会議資料・開催案内等

情報通信審議会電気通信事業部会(第41回)議事録




第1    開催日時及び場所
平成16年4月20日(火) 14時02分〜15時45分 於、総務省第3特別会議室

第2 出席委員(敬称略)
 
根岸 哲(部会長)、酒井 善則(部会長代理)、辻 正次、東海 幹夫、
村上 政敏

(以上5名)

第3 出席関係職員
(1)    総合通信基盤局
有冨 寛一郎(総合通信基盤局長)、江嵜 正邦(電気通信事業部長)、
武内 信博(総合通信基盤局総務課長)、吉田 靖(事業政策課長)、
鈴木 茂樹(料金サービス課長)、奥 公彦(消費者行政課長)、
泉 宏哉(料金サービス課企画官)

(2)    事務局
福岡 徹(情報通信政策局総務課長)

第4 議題

 (1 )「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社に係る指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可(接続等の停止・中止等に係る規定の整備)」について【諮問第1113号】

 (2 )「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社に係る指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可(料金回収手続費の見直し等)」について
【諮問第1114号】

 (3 )平成17年度以降の接続料算定の在り方について【諮問第1115号】

 (4 )委員会の設置について







開会

根岸部会長  それでは、ただいまから情報通信審議会電気通信事業部会の第41回会議を開会いたします。
 本日は委員7名中5名が出席されておりますので、定足数を満たしております。
 本日は公開して会議を行います。傍聴者の皆様方には、留意事項を遵守いただきまして、静粛に傍聴くださいますよう、お願い申し上げます。

議題

 
(1)  東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社に係る指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可(接続等の停止・中止等に係る規定の整備)について(H16.4.20 諮問第1113号)

根岸部会長  それでは、お手元の議事次第に従いまして、議事を進めてまいります。
 まず、初めに、諮問第1113号 NTT東西に係る指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可(接続等の停止・中止等に係る規定の整備)につきまして、総務省の方から説明をお願いいたします。
鈴木料金サービス課長  料金サービス課長をしております鈴木でございます。ご説明をさせていただきます。諮問書は、ただいまの議事次第の次のページに写しが添付されているかと思います。本件は、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社から申請のありましたものでございまして、それにつきまして、結果としては妥当であると認められることから、認可をすることといたしたいという意味で、今回諮問させていただいてございます。中身につきましては、資料1に基づきましてご説明をさせていただきたいと思います。
 本件は、接続等の停止及び中止等にかかります規定の整備でございます。NTT東西より申請に際する理由書、説明書が添付されておりますので、まずそれからご説明申し上げたいと思います。資料1の8ページでございます。東西を並べる上で、縮小コピーをしましたので、文字がちょっと小さくなりましたが、これをごらん頂きながら、理由についてご説明をさせていただきたいと思います。
 ペーパー上下のそれぞれの2のところでございます。ここに書いてありますように、NTT東西と接続協定を締結しております協定事業者が経営破綻等をしたために、接続料の回収不能が生じている、または回収不能が発生する可能性があるという状況が記載されてございます。
 具体的には、NTT東日本の貸倒見込額が2.8億円、NTT西日本の貸倒見込額が2.1億円、大変小さい文字になりますが、それぞれ上下に記載されてございます。それ以外にも長期の滞納等による回収不安発生事業者といったものが、NTT東日本で4.8億円、NTT西日本で1.2億円となってございます。
 理由の3のところでございますけれども、今回の申請に先立ちまして、NTT東西より協定事業者に対し、一昨年からリスクヘッジに必要な条項といったものを事業者間の確認事項等として契約書に追加するようにということで、個別に協議を進めてきたところでございますが、この協議において事業者間の公平性を担保する観点から、このような内容については接続約款に規定すべきだというご意見が出されました。今回の接続約款の変更は、このような意見を踏まえてなされたものでございます。
 次のページ、9ページの上下にそういった協定事業者様の意見をまとめたものが記載してございます。個別の理由についてのご説明は割愛させていただきます。
 次に、具体的な接続約款の変更の内容についてご説明をさせていただきます。戻りまして、2ページをごらんいただきたいと思います。まず、新規規定の追加でございます。1点目といたしましては、接続約款の53条の2におきまして、接続事業者がNTT東西との接続に係ります債権を第三者に譲渡する、または当該債権を担保する場合に、あらかじめNTT東西と協議することとする旨を規定してございます。
 次に、接続の停止、60条の3項でございます。ここでは、60条1項の規定に基づきまして、接続の停止がなされた場合でも、その事由が解消されたときには、接続の停止を解除するという旨の解除規定を追加してございます。
 (3)の61条の2に関しましてですが、ここでいう工事または手続等といいますのは、その欄の下に※印で脚注を規定してございますけれども、工事または手続だけではなくて、ソフトウエアの開発だとか、設備の設置に関してNTT東西が行います建設請負とか保守請負なども含んだものでございます。
 61条の2項では、申し込み時と比べまして、過電流の設備でこれを接続することによりまして、NTT東西の設備にまで影響を及ぼすおそれがある場合など、NTT東西の業務遂行上著しい支障を及ぼすと認められるとき、または次にご説明いたしますように、期限の利益喪失に該当する場合には、NTT東西がこれらの手続等を途中で停止できる旨を規定してございます。
 また、第3項では、手続等の停止の事由が、相当な期間を経過しても解消されない場合は、当該手続等を中止することができる旨を規定してございます。
 また、第2項では、60条3項と同様、手続等の停止事由が解消されたときには、停止を解除する旨を規定してございます。
さらに、第4項におきましては、手続等を停止・中止した場合、新たに発生する費用及びそれまでに発生した費用を負担することを要するという旨を規定してございます。
 次に(4)の期限の利益の喪失についてご説明致します。今回72条の2に新規で規定させていただいております。
 第1項の1号では、接続申込者が履行不能を表明したとき、2号では、法令に基づく倒産処理手続の申立を行ったとき、3号では、手続等が不渡りとなったとき、4号では、競売等の強制換価手続の申立があったとき、5号では、行方不明となったとき、6号では、登録の取り消しとなったとき、7号では、電気通信事業を廃止したとき、8号では、その他業務継続に重大な支障を及ぼすと認められる状態が発生したときと規定してございます。これらの場合には、期限の利益を失い、直ちに債務の弁済を要する旨を規定してございます。
 また、第2項におきましては、弁済債務に、最低利用期間中の場合の接続料、償却が済んでいない網改造に係る接続料を含むものとしてございます。
 この規定は、接続事業者が破綻等をした場合に、接続事業者の債務がその時点で支払い期限のきていない場合であっても、当該債務を確定し、NTT東西の有する他事業者債権と相殺することを可能とするために規定するものでございます。
 次に75条の2、(5)でございます。ここでは預託金等について規定してございます。この預託金等とは、72条の2、第1項の1号から5号、または8号に該当して、期限の利益を喪失した場合であっても、接続事業者として接続を継続したい場合等に、NTT東西から預託金の預け入れ等について協議を行うことがある旨を規定しているものでございます。
 続きまして、3ページでございます。こちらは、これまでの規定の明確化でございます。(1)でございますが、第4条の規定におきまして、端末回線線端接続事業者という用語が使用されておりますが、これはユーザー約款準用によるサービスを受けて接続を行っている協定事業者のことでございます。この事業者が、ある契約者回線について支払いを行った場合には、ユーザー約款により、回線ごとにユーザーと同様、利用の解除、停止を行う旨を規定してございます。これは従前もこの規定どおり運用してまいりましたものでございますが、今回明確に規定しておくというものでございます。
 次に(2)でございます。60条の第2項におきまして、先ほど72条の2第1項の第5号で、行方不明事業者と申しましたが、どのような場合を協定事業者の所在が不明なのかということについて明確化する意味で規定をしてございます。
具体的には、協定事業者に電話をかけてもつながらず、また請求の督促書等を郵送しても、不達になって返ってくる、現地調査を行っても、行方知らずとなっている状態で、連絡がとれないときを所在が不明と定義いたしました。その場合には、再度事前通知の書面の郵送を行いまして、事前通知をしたものとみなすと定義してございます。
 次に(3)でございます。67条の第2項、68条の第4項、82条で、工事や手続の請求の取消し、または協定の解除や協定が消滅した場合に発生する費用につきまして、現状復旧に要する費用と請求の取消しまでに実際に発生した費用とが必要である旨を明確化してございます。
 (4)の承諾の限界でございます。97条では、承諾の限界について規定してございます。これは、これまで下の※印にございます規定において個々に規定してきましたものを、接続に関し負担すべき金額の支払いを怠り、また怠るおそれがあると条件を97条に追加して、個々の条項において規定していた内容を、包括的に規定しようとするものでございます。
 (5)の98条でございます。今回新規に条項を追加したものでございます。53条の2、61条の2、72条の2を双務的な条件として追加してございます。
説明は以上でございます。
 次のページに審査結果等がございますが、総務省といたしましては、いずれも適切であると考えるものでございます。よろしくお願いいたします。
根岸部会長  ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明についてご意見、ご質問がございましたら、お願いいたします。どうぞ。
東海委員  こういう事態についての対処の問題を初めて伺いまして、金額が大きいのか小さいのか全く検討がつかないんです。これまでの動向といいますか、この数年の動きについて何かデータをお持ちでしょうか。
鈴木料金サービス課長  これまででは、特に最近接続事業者が倒産に至るというような例が出てきたものですから、過去ずっとのデータというのは持ち合わせてございませんけれども、8ページにございます今回のNTTの理由書に挙げておりますのが、過去にあったものということで、8ページの上の段の東日本の例でいいますと、2のところの2行目の右のほうに細かい字で書いてありますが、回収不能事業者が5社、そのうちの最大の滞納額が3.9億円というような数字でございます。その下の長期滞納等回収不安発生事業者、同じものが下側の西日本におきましても、回収不能事業者として3社、最大滞納額合計で3.3億円というような状況でございます。 
東海委員  会計では、貸借対照表決算書の中で貸倒れを見込むというのは、今非常に厳しく対処しなければならないということになっているわけですが、ここに示された貸倒見込額2.1億円とかといったような数字というのは、ある一定の時点の未収に関して設定したということなのでしょうか。
鈴木料金サービス課長  はい、いずれも回収が見込めなくなったという時点で計上してあるといいますか……。
東海委員  今、会計上では3つぐらいレベルがありまして、既に経営破綻したというのと、懸念だ、それから一般債権に対するものがありまして、決算書ではこれらを分けて、未収に対して対処するということで公認会計士の監査もやっているようですけれども、そういう意味の貸し倒れの見込みなのかなと思って聞いておりました。
鈴木料金サービス課長  そういう意味では、それぞれの時点というのは、例えば、ある者でございますと、会社更正法の申請を行っておりましたので、回収不能と判断したと。それぞれの事例ごとにございます。
東海委員  そうでしょうね。かなり増えてきているんでしょうね。
鈴木料金サービス課長  件数としてはあります。特にITバブルがはじけて以降の外資系の事業者とか、あるいは国内でも小さな規模の会社で競争が厳しくなっているという例が増えてきているようでございます。
東海委員  そういう意味では、早急な対処が必要なんでしょうね。
根岸部会長  ほかにございますか。どうぞ。
村上委員  NTT東西の場合の貸倒引当金の実額というのはどれくらいあるものですか。
鈴木料金サービス課長  すみません。今数字を持っておりませんので、また後ほどお答えしたいと思います。
根岸部会長  じゃ、後ほどということで、ほかにいかがでございましょうか。
村上委員  つまり、過去に引き当てがきちっとなされていれば、こういうことをきちんと書くのはいいことだと思いますが、こういうものをわざわざ書かなければいけないほどの事態になっているのかどうかというのを知りたいわけです。
鈴木料金サービス課長  会社の財務上は、そうですね。
根岸部会長  信用不安が生ずる見込みが非常に出てきたということで、このような接続約款の規定の改正というか、そういう必要性はありますね。
村上委員  ええ、それはありますね。
根岸部会長  今おっしゃったことを仮に手当てしていたとしても。
村上委員 あっていいと思いますけど、今、喫緊の問題になっているのかどうかということ、多分そんなことはないと思うけれど。
鈴木料金サービス課長  手元の貸借対照表等では、お客様から回収できない分も含めての貸倒引当金というか、積立金というのはあるんですが、こういった接続事業者の部分の数字は持ち合わせておりません。ただ、一つには、確かに会社の財務としては、引当金を積むことによって、財務的な手当てができるんだと思いますけれども、他方、接続という観点からしますと、接続事業者のためにつくった設備というのは、何らかの形で、皆さんで費用負担をして、接続料を決めるなる何なりしているものでございますから、やはり一部の費用回収不能、あるいは引き続きどんどん経費がかかってしまうというような状況が現に生じるというのであれば、そこはどこかで適切に切る、新規の費用の発生を未然に防ぐとか、そういった手当ては必要かと思います。そういった意味で、今回の規定の整備は必要だと思っています。おっしゃるとおり、まさに財務上はそういった引当金等を積むことによって手当てできるんだろうと思います。
根岸部会長  よろしいですか。
村上委員  はい。
根岸部会長  ほかにございますでしょうか。
それでは、ございませんようでしたら、本件につきまして、接続に関する議事手続規則というのがございまして、この規定に従いまして、諮問されました案を本日の部会長会見で報道発表するほか、広く意見の募集を行うということにいたします。先ほどご説明がございましたように、既に各事業者と個別に協議をしてきているということでございますので、本件にかかる意見聴取は1回といたしまして、本日から5月17日までの4週間というのを意見募集の期間といたしたいと思います。また、本件につきましては、接続委員会においても検討いただくということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
   
