会議資料・開催案内等



29次地方制度調査会第1回専門小委員会 次第



平成19年8月7日(火)
1400分〜1600
総務省 第1特別会議室(8階)


1   開会


2   議題

  1) 今後の審議事項について
  2) その他


3   閉会

配付資料(PDF)
 
資料1   29次地方制度調査会の審議項目(案)






○林小委員長 それでは、定刻が参りましたので、第1回専門小委員会を始めさせていただきます。
 最初に専門小委員会の運営についてお諮りしたいと思います。先日の第1回総会におきまして、総会の運営については原則として公開する。なお、その場合、会場の都合により内閣府、総務省の記者クラブに所属する報道機関が傍聴できることとし、議事録は発言者の名前入りでホームページなどを通じて公表するということが決定されたところでございます。
 専門小委員会の運営につきましても、原則として公開し、会議の実施は総務省・内閣府記者クラブに通知した上で開催いたしたいと思います。
 また、議事録につきましても、原則公開といたします。
 なお、速やかな公表に努め、総務省ホームページに掲載することといたします。議事録の掲載に当たりましては、あらかじめ発言者に内容の確認をお願いいたします。
 なお、発言内容の修正に当たりましては、事実誤認等に限ることといたしたいと思っております。
 また、会議配布資料は原則公開といたします。
 このように、基本的に総会で決定されました議事運営と同様にいたしたいと思っておりますけれども、御意見・御質問等ございませんでしょうか。
 それでは、専門小委員会の運営につきましても、御説明のとおりとさせていただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○林小委員長 それでは、次に入ります。
 第1回の総会におきまして、今次、29次の地方制度調査会に対しまして、内閣総理大臣から「市町村合併を含めた基礎自治体のあり方、監査機能の充実・強化等の最近の社会経済情勢の変化に対応した地行財政制度のあり方について、地方自治の一層の推進を図る観点から調査審議を求める」との諮問を受けたところでございます。
 専門小委員会といたしましては、まず、今後の審議事項とその論点につきまして整理をし、総会に報告する必要があると考えております。
 つきましては、今回の審議事項の考え方について、事務局から説明をいただきたいと思います。
 それでは、幸田行政課長お願いいたします。

○行政課長 行政課長の幸田でございます。資料1を見ていただきたいと思います。
 皆様方で審議項目について議論をいただく材料として作成をしたものでございます。初めに諮問事項でございますが、総会におきまして、総理から諮問をいただいた文書をここに書いております。
 「市町村合併を含めた基礎自治体のあり方、監査機能の充実・強化等の最近の社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度のあり方について、地方自治の一層の推進を図る観点から、調査審議を求める」という文書でございます。
 したがいまして、基礎自治体の在り方と監査機能の充実・強化等というところが、大きな柱になっておりますので、それに沿って項目を整理をしてみました。
 まず「更なる市町村合併を含めた基礎自治体のあり方」についてでございます。
 「1 基礎自治体のあり方」でございます。合併につきましては、平成11年の合併特例法、平成16年の合併新法によりまして、合併が進んできておりまして、平成11年3月末、3,232 であった団体が平成20年1月では1,799 になる見込みでございます。今の合併新法が平成22年3月末が期限となっておりますので、現時点において、合併した市町村、それから合併していない市町村の評価・検証として分析を行う必要があるのではないかということでございます。
 合併していない市町村というのは、合併を希望したけれども、不調に終わった市町村、あるいは客観的に合併が困難な市町村。自ら合併しないことを選択したところ、いろいろあろうかと思いますけれども、そういったことを含めて評価・検証するということが考えられるのではないかということでございます。
 2番目が「基礎自治体の果たすべき役割」ということでございます。これは本来、基礎自治体はどういう役割を果たすべきかという根本的な議論をする必要があるのではないかということでございます。日本における基礎自治体が本質的に同じタイプのものであるべきだろうか。あるいは複数のタイプがあってもいいのか。あるいは同じタイプの中でも事務権限、あるいは組織についての多様性はどうあるべきかといったようなことも含めて基本的な議論をする必要があるのではないかということでございます。
 次は「今後の基礎自治体の組織・体制のあり方」でございます。今の基礎自治体の果たすべき役割を踏まえまして、今後の基礎自治体が担うべき事務の内容、あるいはそれに対応した組織・体制の在り方についての議論が必要ではないかということでございます。
 次は「小規模市町村に対する方策」でございます。
 基礎的自治体として期待される役割を担うことが困難な小規模自治体、小規模市町村、現在、合併が進んでまいりましたけれども、1万人未満の市町村は平成20年の1月時点でも490 余りある見込みでございます。こういった小規模市町村につきまして、第27次の地方制度調査会では引き続き検討するとされました事務配分特例、これは法令に義務づけのない自治事務と義務づけのある自治事務のうち窓口サービスだけを処理して、それ以外は都道府県に担ってもらうといったようなことを検討したらどうか。
 また、広域連合の充実など、広域連携方策などを取っていくことによって、小規模自治体に対する在り方を検討するということが考えられるのではないかということでございます。
 2点目としまして、基礎自治体における住民自治の充実についてでございます。
 第1次分権改革でも地方分権推進委員会の最終報告で住民自治についての充実方策というのは残された課題とされておったわけでございますが、現在の分権改革、あるいは市町村合併が今後進展していく中で、基礎自治体における住民自治の在り方ということを考える必要があるのではないかということでございます。
 「2 基礎自治体における住民自治の充実」で、「地域自治区等のあり方」につきましては、27次の地方制度調査会で住民自治の強化等を推進する観点から、市町村の一定の区域を単位とする地域自治区を市町村の判断で設置できるという答申をいただきまして、地方自治法の一般制度として地方自治法の改正がされたところでございますが、この一般制度としての地域自治区は平成18年7月時点の調査によりますと15団体ということでございまして、使いにくい、活用しにくいのではないかという意見もあるわけでございます。
 この制度の活用のための方策等を含めて在り方を検討する必要があるのではないかということでございます。
 次は「地域コミュニティのあり方」でございます。
 これは今年総務省におけますコミュニティ研究会の中間報告として、6月に報告書が出されておりますけれども、コミュニティの力が弱くなっているのではないか。地域の共生の力が脆弱化しているのではないかといった指摘もされているところでございます。
 この地域コミュニティの今後の在り方というものを検討する必要があるのではないかということでございます。
 次が「3 大都市制度のあり方」についてでございます。
 大都市圏における広域行政の在り方をどうのように考えていくべきかということでございます。
 1点目として「大都市と都道府県との関係等」と書いてございますけれども、現行の政令指定都市制度のように都道府県との役割分担の下で大都市制度を考えるのか。それとも特別市のような形で広域自治体から独立した制度と考えるのか。あるいは都区制度についてはどう考えるか等々、大都市と都道府県との関係について幅広く議論する必要があるのではないかということでございます。
 次は「指定都市、中核市、特例市等の考え方の整理」と書いてございます。
 指定都市につきましては、市町村合併の中で平成13年8月の合併支援プランで合併特例、合併したところについては70万という要件の下に政令指定都市が増えてきたところでございまして、現在17政令指定都市がございます。また、中核市は35、特例市は44という状況でございます。
 27次の地方制度調査会では政令指定都市についてはその権限を強化するという方向を目指すべきだという指摘がされておりますし、中核市、特例市については、少なくとも合併特例法の期限内においては現行の指定要件を維持して、その後の要件緩和については引き続き検討すべきとされたところでございますが、これらの制度につきまして、さらなる人口要件の弾力化、あるいは大都市における住民自治の強化等を含めて大都市制度についての議論、考え方の整理をすべきではないかということでございます。
 2ページ、総理からの諮問事項では「監査機能の充実・強化等」となっておりましたけれども、「チェック機能の充実」という大きなくくりの中でとらえる必要があるのではないかということで、「チェック機能の充実」といたしまして、「監査機能の充実・強化」と「議会制度のあり方」という項目を立てております。
 1点目の「監査機能の充実・強化」につきましては、分権改革を進めるに当たりまして、監査委員に求められる役割は何かということでございます。監査委員の独立性、専門性等が重要であるという指摘はされているわけでございますが、1点目として、監査委員の独立性の強化が必要ではないか。そのためには組織、選任方法、現在は長が議会の同意を得て選任するという形になっておりますけれども、その選任方法。
 OBの就任制限。OBは平成9年から1人までというふうに制限がされておりますけれども、その就任制限をどうするか。
 また、議選委員の在り方。都道府県、25万以上の市については1名または2人。その他1名となっておりますけれども、この議選委員の在り方はどうかといったようなことが議論の対象となり得るのかなということでございます。
 次は「監査能力の向上(監査委員の人材確保等)」でございます。
 監査委員の専門性ということは非常に重要なわけでございまして、監査委員の人材確保をどう図っていくかということでございます。この中には監査委員の事務局体制の充実、あるいは小規模市町村における監査機能をどう確保するかといったようなことが入ってくるのかなということでございます。
 3番目が「外部監査のあり方」についてでございます。包括外部監査制度は平成9年に導入されまして、現在は都道府県、政令市、中核市までが義務づけとなっているところでございますけれども、この外部監査制度自体を検証して、今後どのような外部監査制度が望ましいのかということを議論する時期に来ているのではないかということでございます。
 「2 議会制度のあり方」についてでございます。
 分権改革の進展の中での議会に求められる役割ということがよく取り上げられておりますけれども、議会制度の在り方というのは大変重要ではないか。これまでの地制調でも議論されてきた課題でございます。
 まず「議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策」、これはいずれの機能も重要なわけでございますけれども、まず団体意思決定機能については、例えば議決事件の在り方。現在は限定列挙主義ですけれども、その自由度の拡大とも関係いたしますけれども、こういったものをどう取り扱うのか。
 それから、次の監査機能につきましては、夕張市の事例に見られますように、一時借入金、あるいは三セク運営の問題について議会のチェックが十分働かなかったのではないかという指摘もされているところでございます。こういった議会が果たすべき重要な機能をどのように向上していくのかということでございます。
 次は「議会制度の自由度の拡大」についてでございます。
 これは小規模自治体における事務処理全体の在り方も絡めて議論していく必要もあると思いますけれども、先ほどの議決事件の問題。あるいは次に項目としてあります「議員定数」の問題、あるいは会期制の取扱いの問題等、自由度の拡大の対象としてはいろいろなものが考えられるかなと思います。
 次の議員定数につきましては、これまで法定の上限の取り扱いをどうするかといったような議論があったわけでございますけれども、分権の進展に伴いまして、事務の多様化、複雑化、あるいは高度化に対応できるような能力、体制を整えるための議員定数はどうあるべきかといったことも議論する必要があるのではないかということでございます。
 最後は「幅広い層が議員活動できるための制度の環境整備」ということでございます。これは議会の活性化のためにも人材確保、あるいは会議の開催、夜間に開いたらどうかといったような意見もあるわけですけれども、開催の在り方を含めてどのような環境整備を図っていく必要があるのか。
 また、サラリーマンなどの立候補を容易にするための方策を考えるべきではないかといった議論は以前からあるわけでございますけれども、そのための制度について検討する必要があるのではないかということでございます。
 以上が総理の諮問の項目として、特に記述されていることに沿って幾つか項目をブレイクダウンして説明させていただきました。
 「その他」の項目として、2点ここに挙げております。
 「地方税財政制度のあり方」についてでございます。この点につきましては、現在、地方分権改革推進法に基づきまして、地方分権改革推進委員会で国と地方の役割分担の見直しを行い、その見直しを踏まえた措置の状況に応じまして、財政上の措置の在り方を検討を行うとされているところでございますが、基礎自治体の在り方等との関係で税財政制度はどうあるべきかといったことも議論として出てくる可能性があるかなということで項目として挙げております。
 もう一つは「首長の多選制限」でございます。この点につきましては、首長の多選問題に関する調査研究会の報告書、総務省に置かれました研究会の報告書が、今年の5月30日に出されまして、法律に長の多選制限の根拠を置くのであれば、法律で一律に多選制限を行うこととするのか、それともその是非、あるいは具体的な内容を条例に委ねるのかということは立法政策の問題であって、憲法上の問題は生じないという報告が出されたところでございますが、その報告書を受けて、政党あるいは関係のところで現在議論がされようとしているという段階でございます。
 以上がおおまかな審議項目として対象になり得る項目ではないかとして事務局の方で用意させていただきました資料でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。

