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ICTビジョン懇談会(第4回)議事要旨

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日時

平成21年5月14日(木)13:00〜15:00

場所

総務省 第1特別会議室

出席者(50音順、敬称略)

・構成員 :岡素之(座長)、安藤真、内田勝也、岸博幸、嶌信彦、妹尾堅一郎、野原佐和子、野村修也、古川拓(原構成員代理)、松原聡、村上輝康、米倉誠一郎、ロバート・A・フェルドマン (計13名)
・総務省 :桜井総合通信基盤局長、山川情報流通行政局長、谷情報通信国際戦略局次長、阪本官房審議官、山根情報通信国際戦略局参事官、戸塚政策統括官、久保田官房審議官、吉田電波部長、田中官房総括審議官
・事務局 :谷脇情報通信国際戦略局情報通信政策課長、竹村情報通信政策課調査官

議事

(1)ICTビジョン懇談会 取りまとめの方向性(案)について

○ 事務局より、資料に基づいて説明を行った。
○ 資料の説明を踏まえた自由討議における、各構成員の発言概要は以下のとおり。
・ 「中間取りまとめ」との差異はどうなるのか。
・ 既にブロードバンドアクセスが可能な地域で、実際の利活用が高い地域のベスト・ワーストを明示した上で、利活用を促進する施策を盛り込むべきではないか。
・ 経済危機以外の日本社会の危機的課題である少子化、高齢化、人口減少等に対して、ICTが有効に機能するという視点について、もう少し記載すべきではないか。例えば、遠隔医療や、教育分野においてICTを活用し、遠隔で教育を受けことができるといった視点。また、それぞれの施策は、より具体的に踏み込んだ内容を記載すべきである。
・ ICT利活用の阻害要因としては、規制問題と、安全・安心の不足の2点がある。どんなにいいものを作っても、安全に使えることを利用者が認識しなければ、利活用が進まない。例えば、教育分野においては、各教育委員会でデータベースを作り、そのデータベースの中から自分に必要な情報を取り出すような仕組みの構築等について、もう少し考える必要があるのではないか。
・ 現状のように教師全員が1台ずつパソコンを使えない環境のままでは、教師にリテラシーの向上を求めることは難しい。
・ 日本が直面している問題、高齢化・食料危機・環境・教育・地域活性化等を報告書の前半に記載し、その後にICTがそれらの問題に寄与できること、総務省がリードすべきこと、という構成にすると分かりやすいのではないか。
・ 電波関連の記述は非常に身近な問題だが、唐突に書かれており、位置付けが理解されない恐れがある。
・ 地域を盛り上げることと、国際戦略については、裏表で関係が深い。施策の全体像となる大きな図面を描き、それぞれの施策を関連付けることは、総務省の範疇と思われるので、そのような内容を最初の数ページに入れてはどうか。
・ IT投資は大きいが利活用が不十分な点について、阻害要因の1つとして、IT化のフレームワーク・全体構想を間違えている側面がある。どうすれば個々の投資が有効且つ相互に利活用可能かについて、正確に押さえていくことが重要。そういった観点から、医療分野、教育分野等について、全体的なビジョンの策定を行うべきである。
・ 「TCP/IPに依存しない新世代ネットワークの実用加速化」とあるが、現状は技術開発ベースであり、まだ実用には至っていない認識。「研究開発の加速化」等の表現が適切ではないか。
・ 「オープンなプラットフォーム」という表現は、違うイメージを受ける恐れがあるため、表現方法を再考願いたい。医療分野と同様に自治体が困っているのは、各システムのデータフォーマットが異なっているため、ベンダーを変更するために膨大なコストを要すことである。
・ 「安心・安全環境の実現」の部分では、インターネット通販等、多様なサービスが提供されている点についても考慮する必要がある。セキュリティ関連の事故が頻発していることを勘案し、より一層、セキュリティ、安全・安心を前面に出した記載とする必要がある。「過度のセキュリティ水準の追求は利便性を損ないかねない」と記載されているが、このような表現は不適切。使い勝手を良くするためには、安全・安心の追求が重要。セキュリティは後ろ向きではなく、これが無ければどんなにいいものを作っても使えないという考え方に転換すべきである。
