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第18回独立行政法人評価制度委員会 評価部会 議事録

日時

平成29年7月26日(水)15時30分から16時40分まで

場所

経済産業省 別館3階 312各省庁共用会議室

出席者

(委員)原田久部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、浜野京委員

(事務局等) 堀江官房審議官、栗原管理官他

議事

1. 平成29年度における業務・組織の見直し対象24法人の検討状況

2. 中期目標の変更について(諮問案件)

配付資料

議事録

【原田部会長代理】 それでは、定刻でございますので、第18回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開催いたします。
本日は、樫谷部会長が御欠席でございますので、私が部会長代理として司会を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題は、お手元にございますように二つございます。一つ目は平成29年度における業務・組織の見直し対象24法人の検討状況についてでございます。これまでのユニット会議での検討を踏まえ、委員間で情報共有をいたしまして、意見交換をしたいと存じます。
4月10日、前回の部会でございますけれども、樫谷部会長からは二つの発言がございました。一つ目は主務大臣について、独立行政法人のマネジメントにおきましては、主務大臣が、独立行政法人のミッションや、独立行政法人というのは何のために存在しているのかといったことを明確な目標として与えるということ。もう一つは独立行政法人側ですが、ミッションを正しく理解して、そのミッションを独立行政法人の現場の隅々まで徹底すること。この二つが重要であるということでした。
こうした認識のもと、今年の見直し法人の調査・審議におきましては、既に皆様方に御協力をいただいているユニット会議におきまして、委員から二つの観点で議論させていただきました。私どもは主務省のヒアリングをいたしましたけれども、主務省が各府省の政策体系の中で独立行政法人をどのように位置付けているのか、あるいは政策体系の中でどういう政策を実現するツールとして位置付け、活用しようとしているのか。こういったことを一つ目の観点として重点的に御議論いただき、もう一方の観点として、実際に独立行政法人の長、理事長との意見交換の中では、独立行政法人が社会・経済の情勢の変化を踏まえて、どのような役割を果たそうとしているのか。また、独立行政法人が活性化して、当初の成果を上げるために、主務省からはどのようなことを評価してほしいと考えているのか。こうしたことを投げかけていただいております。
私どもが主務省と独立行政法人をそれぞれヒアリングした際に、今申し上げた二つの観点でそれぞれ議論させていただいたところでございます。こうした事柄は、独立行政法人自体が自律的に高みを目指してマネジメントを行い、成果を上げていく、そうしたことを我々委員会としても後押ししていこう、そういう目的のもとで取り組まれていることでございます。
なお、見直し独立行政法人に係る調査・審議、これからの進め方については資料1にまとめてございますので、御参照ください。
以上、ざっとこれまでの審議・調査の経緯について、御説明を差し上げたところでございますが、本日、各委員におかれましては、主務省、独立行政法人、それぞれのヒアリング結果を踏まえて、個々の独立行政法人に対してそれぞれの業務、事務事業について個別に指摘していくというよりは、そもそも主務大臣が次期中期目標策定に向けて何を考えるべきなのか、また、どのような目標を設定すれば独立行政法人側としてやる気が出て、分かり易い目標となるのかということなど、これまでやり取りの中で浮かび上がってきた御意見をいただければと存じます。
また、個別の独立行政法人について、これは非常に良く行っているというところがあれば、そのような点について触れていただくと、我々も議論しやすくなるのかなと考えてございます。是非、そうした点も織り交ぜていただきながら、本日は各委員に御発言をいただきたいと存じます。私も一方のユニットには所属しておりますけれども、もう一方のユニットでどういったヒアリングがなされたのかについては承知しておりませんので、本日是非とも伺いたいと存じます。
それでは、どなたからでも結構でございますので、御発言をお願いしたいと存じます。いかがでございましょうか。
【高橋委員】 それでは、口火を切らせていただきます。主務省のヒアリングと、それから独立行政法人役員、理事長や理事の方々との意見交換をここまで行ってきたわけですけれども、法人の成り立ち、職員構成、規模、業務範囲の違いや、広域性とか地域性の違いなどによって、独立行政法人ごとに問題意識にかなり差があると感じております。また、今回、トップマネジメントに着目しているわけですけれども、何を行おうとしているのか、何を悩んでいるかという点で言えば、人材というところにかなり集約されていたと思います。人材に対してどういう打ち手をしていくのかも法人ごとにかなり差があり、現状の中でのやりくりが中心のところもあれば、主務省と協議もして、今後のことも考えていこうというところもございました。
先ほど独法の成り立ちの違いのお話をしましたけれども、全体的には職員が疲弊しているというお話が多く聞かれましたし、技術が必要なところでは後継者がいない問題も聞いております。独立行政法人によっては再雇用もかなり取り入れているけれども、それでも足りないということでした。人材という点では、独立行政法人のトップの方が将来の組織像についてどう考えていらっしゃるのかにも大きな差があったと思います。それぞれの独立行政法人の長の方々は現在の中期計画が終わるところまでは御自分の任期があるのですけれども、そこから先は御自分から決められないという困難性はあるのだと思うのですが、サクセッションプランとか、サスティナビリティーとか、そういう意識を持って語ってくださったり、現場の人たちを育てようとしているところもあれば、あまりそこまでには考えが至っていらっしゃらないなというところもあるように感じました。