(2)  東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社に係る指定電気通信設備に関する接続約款の変更の許可(料金回収手続費の見直し等)について(H16.4.20 諮問第1114号)

根岸部会長  それでは次に、諮問第1114号 NTT東西に係る指定電気通信設備に関する接続約款の変更の認可でございます。これは料金回収手続費の見直し等につきましての接続約款変更の認可申請でございます。また総務省からご説明をお願いいたします。
鈴木料金サービス課長  引き続きご説明をさせていただきます。諮問書は、お手元の2枚目のほうに諮問第1114号ということで諮問させていただいております。今回認可することが適当であると考えてございます。資料2に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
 本件は、接続事業者が設定します利用者料金につきまして、NTT東日本、西日本が、接続事業者にかわり利用者に料金の請求をする場合の手続費であります料金の回収手続費、それから債権譲受手続費、料金請求回収代行手続費の3つにつきまして見直しを行うものでございます。
 この3つの手続費につきまして簡単にご説明しますと、資料の4ページの上の段の参考1をごらんいただきたいと思います。代行します事務の中身によりまして、3つがそれぞれ異なってございます。まず、料金回収手続費といいますのは、上の段の左から2つ目の縦の欄でございます。接続事業者がエンド・エンドの利用者料金というのを設定しているものにつきまして、まとめて回収代行するといったものにかかります手続費でございます。ただ、NTTコミュニケーションズに関しましては、みずからが顧客ごとの請求額を計算する能力がございますので、請求書の発送以降の手続を代行してございます。具体的には、料金の確定、請求、収納、回収がございますけれども、これらを一括して代行するというものでございます。
 2つ目の債権譲受手続費、これは右側から2つ目の欄でございます。ぶつ切りで料金を設定しているものにつきまして適用します手続費でございます。料金回収手続費と債権の譲受手続費はほぼ同じものでございますけれども、債権譲受手続費のほうは、料金設定を行います接続事業者の債権をNTT東西が一旦譲り受けて、自分のものとして料金請求を行うということから、一応別のものとして規定してございます。
 3つ目の料金請求回収代行手続費は、最初に述べました料金回収手続費と同様に、エンド・エンドの利用者料金を設定しているものにつきまして適用する手続でございますけれども、代行します業務内容が異なっておりまして、NTT東西が請求、収納の真ん中の手続のみを行う場合の費用でございます。
 一応これが3つの手続費の概念でございます。
 改正の中身につきましてご説明させていただきます。すみませんが、2ページへお戻りいただきたいと思います。まず1点目、料金回収手続費及び債権譲受手続費の見直しでございます。接続利用者が設定する利用者料金を、NTT東日本、西日本が接続事業者にかわって請求する場合に適用する料金回収手続費及び債権譲受手続費は、平成11年度から13年度までの3年間の将来需要を予測して算定し、一旦設定してございます。それがその後、現在まで見直しが行われないという状況で続いてまいりました。
 現在、料金回収手続費のうち、携帯電話事業者、PHS事業者及びポケベル事業者にかかるものにつきましては、移動体事業者の利用者料請求金額に乗じまして手続費を計算する「料率」を約款に規定してございます。
 この料率は平成11年度以降、3.4%という数字で算定してきてございますけれども、これが現実に合わなくなってきたということで、平成14年度の実績の費用ベースに置きかえまして計算いたしますと、費用が220億円ぐらい低下いたしますものの、携帯電話等を中心に、利用者料金の引き下げが影響してきてございまして、料率額を一定といたしますと、料金回収代行費で回収する部分が減少してきていると。費用が220億円で、24%低減しているのに対しまして、代行する請求額が約41%ぐらい減少してございます。したがいまして、今回この料率を見直すことといたしまして、東日本で4.3%、西日本で4.6%に引き上げるというものでございます。
 次に、2)未利用項目の削除でございます。公衆電話以外に適用されます料金回収手続費及び債権譲受手続費は、先ほどご説明申し上げましたが、3.4%といった料率で回収するもののメニューを除きましては、実は他に3つのメニューが用意してございます。4ページの下の段をごらんいただきたいと思います。
 このうち、現には3.4%という料率の料金回収代行しか利用されていないものですから、今回は他の利用されないメニューにつきまして約款のほうから削除させていただくといったものでございます。
 次に3点目、3)でございます。NTTコミュニケーションズにおきましては、NTT東西が発行する請求書におきまして、NTTコミュニケーションズ様ご利用分という形で、単独の事業者が専有の項目を立てて、計上されてございます。したがいまして、費用の計測、補足が確実なものですから、NTTコミュニケーションズに関しましては、料率で回収する方法のほかに、料額、一定の金額で課された回収代行費というのが現在適用されております。
 しかしながら、料率のほうが本則において適用されているのに対しまして、料額のほうが附則に規定されてございます。現状では、NTTコミュニケーションズ社は、附則で定めされております料額の手続費のみを利用してございまして、料率の手続費というのは利用していないということから、先ほど2)のところでご説明しましたように、料率のほうの項目を削除しまして、削除した部分に、現在附則にあります料額といったものを定めるという形の改正を行いたいと思います。
 最後に、3ページの2をごらんいただきたいと思います。料金請求回収代行手続費につきましては、現在事業法第33条第10項目に基づく協定に規定されています。これはNTT東西と当該協定を締結する接続事業者間において、個別に適用されるものでございますけれども、今回の変更に合わせまして、他の接続事業者からの求めがあれば、適用可能とするように、接続約款に当該規定を移行するものでございます。
 以上が改正の概要でございます。よろしくお願いいたします。
根岸部会長  はい。ありがとうございました。かなり細かくて、言葉がなかなか難しいんですけれども、ご意見なり、ご質問がありましたらどうぞ。
酒井部会長代理  よろしいですか。
根岸部会長  どうぞ。
酒井部会長代理  一番上の1)の項目なんですが、改定する理由として、携帯電話事業者の利用者料金値下げとトラヒックの減少と2つございますが、料金を値下げしても1通話当たりにかかる代行料はどうせ同じだから、料金を値下げされると料率のほうがこの水準では難しくなってくるという理由はよくわかるんですけれども、トラヒックの減少によって影響を受ける部分というのがあるんでしょうか。
鈴木料金サービス課長  携帯電話の使い方が、音声といったものからだんだんデータのほうに行ってしまうということで、トラヒックが減ることによりまして、値下げでなくても、収入そのものが抑えられてしまうということです。請求の件数としては、手続料的には変わりませんので、トラヒックの減による収入減と値下げによる収入減といったものが、トータルとして収入額が減ってくるという意味で影響してまいるということです。
酒井部会長代理  そうすると、代行手続にある程度固定的な部分があるので、トラヒックが減るとどうしてもということですね。わかりました。
根岸部会長  ほかにございますでしょうか。
東海委員  ちょっと意味がわからなかったところがありまして、それも含めて聞きながらと思います。現行の料率は適切な水準ではなくなってきているとして、最後のほうで、料率はあまり使っていないんですというようなお話がありましたね。どういう関係なんですか。
鈴木料金サービス課長  専ら料率が適用されておりますのが、携帯電話事業者、PHS事業者等の移動体系の事業者さんでございまして、この方々に対する請求書といたしましては、実はA事業者は幾ら、B事業者は幾ら、D事業者は幾ら、あるいはその中の内訳で、通話が幾らとかとなっておりませんで、携帯電話利用料はまとめて幾らとなってございます。
 この方々は、それぞれの事業者ごとの請求の仕方、あるいは請求の項目数等々が明らかではありませんので、1事業者幾らと定額制で計算するのは実は難しゅうございまして、トータルとしてかかっている費用を回収するために、収入の何パーセントぐらいをいただいたらいいかというふうな形で、回収代行費を適用させていただいているものなんです。
 他方、定率があまり利用されずに、定額のほうが利用されておりますのは、NTTコミュニケーションズ社、3)のほうの例でございます。この方は1社で幾らというふうな請求額が請求書のほうに書かれますので、それに要する費用が把握可能なものですから、では1件当たり幾らにしようかということで、定額制の接続料を定めているということです。移動系の事業者様と固定系の事業者様で請求書の書き方が多少異なるものですから、費用の不足、あるいは回収の仕方が異なってきているという状況でございます。
東海委員  いずれにしても、4ページに書かれているような、現実に当該事業者で発生した関係する実際コストを集計して、計算をしているという方式を今やっているんだという意味ですか。
鈴木料金サービス課長  はい。
東海委員  先ほどの問題と少し関係するんですけれども、その中には例の貸し倒れの問題も見込んでいるわけですね。
鈴木料金サービス課長  はい、見込んでございます。
東海委員  これはどこかの規定で、こういう計算をしましょうというのがあるわけなんでしょうね。
鈴木料金サービス課長  はい。
東海委員  ここでいう貸し倒れってどういう数値を算定しているんですか。ちょっと細かいことを聞いて恐縮です
根岸部会長  先ほど審議した貸し倒れのお話と、今のお話と……。
東海委員  貸し倒れ損失には2つ意味があって、現実に貸し倒れになっちゃったという意味と、それから見込みを含む意味もあるわけです。
鈴木料金サービス課長  すみませんでした。資料の5ページでございます。例えば、料金回収手続費・債権譲渡手続費の関係でございますけれども、そこの原価の算定のところの6)に、回収不能相当額というのがございまして、ここに金額が計上されています。
 これが何かといいますと、2つ下の7)から12)にありますところの回収不能相当額にかかる料金というものが、利用者料金額ごとに0.16%ということで、一定の比率を乗じてございます。これは実績としての比率だということです。ただ、ここでいう回収不能額というのは、接続事業者からの接続料として取れないという意味ではありませんで、料金回収を代行するけれども、実はお客さんが払ってくれないといった意味での回収不能額でございます。
東海委員  なるほど。
鈴木料金サービス課長  そういう意味で、接続事業者からの回収不能額というのは、この時点ではまだ計算してございません。
根岸部会長  ユーザー料金。
鈴木料金サービス課長  はい、ユーザーからの回収不能
東海委員  いろいろな問題の中でのこの問題というのは、金額としてはそんなに大きなものではなかろうとは思うんですが、事業者間の料金について、ここまで細かいルールに従って、アクチュアルなコストを計算する方式をこれからもやらなければならないかどうかというのは少し検討課題かなと。なぜなら、常にトラヒックの減少に左右されてマーケットの原理とは全然逆の現象が起こってきてしまう。ですから、細かい問題ですけれども、もう少し違う方法はないんだろうかということをどうしても感じざるを得ないんです。
鈴木料金サービス課長  おっしゃるとおり、本来であれば事業者間での業務の委託受託の関係でございますので、これだけの業務を幾らでやってくれと双方で話し合いをして、合意に至れば、多分それで済む話なのかと思います。
 ただ、他方で、我々国営の独占でやってきたところにぽんと競争を入れたと。競争参入の当初の時期にはお客さんも少ない。その方々に一々郵便を出し、料金回収をするといいますと、大変なコストがかかるというようなこともありまして、事業の立ち上がり期に、相手方事業者に委託できれば助かった、あるいはそもそも過去の経緯から自分が単独に料金を計算するようなシステムを持っていなかったというような状況がありましたものですから、過去の経緯として、このような手続費が確かに設定してございました。
 ただ、おっしゃるように、競争の進展に基づいて、我々もここまで細かいものをするのかというような気持ちもだんだんあるかとも思いますので、ご指摘を踏まえながら、今後の話ということで少し……。
東海委員  過渡期としてといいましょうか、これまでの環境の中では、ある意味ではやらざるを得なかったということは私もよく理解しているんですけれども、そういうものに手をつけないで、事業者間に任せるという動きがこれから必要になってくる一つの事例じゃないかという感じはいたします。
根岸部会長  厳密に言いますと、接続約款に入るかどうかという問題もありますね。
吉田事業政策課長  経緯から申し上げますと、私も記憶でお話ししていますので、移動体の話とコミュニケーションズの話とは少し違うのかと思います。コミュニケーションズの話は、再編成するときに、要はそもそも請求書を1つにすべきだ、あるいは2つにすべきじゃないかとか、たしかそのような議論があったと記憶しております。ですから、請求書はNTT東西から一本でいくということで構わない、ただし、そうであれば、仮に、ほかの事業者から自分も請求書に載っけてくれという要請があった場合には、同じようなことをすべきだというような議論がございました。そういう経緯もありましたので、約款に規定するというような形にしたと。
 現実には多分NTT東西さんの請求書に載っけることを利用するという会社はあんまりいらっしゃらなかったと思いますが、最近は私も幾つか、今何社あるか承知しておりませんが、何社かの方は、いわゆる固定電話のサービスをやられている方でも、NTTの請求書に一緒に送っておられる方もいらっしゃるということかなと。携帯のほうは、多分そういうような要請という、競争上の話というのはないので、ある意味でより純粋に当事者間の話というのに近いのかもしれないというような話は経緯としてあるかと思っております。
根岸部会長  ほかにいかがでしょうか。今のようなお話もございまして、このような問題をずっとこれまでどおりやっていくかということにつきましては、またご検討いただくということでございまして、今回の見直しにつきましては、先ほどと同じように、接続の手続規則に従いまして、諮問された案を部会長会見で報道いたしまして、意見募集を行うということにいたします。
 先ほどのご説明にもございましたように、コスト割れをしているという手続費について、早急に費用回収が可能となるよう措置するということが不可欠であると考えられますので、本件の意見聴取は1回としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(「結構です」の声あり)
根岸部会長  そうしましたら、招請期間は本日から5月17日までの4週間でございます。本件につきましても、接続委員会においてご検討をお願いするということでございます。
 どうもありがとうございました。

