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IPv6によるインターネット利用高度化に関する研究会第11回会合議事概要

日時

平成23年5月19日(木) 13:00〜15:00

場所

総務省第3特別会議室

出席者(敬称略)

(1) 座長
齊藤忠夫(東京大学)
(2) 構成員
会津泉(多摩大学)、荒野高志(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)、依田高典(京都大学)、今井恵一(社団法人テレコムサービス協会)、江ア浩(東京大学)、近藤 寛人(社団法人電気通信事業者協会)、清水博(財団法人電気通信端末機器審査協会)、高橋徹(財団法人インターネット協会)、立石聡明(社団法人日本インターネットプロバイダー協会)、中村修(慶應義塾大学)、松本修一(代理:平出氏)(日本ケーブルラボ)、村松茂(財団法人日本データ通信協会)
(3) 総務省
桜井総合通信基盤局長、原口電気通信事業部長、前川総合通信基盤局総務課長、泉データ通信課長、中沢データ通信課企画官、田邉データ通信課課長補佐

議題

(1) IPv4アドレス在庫枯渇及びIPv6導入に向けた対応状況について
(2) IPv6導入促進に向けた今後の検討について
(3) 構成員/オブザーバーからのプレゼンテーション
(4) その他

議事要旨

・資料11-3について荒野構成員から説明。
○ APNICで実績ありと書かれているのは、日本以外のアジア地域では既に実績があるということか。
○ 正確に言うと、APNIC会員間、もしくは会員になることを条件に、アドレスを譲り受けることができる。JPNIC会員間、あるいは新しく会員になる方の間の移転はまだルール化されておらず、夏ぐらいになる予定。
○ いずれはIPv4アドレスの価値はゼロになるはず。それでも、今後3年間使えるなら、そこに価値があると考える人もいるだろう。投機的な取引等は心配しなくてもいい気もするが、JPNICには、関連した話題が出た際に適切に周知していただけると良いと思う。