○林小委員長 ありがとうございます。
 諮問は割とシンプルなんですけれども、議論しなければならない項目はかなり数多くございます。任期2年ということでございますので、効果的・効率的に議論を進めてまいりたいと思っておりますが、それでは今御説明をいただきました審議事項につきまして、御質問等含めて御意見がございましたら、自由に御発言をいただきたいと思います。
 いかがでしょうか。どなたからでも結構でございます。

○武田委員 これらの議題をどういう論法で検討されていくのかということをお尋ねしたいと思います。というのは、最終的には例えば地方自治法の改正につなげていくというようなことが求められているのかもしれないのですけれども、その際に各地方団体に対して、こういう可能性があるという選択肢を示す形にするのか、こうあるのが望ましいということなのか。それによって検証の仕方も大きく変わってくるのではないかと思いますので、この調査会としては、どの程度まで検討していくのかについて御説明いただければと思います。

○林小委員長 私は項目によって異なってくるんだろうと思うんです。一定の結論が出るものもあるでしょうし、選択肢をお示しするということも、恐らく審議の中でその辺りが明らかになってくるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○行政課長 今、小委員長がおっしゃられたとおりだろうと思います。これまでの地方制度調査会でも答申をいただいたものが地方自治法の改正で制度化されているものもあれば、運用に係る部分につきまして、答申の中に盛り込まれているものもあるわけでございますし、今、武田委員がおっしゃられましたように、幾つかの選択肢を示すという方法もあろうかと思いますので、これは委員の方々の御議論の中でまとめていくことだろうと思います。

○林小委員長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。どんなことでも結構です。

○片山副会長 項目については、こんなことだろうと思うんですが、これは審議するときに、貫く理念と言いますか、原理は必要だろうと思うんです。項目をただ羅列して順次こなしていきましょうというよりは、基本的な理念の下でこれらの項目に光を当てていくということだと思うんです。
 その際に地方自治というもののミッションは何だろうかということを審議する前に共有しておく必要はあるだろうと思うんです。ミッションを考えるというのは、具体的にはだれのためにある仕組みや制度でしょうかということと、何の目的でありますかということを考えるとわかりやすいんですけれども、だれのために、真の顧客はだれかということなんですけれども、地方自治でとかく自治体とか首長とかが真の顧客であるように見間違われることがあるんですが、私は地方自治の真の顧客というのは住民だと思うんです。住民のためになるかどうか。ともすれば自治体を強くすることは首長が強くなるということに重きを置かれがちになってきている傾向があるんですけれども、今一度真の顧客は住民である。住民が自分たちの望む行政サービスというものを、できるだけ低コストで、できるだけ良質な形で提供できるシステムをつくるということだろうと思うんです。
 できれば、そういうミッションというものを共有した上でこれらの項目に光を当てて審議をして、結論をできるだけ出していくということにしていただければなと思うんです。
 今、私ちょっと申し上げましたけれども、地方自治のミッションというところで、何か違和感があるとか、異論があるということであれば、議論をさせていただければと思っています。

○林小委員長 項目については、これでいいのではないか。ただ、これを議論するためには、ミッションも必要ですし、恐らく検証が必要になってくるようなものもあります。ミッションを共有しなければなかなか一つのまとまった提案ができないということも事実でございますが、ただ、それを改めてここで項目を決めた段階で時間をつくって話し合いをした方がいいということですか。

○片山副会長 いやいや、この中でということです。

○林小委員長 そうしたら、その点につきましては、また、議論をしていただきたいと思いますけれども、とりあえず今日は項目についてまず固めたいと思いますので、勿論、自治とは何か、だれのための自治かということを議論しないと項目が固まらない部分もございますけれども、そこをもし切り分けることができるとするならば、まず項目について御意見をいただいた上で、今、片山委員が御発言くださったようなことについて、考え方というのはある程度共有している方が、今後の運営は進めていきやすいと思いますので、その辺りまた御意見をいただきたいと思いますけれども、まず、審議項目に関連して何か御質問、御意見等ございましたら、お願いをしたいと思います。

