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IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第25回会合議事概要

日時

平成25年6月10日(月) 15:00〜17:10

場所

中央合同庁舎第2号館(総務省) 10階 総務省第1会議室

出席者(敬称略)

(1)座長
齊藤忠夫(東京大学)
(2)構成員
伊藤公祐(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)、今井恵一(一般社団法人テレコムサービス協会)、江ア浩(東京大学)、奥山八州夫(一般社団法人電気通信事業者協会)、木下剛(一般財団法人インターネット協会)、寺田昭彦(一般財団法人電気通信端末機器審査協会)、立石聡明(一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会)、中村修(慶應義塾大学)、松村敏弘(東京大学)、松本修一(一般社団法人日本ケーブルラボ)、渡辺久晃(一般財団法人日本データ通信協会)
(3)総務省
吉良総合通信基盤局長、安藤電気通信事業部長、安藤総合通信基盤局総務課長、齋藤データ通信課長、中西データ通信課企画官、佐藤データ通信課課長補佐、内藤料金サービス課課長補佐

議題

(1) 民間事業者等からのプレゼンテーション
(2) 第二次プログレスレポートの取りまとめに向けた検討
(3) その他

議事要旨

(1)民間事業者からのプレゼンテーション
・資料25-1〜25-3について、IPv6普及・高度化推進協議会、日本ネットワークインフォメーションセンター、グーグル株式会社より説明。
 
○まず、データの集計に当たり、協力会社各社よりビジネスデータをいただいていることについて、深くお礼を申し上げるとともに、感謝の意を表したい。
 
○資料25-2の日本ネットワークインフォメーションセンターの説明資料の中で、アジアの動向について説明いただいたが、実際に、ベトナムやインド等のアジア諸国よりIPv6対応に係る支援をしてほしいとの要望が挙がっており、我が国としても、戦略的に支援していくことが必要である。
 
○資料25-1のIPv6普及・高度化推進協議会の説明資料の中で、日本国内のIPv6トラヒックが3ヶ月で2倍弱に増加したということであった。このペースでいくと、今後、加速的にIPv6トラヒックが増えるのではないかと思う。パソコンやスマートデバイス、セットトップボックスやモバイル端末などが、ほぼIPv6に対応していることが後押ししている主な要因だと思う。
 
○今のコメントに関連して、3ヶ月で2倍弱のペースでIPv6契約数が増えているというのは、インフラの準備は整っていて、実際に使うユーザが付いてきているためであると考えられる。
 
○世界的に見ても、日本のコンテンツのIPv6対応は遅れを取っている状況である。日本のユーザ、端末、ネットワークについてはIPv6の環境整備が進んでいる中、今後はコンテンツの対応を進めていかなければいけないと、プログレスレポートに入れていただければと思う。
 
○IPv6を利用するための環境は整備されつつあるが、IPv6の契約数はまだ少なく、IPv6の契約数を増やすための障害を取り払うための取組が進められているというのが現状だと思う。IPv6の契約数をこのペースで増加させるためには、未だ手続の面等で課題が残っていることから、当該課題を解決するための取組を進めることが重要と考える。
 
 
・資料25-4、25-5について、楽天株式会社、株式会社ディー・エヌ・エーより説明。
 
○CGNが導入され、1個のアドレスを複数ユーザが共有する環境が加速することにより、今後、コンテンツビジネスへの弊害が出てくるのではないか。
 
○CGNが導入されることにより、アクセスログの管理が複雑になると一般的に言われているが、当社の場合はユーザ認証したIDに紐付けて、会員情報、アクセスログ、時間、サーバを連動させており、まだ問題は顕在化していない。
 
○デュアルスタック方式でIPv6に対応した場合、IPv4とIPv6のアクセスログ情報が混在し、ログを解析するソフトウェアは複雑になることが想定される。IPv6のみにしてしまった方が、運用も楽になるのではないか。
 
