第9回独立行政法人評価制度委員会

日時

平成29年2月1日(水)9時57分から11時25分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第一特別会議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、岡本義朗委員、関利恵子委員、土井美和子委員、栗原和枝委員

(事務局等)堀江官房審議官、黒田管理官、石田管理官他

議事

  1. 平成29年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について(状況報告を踏まえた審議)
  2. 「独立行政法人の内部統制及びインセンティブの取組に関する実態調査」について(事例報告)
  3. 今後の委員会運営について
  4. その他
配布資料
 

議事録

【野路委員長】 それでは、おはようございます。少し時間が早いですけれども、皆さんがおそろいなので、早速始めたいと思います。ただ今から、第9回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。
それでは、議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
【石田管理官】 議題の一つ目で、平成29年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について、七つの法人がございますが、こちらについて順次担当の管理官から検討の状況を御説明したいと思います。外務省担当の管理官の石田でございます。どうぞよろしくお願いします。
資料が独立行政法人制度評価委員会第9回のほうで、委員会資料一式、ページ数で言うと174ページある資料になります。こちらの3ページをお開きいただきますと、本日、御説明する七つの法人のリストが入っております。この内、第1ユニットでは上の四つ、外務省関係及び国土交通省関係、4法人について去年の12月の委員会の御意見を踏まえたものとなっているのか、あるいは、目標策定指針に沿った内容となっているのかという観点から、ユニットで御検討いただいたところです。私から外務省関係2法人の検討状況について御説明したいと思います。
まず、一つ目、国際協力機構でございます。資料の4ページ目以降に今の外務省作成の中期目標の案が添付されていますので、こちらも御覧いただきながらお聞きいただきたいと思います。JICAの中期目標につきましては、前回の委員会で目標策定に向けて注意すべき事項ということで、2点御指摘をいただいております。
まず、1点目ですが、従来の目標では開発援助本体の目標については、A4で言いますと半ページ程度のかなり総花的で抽象的な目標にとどまっていたところですけれども、新たな目標の策定に当たっての留意事項として、まずは、国の政策におけるJICAの位置付けを明確にする必要があるだろう。その上で、開発援助に携わる職員が目標として意識できるような具体的な目標が必要だというご指摘です。特に、JICAの場合は一つ一つの事業に地域部ということで地域を所管しているセクション、課題部ということで政策課題ごとに担当しているセクション、海外の事務所ということで、さまざまな関係部署が関与しておりますので、明確な責任体制の下でそれぞれの成果、役割が徹底されるような具体的な目標が必要ではないか、そういった御指摘をいただいておりました。
これに対しまして、今回の次期目標の案を御覧いただきますと分かると思いますが、通し番号で言うと5ページ目3.以降で具体的な目標が掲げられております。外務省では、開発援助に係る取組につきまして、政府で作成しました開発協力に係る最上位政策であります「開発協力大綱」と整合的な形で体系的に整理した目標を作っております。
資料では、今、御覧いただいている3.の(1)以降で具体的な目標が書いてあるのですけれども、(1)のところでは経済成長、あるいは、貧困の撲滅ということで、その下に1)で都市開発、次のページになりますけれども、運輸交通、エネルギー等々、具体的な目標が掲げられているとともに、その中でどういった取組を行うのかということが明記されているということで、その次ページ以降、(2)で同様ですけれども、人間中心の開発の推進で、(3)で8ページになりますけれども、普遍的価値の共有、平和で安全な社会の実現があります。さらに、9ページの(4)のところで地球規模課題への取組ということで、四つの分野に分けて19事項にわたる課題別の取組事項を掲げております。
さらに、東南アジアですとか、アフリカといった形で地域ごとの重点取り組みも、ページで言うと11ページの(5)のところで地域ごとに掲げている。そういった状況にございます。ということで、各目標の中で取り組むべき内容を具体的に明記しておりまして、委員会の御指摘も踏まえまして、前の目標と比べれば、相当の前進があったのではないかと思います。
他方でユニットの中の御議論では、今、御説明したとおり、これらの目標は同じ開発援助の事業を課題ということで、横軸で切り分けるか、あるいは、縦軸の地域で切り分けるかということで分けていますので、両方かけ合わせると編み目状のマトリックスになる。そういう状況でございますけれども、こうした中で目標に対応したインプット、アウトプットの情報をどう表示していくか。さらに、個々の援助事業と法人のほうで掲げている目標とをどうリンク付けを行っていくかについて、法人運営におけるマネジメントの向上ですとか、あるいは、国民に対して分かり易く御説明していく観点から、さらに改善ができないかということで、ユニットの委員の先生方から御指摘をいただいているところでして、どこまでできるか実務上の課題は当然ございますが、現在、外務省・JICAとの間でなお調整を行っているところでございます。
それから、2点目の御指摘としては、法人の成果設定にふさわしい目標設定をすべきということで、従来の中期目標では具体的な成果指標の記述がありませんでしたけれども、新たな目標について一覧にしている資料がございまして、通しのページで言うと20ページ以降、横表で指標一覧ということでカラー刷りの表をつけていますけれども、ここの中で書いてありますように、個々の目標ごとに取組の成果をはかるための定量的な指標、水色の部分が定量的な指標になります。それから、白抜きのところが関連指標ということで、トータルで100個あまり指標を作っているということでございますので、この点も前回と比べると大きな進展があったのではないかと考えているところでございます。
これらの指標につきまして、定量的な目標に関しては、その考え方を確認しておりますし、それから、開発援助という性格上どうしても相手の政府があるということで、具体的に相手の政府の対応が必要になってくる、さらには成果の発現までのタイムラグも大きいということで、全て完璧にというのはなかなか難しいとは思うのですけれども、各関連指標について達成水準が設定できない場合でも、その理由等について確認を進めているところでございます。
国際協力機構の関係は、以上でございます。
続きまして、国際交流基金について御説明したいと思います。資料で申し上げますと、通しの番号で29ページが国際交流基金の中期目標でございます。基金の新目標につきましては、昨年の委員会におきまして目標案の審議に係る留意事項ということで2点の御指摘がありました。1点目がそれぞれの事業ごとに目指すべき成果を明確にした上で、その達成目標、達成状況がわかるような目標とすべきという御指摘です。それから、2点目が定量的な目標による評価が適さないものについては、定性的な目標と関連した定量的な指標、それから、その指標の達成水準を具体的かつ明確に定めるなどの工夫をすべきということでした。
現行の目標に関しては、業務経費の削減といった事項を別にしますと、事業に関連して定量的目標、関連指標の設定がありませんでしたけれども、新たな中期目標の案の中では、各事業項目において法人が実施すべき取り組み内容を具体的に記載した上で定量的目標、それが難しい場合でも関連指標を掲げているところです。
実際に、例を御覧いただきますと、ページで言うと33ページの下のほうに(2)海外における日本語教育・学習基盤の整備とあり、次の34ページを御覧いただきますと、海外においてどういった取組を行うかということで、ア日本教師の強化・拡充、イ日本語教育環境の整備ということで、項目を掲げて、その中で具体的な取組を示しているところです。それから、下のほうを御覧いただきますと、ア日本語教師の強化・拡充、これに関しては日本語教師研修の参加者数、こちらを定量的な指標として掲げているところです。それから、その下に、関連指標として、日本語専門家等派遣ポスト数、次のページで訪日研修者参加数、こういったような指標を掲げているところです。
これらの目標につきましては、外務省で、現在、引き続き達成水準等について検討中としているところがまだ残されておりますので、事務局としては今後、外務省の検討状況を踏まえつつ、その目標が事業の中で目指すべき成果の達成状況を示すものとしてふさわしいものであるかという点に留意しながら、今後、さらに調整を進めていきたいと考えているところです。
