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IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第24回会合議事概要

日時

平成25 年5 月23 日(木) 15:00〜17:10

場所

中央合同庁舎第2号館(総務省) 10階 総務省第1会議室

出席者(敬称略)

(1) 座長
齊藤忠夫(東京大学)
(2) 構成員
伊藤公祐(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)、今井恵一(一
般社団法人テレコムサービス協会)、江ア浩(東京大学)、奥山八州夫(一般社団法人
電気通信事業者協会)、木下剛(一般財団法人インターネット協会)、寺田昭彦(一般
財団法人電気通信端末機器審査協会)、立石聡明(一般社団法人日本インターネット
プロバイダー協会)、中村修(慶應義塾大学)、松村敏弘(東京大学)、松本修一(一般
社団法人日本ケーブルラボ)、渡辺久晃(一般財団法人日本データ通信協会)
(3) 総務省
安藤電気通信事業部長、安藤総合通信基盤局総務課長、吉田事業政策課長、二宮
料金サービス課長、齋藤データ通信課長、中西データ通信課企画官、佐藤データ通信
課課長補佐

議題

(1) 民間事業者からのプレゼンテーション
(2) その他

議事要旨

(1)民間事業者からのプレゼンテーション
・資料24-1〜24-2について、日本インターネットプロバイダー協会、東日本電信電話株式会社より説明。

○昨年のプログレスレポートで取りまとめた課題に対して、進展があったと思う。参考資料24-2のコメントに関連して、HGWにPPPoE終端機能やIPv4 over IPv6機能が実装されているが、これらの仕様を一般公開する予定はあるのか。HGWやPPPoE終端機能等の仕様が標準の技術を使用し、公開していれば、他の機器ベンダが参入したい場合にも開発可能となると思う。

○事業者と1年間打合せを重ねて盛り込んだ機能であり、仕様の公開については、事業者とも相談の上、検討したい。


・資料24-3、24-4について、NTTコミュニケーションズ株式会社、ソネットエンタテインメント株式会社より説明。

○KDDIは既存ユーザを含めauひかりの全ユーザをIPv4/IPv6デュアルスタック対応してきたが、OCNとソネットも、ファームウェアのアップデート可能な300、400番台のHGWを持つユーザは、既存ユーザを含めてすべてIPv4/IPv6デュアルスタック対応するという理解で良いか。

○HGWのファームウェアをアップデートすればIPv4/IPv6デュアル対応になるが、その広げ方については社内で検討中のところ。

○今回の対応で、全ユーザのうちどの程度のユーザがIPv6対応となるか、おおよその割合を知りたい。実際に300、400番台のHGWを持っている既存ユーザは、全ユーザのうちかなりの割合を占めることになるのか。

○HGWの機種毎の内訳までは把握していないため、割合を示すことはできないが、300、400番台のHGWを持つユーザは、それなりの数を占めていると聞いている。

○KDDIがauひかりユーザに対してIPv4/IPv6デュアルスタック対応して、総トラヒックの約2割がIPv6になったとの具体的な事例があるが、近いうちに、PPPoE方式のユーザのかなりの割合がIPv6対応となり、IPv6トラヒックが増えてくるという理解で良いか。

○然り。

○これまで、Bフレッツの契約者がかなり多いという先入観があったが、NTT東西によれば、フレッツ光ネクストへのマイグレーションが進んでおり、既に契約者の半数以上がフレッツ光ネクストの契約者であるとのことであった。今後、マイグレーションが更に進んでいくということであり、ISPとしてかなりの部分がデフォルトでIPv6対応になるという点は、非常にインパクトがある。

○PPPoEアダプタ機能をHGWに一体化するために、PPPoE方式についても様々な技術仕様を作成したと思うが、これらはグローバルな仕様に合っているのか、また、特有な部分はどの程度あるのか。

○PPPoEアダプタ機能の内蔵について、アダプタ機能自体の仕様が国際標準と言えるかは分からない。また、IDの設定部分については、ローカル仕様と考えている。

○NGNは巨大なネットワークであり、市場に対しても影響力があることから、公平性の観点から、国際標準への適合や仕様の開示等が重要と考える。

○PPPoEアダプタ機能については、仕様がオープンになっており、今回は当該機能をソフト化し、HGWに導入したものである。接続に関する仕様については、アダプタ機能に連動しているため、オープンと言えると考える。

○PPPoEアダプタ機能の仕様は公開されているということであったが、IPoE方式のIPv4 over IPv6サービスに係る機能の仕様は公開されていないという認識。当該機能をひかり電話に加入することにより設置されるHGWがないと利用できないというのはおかしい。当該機能は、様々な機器ベンダがホームルータ機器に導入する可能性があることから、今後仕様を公開していくということでよいか。

○IPv4 over IPv6機能については、VNE各社の意向を踏まえながら検討してきた経緯があり、VNEのビジネスとの関係もあるため、公開については、VNEと相談の上、検討したい。