・ 経済の状況が悪いことは循環的、スクリカルな問題。それ以外にも人口減少、グローバル化、少子高齢化等の構造的な課題もあるので、循環的な部分と構造的な部分両方を踏まえてどうするかを明示する必要がある。
・ 利活用の部分について、「政府と医療」、「教育・農業」、「地域コミュニティ」の3分野が記載されているが、何故、この3分野が必要なのかの説明が不十分。社会的課題として、目的として足りない部分があるから、ICTを活用して促進するロジックで考える必要がある。
・ 電子政府、医療、教育については、IT戦略本部等でも以前から取り組まれているが、実現されていない。何故、これまで進展しなかったのか、誰が悪いのかなど、障壁について明確に述べる必要がある。
・ 「クリエイティブ産業」を狭く、若干歪んだ形で捉えているのではないか。世界的にクリエイティブ産業は様々な文化、マスメディア、出版等、全て含まれた概念となっている。加えて、CGMは金にならないのが世界の常識となっており、それを強く強調する理由がわからない。
・ 「企業や個人がサイバー空間で自由につながり」という表現や、「だれもが知識・情報をサイバー空間に自発的に生成・発信でき」という表現等、古い表現が多い。また、ネット上で人や企業がつながるのは原則であり、リアルなつながりがなくてサイバーはうまくいくはずがないのは当然の概念である。
・ 「デジタル新産業の創出」が、ネットワーク、ワイヤレス、映像、環境の4分野となっているが、中心となる分野が抜けている。例えば、家電や自動車等の分野でICTを有効活用することにより、生まれる産業があるのではないか。
・ クリエイティブ産業の施策の中身がコンテンツだけとなっているが、コンテンツとネットワーク及びプラットフォームを組み立てることによって、新産業を創っていくことが重要な目的となる。
・ 「スマート・ユビキタスネット社会」は、これまで推進しきたユビキタスネット社会の実現を一歩先に進めて、知識・情報立国とユビキタスネット社会をつなぐためのものとして提起されていると認識している。しかしながら、これまでの取り組みによって、アクセスは遍在されたものの、利用成果は遍在していない。ICTの利用機会の遍在性に加えて、利用成果の普遍性を実現することが大きな施策の目標と考えられるので、ユビキタスをユニバーサルの形で、その利用成果が遍在するような方向に施策全体を誘導する考え方が必要ではないか。
・ 現在の内容で、国民のどのぐらいの人が具体的なイメージを持てるのか。具体的なイメージが醸成されなければ、夢も持てず、利用が広がらない。ダサくても、メッセージ性があり、皆にわかる言葉でこのような社会を創ることを明示しなければ、社会を改革するような報告書にはならない。
・ 一般の国民には専門用語が多く、理解できない内容ではないか。誰に向けて書いているのか。
・ 国民目線で今後の課題を整理し、生活が便利になる手段や経済活性化の方法等の課題に対して、既存のインフラの活用方策、成功事例を具体的に明示すべきである。また、既存のインフラを活用しても実現できない原因、例えば、法整備や習慣、圧力団体と組織等を明確化する必要がある。でないと、いつもICTの未来について同じような将来図が描かれるだけで、生活分野について進化しているように見えない。インフラだけでは国民にピンとこないのではないか。
・ 表現方法としては、「徹底的に格好よくて分かりにくい」、もしくは「徹底的にダサくて分かりやすい」かのどちらかを追求すべき。
・ 「デジタル新産業」の定義について、熟考する必要がある。グローバル化社会において、課題挑戦先進国への転換という観点も考えるならば、分野の選定に加えて、産業という単体の物、個別のコンテンツ・サービスよりも、システム全体の付加価値を創造していくことを求めるべきではないか。
・ 経済危機への対応は循環的な事象であり、ICTビジョンとして考えなければいけないのは、将来の日本のイメージであることから、革新的電子政府のあり方について強調すべきことは、その使いやすさや便利さももちろんだが、この導入で政府の無駄にとってどのくらい削減効果があるのかという視点が重要となる。日本の借金と肥大化した政府の現状を踏まえ、長期的に様々な非効率を排除し、小さくてスマートな政府を創ることにICTが活用されるという視点が重要である。
