9,500立法メートルの水を供給すると、そういった再評価になっております。
 総務省の指摘としましては、田川地区の場合には、給水量とその前提となる人口の推計と実績との間に乖離があります。また、地域の人口は減少傾向にあります。田川地区の給水量の推計の方は、ちょうど1日当たり5万立法メートルという水準で推移しているのですが、実績を見ますと、大体4万立法メートルになっています。さらに、本来、ダムというのは、平成22年度に完成予定なのですが、ダム完成以降の推計をきちんとやるべきであるのに、平成17年度までの推計しか行っていません。さらに、B/Cが4.04と、算出が過大であるということなのですが、これは既存の水道のコストと、新しくできる伊良原ダムの水道のコストを比較して4.04という値を出しているのですが、新しくできるダムの給水コストを算出する際に、国からの補助金、県からの補助金というものを算入していません。そういうことで過大にB/Cが出ているのではないかという指摘をしました。
 厚生労働省の回答でありますが、厚生労働省の方で再度調べたところ、平成22年度のダムが完成する段階では、給水量は、1日当たり4万8,000立法メートルということで、若干計画よりは下回るのですけど、必ずしも過大とは言えないということでした。また、この地域の気象状況を見ますと、年々降雨量が少なくなっているとのことですので、ただちに評価のやり直しまでは求めませんでした。また、B/Cについては、先ほど、補助金を算入していなかったということを申し上げましたが、再集計すると1.1になったということであります。
 総務省としては、給水量の推計と実績の乖離については、今後、注視していき、必要があれば改めて評価を求めることもあり得ると、厚生労働省に伝えております。
 京築地区の方は、1日当たり9,500立方メートルの給水を予定しているのですが、これは評価では水の需要が増加するためダムが必要であるという説明を行っていたのですが、実は一方で1日当たり7,120立法メートルの水の廃止が予定されています。これは、「需要増」という評価の際の説明と齟齬がありますので、本当のところはどうなんだと事実関係を確認したところ、実際は、伊良原ダムからの給水量9,500立法メートルのうち7,120立法メートルについては、既存の井戸が使えなくなってしまったので、その水質転換のために必要であるということでありました。そういったことで、評価の際の検討内容に問題があったと思われるのですが、評価のやり直しまでは求めませんでした。
 それから、2つ目の疑問の類型として、あらかじめ設定した指標を用いて測定していないものということで、中小企業のIT化支援の例を御説明します。小規模事業者向けにインターネットを通じて電子商取引の研修を行うという、e-ラーニングであります。これは全国中小企業団体中央会に補助を行っている事業であります。事前評価の段階では、年間10万人、2年間で20万人に研修機会を与えるということを目標として設定しておりました。事後評価を見ると、この目標の達成度合いを明らかにせずに中小企業におけるIT化が着実に進展と評価しておりました。
 総務省としては、年間10万人、2年間で20万人の目標はどうなったのか、仮に目標の達成度合いが低調な場合には、その原因も分析すべきではないかということで経済産業省に指摘したところ、実際は、受講者は2年間で8,500人と、達成率が4.3%にとどまっており、目標を大きく下回っていたということでした。また、その原因としては、平成14年度当時は電子商取引の実施率が低かったということ、それからセキュリティーなど、かなりレベルが高いものがあったと。また、それぞれの業種ごとに細かいニーズに対応できなかったと。また、受講料が2万円と高額だったということなどを挙げております。今後は、目標の達成度合いを踏まえてきちんと評価を行うという回答を得ました。総務省としては、来年度以降、同様の問題がないか確認するということにしております。
 それから、3つ目の疑問の類型として、評価の結果を導く論理に疑問を持ったものというものです。これは、総務省の実績評価「社会経済情勢の変化等に対応した行政改革の推進」の例で御説明します。公益法人については、本来の事業と付随的に営利事業等もやっていまして、その本来事業の規模は、可能な限り総支出額の2分の1以上であるようにするという指導監督基準の閣議決定がなされています。総務省は、こういった法人を毎年度100%とするということを目標として定めております。16年度の実績は42.9%ということだったのですが、必要性及び有効性が認められるという評価をしていました。
 我々としては、その42.9%というのは、目標を果たして達成していると言えるのでしょうかということを確認したところ、総務省の回答としては、「達成率が十分とはいえないため、引き続き所管官庁における指導監督を特に推進する必要がある」と、評価書を修正するということでありました。それから、目標の毎年度100%というものについても、そもそも実現可能性から見るとどうかということなので、見直しを検討するとのことです。
 次に、4つ目の疑問の類型として、「政策評価の内容から判断して、より適切な別の指標で測定すべきであるのに、測定していない」という類型です。まず、「私立学校施設高度化推進利子助成事業」という、文部科学省の事業評価の例を御説明します。これは、地震などに対応するために、老朽校舎を改築する際の利子助成を行うという補助事業であります。文部科学省の評価では、利子助成の交付額は63億6,300万円であったということを効果として、想定どおりの効果が得られたという評価をしています。総務省としては、利子助成の交付額そのものを効果として評価するのは、いかがか。これは実際にどれだけの校舎の改築が進んだかを把握して評価すべきではないかということで、文部科学省に伝えました。文部科学省からは、老朽校舎の改善状況の調査を行っており、その結果を今後評価に反映させていくという回答を得ています。
 それから、2つ目の例でありますが、「適正な臓器移植の推進等を図る」という、厚生労働省の実績評価の例を御説明します。これは臓器移植のカードやシールの配布を通じて臓器移植の普及を推進するという施策であります。厚生労働省の評価を見ますと、カード・シールの累積配布枚数が前年度より増加しているということで、一定の効果があるという評価をしています。実際には、15年度と16年度のそれぞれの配布枚数を比較すると、減少しています。したがって、総務省の指摘としては、累積枚数が増えているからといって一定の効果があったと評価するのはどうなのだろうかということです。それから、実は、内閣府で臓器移植に関する世論調査を隔年で行っていまして、その結果を見ると、9割の人がこうしたカードを持っていないという、そういった調査も行われています。このため、「カードをたくさん配ったから良かった」という評価をするのではなく、カードを配った効果を踏まえた評価を行うべきであり、そのためにこうした調査も踏まえて評価をすべきではないかと指摘しました。厚生労働省からの回答では、16年度末で既に1億枚配布している。この1億枚というのは意思表示が有効とされている15歳以上の国民にちょうど行き渡る数に達しているということで、累積枚数で評価したのだということでした。今後は累積枚数による分析であるということを明記するそうです。また、世論調査の結果についても評価に活用するという回答を得ました。
 最後に、5つ目の疑問の類型として、「評価に使われているデータの信頼性に疑問をもったもの」というもので、これはヨットやモーターボートなど、プレジャーボートが放置されているという問題がありますが、この適正な係留・保管を進めるという、そういった施策であります。国土交通省の評価では、プレジャーボートの適正な係留・保管率を平成18年度までに55%とすることを目標としていました。評価書を見ると、8年度は45%、14年度は44%ということで、ほぼ横ばいの状況という評価がなされています。
 総務省では、国土交通省の評価データの出典であり国土交通省が過去に公表した「プレジャーボート全国実態調査」を見てみましたところ、平成8年度の数字が47%であるとされています。そうしますと、「ほぼ横ばい」と果たして評価できるのかという、そういった指摘をしたところであります。