国際交流基金については以上です。
【川上管理官】 続きまして、管理官の川上でございます。私から国交省所管の2法人について、御説明いたします。最初に、自動車事故対策機構、いわゆるNASVAでございます。新中期目標の案ですと資料の通しの47ページ目以降になります。
昨年の委員会の御意見におきましては、より多くの遷延性意識障害者の回復に資するべく、入院希望者の待機期間短縮に向けて取り組むことを中期目標に明記することですとか、療護施設で得られた知見、成果の他の医療機関への普及促進という社会的意義に着目した取組の実施というような点につきまして、御意見が述べられたところでございますが、今回、提出されております中期目標の案でございますと、具体的には50ページ目になりますが、下段の(2)の(3)というところに記載がございますように、「遷延性意識障害者の回復に資するべく入院希望者の待機期間の短縮に努める」という記述がなされておりましたり、その一つ上の(2)のところの3行目以降の記載にありますように、「遷延性意識障害からの脱却等、治療方法の検討や改善及び遷延性意識障害を専門とする脳外科医等の育成」というような記述があります。
それから、次のページになりますが、51ページ目の(5)のところの記載にありますような「療護施設で得られた知見、成果については機構にとどまらない遷延性意識障害の治療等にも寄与するという社会的意義を有することから学会等において研究開発を行っていくこと」というような記載がございまして、昨年の委員会の御意見が目標に反映されているというように考えております。今後につきましては、目標の達成につきましても、具体的に記載がされているとは思いますが、まだ目標水準についての記載が十分とは言えない項目がございますので、目標の達成水準を具体的に記載していくこと等につきまして、引き続き主務省と調整してまいりたいと考えてございます。
続きまして、住宅金融支援機構になります。通しの資料でいきますと60ページ目以降になります。昨年12月の委員会におきましては、本法人の新中期目標案の審議に係る留意事項ということで、二つの事項が示されました。一つ目につきまして、次世代に承継される住宅ストックの形成について、良質な住宅の普及に取り組んできた当該法人の培ってきたノウハウを活用して、住生活基本計画、それから、ニッポン一億総活躍プランを踏まえて、中古住宅流通ですとか、リフォーム市場の活性化方策を検討することになります。それから、二つ目として、地方創生に関連して、民間では対応困難な融資の活用をまちづくり関係者等に周知して、当該融資の活用に努めるというようなことでございました。
これに対しまして、現在、主務省より提出されております案につきまして見ますと、60ページ目になりますが、冒頭の最初の1.政策体系における法人の位置付け及び役割の「また」以下のところでございますけれども、住生活基本計画等で掲げられた目標の達成に向けて当該法人には新たな住宅循環システムの構築や建て替えリフォームによる安全で質の高い住宅への更新等に対応した住宅ローンの供給を支援する役割が期待というようにされておりまして、具体的には長期固定金利の住宅ローンの安定的な供給支援、リフォーム促進等を通じた住宅の質の向上、サービス付き高齢者向け住宅の供給促進、リバースモーゲージの普及、若年・子育て住宅取得促進支援等の施策実現に、これらの施策の実現に向けて経済社会情勢の変化に的確に対応しつつ、住宅金融市場における先導的な取り組みの担い手ということで役割を果たすことを具体的に記載されております。
それから、ニッポン一億総活躍プラン及びまち・ひと・しごと創生基本方針の記載を踏まえた当該法人による取組を記載されております。そういった意味で、政策的な位置付け、役割というものを明確に示されているかと思います。それから、次のページになりますが、これも委員会等で御指摘があったところでございますが、60ページ目の冒頭、2行目のところになりますが、住宅金融機関、それから、地方公共団体等の対話を継続的に行ってニーズや要望を踏まえつつ、住宅金融市場における先導的な取組みや地域との連携に係る取り組みを特に重点的に取り組むべき業務と記載されているなど、本法人の特性にも着目した記載ぶりになっているかと考えております。今後につきましては、目標の達成度を測るための目標水準について記載がやや十分と言えない項目がございますので、引き続き目標の達成水準を具体的に記載していくことについて、主務省と調整してまいりたいと考えております。
第1ユニットの担当についての御説明は、以上でございます。
【砂山管理官】 総務省担当管理官の砂山でございます。それでは、引き続きまして、第2ユニットの担当法人に移らせていただきます。時間の制約もございますので、タブレットの資料は、恐縮ですけれども1ページ、最初のページの一覧表にお戻りいただければと思います。見直し対象7法人の新目標案の全体像という横長の資料でございます。まず、私から総務省所管の郵便貯金・簡易生命保険管理機構について、御説明申し上げたいと思います。その後、文部科学省及び厚生労働省の所管の法人について、御説明を申し上げます。
総務省所管の郵便貯金・簡易生命保険管理機構でございますけれども、結論から申し上げますと、当委員会の意見を十分に踏まえた目標案になってございます。中ほどの欄にございますとおり、本機構の取組のポイントは、その管理する郵貯、簡保の早期払戻し等の促進ということでございました。それを実現するために預金者等の実態把握、あるいは、周知・広報の強化を行う必要があるということを委員会の御意見として、御指摘したところでございます。
それを踏まえまして、目標案につきまして、事務局と総務省の法人所管課との間で議論を行い、また、第2ユニットでも御議論いただいた結果、具体的な取組内容を記載することとなりました。特に、郵便貯金管理業務における周知・広報については、重要度が高いものと位置付けた上で満期後一定期間経過しても払戻しを行わない預金者に対して、これまでは満期後15年経過したときに挨拶状を送っておりましたけれども、それに加えまして、今回は満期後9年目以下の預金者全員にも送付をするということとしてございます。
また、挨拶状を発送した預金者への実態調査を初年度に1,000人以上を対象に行い、さらに、次年度以降は初年度の調査結果を踏まえまして、より効果的な把握方法を検討し、実施するという形にしておりまして、要するに、ただ単に1,000人に調査を行ったから目標は達成ということではなくて、真に効果的な実態把握となるような、その後の努力まで視野に入れた目標を掲げているという点で、工夫を凝らしたものとなってございます。
私からは以上です。
【中井管理官】 最後になりますけれども、担当管理官の中井でございます。残りの厚生労働省所管の労働政策研究・研修機構及び文部科学省所管の科学技術振興機構について、これまでの主務省との間の調整状況及び第2ユニットでの御議論の状況を御紹介したいと思います。同じく1ページ目及び2ページ目の資料を使って、御説明をさせていただきます。
最初に、科学技術振興機構、いわゆるJSTでございますけれども、まず全体の特徴ということで、目標案の特徴として、こちらの委員会でも御議論がございましたけれども、まず、全体の政策の中で、この法人の位置付け、役割をまず明確にすべきだということを踏まえまして、政府全体として、閣議決定を行っています科学技術基本計画というのがあり、それをまさに実施する中核機関として、このJSTがあるわけですので、その法人の位置づけを詳述してございます。
具体的には、一つ項を立てまして、まさにその政策体系における法人の位置付け及び役割という形で、そこを記述していただいております。その中で、まさに研究開発法人、大学、企業等々のネットワーク型研究所としての法人の役割を明確化しているところでございます。また、今回の目標の構成に当たっての一つ大きな特徴でございますけれども、現行目標では、その機能が必ずしも体系的に整理がなされていない状況ではございますけれども、今回の中長期目標案の中では、その具体的に行う広範な研究開発関係業務を戦略立案、資金配分、人材育成という、まさに業務の機能においては、3類型に体系的に整理して、それに応じた目標を立てていただいているところでございます。
次に、個別の論点についてでございますけれども、委員会等で御議論いただいた中で出たものでございますけれども、まず、一つは今回の法人の1つの大きなものである機能でございます橋渡し機能について、まさに具体的な取組を明記して、取組がどの程度達成したのか測定するための目標の設定というのが重要ではないかというお話がございました。それにつきまして、やはり研究開発ということ自体、その成果をいかに図るかということ自体がなかなか難しい側面もございますので、今回の橋渡しについて、その評価軸、若もしくは、評価指標にわたって、その成果ということだけではなくて、そのプロセスマネジメントというものを含めて、その両面から測定をしようということで工夫をしているところでございます。また、委員会の中で議論がございまして、科学技術文献情報提供事業、それから、情報資料館、筑波資料センターについては、それぞれの見直し、若しくは廃止の検討ということで、目標に記載をしていただいているところでございます。
