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IPv6によるインターネット高度利用化に関する研究会
IPv6によるモノのインターネット社会ワーキンググループ(第1回会合)議事概要

日時

平成21年9月3日(木) 10:00〜11:45

場所

総務省 8階 第1特別会議室

出席者(敬称略)

(1) 主査
中村修(慶應義塾大学)

(2) 構成員
会津泉(多摩大学)、阿賀谷匡章(株式会社ジュピターテレコム)、依田高典(京都大学)、内山昌洋(パナソニックコミュニケーションズ株式会社)、小畑至弘(イー・アクセス株式会社)、笠原秀一(株式会社ウィルコム)、菊池正郎(ソネットエンタテインメント株式会社)、岸川徳幸(NECビッグローブ株式会社)、木下剛(シスコシステムズ合同会社)、高井時雄(代理:大橋氏)(財団法人日本データ通信協会)、高瀬晶彦(株式会社日立製作所)、丹波廣寅(ソフトバンクモバイル株式会社)、林一司(代理:木村氏)(ニフティ株式会社)、細川雅也(日本アイ・ビー・エム株式会社)、真崎博司(ソニー株式会社)、松村敏弘(東京大学)、松本佳宏(株式会社ケイ・オプティコム)、三膳孝通(株式会社インターネットイニシアティブ)、森島昌俊(株式会社NTTデータ)、山下達也(NTTコミュニケーションズ株式会社)、山下良蔵(代理:井上氏)(日本ケーブルラボ)

(3) 総務省
福岡電気通信事業部長、山田総合通信基盤局総務課長、長塩データ通信課長、中沢データ通信課企画官、武馬データ通信課課長補佐

議題

  1. ワーキンググループの検討事項について
  2. 構成員からのプレゼンテーション
    (1) ネット家電の現状と今後(内山構成員)
    (2)「Internet of Things」を取り巻く環境について(真崎構成員)
  3. 自由討議
  4. その他

議事要旨

【ワーキンググループの検討事項について】
○ 事務局より「ワーキンググループの検討事項について」(資料WGモ1−1)について説明。


【構成員からのプレゼンテーションについて】
○ 吉田氏より「ネット家電の現状と今後」(資料WGモ1−2)について説明。
○ 真崎構成員より「「Internet of Things」を取り巻く環境について」(資料WGモ1−3)について説明。

【自由討議】
○大学のエンジニア系の研究者と議論して感じたのは、エンジニアはIPv6へ移行することについて冷ややかであるということ。理由は2つあって、1つは、10年前から騒がれているが、NATやその他の新しい技術がでてきて何とかなるのではと思っているということ。エンジニアの間では、IPv6に移行することの重要性が共有できていないと感じた。もう一つは、IPv6により実現できる社会について、IPv4でもできるし、IPv6を使うことは対応する人の首をしめることになるのではないかということ。社会全体で新しいサービスを実現するにはIPv4では限界があり、IPv6が必要かもしれないが、エンジニアにIPv4でも大丈夫と言われると素人は困ってしまう。どの程度のサービスならIPv6が必要なのかという臨界点の見極めが必要であり、エンジニアの考えを払拭できる理論武装ができると良い。モノのインターネットでどのように社会に付加価値を付けられるかという絵が描いて、人々に夢を与えられるような大きなウェーブを起こせると良い。また、古いインフラから新しいインフラに移行するときにはコストが生じるため、社会効率的には移行しない可能性も踏まえて、コンセプト作りが必要だと思う。
○技術者の中には保守的な人たちもかなりいるので、IPv6移行についてのコンセンサスを得るのは難しい。ユーザーの利用拡大がIPv6移行のモチベーションになるだろう。パソコン通信のようなネットワークがインターネットに移っていったように、うまくシフトさせることが重要である。日本のかつてのネットワークの利用は万のオーダーであったが、それが億のオーダーになり、家電などのモノがつながるようになると億〜兆のオーダーになる。この先、使ったらなくなるようなモノがネットワークに繋がるようになると、更に上のオーダーになり、そうなるとIPv6移行するのかもしれない。

○固有識別子とアドレッシングを結びつけて良いかは疑問。一つの識別子に余計な意味を持たせると、うまくいかなかった時に後戻りできなくなる。まずはポリシーを決めて、体系作りをすることが必要だろう。

○2つのプレゼンにあった、IPv6のサービスは売れないという問題と1企業ではできることに限界があると言う問題は、ネガティブなイメージという点で共通している。今後、IPv6に対してポジティブなイメージがはっきりしてくると良いだろう。インターネットが広がったのは、メールやウェブといった便利でシンプルなものがあった上で、ユーザーがうまい使い方を考えたからであり、オープンなプラットフォーム上でイノベーションが起こったからだと言えるだろう。IPv6対応については、何をオープンにするかの議論が必要だろう。また、モノのインターネット社会の絵を描いてみるだけでは、IPv6対応がビジネスにならないといった問題は解決しないだろう。家庭内ネットワークはまだIPv4がほとんどだが、いつIPv6に移行するのか分からないような状況の中で、描いてみた絵を現実の社会で実現するにはまだ課題が多そうだ。

○IPv6の需要が見えないのが一番の問題だと思う。ネットワークにつなぎたいモノが増えるだろうというのはコンセンサスとなっているが、ISPの観点からは、本当に多くのモノをつないでよいかは疑問。例えば、センサーをたくさん使うことになった場合、セキュリティ機能を持たせるとセンサーの単価が上がってしまうので、ISPでセキュリティを保証して欲しいとなるが、そうするとISPにもリスクが生じることになる。

○IPv6移行するためのキーワードは3つあると思う。一つ目は、ルーティング。ルーティングできる数は、CPUの処理能力を考えると今は40万経路程度である。そこから、どの単位でルーティングすれば良いのかが分かるだろう。二つ目は、DNS。今後モノとモノがつながるいわゆるM2Mは、DNSがいらないかもしれないが、そうなるとモノとアドレスをつなぐ新しい仕組みを作る必要がある。三つ目は、DOSアタック。ネットワークにつながるということは、DOSアタックの危険性があるが、それを止めるための仕組みが必要だろう。これら三つの観点をベースに、ネットワーク構造を考えるのが良いのではないか。

○アドレスを誰が割り当てるかが重要な問題だと思う。現在、家庭のIPアドレスはISPが割り当てているが、今後はそれ以外も考えられる。IPv6マルチプレフィックス問題では、NTTとISPの2者の問題であったが、方向性が決まるだけでも1年かかった。今後IPv6アドレスの利用が増えるともっと問題が起こるかもしれない。アドレス付与の方式にもユニバーサルな方式が必要だろう。

○既にIPv6のサービスは一部で始まっている。何が夢で何が現実かを見極める必要がある。どうやったら売れるようになるかを考えるのが面白いのではないか。事業者が協調しているサービスは今でもあるが、IPv6移行でも一緒にやっていく部分が見いだせると良い。どこまでできるのかとう議論も必要だろう。

○家庭にある家電は、ネットワークにつながるものがいくつかあったとしても、それぞれが別のメーカー製だとつながることはない。そこを標準化してつなげるようにするのは難しいかもしれないが、海外も巻き込んでチャレンジすることは必要ではないか。各社が自社製品だけを垂直統合で考えていては限界がある。iPhoneのアプリケーションのようなオープンプラットフォームな仕組みを考えないと、モノのインターネット社会を実現することは難しいだろう。

【その他】
○ 今後のモノのインターネット社会WG検討スケジュール(案)について連絡。
以上

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