 国土交通省の回答でありますが、評価書では調査精度を考慮してデータを5%刻みで使用しています。8年度はそういった意味で47を5%刻みで45に丸めたということでした。総務省は、それなら、評価で14年度の数値が44%となっており、5%刻みになっていない点についてはどうなのかと聞いたところ、国土交通省は、44と書いたのは、本来45%に丸めるべきであったもので、これは間違いであったということでした。あまり見られないやり方だったのですけれども、これによって評価しても「ほぼ横ばい」という評価には変更はありませんでした。しかし、総務省としては、本来データは調査結果をそのまま掲載した上で、分析の際に精度を勘案して評価すればいいのであって、やり方としては特殊なものであり、恣意的な処理をしているように見えかねないので、少なくともこのような処理をしていることは評価書上で明らかにすべきと国土交通省に伝えたところ、今後は評価書に明記するとの回答を得ています。
 以上が認定関連活動でございます。
 それから、現在まだ取りまとめ中ですが、政策評価の点検結果のうち、審査の概要について御説明したいと思います。
 まず、実績評価方式による評価でありますが、実績評価方式というものは、目標を設定しまして、これに対する実績を測定するというやり方であります。まず、目標自体が数値化等によりきちんと特定されているかどうかという割合を点検したところ、17年度は55%ということで、ちょっと頭打ちの状況、横ばいの状況になっているという、そういった実態が明らかになりました。今後の課題として、目標の達成水準の数値化等による特定が必要であるという認識を示しました。
 それから、事業評価方式による評価でありますが、これ自体は一般の政策について、任意の取組として各府省にやっていただいているというものであります。今年度の場合には、事前評価については17府省中12府省が自発的に実施しました。昨年の9府省に比べると3府省増加しています。事後評価については17府省中7府省が積極的に実施しているということで、これは昨年と横ばいということであります。今後の課題として、こうした自発的な取組を今後も推進していただきたいというものであります。
 なお、実績評価方式による評価を見ますと、17府省中13府省がやっております。内閣府など12府省において実績評価方式が中心的な評価方式ということで、実績評価方式というのが各府省における最も主流なやり方になっています。宮内庁は、今回はどのやり方もやっていない、実績はありません。防衛庁と外務省の2省庁は、総合評価方式が主流のやり方になっています。経済産業省はというと、事業評価方式、事前と事後を組み合わせた事業評価が主流なやり方になっています。評価方式は、それぞれ各府省によって若干ばらつきがあるという状況になっています。
 実績評価方式による評価について達成すべき目標が数値化等により特定されているかということで、100%達成、50%以上、50%未満という3つの区分に分けております。100%達成というのは、防衛庁、農林水産省、国土交通省であります。防衛庁の場合には、試行的に1件やって、その1件の目標が数値化等されているということでありますので、農林水産省と国土交通省とは、若干意味合いが違っています。それから、50%以上の府省が、公正取引委員会等5府省であります。50%未満の府省が、内閣府等5府省ということになっております。
 点検結果については、来月までに報告書をとりまとめ、各府省に通知・公表する予定でおります。昨年までは、序論、評価方式別・分野別の状況、評価方式横断的にみた状況というところで本文は終わっていまして、枚数は55ページでありました。今年は「各府省の取組状況と今後の課題」というものを書いております。大体、1府省当たり9ページ書いておりまして、全体としまして、今年度は229ページということで、かなり大部のものになる予定です。各府省ごとに工夫が見られる点や、工夫が必要な点、それから今後の課題というものを示しております。
 例えば、厚生労働省の評価の枠組みと実施状況を御説明します。施策目標名「医療の質を向上させるために医療法に基づく基準を遵守すること」等108件の評価のうち、具体的な達成水準が数値化等により特定されているものは24件(22.2%)であると、こういう形で現状を指摘しております。
 また、「今後の課題」として、「厚生労働省は、国民生活の安定と向上を図ることを目的として、国民の生活に密着した政策を行っていることから、目標を明らかにして政策を行うことがより一層求められている。このため、目標に関し達成しようとする水準について、数値化等により具体的に特定することが必要である」と指摘しております。
 一方、良い取組として、厚生労働省では、事業評価を行う際には、事後評価の時期を明示しています。来年度から事業開始後原則3年経過後にこうした事後評価を行っていきます。このように、事前評価と事後評価をセットで行うという推奨的な取組について示しております。
 こうしたことで、各府省ごとにさまざまな問題点、いい点も含めまして、指摘しようと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。
【金本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。宇賀先生、どうぞ。
【宇賀臨時委員】  政策評価法の附則に基づく見直しも一段落して、これから政策評価の新時代を迎えるという時期だと思います。これから特に重要になってくるのは、政策評価の量的な拡大ということよりも、むしろ質的な充実の方ではないかと思います。その意味で今日説明されました認定関連活動というのは非常に重要な意味を持ってくると思います。行政評価の中で認定関連活動に振り向けることのできる資源にはもちろん限界があると思いますが、この政策評価の新時代には、特に認定関連活動に是非力を注いでいただきたいと、そのように思います。
【金本分科会長】  よろしくお願いいたします。高木委員、どうぞ。
【高木臨時委員】  宇賀先生にきれいにまとめていただいたのですが、私の方から幾つか確認させていただきたいと思うのですが、この認定関連活動に関しましては、網羅的、悉皆的な形でおやりになられているのでしょうか。と申しますのも、私も府省の方の評価書をそれほど読んでおるわけではないのですが、いろいろほかのところなどから推測するところですと、果たしてこれだけなのかなという疑問を大きく持つというのが正直なところでして、もっともっと疑問になるというような事項というのはあったのではないか。その一部がここに現されているだけなのではないかという感じがいたしますけれども、その辺の区分のされ方についてお教えいただければというのが一つです。
 それから、個別の話に関してなのですが、先ほど御説明いただいた忠別ダムの話などは、問題性というのはよく理解できるのですが、一方、伊良原ダムになりますと、実績と推計との数値を見ますと、私などは、それほど乖離していないのではないかなという感じも受けないわけではない。ダムの専門家では全くありませんので、どの辺が適正水準かというところが分からないのですが、素人考えでは、これぐらいの乖離具合だったらよろしいのかなというような感じがしないでもないんですね。
 それから、IT化支援云々というところでございますけれども、これなどに関しましては、もう少し政策の遂行内容について、具体的な事業内容についていかがだったのかという話があってもよかったのではないかと。要は、政策評価の出てきたところについて批判的な観点で認定関連活動を行うということにとどまらず、どのように施策を進めていけばよろしかったのかという議論がされていてもよろしいのではないかと思うんですね。
 私は、この辺の数字を見ますと分かるような気がするんですけれども。といいますのも、我が国はパソコンに対する一般国民の親和度といいますか、慣れの度合いというのは、一昨年のデータを見る限りですと、かなり低いということが指摘できるようです。ブロードバンドなどの基幹的な部分だけは世界のトップレベルにあると言えるようですが、使っているレベルになると、先進国の中で極めて低いという事実が指摘できるようでして、そういう中でこういった施策を行っていくということが、より具体的な方法として慎重な検討ももしかしたら必要だったのではないか。そういったことがこういうふうな結果を生んでいるのではないかというふうにも思うのですが、それは一つの疑問ということだけで結構ですけれども、いずれにしても、認定関連活動をやっている場合に、具体的にどのような見方をすればよかったのかというふうなことから更に掘り下げたようなところをおやりになられると、各府省における今後の政策評価活動というのも質的に見て、深度を持ったものにより進んでいくのではないかと思いますので、ちょっと感じたところを意見として申し上げさせていただきました。