続いて、労働政策研究・研修機構でございますが、こちらも先ほどのJSTと同じでございますけれども、まず、政策の中でこの法人の役割というのを十分に位置付けましょうという議論がございまして、まさに今の国の労働政策というのがまずどういう状況にあるのかということについて、先ほどのJSTと同じように政策体系における法人の位置付け及び役割について項を立てていただいて、その中で、例えば、一億総活躍でございますとか、同一労働同一賃金、それから、働き方改革の一環である長時間労働是正などの記述をしていただいて、その中で、政策研究とか、職員研修を通じて、そうした政策課題に貢献をしていくことを明確化していただいているところでございます。
個別の論点でございますけれども、この委員会、若しくは、ユニットの中で御議論がございました政策研究とか研修について、その目的をどの程度達成したのかを測定するための目標の設定について、どういうふうにすべきかという御議論がございました。それについてまさに研究については、ただ外形的な部分として出る部分でとしてただ使われたということだけではなくて、実際に、それが成果としてどういうふうに活用されたのか、若しくは政策としてどういうふうに反映されたのかということをきちんと指標として設定をしているところでございます。
また、研修につきましては、今まで受講生のいわゆるアンケートをとって、その満足度等を測定の指標としていたわけでございますけれども、最終的には、研修によってスキルアップしたことをきちんと測定しないといけないのではないかということもありまして、研修が終わった後、一定期間置いて、その研修生が所属する所属長の方にもその評価をしていただくということをしたいということで、過去にあまり例のない取組だと思っておりますけれども、こうしたことを工夫して行っているところでございます。
JSTと労働政策研究・研修機構の両者について、今申し上げたような成果の測定については、こちらの委員会でも、いわゆる人材育成でございますとか、研究開発というのはその成果の測定というのはなかなか難しいというお話がございましたので、こうしたことを主務省との間でいろいろ議論させていただいて、工夫をしたところでございます。第2ユニットの会合でも、これらの工夫について、肯定的な評価をいただいたところでございますけれども、この委員会でも、もしお気づきの点がございましたら、コメントをいただければ幸いでございます。
以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの御説明について、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。
【岡本委員】 岡本でございます。私は第1ユニットの担当ということで4法人を担当させていただきました。2人の管理官が御説明されましたように主務省が作成される目標という意味においては、当方の指摘に対応していただいたと思っております。目標という形ではそういう提示がなされる一方、それを独立行政法人側でどのように運用するのかというところに、問題意識を感じております。今回、対象法人が少ないということもありましたので、この計画作り、目標に対する計画とともに、実際どのように経営とか、運営されているかということについて、いろいろとお聞きする機会がございました。
そこで思ったというか、感想めいたことなのですけれども、4法人、非常に差があるという言い方が適切かどうか分からない。違いがあるということだと思っています。それで、今回の独立行政法人の制度改革に沿った趣旨の理解が、ある意味どこまで浸透しているかということにも関係するのだと思いますけれども、目標とは直接関係ございませんが、計画とか運営について、今回の制度改革の趣旨を踏まえて実際の独立行政法人の現場でしっかりその対応をしていただきたいと思ったということです。
今回、これは、繰り返しになりますけれども、前回のときからの御指摘が、他の委員の先生方からもございますけれども、今回、なぜこういう制度改革を行ったのかという趣旨について、やはり主務省の方、あるいは、独立行政法人の方に、もう少し繰り返し、繰り返し趣旨を説明していく必要があるというコメントというか、感想を持っています。従来の削減するとか、切るとか、そういう行政改革から一歩超えて独立行政法人の運営について、どういうサービスを提供するか、そのサービスはどのように効果を出しているかということについて、しっかり見ていき、それについて良いもの、悪いもの、はっきり評価をさせていただきたいという趣旨で、今回の制度改革がなされているわけでございます。しかし、実際になかなかお話をお伺いする限りにおいては、そのような理解になっていなくて、これは、私の思い過ぎかもしれませんが、従来型の考え方に基づいて経営されているのではないかというような意見交換もさせていただく中であったわけで、そういうことについて繰り返し先ほど管理官の御説明の中にも、そういう趣旨だと思いますけれども、今後、さらに改善を求めていきたいと考えているというわけでございます。
以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
よろしいですか。もう少し趣旨をしっかりと制度、もっと決定するために何回も言い続けないと。
【黒田管理官】 はい。今年度の委員会の運営で双方向でということを行っておりますので、かなり何回も主務省とも意見交換をさせていただいて、どういう意識で言っているかということ、我々のほうからもお話しさせていただいておりますし、ユニットの場でもかなり岡本先生、樫谷先生をはじめ、話をしていただいているので、そういったことを引き続きしっかり行っていきたいと思っております。
【野路委員長】 他にございませんか。では、栗原委員。
【栗原委員】 第2ユニットは3法人ですけれども、その議論の様子や意見を御紹介させていただきたいと思います。それぞれ今回、対象とした法人は業務のマネジメントを行っていくということを意識した、よく考えた目標となってきていると感じておりまして、具体的には郵便貯金・簡易生命保険管理機構について、例えば、初年度に1,000人の実態調査をやって、それ以降の後年の効果的な取組を検討して進めていくというプロセスマネジメントまで含めた目標になっていまして、非常に目標について進んできたのではないかという議論が出ており、そういうところを今後も進めていっていただきたいと思っています。
また、もう一つは業務の記述についてですが、関係者だけに分かるということではなくて、より一般的に誰が見ても目的や取組内容が具体的に分かるように意識して策定、具体的には、例えば、科学技術振興機構が今回体系的な業務の整理をして、戦略立案、資源配分、人材育成というように3類型に整理したというようなことは、関係者だけではなくて誰が見ても分かるという意味でも大事だと思います。また、組織の中で目的を共有していただくという意味でも分かりやすい目標の記載というのは非常に重要ですので、これも今後そういう取組を進めていただきたいという意見が出ております。
以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは、他に何かありますか。では、土井委員。
【土井委員】 今、栗原委員からも御意見がありましたが、私は第2ユニットのほうの4法人を担当させていただきまして、同じように全般的に現在の中期目標に比べますと、充実した記載ぶりにしていただいたかなと思っています。そういう意味では、新しい業務達成基準というインプットとアウトプットをはっきりさせるというところに向けて、この中期目標の設定だけではなく、予算の作り方というところでもいろいろ御苦労をまだされている途中だとは思いますが、そういう意味でも定量的な目標を設定していただいたということは良かったかなと思っています。
ただ、一方、その目標の達成水準の考え方ということで、一部に中期目標案文の中に明確にまだ記載されていないものとか、また、なぜ達成水準とするのかというところは、やはり記載を十分にしていただきたいと思います。なぜ記載を十分にしないといけないかと申しますと、今、栗原委員が言われましたように、「見える化」するということで、それぞれの法人だけではなく、法人を外から見ている方、特に、国民に対して分かっていただくということが非常に重要で、その目標が安易ではないということは、一方、その現場で働いているそれぞれの法人の中で、現場で働いている方たちにとって、インセンティブ、モチベーションを上げるという意味でも非常に重要だと思います。
なので、こういう際に、やはりチャレンジしていただくという意味でも、なぜその達成水準になっているかということに関しまして、私たち委員会側とも双方向にやり取りをさせていただいていますが、是非それぞれの法人の中で現場ともこれを機会にやり取りをしていただいて、きちんと現場にも中期目標、主務省庁からどういう目標が政策的にあり、それに対して、法人としてはどういう役割でこの中期目標を達成して、いかなる達成水準に応えようとしているのかというところを双方向に議論していただいて把握していただけると、次の5年間、いろいろなプロセスが明らかになってくると思います。是非よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