○西野委員 I1の項目につきまして、若干、意見を述べさせて頂きたいと存じます。I1の項目1の「基礎自治体のあり方」と「基礎自治体の果たすべき役割」については最初に論ずべき非常に重要な問題と考えますので異論はございません。次の「今後の基礎自治体の組織・体制のあり方」も同様です。しかしその次の「小規模市町村に対する方策」は別項目で論じ、むしろ代わりに項目2の「地域自治区等およびコミュニティのあり方」をここで論じるべきではないかと考えます。
 つまり、基礎自治体のあり方は、地域自治区や地域コミュニティのあり方とも深く関わってくると思いますので、基本的な基礎自治体のあり方を議論する項目には、これを含めるべきだと考えます。項目1の3つ目の「今後の基礎自治体の組織・体制のあり方」にそれを含めていらっしゃるのでしたらたら、それはそれでよろしいのですが。そうでないとすると、項目2を項目1に加えて、項目3の「大都市制度のあり方」の前の項目2で小規模町村の問題を議論すべきではないかと考えます。
 「小規模自治体に関する問題」は論点が多く、特に独立の項目で扱うのが妥当であると考えます。項目2で小規模自治体問題、項目3で大都市問題という形で議論していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○林小委員長 ありがとうございます。今日は項目を挙げていただいておりますけれども、議論の中身はやはり多い少ないというのはあるんだろうという気がいたします。
 したがいまして、項目のI1、II2、III3 という形で今後議論をしていくのか、あるいは基礎自治体の在り方ということを考える中で、地域コミュニティの場合、これは大都市の中でもやはり問題だしということがありますから、議論をする中で少し整理をしていかなければならない部分もあるんじゃないかという気がいたします。
 したがって、今、御意見いただきましたことを踏まえて、それぞれ取り上げていかなければならない課題ですから、そのときの出し方として少しまた考えさせていただければという具合に思っておりますが、事務局いかがでしょうか。

○行政課長 「小規模市町村に対する方策」というのは、かなり幅広く議論する必要はあるし、大都市の在り方と並ぶくらいの項目として立てた方がいいのではないかという御意見と承ったわけですけれども、ここで整理しておりますのは、基礎自治体の在り方の中で、総理から諮問をいただいたのは、合併を含めた基礎自治体の在り方ということで、合併の検証をまずする必要がある。そうした中で基礎自治体の中で合併がどうしても難しいという小規模市町村の問題というのが、それに関連して出てくる。それをどうするのかという議論で一つの項目の中にこれは入れているわけでございまして、議論するときには、この小規模市町村についてさまざまな、先ほど申し上げましたように、都道府県が一部担っていくのか、あるいは連携方策でやっていくのか、そのほかいろいろな方策、いろんな議論があろうかと思いますので、時間をかけて議論する必要があろうかと思いますが、その前にまず合併の検証、基礎自治体の果たすべき役割という議論が必要ではないか。そういう順番でここには整理をさせていただいているということでございます。
 それと住民自治の充実につきましては、住民自治というのは、先ほど片山副会長のお話にもありましたように、住民が一番の顧客である。住民自治というのをどうしたらいいのかということについてかなり大きく認識をして議論する必要があるのではないか。これまで団体自治というところに力がそそがれていたのではないかという議論もあるわけでございますので、住民自治の充実というのは1つの大きな議論の項目として立てる必要があるのではないか。
 また、これは地方議会の在り方とも関係をしてくると思いますので、そういった意味では地方議会と一緒に議論した方がいいかもしませんし、この辺は本日の委員の皆様方の御意見を踏まえて、審議の順番とか、どことどこを一緒に議論していただいた方がいいのかということは検討する必要があるかなと思っております。

○西野委員 済みません。少し言葉が足りなかったかもしれないので別の言い方をさせていただきます。I1の項目1のところでは、基礎自治体のあり方を原理的な問題に遡って徹底的に議論をしていく。そしてI1の項目2と項目3では、具体的な問題点を取り上げて検証・評価・分析を行い、その結果を踏まえて、あるべき基礎自治体の姿にいかに近づけるかを検討するという意味で、先ほどのような意見を申し上げた次第です。

○行政課長 わかりました。今おっしゃられた意味では、原理のところと次の段階での議論というのは分ける必要があるというのはおっしゃるとおりかなと思います。

○林小委員長 西尾委員、どうぞ。

○西尾委員 審議項目を広く取れば、大体今回はこういう範囲だろうなということに全く異論はないんですけれども、1、2意見を述べさせていただきます。
 第1項目が「更なる市町村合併を含めた」という表現になっているんです。首相からの諮問事項には、別に「更なる」という言葉はなかったように思うんです。「市町村合併を含めた基礎自治体のあり方」と言われただけではないかと思うんです。あえて事務局はなぜ「更なる」と付け加えるのだろうということです。
 私個人の意見から申し上げますけれども、平成の市町村合併と言われている今進めている運動は、地方分権推進委員会の第2次勧告で自主合併があくまで原則であるけれども、合併できる市町村は極力合併していくように政府としては積極的な促進方策をとるべきであるという趣旨の勧告をいたしました。政府はそれを受けて、その後、地方制度調査会で審議し、市町村合併特例法の改正をして、合併特例債等の措置を盛り込んだ促進運動に入っていったわけです。
 それで第1期がほぼ終わるような時期に第27次地方制度調査会がありまして、そのときに第1期の合併の進捗状況を見て、今後どうするんだということが諮問されたわけです。当時の状況から見て、この第1期の年限内で終えることはできないのではないかというふうに私は考えまして、更に第2期の合併促進運動をすべきではないかという答申に最後は行ったわけです。
 合併三法というものが改めてつくり直されて、現在、それで進行しているわけですけれども、それが先ほど御紹介あったように平成22年3月31日をもって期限が切れると。あと2年半強期間がある。
 私はこの22年3月31日までにできるだけの合併を促進するために何か更に考えるべき手立てがあるかという議論であれば、大いにやるべきだと思っていますし、そこで出てきた結果、その後どうするのだということについてもいろいろ検討すべきことはあるんだと思いますけれども、私は平成22年3月31日をもって平成の市町村合併には終止符を打つべきだと思っているわけです。だらだらと第3期などやるべきではないというのが私個人の強い意見です。
 長い間市町村合併を続けてきましたけれども、このお陰で市町村の腰は全く落ち着かない。終始合併合併と言われてどうするかということを考えているわけです。この状態というのは非常に不健全な状態でありまして、私はどこかできちんと終わりの宣言をすべきだと思っているわけです。
 恐らく私の見通しでは今、総数で1,800 を切ろうとしている段階ですけれども、これから2、3年の間にどんなに進んだとしても、1,600 台ではないかと思うんです。私の予想を超えて今後何かの事情で大きく進展したとしても、1,500 台であろうと思うんです。
 ということは、この推進を進めてきた政府与党、あるいは野党も含めて、国会の主要な政党はおおむね1,000 を目指して合併をせよということを掲げてきたわけですから、その目標から見れば到底それに達しない状態で終わるということになろうかと思うんですけれども、私はもともと1,000 という数に何の根拠もないと思っておりますので、1,000 に無理やりする必要などどこにもないと思っているわけです。
 ですから、2、3年後の段階で、それが1,600 台なのか1,500 台なのかわかりませんけれども、そういう状態だったとしても、ここで一旦終止符を打つことが非常に重要だと思っています。それが私個人の意見でございますので、「更なる」という表題を付けられると、第3期まで検討しろということかという危惧があるものですから、あえて申し上げているわけです。
 私は22年3月までに何か打つ手があるなら考えようということなら協力いたしますが、それ以上やろうというなら、私は反対をするということを申し上げておきたいということであります。
 それから「監査機能の充実・強化」も大事なんですけれども、監査の機能ということでいけば、問題の中心はやはり地方議会をどうするかという問題なのではないかと思っています。さまざま県知事等の談合疑惑事件が起こって、そして、県議会は果たしてチェック機能を果たしていたのか問われる。夕張のような財政破綻問題が出てきたときも、議会はそれに全く気づかなかったのかということが問われる。そういう大きな事件が続いているわけですけれども、そのほか無数のことが議会をめぐって起こっておりまして、政務調査費の不透明性をめぐっても全国至るところで今問題になっています。
 自治体議会の在り方というのは、この時期にもう一遍抜本から考え直すべきではないかと思っているわけです。
 これまで進めてきたような首長との関係で、議会の権限を少しでも強化しよう。これも大事なことなんですけれども、そういった観点だけではなくて、戦後組み立ててきたこの自治体議会が果たしてちゃんと機能しているんだろうかということを根本から問い直すべきなのではないかと思います。
 そうすると、議員の選挙制度の在り方から入って、更には会期制度というような議会運営のやり方が、一番自治体議会としてふさわしいのかということに至るまで、少し根本から議会の在り方を問うべきなのではないかと思っています。
 そういう意味でこの議会制度の在り方では一番最後に「幅広い層が議員活動できるための制度の環境整備」という項目が挙がっていますけれども、こういう観点から考えることが非常に重要になっているのではないかという気がしております。
 以上は意見です。