【横山評価監視官】  ありがとうございます。
 まず、認定関連活動の対象でありますが、政策評価、全部で昨年ですと1万1,000件ですけれども、今年は9,500件、これを一応すべて対象にしております。しかし、それらをすべて内容に立ち入って点検することは不可能なので、まず評価書に簡単に目を通して、その際に疑問に思ったものなどを選んでいきまして、それが大体100件ほどですが、それをさらに内部で検討しまして、問題があったとしてその問題を修正しても評価結果に影響を与えそうもないものや、我々の単なる誤解だったものなどを除外していった結果が23件ということであります。そういう意味で、対象はどうなるかというと、認定関連活動の対象は政策評価のすべてを対象にしているということなのですが、実際には存在する全ての問題を内容に至るまで網羅的に把握できるやり方にはなっていません。これは、宇賀先生からも御指摘があったのですが、実際、限られた資源で、実施形式の審査の活動と合せて10人程度の人間で全部の政策評価を見ているという体制的なこともありまして、問題があるのはこれだけかと言われると、必ずしもそうではないと思います。我々としては、点検の手法を少しずつ毎年積み上げていっている段階であるということで、そういった意味で、これだけが問題があったものかと言われると、必ずしもそうではありません。
 それから、もう一つは、形式的におかしいものというのがやっぱり何件かありまして、これ自体は認定関連活動とは別に、具体的な事例として、報告書の中に書いております。
 例えば、行政活動そのもので実際に政策が達成されているかどうかを評価しており、それ自体はちょっとどうなんでしょうかというような事例を幾つか挙げさせていただいています。
 そういった意味で、もう少し我々として努力をすれば、おかしな例というのはつかまると考えていますが、対象としては一応すべて見ているということであります。
 それから、2つ目の伊良原ダムでありますが、実は、ちょっと細かい点なのですが、田川地区では、伊良原ダムで対応する給水量と既存水源で対応する給水量というのがありまして、伊良原ダムで対応する給水量で見ると、計画と実績の乖離は、大体20%であります。しかし、水道の計画はある程度の余裕をもって計画を作ることはありうることで一概に乖離が大きいと決め付けることはできません。その20%を大きいと見るか、小さいと見るかというところなんですけれども、仮に20%の乖離であるならば、例えば20%、水道の部分の貯水量を縮小する、または関連事業を縮小するということもありうるのではないのかということで確認したのですが、実際にこの地域というのが、雨が年々少なくなっているという状況があって、2割ぐらいの余裕はどうしても必要だということでしたので、我々としてはそこまでは否定はできませんと。そもそも、この地域は既に人口が減少を始めておりまして、それを踏まえるとこの乖離がさらに拡大するのではないかという疑問もあり、そういったことも含めて、推計を行っていないということはいかがなものかという話でありました。
 それから、3つ目のIT化支援の話ですが、確かにこれは御指摘のとおりということで、目標自体が全く達成されていないというものでありまして、我々自体も単に政策評価がきちんと行われていないということにとどまらず、なぜこうなったのかということは考えるべきであるという指摘はしていますが、ダイレクトに政策の在り方の指摘にまで入っていくべきかという点について若干の躊躇があります。政策評価は各府省に自らやってもらうのが原則ですので、今回は、例えばニーズが低かったなどの原因を自らしっかり分析するように誘導しておりまして、その結果を踏まえれば今後の政策が適切に行われるだろうということで終えています。ダイレクトに政策の問題点の指摘を行うのは、行政評価・監視の方が適切であると考えています。
 以上でございます。
【金本分科会長】  田辺委員、どうぞ。
【田辺臨時委員】  私も認定関連活動に関する御質問でございます。初めの2件のダムに関して、いわゆる公共事業の再評価みたいなところにかなり着目なされたという点では、こういった一連の活動は、おそらく今後もまた問題事例があろうかと思いますので、そこに何らかの突破口を開くという意味では非常に評価したいと思いますし、かつこの種の活動というのを適切に広げていっていただければということがございます。
 ただ、2点ほど、若干問題かなと思うところがございます。一つは、例えば旭川市の例でございますと、実際に事業の再評価をやっているところが旭川市の事業の再評価委員会というところでございます。おそらく総務省側の認定関連活動としては、厚生労働省の補助金の配り方が悪いという形の介入の仕方なのだろうと思うのですけれども、実際上、別に厚生労働省が事業自体の評価をやっているわけではなくて、事業自身は旭川市の方が、地方公共団体がやっているわけでありますので、これはある意味では国と地方公共団体との仕分けをどう考えるのか、特に地方自治体がとにかくやるんだと言っているときに、国の側はそれに対してやめろと──やめろとは言っていないのだろうとは思うのですけれども、ストップをかけることになりますので、特に地方自治法改正以降の国と地方の関係を考えますと、割と重要な問題を含んでいるような気がしますので、そこのところの考え方の整理というのは、今後どう考えても増えると思いますので、ある程度お考えいただければとのことが1点でございます。
 それから、2点目はタイミングの問題です。これは1984年度に出発して、完成が平成18年度ですから2006年度ということで、再評価をやっている。具体的にこれがどこまで進んでいるのか、事業自体が進んでいるのか分かりませんけれども、ただ、このタイミングで問題ありますねと言ったところで、今年にはもう完成しているという話ですので、どうするのというところもあろうかと思われます。要するに、評価は間違っていたけれども事業は完了したということでいいのかなと。そのタイミングと、あと、有り体に申し上げると、こちらの方の再評価にかかわる資源の割り振りみたいなところも、実効性をねらうとするのであるならば、若干お考えいただきたいということです。
 以上2点です。
【横山評価監視官】  いただいた御指摘については、まず、確かにこれは旭川市が事業主体でありまして、事業主体自体は地方公共団体ですが、厚生労働省が旭川市に対して補助金を出しており、その補助金を出す際の根拠としているというところに着目して、評価が適切かを見させてもらっており、事業を行うという旭川市の判断に対して指摘を行っているものではありません。
 実態を申し上げますと、厚生労働省は評価のやり方をマニュアルである程度示していますが、旭川市の方がかなり主体的にこうした再評価を行っていまして、厚生労働省はというと、その再評価を追認しているという、そういう形になっていますので、厚生労働省としてもきちんと見るべきではないのかという、そういう問題意識はあります。
 それから、実際にこのタイミングでということで、確かに平成18年度に、つまり今年完成してしまうのでダム本体にはほとんど影響は与えないと思いますけれども、このダムの活用方針とそれを前提とした意思決定に影響を与える可能性はあります。例えば、既存の水源がありますけれども、それとの間でどういう調整を行い、本事業をどのように活用していくのか、例えば、ダムは確かに作ったのですけど、じゃあ、それを活用するための給水管を引く必要があるのかどうかという、そういう点で見直しにつながる可能性はあると思います。
 ただ、おっしゃるように、このタイミングというのは確かに遅いのではないかというのが実際あります。実際にそういう問題意識を持った委員の方もいらっしゃって、過去にやっているかというと、平成11年度に法律に基づかない再評価を行っていまして、この平成11年度のときには、継続して行うのが適当という判断を厚生労働省ではしております。
 忠別ダムの案件がタイムリーさに欠けているというのは認識をしておりまして、内容チェックを行う案件を選択する際には、そのような要素は考慮してまいりたいと思っております。
【金本分科会長】  よろしいでしょうか。再評価の国の仕組みは甚だ硬直的で、5年とか10年というときに再評価をやるということになっていて、ほとんど意味のないタイミングでやるということが多いというのが一番大きな問題かなという気がします。