まずは、感想を述べさせていただきました。
【原田部会長代理】 ありがとうございました。他の委員の方々、今の高橋委員と重複するところでも結構でございますので、御発言くださればと存じます。いかがでございましょうか。では、栗原委員。
【栗原委員】 厚労省、文科省、内閣府を主務省とする法人を対象に、主務省と独立行政法人にヒアリングや意見交換をさせていただきました。全体として、各法人とも非常に真摯に業務に取り組んでいらっしゃるという印象でした。ただ、それぞれの法人の理事長は、それぞれの法人の政策的な使命や意義を認識し、それが御自身のモチベーションになって、積極的に取り組んでいるとは思ったのですが、それが必ずしも外部から評価され組織全体のモチベーションにつながっているわけではないのではないかと思いました。
それから、独立行政法人の長の方には、現状だけでなくこれからの環境変化を踏まえて、5年後、あるいは10年後にどういうことを独立行政法人として行っていくかという将来像を、是非語っていただきたいですが、その点については総じて弱いなという印象がありました。ただ、これは主務省からのビジョンの提示や、そういう視点で両者が具体的にコミュニケーションをとる機会が不足していることが要因の1つだと思いました。主務省と法人間の一般的なコミュニケーションは良くとれていると感じましたが、将来像を軸にした主務省の考えや議論について不足している面があり、今後は、将来姿を描きながら、そこから逆算してみたときに足もとの中期計画にどのように落とし込んでいくのかという発想、すなわち、今から将来を延ばすのではなくて、将来から今を引く形で中期計画を考えていくことが重要ではないかと思いました。
こうした課題はあるのですが、ただ、どの理事長もそれぞれのバックグラウンドや知見、経験を十分生かして、リーダーシップを発揮しようとされていたということはとても強く感じまして、ここは大変評価しているところです。例えば、理化学研究所では、それぞれのセンターが縦割りになっている印象はあったのですが、理事長が就任直後から研究シーズをどのように次の事業化につなげていくかということについても問題意識をお持ちになっていて、それについての構想を検討する前向きな取組を行っていました。また。日本芸術文化振興会の理事長は、これまでの御経験を生かして、お客様ファーストを掲げた取組や、芸術を通じた国際交流を進めるための具体的な施策、将来の担い手などへ裾野を広げようという草の根的な経営努力を行っていらっしゃいました。是非こういった法人の長のリーダーシップが浸透して、成果として出てくることを期待するのですが、問題は出てくる成果が評価されないところです。真面目に取り組んでいる法人の努力を後押しするような評価、あるいはそれぞれの職員のモチベーションにつながるような、努力をなんらか評価する指標や成果目標の設定を、主務省は考えるべきではないかなと思います。そうすることにより、独立行政法人の長のリーダーシップ、あるいは職員のモチベーションがもう少し組織的になり、うまく回っていくのではないかと思いました。
【原田部会長代理】 ありがとうございました。では、残りのお三方、どなたからでも。浜野委員。
【浜野委員】 先ほど委員がおっしゃられましたように、理事長はかなりリーダーシップを発揮されているという印象です。経営陣も非常に御説明がわかりやすく、良いことを中心に聞いていましたが、一方で、課題というか、困ったところをもう少し聞きたかったというのが正直な感想です。経営陣の思うところが、職員の方々、中間管理職以下にどのくらい浸透しているかというところがパフォーマンスを上げる時に非常に重要だと思いますので、そういった内実の課題をもう少し掘り下げてお聞きしたかったなと思います。
それと、例えば私が話を伺いました国際観光振興機構は、成績も業績目標を達成しておられますし、主務省ともいろいろな連携もとっているのですが、グローバルな世の中では、そこの団体だけではその分野でもはや大きく勝っていくことは難しい。勝ってはいるのですけれども、もっと大きな成果を得るためには様々な分野の機関と連携することが必要になりますので、主務省や他の関係機関ともいかに連携していくかというようなところが、ここからの課題と思いました。さらに言えば、業績目標は皆様大体これぐらいだろうと、ある程度クリアできるようなものを立てているのではないかなと思うのですが、それが果たしてそのままでいいのかどうかというところは一つ疑問でございます。
こう言うと大変ですけれども、業績目標をクリアした段階で、さらにチャレンジングな事業ができるようなところが、選択と集中をしながらもっと出てくれば、様々な独立行政法人の評価が上がるのではないかと思いました。今の国際観光振興機構は頑張っておられて評価が非常に高いと思いますし、どんどん海外に展開していくような団体だと思うのですが、先ほど高橋委員がおっしゃられましたように、独立行政法人の中でも様々ございますので、いかに効率的に管理的な業務を行っていかれるかというようなところの落差は結構あるなと思いました。
【原田部会長代理】 ありがとうございました。
では、金岡委員、いかがでございましょうか。
【金岡委員】 それでは、幾つか感想ですけれども、私はこの4月から委員を拝命しており、7法人ですか、もしかするとこの中で一番たくさんヒアリングに行かせていただいたかなと思うのですけれども、まず一つ目、これは高橋委員、栗原委員、皆さんおっしゃったのですが、理事長の姿勢を拝見させていただいた。社会人という意味で言いますと、皆さん、少なくともセカンドキャリア、あるいは、サードキャリアなわけです。そういう意味で言いますと、どの程度のモチベーションを持ってその独立行政法人の運営に当たっていらっしゃるのだろうかということを最も注力して見たわけですが、もともと私が参りました7法人のうち、理事長が中央官庁出身である法人が2法人だけだったということもあるのかもしれませんけれども、この評価部会委員に対する御説明もほとんどの方が自ら行うということで、概ね積極的な姿勢があったということは今回非常に良かったなと考えております。これが一点目、感想でございます。