○現時点において、IPv4を無くすということはインパクトが大きく、IPv6のみというのは考えていない。
 
○ウェブコンテンツは様々なライブラリの上に実装されているが、ソフトウェア技術者の視点では、IPv4とIPv6のデュアルスタックオペレーションとなると処理が大変になるが、実際には全てIPv6だと思って運用する方が非常に楽だと思う。IPv6のみのオペレーションになるのはいつ頃と考えているか。
 
○適切な回答は持ち合わせていないが、ご指摘のとおり、1つに統一した方が楽に扱えるようになると思う。時期については、随分先と考えている。
 
○米国では既にベライゾンがIPv6で運用を始めており、中国でもモバイルのIPv6対応が進むと想定される。他の携帯事業者においても、IPv6対応が進んだ場合、グローバルに展開する楽天やDeNA等のコンテンツ事業者は、早めにIPv6を基本として運用したほうが楽なのではないか。
 
○IPv4のプラットフォームに対してかなり作り込みをしている都合、IPv4に依存している環境になっている。今後、コンテンツ側でIPv6対応するとなると、同様の機能について、IPv4で構築したものと同じものを新規に開発せざるを得なくなり、コスト面から対応が難しい状況である。
 
○コンテンツ事業者においては、ユーザがIPv6対応すれば、サービスもそれほど問題なくIPv6対応できるとの理解でよいか。
 
○然り。マーケット、特にユーザに対する機会損失というのは、売り上げに直面するところ。このため、IPv6でしか繋がらないユーザが出てくるというタイミングに対して、我々コンテンツ事業者がどれだけ先行してIPv6のプラットフォームを作り、その機会損失を最小限に抑えられるかいうのが、我々のIPv6に対する基本的なアプローチであると思っている。
 
○以前、グーグルがIPv6対応をした際に、フォールバック問題が日本で起きていた。フォールバックによる遅延が生じてしまうと、コンテンツ事業者にとっては機会損失になるという話があったが、楽天にとっても大きな影響が生じるのか。
 
○プラットフォームがIPv4に依存しており、フォールバックによる遅延が生じてしまうのは致命的な問題になる。このため、当該問題が解決されない限り、IPv6対応は行わない考えである。
 
○そもそもIPv6でサービスを提供していればフォールバックは起きない。現在、サイトへの接続に当たり、まずIPv6でコネクションを張り、IPv6でつながらない場合にIPv4でコネクションを張る設定になっている。楽天がIPv6に対応していないことにより、ユーザはIPv6からIPv4による接続に切り替えるために時間を要することから、楽天にとって機会損失となっているのではないか。
 
○現時点では、そこまでの影響は観測されていない。影響が出るタイミングの見極めが重要になってくるが、そのタイミングに先行してIPv6対応に取り組む考えである。
 
○資料25-5のディー・エヌ・エーの説明資料の中で、3G、LTE網のIPv6対応がとてもインパクトあるという説明があった。楽天の場合も同様に、モバイルの対応はインパクトがあるのか。
 
○モバイル、ゲーム系のコンテンツ事業者とは、若干、状況が異なる。我々の場合、トラヒックのほとんどがPC経由のものであり、モバイルは未だこれから展開しようというタイミングである。スマホ向けのコンテンツのIPv6対応については、ディー・エヌ・エーをはじめとした他社と比べると若干遅いと思う。
 
○モバイル系のトラヒックは、ものすごい勢いで増えているのではないか。
 
○然り。モバイルトラヒックが急増しているので、今のPCのプラットフォームと同等のレベルまで、モバイルのプラットフォームを成長させることに注力している。モバイル事業者がIPv6対応すれば、1つの重要な転換期になると思う。
 
 
・資料25-6、25-7について、株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社より説明。
 
○固定系では、機器のライフサイクルが長いことにより、古いHGWはIPv6対応ができない等の課題が挙がっている。一方、携帯の場合は、端末は2〜3年程度で買い換えるものであり、一般的には携帯の方が固定系に比べて技術進歩が著しいはず。しかし、IPv6対応については、携帯の方が進展していない状況である。携帯は、トラヒックの急増に伴い、インフラも更新されていくと思うが、固定系に比べてIPv6対応が難しい理由が何かあるのか。
 