 あと、もう一つは、まだ全政府的にきちんとしているかどうかというのはよく分かりませんが、国土交通省を見ている限り、このような再評価については、その時点でもう既にコストがサンクしているものがたくさんございますので、これを今やめるのか、継続して作るのかという、残事業分に関する評価というものを意思決定のためにやると。あと、同時に、過去をさかのぼった全体事業の評価もやって、それはある種、過去の意思決定の説明責任といった、そんな感じのものを2つやるということになっております。この辺がどうなっているか分かりませんが、そういうものを含んでお考えいただきたいと思います。
 ほかに何かございますでしょうか。田中委員、どうぞ。
【田中専門委員】  お話の中で、認定関連活動というのが大変な作業だなと感じるのですけれども、実際にそういうシステムがとられているのかどうか分からないのですけれども、こういうことであれば、例えばまずダブルチェックをするというようなことがどこかにあるといいなと思うんですね。それから、その認定が必要と思った段階で、セカンドオピニオンみたいなのが出るといいなと。一般的な話の中では、やはりダブルチェック、セカンドオピニオンというのがこれからどこかで必要になってくるのではないかと感じました。
【横山評価監視官】  おっしゃる御趣旨はよく理解できます。先ほど若干申し上げましたが、体制的に限りがあるという問題があるのと、政策ごとに評価の考え方も違いますので、評価の仕組みを理解するのに手間がかかるという問題があります。そこは、我々の勉強不足もあるかもしれませんが、直ちに手を広げるのは簡単ではありません。そういったことで、先生方をはじめ、いろいろ御知見をいただければ、もっと公共事業を含めて広範な点検ができるのではないかと思っております。
【金本分科会長】  ほかに何かございますでしょうか。谷藤委員、どうぞ。
【谷藤臨時委員】  私は、政策評価の点検結果のうち、審査の方について、1つ質問させていただきます。先ほどから出ておりますように、量から質と言われるようなもの、政策評価の質と言われるもの、構造化ということを目指さなければいけないと思いまして、今回の政策評価の点検結果というのは、その意味では一つは進歩かなと思います。各府省別に今後の課題を提示したというようなことですね。
 しかし、そこでもう一つありますことは、全府省で採用が望ましいような評価方式だとか事例と言われるようなものを、やはり共有していくことが必要であろうと私は考えるわけです。このように府省別で議論してしまいますと、各府省が自分のところだけ読んで「ああ、ここを評価して終わった」というようなことであって、望ましい評価方式だとか、例えば先ほどの厚生労働省の中でこういうものがあったというようなことが、ほかのところで共有されてこないのだろうと思うのです。
 その意味では、これを踏まえて、この中に盛り込むことが必要かどうかは分かりませんけれども、望ましい事例として、評価方式としてさまざまなものをピックアップして、それを集約していくというような作業も必要なのではないかと考えます。それをこの中に盛り込むか、また、別の形式として出して、そして共有し合うというようなこと。それが最終的には各府省が参考として活用するということにつながっていくのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
【横山評価監視官】  ありがとうございます。そのとおりだと思っております。実は、新村先生からも各府省のベストプラクティスというものをつかんで、それを活用したらどうかという御示唆を先日いただいていまして、この府省のこういうところがいいという、先進的な取組、推奨できる取組も紹介していきたいと思っております。
 例えば、広報活動というのは、各府省共通でやっていますが、省庁ごとに横割りで比較しました。例えば、多くの評価が、広報誌の配布数や説明会の開催回数で、すなわちアウトプットで測られています。それに対して、例えば、国債の広報については、国民にどれだけ国債について認知度があるかという、そういうアンケート調査で測られています。それはいわばアウトカムで測っているというところで、アウトプットかアウトカムかということで差が出ているということです。
 今年は、各府省共通事項で横割りで見ていって、どこがよくて、そのよいところを真似たらどうですかという、そういうまとめ方もしております。以上です。
【金本分科会長】  時間も大分超過しておりますが、どうぞ。
【寺尾委員】 日本語の問題なのですが、これは以前も申し上げたのですけれども、認定関連活動という言葉ですが、普通の人が聞いたら何を言っているのか分からないと思うんですね。何をどう認定するのかと。認定関連活動とはという、一応定義は書いておられるのですが、そもそも認定という言葉が出てきたのは、どこか条文とか施行令とかそこから来ているのでしょうか。
【横山評価監視官】  認定自体は、評価法第12条2項に規定されています。「行政機関の政策評価の実施状況を踏まえ」とあって、「当該行政機関により改めて政策評価が行われる必要がある場合」。それから、「社会経済情勢の変化等に的確に対応するために当該行政機関により政策評価が行われる場合」において「当該行政機関によりその実施が確保されないと認めるとき」と続くのですが、この「認める」というところです。
【寺尾委員】  そうすると、「認めるとき」というのも幾つかの種類があるわけですね。
【横山評価監視官】  はい。このほか、基本方針、これは閣議決定したものでありますが、この中に、III3−2−(3)−イ−2)というところですね、ここに「必要性の認定」という言葉があります。法律では「認める」と書いていまして、基本方針では「認定」という言葉を使っております。
 実際に先生がおっしゃられるとおり、私自身も認定という言葉を初めて聞いたときには、具体的にどういうものかイメージできなかったというところはありましたが、こういう閣議決定や法律に基づく用語です。なお、分かりにくいということは十分に認識しておりまして、一般の方々に説明するときには、いつも評価の内容に問題があるものと、そういう説明の仕方をしていまして、認定とか認定関連活動という説明の仕方はあまりしないようにしています。
【寺尾委員】  この「認めるとき」なんですけれども、第12条2項で2つ「認めるとき」にかかる場合があるように私には読めるのですが。総務省は、行政機関の政策評価の実施状況を踏まえ、「当該行政機関により改めて政策評価が行われる必要がある場合」若しくは「社会経済情勢の変化等に的確に対応するために当該行政機関による政策評価が行われる必要がある場合」と、2つの「場合」が書いてありますよね。それは区別されているのですか。
【渡会総務課長】  前者の方は、いったんやった評価をやり直す必要がある場合、後者の方は、そもそも評価をやっていないけどやらないといけないのではないのかという場合の違いがあります。
【金本分科会長】  その2つの場合において、当該行政機関がちゃんとやらないと認定したら出て行きますよという仕組みになっていて、出ていくかどうかを認定するための活動をやっているというのが基本的な姿ですね。
【寺尾委員】  出ていくかどうかの認定をするというのは。
【金本分科会長】  ほかの省に対して「みなさん、しっかりやって下さい」と言って、「やりません」と言われたら、「私たちが代わりにやります」と、そういう話ですね。
【寺尾委員】  そうすると、向こうは認められたら困るから、実際には対応してくるというのを関連活動と呼んでおられるわけですね。
【横山評価監視官】  おっしゃるとおりです。
【寺尾委員】  そうすると、何を認定すると読んだらいいんでしょうね。例えば、法律だと事実認定とか、何とか認定といいますよね。だから、認定すると何かがあることを認める、何かを認めるわけですよね。その何かというのは、やらなければいけないのにやっていないことを認めるということなのですか。一言で言うと。
【横山評価監視官】  はい。再評価の必要性を認定するということになります。
【金本分科会長】  やり直しが必要だということを認定する。
【横山評価監視官】  それで、認定というのはまさに分科会にかけた上で総務省が認定するということになるんですけれども、それより直前の部分で終わったものについては、関連活動ということで、認定そのものではない、認定関連活動という、その一歩手前の段階でとどまったものという、そういう整理にしています。
