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第12回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

平成29年10月16日(月)13時28分から14時46分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第一特別会議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、天野玲子委員、梶川融委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、中村豊明委員、浜野京委員

(事務局等)堀江官房審議官、栗原管理官他

議事

  1. 平成29 年度に中(長)期目標期間が終了する24 法人に係る見込評価及び業務・組織の見直しに係る検討状況について
  2. 平成28 年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の点検状況について
  3. 「独立行政法人の財務報告に関する基本的な指針」について
  4. その他
配付資料

議事録

【野路委員長】 それでは定刻となりましたので、ただ今から第12回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。
それでは、まず議題1について、検討経緯と本委員会の議論、審議の位置付けについて、事務局から説明をお願いいたします。
【栗原管理官】 それでは議題1につきまして、まず検討経緯の御報告をさせていただきます。
7月26日の評価部会と、主務省ヒアリング、それからその時点での法人の長との意見交換の状況などを踏まえまして、主務省が次期中長期目標策定に向けて何を考えるべきか、それから、どのような目標を設定すれば分かりやすい目標となるのかなどといった点につきまして、御議論いただいたところでございます。その後、8月末に主務省から、平成29年度に中長期目標期間が終了する24法人に係る見込評価と、業務・組織の見直しが提出されました。これを踏まえまして、10月2日、それから11日の各ユニット会議などで御議論いただいたところでございます。本日は、ユニット会議の検討状況などを御報告いただいた後に調査審議をさせていただきたいと思います。
続きまして、配付資料の御説明に移りたいと思います。「委員会の今後の調査審議について」という資料御確認ください。
それでは、調査審議に先立ちまして、まず事務局から、独立行政法人評価制度における委員会の役割と今後の調査審議について、改めて確認的に御説明させていただきたいと思います。
御案内のように、平成27年4月から始まりました新制度でございますが、その眼目につきましては、主務大臣が目標策定から、評価、見直しを一貫して担うというスキームとしたところでございます。すなわち、主務大臣の責任の下、法人のミッションを明確にして、政策実施機能を最大限発揮させるためのPDCAサイクルを回すというのが新制度の眼目でございます。翻って、当委員会の役目は、主務大臣によるPDCAサイクルが的確に機能しているかを点検することでございます。現在、主務大臣がPDCAサイクルを回した結果、Cの見込評価と、それを踏まえたAの業務・組織の見直しにつきまして、8月末に当委員会に提出いただいたところであり、これらの見込評価と、業務・組織の見直しについてそれぞれ点検するのが、当委員会の任務でございます。その際の視点なり着眼点といったものの例を資料の下の欄で示しております。
なお、点検結果、評価結果につきましては、当然、業務・組織の見直しのみならず、新目標の策定等に活用されるというのは御留意いただければと思います。
まず、見込評価の点検の視点については、1.評定の根拠・理由、改善策が明確に示されているか。2.(今後の)目標、評価指標の設定に工夫の余地はないかというのが見込評価の点検の視点の例、着眼点かと思います。
2番目の業務・組織の見直しの点検の視点でございますが、評価結果や社会経済情勢等の変化との関係が明確に示され、的確に反映したものとなっているかどうか、これが業務・組織の見直しの点検の視点なり、着眼点の例だと考えているところでございます。これらについての点検、すなわち、本日の調査審議などを経まして、12月4日に開催される予定の当委員会におきまして、必要があれば、次期中長期目標策定に当たって留意すべき事項ということで、当委員会としては意見を述べることとしております。当然その際、主務大臣の下でPDCAサイクルを機能させまして、制度改革の趣旨を全うするためには、起点となるP、つまり新目標の策定が重要であるというのは、御承知のとおりかと思います。
その際、新目標の点検の視点としてまとめましたのが、3番目の水色の枠でございます。まず4では、国の政策実現のため、法人に付与するミッションや求める成果(どのような成果が評価されるのか)について、具体的かつ明確に示すものとなっているかどうか。それから5で、法人の長のリーダーシップのもと、法人職員に法人のミッション等を浸透させ、法人のチャレンジを促すような取組を高く評価できるような目標・評価指標設定となっているかどうか。これは特に、主務大臣は実施を直接担わないため、特に重要な観点だと思っております。また、こうした観点につきましては、御案内のように、本年2月の「今後の独立行政法人評価について」というところで盛り込んだとおり、当委員会の取組として活性化事例といったもので把握などもあわせて行っていくこととしております。
本日は、見込評価、それから業務・組織の見直し、ひいては新目標策定に当たって留意すべき事項について、是非きたんのない御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、各ユニットから議論、審議の状況について報告を願います。