二点目は、先ほど高橋委員もおっしゃいましたが、業務、あるいは、ミッションが非常に多様である。従いまして、独立行政法人という名前でひとくくりになっておりますけれども、その歴史・経緯も全く違うということで、おそらく単一指標での横並びの評価というのは極めて難しいものがあるだろうと思います。思った以上に多様性があるため、一般論になりますが、定性的な評価と定量的な評価を組み合わせていく必要があるだろうと感じました。
三番目に感じましたのは、おそらく理事長をはじめ、理事の皆様の個性にもよるのだろうと思いますけれども、主務官庁の皆様と独立行政法人との距離感は、非常によくコミュニケーションをとっている独立行政法人もあれば、必ずしもそうではないと感じるところもありまして、どの程度の距離感でもって仕事をされているかというのは、一カ所当たり一時間強のヒアリングでは必ずしも判然としないところがあったということでございます。積極的なコミュニケーションをとっているとお話しの理事長もいらっしゃいました。
それから、四番目の感想でございますけれども、皆様がおっしゃいましたが、独立行政法人の成り立ちとして、非常に歴史のあるところが独立行政法人になっていることもあります。そして、また有期といいますか、後ろが限られているような独立行政法人もあるということで、印象としますと、このような独立行政法人の理事長、あるいは、理事がその中長期目標をなかなか立てられない。従って、何が起きるかといいますと、人材の採用とか育成をどう考えていけばいいのか明確に考えることができない。例えば、10年でこの独立行政法人がなくなるとすると、新しい方を採るというよりは既存の方、有期雇用で過ごそうということになりますし、一般の事業会社ですと、当然の前提としてこの企業体というのはもう永久に続くという前提で、5年でもう解散しますというような企業経営者はいないわけです。そうすると、永遠に続くという前提でもって新卒採用も行い、その会社を発展させていこうと99%の経営者はそう考えるかと思いますけれども、独立行政法人の場合は、独立行政法人によっては、将来、もしかすると5年後に別の形態になっているかもしれない、あるいは20年後に解散しているかもしれないということもあると思います。おそらく主務省との間で短中期の目標は明確に定められているのでしょうけれども、その存続については、主務省の方もなかなか明快な答えができないということで、これがどういうところに影響しているかというと、皆様から御指摘のあった人材の育成とか、その考え方に影を落としているのだろうなと感じた次第でございます。
それから、五番目に、具体的な取り組みで言いますと、例えば、二つ指摘を挙げさせていただきますと、最初に、情報処理推進機構に伺いましたけれども、ここは職員の方も多いのですが、もともと長い歴史をお持ちで、さまざまなメーカーとの連携もあるからかと思いますけれども、民間の事業者の方を巻き込んで、新たな人材育成ルームなどもつくり、出向の方、そして事業者の方から一年間、二年間うまく来ていただいて、広くセキュリティ人材の育成につなげていこうとしており、そういう意味では独立行政法人の中にクローズした形だけではなくて人材育成につなげるという取り組みを行っていらっしゃいます。
もう一つ挙げさせていただきますと、農業者年金基金ですか、ここは私が一人で行ってまいりましたけれども、主務省からの要請ではないようなことをおっしゃっていましたが、2,000ページに及ぶ詳細なマニュアルを作り、しかもリンクを張って、どんどん飛んでいけるような形のマニュアルとして市町村窓口に配り、これが非常に大きな業務の改革につながっているというようなお話がございました。全てとは言いませんけれども、おそらくその組織なりのミッション、また、御自身たちの業務の改革という面では進めていただいている独立行政法人の例もあるのだろうなと思います。
最後の感想、六点目になりますけれども、今後評価をどう行っていくかということについてですが、皆さん、本当に真面目に業務に取り組んでいらっしゃるなと感じました。ただ、独立行政法人は税金を投入して、税金でオペレーションしているところがほとんどでございますので、そうしますと単独ではなくて、民間の同様な事業者とのベンチマーク、人件費とか、そういうものの定量的な比較を踏まえた上で、最終評価をしていく必要もあるのだろうなという印象でございます。七つの法人を回らせていただきましたけれども、私が当初想定していたよりはかなり真面目に、淡々と業務をこなしていらっしゃるなという印象でございました。
以上です。
【原田部会長代理】 ありがとうございました。
それでは、天野委員、最後に。
【天野委員】 私も幾つか回らせていただきましたが、第1ユニット、第2ユニットというくくりではなくて、私は国土交通省系を三つ、文部科学省系を四つというくくりで回らせていただきました。主として国土交通省と文部科学省ということで、色が分かれた主務省の独立行政法人を見せていただいて非常に感じたのは、実務部隊を持っている省庁、この場合は国土交通省ですけれども、こういった省庁の中の独立行政法人は、一番初めに、独立行政法人は主務省の子会社的位置づけだというお話を伺ったのですが、その色合いは明確にされているなと感じました。
文部科学省はある意味実務とはちょっと違うところにある省庁なので、文部科学省の方が省庁と独立行政法人との連携やその位置付け、また中長期の目標付けというのは、ある意味若干難しいのかなという印象は持っています。ただ、文部科学省の中でもJAXAのように、いろいろな国の法律的な立ち位置を非常に明確に意識されているような、そういう位置付けはわりあいと行いやすいのだろうとは思ったのですが、成果の社会実装についてはどうか。子会社である、実務部隊であるということであれば、成果をいかに社会に反映させるかになりますけれども、そこについては若干甘さがあるのかなと感じました。これはJAXAだけではありません。主務省である文部科学省の立ち位置にもわりあい関係してくるのかなという気はしています。ただ、皆さんおっしゃっているように、非常に一生懸命行っているということは良く分かりました。