○林小委員長 ありがとうございます。「更なる」ということですけれども、これは第3次まで行くのか、あるいは今まだ合併したくてもできないところをどのようにすればいいのかという、今の問題としての「更なる」という、どちらからという話なんですけれども、特に次の第3次をにらんでということではないだろうと思うんですが、いかがでしょうか。

○行政課長 今、小委員長がおっしゃられたとおりでございまして、第3次を想定して、それを議論してくださいということではなくて、あくまでも合併を検証した上で、今後の市町村合併を含めた基礎自治体の在り方について議論するという意味で、ただ、次の合併というのも全くないと今の時点で決めるわけではございませんので、そういった是非も含めて議論するという意味で、表題としては「更なる市町村合併を含めた基礎自治体のあり方」の議論という表題にしているだけでございます。

○林小委員長 合併が1つの大きなテーマにはなろうかと思います。勿論、検証した上でということになりますけれども、今、事務局からお話がありましたように、今後どうするかということは、この委員会の中で議論をしていかなければならないことだろうと思いますので、その辺りは今日は結論を出さないという形でいきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

○江藤委員 余り審議項目を増加させるのはよくないなと思いながらも、今、西尾委員が議会制度についても抜本的にというお話だったものですから、少しお話をさせていただきたい思います。
 審議項目の中の「基礎自治体における住民自治の充実」とか、「議会制度の在り方」とも関係するのですが、結論から言いますと、地方選挙制度のところはかなり大事なんじゃないかなと思います。西尾委員が言われた「幅広い層が議員活動ができるための制度の環境整備」という視点でも私は大事だと思うんですが、同時に全体的な視野を持った議員、あるいは議会が存在しなければいけないんじゃないかなと思っています。
 例えば市町村レベルについては、大選挙区非移譲式の単記と、これは世界でも珍しいんだと思うんですけれども、それによっておそらく部分的な地区代表的なものにしかなっていない。例えば地域自治区の機能で住民の意見が個別にその地区から意見が出てくるとすれば、今までそれを担っていた議員というのはどのように変わらなければいけないか。全体的な視野を持った議員が出てこなければいけないだろうと思います。それから「監査機能の充実・強化」の中に議会制度が入っています。これは全体的な視点からチェックができるような議員でなければいけないんじゃないかと考えます。
 そうだとすれば、今の選挙制度でそれを担えるかどうかということなんです。この地制調でそこまで踏み込んで議論をしていいのかどうかというのがわからないんです。市町村レベルだけではなくて、都道府県議会の選挙でも郡・市というかなり縛りがかかった選挙制度です。これをそれぞれの多様な意見を持った幅広い議員を増やしていくという視点も確かに大事だと思うんですけれども、議会の中に住民参加をどんどん導入していったとすれば、議会は調整をしたり討議したり、全体的な視点から意見表明をしたり決定をしていくという役割に変わらなければならない。こうした議員をつくり出していくような選挙制度改革まで踏み込めないかどうか。ただ、余り審議項目を拡散してはいけないかなと思いながらも、やはり議会の制度論だけではなくて、そこの部分というのは必要なんじゃないでしょうかという提案をさせていただきたいと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。現時点で広げるのか、あるいは深めるのかということはなかなか議論できないところがありまして、恐らく現行の議会制度の問題点、課題をまず共有化するということをした上で、それを解決するためには、広げるか、あるいは深めるということはどうしても必要になってくるんだろうという気がします。
 これもまた議論の過程でどのように進んでいくのか。場合によっては今日挙げていただいております項目間の相互関係もありますし、ということで、地方議会の強化、そのためには選挙制度まで踏み込む必要があるのではないかといったような御意見として伺っておきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

○片山副会長 これは確認というか、皆さんにお願いでもあるんですけれども、1つは、「今後の基礎自治体の組織・体制のあり方」というのが基礎自治体の在り方で項目に挙がるんですが、その際、今、私、市町村の行政で非常に大きな問題は教育問題だと思うんです。教育委員会が教育行政を担当していますけれども、この教育委員会制度がうまく機能しているのかどうかいうのは非常に大きな問題があるわけです。現行の制度でいいのかどうか。ここで基礎自治体の組織・体制の在り方といったときに、長限りの執行機関ということではなくて、自治体行政の中で教育行政は非常に重きをなしていますから、教育委員会の在り方などもここで議論の対象に是非していただきたいと思うんです。
 そうなると、教育委員会をつくっているのはだれですか、メーカーはだれですかということになると、首長と議会で、さっき西尾先生が言われた議会はしゃんとしていますかという話になって、議会の問題にも実はなっていくわけです。
 もう一つは、最後にその他のところで地方税財政制度の在り方と首長の多選制限とあるんですが、地方税財政制度の在り方などを本格的にやろうと思ったら、それだけで多分専念しないとなかなかいかないと思うんで、その他でいいんですが、実はこれは前段の部分に大いに関係するわけでして、例えば議会制度の在り方を論ずる場合には、当然税制度と絡んでくるわけで、現状の一端を言いますと、全国の自治体で税条例の改正などほとんど審議していないわけです。ほとんどの団体が専決処分と言って、首長限りで決めているわけです。そもそも税のルールである税条例を審議しない議会というのは、世界常識から言うと議会の体を成していないわけです。
 ところが我が国の現実の地方議会は全くと言っていいほど税条例を審議していないわけです。こういう議会でいいんですかという問題があるわけで、そうなると、当然議会制度を論ずるときに、現行の税制度の在り方とも当然リンクしてくるわけで、そういう意味では「その他」で別枠でくくらないで、全体の中でいろんな審議項目の中で税とか財政がアドホックに出てくるという了解の下で「その他」にしていっていいのかなと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

○林小委員長 私の意見では、やはり議論するときに、当然税財政の問題に関わってきたり、あるいは議会の役割を考えたときに地方の権限とか、そういったようなことまで話が及んでくるんだろうという気がするんです。ですから、できる限りこの委員会として問題意識を可能な限りクリアーにした上でやっていきたいとは思いますけれども、分権改革推進委員会との役割分担を意識はしますけれども、どうしても重複せざるを得ないような部分とかということも出てこようかと思います。それは必要に応じて議論しないと、議会改革をやる場合には税財政制度の改革をしないと実現しないという部分もありますので、今、副会長がおっしゃったような形で必要に応じてそれは議論をしていくということになるんだろうと思います。
 ほかにいかがでしょか。

○斎藤委員 2点ほど意見を申し述べたいと思います。
 1つは、「2 基礎自治体における住民自治の充実」で、地域自治区、地域コミュニティが挙がっておりますが、先ほどからの議論でもありますように、住民自治は確かに地方自治の究極は恐らく住民のための自治ということで、国全体のシステムとしての合理性という考慮要素もあります。しかし、住民自治が重要であることは間違いない。ただ、住民自治の表れ方としては、2枚目にある議会を通じての自治というのもありますし、地方では直接参政制度としての住民訴訟のようなものもありますから、この2つの○についてテーマを絞るにしても、住民自治の現状と位置づけというのをある程度固める、あるいは共有しておいてから、この2つに特に絞ってやることに意義が認められるというような論証がなされることが必要ではないかと。
 確かに地域自治区なり地域コミュニティが大きな課題を抱えていることは確かですけれども、やや住民自治イコールそれだととらえられてしまうと、狭いという印象を持ちました。
 もう一つは、チェック機能の方の監査機能と議会制度に関わる問題で、先ほどからも議会制度については、根本的、あるいは包括的な議論が必要ではないかという議論がなされています。それに関連すると思うのですが、最近、市町村の議会において、その自治体で住民訴訟が起こった場合に、議会が自ら住民訴訟の債権を放棄してしまうと。これは住民の側が行政運営に問題があると考えて直接参政制度である住民訴訟を使って、場合によってはそれで裁判で勝つというのに対して、それはもう自治体として請求しないよということで、これは言わば2の○の2つ目で言えば、議会が自由にやっているんだと言えなくはないですが、議会自体の監査機能なりチェックという考え方からすれば、これは大いに問題があることではないかと考えます。これは細かい点かもしれませんけれども、2の○の幾つかは並列的に書いてありますが、トータルにとらえないと、何か現状の議会の運営なり制度を前提にしてやってしまうと、今言ったような問題が拡大する点もあるのではないかと考える次第です。その2点です。