では、第1ユニットについて、樫谷評価部会長からお願いいたします。
【樫谷委員】 樫谷でございます。
第1ユニットを中心に御報告したいと思いますが、全体的な状況としましては、24法人について、5月、6月、7月、8月と主務省ヒアリングでは各府省と、それから、各独立行政法人を視察いたしまして、その際に、理事長を含めていろいろな議論ができたことを大変よかったと思っております。ユニットの先生方も一緒に行っていただきまして、いろいろな議論をしていただきました。ありがとうございました。
それでは、まず、第1ユニットの議論の状況でございます。最初に、消費者庁が所管しております国民生活センターについて御報告します。本法人につきましては、主務省は、消費者基本計画を踏まえまして、国の政策課題と国民生活センターの事務及び事業との位置付けを明確にしつつ中期目標を策定する方針としておりますが、これを具体的にどのように実施するのか。例えば、高齢者や障害者等の被害防止というのを消費者基本計画でも課題に挙げておりますけれども、国民生活センターとして今まで以上に早期に対処するなどさらなる取組ができないか、これを次期中期目標で明確にできないかなどを主務省と議論するべきと考えております。
また、国民生活センターが徳島で行う業務につきまして、主務省が徳島での各種事業の検証を行うまでの3年間にセンターが生み出す成果や達成水準などをどのように考え、次期中長期目標の中で具体化できないか。さらには、徳島でも研修業務を実施することによって、相模原の研修施設の活用促進との整合性は図られるのか。これらを含めまして、国民生活センターが徳島で行う業務につきまして、より深く主務省と議論する必要があると考えております。
次は、経済産業省所管の法人であります。まず、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)につきましては、技術開発プロジェクトの成果の社会実装などで、国の政策の下でのNEDOの意義や役割をより一層具体化・明確化し、次期中期目標へどのように反映するかという議論が必要ではないかと考えております。
また、技術開発プロジェクトを推進するNEDOの機能を強化するために、技術戦略研究センターの強化、外部人材の登用などによるプロジェクトマネジメントの高度化、他の研究開発法人などとの連携強化が期待されております。それらの具体的な取組や目標設定のあり方につきまして、主務省と議論する必要があると考えております。
それから、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)につきましては、石油、天然ガス、金属、石炭、地熱、備蓄、鉱害防止といった幅広い業務について、主務省としてJOGMECの政策上の役割の範囲や具体的な取組をどのように考えるのか、次期中期目標においてJOGMECが目指す成果や達成水準をどのように考えるのかを、主務省と議論すべきであると考えております。
また、例えば、石油・天然ガス資源の開発支援業務につきましては、近年は産油国などのニーズに応じまして、いわゆるパッケージでの技術提案を行うという必要性が増えていると聞いておりますので、他の法人との連携強化がますます必要になってくると思います。それを含めまして、具体的な取組や目標設定のあり方などにつきまして、主務省との議論が必要と考えております。
それから、農林水産省所管の法人でございます。まず、農林漁業信用基金につきましては、農業融資の活性化に向けて、信用補完機能の役割がさらに重要になってきておりまして、農林漁業の成長産業化に向けて、担い手の経営発展に必要な資金の円滑な融通を図ることが政策的に求められている状況であります。
本法人のミッションとしましては、信用保険業務などを通じまして、農林漁業者の信用力を補完し、農林漁業経営に必要な資金の融通を円滑にし、もって農林漁業の健全な発展に資するということであります。今回の見直し内容においては、農林信用保険業務において、信用保証保険制度が幅広く利用可能となるような環境の整備を図る必要があると思っており、民間の金融機関であります銀行等への利用促進に向けた取組を推進するという点が大きなポイントとなっております。
次期中期目標の策定に当たりましては、現行中期目標にある事務処理の迅速化や、情報開示の充実及び利用者の意見の反映等も重要ではありますが、本見直し内容を踏まえ、法人のミッションに照らして資金供給の環境整備のための方策や目指す成果につきまして、可能な限り具体化する必要があるという点について、主務省と議論を進めていきたいと思っております。
農畜産業振興機構及び農業者年金基金につきましても同様に、法人のミッションに照らしまして、何が法人の成果を測るにふさわしい目標であるかという観点で、議論を進めていきたいと思っております。
加えて、農畜産業振興機構につきましては、これまでの事業の蓄積で有する専門性を活用して、その役割をさらに拡大する余地はないのか、また法人が行う事務・事業につきまして、その効果や役割が十分に国民に浸透するよう、広報や情報発信のあり方につきましても、主務省の考え方を確認していきたいと考えております。
次に、国土交通省所管の法人でございます。国際観光振興機構(JNTO)につきましては、訪日外国人旅行者の誘致に大変努力されておりますが、経済効果や地域再生に資するインバウンド誘致に向けて、さらなる努力が期待されるところであります。
そのためにも、法人がこれまで培った強みを生かして、戦略的な訪日プロモーションの実施や、インバウンドに取り組む地方公共団体など国内の関係主体との連携・支援の強化といった取組につきまして、法人の長のコミットメントを引き出し、法人のチャレンジングな取組を促進するのにふさわしい目標や評価指標のあり方につきまして、引き続き主務省と協議していきたいと思っております。