○NTT東西の取組により、今まで3社に制限されていたVNE数が拡大されたのは、公平性や競争性の観点から、大きな成果である。IPv4 over IPv6機能についても、グローバルスタンダードに準拠されている技術を使い、その仕様を公開することで、事業者の新規ビジネスの展開をサポートしてもらいたい。

○日本の市場で公平性や競争性が確保されているどうかについては、アメリカも関心を持っている。また、アジアの新興国では、日本のIPv6対応を参考にしたいという国が多く、日本で採用した技術が特殊であると、日本製品を展開する時に問題が出てきてしまう。完全にオープンにするというのは、競争力の観点から難しいと思うので、リーズナブルなレベルで情報開示を行い、できる限りグローバルスタンダードへの適合を担保しながら取り組んでいく必要があると思う。

○今後、IPv6が世界に広がったときに、国内のISPや機器ベンダが海外進出することを想定し、今のうちから国際標準に適合した技術を採用しておくことは非常に重要。現時点では、この点に関するNTT東西やJAIPAにおける検討は進んでいないが、今後機器ベンダからの要望等があれば、本研究会で扱うことを考えてもよいのではないか。

○HGWにPPPoEのアダプタ機能やIPv4 over IPv6機能を一体化することによって、多くのユーザが追加コストを負担せずにIPv6対応できることから、今回発表のあった取組は、非常にインパクトがあり、いい方向にまとまったと思う。しかし、HGWはNTT東西のひかり電話の加入者に提供される機器であるということを忘れてはならない。今後、電話は要らないけど、インターネットは使いたいというユーザのIPv6対応を進めていくためには、これらの機能の仕様を公開し、様々な機器ベンダが導入できるようにするべき。

○PPPoEのアダプタ機能をHGWに追加するに当たり、ISPでは費用負担が発生することから、ユーザへの負担を無料にするかどうかは、各ISPが決めることである。

○これまでの会合での議論にもあったが、IPv4アドレスの枯渇により、ISPの新規参入が困難になり、IPv6対応が進むことにより、その問題が解決されることから、IPv6対応は、はじめにISPが着手したという経緯であった。ユーザにIPv6対応のインセンティブがない中、ISPがIPv6対応を着実に進め、ユーザに負担がない形でIPv6対応を進めていくということについて、今日説明のあった取組により実現に一歩近づいたと思う。ISPによる取組を踏まえ、IPv6対応ユーザが増加することを念頭に、今後は、コンテンツ等のIPv6対応について検討を進めていくことになるのではないか。


・資料24-5、24-6について、ニフティ株式会社、NECビッグローブ株式会社より説明。

○資料24-5のニフティ株式会社の説明資料の中で、ドコモのMVNOがIPv6未対応とあるが、これはニフティが対応していないということなのか。ドコモのモバイル回線を足回りに使いIPv6インターネット接続サービスを提供しているISPも存在しているのではないか。

○ドコモがIPv6対応していないという訳ではなく、MVNOを提供している事業者とニフティとの関係でIPv6未対応となっている。

○NECビッグローブとしては、IPv6の提供を行うときには、HGWのファイヤーウォール機能をデフォルトオンにすることにより、セキュリティを確保する必要があるという認識でよいか。

○デフォルトの設定は、ユーザにとって、より安全なものを選択すべきと考えている。

○資料24-5のニフティ株式会社の説明資料の中で、「HGWのない利用者への対応」とあるが、これは先ほど議論のあった仕様の公開等を意図しているのか。

○ひかり電話を申し込まないユーザはHGWがないため、現状だとJPNEのIPv4 over IPv6サービスを利用できない。そのため、仕様の公開により対応するかは未定だが、HGWを持っていないユーザへの対応も何らかの形で検討していく必要があると思っている。

○インターネットのサービスとNTTの電話サービスがバンドルされているのは、大きな問題。JPNEの対応は間違っているのではないか。

○まずは、ユーザが多いHGW利用者からサービスをスタートしていると理解いただきたい。

○では、NTT東西が提供している電話サービスを前提とはしていないということか。HGWのないユーザに対してもサービスを提供する予定があるという理解で良いか。

○NTT東西よりHGWのファームウェアをアップデートするための機能(フレッツジョイント)が提供されており、我々が最初にスタートしたv6プラスというサービスはこれを利用することにより実現しているもの。また、我々はIPv6を普及させるために存在している会社であると認識しており、適用範囲は順次拡大したいと思っている。

○これまでの議論では、VNEからHGWに様々な機能を盛り込みたくないという意見があったにもかかわらず、今ここで、HGWのないユーザにはサービスを提供していないというのはどういうことなのか。HGWがない場合も、どこかの機器ベンダがルータを用意して、サービスを提供していく計画が示されたら、HGWを持っているユーザから先行してサービスを開始したと理解できる。HGWとIPv4 over IPv6機能の仕様を公開してほしいと言った意味はここにある。いち早く仕様を公開し、誰でもVNEのサービスに供することができるホームルータを出荷できれば、HGWのないユーザにもVNEのサービスを提供できるようになるのではないか。

