平成23年度地方財政審議会議事要旨(平成23年7月29日)
日時
平成23年7月29日(金)10時00分〜11時55分、13時10分〜14時00分
場所
地方財政審議会室
出席者
(委 員) 神野 直彦(会長) 佐藤 信 木内 征司
中村 玲子 松本 克夫
(説明者) 自治財政局地方債課 地方債管理官 澤田 邦彦
自治財政局地方債課 理事官 赤岩 弘智
自治財政局地方債課 課長補佐 藤田 康幸
議題
(1)平成23年度(前期)公的資金補償金免除繰上償還に係る財政健全化計画等の承認について
今回の議題は、地方公共団体に対する公債費負担対策として、公的資金(旧公営企業金融公庫資金分)について、補償金を課さずに繰上償還を認めることとしているところであるが、そのための要件としている、財政健全化計画等の承認を行うものである。
(2)平成23年度地方債同意等予定額の通知について
今回の議題は、地方公共団体から提出のあった起債予定額等に基づき、総務大臣があらかじめ同意等予定額を通知するに際して、地方財政法第5条の3第7項又は同法第5条の4第7項の規定に基づき、審議するものである。
(3)平成23年度地方債同意等基準の一部改正の告示について
今回の議題は、地方財政法第5条の3第6項に規定する同意等基準を一部改定するに際し、同法同条第7項の規定に基づき、審議するものである。
(4)小災害復旧事業債の起債事務の見直しについて
今回の議題は、小災害復旧事業債の起債事務の見直しについて、説明するものである。
要旨
I 議題「(1)平成23年度(前期)公的資金補償金免除繰上償還に係る財政健全化計画等の承認について」
標記の件について、説明を受け、審議の上、これを了承した。
(主な内容)
○ (補償金無しの)繰上償還を任意にはできないようにしているのは、貸し手側の意向か。
→ 繰上償還については、約定違反等があった場合にペナルティ的に行う強制繰上償還以外は、約定で決められた将来の利息相当額である補償金を支払った上で、繰上償還するのが通例である。
今回の繰上償還は、この補償金を免除した上で行うものであるため、基本的には、貸し手側は認めないものであり、特別に地方財政法(附則第33条の9)に根拠を設けて実施しているものである。
○ 借りていたものを返すのに、地方団体に行革計画を策定しないと認めないとしているのは何故か。地方団体に過度の負担を強いているだけのように感じるがどうか。
→ 財務省の財政制度等審議会財政投融資分科会の議論では、補償金という得べかりし利益を放棄してまで認める繰上償還であるため、その対象は財政状況が比較的悪い地方団体を対象とすべきであり、そのような団体を対象とするのであれば、繰上償還と併せて行革をしっかりやってもらうのが国民全体の利益に適うという考え方と承知している。
○ 行革計画の主な内容はどのようなものか。
→ 人件費の抑制がほとんどである。
○ 制度は来年もある中で、約1.1兆円の限度額に対し、申請額は既に1兆円を超えようとしているが、申請額が限度額を超えた場合はどうするのか。
→ 限度額を超えたときは、貸し手と調整した上で、減額することもあり得る。
○ 制度延長ということもあるのか。
→ 現行制度の最終年度である来年度に、地方団体からどのような声が出るかにもよるが、実際には、年利5%以上の残債は相当少なくなってきている。
II 議題「(2)平成23年度地方債同意等予定額の通知について」
標記の件について、説明を受け、審議の上、これを了承した。
(主な内容)
○ 税率を標準税率未満に引き下げて減税を行っている団体の建設地方債の起債の許可の判断に当たっては、シャウプ勧告において、標準税率が「国民が引き受ける地方費用の公正な負担分」として位置づけられていた意味を踏まえて考える必要がある。
○ 標準税率未満の団体について建設地方債の起債を許可する場合、その減税による減収額を上回る行政改革の取組が必要とされるが、行政改革の取組によって住民サービスが劣化しないようにしなければならないのではないか。
○ 標準税率未満の減税を行う際は、住民の声を十分に聞かなければならない。選挙公約はパッケージなので、選挙公約に減税を掲げていたとしても、本当に住民が減税を望んでいるかは分からないと思う。
○ 例えば医師不足など住民サービスの重要事項に関して懸案を抱えている地方公共団体においては、標準税率未満の減税をすることよりも、十分に住民ニーズに応えることを優先すべきではないか。
○ 標準税率未満の減税によって生じ得る様々な問題は住民には分かりにくい。丁寧に住民に説明しなければならない。
III 議題「(3)平成23年度地方債同意等基準の一部改正の告示について」
標記の件について、説明を受け、審議の上、これを了承した。
(主な内容)
○ 港湾運営会社制度を導入するメリットは何か。
→ 国際戦略港湾及び国際拠点港湾において、埠頭群を一元的に運営することにより、一の港湾区域を超えた事業展開が可能になること、積極的なポートセールス実施のため個々の荷主や船社との緊密な営業が可能となることなどにより、港湾運営の更なる効率化が期待できる。
○ 国が港湾運営会社を指定することにより、国の関与が強まるのではないか。
→ 国際戦略港湾については、国が港湾運営会社を指定するが、あらかじめ港湾管理者の同意を得ることになっているため、地方公共団体の意向が尊重されている。
IV 議題「(4)小災害復旧事業債の起債事務の見直しについて」
標記の件について、説明を受け、質疑応答及び意見交換を行った。
(主な内容)
○ 今回は小災害復旧事業債の起債事務を見直し、写真や図面等の提出を求めないこととしているが、他の地方債においてはどうなのか。
→ 他の地方債においては、それらの書類の提出を求めていない状況である。
○ 小災害復旧事業債の元利償還金に対する交付税措置は、一般単独災害復旧事業債と比較するとどうなっているのか。
→ 一般単独災害復旧事業債の交付税算入率は47.5〜85.5%であり、小災害復旧事業債は66.5〜95%となっている。
ページトップへ戻る