・ 資料の分量としては5〜6ページが妥当ではないか。
・ PDCAについては、時間軸が足りないので、誰がいつ何をすべきなのかを工程表として記載すべきである。
・ ユビキタスタウン構想等については、記載されている予算では不足すると思われるため、工程表の中に各プロジェクトの実施期間、予算規模等を記載することによって現実味が増すのではないか。
・ 医療、教育、農林業等について、実現可能な取り組みとすべきである。
・ 国際的な取り組みについては、欧米諸国が今、動こうとしている段階にあり、基準の共通化等、有望ではないか。
・ 遠隔医療の取り組みに対して、国民の理解を得るためには、単に遠隔医療を目指すというだけではなく、電子化によって効率化しなければ、現状の医療サービスレベルの維持が困難であることを訴求すべきである。
・ 日本の暗号技術が世界一であることなど、日本の強みを訴求することによって、プライバシー関連の問題を解決できるのではないか。
・ 教師のコンピュータリテラシー問題は、コンピュータリテラシーを教員免許更新時の条件とすることが有効的ではないか。
・ 例えば、地方自治体がより多くの企業からシステムやソフト等の調達が可能となるように、市場原理がより一層働くような電子政府の開発が必要ではないか。
・ 戸籍システムは不要ではないか。
・ 総務省と他の官庁や民間企業との間で、建設的に互いの欠点を指摘することによって洗練された内容となり、国民が納得するのではないか。
・ 「知識・情報経済立国」に関する説明が不十分。日本のICT産業の現状をどのように捉え、産業を創造していくのかが分からないので、国際貢献できる道をどのように描いているのかを明確にすべきではないか。
・ クラウドは、アメリカの企業が進んでいるので、霞ヶ関クラウドが全て外資で席巻されるリスクに対して、ヘッジをかける施策が必要。
・ 教育分野におけるプライバシー、セキュリティの問題について、ICTの発達に伴う汚染源をミニマム化する点には同意。他方、抵抗力と免疫をマキシマム化しなければ、日本の子供が情報に対して脆弱になるという側面があることを問題提起したい。
・ この場で策定するビジョンはプロ向けとして書くべきであり、解説版で易しく書くことが良いのではないか。
・ 「あれば良い」、「無ければ困る」という話、「不足しているからやる」、「今あるものを失いたくない」というリスクの話が混在している。
・ 「ICTが必要十分条件」、「ICTは必要だが十分条件が他にある」、「他の施策だがICTが十分条件となる」、これらのスタイル、「ICTだけでできること」、「ICTでなければできないこと」、「ICTが他と組み合わさりできること」、これらについても区別すべきである。
・ 他省庁が関連する施策について、どの施策が競争関係の代替となり、どの施策にICT(総務省)が補完的に強化できるか、どうすれば総務省と他の施策が相乗的に変わる効果をもたらすのか、その辺を整理する必要がある。
・ 正確なプランニングを追求すれば、デザイアビリティが失われる恐れがあるため、努力目標としてのビジョンを策定することでよいのではないか。
・ 本当に国民に対して翻訳できるのかを、実際に絵を描くことによって、検証する必要がある。描けないようであれば、ごまかしがあるのではないか。
・ 技術はあるがプライバシーが問題となるのは、世の中は技術だけで成り立っているのではなく、その技術を支える社会的なコンセンサスが必要となるが、日本はこの点が欠落している。どこが主体となってコンセンサスを導いていくのかを、計画の中に盛り込むべきではないか。
・ サービス、アプリケーションは、事業化、利活用を考慮した場合、重要な要素。民間が行うサービス、官で行うサービスを整理することで、わかりやすくなるのではないか。特に、教育、医療等、リアクティブなサービスが多いが、情報化が進むとプロアクティブなサービスが増加していくのではないか。
・ コンピュータリテラシーは、現在のコンピュータを使う想定ではなく、リテラシーがなくても使えることを想定して、どのように展開していくのか。また、携帯電話やリモコンのように使えるというのは、具体的にどのような要素技術を想定しているのか。リテラシーがない段階はどういうものかを考えることにより、世界に先駆けての日本発のものができるのではないか。