【寺尾委員】  何か新しい言葉を考えた方がいいような気がいたしますけど、すみません、もうこれ以上お時間を取ってもいけないので。
【金本分科会長】  大分時間も過ぎておりますので、次に進ませていただきます。今、委員の方々から言われたこと、念のために、事務局の方にうまく伝わっていないかもしれないので。基本的にいろいろ頑張っておられるのですが、9,000件もあるものを見て、個別の細かいところをあげつらっているという感じで、これは、どうも今お聞きしていますと、認定関連活動の性格によってしようがない面があるのだと思うのですが、これにどのぐらいの資源を割くかということは、もう少し考えておく必要があるのかなという気がいたします。本来、公共事業については各地方公共団体のところで委員会ができて、いろいろ議論しているはずであります。その辺について、どこまで踏み込んで頑張るかというのは、資源配分として若干考える必要があって、ぽつぽつと変なことはあるのですが、それほど数としては多くないのかなという気がします。
 それより重要なのは、こういう分野ごとにいろいろな評価の手法を作って、マニュアルを作ってやっておりますが、そこのところで全体にかさ上げされていたり、というような話が多いのかなという気がします。B/Cの表が毎年出ますけど、あれを見ますと、以前、たたかれていた河川とか林野とか港湾とかが非常にB/Cが高いんですね。この辺のカラクリ、何かあるかもしれないと、そういったところの方が重要で、これはこっち側ではなくて、多分、統一性確保評価のような、もう少し踏み込む、公共事業としていろいろな府省で、分野は違うのですが、基本的に同じような考え方でやっているようなところが、横断的に見て数字の意味について問題がないかといった類のことができるのかなという気がいたします。
【新村分科会長代理】  いいですか。ちょっと確認なんですけど、義務付け3分野については、今回、報道資料には何も書かないということでよろしいんですか。そちらは10億以上とか、非常に大きなものが多いわけですよね。それについてはもうすべて満足のいく評価結果であったというのか、それとも今、金本先生がおっしゃったように、まだそこまでやっていないというのかということを。
【横山評価監視官】  報道資料の方はまだ作っていない段階でありまして、公共事業の方の問題点としては、一つは外部検証可能性が必要ではないのかと。実際に評価書を見ると、短冊だけでB/Cと事業名と予算額しか書かれていないので、それをどういう根拠でやったのかという、例えば国土交通省ですと、ホームページを見ていけば根拠となるデータが分かるものもあるのですけれども、例えば厚生労働省や環境省では、ホームページで根拠となるデータが見られないので、もう少し資料を出していただきたいとか、外部検証可能性の確保にさらに努めていただきたいと、そういう点も触れようとは思っています。
【新村分科会長代理】  今回はそれ以外のものについて御報告をいただいたという理解でいいんですね。すみません。
【金本分科会長】  それでは、時間も大分押していますので、もし何もなければ、次の議題に入らせていただきたいのですが。
【高橋臨時委員】  すみません。分科会長の方から、先ほど、人的資源には限りがあるのでどこまでやるかという話がありましたので、1点だけ質問させていただきたいのですが、先ほどの高木委員からの御質問に対して、9,500件すべてを対象にしていて、そこから100件程度目をつけて、それから検討して23件というふうなお話があったのですが、これはそのように、例えば1%ぐらい見つけて、その中から4分の1ぐらいできるというふうに、つまり総務省の方の人的・時間的限界から、数を絞って、まさに数値目標を持ってやっていらっしゃるのか、その辺に関して教えていただきたいと思いました。
 と申しますのは、先ほどの事例の中でも、冒頭の忠別ダムというのは、まさにBSE問題の背骨付き牛みたいなもので、調べればすぐ分かるようなものを出してきたということがあるわけで、そこら辺まで目を光らせていますよということを言う必要があって、細かい事例を拾っているのかというような疑問を持ちました。
 それから、事例の中で、評価方法をまだきちんと理解していないようなところもあるのかなという事例が幾つか挙がっていたわけなのですけれども、その辺の現在の認定関連活動に関しての目的に関して、もう一度確認をさせていただけたらと思います。
【横山評価監視官】  おっしゃるように、実際、1万件を見る中で、やはり濃淡をつけざるを得ないところがありまして、全部は見られないけれども疑わしいところは調べて、おかしな点は指摘することによって評価全体の改善を図ろうという面はあります。ただし、まだ我々としても見方が分からない分野というのもありまして、そういう意味では具体的に毎年何件、認定関連活動でつかまえるかという、そういう数値目標は特に立てておりません。
 ただ、おっしゃるとおり、できるだけ充実させたいということは考えていまして、ただ、我々の限られたマンパワーだけではできないので、例えば、地方支分部局に情報収集の協力をしてもらうということも考えていますし、そういう意味で今後充実を図っていきたいと考えています。
 それから、確かに評価のやり方自体がまだ徹底していないというところも御指摘のとおりあると思います。まだ評価に慣れていないという面と、いい評価結果を導き出したいということが前提としてあって、指標を変えてしまったり、目標の達成状況を明らかにしなかったりと、その両方があるのかもしれないという気はしています。
【金本分科会長】  よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に入ります。「平成18年度行政評価等プログラムにおける政策評価テーマ等について」ということで、渡会課長からお願いいたします。
【渡会総務課長】  渡会でございます。資料2をご覧ください。表紙を1枚おめくりいただきますと、「行政評価局の役割と取組方針」と題した紙がございます。政策評価、行政評価・監視、独立行政法人評価、行政相談という4本柱の仕事が書かれております。行政評価等プログラムは、昨年度もご審議いただきましたけれども、今後3年間の当局の実施方針を示したものでございまして、当分科会でのご審議を踏まえまして、4月に公表する予定で今、作業をしているところでございます。
 本日は、このうち、今後3年間で取り組む統一性・総合性確保評価の個別テーマを中心としてご検討いただければと思っております。プログラムは昨年度ご審議いただきましたので、イメージがあると思いますけれども、その骨格が2ページ目から書いてあります。
 まず、「I1 政策評価」の1で「政策評価制度の推進に関する業務」というところでございます。この中身は先ほど岩田がご説明いたしましたとおり、政策評価・独立行政法人評価委員会からの答申をいただきまして、昨年12月に基本方針を改定いたしましたので、それを踏まえて各府省が新しい仕組みの下で政策評価を展開していけるように、私どもも取り組んでいくということが書いてございます。
 その次が2「評価専担組織としての業務」で、分かりづらい表現かもしれませんが、(1)が統一性又は総合性を確保するための評価であり、複数の府省にまたがる政策について私どもが直接評価を行うということで、評価のテーマを重点的、計画的に3年分並べてプログラムで公表することになっております。
 それから、次のページ、3ページの(2)でございますけれども、客観性を担保するための評価活動、これは横山が先ほどご説明いたしました審査活動、認定関連活動でございます。
 3ページの下、「II2 行政評価・監視」でございます。国民の安全・安心の確保、構造改革の推進という観点に従い実施していくものです。
 4ページ目、「III3 独立行政法人評価」でございます。今ごらんいただいている資料には定性的なことしか書いていませんけれども、独立行政法人評価の中でも、特殊法人から移行した、いわゆる移行独法の中期目標を終了するものがたくさんこれから出てきます。前倒しで見直す必要があるとか、あるいは融資業務をやっている法人についても前倒しで見るというような課題を記述していく予定でございます。
 以上がアウトラインでございます。
 当分科会でご審議いただくものが、統一性・総合性確保評価でございます。統一性・総合性確保評価につきましては、少年の非行対策、リサイクル対策、PFI事業は引き続き実施するものでございます。新しく来年度取り組むものが自然再生の推進、世界最先端の「低公害車」社会の構築、配偶者からの暴力の防止等でございます。