では、関委員、お願いします。
【関委員】 私、第1ユニットを担当させていただいたのですけれども、現在の中期目標より充実した定量的なものなどが記載されて充実したものになってきているのですけれども、今回の見直し法人の中には目標の達成水準をアンケートといったような受益者の評価度ではかろうとしているような法人がございました。目標の達成度というのは、できるだけ客観的で、かつ、測定可能なものを用いるということが望ましいのではありますが、業務によっては、そういった評価度を用いて測らざるを得ないというようなことがあるといったようなことも理解できます。
アンケートの結果を利用するといったような場合においても、できるだけ多くの受益者の方の意見を酌み取ったような形にするという点で、アンケートの回収率にも是非留意していただければなと思います。したがいまして、そういったアンケートの回収率を向上させるような目標設定についても、是非検討していただければと考えております。よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
今の御意見に対して、何かありますか。
【黒田管理官】 今回、議題の3を先取りするような形になるかもしれないですが、栗原先生からもお話があったように、評価だけを考えるのではなくて、その評価の次のPDCAを考えたようなモデルということをしっかり意識して目標を立てるとか、評価をしていただくということが重要ではないかということは、委員会でも御指摘いただいております。それを踏まえて、ユニットのほうでも目標設定に当たって、そういうことも踏まえて、どういう目標が良いかということをしっかり議論していただいた成果になっているのかなと考えております。また、体系的な整理ということについても、国から与えられたミッションをどういうふうにこなしていくかということの整理、そういうことが重要ではないか。
また、土井先生からもありましたけれども、主務省と独法との間での双方向でのやり取りをしっかりして、コンセンサスを得て進めていくということが、しっかりしたPDCAサイクル、また、国の政策に直結した成果を上げるために不可欠ではないかというような議論があったと思います。そういうことを踏まえて、今回の目標も個別法人の問題ではありますが、これから委員会が進めるべき方向に沿った形での議論がしっかりなされているのかと思っております。
それから、関委員からも評価度の難しさ、その評価度を使ってやらざるを得ないようなことというのも多々あるということについてお話がありましたが、そういったことについてもどういう工夫がさらに可能なのかということを、委員会、事務局としても十分議論していければなと思っているところです。
【野路委員長】 特に今、私も今の委員会の話で達成水準ですよね。アンケートで行うというのもなかなか苦肉の策なのでしょうけれども、やはり、もう少しブレイクダウンしながら、もっと長い目で出口の成果というのはどこにあるのかというのをよく見たほうが良いと思いますね。例えば、JICAのほうでトレーニングセンターを全世界に作っていただいていますが、10年ぐらいたつとなくなってしまうんだよね。それが、非常に残念です。私の会社では、フィリピンなどで、今、ものすごく有効に使わせてもらっています。なぜなくなったのだとJICAの人と議論をすると、「役割が終わったから」と言うのですけれども、役割が終わったのだったら、民間とか、どこかに橋渡しするというのか、どこかへバトンタッチしてほしいと思います。フィリピンのトレーニングセンターは、もし相談があれば、我々で幾らでも使える非常に良いものなんですよね。
だから、うちも今、ものすごく有効に活用させてもらっているんですけれども、そういうようなこととか、あと、トレーニングセンターの最終的な役割というのは、日本国内、民間企業への就職だと思うんですね。民間企業へ就職が進んでいるかどうかというのをチェックしないと、何か外資系ばっかり就職していて、日本企業にほとんど就職していないようなアフリカの国の例もあるんですね。それは、民間企業も悪いんですね。もう少し民間と話をすれば、やっぱり地元の人、アフリカの地元の人たちが最終的にトレーニングして就職するというのが出口だから、そこをやっぱり見たほうがいいのではないかって、私も社長時代、かなりJICAの人と議論したことがあるんですけれども、そういう具合に事例を挙げながら、できるだけアンケート、苦肉の策でしようがないのでしょうけれども、やはりもう少しブレイクダウンすれば達成水準というのが、目標というのがはっきりしてくるのだと思うので、是非事務局のほうでもよろしくフォローをお願いしたいと思います。
樫谷さん、何かありますか。
【樫谷委員】 今回は、独法通則法の改正後の2回目の中期目標期間終了ということで、次年度の次期中期目標期間の目標を検討したわけですけれども、昨年度の見直しの方法と比べていろいろ、今回、数も少ないということもありまして、相当、事務局と主務省及び独法と議論していただいたということと、それから、第1、第2ユニットの中で委員と独法、あるいは、主務省との間で相当議論ができたということが非常に良かったかなと思います。目標を作るにしても、まだまだだと思うのですけれども、それにしても相当今までの10年間と比べて内容の濃い目標ができたのではないかなと、こういうふうに思っています。
問題は、この目標を作ることが目的ではなくて、目標を達成することが目的なので、どういうふうにして達成するのか。今、委員長もおっしゃったように、目標というのは最初から決めてやるものではなくて、決めてやるものだけれども、達成するまでにやり方っていろいろ変えなければいけないわけですよね。それがPDCAサイクルを考えれば当然、終わった後も意識してやらなければいけない。つまり、終わったことが目的ではなくて、終わった後がどうなのだ、全体がどうなのだということを意識してやらなければいけないので、そういう意味では、PDCAサイクル、その次、その次、気付くものもあるでしょうから、そういうものを少し、今、先ほど栗原委員がおっしゃった郵便貯金・簡易生命保険管理機構、これもまず1,000人に実態把握を行ってみて、それで終わるのではなくて、その後どうするかを考えるとかいうようなこととか、あるいは厚労省の労働政策研究・研修機構についても同じようなことが書いてあるんですね。
そういう意味では、改善していくのだということも目標に入れていただいたということは非常に良いことだと思いますので、来年度、次期というのでしょうか、3年目にたくさんの見直しをしないといけないのですけれども、一つの考え方ができたのかなと。主務省も独法も、今、今度の方はまだ新しいかもわかりませんが、相当理解ができたと思いますので、このようなやり方を3回目も踏襲しながら、もっとレベルアップをお互いに図っていければいいかなと思っています。よろしくお願いします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
ただいま樫谷部会長から話がありましたように、これからも今回の議論を踏まえて対応して、徹底して独立行政法人に趣旨を理解してもらって進めていきたいと思っております。大体よろしいでしょうか。それでは、2月20日の委員会に向けて検討を進めていっていただきたいと思います。
次に、議題2ですが、次回、2月20日委員会において、事務局から報告していただく予定ですが、本日は、今後の委員会での議論や実態調査の取りまとめの参考にもなるかと思いまして、住宅金融支援機構の取組事例を同機構の首藤理事から発表していただくことにいたしました。それでは、首藤理事、よろしくお願いいたします。どうもお忙しいところ、ありがとうございます。
【首藤理事】 住宅金融支援機構の理事の首藤でございます。よろしくお願いいたします。本日は、私どものカイゼン活動につきまして、御説明する時間をいただきまして、大変ありがとうございます。私どものカイゼン活動、始めてまだ数年ということでございまして、先進的な民間企業に比べますと、まだまだ初歩的なものだと認識をしております。しかしながら、独立行政法人を含めまして、公的な機関でカイゼン活動をやっているところは、まだあまりないのではないのかなと思いますので、拙いながらも私どもの活動が他の機関に何らかの御参考になれば、大変光栄だと思っております。
資料2に沿いまして、御説明をさせていただきます。資料2、128ページからでございますが、私どものこのカイゼン活動は、現在の形になりましたのは、平成24年度からでございます。128ページの1の二つ目の○のところから書いてございますけれども、現在の形と申しましたが、現在の形といいますのは、それ以前も期間を区切って、運動のような形で行ったことはあるのですけれども、そうではなくて、通常業務の一環として恒常的に取り組むということ。それから、もう一つには、その少し下のところに書いてございますが、全国大会をやりまして、私ども全国主要都市に八つほど支店を持っておりますが、その支店の職員も参加して、全国大会で優秀な事例を表彰するというようなことを行っております。こうした形になったのが、24年度からということでございます。
