I 議題「(1)大阪府泉佐野市法定外普通税「空港連絡橋利用税」の新設について」
標記の件について、説明を受け、質疑応答及び意見交換を行った。
(主な内容)
○ 先日、国土交通省と泉佐野市より意見の聴取を行ったが、両者の主張に開きが大きく、話し合いがまだまだ足りないのではないかと考えられる。そこで、泉佐野市に対し、国土交通省をはじめとする関係者とさらなる話し合いを行うよう、総務省から働きかけるべきではないか。
国土交通省においても、話し合いに積極的に対応すべきであると考える。
II 議題「(2)日本における財政調整制度の変遷について」
標記の件について、説明を受け、質疑応答及び意見交換を行った。
(主な内容)
<財政調整制度が検討された背景>
○ 財政調整制度の導入以前、市町村においては、財源不足分を補てんし、歳入と歳出を一致させるように、戸数割の課税を行っていた。そのため、財源不足の多寡により、毎年税率が変動するという状況にあった。
道府県においても、家屋税で同様の課税が行われており、この結果、税負担については、地域間で大きな格差が生じている状況であった。
○ こうした格差の是正とともに、地方税負担の公平性が保てないと、国税の増税が必要(戦費確保)な状況であっても増税は困難ということになった。そこで、税負担の格差を是正する必要が生じ、そのツールとして財政調整制度の導入が検討された。
○ 具体的には、昭和6年に大蔵省が「国庫交付金制度」、昭和7年に内務省が「地方財政調整交付金制度」として財政調整制度を公表している。
両案の違いは、大蔵省案は、地方税である家屋税を国税に移管させることにより、内務省案は、国税において増税や新税の創設を行うことにより、財政調整の財源に充てようとした点である。
○ 種々の議論の結果、昭和15年にわが国初の本格的な財政調整制度として地方分与税(配付税)制度が創設された。
○ 地方団体が地方税率を自由に設定することとすると、税負担の地域間格差を招き、財政調整が必要となったことは、我が国でも経験済みである。財政調整制度によらず、地方団体が自由な税率で徴収することができるようにすることは、歴史を理解していないものと言える。
また、国税を増税する局面では、益々、財政調整機能は重要ではないかと考える。
<国民、国家の統合という視点>
○ 1923年、ドイツで、世界初の財政調整制度が導入されるが、これは、「ドイツは一つ」として国民・国家統合を目的としたものであった。
例えば、ドイツでは、バイエルンやヘッセンといった豊かな州が、財政調整の負担に不満を持つと連邦から離脱の動きを示すため、財政調整機能を弱める一方、連邦の一体感を強める際には財政調整機能を強める動きをしている。また、フランスでも、コルシカ民族解放戦線やバスク人が暴動を起こしたりすると、財政調整機能を強めるといった運用がされてきた。
○ 日本においても、戦時中は、財政調整制度は国民・国家統合の有力なツールとして認識されていた。
しかし、現在は、こうした国民・国家の統合という重要な認識が、当然の前提となっていて、特段、意識されなくなっている状況にあるのではないか。
<その他>
○ 仮に、財政調整制度による地域間格差是正を行わないとすると、地域ごとの通貨権を認めるなど、金融機能による調整を行うのであれば地域間格差の是正も可能となるか。