文部科学省はもともと研究というところがあるので、最近は研究開発成果の社会実装ということが声高に言われるようになりましたけれども、これは今までの流れの中で、国土交通省と比べて、色合いでは若干薄くなってしまうというのはしようがないところなのかなと思いましたが、これからはそれぞれの主務省、独立行政法人の自己評価の中で中長期に向けてどういうアドバイスをしていくかということは非常に重要な位置付けになるのかなと感じています。
各理事長のお話を伺いますと、皆さんやる気十分、その独立行政法人をいかにリードしていこうかと一生懸命お考えになっていることは非常によく分わかりました。ただ、理事長によっては若干マネジメントの仕方が定性的なイメージで、昔はよくありましたけれども、「俺についてこい」ぐらいの感じで、実際にどう行うのかというところは薄いかなという理事長も若干いらっしゃいました。そのような法人では、理事の方々が結構しっかりと、理事長の思いを何とか反映させようと頑張っていらっしゃることが多いようにお見受けしました。中でも国土交通省の水資源機構が、災害が多発しているというところでもあるのですが、法律改正までして、従来の業務範囲をどんどん超えて行っていこうという機運を非常に強く感じ、これからもどんどんそういうことを推し進めていっていただけるのだろうなと感じました。防災を行っている人間ということもありますが、期待を持って拝見しました。
あと全体的に心配になったのは、どちらかというと文部科学省系かなという気はしているのですが、今の日本はサイバーセキュリティとか、情報管理というのが非常に言われているのですが、国土交通省の中でも全部が良いというわけではなくて、若干大丈夫かなと思うところもありました。情報管理に関して、独立行政法人ももうちょっと意識を持って対応されても良いのではないかという気はしています。ただ、二時間くらいのヒアリングの中なので、十分にお話を聞けなかったところもありますが、その辺は今後注意して見ていく必要があるのかなと感じました。
【原田部会長代理】 ありがとうございました。
それでは、私から意見、感想を申し上げて、少し皆さん方から出た議論を相互に議論したいと存じます。主務省のヒアリングにはお邪魔できませんでしたが、私も五つ、六つ、各独立行政法人のヒアリングに参加することができました。私といたしましては三つぐらいの観点でディスカッションをしたつもりであります。
一つ目は、先ほど天野委員がおっしゃった立ち位置や、金岡委員がおっしゃった距離感みたいなところと関わるのかなと思うのですが、法人と主務省の関係が一体どんな関係なのかなのかということが非常に気になりました。一体どういうメッセージを主務省のほうが出し、例えば、それをどのように法人が受けとっているのかという点で幾つかのパターンがあるのかなということで、関心を持って聞いたところです。
二つ目は今の話とも関連するのですけれども、政策の体系の中でどんなふうにこの法人が位置付けられているという認識をそれぞれの法人が持っているのかなというところでありました。政策実施のツールとして、主務省のミッションを受けてこういうことを実現するためにこの組織があるのだという意識が、それぞれ一体どれくらいおありになるのかなというところです。
それと三つ目は、これは多くの委員の方々がおっしゃっていた、理事長のリーダーシップがどれぐらい各独立行政法人で浸透しているのかというところに関心がございました。
最後の三つ目のところが、印象としては皆さんと共通しているのでありますが、理事長がそれぞれの個性もございますけれども、かなりリーダーシップを発揮しているなという感触は、全ての独立行政法人で見受けられたかなという気がいたします。おそらくそれは、金岡委員が少しおっしゃいましたけれども、セカンドキャリアでいらっしゃって、明確にこれを行う、こういうつもりでいるのだというところが、着任当初からはっきりしていることが大きく影響しているのかなという気がいたします。
ただ、なかにはそれが、実際に政策体系の中で我々の役割はこうであるとか、将来、5年後、社会・経済の変化がこうなのだから、我々はこういうことを期待されているのだと理解しているというよりは、今ある困った課題を処理していくのが私の務めだと言いますか、非常に手前の業務を前提にしながら自分自身でミッションを確定あるいは、限定しているような、そういう独立行政法人もあったかなという気がしています。
ですから、各法人と主務省との関係を構築するに当たっては、どういう政策体系の中でこの独立行政法人が位置付けられているのか、また、先ほど栗原委員が将来の話を少しお話しなさいましたけれども、5年後、あるいは、もうちょっと先も含めて、その独立行政法人がどういうふうに向かっていこうとしているのかを相互で了解しているのかしらというのが気になったところです。
雑駁ではございますが、私はその三つぐらいの観点で議論させていただきました。概ね各法人ともやり取りについては積極的に対応してくださったかなという気がしております。私といたしましては、全般的な感想としては天野委員のような、例えば、役所ごとにどのようなカラーがあるのかというのも関心を持って聞いたところでありますが、やはりそれぞれの独立行政法人の内部でも抱えている業務の歴史的な経緯と言いますか、結果的に特定の業務を引き受けることになったというような場合には業務ごとに主務省と独立行政法人との関係が違うこともあり得るのだなということも学んだところでございます。そのあたりは高橋委員がおっしゃる歴史的なところがかなり大きく影響しているのかなという気がいたしました。
これで私を含めて、各委員の方々からの意見を頂戴したわけですけれども、もう少し時間がございますので、特にユニットが違う場合にはもう少し聞いてみたいというところもおありかもしれません。引き続き議論をお願いしたいと存じます。いかがでございましょうか。
では、栗原委員。