 
(3)  平成17年度以降の接続料算定の在り方について(H16.4.20 諮問第1115号)

根岸部会長  それでは次に、諮問第1115号 平成17年度以降の接続料算定の在り方について、またご説明をお願いいたします。
鈴木料金サービス課長  引き続きご説明をさせていただきます。まず、諮問書でございますけれども、諮問第1115号ということで、写しをご用意させていただいてございます。過去の経緯も若干ございますことから、読み上げさせていただきたいと思います。
 平成17年度以降の接続料の算定方法については、平成15年3月の情報通信審議会答申において、トラヒックの減少及び新規投資の抑制等の大きな環境変化を前提とした方法を検討することとされ、これを受け、総務省は、平成17年度以降の接続料の算定に使用可能なモデルを構築すべく、「長期増分費用モデル研究会」を再開し、平成16年4月15日、報告書を取りまとめた。
 また、現行の接続料算定の在り方に関する平成14年9月の情報通信審議会答申において、総務省に対し、NTSコストの取り扱いを現行の基本料、施設設置負担金、各種の付加料金の取り扱いとあわせて、抜本的、体系的に再検討する場を早急に設け、そこでの検討結果を踏まえて可及的速やかに、現行の電気通信料金体系の見直しを図ることが要望され、その後、上述の平成15年3月の答申においても、NTSコストの回収方法については、基本料の扱いとあわせて、抜本的体系的に再検討を行い、その検討結果を平成17年度以降の接続料の算定に適切に反映させることが要望されたところである。
 このような状況を踏まえ、環境変化を織り込んだ新モデルの評価、基本料・施設設置負担金のあり方を踏まえたNTSコストの取り扱い、トラヒック等の入力値の扱い等、平成17年度以降の接続料算定のあり方について諮問するといったものでございます。
 付加的な説明をもう少しさせていただければと思います。資料3に基づいてご説明を差し上げたいと思います。概要は今、諮問書を読み上げたことでかえまして、過去の経緯から少しおさらいをさせていただきたいと思います。
 1の経緯でございます。平成12年5月に電気通信事業法の一部を改正する法律の制定を行いまして、長期増分費用方式の導入を行った。13年2月から接続料認可を行いまして、それ以降、平成12年、13年、14年とLRICに基づきます接続料を適用してきたと。平成14年9月に情報通信審議会答申で、長期増分費用モデルの見直しを踏まえた接続料算定のあり方についてということで答申をいただきまして、総務省に対して、NTSコストの取り扱いを現行の基本料、施設設置負担金、各種の付加料金の扱いとあわせて云々という、ただいま諮問書でも引用させていただきましたご答申をいただいたと。その後、平成15年4月に、接続料規則の一部を改正する省令を施行いたしまして、現在の接続料の水準を施行したところでございます。
 その際の情報通信審議会の答申でご指摘いただきました事項として3つほどございまして、平成17年度以降の接続料の算定については、トラヒックの減少及び新規投資の抑制等の大きな環境変化を前提とした方法を検討すること。
 2点目といたしまして、NTSコストの回収方法については、基本料等の扱いとあわせて、抜本的、体系的に再検討を行い、その検討結果を17年度以降の接続料算定に適切に反映させること。
 3点目といたしまして、いわゆる東西均等の接続料については、IP電話の普及等により、加入電話サービスの社会的位置付けが変化することも予想されることから、このような環境変化を踏まえ、ユニバーサルサービス基金等との関係についてさらに整理を行い、平成17年度以降の接続料の算定にその検討結果を反映させることというご要望をいただきまして、平成15年4月に接続料を認可し、適用してございます。
 その後、平成15年11月に基本料等に関するスタディーグループというところで、基本料及び施設設置負担金のあり方に関しまして少し勉強を行いまして、平成16年4月に長期増分費用モデル研究会の報告をいただいたということでございます。
 今後のスケジュールを簡単にご説明申し上げますと、本日事業部会のほうに諮問させていただきまして、ご検討いただき、私たちの要望といたしましては、10月ごろをめどに答申をいただければと考えてございます。そして、来年3月末までに省令改正を経て、約款変更の認可を行い、来年平成17年4月から新しい接続料を適用したいと考えてございます。
 今回の主な論点を次に記載してございますが、その前に、全般的な市場の動き等をご説明差し上げたいと思います。参考資料が後ろについてございます。参考資料をめくっていただきますと、1の一般状況のところから始まりまして、もう既にご案内のこととは思いますが、1ページ目にブロードバンドの加入者数の推移を述べてございます。DSLが1,000万を超えまして、光ファイバーもようやっと100万加入まで伸びてきたところでございます。
 I−2)でございますが、電気通信事業の契約者の推移を見ますと、固定系の加入者数が、加入電話及びISDNを加えましても、ここのところやや微減の状態でございます。加入電話につきましては、ISDNの出現以降減少を続けてきましたが、ここのところADSLの加入等でやや横ばいに転じている。他方、携帯電話というのは既に8,000万加入を超えまして、固定のトータルが6,000万のところに、約2,000万ほど多い加入者数が生じている。右の下のほうに、ブロードバンドの加入者数を記載してございますが、ADSLとケーブルテレビとファイバーと無線すべてを加えたもので、ここだけ速報値が出ているものですから、平成16年2月で、1,452万のブロードバンドの加入者がいるということでございます。しかしながら、全体としての固定電話加入数5,000万、あるいはすべての固定加入数6,000万と比べますと、まだまだごく一部であるという状況でございます。
 次のI−3)でございます。このようなインターネットの普及に伴いますIP電話の普及、それから携帯電話の普及によりまして、実は固定電話の通信量が大変急速に減少してございます。左側が通信回数の推移でございます。平成8年、9年をピークに徐々に減少している。右側が通信時間でございます。平成12年まではインターネットのダイヤルアップによるトラヒック増なんかもございましたけれども、平成13年のDSLの普及に伴いまして、通話時間が大きく減少しております。平成14年の段階で既に平成6年──9年前の固定の通信時間を下回っておりますし、平成15年度は、これは推計値でございますが、さらに減少する見込みである。下の囲みに少し書きましたが、固定電話でいきますと、1契約1日当たりというのは2.7回しか使われておらず、右側にありますように、1日に8分30秒しか電話は使われていないというような状況でございます。
 次のI−4)でございます。そのような通信量の動向を踏まえまして、NTT東西様の財務状況が大変厳しい状況になってきている。特に固定電話事業の減少に伴いまして、収益が急速に減少している。こういった状況下で、財務基盤の確保を図るためには、構造改革等の費用削減を積極的に推進し、平成14年度に構造改革を実施いたしまして、何とか利益を確保している状況であると。
 次のページがI−5)でございます。これは音声伝送役務収益を合計しております。携帯電話による音声電送役務がずっと増加してきましたのが、ほぼ横ばいに変わってきてございます。固定電話の通話料金収入が大きく減少してございます。これがまさに携帯電話に流れている、あるいはIP電話によって全国一律8円とか、7.5円とかという安い料金が出てきているということで、通話料収入のところの減少がかなり大きい。他方、基本料収入は今のところは横ばいで推移しているような状況でございます。
 次のページに参りますと、このような状況を踏まえまして、NTT東西さんの設備投資はずっと抑制気味に推移しております。特に、音声伝送役務用の設備に対します投資額が大きく減少し、設備投資全体に対します比率も、平成12年には83.5%あったものが、平成15年には67.7%まで減少してきたという状況になってございます。
 次のI−7)は、それを固定電話のこれまでの関係等でやりまして、今回接続料の算定の方針をいよいよNTSコストの取り扱い、あるいは基本料の費用の配賦、あるいは施設設置負担金のあり方といったものに広く広げて検討せざるを得ないという状況になったところでございます。
 次にIIの接続料の関係でございます。これも制度変更の変遷を若干見ますと、昭和60年に自由化して以降、平成5年にエンド・エンド料金を導入しました。ただ、このときには事業者間協議による接続料であったと。そして、平成10年に接続会計制度を設けまして、このときは実際費用方式でございましたが、平成12年度以降、長期増分費用方式で接続料を定めてきた状況でございます。
 次の9ページ、II−2)は接続の概念図でございます。従来は、真ん中に書いてありますGC/ZCのところで接続して、長距離、国際、移動体事業者という電話の世界だけの話だったのでございますが、それが右側にありますように、配電盤、MDFのところからトラヒックが流れて、IP網のほうに入ってくるというような形で、網と網の間の競争が生じてきたというのが最近の状況であろうかと思います。
