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平成21年第1回過疎問題懇談会議事概要

日時

平成21年5月26日(火) 13時30分〜15時30分

場所

総務省1階 共用会議室4

出席者(敬称略)

(座長)       宮口 廸 (早稲田大学教育・総合科学学術院長)
(委員五十音順) 安藤 周治 (NPO法人ひろしまね理事長)
           飯盛 義徳 (慶應義塾大学総合政策部准教授)
           小田切徳美 (明治大学農学部教授)
           菊池 恵美 (株式会社テレビ長崎常務取締役)
           沼尾 波子 (日本大学経済学部教授)
           横道 清孝 (政策研究大学院大学教授)
(総務省)     椎川 忍  (総務省大臣官房地域力創造審議官)
           山ア 重孝 (総務省自治行政局地域自立応援課長)
           高原 剛  (総務省自治行政局合併推進課長)
           諸橋 省明 (総務省自治財政局財務調査課長)
           奈良 俊哉 (総務省情報流通行政局地域通信振興課長)
           佐藤啓太郎 (総務省自治行政局過疎対策室長)
(農林水産省)  仲家 修一 (農林水産省農村振興局農村政策部中山間地域振興課長)
(国土交通省)  橋本 拓哉 (国土交通省都市・地域整備局地方振興課半島振興室長)

議事概要

(1)説明事項等
「時代に対応した新たな過疎対策について」(提言骨子案)及び新たな過疎対策における都道府県の役割について、事務局から配付資料に基づき説明を行い、その後、意見交換を行った。
(2) 意見交換概要
「時代に対応した新たな過疎対策について」(提言骨子案)(資料1)

【委員】  
○ 地域づくりにおいても、一定額の収入が求められており、それを確保するための助言・助力が必要である。過疎地域の独自のビジネス観というものがあって良い。
○ 個人を中心とした人材育成や人材派遣だけでなく、グループまたは集団の育成も必要である。システム的な人材育成を行うため、カリキュラムを作るなどの具体的なアクションの提案があっても良い。
○ 市町村合併後、各市町村では住民自治組織ができている。しかし、四年、五年が経過してマンネリ化などの問題を抱える事例を見聞している。ステップアップのための助言やコンサルティングなどの仕組みが身近なところにあると良い。
【座長】
○ 地域に身近なところで、日常的に支援やアドバイスを行う組織が、都道府県内を幾つかに分けたぐらいの地域に存在し、それを中央がうまく支援するような広域的なシステムができれば理想的である。
【委員】 
○ 行政によるきめ細かな支援がなくなってきており、地域の日常の暮らしについて総合的な支援を必要とする状況が、中山間地域だけでなく都市部でも現れてきている。そういった状況に対応するため地域の中間支援組織・地域応援組織が必要である。
【委員】
○ 過疎地域は、広大な地域を少ない人数できちんと管理するという役割を担っている。
○ 過疎地域の「再生・活性化の取組」という記述は、過疎地域には、都市部での生活スタイルとは違う生活スタイルがあるということを明確に述べていて、画期的である。過疎地域と都市部とでは生活スタイルが異なっている。したがって違った活性化のやり方が必要である。
○ 市町村合併の影響に関して、地域指定に際して必要とされる「一定の配慮」の内容については、合併前の旧市町村区域について配慮する必要があるのではないか。
○ 広域的な取組みに関して、過疎地域が、例えば医療の場合のように、周辺の市町村、特に中心市に依存せざるを得ない場合は、定住自立圏構想との関係も出てくる。
【委員】
○ 地域間のインフラ整備の格差や財政力格差の是正などを図る際に、地方交付税が担っている機能と、過疎法による財政支援とで、どのような役割分担をしていくのか。
○ 「支援」という用語が適当であるかどうかはポイントの一つである。過疎地域は困っているので財政支援をするというスタンスではなく、都市部と過疎地域はそれぞれに役割と価値があり、それが共存することにより国土が守られている。そこで、都市部は応分の負担をするという打ち出し方もあり得る。
【委員】
○ ICTの利活用や地域の魅力を子どもに教育するといった非常に長期的な視野に立った施策が網羅されており、提言骨子案について大枠は賛成である。
○ ICTは使いようによっては非常に大きな道具になる。産業振興や遠隔医療、遠隔教育に使えるという点は重要である。
○ 双方向性という特性を持つ地上デジタル放送を過疎地域の振興に生かせると良い。
○ 多様な主体の力を組み合せ、連携させながら地域経営を行う「協働」の視点が過疎問題を解決するには不可欠であり、そのためには地域連携や協働を実現する「場づくり」ができる人材を育成する講座や勉強する場が重要である。
【委員】
○ 過疎地域が保全されることにより、都市部は恩恵を受けている。したがって都市部は応分の負担をする、全体で担うという発想は盛り込むべき。
○ 過疎地域の子どもへの教育と同時に、都市部の子どもに過疎地域が担っている役割を教育することが重要である。
○ 「子ども農山漁村交流プロジェクト」により多様な形で過疎地域を活用して様々な体験をさせるといった子どもの教育の場として過疎地域を活用する発想が必要である。
○ 人材交流と人材育成にはしっかり資源を投入していくべきである。後継者のシステム的な育成が課題である。外部人材をアドバイザーとして地域に入れるだけでなく、地域に住んでいる人材の育成にも力を入れるべきである。成功事例の共有の場を地方ブロック単位で作っていくことも必要である。
○ 仮に道州制が導入された場合は、基礎自治体の役割が非常に大きくなる。先を見越した基礎自治体職員の能力アップを図っていく必要がある。
【座長】
○ 過疎地域は人間的教育力を有している。修学旅行などで生徒や学生が過疎地域にしばらく滞在するだけで、大変良い時間を過ごして帰る。その基本にあるのは、そこに人が直接「土」を使う暮らしがあるからである。
○ 日本の過疎地域には、都市とは異なる暮らしの仕組みがかなり広大な面積に存在している。「都市にはない価値」がある。この点を押さえておくことが必要である。
○ 過疎地域は、単に都市の若者等を地域社会の新たな担い手として受け入れるだけでなく、長期的な視点からビジネスとして地域資源を活用できる新たな人材も必要である。
○ 新しい地域像を創造するための地域間交流の促進は、ある種の能力を持つ都市住民にいかにその力を発揮してもらうかということである。そこに「空間の価値」が生まれ、ビジネスも生まれる。
○ 過疎地域では、広大な地域を少数の人間で管理してきたという点も重要。
【委員】
○ 地域資源を積極的に活用して新たに産業を振興するという点については、単なる振興ということとは別に、今ある農地や森林を適切に維持・管理するといった視点があっても良い。
【委員】
○ 過疎地域における基礎的な商業機能が後退しており、いわゆる買い物難民が生じている。こういった問題についても触れる必要があるのではないか。