【栗原委員】 全般的な感想をもう一つ追加したいのですけれども、かつ、これまでのご発言で必ずしも出てこなかったので、どう思われたかお聞きできればと思うのですが、私も10法人ヒアリングしまして、規模も違いますし、成り立ちも違うのですけれども、概して研究開発とか、ある事業を振興・助成するという事業を行っていらっしゃるところが多くありました。そこでは、その活動によりどういう成果が上がったのか、研究開発の後の成果や振興・助成した後の成果が大変見えにくい事業を行っている独立行政法人が多かったのです。
独立行政法人の活動はいろいろな形で政策評価、成果評価を受けているのですが、それに加えて、自分たちの活動をどう社会や関係者に見せていくかという点が必ずしも十分ではなく、自分たちの活動をもっとアピールしても良いし、もっと社会に知られたらいろいろな連携や社会還元ができるだろうと感じ、もったいなく思いましたので、その辺も組織目標や主務省の評価指標にしていただくと、おそらく官民連携や社会還元がさらに進むのではないかと思います。官民連携は各独立行政法人にとっての大きな課題だと思いますので、各法人の活動の認知度を上げ、今知っている人が知っていれば良いとするのではなく、社会にもっと知ってもらうべき人がいるのではないかという意識を持って、認知度向上に取り組んでいただくことが、各法人の課題かと思います。
【天野委員】 それに関してはそのとおりだと思います。特に、さっき言った文部科学省系の研究中心のところは、今まで研究して、これだけお金を使いましたとか、こういう論文を書きましたというようなところが多かった気がしますし、栗原委員が官民連携とおっしゃったのですが、府省連携も必要ではないかと非常に感じていまして、最近は府省連携で、医科系で、経済産業省と文部科学省と厚生労働省が一緒になっていろいろ戦略を練るとか、いろいろ始まっているとは思うのですが、まだまだもったいない成果が埋もれているような感じがするのです。特に、文部科学省だけというわけではないのですが、研究中心で行っているようなところの成果を他府省に有効活用していただいて、それが花開くというような話は非常に多いのではないかと感じました。
実は私、今、主務を防災科学技術研究所で行っているのですが、防災科学技術研究所は災害対応で今まで研究中心だったのを、とにかく日本がこれだけ災害が多いところで役に立てるようにしろということで、お手伝いに行ったわけですけれども、最近は福岡にしても熊本にしても、緊急対策本部の真ん中に防災科学技術研究所がいて情報共有するなんていうことが普通に行われるようになってきているのです。これは、ある意味、意識改革だけなんです。研究者の方が研究で終わるのではなくて、その成果をいかに社会で役に立てるかみたいなところを方向付けることで、もともと皆さん優秀で非常に成果をお持ちの方たちなので、幾らでも花開く機会が増えてくるのだと思います。この独立行政法人の成果にしても、今、栗原委員がおっしゃったように他省庁で、官民ですぐに花開くところがあると思うのですが、府省連携、官官で行っていただけると非常に良いところもたくさんあるのではないかと思っています。
【原田部会長代理】 ありがとうございました。高橋委員。
【高橋委員】 私も関連して申し上げたいと思います。先ほど自分の担当を申し上げなかったのですけれども、現在は消費者庁、農林水産省、国土交通省、経済産業省、一部法務省関係を担当しています。昨年度まで文部科学省を担当しておりましたので、文部科学省についておっしゃっていることは非常に共感するところが多くございました。今まで5法人を訪問していて、まだこれから先4つ行く予定なので、まだ各省別にどうこうというところまでは言えないのですけれども、今の天野委員のお話からしますと、官官もそうなのですが、まさに独独連携というのも必要だなと感じました。文部科学省の防災科学研究所さん、私は前に行きましたけれども、そこと水資源機構はもっと直接に連携してもいいのではないか、官を通さなくてもできるのでしょう。創意工夫が今後期待されるところだと感じております。
総じて本当に一生懸命行っていらっしゃるのですけれども、まだ開かれた組織ではない独立行政法人が非常に多いと感じました。説明を受けて、そうだったのですかということが非常に多く、自ら情報発信をそれほど行っていらっしゃらないということも感じました。広報部がなかったりすると、どこで広報を行っているか、質問もしているのですけれども、情報発信による国民への説明責任は非常に重要だと思います。我々が評価するだけではなくて、国民から評価されるということをもっと意識していただくことが必要ではないかと思いました。
情報収集という点でもかなり閉じられていると思いました。農業系の独立行政法人などでは、世の中の空気をもう少し読んでいただきたいと感じたところでございました。主務省から言われるからではなく、今、世の中でどういうことが求められているのか、例えば、日本再興戦略改め未来投資戦略2017になった中で、あなたの組織は将来ビジョンとしてこういうことが期待されているみたいですけれどもどうですかというふうな質問に対して、なかなか答えが返ってこない。本当に未来投資戦略を読んだのかと思ってしまうような場面もあったりして、世の中の空気の読み方、未来志向というところが、今後、独立行政法人が世の中から評価され、我々独立行政法人評価制度委員会からも評価されるという上では非常に重要と思いました。
もう一点、リーダーシップ、それから、独立行政法人と主務省の関係というお話がありましたけれども、この辺が非常にうまくいっているなと訪問して感じたのは、日本司法支援センターでした。理事長が自ら主務省に出向いて、一緒に食事しながらミーティングもしていらっしゃいますし、内部でも非常に良い形でのコミュニケーションをとっていらっしゃると感じました。全国に拠点があるので、現場にも行って足繁く、現場把握力もすごいなと思いました。独立行政法人によってはここのところは、監事が非常によく歩いてくれていますというところも幾つか伺ったのですけれども、そうであれば監事ともお話がしたかったと、今回の訪問で感じたところであります。お伺いした独立行政法人で、幹事がよく回っていますというところは常勤の監事が二人とか、三人とかいらっしゃったですけれども、非常勤監事のみの独立行政法人にも。これから伺います。その場合はどのように現場を把握しているのか、今後注意深く見ていく必要があると思いました。