 次のページに参りますと、長期増分費用方式についての説明でございます。現時点で最も低廉で効率的な設備と技術の利用を前提として計算した地域通信網の費用を用いて、接続料の原価を算定するということでございます。これは独占的な地域通信網の非効率性を排除する一つの方策だということで、一時期世界的に導入されたものでございます。
 次のページに参ります。II−4)でございます。現在長期増分費用方式の適用を行っておりますのは、加入者交換機、中継交換機、その他の回線部分、信号網、PHS基地局といったものに適用してございます。
 次の12ページ、II−5)でございます。これまでの接続料の推移を見てみますと、一貫して引き下げでございます。ただし、平成15年度にGCは引き下げになりましたけれども、ZCで若干の上昇に転じたというふうに推移してきてございます。
 次の13ページ、II−6)でございます。今回の長期増分費用モデルの見直しにおきましては、前の審議会から大きく2つの宿題をいただいております。トラヒックの減少といったものと、設備投資の抑制といったものでございます。
 1点目が設備投資の抑制を考慮した経済的耐用年数の見直しということで、それぞれの設備ごとに耐用年数が延びてございます。交換機やメタルのケーブル等で、大きくは2年間耐用年数が延長してございますが、それ以上に延びているものもございます。
 2つ目が、電話のトラヒックの減少にもかかわるものだと思いますし、IPの普及にもかかわるものと思いますが、データ系サービスとの設備共用といったところで、今回見直しをしまして、かつての電話網の伝送設備等の中でもおおむね2割程度はデータの伝送に用いられているというような形で反映いたしまして、結果として、電話に使われる設備量がこれだけの比率で減少したといったような新しいモデルになってございます。
 次の14ページ、II−7)でございます。そういった新しいモデルによりまして、ネットワークの年間のコストを計算してみますと、一番右から2つ目の新モデル値というところにありますように、加入者系交換機能、中継伝送機能、中継系交換機能それぞれにマイナスになってございます。その合計として小計の7,383億円ということで、その前までのモデルに比べますと大きく減少しまして、11.2%のマイナスになっているというのが、新しいモデルによります計算結果でございます。
 今後そのモデルに入れます直近のトラヒック、あるいは新しい単価等によりまして、このモデルに出てくるコスト全体というのが動きますので、それぞれ入力値とトラヒック数値によりまして、計算上の新しい接続料といったものが出てくるわけですが、そのモデルをどのように適用するかというのをまさにご審議いただきたいということでございます。
 次の15ページ、II−8)でございます。接続料といいますのは、ネットワークにかかりますコスト、交換機、伝送装置等々のコストを原価といたしまして、それを通信量で割り算することによって算出すると。
 これまで原価のほうは、一次モデル、二次モデル、今回の新モデルとずっと減少させてきておりますし、一番左側の少し色の濃い背の高いグラフですと、これは実際費用でございまして、実際費用もまさにLRICに基づく最も効率的な費用に合わせるようにご努力いただいて、大分下がってきてはいると。設備投資を抑制しておりますので、これも今後ともモデルに沿った形で減少の傾向にあるのではないかと思いますけれども、そこは実際に会計上の処理をしてみないとわからない。
 他方、右側でございますが、接続料はだんだん下げてきはしましたものの、通信量、総時間が大幅に減ってございますので、割り算をすると接続料が上がる、それがまさに今回の精算でもって若干実現してしまいまして、精算値で少し上がってしまったと。このままほうっておくと、この黒い幅は正確に数字をあらわしたものではなくて、イメージでございますけれども、このように右肩上がりになっていく可能性がある。仮にNTSコストといったものを計算値からすべて除きますと、一たんは黒い帯の下側まで参りますが、コストはどうしても段階的にしか減りませんので、通信量が連続的に大幅に減ると、その値ですらもまたどんどん上昇していってしまうというような状況にございます。これがひいては通話料金の値上げといったものにつながるのではないかといった大変強い懸念を持ってございます。
 16ページ、II−9)でございます。前回の接続料算定の際にも議論になりましたように、では、接続料を算定する原価からNTSコスト──ノン・トラヒック・センシティブコスト、通話量に影響を受けない固定費的なコストを除いたらいいじゃないかということでございます。
 現時点ではどういったコストが含まれているのかといいますと、左側のモデル上のネットワークでご説明をしますと、左の上のほうにあります加入者交換機の左側のほうに、やや網かけで薄く黒い四角が書いてございますけれども、この加入者ポート、あるいはその下が、き線点RT、き線点RTとRGを結ぶような回線といったようなもので、網かけでふちどったものの内側が現在のNTSコストの範囲でございます。これの見直しをして、今言いましたようなものを含めるのか含めないのか、あるいは含める場合にどこまで含めるのかといったような議論が必要かと考えております。右側は、実際のネットワークでございます。これによると多少モデルとは違ってまいりますので、この辺なんかも考慮しながら検討を進めていくということかと思います。
 次の17ページの10)でございます。き線点RTとは何かといいますと、き線点遠隔収容装置というものでして、電話局の建物から距離を離れてユーザーに近いところに置かれております遠隔収容装置でございます。従来ですと、NTTの収容ビルからずっと利用者の数だけ銅線が張られていたわけですけれども、複数の銅線を光ファイバーに多重化して交換機に接続するという意味で、電話網の構築上は大変効率化するといった意味を持つものでございます。
 こういったものを置くべきかどうかというのは、まさに新たな需要に対応するために、NTTのビルから銅線を敷設する方法と、光ファイバーでもってきて、き線点RTを置く方法のどちらがコスト的に有利なのかということを比較して、設置を決めているものでございます。
 次、18ページのII−11)でございます。現在の接続料にかかる会計はどうなっているのかということでございます。上段が第一種指定電気通信設備の管理部門、要するにネットワークを敷設し、管理している部門の収支でございます。下段が、それを利用する部門でございます。
 上段はNTT東で196億円の営業利益、西でもって299億円の営業損失という形で、トータルでは103億円の損失になっております。これまで一貫して接続料が下がってきたものでございますから、管理部門の収支はずっと悪化してきているという傾向にございます。他方、利用部門は接続料の低下に伴いまして、収支を改善してきてございまして、NTT東及び西ともに営業利益を計上しているという状況でございます。
 以上が接続料に絡みます最近の状況でございます。
 あと若干基本料、施設設置負担金についてもご説明差し上げたいと思います。
 19ページ、III−1)で、かかったコストの回収がどのようになされているかというのをイメージとして出してございます。通話料ないし接続料というものは、交換機、伝送装置にかかるところ、あるいは通話にかかるトラヒック管理にかかります費用等を回収するために接続料を定め、お客様からは通話料という形でいただいている。
 他方、加入者回線部分につきましては、新たに回線設置するのに要する費用といった形で、施設設置負担金というのをいただいてきておりますし、加入者回線部分の保守とか維持費用、あるいは請求書の発行、そういったものにかかります費用というのを基本料という形で月々いただいてございます。
 施設設置負担金というのは、電話契約を解除しましても、これまで返済されていない状況でございますし、下の括弧にありますように、毎回いわゆる電話加入権といったものとの誤解が生じますので、念のためにご説明申し上げますと、電話加入権と申しますのは、契約者が加入電話契約に基づいて加入電話の提供を受ける権利ということでございまして、現在でもNTTに800円の契約料というのを払って利用申し込みをしますと、加入契約を結んで、電話加入権といったものが発生するというものでございます。
 これと施設設置負担金とは全然別のものでございまして、施設設置負担金というのはあくまでも加入者回線部分の設備投資に要したお金を前払いでいただいているという形の料金でございます。
 ただ、電話加入権というのはかつて電話が不足していた時代から市場においてずっと取り引きされてきたという経緯がございますので、その辺でいわゆる電話加入権料のように誤解されて使われることがままあるのが実態でございます。
 20ページ、III−2)でございます。現在の基本料はどうなっているのかということでございます。基本料は区分を設けまして、同一区域内の加入者数の多いところから少ないところまで区分する、あるいは加入電話が事務用なのか、住宅用なのかということで区分をしてございます。