この初めの頃から、その少し数行下に書いてございますが、当時、早稲田大学にいらっしゃいました遠藤功先生からいろいろな場面で御指導をいただいているところでございます。24年度から始めまして5年ちょっとたったところでございますが、おおむね定着をしてきたのかなと考えております。このページの一番下に※で件数は書いてございますが、直近3年、書いてございますけれども、少なくとも、件数は順調に伸びております。それを見てもおおむね定着をしてきたのかなということでございます。このように定着をしてきた原動力といいますか、要因といたしましては、この2のところに原動力等として書いてございますが、何といっても大きいのは、この24年度に開始した当時の理事長、宍戸の強いリーダーシップが大きかったかなと考えております。これは、日常業務の一環として行うのだということをトップダウンで明確に示してもらったということで、職員全体で進む環境ができてきたということかと思っております。
この点につきましては、現在の理事長の加藤も継承いたしておりますが、ただ、現在は、もう初めのころとは違いまして、理事長、あるいは、他の役員が職員の尻を叩くような感じではやっておりません。そうやらなくても職員だけで自然に回るような形ができてきたかなと現在では考えております。
二つ目の要因といたしましては、その次の○のところに書いてございますが、カイゼン活動、これは1件1件、私どもカウントして登録といいますか、行っておりますけれども、このハードルを低く設定したということがあろうかと思います。小さな改善でも良いということでございまして、小さなことの積み重ねこそが、やがて大きな効果を生むという考え方でございます。
さらに、その下に書いてございますが、他の部署のまねでも良い。私ども、これ実は「マネゼン」と呼んでおりますけれども、マネゼンでも良い。このように小さくても良い、あるいは、人まねでも改善として、1件としてカウントする。まねであれば表彰されるかことはそんなことはないわけですけれども、少なくとも改善としてカウントするかどうかということについては、小さくても良い、人まねでも良いということでございます。特に、まねということに関しましては、これは、横展開の大きな力になると私ども思っております。改善は、一つの部署がやることだけではだめで、一つの部署が行ったことが他の部署で同じように使えるのであれば、他の部署でも同じように取り組む。そうする横展開をすることによって、組織全体の底上げが図られると認識しておりますけれども、このまねをする、それを推奨するということによって、横展開が図られやすくなるというふうに私どもでは認識をしているところでございます。
このようにハードルを低く設定して、内容についてのハードルを低く設定したわけでございますが、実は、手続面でも低くしておりまして、次の129ページを御覧いただきますと、3のところに取組の具体的内容ということで書いてございますが、3つ目の○のところで、カイゼンの結果の報告のやり方が書いてございます。まず、カイゼンをやってもらって、そのやったことをカイゼン報告書というA4の比較的簡単な用紙でございますが、これに書いて共有ドライブに入力するだけということでございまして、上司等の承諾は要らないということでございます。もちろん、カイゼンの中身によって、例えば、何かの規定を改正するとか、上司の決裁が必要なものであれば、それは、もちろん決裁を取ってもらうのですけれども、カイゼンすること自体については、誰の承諾も要らない。本人の判断だけでできるというようにハードルを低くしてございます。
そして、こういうふうに入力されたものについては、組織的に全職員が閲覧可能になるようにして、組織的に情報共有しておりますし、それから、その下に書いてございますが、データベース化して、検索して閲覧するといったようなこともできるようにしてございます。さらに、工夫といたしまして、この上のほうに少し書いてございますが、部署ごとにカイゼン活動リーダーを指定して盛り上げたり、そのリーダーの研修を行うといったようなことで、少しずつ底上げを図っているということでございます。こうしたことで取組をだんだん進めているわけでございますが、もう一つ定着させるのに大きな効果があったかなと思っておりますのが、この4のところに書いてございます全国大会でございます。
別途131ページにまとめていただいておりますけれども、詳細は割愛いたしますが、年に1回、大体11月ぐらいに私どもの本店の中にホールがあるのですけれども、そこに、事前の職員の投票で選ばれたグループが来て、そこで発表してプレゼンをさせて、それについて、さらに、その大会の中で役員が審査員となりまして投票して、さらに良いものを表彰するというようなことを行っております。この中では、先ほど申し上げました遠藤功先生からの表彰もございます。こういう表彰がある場所で、職員に発表させる。そして、もちろん表彰ということですから、当然、そこで役員もコメントいたしますし、それから、遠藤先生からもコメントがございますが、当然、発表した職員は褒められます。そうするとやっぱり特に若い職員ですけれども、非常に喜んでやる気を出すのが目に見えるような感じがいたします。これは、年に1回ではございますけれども、全体に刺激を与える非常に良い取組であるかなと思っているところでございます。
そして、今申し上げました効果でございますが、この同じページの5の取組実施による効果のところに書いてございますが、この全国大会につきましては、今申し上げましたような活動全体を刺激する効果があったかなと。職員にとっては、達成感ですとか、モチベーションの向上につながったのではないかなと思っております。この全国大会、本店職員も手の空いている人間は見に行きますし、それから、支店の職員にもWebで見られるようにしておりまして、忙しい職員は見られないのですけれども、何とか時間をつくれる職員は、地方からでも見られるようになっております。
それから、普段のカイゼン活動に関しましては、その下のところにまとめていただいておりますが、当然、カイゼンは、例えば、何か書類を減らすとか、効率化するとかいうようなことで行うわけでございまして、そのこと自体、もちろん効果があるわけなのですけれども、私どもだんだん定着してきて、最近感じておりますのは、仕事に対する意識を変えるという効果があるのではないのかなと。これは、定量的に測るとか、具体的に何か証明するものがあるというわけではなくて、印象面の話ではございますけれども、このカイゼン活動を通じて職員の仕事に対する向き合い方が、少し変わってきたのではないかとだんだん最近感じております。カイゼンを行おうとしますと、当然ながら業務そのものにつきまして、何のために行うのか、どういう効果が出ているのかということをちゃんと自分の頭で考えないとカイゼンはなかなかできませんので、そうする癖がつくことによって、その現状をそのまま受け入れるのではなくて、より良いものに変えていこうという意識が芽生えるのではないのかと感じております。
特に、私ども独立行政法人は法律、あるいは、中期目標等が国から与えられるという制度の建て付けになっておりますので、その与えられた枠の中ではありますけれども、何とか自分達なりに自分の頭で考えて創意工夫をする努力というのは、これは、日頃から行っていかなければいけない。特に、我々独立行政法人にとっては特に重要なことなのではないのかなと。それに、このカイゼン活動というのは、ある意味思わぬということでもあるのですけれども、効果が出てきているのではないのかと感じているところでございます。
それから、もう一つでございますが、その次のページの一番上のところに書いてございますが、カイゼンの提案、報告は、これは一番出すのは、一番現場に近いところにいる職員から出てくる場合が多くございます。特に、臨時職員の方から出てくる場合も多くございます。ややもすると、一番現場に近い方は、与えられた枠組み、手続の中で淡々と行うというふうになりがちですけれども、そうではなくて、その一番現場に近いところにいて、一番問題点が見えやすい人たちから声が上がりやすい仕組みにしておくというのは組織の風通しという意味でも、そういう方々にモチベーションを持っていただくという意味でも非常に大きいのではないのかと思っているところでございます。
駆け足でございましたが、私からの御説明は以上でございます。