○KDDIでは、固定系の場合はauひかりの全国展開のタイミングに合わせてIPv6対応を行ったため、対応しやすかった。モバイルの場合は、トラヒック増への対応が固定系よりも厳しく、また、固定系に比べてシステムが複雑であるため、対応に違いが出ている。
 
○スマートフォンの利用者数の増加に伴い、10から始まるプライベートアドレスの他、100から始まるシェアードアドレスも使い始めている。同じIPv4アドレスを複数のところで使い回すために、大規模なNATを構成して、網全体として不安定になるという問題は生じないのか。
 
○現在、アドレスの重複がないか確認を取りながら運用しており、問題は発生していない。中期的にはIPv6対応していかないといけないという認識を持っており、計画的に取り組んでまいりたい。
 
○IPv6対応に向けてのマイルストーンは存在するのか。ベライゾンが3GからLTEへ移行するタイミングでうまくIPv6対応を行ったという事例があるが、要求仕様の段階からIPv6対応というような形で出して、IPv6を実装していくというのはきれいなマイルストーン。今、日本の携帯事業者は、IPv6のサポートに対して何らかの計画はあるのか。
 
○KDDIでは、まだ具体的な計画までは描けていない。
 
○資料25-3のグーグルの説明資料の中で、Galaxyは既にIPv6に対応しており、Android OSもIPv6に対応し、デュアルスタックになっているとの説明があった。この状況で、海外でスマートフォンを買えば、デュアルスタックのファームウェアが使えるような状況であるにも関わらず、NTTドコモ向け端末を買うとIPv6が使えないという状況をいつまで続けるつもりなのか。
 
○具体的にいつということについて、現時点で回答することはできない。
 
○ドコモから携帯端末を買った場合、IPv6のサービスを利用できない設定となっており、グローバルなマーケットの中で、日本のユーザだけが機会を損失してしまっているという状況にある。世界的に見ても、モバイル分野でIPv6のオペレーションが始まり、携帯端末もIPv6に対応している中で、日本の携帯事業者はIPv6そろそろIPv6対応のスケジュールを示す時期に来たのではないか。
 
○NTTドコモの中でもIPv6対応に向けた評価・検討を始めているが、端末、ネットワークと影響範囲が多岐にわたるため、急に対応できるものではない。今後、影響範囲の検討を踏まえ、計画を立てていきたいと思っている。
 
○例えば、来年ぐらいに、IPv6インターネット接続サービスをデフォルト提供する時期や各種サービス・端末のIPv6対応時期等の計画を公開できると、ユーザとしても嬉しいのではないか。
 
○社内へ持ち帰り、検討させていただきたい。
 
 
・資料25-8について、財団法人 地方自治情報センターより説明。
 
○資料25-8の地方自治情報センターの説明資料の中で、7ページの図1のアンケート結果の中央の項目は、「IPアドレスを利用していない」ではなく「IPアドレスを取得していない」の誤りではないか。
 
○確認する。
 
○日本政府は、各省のIPv6対応のフォローアップについて、2年ぐらい前に計画を出していたが、そのフォローアップはあるのか。
 
○各省のIPv6対応については、内閣官房が総務省の協力を得て、フォローアップを行うこととなっている。今年度の調査結果については、まだ公表されていないが、内々に伺っているところでは、約半数のウェブサイトがIPv6対応している状況である。また、設備更改のタイミングでIPv6対応することが各府省のCIO連絡会議で決定がなされている。
 
○地方公共団体ではまだ、IPv6対応に向けた検討にも至ってない状況なのか。
 
○然り。地方公共団体全体が集まり、協議をやっているとは聞いていない。IPv6のみでしかアクセスできないユーザが地方公共団体のサイトを閲覧できなかったり、申請システムを利用できないとなると問題となるため、コンテンツ事業者と同様にそのようなユーザが出てくる前に対応することが必要と考えている。
 