 これはかつて戦後に電話を普及させるときに、負担力の問題、あるいは電話を引くことによって受ける効用の問題等を考慮して、こういった体系にございますが、この体系もこれまで何度か改定されてございまして、現在は1級、2級、3級の3区分と事務用と住宅用の2区分という形になってございます。ISDNに関しましては、下にありますような基本料となってございます。
次の21ページは、東西の固定電話の基本料収支でございます。平成5年、6年ぐらいに大幅な基本料収支の赤字がございまして、平成7年に基本料の値上げ、改定を行いました。それによりまして収支が改善いたしまして、平成7、8、9、10年とずっと黒字でまいっております。平成11年は、NTTの再編がございました関係で、会計データが9カ月分という数字の中で赤を計上しておりますが、平成12年、13年以降も黒でございます。ただ、平成12年以降は、NTTが再編しておりますので、東西別に収支を見ますと、NTT西日本のほうでは平成12年、13年は、営業が赤字の状態になっているということです。
 先ほどの接続料を計算したときのネットワークの原価が、LRIC導入等によりまして大幅に減少しているのに比べまして、NTTの基本料といいますのは、平成12、13、14年といったところを見ましても、若干の合理化という意味での費用の削減はございますけれども、比較的安定的に推移しているといいますか、横ばいで推移しているというような状況にございます。
 では次のページで、NTTの基本料の費用というのはどうなっているのかということでございます。費用の内訳や営業費、保全費、減価償却除却費、共通管理費、その他となってございまして、実際には電話の利用からIPへの利用、あるいはNTTさんの活動がフレッツ系、データ通信系になってきている中で、基本的にこういった構造はあまり変わっていないということから、この費用構造が現時点において適切であるのかどうかというのは検討しなければいけないんじゃないかという項目だと思ってございます。
 次、23ページでございます。これが施設設置負担金の関係でございます。戦後、利用者に対しましては、設備料の1万円というものと、電信電話債券──電電債といっているものの引き受けをいただきました。ただ、電電債はその後マーケットでも売却ができるというような状況でございました。
 これは壊滅的打撃を受けた電話網をいかに早く復旧するかという意味で、当時の電電公社に設備投資のための資金の調達の手段を与える、あるいは投資した資金をなるべく早く前倒しで回収させて、次の投資に回すといった政策的配慮からだと思いますけれども、それが物価上昇に伴いまして、昭和51年までずっと設備料が8万円まで上がったと。この間、53年には積滞解消で申し込めばすぐ電話がつく、あるいは全国ダイヤル自由化が進みました。60年に電気通信の自由化とともに、端末の売り切り、宅内配線の自由化もありまして、その部分の工事費を引いて7万2,000円に改定されてございます。
 携帯電話、当時自動車電話といっておりましたが、移動電話につきましても、当初施設設置負担金があったんでございますけれども、早期の普及を図るといった観点、あるいは加入時に負担が重いというような声がありまして、見直しの結果、数次の値下げを経て、負担金という制度は廃止してございます。
 この間、固定電話につきましても、移動は負担金がないのに、固定は高いというような非難もありましたことから、議論をいたしまして、平成14年に加入電話ライトというような制度を導入しまして、加入時に一時金で払うのではなく、月々の基本料に640円を上乗せしてお支払いいただくというような制度を導入しましたけれども、今現在、今回の検討の中でこれをどうするのかということをご審議いただきたいと考えてございます。
 次のページでは、実はアンケートを行ったのでありますが、最近の若い方々が携帯だけあればいい、固定電話は要らないというような方も多いものですから、どうなのかと聞きましたところ、やっぱり加入時に払う施設設置負担金7万2,000円は高い、だから固定電話に加入しないというような方が39.1%ということで一番多くなってございます。
 次のページ、25ページにございますが、各国の加入時の負担金を比べてみますと、日本のような加入時一時金の7万2,000円という制度を持っている国はほかにはございませんで、突出した高い状況になってきている。ただ、これには今ライトという形で、7万2,000円を払わずに、毎月640円払うというメニューも日本には用意されてございます。
 26ページには、こういった電話加入権というのは、実際には取り引きされておりまして、取引価格はだんだんと下がってございまして、ことし3月時点ですと、これは売りと買いの中間の相場をとりますと、約1万9,000円ということでございます。電話加入権譲渡の動向という一番下を見ますと、かつては70万件ぐらい譲渡、名義書きかえがありましたものが、現在では30万件ぐらいに減ってきているというのが現在の状況でございます。
 そういった状況の中で、先ほどの最初の資料に戻っていただきます。2ページ目のIIIの主な論点というところからでございます。まず1点目は接続料の算定方法でございます。今回改定しました新モデルの評価につきまして、モデルで計算されたコストをもとに、どのようにプライシングしていくのか、あるいは引き続きモデルを用いていくのかというような点が論点となります。
 それから、2点目の接続料水準の見通しでございますけれども、トラヒックがこのまま減少し続けますと、接続料は大幅値上げになる傾向にございますけれども、それが政策的に見てどうなのかということで、2つぐらい観点がありまして、果たして競争を推進してきたという観点から、接続料が上がる、あるいはひいては利用者料金が上がるということはどうなのかという点、それから利用者の負担が増える点はどうなのかということ。
 それとウ)にございますように、加入者回線のアンバンドル化によりまして、直加入電話だとか、IP電話、あるいはもっと言うと、携帯電話というのがありますけれども、そういった固定電話以外、あるいは中継電話といったビジネス以外にもいろいろな競争事業者の選択肢が広がっている中で、接続料水準をどうすればいいのかと。
 3点目がNTSコストの扱いでございます。NTSコストを接続料の原価から除くべきか、仮に除いた場合に、そのコストをどう回収すべきかということでございます。ウ)にありますように、NTSコストをだれがどのように負担することが適切なのかといった観点では、諸外国をいろいろ見たりしますと、定額制の接続料であるとか、加入者のアクセスチャージ、あるいは基本料で吸収するだとか、幾つか選択肢があろうかと思います。
 それとエ)のところにありますように、トラヒックの大幅減少といったものが接続料の上昇のもとになっているわけでございますので、そのトラヒックを増やす、あるいは減らさない、あるいは減らし方を少なくするためには、接続料、ひいてはユーザー向けの通話料金のあり方をどうするのか、定額制のかけ放題メニューなんていうのも実現できるようにすれば、もっと電話を使っていただけるんじゃないかといったようなことも検討の必要があるのではないかと考えてございます。
 4点目は、東西別の接続料金でございます。今回のモデルで、東西別格差はどうなるのか、あるいはそういった格差があった場合に、格差分の費用をどうするのか、ユニバーサルサービス基金との関係はどう考えるのかといった点が検討の対象だろうと思います。
 それと5点目として、モデルの適用期間として、最初のモデルは3年間適用しましたが現在は2年間、今後モデルを適用するものとして、ビジネスをやる上で予見性を与えるという意味では一定の期間継続したほうがよろしいかと思いますけれども、他方、そうすると、トラヒックはどんどん変わる、あるいはマーケットが変わる中で、現実との乖離が大きくなるといったような点がありまして、どれくらいの期間適用したらいいかということがあろうかと思います。
 6点目としては、トラヒック等の入力値の扱いがございます。これは入力するトラヒック値、それからそれに関連して、現行の事後精算ルールなんかもどうしたらいいのかといった点も論点だろうと思います。
 こういったものを踏まえまして、将来における接続料のあり方というのをどのようにすべきかということで、トラヒックの減少、新規投資の抑制といった大きな流れの中で、長期増分費用方式といったものがそもそもどうなのかという評価もしていただきたいと思いますし、仮にそれ以外の選択肢があるとしたら、どのような方法があるのかといったようなこともご議論いただきたいと思います。
 2の基本料・施設設置負担金のあり方といたしましては、基本料につきましては、費用の配賦基準の見直し等を踏まえまして、果たして今の費用が適切であるのか、逆に見直した結果、接続料で回収しているNTSコストといったものを基本料で回収することが可能なのかどうかといったようなこと、あるいは現在の物価下落といった状況下におきまして、基本料の現在の水準といったものの適切性と、NTSコストの吸収可能性といったものをどのように考えるのかといった点も大きかろうと思います。