○林小委員長 ありがとうございます。今御発言がありましたように、それぞれの課題が相互に関連していることもありますし、例えば住民自治の考え方についても、委員の先生方の間で少し考え方が違うかもしれないということもありますので、それはまた議論をしていきたいと思いますが、事務局どうぞ。

○行政課長 今、住民自治のところで2つに絞っていることについてということでお話がございましたけれども、これは絞っているのではなくて、例として挙げているということでございますので、住民自治の充実のために地域自治区、コミュニティ以外にも議論をしていただく必要はあるだろうと思っております。あくまで例示ということで御理解いただければと思います。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。
 例えば今、片山副会長の方から、市町村行政で教育が非常に重要だと。教育委員会の在り方、これは28次でも議論をいたしました。この辺り過去の地制調で議論をしたことについて、一度おさらいをするということで、時代も変わっているかもしれませんので、その辺りひょっとすると修正する必要があるかもしれないし、あるいは、そこから出発点として議論するということも可能かもしれませんので、その辺りテーマによっては御紹介をいただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

○金子委員 この項目について、意見というよりは、確認したいことなのですけれども、この項目は多分、今のお話にもあったように、過去のいろんな地制調で議論されたこと、あるいは地方分権推進委員会で議論されたようなこと、これがある時点で制度として実現された以外のものが残ってきているのがここにあるのか。それとも、今回新たにこういう点も入れたのかという辺りのデマケーションを教えていただきたい。また、今委員長の方からもありましたけれども、過去の地方制度調査会のいろんな答申事項の中で、どの項目は実現され、これはまだ議論が残っているというのを整理した資料があれば、今後の議論に非常に役に立つのではないかと思います。
 以上でございます。

○林小委員長 よろしいですか。

○行政課長 両方入っているわけなんですけれども、先ほど簡単にそれぞれの項目について説明させていただきましたけれども、過去の地制調で議論されたこと、残されている課題、引き続き検討すべきこと、そういったものもございますし、合併が進んできて、今の時点で検証しなければいけないこととか、基本的な議論をやっていく必要が今の時点であるんではないかといったようなことで今回審議項目として列挙させていただいているものもございます。
 その辺は一つひとつ今ここでというのもあれですので、それぞれの項目について審議する現状と課題、あるいは過去の地制調の答申等について、資料を用意して議論していただきたいと考えております。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。
 かなり盛りだくさんの課題がありますので、今日、この時点で運営の在り方と言いますか、そういうことにつきましても何か御意見ございましたら、ありがたく拝聴したいと思いますが、いかがでしょうか。

○政所委員 先ほど片山副会長からミッションというお話がありました、触発されお話ししたいと思います。
 人口減少も予測以上に加速しています、都市に住んでいる人たちが4分の3で、生まれる人も4分の3、これも加速してるわけです。地方の税財政の議論の前に地方の置かれている現状把握できる議論のために、共通認識のための情報、御提供願えるのか。重要なポイントは前提となる国庫の話より国家の話ですね。その辺というのは、進めていく上で並行にいろいろお願いしたいという意味です。

○林小委員長 私も関西から来ておりますので、この辺り大都市対地方という議論と、首都圏、東京とそれ以外のところという議論があって、今、合併を進めても、これが人口が地方回帰がなければ、また人口減少ということになっていきますし、そういう意味では、ただ合併をすればいいという話でも恐らくないでしょう。そのためには、地方自治体あるいは地域、地方が、いかに活力を取り戻せるのかというところが1つの大きな課題なんだろうと思うんです。
 そういうことも踏まえて、今後の地方の在り方を議論していただくということになるんだろうと思います。
 ですから、活性化のためにはどうすればいいかということについての議論はできないと思いますけれども、その問題意識を踏まえた上で、地方行財政制度はどうあるべきかということになっていくんだろうという気はいたします。
 いかがでしょうか。

○武田委員 先ほど確認されたことかと思うんですけれども、ここに挙げられている議題には相互に関係しているものもありまして、これを固定化せずに必要に応じて深めたり、広げたりされるという林先生のまとめ方で納得しておりますけれども、特にI1の2の住民自治の充実という問題と、II2の2、議会制度の在り方、これは相互に関わるものではないかと先ほど御指摘があったとおりですし、私もこれを特に合併に対する検証・評価と絡めて評価をしてほしいなと思っているわけです。
 ちょっと踏み込んだ話になってしまって恐縮ですけれども、被災地の近くから来ております人間としては、災害が生じたときに、実際に合併した自治体の機能が発揮できるのかとか、合併した自治体の中での住民組織の力がどうなっているのかという現状を見るときに、やはり基礎自治体か最低限果たすべき役割というのは、住民の生命を守るということではないかと思うわけです。その中でコミュニティをいかに維持し、行政が少なくとも最低限の役割を担い、かつ議会がそれをどのようにコントロールしていくかというような脈絡の付け方があってもいいのかなと思いましたので、その辺も関連づけで御議論いただければと思います。
 もう一つ、先ほど一度西尾先生の方から御指摘があって、私もそうだと思ってうなずいていたところなんですが、項目I1の「更なる」という言葉は取っていただきたいなと思います。これは価値判断が入ってしまっているので、ここでは委員の間でまだそういう合意はできていないと思いますし、この言葉はできれば外していいただきたいなと思います。

○林小委員長 処方箋を考える場合に、どういう問題が起こっていて、それがどういうメカニズムで発生しているのかということをきちっと検証しないと、なかなかいい処方箋も浮かばないと思います。
 そういう意味では、合併についても、これは合併した市町村、していない市町村の評価・検証・分析ということなんですが、これはなかなか難しい課題だろうという気がするんです。それ以外にも議会にしても、先ほど副会長がおっしゃったような教育委員会にしても、検証ということをきちっとやっていかなければいけない。
 そこで、今日もし、こういう検証は必要なんじゃないかということが御意見としてございましたら、御発言いただいておけば、よろしいのではないかという気もいたしますので、そういう中で問題点の共有化ということができてこようかという具合に思いますから、何か具体的にこういうところを調べたらどうだということを、もし、今の時点で何かございましたら、お願いをしたいと思います。それも含めて御発言をいただければと思います。
 勿論、繰り返しでも結構ですし、各委員の先生方、もやもやとしているところがもしございましたら、今日この時点で出していただいた方が、後の議論がしやすいと思いますので、どのようなことでも結構ですから、御発言をいただければと思います。

○大山委員 中身の話ではないんですけれども、次回から恐らく委員の間での議論ということになると思うんですけれども、この配置でやるんでしょうか。お顔が見えなくて、本当に議論がしにくいので、90度回転するということを考えていただいた方がいいのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、今おっしゃった合併の検証の話なんですけれども、前に山梨県の合併のことに関わったことがあって、平面的な地図で見ていると、合併できそうでも谷筋が違うと、なかなか難しいというお話を聞いたことがあるんですけれども、これはもう無理だというところが、どのくらい本当に全国で数としてあるのかということがまず問題だろうと思うので、なかなか全国的なことを存じませんので、教えていただければとありがたいと思います。以上です。

○林小委員長 ということです。
 席の配置は、これは試行錯誤であると思います。やはり顔は見えないといけませんし、私も御発言していただいている顔が見えないので、ちょっと変えていただければと思います。そういうことでも結構ですので、どうぞ御発言いただければと思います。