【野路委員長】 首藤理事、ありがとうございました。本当にすばらしい発表で、民間企業でもほとんど一緒ですね。特に、我々の会社で一番大事にしているのは、最後に言われたコミュニケーション、特に、QCとか安全とかになると現場とスタッフとのコミュニケーション、それと課長クラスとか一部の現場の上の、うちはセンター長というんですけれども、その人たちと現場とのコミュニケーション。ここにおられるような臨時職員の方とか、そういうことでコミュニケーションが一番にうちなんかも挙げているんですけれども、是非これからも継続していただきたい。我々の会社も、もう50年以上行っていますけれども、それが仕事になっているんですね。50年も行って何か改善することがあるのかというとやっぱりあるんですよね。時代、時代によって、現場がどんどん変わってきますから、やっぱり行うことはずっと続くのだろうと思います。ありがとうございました。
委員の皆さんから、何か御意見、御質問等ございましたら。岡本さん。
【岡本委員】 首藤理事、どうもありがとうございました。実は、今回、いろいろな現場を見させていただきましたが、先ほど前回か前々回の委員会のときに方調査官に申し上げたかと思いますけれども、是非良い事例を皆さんのほうにお見せするような機会をぜひ作ってほしいということで、早速対応していただいたと思っております。
今、首藤理事から御説明いただいた点なのですが、我々、改善活動を行えとか、QC活動を行えという趣旨では全くなくて、やはりそれぞれの独立行政法人の現場において、必要なものは何かということを捉えられて、それに対応されているということについて、感銘を受けたということでございます。今、委員長のほうからもございましたけれども、私ももともと民間銀行にいたときに、これを行ったのですけれども、意外に形式化してくるという問題も出てくると思います。是非そうならないように自主的な活動を是非続けていただきたいと思っています。
それで、先ほど私少し申し上げたのですけれども、現場の違いというのを今回非常に感じていまして、各法人によっていろいろな取組もあるし、ないところもある。そこを是非、今日、多くの傍聴の本省の方でしょうか、あるいは、独法の方でしょうか、いらっしゃると思いますので、是非工夫していただきたいなと思います。住宅支援機構で改善が成功したから、どの独法でも改善すると思いませんけれども、そういう仕組みを工夫していただいて、今回の独法の、特に経営とか運営とか、そちらの方向で是非よろしくお願いしたい。その良い一例だと思ってお聞きしました。ありがとうございました。
【野路委員長】 他に何かございませんか。どうぞ。
【土井委員】 どうもありがとうございます。先ほど、野路委員長がコミュニケーションを活性化するということを御指摘されましたけれども、今、お話を伺って一つ気づいたことが、自らの問題として考えるようになる。恐縮ながら、私は改善活動って形式化されているから、あまり役に立たないだろうとちょっと先入観を持っていたのですけれども、そういうことに使えるというのはすごいことだと思いました。今、大学教育とかで単なるラーニングではなくて、アクティブラーニング、考えて発言せよというのが出てきていますけれども、今、御指摘があったように、このカイゼン活動は、いわばアクティブワーキングですね。それにすごく役立っているのかなと思います。
翻って考えてみますと、今回、いろいろ対話をさせていただいて、いろいろな達成基準に関して何でその達成基準なのかというふうに問いかけをしてもらって、やはりアクティブワーキングをしていただきたいということですね。与えられたから、それに従って動いていますということではなく、今、首藤理事から御紹介があったように、考えて働いて成果を上げる。それによって、インセンティブ、働くこと自身にインセンティブが得られるという、そういう形を求めているのかなと考えた次第です。どうもありがとうございます。
【野路委員長】 他にございませんか。よろしいでしょうか。栗原委員。
【栗原委員】 今お話を伺って感銘を受けたのは、「ハードルを下げる」という言葉が何回も出てきて、全員の方で取り組める仕組みをいろいろ工夫されてなさっているということです。改善というのを高く掲げるのではなくて、低く掲げながらみんなが参加するということで、皆さんが考えるようになったというような、そういう法人の姿勢を大変すばらしいものだと感じました。ありがとうございました。
【野路委員長】 関委員。
【関委員】 今、首藤理事のお話を伺って、栗原委員もおっしゃっていたのですけれども、やはり目標を達成しやすい簡単なものにするということで、誰もが取り組んで改善ができるのだという自信がコミュニケーションにつながって、それが、また新たな改善を生み出すというような形で、個々の組織構成員の細胞が活性化されるというようなイメージを持ちまして、良い成果が今後も出ていくのではないかなと感じました。どうもありがとうございました。
【樫谷委員】 独法は、決められたことを決められたとおりに行えれば良いということではないと思うんですね。恐らく、実施するに当たっても、企画立案をしないといけないし、企画立案どおりいかない場合はどうやってマネジメントするか。あるいは、現場に知恵が落ちているはずなので、それをどうすくい上げるとか、これは、民間と同じだと思うんですね。もうけるか、もうけないかというところは、確かに民間と違うかも分かりませんが、業務の実施に当たっては、同じだと思いますので、こういう取組をされたことはすばらしいと思いますし、特に、マネゼンというのが推奨されているというのはなかなか良いことだと思います。実はプライドが高いようなところは、まねしたくないんだろうと思います。
あいつがこうだから俺はこれだというようなところも結構私の経験ではあるんですね。でも、まねを推奨するって、確かに横展開をするにはまねを推奨しないと、尖ったところだけを評価していたのではだめなので、それを、尖ったところをどう展開するかが大事なので、そういう意味ではマネゼンというのは、非常に面白いなと思いました。こういうことをこれから、今、岡本委員がおっしゃったように、逆にここに来て教えていただく、それぞれの独法で工夫されたようなことを教えていただくような機会をもっともっと持ったほうがいいのかなと思いますので、一つ事務局のほうで工夫をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【野路委員長】 私から一つだけ質問。早稲田大学の遠藤先生、非常に良かったと思うんですね。我々の会社でも必ずこういう人が入って行うんですね。社内だけで行っているともう中でギスギスしたりしてなかなか難しいんですけれども、遠藤先生はどんな点が一番良かったんでしょうかね。
【首藤理事】 改善についての大きな方向付けといいますか、小さなことでも良いのだというふうに強調されたのは、まず遠藤先生でございます。遠藤先生は微差という言い方をされています。微小の微、微かに差。小さな差の積み重ねが、結局、最後は大きな違いになるのだということを何度も強調されまして、それである意味、そこでハードルが下がったといいますか、小さなことでもいいのだ。小さなことでも恥ずかしがらずにどんどん提案しようというふうになったということ。
それから、先生から御指導いただいたり、コメントいただいたりするのですが、決してネガティブなことを改善については、おっしゃらない。発表を聞いていて、我々役員が見ていてもちょっと粗が見えたり、少し文句を言いたくなることがないではないのですけれども、恐らく先生から見ると、いろいろなところで見えていらっしゃるはずだと思うのですが、決してネガティブなことはおっしゃらないで常にポジティブに、少なくともこの大会の場ではおっしゃるので、全体に非常に雰囲気がポジティブになって進めやすくなる。そういう二つの姿勢は、非常に大事なのかなと先生からの御指導を受けていて感じております。
【野路委員長】 良い先生だったんですね。ありがとうございました。
それでは、これにてこの議題については、終わりにしたいと思います。首藤理事におかれましては、ここで御退席となります。首藤理事、ありがとうございました。
それでは、次の議題に移りたいと思います。議題3ですが、昨年12月8日の委員会において、皆様からこの2年間の委員会活動の御経験を踏まえた次期委員会活動の在り方について御意見を伺いました。今回、事務局がこれまでの委員会や個別にお聞きした皆様の御意見を取りまとめましたので、最初に、事務局から御説明していただいた後、皆様から意見交換をさせていただきたいと思います。それでは、事務局、お願いします。
【黒田管理官】 私から資料3に基づいて御説明したいと思います。タブレットのページ数で言いますと136ページになります。これまでのいろいろな御意見を全て取り込む形で、今回、まとめさせていただいております。12月8日の時点で委員会でも御議論していただきましたが、その他にもいろいろな場で委員の皆様から御意見を聞かせていただいておりますので、それを全てなるべく網羅するような形でまとめさせていただいております。
それでは、資料に沿って、御説明させていただきたいと思いますが、今回、三つの柱に分けて整理させていただきました。まず、初めに、主務大臣の目標設定、評価ということで、主務大臣がどのように対応すべきかということについて、御意見として賜ったことを少し整理しました。目標設定に当たっては、やはり主務大臣は主務省の政策を実現するために法人にどういう役割を与えて、法人をどういうふうに活用し、また、どのような成果を求めるのかということを明確にしなければいけない。ミッションを明確化するということを一般的には言われがちですが、やはりどういう距離感で法人に対して、仕事を求めていくのかということを少し意識して考えるべきではないかということでございます。それを通じて、国民の皆さんにも、その法人の位置付けであるとか役割、その必要性等が見えてくるということにもつながってくるというふうに考えているところです。