 施設設置負担金の見直しにつきましても、現在は加入者回線部分の建設費の一部の費用に充てている負担金でございますけれども、これを見直すとした場合に、基本料等への影響というのはどういったものなのか。負担金7万2,000円は昭和60年の自由化以降、一切見直しをしておりませんけれども、新規架設数が減少する中で、今のままが適切なのかどうか。過去においては、こういったお金をいただくことによって、電話網の整備に大変役に立ってきている制度ではありますけれども、新規加入が減っている、あるいはトータルとしての加入数が減少傾向にあるという中でどうかといったことをご議論いただきたいと思いますし、現実に電話加入権の取引市場といったものが成り立っている、それにかかわられている方もいらっしゃるものですから、そういったものへの影響をどうしたらいいか、あるいは企業等でこれを資産に計上している方もおりますので、その扱いをどうしたらいいかといったようなことにつきましてもご議論をいただければと思います。
 最後に接続料見直しのスケジュールでございます。次の横長の1枚紙がございます。実は逆算をしていただくと一番わかりやすいかと思うんですが、平成17年度4月1日から適用するといたしますと、平成17年3月には接続約款の答申をいただきまして、認可をしないと間に合わない。といいますと、その前に接続約款の申請と諮問が必要でございますし、当然その前には省令の改正をしなければいけない。省令の改正案につきましては、またパブリックコメントを得ないといけないということを考えますと、実は大変心苦しいんでございますが、検討期間はそんなに長くございませんで、10月をめどにご答申をいただければと、私ども、お願いする立場でございますけれども、現在考えてございます。
 以上でございますが、資料の一番最後には、NTT東西さんから施設設置負担金のあり方に関する検討の要望についてという紙をいただいておりまして、NTT東西さんといたしましても、廃止も含め、見直しの検討が必要であると考えているということでございまして、関連する法令の諸制度がありますので、省のほうでもご検討いただきたいと要望をいただいているところでございます。
大変長くなりましたけれども、以上でございます。
根岸部会長  はい、ありがとうございました。
 それでは、17年度以降の接続料算定のあり方につきまして、今ご説明いただきました。これから検討いただくというわけでございますけれども、ただいまの説明につきましてご質問、あるいはご意見がございましたら、お願いいたします。どうぞ。
辻委員  論点を伺いましたが、非常に多岐にわたって、期間が短いので、大変な作業だと思うんですが、論点の中には、これまでの電気通信の料金にかかわるものすべてを、精算と言ったらおかしいですが、トラヒックが減っていくということを前提にして、今までのやり方ではできなくなったということで、根本的な改正というのが含まれていると思うんです。具体的には、接続料、あるいは基本料、施設設置負担金という形になっておりますが、考え方は、固定電話につきましては基本的に今までの成長のモデルから縮小のモデルとなって、トラヒックが減っていくという現象、あるいは固定電話が使われなくなっていくということで、こういう問題が出てきていると思います。
 前回の改定のときには、トラヒックの減少が一次的なものか、ロングランなものかわからなくて、及び腰みたいになりましたが、対前年で15%ぐらい減っていくということは確実だということで皆さんにご理解いただいていると思いますので、そういったようなものを受けて、ロングランにどうしていくかということが必要かと思います。
 前回の見直しのときの経験から、これはまず1点は事務局にお願いしたいんですが、計算の基本的なものは何といってもデータなんです。ですからデータが出てこない限りは、モデルの計算値だけではいけません。特に、NTT東西とか、主要な接続業者の方々の市内通話に関するような収益構造、1通話当たりの収入、あるいはNTTに支払われる接続料との比較、こういうものもできたら出していただいて、水準が適切であるかどうかという比較検討になると思います。
 それからまた、将来のものをLRICでは含みますから、将来の中継電話サービスについてのいろいろな設備投資の計画とか、合理化案、こういうものも含めて、固定電話にかかるような動向というのも入れていかなければならないと思いますので、できましたら幅広いデータ、まだまだありますが、とにかく今思いつくのはそのぐらいですけれども、また審議が始まりましたら、適宜データの提供をお願いしたいと思います。
 それからもう一点は、先ほどご説明にありましたように、接続料金の水準がどんどん上がっていくということになりますと、これまでの競争を導入するというものと両立するかどうか、あるいはIP電話等々が入ってきますから、逆にIP電話で緊急通報とか、そういうのがあれば、もう固定電話の中の競争は要りません、皆さん方がIP電話を利用されるということになることも可能性があると思うんです。
 ですから、料金水準につきまして先ほど定額制の導入とかがありましたけれども、ある競争条件が要るんでしたら、それと両立するような水準を決めますと、残りはどういうような仕組みで接続料金とか基本料金とか、施設設置負担金みたいなものを負担していくのか。
 これは事務局というよりも、単に接続料を決めるだけじゃなくて、もう少しロングランで、システム全体を決めていくというような仕組みを、長期増分費用のあり方も含めて出てきておりますので、細かいデータの点から、あるいは長期的な視点を見据えたシステム全体のあり方が短期間でどこまでできるか、やられる方は大変だと思いますが、そういうような視点をぜひ入れていただいて、ご検討をお願いしたいと思います。
鈴木料金サービス課長  事業者の皆さん方には、なるべくデータをご提出いただけるように、可能な限りご協力いただくようにお願いしたいと思います。
 また、長期的な視点で、そもそもを言えば、こういったマーケットサービスをどうしていきたいかという事業者さん皆さん方のご意向といったものが第一にあろうかと思いますので、そういったところはお話を伺う、あるいは審議会の場でもぜひヒアリングという形で直接お話しいただければと考えております。
根岸部会長  ほかにありましたら。どうぞ。
酒井部会長代理  じゃ、よろしいですか。
根岸部会長  どうぞ。
酒井部会長代理  1点は感想、1点は質問なんです。今回の接続料と基本料の関係が決まると、それによって、もちろん市場競争という意味が、今の接続事業者の市場競争というのはありますけれども、それと同時に、電話とIP電話との競争が出てきて、下手な料金体系ですと、ほとんど電話を使わなくなって、みんなIP電話に移ってしまって、トラヒックがますます減るという話に、それがいいのかもしれませんけれども、そういう可能性もあると思いますので、基本料との間の料金バランスというのはかなり大事な話じゃないかと思っております。
 その関係で質問なんですが、そういう意味で、基本料と接続料のバランスというのは非常に関係があるんですけれども、施設設置負担金というのは、これとかなり独立に議論できる話なんでしょうか、それとも相当関係してしまうんでしょうか。
鈴木料金サービス課長  本来施設設置負担金も廃止するとなると、新規に構築した加入者回線分の設備料は、普通では減価償却費としてだんだん回収するという意味で、それはノン・トラヒック・インセンティブコストの一部だと思うんです。ただ、実際には新規の電話網を引くという投資行為がほとんどございませんので、基本的には、どちらといいますと、施設設置負担金というのは電話のトラヒックが減っていることが、2つの要因で、一つには加入数が減っているということと通話量が減っているということがございますので、加入数が減っているということに対して、加入時の一時金がなくなれば、いい効果があるんじゃないかという意味での影響なんだろうと思います。費用面ではあんまりないかと考えております。
酒井部会長代理  わかりました。
東海委員  これは縦長のほうの3ページです。これまであまり議論をしていない定額制接続料という言葉を事務局のほうでお出しになっておられるんですが、コストと料金との関係、いろいろな回収の方法といいましょうか、支払い方があると思うんですけれども、基本的にはほとんどのアクティビティーというのは固定費と変動費がまじり合っているわけです。それを固定費の部分をならしてしまって、全部を変動的に回収するという考え方もないわけではない。それから、固定費は固定費部分、変動費部分は変動費部分といったような2つの料金体系を持つということもあるんだろうと思うんです。
 どういうイメージかまだあんまり議論されておられないんだろうとは思いますけれども、ここで定額制とおっしゃるのは、全体のコスト、固定費も変動費も含んだ部分を、固定費的な回収をさせるという意味の定額なのか、あるいは変動費的な部分は変動費で、固定費的なものは固定費というような2つの体系を持ったものにしようとされるのか、何かお考えがおありなんでしょうか。
