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IPv6を用いた環境分野のクラウドサービスワーキンググループ(第1回会合)議事概要

日時

平成22年3月31日(水) 10:00〜12:00

場所

総務省 10階 総務省第1会議室

出席者(敬称略)

(1) 副主査
中村修(慶應義塾大学)
(2) 構成員
今井恵一(社団法人テレコムサービス協会)、今田正実(特定非営利活動法人 ASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム)、内山昌洋(パナソニック システムネットワークス株式会社)、喜多裕彦(代理:三瓶氏)(社団法人電気通信事業者協会)、北村倫夫(株式会社野村総合研究所)、木下剛(代理:小野寺氏)(シスコシステムズ合同会社)、坂口肇(UQコミュニケーションズ株式会社)、紫関昭光(日本アイ・ビー・エム株式会社)、高瀬晶彦(代理:矢崎氏)(株式会社日立製作所)、立石聡明(社団法人日本インターネットプロバイダー協会)、田中寛(KDDI株式会社)、出口幹雄(富士通株式会社)、馬場覚志(NTTコミュニケーションズ株式会社)、原田典明(日本電気株式会社)、松本佳宏(株式会社ケイ・オプティコム)、宮坂肇(株式会社NTTデータ)、三膳孝通(株式会社インターネットイニシアティブ)
(3) 総務省
福岡電気通信事業部長、長塩データ通信課長、中沢データ通信課企画官、武馬データ通信課課長補佐

議題

  1. ワーキンググループの検討事項について
  2. 構成員からのプレゼンテーション
    (1) スマートグリッドと課題(日本アイ・ビー・エム株式会社 岡村氏)
    (2) スマートグリッドの現状について(株式会社NTTデータ経営研究所 村岡氏)
  3. 自由討議
  4. その他

議事要旨

【ワーキンググループの検討事項について】
・ 事務局より「ワーキンググループ 検討事項(案)」(資料WG環1−1)について説明。

【構成員からのプレゼンテーション】
・ 岡村氏より「スマートグリッドと課題」(資料WG環1−2)について説明。
・ 村岡氏より「スマートグリッドの現状について」(資料WG環1−3)について説明。