もう一つ、意外にリスク認識が乏しいというのも幾つかの独立行政法人で感じられました。リスク管理を行っていますという話はするのですけれども、例えば、政策実施が主な機関であっても、不正リスク、先ほど情報の話がありましたが、入札での不正とか、お金を渡した先のところまできちんと見ているかとか、そういうことに対してあまり気を遣っていないというか、気配りが足りないのではないかという感じもいたしましたので、この辺もよく見ていきたいなと思っています。
【原田部会長代理】 お三方のお話を伺っていて思いましたけれども、共通するところがあるのではないかという気がします。独立行政法人というのは、我々、特に今年度は主務省との関係に注目しているのでありますが、独立行政法人を取り巻く環境では、要するに独立行政法人と一緒に仕事をしていくアクターというのは、別に主務省だけではなくて、民間だったり、ほかの独立行政法人だったり、他の省庁だったり、そういったところがあるのかなと。ですから、どうしても独立行政法人という制度からすると、主務省との関係だけを取り上げればそれで済むのかなと思いがちでありますけれども、先ほどの最終的に社会実装したものをPRするとかいうのは、これは対民間というか市民というか、そういう関係も当然あり得るのかなと思います。ですから、主務省との関係でミッションを明確に理解する、そして設定した目標を達成する、決してそれだけで良いわけではないんだというところはあるのかなという気がいたします。
あそことも連携しろなど、我々の要求もだんだん高くなっており、独立行政法人の側からすると、目標を達成するだけで大変で、それ以上のことは難しいという反応があるかも知れませんが、独立行政法人は主務省に抱えられて存在しているわけではなくて、自律的に活動しながら、対社会的にも、対他の独立行政法人的にも、当然いろいろな関係があり得るのであって、そういう多角的な関係の中で自分たちの独立行政法人が置かれているところを考えていくということは、すぐさま一気にあれこれはできないかもしれないけれども、大事なところという気がいたしました。
我々としては、主務省が独立行政法人に対して明確なミッションを伝えていないのではないかとか、あるいは、例えば、ミッションを伝えることを抑制していたりするため、独立行政法人としても、政策体系の位置づけがないままどうやって活動したら良いのか迷っているのでないかとか、両者の関係だけを見てきたのでありますが、もう少しプラスアルファの部分も見ていく必要があると、お三方の話を聞いていて思ったところです。
【浜野委員】 今ご意見が出たのですけれども、独立行政法人として、税金を使ってどのような目的でどのような活動をしているか、適正に予算執行しているか、などの説明責任をきちんと果たし、さらに国民の皆様にうまく活用していただくために十分に情報発信、広報できているかということも拝見いたしました。現在、独立行政法人で十分な広報予算を持ち、専門人員を抱えているところは少ないと思いますが、主務省とも連携してこの点は今一つ改善の余地があると思いました。限られた資源ではありますが、どのように上手く情報発信していくか、広報していくかを議論し、強化していただければと思います。特に、国際的な業務に携わっている独立行政法人に置かれては、海外の貴重な情報や活動を国内に伝え、海外には我が国を代表しているという意識をもって外国人にもわかりやすく広報していただきたいと思います。どのように発信、広報していくのか、そしてそれがどのように的確に伝わっているのかという視点でも情報発信していただきたいと思います。国際観光機構では、デービッドアトキンソンさんのような有識者を顧問として置かれてたり、国土交通省、経済産業省、ジェトロと4者協議もやっておられ、工夫されていると思いました。
【原田部会長代理】 ありがとうございました。
【金岡委員】 皆様二回ずつ発言されましたので、私自身はまだIT事業会社の会長ということで、先ほどあえて申し上げなかったことを申し上げますと、どこの独立行政法人の皆様もICT抜きに行えないのが実態なんです。例えば、農業者年金基金とか、農林漁業信用基金もそうです。であるにもかかわらず、私の印象とすると、ほとんどの独立行政法人で理事長、あるいは、理事の皆様、出てこられた方々で、残念ながらICTにお詳しいというイメージを受ける方はいらっしゃらなかった。実はこれは大変大きな問題だと思います。
先ほど浜野委員もおっしゃいましたけれども、新しいことを行おうとすると業務の効率化を図っていかなくてはいけない。そうしますと、ICTの力を使うというのが今後必須なわけですけれども、それに対する思いというのは、少なくとも私がヒアリングさせていただいた中では具体的なお話は出てこなかった。おそらくこれは霞が関全体の話なのかもしれませんけれども、今、主務省にCIOという方がいらっしゃるとするならば、その主務省のCIOが独立行政法人の大きな情報システムに関しても目配りをするということが、今後、極めて大切になってくるのではないでしょうか。何となく直接に話にならなかったせいもあるかもしれませんけれども、皆様これまでのやり方でお任せの印象を受けてしまいました。
それから、皆様のお話にありましたとおり、確かに一般の事業会社で言うIR、インベスター・リレーションズの意識は極めて乏しいものがございます。なぜIRが盛んになったかと言いますと、株主資本主義がだんだん浸透してきて、株主のほうを向いていない、そこに情報公開をしていかないと適切な株価形成もされない。従って、企業価値が上がらないということで、各事業会社の皆様、上場会社中心にIRに相当力を入れてこられた。それが会社の価値向上に直結するという認識がここ二十年ほど高まったからだと思います。おそらく各独立行政法人の皆様にその意識が乏しいとするならば、そういうプレッシャーがないわけです。税金その他、予算で活動費が賄われていますので、そこまで主務省並びに国民の皆様に説明責任があるというような意識そのものが、残念ながら乏しいのではないかと思います。ただ、普通の民間会社も二十年前はそれほどIRということは言われなかったわけですので、今後、評価項目なりにこれを入れ込んでいただければ、おそらく解決してくる問題なのかなということで言いますと、ICTに関する意識、IRの意識はかなり低いなと思います。
