地方財政審議会議事要旨

日時

平成22年3月9日(火)10時00分〜11時45分

出席者

(委 員) 神野 直彦(会長)  佐藤 信  木内 征司
       中村 玲子  松本 克夫

(説明者) 自治行政局合併推進課 理事官 新田 一郎

議題

市町村合併特例法の改正について

要旨

標記の件について、説明を受け、質疑応答及び意見交換を行った。

(主な質疑内容)

 合併の効果として、市町村の三役・議会議員が約21,000人減少し、年間約1,200億円の効率化が図られる見込みとのことだが、議員数の減少は、一方で、民主主義の弱体化につながるという議論もあるのではないか。
 確かに、議員数の減少は行政改革の観点から見た場合のメリットであり、民主主義の観点から見た場合にはデメリットであるとも考えられるが、いずれにせよ、地方議会については、議員の報酬や権限又は議会の開催方法等を含め、そのあり方について、次年度以降の地方自治法の抜本改正において議論する予定である。

 合併により行政改革は一定程度進んだと思われるが、反面、住民サービスは低下していることはないのか。(ア)合併以前は当該団体の防犯・防災活動等が地域コミュニティーによって担われていたところ、合併により団体の規模が拡大した結果、それらが行政によって担われることとなり、結果として住民の財政的負担が増加したといったケースや、(イ)保育園の利用に係る親の就業時間等の基準が、より厳しい団体のものに統一されたといったケースが見受けられ、「負担は安く、サービスは高く」という合併推進運動当初の目指すべき方向とは逆の結果になっているのではないか。
 一般論として、合併については、利便性の増大より負担の増大の方に目がいってしまうところであるが、特に少子高齢化対策については多くの団体において、合併により充実が図られているところである。ただし、合併に伴うイベント補助金の削減等が住民にとって大きなマイナスイメージにつながっている部分もあり、そのような点について留意する必要があると考えている。

 概ね合併後10年経過以降においては、人件費等の削減等により、年間1.8兆円の効率化が図られると推計されるとのことであるが、現時点において、実際に財政状況の改善が数値上表れているのか。
 合併による行政の効率化は5〜10年のスパンで効果が表れてくるものであり、合併当初はむしろ支所の整理統合や職員数の削減等が進まず、他方で公共施設やインフラの整備によりかえって投資的経費が一時的に増大する傾向があることから、現時点における合併による財政状況の改善については、数値として表すことはしていない。

 特に地方において、当該地域における中心市と周辺町村が合併した場合、合併後初の首長選では旧中心市の首長が当選したが、任期経過後の首長選では、現職たる旧中心市の首長が旧周辺町村の首長に敗れるケースが続出していると聞いている。これは、住民が、合併が住民サービスにとってはマイナスの評価をしていることになるのではないのか。
 全国的に見て、合併市町村の2度目の首長選において、現職が厳しい状況に置かれているというのは事実であり、合併により周辺部が寂れてしまったという住民からの批判が要因となっていると考えられる。これについては、周辺地対策を更に充実させていく必要があると考えており、「地方交付税の増額」や「緑の分権改革」等の総合的対応が今後とも重要であると考える。

 合併の評価・検証については、小規模町村が編入合併されたようなケースにおける当該小規模町村の住民力(コミュニティーの強度)なども考慮する必要があるのではないか。また、人口1万未満の小規模町村を強力に合併推進の対象としたことにより、当該地域において歴史、伝統、文化、地名などが消滅したというのが、問題なのではないか。
 地域自治組織の設置などにより、合併を契機にむしろコミュニティーの活性化が図られたといった先進事例を紹介していくとともに、各地域の歴史、文化などの保存についても合併市町村の取組を支援していく必要があると考える。加えて、住民自治の充実方策については、今後地方行財政検討会議で検討していく予定である。

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