 19・20年度に取り組むものとしては、外国人が快適に観光できる環境の整備、若年・長期失業者の就業拡大があり、これらは現行プログラムに載っております。新たに今回入れましたのが、科学技術駆動型の地域経済発展、コンテンツビジネスの振興、ITを活用した医療の利便性向上の3つでございます。
 18年度の3つのうちの自然再生の推進と配偶者からの暴力の防止等につきましては、法の見直し時期が平成20年度ごろにやってきますので、その見直しに反映できるように18年度に取り組みたいと考えております。なお、低公害車ほか5本は政策群でございます。
 資料2の8ページをごらんいただきたいと思います。政策群に関する閣議決定を引用しておりまして、基本方針2004において、「執行段階及び事後において厳格な検証を府省横断的に行い」とあり、その次の行、「その際、政策評価や予算執行調査を活用する」とうたわれております。政策群は複数府省にまたがる政策ですので、各府省単独では評価できない。府省横断的に評価するのですが、そのとき政策評価を活用するということになっておりまして、府省横断的に評価をするならば、私どもがやらざるを得ないということで、政策群についてこれから評価活動に取り組んでいきたいということでございます。
 政策群は今まで18本出ておりますが、評価する上では、当該政策の政策効果が一定程度、効果発現していなければ評価もできません。この18本のうちから、そろそろ評価できる程度に効果の発現状況が認められるものから順次取り組んでいきたいと思っております。
 以上が総論でございます。個別の中身につきまして、何かございましたらご説明いたします。以上で説明を終わります。
【金本分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明について、ご質問、ご意見をお願いいたします。
【翁臨時委員】  ITを活用した医療の利便性向上に関して、医療のこの問題というのは、やはり財政構造改革の一つのキーだと思います。特に医療費をどのように中長期的に抑制していくかということに関連して、このITの活用というのは極めて重要な意味を持つと思いますので、安全な社会の実現という観点のみならず、どのようにITを活用して、活性化するか、そして医療費の中長期的なコストの縮減に寄与するようにしていくかという観点も是非重要な論点として考えていただきたいと思っております。
 以上です。
【金本分科会長】  ご説明があれば、どうぞ。
【松本政策評価審議室長】  非常に重要なご指摘と思っておりますので、今後の評価設計に当たりましては、その視点を十分踏まえたいと思っております。政策評価の場合は、現在掲げられている目標の達成状況をベースにその政策の必要性なり有効性、効率性の視点は必須のものと思っており、効率性の視点に十分配慮するようにというご指摘だと思っておりますので、適切に対応してまいりたいと思っております。
【金本分科会長】  そのほかございますでしょうか。田辺委員、どうぞ。
【田辺臨時委員】  1点目は非常に総論的な話ですけれども、いわゆる内閣府が取りまとめている政策群に関するテーマというのは、政府が重点的に行うこと、複数の府省が絡んでくること、評価をきちんとやりなさいということが閣議決定されているので、非常に取り組みやすいテーマであることは間違いのないところでございます。ただ、それだけに乗っかっていいのかという感じが若干しております。
 ありていに言って、行政評価局の側で、自らテーマを見つける力を放棄してしまうと、長期的に政策群というものが過去の言葉になってしまったときに困らないかという感じがしているのでございます。中長期的な、評価のテーマを探す能力を維持するためにも、これ以外のものも徐々に入れていったほうが、少し残しておいたほうがいいのではないかというのが1点目のコメントでございます。
 それから2点目は、今回、自然再生の推進について若干、こんな形で行っていただきたいというところがございます。いただいた資料の中では、最終的には政策効果で生物多様性の確保を通じて自然と共生する社会の実現等々書いていますけれども、実際上の問題といたしましては、いわゆる自然再生協議会ができ上がっているか、でき上がっていないかという、それ以前の問題なのだろうと思います。結局、自然再生推進法のようなものは、NPOであるとか地域住民を絡める形でエンパワーメントをしながら、政策を進めていくという新しいスキームであることは間違いないので、そのスキームを上手にやる仕方というのでしょうか、教訓というものをきちんと出すような形で評価を展開していただいたほうが、後々、同じようなスキームの政策がおそらく出てくると思いますので、そういうときに、このようなことに気をつけなきゃいけないのだという教訓が出てこようかと思います。
 逆に言いますと、この政策が実行された後の有効性や効率性は、本当に認められるのかという感じがしていますので、むしろこのフレームによってどう動くのか、政策評価インプリメンテーションに近い例というのは各府省から嫌がられるかもしれませんけれども、おそらくそこが非常に重要な形になろうかと思いますので、そこを重点に進めていただいたほうが、実際の政策の進行と将来における教訓の提示ということにおいても意味があるのではないかという感じがします。以上の2点です。
【渡会総務課長】  1点目につきましては、厳しいご指摘をいただきました。私どもも当然そのような問題意識を持ちながら、テーマの選定作業を行っておりますけれども、とりあえず18本の政策群が一挙に来たので、まずはそのうちやるべきもの、あるいはやれるものから取り組むということで、政策群が集中したという形になっておりますけれども、先生ご指摘の問題意識を引き続き持ちながら、今後作業をしていきたいと思います。
【松本政策評価審議室長】  2点目の自然再生の推進につきましては、先生ご指摘の点については私どもも十分に認識しております。具体的には、先生ご指摘のとおり、この法律自体が新しいNPO参加型の自然再生協議会というスキームを導入するところに重点があったと聞いておりますので、現在、その協議会がどのように設立され、かつ、どのようにうまく機能しているのかという点を中心によく見ていきたいと思っております。
 参考までに、現在の状況を申し上げますと、この法律自体は平成15年1月から施行されていまして、協議会自体が立ち上がっておりますのは、釧路湿原等をはじめ18の地域でございます。次のステージとしては、協議会が設置されますと、全体構想をつくっていきます。関係者の合意形成が非常に大変な構想づくりでございます。これに時間がかかるとよく言われております。その次に、全体構想がまとまりますと、実施計画をつくっていきます。それを経て事業が実施されていくという制度設計になっているようでございます。
 データを申し上げますと、繰り返しですが、協議会は18できており、全体構想ができているのはそのうち8、実施計画までできているのは2というのが現状のようでございます。この点をどのように評価していくのか。必ずしもうまくいっていないと見るのか、順調だと見るのか、その点をよく見ていきたいと思っております。
【事務局(村上評価監視官)】  自然再生の推進につきまして、私から若干補足いたします。
 今、先生からご指摘のありました点、私どもも非常に重要なポイントだと考えております。この自然再生の推進におきましては、NPOや地域住民や学識経験者等を実施主体として巻き込んでいくというよりも、主要なメンバーとして位置付けていくのもです。おそらく、このような官と民の中間的な存在を今後活用していくといいますか、主要なプレーヤーとして参加していただくというのが、今後の行政手法の一つの大きな流れになっていくだろうと思われますので、今回の自然再生のこの政策評価も、そういう意味ではモデルケースになる可能性がかなり高いと我々も認識しております。
 まさに先生のご指摘のとおり、この自然再生推進法のスキームに乗らずに同様のことを行っているものがかなりございます。各省庁それぞれ予算をつけて、自然再生事業というものを進めておるのですが、実は、その予算がついているものと自然再生推進法のスキームに乗っているものとは、ずれています。この法律のスキームに乗らずに、予算だけもらって事業を行っているものがかなりあるということでございます。要するに、この自然再生推進法のスキームは、NPO等を位置付けるということで、非常に新しいものでございますので、そのようなスキームはかなり現場では面倒くさいので、従来手法で予算をもらって行っているようなケースがかなり多いのではないかと予想しております。私どもといたしましては、この自然再生推進法のスキームに乗っているものと、それ以外の予算だけもらって事業を行っているものと、両方調べまして、この法律と予算との連携がとれていないと、そういう意味でこの法律に基づく新たなスキームが十分活用されていないという実態があるのであれば、その問題点をきちんと指摘していきたいと考えております。