鈴木料金サービス課長  大変申しわけありません。実は具体的なイメージを固めているわけではございません。ただ、定額制ということは確実にあり得るであろうと。ただ、変動費的なところまで一定の平均的使用の形態をもとに定額化するというようなことがあり得るのかどうかというところにつきましては、正直、できるものかどうかというイメージは持ってございません。それはまた、事業者さんたちからのヒアリング等も踏まえながら、ご検討いただきたいと思います。
 他方、もしユーザーに対して定額制の料金といったものを事業者様方が提示したいということであれば、変動費部分とはいえ、接続料が定額制、従量制でございますと、なかなかやりにくいのかなという感想は持ってございます。
東海委員  その問題と、これもまだこれから議論することでしょうけれども、NTSコストというのは、現在の接続料原価の中で固定費的なものだという意味でしょうから、NTSコストを除くと、固定費の大きなものが除かれると。さらにそこへ定額制を導入するかという話というのは、少し矛盾する発想になるかもしれません。この辺はこれから整理するという意味でございましょうか。
 それからもう少し根本的な問題を一つよろしゅうございますしょうか。
根岸部会長  どうぞ。
東海委員  現在の事業法、あるいは省令を含めた体系の中では、長期増分費用方式でこのコストをしっかりと勘案して、それをベースに接続料金を決めなさいということになっているわけですけれども、一つこれから議論の対象になるかと思うんですけれども、まだそこまで議論の対象とするかどうかということもお聞きしたいんですが、もともとLRICといったような方式が登場してきた社会的な背景というのは、これまで日本だけじゃなくて、総括原価主義というものに対する事業者の、ある意味では経営効率化へのインセンティブがあまり働かないという意識、全部ではないんでしょうけれども、そういう意識を少し整理していけば、全体的な経営効率化が図られる、あるいは業務の効率化が図られるというようなことを意識してLRICが登場してきているということは事実だろうと思うんです。
 ただ、今日のご説明の中にも出てきたように、平成14年度、NTT東西は個々に独立した会社として構造改革を既に実施されて、かなりスリム化してきているということも事実でしょう。こんなのは具体例としてあんまり適切ではないかもしれませんけれども、ご承知のとおり、日本でずっと長く生き続けてきたいわゆるゼネコンというのは、バブルのときに不良債権をかなり抱いたということもありますけれども、何年か前、直近の非常に近いところでもって、株価が100円、50円を割るというような会社が、結果的には商法の分割という制度ができることによって、会社のスリム化ができることになった。もう既に何百円の株価になるぐらいのスリム化した形の経営体になってしまっているというようなことを考えると、会社のスリム化がされなければ、市場では民間の企業としては生き残れないということがベースにあるんだろうと思うんです。
 それだけのことで、この問題は片づかないとは思いますけれども、そうなってくると、昔、当時ヒストリカルコストというのは、非効率、効率化へのインセンティブが欠けるというような発想はかなり改善されてきているかもしれないと。そうすると、先ほど辻先生からもお話がありましたように、ヒストリカルコストの分析をしっかりすると、もしかしたら、LRIC方式と対応させたときに、項目によっては、ヒストリカルのほうが効率化された数値になっているかもしれないという部分も出てくるかもしれないという感じが、きょうのお話を伺っていて私はするわけです。
そういったことになると、当然のことながら、先ほど最初に申し上げたような事業法の規定といいましょうか、LRIC方式をきちんとベースにしてという考え方に手を触れなければならないかもしれないと。そこまで今日の主な論点ということの中に、もちろん将来のことも含めていますから、それはそこの中では入るでしょうけれども、17年度以降の問題として、短期間の中で10月までに整理しろという、そこまで踏み込んだ議論をすべきこととして、問題提起をされておられるのかどうかということでございますが、いかがでございましょうか。
鈴木料金サービス課長  一応私どもの提案といたしましては、法律の範囲内でできるものはすべてご議論の対象であろうかと考えてございます。ただ、実際問題として、その方式が平成17年4月1日に間に合うようにすべてのソフトウエアの改修に、我々の規定の整備だけではございませんで、関係事業者さん方のすべてのソフトウエアの改修や認可などを含めて、まるっきり抜本的なものができるのかというようなことは、実行可能性という観点から少し制約があろうかと思います。
東海委員  実行可能性に制約があるとなると、ここに書かれた主な論点の、将来における接続料のあり方も議論せよということについて、ここまで含めて判断しろというのはかなり実行可能性に無理があるかもしれませんね。これはどのくらいの範囲までのことを想定されておられるのか。
鈴木料金サービス課長  どれくらいの範囲といいましても……。
東海委員  LRICに、これから長いというよりも、むしろもう三、四年、五年というスパンの中で変えていかなければいけないかもしれないということについても議論の対象になるんです、ただし、17年度についての議論はこうですという雰囲気でしょうか。
鈴木料金サービス課長  そうですね。おっしゃるとおりだと思います。実は加入者回線数の推移というのを出させていただきましたが、電話は5,000万、ISDNは1,000万で、6,000万の固定の加入がございます。そこにADSL1,000万、ケーブルテレビ等を含めまして、ブロードバンド約1,500万ということで、ブロードバンドがすべての利用者に行き渡るのはまだ相当の時間がかかると考えてございます。
 確かに前回の検討と違いまして、既存の電話が大分縮小傾向にある、IPに移行しつつはあるものの、まだマーケットの大半はIPではないという意味では、まだ引き続きトランジッションといいますか、そういう条件にございますので、ネットが完全にIPに置きかわってしまえば、まるっきり別のものもあろうかと思いますけれども、現時点では当面平成17年、18年、あるいは19年かもしれませんけれども、それぐらいの範囲で見通せる状況に対応できる接続料といったものをご審議いただければと考えてございます。
東海委員  もう一点、よろしゅうございますか。
根岸部会長  はい、どうぞ。
東海委員  15年度、16年度のときに、かなり大きな宿題を残したことが今ここで問題提起されておられるわけですから、これは当然の方向づけだと思っております。その一つの問題点として、東西別をどうするかという問題も大きな課題であったわけです。東西別の問題は、いわゆる接続料金問題として登場してきたのですが、そのときに、ユニバーサルサービス基金──ファンドを運用できるできないという議論も入ってきたわけです。これは接続料問題の中で議論をすべきことなのか、あるいはもしかしたらもう少し違った視点で、ユニバーサルサービス基金の活用をもう少し広い視点で議論せよという意識をお持ちなのかどうか伺っておきたいなと思います。
鈴木料金サービス課長  基本的には、ユニバーサルサービス基金制度という制度も現にございますので、適用すべき状況が来たら適用されるものだと思っております。ということで、今回の接続料の議論の中で到底接続料では解決し得ないといったときの話としては、こういった外の制度の活用といったものが、より広い観点で検討の対象だと思います。
東海委員  わかりました。
根岸部会長  ほかによろしいでしょうか。
 今の質疑でございましたように、大変基本的な重要な問題を短期間で検討するわけでございます。本件につきましては、当然のことながら、接続委員会においてさらに検討いただくということでございます。先ほど基本料と施設設置負担金のお話もございましたが、このあり方につきましては、後の議題で設置が提案されております新規の委員会において検討をいただくということでございまして、検討状況を逐次この部会に報告していただいた上で審議するということにしたいと思います。委員会開催のスケジュールにつきましては、各委員会で調整をお願いしたいと思います。なお、本件につきましては、関係者から直接意見を聴取する、そして今後の調査審議の参考とすることが適当であると思いますけれども、そういうやり方でよろしいでしょうか。
 それでは、そのようにさせていただくということで、決定させていただきたいと思います。
 ヒアリングはこの部会と各委員会の合同、あるいは各委員会単独によって開催するということでございまして、主宰者につきましては、各委員会の主査にお願いしたいと思います。この開催は5月中を予定しておりますけれども、詳細につきましては、事務局より後日連絡をさせていただくということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、今の議題そのものにつきましては、これでよろしいでしょうか。
 