 
(2)第二次プログレスレポートの取りまとめに向けた検討
・資料25-9について、事務局より説明。
 
○第二次プログレスレポートでは、デフォルト提供というのが非常に大きな話で、皆様にご努力いただいてIPv6対応が進んできている。今後それに対応するような提言をして、さらにIPv6の促進を図っていくということになる。
 
○今回のポイントは2つある。1つはエンドユーザに負担をかけないということ。例えばIPoE方式でIPv6を利用するためには、フレッツ・v6オプションの加入が必要だが、現時点では、加入するためにエンドユーザの対応が必要となっており、IPv6の普及にとって非常に大きな障害となっている。この障害をなくすための対策を検討することが、1つ大きな話になると思う。2つ目は、技術仕様の公開を行うということ。つまり、どのような技術仕様を実装しているのかというのを公開し、サードパーティーが競争に入れる環境を担保することが大きなポイントと思う。
 
○資料25-9の19ページの申込手続の簡素化について、IPv6の利用拡大を進めるために、ISPはインターネット接続サービスのデフォルト提供に向けて取り組んでいるところ、NTT東西も、新規ユーザだけでなく、既存ユーザに対してもフレッツ・v6オプションをデフォルトで提供すべきである。また、18ページのIPv6インターネット接続サービスの提供範囲の拡大については、NTT東西の協力が無いと話が進まないので、JAIPAとNTT東西が取り組むという形に修正いただければと思う。
 
○PPPoE方式では、HGWにアダプタ機能を遠隔でアップデートできる目処が立ち、NTTコミュニケーションズが来年4月から既存のユーザに対して、IPv6インターネット接続サービスのデフォルト提供を行うことが、この報告書の中にも書かれている。これは、すばらしいことだが、少なくともPPPoE方式ではユーザの同意がなく、網側からのISPの設定変更だけでIPv6インターネット接続サービスを提供できる。一方、IPoE方式がエンドユーザから同意を取らないとIPv6インターネット接続サービスを提供できないということになってしまうと、NTTコミュニケーションズは既存ユーザに対してIPv6インターネット接続サービスが提供できて、IPoE方式を採用している他のISPはそれができないということになってしまう。これは大きな論点だと思う。NTT東西とIPoE方式のISPは、少なくとも来年PPPoE方式のISPがIPv6インターネット接続サービスをデフォルトで提供するまでに、何らかの解決策を見出していただきたい。ISPがちゃんと競争できるような環境を担保することが重要である。これに関連して、フレッツ光ライトのIPv6化について、無理なことは言いたくないが、NTT東西は、エンドユーザになるべく意識させずにIPv6インターネット接続サービスを提供することを目指して、フレッツ・v6オプションの扱いについて検討を進めていただきたい。最後に、今後の重要課題の中で、モバイル事業者が将来的なIPv6対応スケジュールを示すことにより、コンテンツ事業者や、他のビジネスプレーヤがIPv6対応に係る計画を立てやすくなるのではないかと思う。そのため、モバイル事業者は、そろそろラフなスケジュールを出していただきたい。ドコモ、KDDI、ソフトバンク、各社ビジネスで取り組んでいるので、これからの事業展開を公開はできないというのはよくわかるが、ある程度の時期を目処に方向性を出していただかないと、ほかのビジネスプレーヤが困ると思う。
 
○IPv6の利用者は現在着実に増えているが、この増加のペースを維持することが重要。そのためには、固定系よりも加入者の伸び著しい携帯事業者のIPv6対応が必要。携帯事業者は、トラヒックの急増に対する対策のほうが重要で、IPv6の対応は二の次になっているように思えるが、トラヒックの伸びに応じて機器を更改することを契機にIPv6対応を進めてほしい。
 
 
(3) その他
 
○事務局で報告書案の作成に向けた作業を行うところ、追加で意見があれば、今週中に事務局までご連絡いただきたい。
 
○次回会合は、7月1日(月)15時からの開催を予定。詳細は別途連絡する。

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