それから、これはどなたかおっしゃいましたように、理事長が今のお仕事に積極的ですけれども、皆さん、枠をはめていらっしゃるところも確かにございます。
例えば、今度またこんなことを頼まれそうなのだけれども、かといって予算が来るわけでもないし、人員を補強してもらえるわけでもない、限られた中でどのように行けばよいのかと、ある理事長がおっしゃっていました。従って、限られたリソースの中で何かを最大化しようとする際に、今の仕組みですと、積極的に何かを引き受けてというところのインセンティブが働かない可能性があります。皆様おっしゃったとおり、国民生活、あるいは、独立行政法人が行っていることが非常に意味のあることであれば、むしろそれを後押しするようなインセンティブをつけてあげないと、新しいことにチャレンジする力はだんだん弱まってくる可能性があるのではないかと思います。
以上です。
【原田部会長代理】 ありがとうございました。
セキュリティの話については、私どものユニットでも議論になったところでございます。お二方もいつも各法人に御質問なさっていたところですが、独立行政法人によってはその一歩手前といいますか、レガシーシステムを使っていて、それをどうやってお金をかけてクリアするのかに苦労しているところもありまして、なかなか次のステップに行かないのではないかという心配をしているわけです。ですが、独立行政法人が置かれた状況はまちまちでありますけれども、この時代、組織として成り立っていくためには、そういうセキュリティをきちんと行わないといけないというところは真剣に考えるべき時期に来ていると、今の委員の話を伺いながら思ったところです。
大体一時間ほど既に御議論を賜ったところでございますが、本日の議論といたしましては、各ユニットで主務省のヒアリング、そして、各独立行政法人のヒアリングをそれぞれお願いしたいということについて、この場で、委員間で情報共有するということが今回のゴールでございました。今後は、今日の議論を踏まえて、年末、年度末に向けた、実際に我々としての考え方を取りまとめていく作業に入るのだと承知しております。ありがとうございました。
今日の議論で、各独立行政法人におかれましては、これから主務省と是非いろいろな議論を引き続きなさるはずでございます。私どもといたしましてもさらに議論を詰めてまいりたいと思います。また、特に、今回は特定の法人について、24法人全てというわけではございませんでしたので、言及がないところもありましたけれども、今後の見直しに当たりましては、法人の強みとか存在意義がどこにあるのかということとか、あるいは、独立行政法人の政策手段としての機能を最大化してもらう、そうしたことをまずはしっかり考えてもらう。先ほど理事長は皆かなりやる気がおありだということがありましたけれども、それをきちんと浸透させていくこと。浸透させていきながらも、現場のやる気を引き出していくということについて、お考えいただく必要があるのかなと思っております。
以上が議題1でございました。
それでは、もう一件、本日は議題がございます。中期目標の変更についてでございます。中期目標の変更案件が二件ほどございますので、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【石川管理官】 管理官の石川でございます。私から消費者庁の所管法人であります独立行政法人国民生活センターの中期目標の変更案について御説明をいたします。お手元の資料2-1をごらんください。
国民生活センターは消費者行政における中核的な実施機関でございまして、大きく三つの機能、すなわち、消費者被害の予防と救済のために、行政機関や事業者団体等への要望や情報提供を行うこと、また、全国にあります消費生活センター等に対する支援、地方への支援、さらには消費者に対する注意喚起、こういった機能を担う法人でございます。
今般の中期目標変更の背景としましては、消費者の財産的な被害について集団的な回復を図る制度の必要性が高まってきたということがございます。以前は、消費者が事業者との間で消費契約に関する被害を受けましても、両者の間には情報量や交渉力等の構造的格差があることから、訴訟による被害回復が実際には困難でございまして、文字どおり消費者が「泣き寝入り」するケースが多く存在しておりました。また、悪質な事業者の場合には、損害賠償等の前に財産を散逸したり、隠匿したりするような事案も発生していたということでございます。
こういったことから制度改正がされまして、平成18年に消費者契約法が改正され、消費者庁によって適格消費者団体に認定された団体が、被害者たる消費者に代わって集団的に差止請求を行う制度が創設されました。また、そういった差止請求だけでは実際に財産的な被害をこうむった消費者の救済が不十分であることから、財産的な被害を回復できるようにするために、平成25年に、略称ですけれども「消費者裁判手続特例法」が制定されたという経緯がございます。
こうしたことによりまして、適格消費者団体の中から認定される特定適格消費者団体が、集団的な財産的被害の回復のために訴訟をすることができるようになりまして、さらに必要に応じて裁判所に対して、事業者の財産を保全するため、仮差押命令の申立ても行うことができることとなりました。一方、仮差押えが違法であった場合には、その事業者に対して損害を賠償することが必要になりますので、仮差押命令の申立てを行った場合には、裁判所から賠償に充てる金額の担保を立てるように命令されることになります。多数の消費者の債権を束ねた場合など、請求する損害賠償額が高額となった場合には、立担保、担保を立てるのに必要な金額も高額となります。
しかしながら、適格消費者団体のほとんどはNPO法人でございまして、財産規模が小さい団体が多いのが実態となっております。多数の消費者が被害に遭っている事案であればあるほど、その法人が資力的に高額な担保を立てることが困難となるおそれがあります。