○VNEは、エンドユーザに対して営業活動は行わず、ISPに対してサービスを提供している事業者である。このため、ユーザのニーズはISP経由で実現することが責務だと思っており、契約をいただける順番に事業を展開していく考えである。勿論、VNE同士の競争やPPPoE事業者との競争もあるので、段階的にサービスを提供せざるを得ない状況である。

○本日の説明の中で、HGWとPPPoEアダプタの関係の課題については解決の目処が立ったが、HGWとIPv4 over IPv6機能の一体化については、まだまだ解決すべき事項があるという理解でよいか。

○PPPoE方式に関しては、当初からマーケットのオープン性、競争性を確保するために、HGWとアダプタを分けなければならないという結論に至った。そのため、NTT東西、PPPoEを推進しているISPは、その仕様を公開し、NTT東西もその標準仕様に従った設備を整備し、サービスを展開してきた。しかし、IPv6を利用するためには、ユーザがアダプタを購入しなければならず、IPv6対応の足かせとなっていた。そのため、HGWとPPPoEアダプタの一体化によってユーザのコスト負担を避けるための対応が今回実現された。これから数年間で、PPPoE方式を選択しているユーザのかなりの部分がIPv6対応になってくるだろう、というのが今日の前半の議論であった。一方、IPoE事業者は、NTT東西が提供するサービスに相乗りする形でIPv6のビジネスを展開したが、その際に、IPv4のサービスをどうするかということについては、議論されてこなかった。ソフトバンクは、ターミナルアダプタを自分で設置し、そこにIPv4 over IPv6という技術を盛り込んで、コストをなるべく安くする形でIPv6インターネット接続サービスを提供している。他方、JPNEは、HGWだけにIPv4 over IPv6を利用するための機能を導入して、HGWがなければ利用できないような状況となっている。そのため、仕様をオープンにし、HGWがないユーザも利用できるようにすべきというのが後半の議論である。

○PPPoE方式は、事業者間の料金負担も含めて整理されている標準的な方式である一方、IPoE方式は、VNE3社それぞれがNTTと個別に協議し、個別に費用負担して、独自にサービスを提供している状況であり、必ずしも横並びの関係ではないと認識している。この点を配慮いただきたい。

○例えば、アメリカの会社がVNEの4社目として参入し、IPv4 over IPv6のサービスをHGWで提供したいので仕様を開示してほしいと言われたときに、その仕様は国際標準に準拠しており、すぐに開示されるものなのか。また、NTT東西の足回りを使って提供しているサービスと、ISPとの関係については公平性が担保されるべきである。例えば、VNEの4社目に参入してきた事業者が他の仕様でIPv4 over IPv6サービスを提供したいと言ったときに、HGWにはJPNEが入れたソフトがあるから追加できないと言うことは避けられなければならない。少なくとも今使っている技術はちゃんと公開してほしい。また、VNEとしてはISPが様々な形でサービスを提供することを担保すべきである中、HGWがないとIPv4 over IPv6が利用出来ないというのはおかしい。

○JPNEが提供しているv6プラスというサービスは、HGWだけで実現できるものではなく、JPNEの網内の機能との連携により実現されるものである。ただし、国外の会社でも、フレッツジョイントの上に機能要求をすれば、同様のことが出来ると考える。

○フレッツジョイントというのは、要求仕様を出したら、それをすべてHGWに盛り込んでくれるものなのか。

○フレッツジョイントというのは、NTT東西のHGWに対して、ネットワーク経由でソフトをダウンロードして動作させるものであり、誰でも利用できるオープンなものである。ただし、HGWの中でソフトウェアを動かすことになるので、技術的な検証が双方で必要となるが、そのプロセスも定義しているので、問題はないと考える。

○JPNEは、まずは、NTT東西のHGWを利用するユーザからIPv4 over IPv6の提供を開始したとのことであり、これだけでも大きな前進である。しかし、利用するハードにより個別の対応が必要なのは分かるが、今回の対応ですべてのユーザがIPv4 over IPv6を利用できるようになるわけではないので、残りのユーザの対応についても、取組を進めてもらいたい。


・資料24-7について、特定非営利活動法人ASP・SaaS・クラウドコンソーシアムより説明。

○IPv6対応がISPからユーザに進み、それが広がるとデータセンタ事業者が対応しなければならない状況になるという説明は、本研究会の過去の議論と合致する。IPv6インターネット接続サービスのデフォルト提供により、足回りにNTT東西の回線を利用するユーザのIPv6対応が相当進むと考えられるので、データセンタ事業者にも定期的に対応状況を共有していくことが必要だと思う。

○現在、IPv6普及・高度化推進協議会の中で、IPv6の対応状況に関するデータを準備しているところなので、本研究会の中でも情報提供させていただきたい。

○この様な関係者間のコミュニケーションが大切。本日はIPv6サービスの提供範囲の拡大というテーマで、NTT東西やISPの取組を中心に話を伺った。次回はIPv6対応の加速化に向けた更なる取組等について議論をする予定。


(2) その他

○次回会合は、6月10日(月)15時からの開催を予定。詳細は別途連絡する。


以上

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