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平成22年度地方財政審議会議事要旨(平成23年2月4日)

日時

平成23年2月4日(金)10時00分〜11時45分

場所

地方財政審議会室

出席者

(委 員) 神野 直彦(会長)  佐藤 信  木内 征司
       中村 玲子  松本 克夫

(説明者) 自治財政局地方債課 理事官 大井 潤

議題

 地方債協議制度の見直しの検討状況について
 今回の議題は、地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から、地方債の発行に係る総務大臣・知事協議の一部を見直すこととしており、現段階における見直しの検討状況を説明するものである。

要旨

標記の件について、説明を受け、質疑応答及び意見交換を行った。

(主な質疑内容)

〇 地方債の発行に対する国の関与の見直しについては、22年12月13日の地方財政審議会の意見においても述べている。制度の見直しに当たっては、なぜ国が関与しているのかといった原理原則をしっかりと踏まえて検討すべきものと考える。

〇 国の関与は、個別地方団体の財政健全性確保のほか、中央政府の責任でマクロ経済との調整を行うことや地方債の発行規模が小さくて自力での発行が困難な小規模団体に対して、共同発行の仕組みによりサポートする必要があること等の意義がある。

〇 今回の改正について、民間資金と公的資金を切り分けた理由を含め、原理原則から説明できるようにしておく必要がある。イギリスでは、グラッドストンが、公債消化を引き受けるかわりにロスチャイルド等の金融界から政治的圧力が加わることから、民間資金に公債消化を頼らないようにするため郵便貯金を導入した歴史もある。

〇 地方債は、国債とは異なり、住民が地域を越えて移動することにより必ず負担が転嫁されるいわば「外国債」の性質を持っている。したがって、特に小規模団体については年度間の支出の変動が大きいことから、便益を受ける者がそれぞれ負担をしないと、人口移動による住民の負担のバランス、世代間の負担のバランスがくずれてしまうことについて考慮すべきである。

〇 健全財政主義の理論は、政府は家計であり消費的活動を行うものとして、消費的支出について公債を発行すべきではないとしている。一方、建設公債主義は、政府は企業的な部分があり生産的活動を行うものとしており、生産的支出について公債を発行することを認めている。政府は家計と企業の両側面を持っていると考えるのが一般的であり、このことも踏まえて検討をすすめるべきである。
→ 今回の見直しはこれまでの建設公債主義の原理原則を変えるものではなく、協議制度の意義(地方財政の健全性の確保、地方債の円滑な発行の確保、地方財源の保障等)を前提としつつ、地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から、国の関与について縮小できる部分から見直していくことを基本としているものである。

〇 今改正内容についての地方団体等との調整状況はどうなっているのか。
→ 12月16日に開催した地方六団体会合において、総務大臣から、地方債協議制度について、財政状況の良好な団体について、個別関与から包括関与へ移行する改正を検討している旨説明し、地方団体に意見を聴いている。
 これに対して、地方団体からは、市場の混乱の回避、地方債のリスク・ウェイト0%の維持、地方債の信用力の維持、財政力の弱い団体の資金調達への配慮、金融機関に対する制度改正の趣旨の徹底などの意見が出されている。
 また、地方債市場関係者(アナリスト等)に対しても適宜情報提供をしているところであるが、今回想定される協議制度見直しは、地方債の信用力評価には全く影響を及ぼさないであろう等のコメントも出されている。
 さらに、地方債のリスク・ウェイトについては、今後、金融庁と協議をする予定である。
引き続き関係団体との調整を行っていくこととしている。

〇 現行の許可制への移行基準も経験則的に決定した経緯があり、協議が不要となる実質公債費比率の水準や地方債の発行枠などの新たな基準を作るのはなかなか難しい作業になるのではないか。また、段階的に導入する方が望ましいのではないか。
→ 実質公債費比率の水準や新たに定める地方債の個別団体の発行枠の基準については、地方団体、市場関係者との意見交換を行いつつ、また、地方財政審議会でもご議論にいただきながら、慎重に検討を進めていきたいと考えている。

〇 協議が不要となる地方団体はどれくらいの数になるのか。
→ 現時点では決まっていない。今後、慎重に議論を進めていく。

〇 今回の地方債の発行枠の基準は、地方財政健全化法の4指標が事後的な指標であるのとは異なり、予算段階でのものと考えられる。発行枠の考え方として、前年度の発行額の1.5倍や2倍といった決め方を考えているのか。
→ 現時点で、決まった案はないが、例えば、標準財政規模は地方団体の地方債の償還能力を示す一定の指標になることから、標準財政規模の一定割合にすること等を含め、幅広く検討していきたい。

〇 国の関与を縮小する中で、住民や議会のチェックを拡大する必要はないか。
→ 住民や議会によるチェックを充実させていくことは重要な課題だと認識している。どのような方策が考えられるか、検討をしていきたい。

〇 地方債の協議を見直すことで他への影響はないのか。
→ 地方債制度全体の中で、協議、届出、許可の位置づけを再整理する必要があるが、今回は一部協議を不要とし、届出を導入することとしている。地方債協議制度全体については、今改正の施行から3年を経過した場合に、改正後の地方債制度の状況を勘案した上で、見直すこととしている。

〇 財政状況の良好な地方団体は届出で良いとすることは、マクロ経済との調整を行うことを放棄しているといえるのではないか。
→ 協議不要となる団体は、財政状況の良好な地方団体に限定するとともに、地方債の発行予定額が一定額を超えない団体としているところであり、一定額を超える団体については、協議団体とすることとしている。

〇 今回の改正により、財政の健全性の確保と国による関与の在り方との関連性はどうなのか。
→ 今回の見直しは、財政状況の良好な地方団体に限って、民間資金債を発行する場合について協議を不要とし、届出とする改正を行うことするものである。
また、地方財政法に基づく早期是正制度や地方財政健全化法に基づく早期健全化・再生の仕組みは維持することとしている。

〇 標準税率未満の地方団体の地方債の発行に係る許可についても見直すこととするのか。
→ 今回の見直しは地方債の発行に対する協議について見直しをするものであり、許可制度を含めた地方債に対する国の関与の在り方全般の見直しについては、今制度改正の施行の状況を勘案しつつ見直すこととしている。

〇 市場への影響についてはどのように考えているのか。
→ 今回の制度改正は地方債の信用に影響を与えるものとは考えていないが、市場においてヘッドライン・リスクが生じることとないよう、関係者への説明を丁寧に行っていきたい。
また、地方債のリスク・ウェイトについても、金融庁に対し、今制度改正が地方債のリスク・ウェイトに影響を与えるものではないことを丁寧に説明していきたい。

〇 今後のスケジュールはどうなっているのか。
→ 2月7日に地方六団体会合を開催する予定である。また、法案は、地域主権一括法(第2次)として、3月上旬の閣議決定を目指している。

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