○名和田委員 この審議項目はほとんど異論がなくて、これが相互に関連しているということを含めて了解しております。例えば先ほどから話に出ている基礎自治体における住民自治の充実という項目の下に、コミュニティとか地域自治区のことをやっていれば、当然議会の在り方に関係してくるというふうに私も理解しております。
 これは検証が必要な項目ですけれども、実際の使われ方は、どうしてもコミュニティの在り方と関連させて考えざるを得ない。例えば私は宮崎市に調査にかなり入っておりまして、最初に、地域自治区を導入したときに、自治会、町内会からの反発はなかったんですかと聞いたら、いや、別にと言われたんで、私もけげんだったんですけれども、3日前に講演に参ったときに、後で話を聞いたら、先生からああいう御質問を受けて、私はそのときは何のことからわからなかったんだけれども、その後、地域自治区のこと、特に今はコミュニティ税というのを導入しようとしておられますので、それとの関連で議論が起きて、考えていくと、自治会、町内会を代替する機能を地域自治区は果たしているんじゃないか。その点で自治会は要らないのかという反発が確かにあった、だから、先生がそういう質問をされたのはよくわかったと言われたんです。
 ですから、これは推進していって、実態が積み重なってくれば、必ずコミュニティの問題に関わってくる。そうすると、この問題はここで言っている住民自治という、団体自治と対照される概念としての住民自治という概念に収まらない可能性もあって、かつ、地方制度調査会の制度に収まらない可能性もあって、そういう部分を扱うのは当然限界があると思いますけれども、そういうものも含んだものとして、逆に議論されなければならないし、他方で議会の在り方との関連という点でも議論されなければならない。そういう幅広い内容を持った項目としてここに列挙されているという了解で、この審議項目で私は特に異論はございません。というよりも、むしろ余りにも豊富過ぎて、果たしてやれるだろうかという、私個人の力は勿論限られておりますし、いろいろな先生方もいらっしゃいますし、多分大丈夫なんでしょうけれども、例えば基礎自治体の果たすべき役割とか、これは物すごく原理的な問題ですし、それから大都市制度の在り方という一項目だけでも物すごく大変な問題がたくさん並んでいて、勉強しないと委員をやっていられないなと今から身の引き締まる思いでございます。
 そういうことで、先ほど来、この項目、あの項目という御議論がございましたけれども、相互に関連しているという理解で、どこからどういうふうに議論するかということはまた議論していかなければなりませんけれども、相互に関連しているという了解でこの審議項目でよいのではないかと思っております。
 2点だけ、意見とも質問とも何ともつかないものを言わせていただきますと、先ほどの「更なる」という字ですが、取るのかどうなのかということは最後に結論を出さねばならぬなと思いますので、よろしくお願いしたいということ。
 それから、これはやや気にし過ぎかもわかりませんが、基礎自治体の果たすべき役割のところで、事務局の御説明ですと、複数のタイプがあり得るのかということをおっしゃったと思うんですけれども、この基礎自治体という概念は恐らく第27次地方制度調査会答申で提起された新しい概念で、それとの関連で小規模市町村に対する方策という論点も出てきていると思うんです。基礎自治体というものを今後どう定義していくのかということが非常に大きな地方制度の根幹に関わる問題だと私は認識しておりまして、複数のタイプがあるかどうかという発想がどういう問題意識なのかとちょっと伺っておきたいのですけれども、これは事務局に対する御質問ということになりますか。
 以上です。

○行政課長 基礎自治体の根本的な果たすべき役割を議論するという項目として立てておりますので、諸外国の制度等いろいろあるわけでございますけれども、日本の場合には一定の人口規模による指定都市、中核市、特例市との権限の差というのはあるわけですけれども、基本的には基礎自治体の組織等は同一のタイプということになっているわけですが、これについてばらばらでもいいんじゃないかとか、そういったことも含めて根本議論ということでございますので、あくまでそういう方向で議論するとか、どちらがいいとかいう価値判断で先ほど御説明したわけではなくて、いろいろな議論をしていただく中で、本来の日本の基礎自治体というのはどういう役割を果たす存在なのか、それは国民の理解を得る基礎自治体とは何なのかということを議論していただく項目ではないかなという趣旨で御説明させていただいたということでございます。

○林小委員長 よろしいですか。それ以外にどうぞ。

○篠崎委員 項目に関して、これでいいと思っておりますし、課題相互が関連していることもあります。ただ、この議論をするときに、どのくらい先を見て考えるのかということを本来確認しておかないといけないのではないかと思います。先ほど西尾委員は22年以降のお話もしておられましたし、一方でこの基礎自治体の充実ということが本当に分権社会の一番大事なことだと思うんですが、28次では道州制の導入が適当という答申も出されたかと思いますが、そういう中で道州制議論も、10年とかのインターバルでやられている。実際に分権改革という中では、都道府県の中には非常に積極的に市町村に権限を下ろしておられるところもあるというふうに、ある意味で基礎自治体と広域自治体との関係が流動的な部分がある中で、これくらいを見通すという1つの時間軸も要るのかということを感じているわけですが、その辺りはどんなふうに考えればよろしいのでしょうか。

○行政課長 事務局としてのあれをちょっと御説明させていただきますと、地方制度調査会は2年の任期ということになっておりますので、先ほど西尾委員からお話がございましたように、今回の新法が22年3 月に切れるということがございますので、そういった合併新法の切れる時点を念頭に置きなから、今後の基礎自治体の在り方とか、住民自治等々を議論するというのは1つあるのではないかなと思っておりますが、今の道州制の議論につきましては、地方分権改革推進委員会もそうですけれども、この29次の地方制度調査会では道州制については議論はしない、道州制を前提としないという整理をしております。
 これは国会等でも答弁しておりますけれども、地方分権改革委員会の国と地方の役割分担の見直し、権限移譲、自由度の拡大、それから地方制度調査会において信頼に値する地方制度を構築していく。分権改革委員会と地方制度調査会が車の両輪となって分権を推進していく。その分権を推進していくことが、将来の道州制につながっていくんだという考え方でございます。
 道州制については、28次の地方制度調査会で一定の議論をして答申を出しているわけでございますけれども、国民の理解を得るためのビジョンということで、渡辺大臣の下で今ビジョン懇が議論されている。これはあくまでもビジョンということでございますので、そのビジョンを国民に示して理解を深めていこうという取組みがなされているということでございます。
 したがいまして、道州制のときにどうするのか、こうするのかといった議論をこの地方制度調査会ではしないという整理になっておりますので、御理解いただきたいと思います。

○林小委員長 時間軸と言いますか、長期の問題と短期の問題というのを切り分けるというのは非常に重要だと思うんです。先ほどの基礎自治体の同じタイプであるべきなのかどうかいうのは、かなり先を見越した議論にもなるでしょうし、その場合に恐らく税財政の在り方まで入ってこざるを得ない。そうすると、中長期の課題と、当面出てきている問題点を解決するための制度改正という、恐らく今日出ている審議項目は長・短期両方入っていると思います。
 したがいまして、今後具体的に議論するときに少しそこを、どこまでそういう形で切り分けることが可能かどうかわかりませんけれども、少し当面の問題と、中長期の問題、この場合には、次の地方制度調査会への積み残しというような、あるいは継続的に議論するということも必要になってこようかと思いますので、その辺り、ちょっと切り分けた形で論点を出せればなという具合に思っておりますので、その辺りまたご相談できればと思います。