【自由討議】
○ 米国では、消費者から、家電の古さが分かってしまうため売り込まれる等の懸念の声があり、去年の10月頃からスマートメーターの導入が鈍化している。電力会社としても、ビル内の電力メータをスマートメーターに切り替える工事費がネックになっている。
一方、EUでは、双方向の通信が行われている。例えば、海水プラントを作り水の生産情報を消費者に渡し、消費者の水の消費量をフィードバックしている。盗水、盗電の防止に特化したITが導入されている。
スマートグリッドで使われる典型的な双方向通信のインフラのイメージは、家電のコンセントに別のコンセントをつけ、そこから得られる情報を宅内のスマートメーター等を介して、地域レベルで集約し、さらにインターネットや専用線を通じて発電所に繋がるというもの。
発電所からは地域ごとの総発電量を見て、地域ごとの電力の供給と消費のバランスの状況を確認している。なお、現在は、その状況を統計的に見て、翌日の発電量を計画しており、発電量のインタラクティブな変更は行っていない。
○ 情報インフラが整っていない国にとって、スマートグリッドを導入するコストは高いが、日本はインターネット普及率が高いので比較的導入しやすい。ただし、電力消費を最適化することで電力の生産量が落ちてしまう場合があるため、そこのバランスがある。
○ 海外では、電力だけでなく、水やガスもスマートグリッドの対象。水は全体から見ればほんの少しだが伸び率は大きい。
○ スマートグリッドの導入を促進する戦略として、電力に着目して電力会社のインフラからスマート化していく戦略、家庭の中(マイクログリッド)からスマート化していく戦略の2つがあると思う。海外は電力会社が主体であり、電力会社がスマートメーターを買って設置する。盗電や不払いの客に対して電力の供給をシャットダウンできるため、電力会社がスマートメーターを買ってもペイできる。ただし、日本でそのモデルがうまくいくかは分からない。
○ なお、自治体が主体となり、電力会社を含めた様々なプレーヤーを集めてスマートシティやスマートコミュニティを形成するという方策を取っている例もある。
○ 水、電気等様々な消費量情報をスマートグリッドで可視化して消費をコントロールする以外にも、その情報によって、別の新たな価値を生むことも方向性としてあるのではないか。
○ 今まではエネルギーを管理するハードウェアを設置するのは主に電力会社だったが、今後は消費者に費用負担を求めるモデルにするのか、別のモデルにするのかによって、消費者分野のビジネスを拡大するキーになる。モデルを作り、費用負担については誰からどう徴収するのかということまで考えなければ、普及するかどうかは分からない。
○ 自分の家の消費電力量情報を売るマーケットができるといいと思う。消費電力を知りたい電力会社に、情報を持っている各家庭がマイクログリッドの情報を売ることによって、電力利用料金が戻ってくるとなるとおもしろい。
○ しかし、今は電力会社がスマートメーターを設置するので、自動的に家庭の消費電力量情報が収集される。海外では、自分の消費量情報をただで持って行かれるということに対して懸念を持たれている。
○ 誰がどれだけ電力を使っているのかという情報は電力会社のものであるという話が出たが、米国では(電力会社以外の)グーグルが利用者の電力消費量をビジネスにつなげようとしている。こうしたビジネスにどういったプレイヤーがいるのかを整理する必要があるという話も出たが、法制度の話も絡むのであれば、技術面のセキュリティを洗い出すのと並行して整理する必要がある。現状、米国で、情報がだれのものであるかという話が法制度においてどう整理されているのか、また、グーグル以外の企業でもその情報を利用する新たなビジネスを模索できるようになっているのか知りたい。
○ グーグルはグーグルパワーメーターというサービスを検討しているが、そこで得られる情報については、まず電力会社と顧客の間で同意があって、さらにグーグルと電力会社の間で、電力会社が収集した情報をグーグルに提供することについて契約等がある。
○ スマートグリッドの標準化については、IETFに議論する場ができた。次回のWGにおいて、それに関するプレゼンを行う。
○ 世界的な流れに対して、日本の中で検討したフレームワークなどが今後のWGで出てくるのか。
○ スマートグリッドに関する全ての標準化についてこのWGで議論することは適当ではない。各家庭の情報通信環境やセンサーが組み込まれたマイクログリッド、家庭の集合体である町、さらにはその上位のグリッド群というアーキテクチャがあることを前提として、本WGでは、事務局案であるプライバシーやセキュリティにフォーカスして議論していけばいいと思う。
インターネットを介して、家庭からの情報収集、家庭に対するフィードバックを行うことを前提とし、更にIETFでの議論を踏まえながら議論を進めていくものと思う。実証実験で追加で実施したいことがあれば、フィードバックをかけられる。次回、案を事務局から出す。
○ ガイドラインにおいて規定するのは、環境負荷軽減の一つのモデルに特化したものであり、あらゆるモデルを本WGで検討することは考えてない。資料WG環1−1は骨子の骨子という位置付けであり、次回はこれに肉付けしたものを出す。
○ IPv6環境クラウドサービスは高度化された社会インフラであることが重要である。IPv6環境クラウドサービスを実現するセンサーネットワークには、スマートメーター以外にも電子タグを含め様々なセンサーがあり、それらを利用してCO2排出量を捉えようとすることが、センサーネットワークの社会インフラとしての姿。そのため、IPv6環境クラウドのターゲットはスマートグリッドだけではないと思う。
また環境対応にはステップがある。第1ステップとしての見える化にどうセンサーネットワークとIPv6で貢献するか、第2ステップとしてのCO2削減にIPv6環境クラウドをどう適用するかが議論のポイント。CO2削減をASP/SaaS(≒クラウド)でやる場合の具体イメージを整理してはどうか。
最後に、議論の切り口や枠組みを明確にしてその中でスマートグリッドがどういう位置付けにあるか整理してはどうか。
○ 環境グリッドという定義は正確に捕らえたほうがいい。だれがどう集めてどう管理するのかにフォーカスして議論することはよい。
○ 資料1−1のサービスをだれがどういうビジネスとしてやるのか、セキュリティを議論するにも、モデルを具体化し、ビジネス、プレイヤーを想定して議論を進めていくことは必要。
○ ある程度NISTのガイドラインを参照しつつ、実証実験フィールドで細かいところを詰めるのが妥当。
○ かなり広域で実施するビジネスモデルでの実証が有効。
○ ビジネスモデル等も実証実験の中で見えてくると思う。前半は、NISTをベースにして骨子を作っていきながら、実証実験にフィードバックし、実際に実証実験からフィードバックをもらいながらこのWGで検討していくという進め方になる。1年間の中で、実証実験とあわせて行っていき、ガイドラインを策定できればと思う。
○ 当初はネットワークのセキュリティという面で少し狭く捉えていたが、ビジネスモデル、情報の管理、情報の売買といった広めの課題も視野に入れながら、当面はネットワークのセキュリティをターゲットに絞ることにしたい。次回は、まとめすぎず、しかし抽象的にならないようにという観点で、素材として提出する。
○ モデルのスケールとセグメントを整理した上で、何が脅威なのか、それに対する要求条件が何か、スマートグリッドを普及させるためには何が必要で、利用者から見て何がうれしいのかを整理した上で議論しないといけない。

以上

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