新たな過疎対策における都道府県の役割について(資料2)

【委員】
○ 地域の課題は基本的に市町村に任せるという地方分権の流れと、今回、改めて都道府県の役割について問題提起することとの整理が必要。
【座長】
○ 市町村合併が進んだ地域においても医療の確保などは、都道府県の役割である。
【委員】
○ 過疎対策に関して県が実施している各種施策をまとめてメニュー化し、県が相談窓口のようなものを作ってワンストップで総合的支援をするということはあり得る。
【座長】
○ 各府省における過疎地域を対象とした事業について、県が国と市町村をつなぐ役割を担って各種施策の横の連携をうまく図れると良い。
【委員】
○ 医師の確保や遠隔医療など市町村では担えない分野や県境をまたがるため市町村では対処が困難な問題などは、県の役割である。コーディネート機能や人材育成などのソフト分野における県の役割強化の必要性は理解できる。
【座長】
○ 市町村内で完結しない広域交通についても、都道府県の役割である。
○ 移住・交流に関する県のソフト対策として、島根県の定住財団の取組は、貴重である。
【委員】
○ 移住・交流については都道府県の役割として新過疎法に積極的に位置付けることが望ましい。人の移住だけでなく、東京、大阪の企業による農林業の起業や参入、CSR活動などについて市町村で対応するには限界があり、現実的には都道府県の役割となる。
【委員】
○ 県職員が各市町村に籍を置いて各市町村の問題を発見し対応する高知県の地域支援企画員制度のように、過疎地域に対して県が縦割りではなくワンストップで支援する仕組みがソフト施策については大事である。
○ ソフト事業を担う人材の育成・研修も都道府県の大きな役割である。
【座長】
○ 今後、地域に新しい農林業が生まれ、森林や農地を守るNPO的な団体も生まれてくる。それらを都道府県レベルで束ねてサポートしていくことが非常に大事である。
【委員】
○ 都道府県ごとに都道府県の役割のとらえ方に温度差があるので、一律にこうすべきであるとは言いにくい。
【座長】
○ 交流・移住を進めるためのソフト施策や高知県の人的支援といった分野については、都道府県の役割が重要であるといったことは打ち出せるのではないか。
【委員】
○ 議論の前提として、地方制度調査会で議論されている都道府県と基礎自治体の関係の整理にも注視する必要がある。

【座長】
○ 提言骨子案については、次回の懇談会までに、より深めた形で整理をしていきたい。
○ 都道府県の役割については、医療など都道府県がその役割を果たしていかないと支障の生じる分野があり、それと同時に、交流・移住施策の推進などの分野については、都道府県が積極的にリーダーシップをとることがよりプラスになるなどと整理したい。

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