○篠崎委員 もう一点は、項目とか今の前提も、時間軸も中長期いろいろある中で、整理していただいたんですけれども、基礎自治体というのは、住民に一番身近なところで大変多様でございますね。それこそ中山間地域で消滅しそうな集落を抱えているようなところと、大都市というところでは非常に実態に差がございます。項目それぞれは横串になるかと思うんですが、現状の基礎自治体の多様さというものを、できればいろんな形で総合的に情報提供をお願いしたいということを事務局の方にお願いしておきたいと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○金子委員 先ほどの名和田委員のお話と若干関連するんですけれども、項目I1の「2 基礎自治体における住民自治の充実」というところで、ここで地域自治区など、新たに導入された制度がどういうふうに運用されて、今後どうあるべきかというような項目と地域コミュニティの在り方という項目は出されているんですけれども、実は地方圏では、先ほど名和田委員のお話にもありましたように、町内会の役割というのはすごく大きいんです。
 町内会自身が、半ば独立の主体として地域行政に関わっている。例えば山形でもそれなりに人の流動化は進んで、結構転入されている方もいらっしゃるわけなんですけれども、そこでも転入のときに町内会に入る作法みたいなのがまだ継続されていて、それなりに住民自治の組織として機能している。一方、国の審議会では町内会ではなくて、NPOのような新しい主体に議論が集中しがちなのに対して、山形では、何なんだろうな、私たちは悪いのかなという危機感もあるような感じです。
 そこを私としては、地方である意味でうまくいっているようなところ、そこについても現行の町内会でやっていることのいい点とか悪い点ということがあろうかと思いますので、悪い点を改善していくような、よりよい制度にしていくような、既存のシステムを利活用して、住民自治を拡大していくというような議論の進め方をしていただければと思います。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。先ほど篠崎委員から基礎自治体は非常に多様だという御発言がありました。多様であるからこそ、多様な選択肢をつくっていくと言いますか、こうしたいんだと言ったときにそれができるような仕組み、枠組みをつくっていくということなんだろうという気がするんです。
 ですから、町内会が非常に活発に活動しておられるところと、そうじゃないところでは、やはり地域コミュニティの在り方というのは違ってこようかと思います。そこを多様であるということを前提にして、国としてどういう制度づくりをすればいいのかという話がこの地方制度調査会に課された課題ではないかという気がいたします。
 そういう意味では自治体ごとに創意工夫でやれるところはやるということが、1つはあるのではないか。そういうことをやろうとしたときに、現行制度上、それが障害になっているということはないだろうかといったようなことを議論していくべきなのかという気がしております。これは具体的な議論の中で、いいところの例を出していただくということで、また御議論をお願いができればと思います。
 ほかいかがでしょうか。
 それでは、審議事項につきまして、例示ということもありますし、今後例えば基礎自治体の在り方を議論する中で、こういうことも議論していかなきゃいけない。あるいは相互にこういうことが関連しているといったことも出てこようかと思います。
 したがいまして、テーマの出し方は今後また検討させていただきたいと思いますが、先ほど片山副会長の方からこういう制度改革を行っていく上で、一体自治体の活動というのはだれのために、そして、何のためにいうことをまず考えておく必要があるのではないか。そのとおりだと思います。
 ですから、それがきちっとまとまって、共有できない部分もあるかもしれませんけれども、最大公約数的に共有化した上で、それを実現するためにどういう制度が要るのか、システムが要るのかということになろうかと思いますので、まだ、時間が少し残されておりますから、そういった点について御議論をいただければと思います。勿論、審議項目について何か追加がございましたら、お話をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○眞柄委員 審議項目について特に追加していただきたいということはないのですけれども、全体的にお話をお伺いしておりまして、全国的に見ていろいろな自治体があるということは実態だと思うんです。ただ、最近、都市部だけではなくて、非常に小さな地方に行っても、外国人が非常に多かったりとか、工場で働いている人がいっぱいいて、地域コミュニティの在り方、活性化を考えるときに、そういった人たちがどういうふうにそこにコミットしていくのかとか、ある程度世界的な視野を持った議員さんを、先ほど全体的な視野を持った議員を育成していくべきであるという、ほかの委員からの御意見もあったんですけれども、そういった世界的な視野を若干この中に入れてきて、例えばヨーロッパでは地方自治体がそのままEU、超国家的なところにリンクされていたりなどしまして、グローバル的なものというのは無視できないと思いますので、それをメインに考えるということではなくて、そういった視点も少しずつ取り入れながら、自治体を考えるべきではないかと思います。

○林小委員長 そのとおりだと思います。先ほど、小規模自治体の活性化という話も、グローバル化と無関係ではありませんし、そういう意味では企業誘致だとかいったことを考えていく上で、そういう視点を持った議員さんなり首長さんがやはり必要になってきている時代だろうと思いますので、その辺りもまた議論の中で、地方制度調査会としてどこまで具体的に書き込めるか、提案できるかということは別にして、御議論いただければと思っております。
 ほかにいかがでしょうか。住民自治の強化とか充実ということでございますけれども、この辺り何か今感じておられるようなことでも結構です。

○政所委員 資料の提供を是非お願いしたいと思います。チェック機能の充実の項では、例えば「監査委員の人材確保等」という項目がありますけれども、皆さん御承知のように、地方は例えば弁護士という資格一つとっても、首都圏、関西に集中していまして、必要時に有資格者は非常に少ない。そういう有資格者のみではないですが、地方の実態をある程度把握していく上で、人材確保のための基礎的な資料というのは、例えば項目ごとにお願いしたら御提供お願いできるでしょうかということです。

○行政課長 提供させていただきたいと思います。

○林小委員長 具体的にこういう資料が要るとか、こういう分析が必要だということを遠慮なく言っていただいた方がよろしいかと思います。

○武田委員 たびたびの発言で恐縮です。先ほど林先生が途中で意見聴取しようとして中断した点、合併についての評価・検証・分析という点で、どういうことに着目していくべきかという論点のことで、少し挙げさせていただきたいと思います。一つは、合併の目的としてありました、分権の受け皿という点で、果たして合併自体が自治体の権限を強化することにつながったのかどうかという観点の検証が要るかなということです。
 それから、これは自治体側の受け止め方ではありますが、多くの自治体は財政的な持続可能性に非常に不安を感じつつ、合併に邁進したという経緯があるかと思います。結局のところ合併によって財政の持続活性化は得られたのかどうかという観点の検証が2つ目には必要かと思います。
 3つ目としまして、多くの自治体は合併協議会で議論する際に、負担は低い方に合わせて、サービスは高い方に合わせるというようなおよそ実現不可能な約束をしていたわけですけれども、合併によってサービスの水準と負担の水準は結局どういう方向に収斂したのかという点です。まだ、挙げようと思えば山ほどあるわけですけれども、そういうこともできれば評価・検証の材料にしていただければなと思います。
 また、全く別のことで発言させていただきたいのですが、前々から「地方」という言葉に非常に違和感を感じています。地方制度調査会の「地方」はおそらく国に対する対概念としての地方、ローカルですね。しかしながら、最近は都市に対しての対概念としての地方、昔であれば農村と呼んでいたものが農村とは言い難くなったので、地方というふうに置き換えられたのか、あるいは東京に対する対概念としての「地方」なのか、どうもローカルの地方とカントリーの地方とが非常に混在しているなと思います。カントリーに当たる言葉、ちゃんとした日本語にしてほしいと前々から思っていまして、そんなことも考えておりますという話題提供です。

○林小委員長 ありがとうございます。

○江藤委員 1点付け加えてよろしいですかね。今、合併の検証のところで受け皿、行財政等々あると思うんですけれども、先ほどから議論されている住民自治にとって、これがどのように意味があったかということを検証することも必要です。難しいんですけれども、恐らく直接請求がどうなったかとか、住民投票がどういう形で行われていて、議会との関係はどうなっているかとか。2番目の項目にありますけれども、地域協議会がどういう形で、どういう人選で行われるようになってきたか、それを、だれがどのように決めていったかというのも大事な論点になるんじゃないかなと思います。

○林小委員長 合併の検証というのは非常に重要なんですけれども、現在、均衡状態に行く移行期というような状況の場合もあります。例えば行政サービスにしても、公共料金にしても、どこかに収斂していくはずなので、そこまで見極めた上で効果を検証しなければならない部分と、今の時点で効果が検証できる部分というのがありますので、余り検証に期待をかけるのもなかなか難しいのかなというような感じがしております。
 したがって、アンケートをしても、うまくいっていないということを、まだ、効果はきちっと出ていないし、検証できていないという状況なのかなという気もするし、恐らく県から広域自治体から基礎自治体への権限移譲にしても、まだ始まったばかりということもありますので、その辺りも少し情報を入れていただきながら検証をしていくということが必要なんだろうという気がいたします。
 いかがでしょう。今後考えていく上での1つの基準と言いますか、考え方の整理を少ししたいなという気もしておりますけれども、どのようなことでも結構です。

○片山副会長 冒頭申し上げたのはどういうことかというと、地方自治、特に住民自治を進めていったときには、自ら考え、自ら判断して、自ら責任を取るということになるわけです。そうしますと、失敗が当然あるわけで、失敗の自由が認められなければ地方自治というのは本来あり得ないわけです。そうしますと、自業自得というのが出てくるわけです。
 ところが、我が国では自業自得を認めないようなシステムをつくって、はらはらして落ちないようにということをやってしまうんです。これが親心なんですけれども、これをやっている限りは、地方自治は究極進まないと思うんです。勿論、失敗したら住民が困るわけだから、後始末は何らかやらなければいけないんですけれども、事前に予防的にはらはらして、落ちないように、落ちないようにというのをやっている限りは住民自治は進まないと思いますから、理念として自業自得を認めるという前提で物事を議論していきたいなと思うんです。この辺は多分、異論、反論があるだろうなと思います。

○林小委員長 そうですね。国としてどこまで地方の面倒を見るのかという場合に、いわゆるナショナル・ミニマムだとかナショナル・スタンダードだとか、セーフティーネットという議論もありますが、具体的にきちっと議論をされたということは余りないんです。皆さんそれぞれが思っておられて、これは非常に相対的なものですから、人によってセーフティーネットの水準も違うでしょうし、自治がある裏には責任があると言いますか、どこまで住民が責任を持たなければいけないんだという話については、ある程度ここで議論しておかないと、制度として定性的にこういう制度をつくればいいというのは簡単なんですけれども、では、どこまで自治体に責任を持ってもらうのか、あるいは国がそれに対して支援するのということまで言ってくると、今、副会長がおっしゃったようなところまで議論していかないといけないだろうという気がいたします。
 ただ、それが果たしてここでどこまでできるかということなんですが、そういうことも出しながら、制度を中長期、あるいは短期の改革に1つの考え方の基準としてここで議論をしていくことは非常に重要なことだろうという具合に思いますので、活発に御意見をいただければと思っております。