二つ目ですが、客観的なアウトカムの評価ということは重要ですが、アウトカムに至るまでのプロセスも重要ではないかというような御意見があったかと思います。チャレンジングな目標を掲げて、良い成果が出ればそれをさらに伸ばしていく。悪い結果が出れば、それを改善するためにはどうしたら良いのかということのマネジメント文化を定着させていくということが重要ではないかという御意見があったかと思います。それと、先ほどアクティブワーキングというような御発言もあったかと思うのですが、組織の運営のダイナミズムをちゃんと意識して、評価していくということも重要ではないかということでまとめさせていただいています。
次に、つ目の柱として、法人のマネジメントでございます。法人側として、どういうふうに考えるかということですが、組織内部でのミッションの浸透に当たっては、やはり法人の長が目標をブレイクダウンして、法人内部に徹底していくということが重要ではないかということが、御指摘としてあったかと思います。また、12月8日の委員会でもお話があったと思いますが、トップが時間を割いて現場に行って、自ら語る。トップ発のコミュニケーション、先ほど委員長からもコミュニケーションが大事だということ、御指摘がありましたが、そういうことが大事ではないかということでございます。それとまたトップの意向が通じているかどうか、その監事がチェックすることも重要ではないかというような御指摘もございました。
こういう指摘等を踏まえて、委員会としてはどういうことを活動として行っていくべきかということを三つ目の柱として、まとめております。委員会には、やはり法人が困っている課題を解決して、そのオペレーションを回していく、回りやすくするために指摘をしていく、その改善を求めていくというようなことが大切ではないかというような御意見もございました。具体的には、法人が柔軟な運営を進めるに当たって、制度的な障害であるとかルール面の課題についてはどういうふうに解決できるか、そういうことを提言していくべきではないかというような御意見もございました。それから、委員会としては、目標設定の在り方や法人におけるトップマネジメントの在り方について、議論を注力してはどうかということでございます。
独法といっても88法人ございます。決められたことを着実にやるような事業をやっているような法人もございますし、また、一定の自立性を持って創意工夫を求められる法人、事業を行っている法人というものもございますので、一律に指針やルールを適用するのではなくて、個々の事業に主務省がどういうことを求めるかということ、その関わり方が異なりますので、その実態を踏まえた目標設定の在り方、また、法人の規模に応じたマネジメントの在り方などをしっかり議論していく必要があるのではないかというような御意見もございました。
それと、また今回、議題の一つ目でかなり意識的にお話があったかと思うのですが、研究開発や人材育成などアウトカム、定量的な目標設定が困難な業務であるとか、成果発現までに相当の時間が要するもの、また、外部要因が影響するようなものについては、過度に定量的であることにとらわれるのではなくて、目標の在り方についてどういうものが良いのか、どういう工夫が可能なのかということをさらに議論、委員会として議論を深めていくことが重要ではないかというような御意見もございました。
また、法人の長のリーダーシップ、職員の創意工夫によって、成果を上げて好循環を生じているような取組については、事例把握に努めて委員会で紹介していく。先ほどの住金の首藤理事からの事例紹介もございましたが、あのような取組をしっかりやっていってはどうか。そういうことによって、法人に対する国民の理解の促進であるとか、前例のない取組を躊躇しているような法人に対してのバックアップになるのではないかというような御意見もございました。
ただ、こういう事例を示すだけではなくて、この取組事例の中で何が契機となって、何が推進力になっているのか。また、やはり一般論で語るとなかなか見えてこないところがあります。先ほど首藤理事からも御紹介がありましたが、微差のような用語、なかなか個別の具体例を聞かないと、どういうところに意識したかというところが見えてこない部分もございますので、そういうところをしっかり引き出して、どういうところが推進力になっているか、意識した取組になっているかということを明確にできればなと考えられるかと思います。
あと、個別法人に係る審議の在り方でございます。来年度、24法人、見直し対象法人がございまして、どのように効率的に行っていくかということが問題になるのではないかというような御意見が12月8日の委員会でもございましたが、やはりどういうところにメリハリをつけて見ていくかということをしっかり重点化することを意識して行っていくべきではないかというような御意見もございました。
また、今回、今年度の委員会意見の言い方として、議論の過程を留意事項としてお示しするということを工夫としてさせていただきました。委員会での意見形成プロセスを「見える化」するということについても、やはり意義があるのではないかというような御意見もあったかと思います。
加えて最後に※で書かれているところでございます。今まで御説明したことは基本的には評価に関することではございますが、会計基準等部会等でも財政審と共同ワーキングを開いて、財務報告の在り方について、今議論しているところでございます。こういったことについても、引き続きしっかり議論して検討していきたいということを最後に付言させていただいております。
簡単ではございますが、御説明は以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの件に対して、岡本委員。
【岡本委員】 どうもありがとうございます。今から申し上げることは、直接ここに、今の御説明に関係しないかもしれないのですけれども、これは、総務省の事務方の方々には、昨年末に申し上げて、それにしっかり対応されるということでいただいているのですけれども、行政管理協会というところが昨年末の12月22日、『週刊行政評価』という小冊子というのを出されておりまして、その中に霞が関時評という簡単なコラムがあるんです。それのタイトルが「独法改革の憂鬱?」という1ページぐらいの小さいコラムなのですけれども、12月に取りまとめた見直しの委員会意見について意見を出されているんですね。その内容として「個別事項については全体的に歯切れが悪いのが特徴と言える」と書かれていて、それで、どういう法人、どういう指摘があったか簡単に紹介されてあって、最後に「こうした歯切れの悪さは安倍政権の基本的姿勢が作用していると思われる。経済財政諮問委員会では来年度予算の基本方針の審議で潜在成長率を高める予算に重点化し、過度な歳出抑制にならないようにすべきとされた淵源はここにある。」、そういう終わり方で書かれている簡単なコラムです。
これをどうこうというのは個人の意見はともかくとしまして、申し上げたかったことは、やはりこういう見方というのは、我々がここで議論させていただいたような今回の独法改革の趣旨とは違う見方があるのだろうなと。なおかつ、行政管理協会とか週間行政評価とか、いかにも総務省に近いような名称を冠したところの発行物であったり、発行所がそういうふうに出されているということについては、国民のほうに我々が伝えようとしているようなところがなかなか伝わりがたいのではないかなという危機感を持っているわけなんです。
何を申し上げたいかというと、こういう記事があるということとともに、独立行政法人の現場の方々にも、あるいは、主務省の方々の中にも、今回の独法改革というのが、やっぱり従来の行政改革の延長線上にあるのではないか。ただ、それが弱まっているだけだと。安倍政権が歳出抑制をしないという方向で行っていく。そういうふうな捉え方をされているだけになってしまっている。そういうのではないというようなことをやっぱり私は申し上げたいし、今回どういう位置づけでこういう改革をしてきたかということは、繰り返し述べていかないといけないと思う。
そういう観点から、この委員会なり、総務省の皆さんがどういうふうな活動をされるかということについて、議論を行っていかないといけないと思っているということを申し上げたいわけです。今回の、先ほど黒田管理官が御説明された中に幾つかそれに関連するようなことがあるのですけれども、どういうふうな趣旨で今回の独立行政法人改革が行われて、各法人がどういうことを行っているかということについて、ここの場で発信をしていくような機会というのはやっぱり多く設けていくべき、今日の首藤理事から御説明いただいたようなことを皆様に広めるとか、そういうことを行っていかなければいけないし、十数年来の間に改革というものの意味合いが変わってきている。良い悪いの判断はあると思いますけれども、そういう趣旨で行っているということをやはりもっと訴えないといけないような気がします。