(「はい」の声あり)

(4)  委員会の設置について

根岸部会長  それでは、最後の議題ということでございますが、今申し上げましたような新しい委員会の設置につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
福岡総務課長(事務局)  はい、審議会の事務局でございます。資料4をごらんいただければと思います。ただいまご審議をいただきました諮問第1115号 平成17年度以降の接続料算定の在り方についての調査を審議いただくに当たりまして、事務局からの提案でございます。
 資料4にございますとおり、この調査審議を効率的に行っていただくという趣旨から、基本料等委員会というものの設置を提案申し上げたいと思います。資料にございますとおり、接続委員会がございますが、本部会に基本料及び施設設置負担金等の在り方に関し、専門的な事項を調査するため、次の委員会を設置するということでございます。名称は、今申し上げました基本料等委員会という案でございます。構成、あるいは関係者の出席等につきましては、他の委員会と同様の考え方で案をつくらせていただいてございます。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
根岸部会長  ありがとうございました。
 では、ただいまのご説明につきまして、ご質問とかご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 
(「はい」の声あり)
根岸部会長  それでは、諮問第1115号の調査審議のために、案のとおり決定することといたしまして、新たに一つの委員会、基本料等委員会の設置をすることといたします。
 ただいま設置が決定されました委員会に所属する委員及び主査につきましては、部会長が指名するということになっておりますので、別途私のほうから選任し、所要の手続を経て、後日皆様方にお知らせすることといたしたく思います。

閉会


根岸部会長  以上で本日の審議を終了いたしました。委員の皆様から何かございますでしょうか。あるいは、事務局からございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日の会議を終了いたします。次回の部会は、5月18日火曜日午後3時ということで、8階第1特別会議室において開催する予定でございますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

  ── 了 ──


 
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     担当: 総務省情報通信政策局総務課情報通信審議会係 飯島
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