・資料11-1、11-2について事務局から説明。
○ 2点質問がある。1点目は、資料11-1にIPv6接続サービスの価格がIPv4に比べて同等かという質問があるが、これはデュアルスタックのサービスについてか。つまり、デュアルスタックになったのに、値段が2倍になるということはない、ということを確認したい。2点目は、今後の考え方のところに、政府系システムの話が出てないのが少し気になる。少なくとも対外的なサーバはデュアルスタック化するということを結論として言っていただきたい。
○ 最初の質問は、デュアルスタックサービスを提供する際ということ。価格が2倍になるということは、もう使ってもらえないということだと思う。
○ 調査結果を見ると、1年前に比べてISPはIPv6対応しなければいけないと思い始めているようだ。その中で、ISPのユーザーはどうしたらいいのかという話と、コンテンツサービスが日本ではどうなっているのかという話しがあると思うが、日本のコンテンツプロバイダーの対応状況はどうか。
○ 網羅的な調査はできていない。個別にソニーやKDDIがIPv6対応のホームページを作成していたり、日本のコンテンツプロバイダーの中でも対応を進めていたりするようだ。そういう企業は「World IPv6 Day」に参加表明している。
○ 資料11-1の中で、ISP 553社に対して回答が16%というのはかなり少ない気がする。この割合は、ISPとしての登録はたくさんあるが、実際にサービス提供しているISPを見ると553社もなく、実質的には高い割合の回答があったと思って良いか。それとも、500社ぐらいはISPサービスをやっているものの、その一部しか回答が来なかったと考えるのか。
○ 電気通信事業者の登録は1万社近くあるが、JAIPAが把握しているところでは、数年前にISP事業を運営しているところは千数百社あった。調査の回答率が低いようだが、今回の結果に違和感はなく、JAIPAが行ったとしても同じような傾向が出たのではないかと思う。
○ これからインターネットは、次世代インターネットのようにコンテンツアドレッシング、オープンフロー等、どこかでIPアドレスが出てくと思うが、一方でインターネットは誰もIPアドレスに注意を払わないで済むような姿になるという研究もある。オープンフローになると、ISPはなくなるという極端な話すらなくはない。
○ APNICからグローバルなIPv6ルーティングの増加等の情報が出ており、この1年間で急速に伸びてきているようだ。また、DRENというアメリカ国防総省のリサーチネットワークはIPv6対応を完了しており、今でも10%位がIPv6のトラフィックになっているようだ。専門的なネットワークであり、アメリカのネットワークの方向性を牽引するところなので、そういう意味では、将来的にコンテンツルーティングみたいなものも出てくるかもしれない。今後のことははっきりとはしていないが、現在、ネットワークは確実に変遷が進みつつある、ということだと思う。
○ 2点聞きたい。1つ目は、ほとんどIPv6対応に興味を持っていない社が多いのではないかということ。加入者ベースで大半を占める部分以外は気にしないという考え方も、今の議論を聞いて1つの見識だと思う。もう1点は、ISPは基本的には値段を上げる意思はないということ。まだ導入も検討してない状況で回答されているので気になる。IPv6対応のコストをどう吸収するか。このアンケートを素直に読み解くと、中小はサービス料金を上げるに上げられないで、淘汰、吸収されていくという道筋しかないんだろうなという解釈、印象を持った。
○ IPv6対応のコストはそれなりに高まっているはずなのに、上げないで企業努力の範囲内で吸収してやっているのは大変すばらしいので、そこはまず評価をする。逆に言うと、料金を上げるに見合うだけのサービスがまだ全然ユーザー側に出せてない状況にあるのだろうということを読み取れる。これは今後の課題だろう。
○ IPv6対応にコストがかかるという話やサービス料金を値上げするという話など色々あると思うが、基本的にはIPv6はユーザー数を増やすことができる技術なので、ユーザー当たりの値段が上がらなくても、ISPの収入は上がるかもしれない。端末の数は増えているので、どう料金を取るかというのは、1加入でいくら、という単純なものではなくなるということは十分あり得る。インターネットのステークホルダーのあり方、総務省の役割というのは変わってくるというのは、まだ研究レベルかと思うが、今のとおりのインターネットのビジネスモデルがずっとあるわけではないと感じる。
○ いわゆる1次プロバイダーがアクセスポイントを提供しているか現状は分からないが、中小ISPはIPv6の回線を使いたくても使えないという状況もあったので、対応が遅れているというのはある。感覚的には、IPv6に関してそんなにネガティブに言っている人は、現在はほとんどいないと思う。
○ ADSLのIPv6対応に関しては、代表的なものとしてソフトバンクが6rd方式で既にサービス提供している。
○ 中小プロバイダーが体力負けするという懸念があったが、IPv6対応を容易にできるようにするためのテストベッドを用意してきた。また、大手ISPの対応により、機器の完成度が上がっている状況だと思う。1年前とかに比べるとかなりIPv6導入に対しての人的な部分は楽になってきているし、製品としてもトラブルの部分が大分減ってきている。特にCATV事業者の方々は、テストベッドを活用して移行に対してのトレーニングをかなり行うことができたようだ。
○ ISPのヒューマンリソースの話は、1年ぐらい前まではボトルネックの1つだと言われていたので、非常に進歩したということならば、IPv6研究会及びその関係者が大変努力した結果だと思う。IPv6の普及において、官庁関係のシステムをIPv6対応することが求められるという話があったが、ISPの状況、それにまつわるエンドユーザー、コンテンツサービスプロバイダー、一般企業ユーザー、全て共通してIPv6人材問題というのがあると思うので、ヒューマンリソースがそろってくればよいと思う。コストがかかるというのも人材がいないからかかるというケースが多いと思う。
○ IPv6対応のコストは、一定以上の規模のあるISPから見ると、結局追加投資するから、その上でIPv6対応もするという話になるかもしれない。しかし、中小ISPは、例えばトランジットを考えてみても、回線を別に契約して2つのトランジットを作らないといけないケースもあり、それなりにコストがかかるだろう。
○ 官庁のIPv6対応については、電子政府推進計画において2010年までに対応を図るべくスケジュールの具体化を行うということが書いてある。実行は各省庁に任されているが、改めて各省庁のホームページを見ると、対応できているところは、総務省、国税庁、その他非常に限られた省庁にとどまっている。改めて現在の進捗状況を調べ、しかるべき時期に出したいと考えている。
○ ADSLについて、ソフトバンク等の対応はどうなっているのか。
○ ソフトバンクは、6rd方式でサービス提供しており技術としてできているが、ホームルーターが新しい技術に対応していくのかとか、ホームルーターの置き換えの問題というのは、しっかり見ていく必要がある。
○ ハードディスクレコーダーの問題に関しても、これは気づいている人は準備しているので、それがビジネスになるか、ならないかというのも、ビジネスの中での判断になっていくということになると思う。