独立行政法人については、成功モデルをつくらなければいけないわけです。成功モデルという意味は、国民に対してサービスを提供して、その成果が現れていく。それは、こういう取組を行っているということをもっと出さないといけない。それは、評価しなければいけないし、従来の悪いようなところについては、それは、もちろん悪い評価を行わなければいけない。そういうことをやっぱり出していかなければいけないと思いますので、来年度のこの評価委員会がどうすべきか、ということについて、議論があるのだとすると、そういう方向での取組、あるいは、24法人について見直しをやらなければいけないという、その中でどういうふうにするかという難しい問題はあるかと思いますけれども、そういう従来の個々の法人に対するチェックということと、それから、パブリックセクターの活動についての国民の世論形成といったようなことに対する働きかけというのも考えていかなければいけないのではないかなと思っています。以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
他に何かございませんか。
【土井委員】 今の御発言とは直接関係ないのですが、よろしいでしょうか。意見をまとめていただいてありがとうございます。今、一つ思いついたことで恐縮なのですが、今回は、法人の数が全部で7法人と少なめであったので、今回のような評価、対話するという評価ができたと思うのですが、24法人になるとなかなか大変かなという部分があります。しかし、組織運営のダイナミズムを与えるというところはすごく重要だと思うので、それは、やはり法人と主務省庁が対話する中でしかなかなか見えてこない部分もありますし、それに対して、業務達成基準というインプット、アウトプットをきちんと関係付けなければいけないという一方の絞りもあり、そういう中で、どういうふうに行えば組織運営のダイナミズムが保てるかというところは、そこは、やはりきちんと個々の法人とやり取りをしないといけないのかなと感じております。
一方、それ以外のところをどうするのというところもあるのですが、先ほど樫谷委員が言われたように、昨年度と今年度と新しい改正にのっとって、見直しを行ったわけで、そういう意味ではベストプラクティスというわけではないのですが、これまで定量性とか、あまりはっきりしていなかったものが、次の期では主務省からのミッションと目標をはっきりさせ、定量的な基準に結びついたかというところがあると思うので、例えば、この法人であれば、既に見直しが行われている法人のこういうところを参考にしなさいみたいな、そういうものを提案するみたいなことも必要なのかなと思います。そういうことによって、先ほどのマネジメントではないですけれども、良いものが継承されていくというやり方、流れに結びついていくのかと思います。よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 他に何かございませんか。
【樫谷委員】 今、岡本委員がおっしゃったとおりなのですが、この評価という作業は、ものすごく地味な作業を積み重ねて評価をしていくわけですが、我々、独立行政法人評価制度委員会の仕事をどうやって国民の方に御理解していただくかというようなことも、あまり派手にペラペラしゃべるべきものではないと思いますけれども、何か訴えないといけないのかなというふうに岡本委員がおっしゃったことを聞いていて思いました。どうアピールすれば良いのか私もよく分かりませんが、正しく御理解していただくということですよね。アピールという意味で、そのための報告書を出しておしまいというのではなくて、何かもう一つ次のアクションがひょっとしたら必要なのかも分からないので、我々も検討して考えなければいけないのですけれども、事務局としてもお考えいただけたら良いかと思います。
【野路委員長】 ありがとうございました。
他に何かございませんか。では、私から一つだけ、事務局の御説明の法人マネジメントのところで、私、うちの行っている事例を皆さんに御紹介したいと思います。私がどうしても、この委員長をしていて一番気になったのは、働いている人たち、法人で働いている人たちの元気が出るのかどうか。幾ら評価制度を変えても、法人が頑張らないと進まないんですね。それは、会社だってみんなそうです。上が幾ら言っても、下がいろいろなことをやっても、その組織自体がきちっと改善、改革へと進んでいかないとやっぱり幾ら評価したって何したってうまくいかないと思うんですね。その中で、僕は実態のほうは知らないので理解していないところがあると思いますけれども、独立行政法人のトップのコミュニケーションというのを、事務局に取り上げてほしいと言いました。
うちの会社の場合は、社長が全社員に向かって、年2回、社員ミーティングというのをやります。トップと現場とのコミュニケーションというのは、そういう場で行うんですね。社長が1時間半ぐらいしゃべった後、30分間、Q&Aを行うんです。そこで何をしゃべるか。業績をしゃべったって、意味がないんですよ。まず、一番先に話すべきは、今年上半期の安全はどうだったか。みんな努力して事故がなくて、死亡事故もなくて良かったねと。あるいは、重大事故があって大変だったんだ。もっとみんな頑張ろうじゃないかという場合もあります。その次に言うのは健康です。世の中では鬱病だとか、自殺だとか、いろいろな暗いニュースがあるけれども、うちの会社の対策はどうなっているんだ。毎年ストレステストというのを行っていて、評価結果がこうで、データはこうなっています。この部門とこの部門がだめなのだ、何とかしようではないかと、はっきり言うんですね。
その次に、例えば、女性の活躍であれば、私が社長の2007年から始めたのですけれども、あと10年以内に管理職も20%近くにしようといって進めて、どこまで進んでいるか。あるいは、労働時間、今、働き方改革で世の中騒いでいるけれども、我々の会社は2008年から取り組んでいます。これだけ働き方改革で長時間残業がだめだとか同一労働、同一賃金だとか、こう一般論を幾ら言われても、現場の人は、私の法人はどうなるんだろうとみんな思うのだと思うんですね。そうしたら、うちも長時間残業しないようにするためにはトップは何を考えているのだということを皆さん知りたいわけですよ。というようなことについて、話をするんですね。我々の会社の社員ミーティングで大事にしていることは、現場が興味を持っている議題に対して、メッセージを出して、そして、そのメッセージに対していろいろ意見があるだろうから意見を聞いてもらうというのということです。
この業績が悪いから何とかしろとか、それは日常やっているので、そんな問題は最後に言うんです。話す順番がトップの優先度として、社員の鏡として映るんですね。大事なことは、安全も言わないようなトップというのは、幾ら口で安全第一だと言ったって、何か言うといつも業績しか言わない。こんなことになってしまうわけですよね。言っていることと実際の自分の行動が違う。現場へ行ったときも、「おい、おまえ、今月はちゃんと売り上げ達成したか。」といったことを質問するようなトップというのはやっぱりなかなか、今の時代うまくいかないですね。それが、一つ大きなことだと思います。
二つ目は、先ほど改善の取組事例の発表がありましたけれども、今の若い人たちはどういう行動をするかというのをうちの会社でも研究しています。今日も首藤理事から話がありましたけれども、やっぱり今の人は褒めることなんだよね。うちの会社の例で言えば、褒められないと、叱ってばっかりいるだけでは何も発言しない。褒めるといろいろ変化が起きるというんですね。だから、褒めるような活動をしないとだめで、業績ばっかり言うと、ほとんど叱るばっかりなんですよ。褒めることがほとんどないですね。
独立行政法人の場合難しいのは、何をもって褒めるのかという点で、先ほどの改善提案なんて非常に良い事例で、それはもう褒めやすいですよね。私のところの会社の事例ですけれども、その2点を参考にしていただいて、先ほど土井先生が言ったような組織のダイナミズムというんですか、組織をどうやって進めるかということも入れて、またレベルアップをするような形で良い事例ができると良いと思います。
大体よろしいでしょうか。それでは、ただいまの議論に対しての取りまとめは2月20日ですか。
【黒田管理官】 はい。
【野路委員長】 委員会において、報告させていただきたいと思います。
それでは、最後に事務局から。
【黒田管理官】 次回の委員会ですが、2月20日の15時半からこの会議室で行いたいと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
【野路委員長】 それでは、以上をもちまして第9回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。本日は、お忙しい中、ありがとうございました。
 
 

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