【金本分科会長】  そのほかございますか。谷藤委員、どうぞ。
【谷藤臨時委員】  一つは確認ですけれども、現在実施しております少年の非行対策、リサイクル対策、PFI事業の政策評価の最終的な結果はどのような形でスケジュール化されているのかということです。それからもう一つ、例えば、PFI事業に関する政策評価というものは、これだけで実はかなり包括的な評価をしていかなければいけないということで、これを出した段階でもう少し継続的に行わなければいけないという可能性が出てきたときには、それはどうするのかという、これは仮定の問題です。それが一つです。
 それから、ややテクニカルな問題になりますけれども、例えば、若年・長期失業者の就業拡大の問題につきまして、最近、やや気になりますものは、例えば、若年・長期失業者の様々な統計データと言われるものが、かなりばらつきが実はありまして、そこのところのデータとか、評価を設定する際のデータのいろいろなところでかなり乖離が出てきています。例えば、最近の格差問題のジニ係数のとらえ方だとか何とかについてもかなりばらつきが出ているということです。いわばその目標値を設定する上で、どのようなデータに基づくのかということがかなり大きな意味を持ってくると思うのです。それが先ほどの評価の質の向上にもかかわってくると思います。その問題に少し配慮が必要なのではないかという感じがします。
 それから、コンテンツ産業の規模だとか何かというのは、産業規模というのは、中小企業とかいろいろなところにかかわりまして、どれだけのコンテンツ産業でどれだけの経済効果があるのかということを探るのは、非常に難しくなっておりまして、このデータの設定も非常に難しいということになり、これも各府省間のデータにばらつきがあるわけです。そのような統計的なデータと、基準となる指標設定ということに対して、少し配慮していく必要があるのではないかという感じがしております。
 以上の2点です。
【松本政策評価審議室長】  1点目でございます。少年の非行対策、リサイクル対策、PFI事業の現在実施中のテーマのスケジューリングのお話でございますが、少年の非行対策につきましては、昨年4月からスタートしておりますので、来年度の遅くない時期にアウトプットを出してまいりたいと思っております。
 リサイクル対策とPFI事業につきましては、来たる4月から管区局・事務所を動員いたしまして現地調査を4か月ほど予定しております。それから、遅くとも1年以内をめどに、私どもとしてはアウトプットを出していきたいというのが大まかなスケジュール感でございます。
 それから、PFI事業については、かなり大部にわたる評価、対象施策であるというご指摘をいただきました。いろいろな工夫を関係府省と意見交換をしながら進めておりまして、仮に先生がおっしゃるように、あまりにも長期にわたる、若しくは新たな視点で評価を分析しなければならない状況が出ましたならば、第1次、第2次というように区切りをつけてアウトプットを出していくような方法も、場合によってはあるかもしれません。これまでは1つのテーマに取り組みますと、あまり長期にわたらない範囲で、何らかの成果を出すという形では努力しておりますが、先生ご指摘のように、PFI事業はかなり大きいということであるならば、いろいろなやり方を考えていきたいと思っております。
 それから、重要なご指摘で、若年・長期失業者対策とか、コンテンツの市場規模の問題でについて、それぞれの目標値や評価するためのデータが、単一・画一的ではなくて、いろいろなばらつきもあるというご指摘、ご指導でございますが、私どもは、評価設計に当たって2つを考えております。独りよがりにならないようにという観点でございますが、一つは、外部の専門家有識者の方々のご参画をいただいて、行政評価局の中に研究会のようなものを立ち上げて、独りよがりにならない工夫をするというのが一つでございます。それから、評価設計にあたりましては、評価設計や評価データ等についての私たちの考えについて各府省の担当部局と十分意見を交換しております。また、各府省はどのようなデータの把握の仕方をしているのかということを十分事前に研究、分析した上で、適切な評価データの把握に努めていきたいと考えております。
 引き続きのご指導をよろしくお願いいたします。
【寺尾委員】  個別のことについてお話ししてもよろしいようなので、私も、配偶者からの暴力の防止等について意見を述べたいと思います。
 背景事情の説明で「配偶者間における暴力は、ほとんどの場合女性が被害者となっているが、近年、そうした犯罪が増加」とされていますが、従来もあったものが近年顕在化してきたに過ぎないのですね。これはセクシュアルハラスメントについてもそうなのですけれども、そのようなものが社会の問題と認識されるようになったので表に出てくるようになっただけなのです。ですので、犯罪が増加したから対応するのだというスタンスでは、きちんとした評価ができないと思いますので、よろしくお願いいたします。
【事務局(石川評価監視官)】  担当の石川と申します。よろしくお願いいたします。
 ご指摘のとおりでございます。実は、件数は何件あるのかと言いますと、これは非常に暗数の多い世界でございます。この部分は表面上表れている件数を述べているだけでございます。その意味では、先生のご指摘のとおり、これは顕在化というように修正すべきことと考えます。よろしくお願いいたします。
【田中専門委員】  私も個別案件になるのですけれども、観光政策を重点テーマとして取り上げているところはとてもいいと思うのですが、このタイトルにある「外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価」というテーマ名と、政策目標や内容とがうまくつながっていないのではないかと思います。
 普通は、快適に観光ができる環境というと、ホスピタリティーの問題のようにとらえられがちではないかと思います。一方では、観光客を倍増する計画が政策目標にあるということで、もう少し言い回しなり内容のすり合わせができると政策目標がはっきりするのではないかと思います。
 それから、中身を見ると、景観法が入っていたり、ビジットジャパンキャンペーンの政策が入っていたり、割とテリトリーが広いのですけれども、例えば、景観法はどちらかというと軸足は都市政策のほうにあるような気がします。そして、それがどのように観光に影響していくのか、効果を上げるのかというのは、いまだにしっくり来ていないのではないかということがある。一方では、ビジットジャパンキャンペーンは、どちらかというと宣伝広告というところで政策を講じているような気がします。そういったものが全部ここに入っていて、快適に観光ができる環境というテーマでくくってしまうと、少しあいまいになってくるのではないかと思いますので、何か工夫ができないかと感じる次第です。
【松本政策評価審議室長】  ご指摘の点は、よく分かるところもあるのですが、事情を申し上げますと、このテーマは政策群にかかるテーマということでして、政策群の名称がこのようになっております。したがいまして、政策群の評価であるということで、このテーマ名はこのような形でやらせていただきたいと思います。その上で、先生ご指摘のような誤解がないように、私どもが見る視点や重点の置き方をいろいろな資料でもう少し、紛れのない、ぼけない形で行ってまいりたいと思っております。
 とりわけ、この世界は先生がおっしゃるように、ビジットジャパンキャンペーンをベースに2010年までに訪日外国人旅行者数を1,000万人にするというものが一番分かりやすい数値目標でございます。そのために政策群として現在取り組んでおりまして、例えば、査証の問題をどうするのか、また、景観法に基づく各種の政策を含め、各府省がそれぞれの役割に応じて政府として総合的に展開していくものと思っております。
 また、制度改革なり規制改革と予算を一体的に進めていくことが政策群の大命題でございますので、その点を中心に見ていきたいと思っております。ご指摘は十分踏まえたいと思います。