・ グローバル化が進んでいない中で、経営者のマインドを変えるとあるが、マインド問題が主たる問題なのかをよく考える必要がある。海外展開の目標をもう少し広げて明確化し、達成していく上での課題、克服する戦略等、段階を追って整理していくことによって、グローバル戦略が迫力内容となるのではないか。
・ セキュリティ、プライバシーについて、囲い込むことによって防止することだけで済むと思わない。人をより強くすることは大切な話であり、日本の産業が全く同じじゃないかと思っている。IT産業がなぜ脆弱かは、囲い込みがあまりにも中央官庁がやり過ぎているのではないか。
・ 技術と事業の問題に関して、説明責任が果たされていない。特に住基ネットについては、なぜ住基ネットが必要か、どれくらい安全なのかが説明されていない。紙であれば、誰が情報を漏らしたかはわからないが、デジタル情報であればアクセス記録が残ることなど、その辺りを正確に説明する必要がある。
・ 書かれた内容について、一般の方々からの質問・疑問に対して、確実に説明を行っていくことが必要である。
・ PDCAについては、日本にはPとDしかない。もう少しCとAの部分を考えていく仕組み作りを行う必要がある。例えば、住基ネットの次に社会保険カードが出てきているが、それを出す前にまず住基ネットのチェック、レビューを行うことが重要。
・ ビジョンの策定とは政策ドキュメントの作成であり、読み手は産官学と国民となる。国民は潜在的な読み手。わかりやすさよりも説得力を追求することによって、予算、人材等をモビライズしていくことが可能となるのではないか。
・ 産学界では、このビジョンをもとに国の政策的なプライオリティーがどこに置かれるかを見極め、長期向け投資、商品開発、研究開発テーマの設定等、戦略を立てる。このことを踏まえると、政策の連続性について、謙虚に、これまでどのような議論が行われてきたか、今後、どのような議論を行っているのかを議論する必要がある。
・ 例えば、住基カード等について徹底的にリフレクションし、原因の追求を行うべきである。
・ ビジネスモデルと標準化を含めた知財マネジメントが、全て梃子になっているというのが、世界の新しいイノベーションモデル。日本のICT産業が、なぜ標準化や特許を取っても勝てないのか、なぜ技術力はあるが席巻されるのかを検証する必要がある。
・ ICT産業の国際競争力問題は、ここ2〜3年の情報通信審議会の最大のテーマの1つとなっている。どういう方策を打つべきかなど、様々な議論が行われている中から、マインドについて絞り出されたものである。政策ドキュメントが民間企業の経営者のマインドに言及することは、非常にまれなことだが、ここまでやらなければ、ネットワーク・ディペンデントな産業の国際競争力は変わらないという議論が行われている。
・ 日本企業のICT機器はほとんど壊滅状態となっているが、原因の解析を行っていないのではないか。
・ 2015年には国民1人1人が、ICTの問題について語れるような社会を創造することによって、国民を巻き込んでいかなければ、次のステージに行かないのではないか。それをビジョンの中に入れる段階に来ているのではないか。
・ 全ての国民が同じような形でわかりやすく書ける内容としなければ、物事、障害等を克服するためのエネルギーが得られず、乗り越えられないのではないか。そういった意味において、国民全体に魅力ある、夢やワクワク感のある書き方が必要。
・ ユビキタス社会において、最も怖いのは雷害に起因する誤作動であるので、基盤のセキュリティについて、是非、総務省で取り組んで欲しい。
・ 国民目線でビジョンを出したい。国民生活が便利、豊かになることと、産業、経済が活発になることをもっとわかりやすく、また、具体的に何が障害となり、どのようにクリアしていくのかということを、容易に理解できるような書き方ができれば良いのではないか。
・ 追加意見を5月21日まで募集し、次回の会合で最終取りまとめ(案)について、ご議論いただく予定。

以上

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