こうしたことから、消費者裁判手続特例法で規定された簡易確定手続制度を活用して、財産の散逸・隠匿のおそれがある悪質事業者からも被害の回復ができるようにするためには、その特定適格消費者団体に対する支援措置が必要となったということでございまして、これに対応するために、先の通常国会において、本年5月に国民生活センター法等の改正が行われました。その改正法は本年10月に施行予定でございます。その法律改正によりまして、特定適格消費者団体から要請があった場合には、国民生活センターが当該団体に代わって担保を立てることができるように、国民生活センターの業務が追加されたということでございます。
また、国民生活センターは、担保を立てるに当たりまして、金融機関から資金を調達することになりましたことから、資金調達の手段として長期借入金に関する規定もあわせて新設されたということでございます。
こういったことを背景として、今般の中期目標改正は、先ほど申し上げた国民生活センター法改正に伴って実施されるものでございまして、資料2-1にありますように、この法律によって追加された業務が円滑かつ効率的に実施されるために、特に重要と考えられる三つのミッションについて目標を設定するという内容でございます。
大きく三点ありますが、特定適格消費者団体等と事前相談による情報共有等によって連携を図りながら協力するように努めるということが一点目。特定適格消費者団体からセンターへ担保を立てる要請があって、有識者による審査を経てセンターが担保を立てる決定をした事案については、裁判所が命じた期限までに担保を立てることというのが二点目。三点目は、担保を立てた事案について、その後の裁判手続の経過と権利義務関係を把握し、適切な管理、求償を実施するということ。以上の3点を中期目標に記載するという案でございます。
事務局といたしましては、これらの変更内容につきまして、目標策定指針に照らして確認を行った上で、特段問題のない目標変更と考えております。
国民生活センターの中期目標の変更案についての説明は以上でございます。
【原田部会長代理】 では、続いて日本学生支援機構について。
【加藤管理官】 事務局の担当管理官の加藤と申します。よろしくお願い申し上げます。私のほうからは、独立行政法人日本学生支援機構の中期目標の変更案についてご説明申し上げます。資料2-2をごらんください。
ご案内のとおり、日本学生支援機構では、従来から貸与型の奨学金を事業として行ってきておるところでございますけれども、本年度からこれに加えまして、給付型奨学金制度が創設されまして、事業を行っているところでございます。これにつきまして背景、必要性について若干ご説明させていただきますと、昨年6月に閣議決定されましたニッポン一億総活躍プラン、あるいは昨年8月に閣議決定されました未来への投資を実現する経済対策、こういった中で、給付型奨学金制度の創設につきまして検討が求められていたところでございます。
これを受けまして、独立行政法人日本学生支援機構法が改正されまして、給付型奨学金制度が創設され、本年4月1日から施行されたところでございます。この改正の中身でございますけれども、意欲と能力があるにもかかわらず、経済的理由により高等教育機関への進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするために追加されたものでございます。その具体的な内容としては三点、簡単に申し上げますと、一点目として特にすぐれた学生であって、経済的に極めて就学に困難があると認定された者に対して、学資支給金を支給する。それから、学資の支給に係る業務に要する費用に充てるために、学資支給基金を設けまして、区分経理を実施する。そして三点目として、学生等の学業が著しく不良となった等の場合には、学資支給基金を返還させることができる規定。こういった項目三点を改正内容とします日本学生支援機構法の改正がなされたところでございます。
なお、御参考でございますけれども、具体的に本年度につきましては、特に経済的に厳しい者を対象といたしまして、先行実施ということで約2,800人を対象として実施されております。本格実施は来年度、平成30年度からでございまして、1学年当たり約2万人の対象が見込まれているということでございます。
今申し上げました法改正を受けまして、今回の中期目標の変更案につきましては、給付型奨学金事業の実施について追加するというものでございます。具体的には、意欲と能力がありながら、経済的理由により進学等を断念せざるを得ない者の進学を後押しするため、平成29年度から給付型奨学金事業を開始しまして、給付奨学生の募集、選考、学資の支給等に係る体制を構築し、事業を適切かつ確実に実施する。また、制度を安定的に運用し、学生等への支援を確実に実施するため、学資支給基金を造成するとともに区分経理を行い、適切に管理するというものでございます。
事務局といたしましては、この中期目標の変更案については適切なものであると考えてございます。
以上です。
【原田部会長代理】 ありがとうございました。2法人の目標変更案でございます。事務局から今説明がございましたけれども、皆様方から御意見、御質問はございますでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、本件は案のとおりということでお認めしたいと存じます。その結果によりまして、評価部会の議決をもって委員会の意見ということでございますので、案のとおり了承させていただきます。今後の事務処理につきましては、私に御一任を頂戴したいと存じます。
本日御用意いたしました議題は二件でございました。次回の部会の日程について事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【栗原管理官】 次回の評価部会につきましては、日程が決まり次第、事務局から御連絡させていただきます。
以上でございます。
【原田部会長代理】 それでは、以上をもちまして独立行政法人評価制度委員会評価部会を終了いたします。本日は、御多用の中、御出席を賜りましてまことにありがとうございました。
 

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