○幕田委員 審議項目については特に意見はございません。これから申し上げますのは、全般的なまとめの段階に来たとき、あるいは対外発表するときに留意していただきたいということでございます。それは今、地方自治全般について議論があちこちで行われているわけでございますが、この内容については、いろんな広範囲にわたる課題が山とあるわけでございます。権限の問題とか財源の問題とか、今お話になっているのは合併の話とか、税制から監査制度から議会まで、本当に数え切れないくらいあるわけですが、そういう中で、この29次の地方制度調査会が動き出したということでございまして、私どもに与えられている課題というのは、基礎自治体の在り方とチェック機能の充実という、全体から見ればかなり限定されたテーマだと思うわけです。
 そういうことで、これはだんだんまとめの段階になって、外に発表していく際に留意しなければならないのは、国民から見ていて、この基礎自治体の在り方とチェック機能の充実ということで、その内容だけ聞かされても、全体の地方自治の在り方とのつなぎがよくわからないということになるんじゃないかなと思うわけでございまして、その辺をわかりやすく、全体の中でどういう位置づけのところを、どう言っているのかというふうにわかりやすく、是非発表していただきたいと思うわけでございます。
 それと合わせて、私どもも議論するときに、専門的に検討するのは勿論必要だと思いますけれども、全体を見ながら落ち着きのいい議論をしていきたいものだと考えている次第でございます。
 以上でございます。

○林小委員長 ありがとうございます。今の御指摘、非常に重要だろうと思います。全体の中でどこを議論しているのかということを絶えずチェックしながら議論をしていかないと、部分的に議論していっても、それがバッティングする場合もありますし、ここを解決しなければその問題が解決しないということもあろうかと思います。
 繰り返し申し上げておりますけれども、今日出していただいております審議項目は相互に関連していて、そして何か1つの大きな目標を達成するためにはこういう課題があるのではないか。その課題はそれぞれが関連しているというようなことになっていようかと思いますので、できる限り全体の見取図みたいなものは見失わない形で、今後議論をしていかなければいけないと思いますので、今の御意見、重大なこととして承知しておきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。予定では4時までということになっておりますけれども、延ばすのがいいわけではありませんので、これは言っておきたかったということが、もし、ありましたら、できれば今日、審議項目について合意をいただいた上で、総会に諮って、具体的に各論に入ってまいりたいと思っておりますので、もし今日何かございましたら、御発言いただきたいと思いますし、いかがでしょう。よろしいですか。

○齊藤委員 先ほど片山副会長の方から自己決定、あるいは自業自得の自治を認めるべきであるという御発言がありまして、自己決定というのは非常に重要だと私も考えます。ただ、そうやって自己決定、自己責任というためには、その前提となる情報がきちんとした形で住民に提供されている。つまり、情報の流れなり、情報の開示というのが重要ですし、誤った情報を国の方が流して、それに基づいて誘導されるという制度的な発想の制約があっては、自己決定、自己責任にならないので、そういう自己責任で行くためにはその前提条件をつくることも必要ではないか。情報がきちんと開示されるというのがその柱ではないかと思います。
 余り抽象論になっても何ですので、例えばチェック機能の充実で外部監査の在り方というのが挙がっていますけれども、そこで言えば例えば外部監査に今まで各自治体がどれくらいのコストを投入して、各自治体で外部監査でこれだけお金をかけて、どれだけ改善されたのか、こういうデータが住民にきちんと提供されているのか。あるいはこの地方制度調査会に出てくるのかというのがあろうかと思います。ある制度をつくると、どうしてもそれに伴って、レントと言うと言い過ぎかもしませんけれども、かえってそれでややこしくなるということがありますので、外部監査制度も導入されてからかなり経っていますので、そういったことについての情報という問題も1つあろうかと考えた次第です。

○林小委員長 ありがとうございます。

○名和田委員 今の齊藤委員の御発言がありましたので、触発でもないんですが、先ほどの片山副会長の自治についての問題提起は、是非これは大いに中身の議論のときにしたいと思うんですけれども、西尾先生とか齊藤先生とかおられる前で余り自信のないことですけれども、多分、歴史上地方自治ということについてはいろんなとらえ方があって、多分、自治ということのある側面に取り分け光が当たって、それが強調された時代や国や地域があるということだと思うんです。
 今、片山副会長がおっしゃったような自己責任という側面にかなり光が当たるような自治という言葉の使われ方をしている局面がかなりあると思うんです。
 それから、私のように地域でフィールドワークをしておりますと、最近住民自治という言葉で住民自らが何事かをするという概念のとらえ方がかなり出てきています。それは異論があるかもしれないけれども、事実として出てきています。
 私はよく勉強しておりませんけれども、ドイツのグナイスとかいう人は、まさに地方名望家が自ら何事かをすることが自治だという論を立てたと私は勉強いたしましたけれども、そういった側面に光が当たるような自治という言葉の使い方を地域住民の人たちがしているというのが今の日本の一定の地域の現実ではないかと思います。そういう議論をここで多分していくんだろうなと思うんですけれども、自治ということについてのおおまかな、大体こんな世界が自治であって、今、この側面に光が多く当たっている。では、どの側面に光が当たっていて、どの側面に光を当てるべきであるのかということについては、恐らく委員の先生方の、多少重点の置き方が違っているという状況ではないかという気がいたしております。そういうものとして今後実際の審議のときに議論を是非させていただければと思っております。
 それから、さっきのこの地方制度調査会の専門小委員会の作法をよく知らないものですから、先ほど「更なる」という言葉を取るのかどうかという御発言がありましたけれども、これはここで決めるといような作法では必ずしもないんでしょうか。総会があれですからね。そちらで。

○林小委員長 「更なる」というのを取るかどうかは解釈の問題かもしれませんし、総会で決めていただければいいということでよろしければ。私もいいんですか。

○片山副会長 考え方を決めたらいいんじゃないですか。

○林小委員長 ですから、「更なる」の意味ですね。

○総務事務次官 総会にかけなければいけないわけですけれども、その前にここの小委員会できちっとした方向をもし出していただければ出していただくのがいいと思いますし、「更なる」については、先ほど西尾先生のお話にありましたけれども、2つの読み方ができるということなんですけれども、もしも目につくということであれば、総理の方からのは別に書いていないわけですから、取っていただいてもそれほどの支障があるとは思いません。

○西尾委員 ありがとうございました。

○林小委員長 では、そういうことで「更なる」は取ろうと。あとは恐らく総会に出したときも、やはり長短期の問題だとか、相互の関連の問題だとか、これは例示だとか、いろんなことを御説明しながら御理解いただかなければならない部分があろうかという具合に思いますので、しかもこれからの議論の中でそれが固まっていくということもありますから、とりあえず審議項目につきまして、今日出していただいておりますものを、これをどう料理するかということは今後考えるにしても、項目についてはこういうことで、第1回目の小委員会をまとめたいと思っておりますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○林小委員長 ありがとうございます。
 恐らく自治の問題とかに関しては、自由に議論するということも1つですけれども、例えばどなたかに一度プレゼンをやっていただいて、それについて議論するということも考えていいのではないかという具合に思っておりますので、また、どなたか、今日御発言いただいた方にプレゼン、あるいはレクチャーをしていただくということをお願いするかもしれませんので、そのときはひとつよろしくお願いをいたします。
 それでは、もう、まとめません。大体おわかりいただけたという具合に思いますので、次回の日程につきまして、事務局から何かございましたら、お願いいたします。

○自治政策課長 自治政策課長の丹下でございます。次回以降の日程ですけれども、委員の皆様方、誠にお忙しいと思いますので、本日の資料に委員の皆様の9月、10月の御都合を伺う資料を入れております。大変恐縮でございますが、これを事務局まで御返送いただくようにお願いいたします。それを受けまして、日程等については調整させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○林小委員長 それでは御記入いただいて、次回の日程につきましては、事務局で調整をしていただいて、改めて事務局から御案内をさせていただきたいという具合に思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、これをもちまして、本日の専門小委員会を閉会をいたします。長時間どうもありがとうございました。

 

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