【田中専門委員】  今のことで結構なのですが、例えば、ビジットジャパンキャンペーンで言うと、これを行った短期間にどの程度訪日観光客が増えるのかというような指標をはっきり明示して行っているように思います。それから、ほかの部分で言えば、長期的に観光資源をどのようにつくっていくのかという部分は、いろいろな施策の中で見えていると思うのですが、うまく組合せをして、長・短期に評価ができるようにしていただければと思います。
【事務局(村上評価監視官)】  観光につきまして若干補足をしたいと思います。まず、タイトルにつきましては、今ご説明したとおりでございまして、政策群の名称がこういうことになっているということで、タイトルについてはやむを得ない面もあるのですが、ただ、中身は別途決定されております観光立国行動計画と大部分重複しているということもございますので、この評価に当たりましては、観光立国行動計画の内容等も念頭に置きながら、そういう意味では直接には政策群を対象としながらも、もっと周辺的な施策もにらみながら評価を打ち出せればと考えております。
 この中身は、先生がご指摘のとおり、様々な政策がパッケージになっておりまして、景観法のような法律に基づいているものもあれば、予算措置が講じられているものもあり、また、主として運動論にわたるものもあり、それらをどのようにポイント、濃淡をつけて、総合的に評価していくかは、かなり難しい面が正直言ってあるかと思います。基本的には、関係府省は多岐にわたりますが、それらの連携がうまくとれているのか、いろいろな政策がありますけれど、それらが有機的に機能しているのかというような点を念頭に置きながら、先生方のお知恵を拝借しながら評価を打ち出していきたいと考えております。
【金本分科会長】  新村先生、どうぞ。
【新村分科会長代理】  今のお答えで大体分かったのですけれども、政策群というのはあまりよく知らないのですが、大体こういうものを幾つかに分けると、いろいろな政策をすべて詰め込み、このタイトルの下に、うちはこの政策群ですとやりそうな気がします。ですから、むしろ政策群をテーマになさるのはいいのですけれども、本当に政策群がそもそも目標とした、政策群という政策をとったことに対する評価も是非その視点の中に含めていただきたいと思います。多分、あまり関係はないけれども名前があるというものまで入っているのではないかと思います。詳細は存じませんが。そのような感じがありますので、今おっしゃったように、有機的に本当に政策群としての効果を上げるものがきちんと取り込まれているかどうかという視点も、個々のターゲット、目標以外に、このスキーム自体の評価も是非していただきたいと思いました。以上です。
【金本分科会長】  そのほか何かございませんでしょうか。高木先生、どうぞ。
【高木臨時委員】  個別テーマとは直接的に関係ないのですが、少々爆弾発言かもしれないのですけれども、数年前に一度申し上げて、そのままフェードアウトしてしまった内容なのですけれども、そろそろ政策評価、あるいは評価・監視活動の結果に対するその後の評価をおやりになってみたらいかがかと思います。
 確かに、スタート当初の段階では、最初からうまくいかないだろう、失敗するだろうと思われた取組などもありまして、その段階で評価というのは酷であったと思うのですが、最近はかなり評価の内容を見る限りにおいては、成果が上がっているかと思います。ただ、それが具体的に、アウトカムにつながっているかどうかというところを検証していく作業を入れていかないと、結局、この評価・監視活動というものが、何か出しただけという話にもなりかねませんので、その点をご検討いただくことを改めてお願いしたいと思います。
【金本分科会長】  いかがでしょうか。
【渡会総務課長】  私ども個別にアウトプットを出したときに、各方面からコメントをいただきますけれども、それが総体として私どもの局の活動全体がどうなのかということをどこかで表現し、皆さんから評価していただかないといけないという思いはございます。
 例えば、評価・監視で勧告しますと、半年後に1回、相手府省の回答をもらい、また1年たってその後の回答をもらうということを行っていますし、それから、統一性・総合性確保評価ですと、6月の国会のときに併せてフォローアップ結果を公表しておりますけれども、そのようなものをいかに集大成して政策評価、評価・監視活動の全体像を表していけばいいのか、まだ具体的なアイデアはございませんけれども、そういう問題意識は持っておりますので、今後何らかの形で具体化を図っていきたいと思います。
【金本分科会長】  高橋委員、どうぞ。
【高橋臨時委員】  また個別の件なのですが、ITを活用した医療の利便性向上についてです。情報通信分野やコンテンツビジネスもそうなのですけれども、日進月歩でハイスピードで進んでいきますので、評価自体が陳腐化する可能性があって、非常に難しい分野ではないかと思っております。
 例えば、背景事情としてe-Japan戦略II2ということとなっていますけれども、総務省では平成17年度からu-Japanの構想に移っておりますので、ユビキタスとかユニバーサルという観点で医療を見ていくべきではないか、e-Japanのままでいいのかという問題点があるわけです。
 ですから、評価の視点で、医療の質向上と効率化ということなのですけれども、ITの場合には導入コストが非常に高くて、一度導入すればランニングコストは安くなる性質のものが多いですけれども、数値目標を効率化というところに重点がいってしまいますと、新しいものを導入しないで古いものですべてやりましょうという形で普及しましたということになると、やはりまずいと思うのです。ですから、ICT技術の分野の発展に合わせた形で、評価も柔軟にせざるを得ない部分があると思うのですけれども、それをまさにこのテーマ及び指標にどのように反映していくのか、慎重に検討する必要があると思っております。
 それから、調査等の対象機関について、これは政策群であるにもかかわらず、総務省が入っていないのはなぜなのかと思います。事業者に対して情報通信分野は総務省が監督官庁として規制緩和を推進して、それによって情報通信技術が発展しているという面も大きいと思います。ですから、規制緩和を一層進めて、また、価格競争も促進させていかないと、医療に関しての質の向上と効率化ということの両方を行っていくことは困難です。u-Japanの構想も非常に大きいのですけれども、具体的に医療の部分でどのようにそれが進められているのかということを評価していくことも必要な気がしております。
 以上です。
【事務局(渡辺評価監視官)】  ITの医療の関係を担当しております渡辺と申します。
 先生のご指摘もよく踏まえまして行ってまいりますけれども、これは経済産業省が、いわゆるシステムの標準化とか、その産業の振興という意味で実証実験をしており、これを活用して電子カルテシステムとかレセプトの数値目標を達成していくという、そういうプロセスを具体化するという政策群となっております。先ほどの翁先生のご指摘もありますので、設計に当たっては、そのような先生方からご指摘のあった観点も含めて考えてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【金本分科会長】  まもなく時間となりますが、そのほか何か特にございますでしょうか。
 それでは、今後の取組を期待申し上げるということで、見直しも終わったのですが、現場では評価疲れがあるようでありまして、目を覚ますような成果を期待したいというところでございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、最後に事務局から連絡事項があるということですのでお願いいたします。
【岩田政策評価官】  ありがとうございました。本日いただいた意見を踏まえまして、行政評価等プログラム、それから政策評価の点検結果について引き続き作業を進めて参ります。
 次回の政策評価分科会ですが、今のところ3月の下旬の開催を予定しています。後日、具体的な日程調整をさせていただき、改めてご連絡させていただきます。議題は、行政評価等プログラム等々でございます。引き続きよろしくお願いいたします。
【金本分科会長】  それでは、政策評価分科会を閉会いたします。ありがとうございました。

                                    
以上 


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