・資料11-4についてKDDI(株)から説明。
○ IPv6を使っているユーザーで、コンテンツも含めてIPv6で通信が完結しているというのは何%ぐらいになるのか。
○ World IPv6 Dayで検証してみようと思っているが、どれくらい割合があるかというのと、正確なトラフィック量がとれるかというところも含めて、今社内で検討しているところ。
○ デュアルスタック提供の中の20%がIPv6でアクセスするだろうという試算の根拠は何か。
○ 今回IPv6対応するISPやCSPの割合や、KDDIのユーザーの中でIPv6通信できる端末(Windows Vista、7等)の割合から想定し、最大20%と試算している。
○ auひかりでは、ホームゲートウェイに対して自動的にファームウェアをダウンロードして、自動的にIPv6を使える環境を作っている。6月8日までに、アップグレードを実施する。ファームウェアのアップグレードにはリモート操作で10分ぐらいかかる。
○ 機器ベンダー等の開発を一緒に協力してやっている部分もあり、デュアルスタックの対応ができた、というのが今回の1つ大きな成果かなと思う。
○ auひかりのユーザーはIPv4、IPv6ともグローバルなアドレスが端末についているのか。
○ IPv4については、HGWにグローバルアドレスを付与している。IPv6については、宅内端末にグローバルなアドレスを付与している。
○ 家庭のPCは基本的には外からはアクセスされないということが前提で使われている。IPv4はホームゲートウェイでプライベートアドレスに変換されるが、IPv6は、グローバルアドレスであるということについては、セキュリティをどう考えているのか。
○ ホームゲートウェイのファイアーウォール機能については、IPv4と同様に実装している。
○ セキュリティの問題に関していうと、ユーザーの接続性の点では若干IPv4とIPv6で違う。IPv4はナットの内側にいたが、IPv6に関してはグローバルなアドレスを持っているので、外からリーチできてしまうというようなところに関しては、何らかのことを考慮する必要が今後出てくるかと思う。
○ ユーザー申込み不要でサービス提供したことを評価したい。
○ ホームルーターの作り方、アップデートの方法、コストがかからずに移行した手法について更に情報提供をお願いしたい。

・資料11-5について(社)日本インターネットプロバイダー協会)から説明。
○ フォールバックの問題は、IPアドレスがクローズド網で使われているので、インターネットへの接続性がないということから発生するものである。
○ 最悪の場合には、フォールバックしないで、いつまでたってもつながらないというようなこともあるし、すごく遅いがつながったという場合もある。また、体感的には何も変わらないという様々なケースが、PC等のソフトウェア等の実装の違いによって出てしまう。
○ この問題は、最初日本特有だろうという問題提起を、Google社をはじめとしたイベントを言い出した人たちは考えていたが、より技術的には一般的に起こる問題である。つまり、クローズドのIPv6網がある場合に、この問題は発生する。この問題に関して、日本からその解決法や、長期的な対応策等、重要なポイントをグローバルに対して実証とともに見せていくことを考えている。

【その他】
○ 次回の開催等について連絡。

以上

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