それから、水資源機構につきましては、近年の気候変動を背景とした豪雨災害や渇水、地震災害などのリスクに対応し、水の安定供給の確保を図る観点から、ハード、ソフト両面の高い技術力といった法人の強みを生かして、ダムや水路施設を管理する地方公共団体等への支援も、より一層推進することを促す目標のあり方につきまして、主務省と議論してまいりたいと思っております。
その際、法人の有する技術力等を踏まえまして、どのような努力、工夫が評価に一番反映されるにふさわしいかということについて留意し、議論していきたいと思っております。
鉄道建設・運輸施設整備機構でございますが、これにつきましては、整備新幹線建設の過程などにおいて様々な努力をされていると承知しておりますが、今後もそういった法人の努力を促すとともに、それらの成果を適切に評価し、国民に分かりやすく説明していただくための目標のあり方につきまして、主務省と議論していきたいと考えております。
また、北陸新幹線につきましては、今年3月、敦賀から大阪へのルートが与党において決定されたところでありまして、本法人による駅及びルートの詳細調査、環境影響評価の手続が進められる予定と聞いております。
整備新幹線の整備のあり方につきましては、ルート沿線にお住まいの方々の関心が高いことはもちろんですが、今年5月には、財務省の財政制度等審議会におきましても議論されるなど、国民の関心は非常に高いと思います。
本法人が実施するルートの詳細調査などにつきましては、国民への説明責任という観点からも、是非的確に実施していただきたいと考えております。
第1ユニットにおきまして議論をしたその他の法人につきましても、業務の特性を踏まえまして、法人の長のコミットメントを引き出し、法人のチャレンジングな取組を促進するのにふさわしい目標や評価指標のあり方につきまして、引き続き主務省と議論をしていきたいと考えております。以上でございます。
【野路委員長】 樫谷委員、ありがとうございました。
それでは、ただ今の御報告につきまして、事務局から補足があればお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【栗原管理官】 特にございません。
【野路委員長】 第2ユニットについては原田評価部会長代理から報告をいただく予定でしたが、本日欠席ということですので、その代理で栗原委員にお願いいたします。
【栗原委員】 それでは、第2ユニットでの検討状況につきまして、代表して私から報告させていただきます。
まず、文部科学省所管の独立行政法人についてですけれども、研究開発法人であります理化学研究所と宇宙航空研究開発機構(JAXA)に共通しまして、研究の成果や結果だけでなく、いわゆる成功した失敗したということだけではなく、そこに至る過程やマネジメント面についても評価することが大事ではないかという議論がありました。例えば、JAXAについては、ロケットの打ち上げが失敗しますと、そこの部分だけが取り上げられますけれども、そこに至る過程で多くの成果があります。チャレンジングな研究課題についてリスクを意識することは非常に重要なのですが、職員がそういったことにチャレンジしようというインセンティブを確保して、法人としての力を伸ばしていくことも大切でありまして、そのためにはプロジェクトの過程やマネジメント面を評価していくことが重要ではないかということでございます。
それから、両者に共通してですけれども、研究成果を産業に生かしていくという取組が重要ではないかという議論がありました。その研究をどう役立てていくかという視点を持ちながら、連携等により取り組んでいくことが重要であるという議論がございました。
次に、研究開発法人以外の法人ですけれども、まず、日本学術振興会の議論を紹介したいと思います。この法人は、学術研究に対する我が国唯一の資金配分機関として科研費を配分している法人です。学術において国際的な競争が激しさを増している中で、我が国の国際的なプレゼンスを高めていくためにも、科研費が重要であると思います。しかしながら、日本学術振興会が配分した科研費によって、どういった成果が上がったのか、あるいはその研究において、この学振の顔や貢献が見えづらいので、日本学術振興会としての成果をより広くアピールすることが法人のモチベーションにつながっていくのではないかという議論がございました。
次に、日本スポーツ振興センターについてですけれども、スポーツに参画する人口の拡大に向けまして、この拡大というのは、決して選手の育成ということばかりではなく、いろいろな地域での草の根的な活動まで幅広いわけですけれども、そういったものに対して、スポーツ振興くじの助成等を通じて、法人がどのように取り組んでいくのかという点を検討していただきたい。それから、新国立競技場については、東京オリンピック・パラリンピック後の運営のあり方や手法を検討するということが主務省の見直しの内容にも書かれていますので、それはしっかり行っていただきたいという議論がございました。
そして、日本芸術文化振興会の議論を紹介したいと思います。今、文化芸術政策の分野は、もっと稼ぐという発想が大事ではないかということで、転換期を迎えていると思いますし、また2020年には東京オリンピック・パラリンピックもあるということで、日本芸術文化振興会にとっては、我が国の文化芸術の魅力を世界に発信する絶好のチャンスであるという背景がございます。このため、日本芸術文化振興会は新たな顧客層の獲得に向けて、観光や国際交流といった視点、あるいは一度来てもらったお客さんにリピーターになってもらうにはどうしたら良いのかという観点も検討していただいて、一過性のもので終わらないようにすべきではないかという議論がございました。またそれが、おそらく法人固有の政策目標であります伝統芸能の保存・振興に対する貢献につながるのではないかという議論をさせていただきました。
次に、厚生労動省所管の独立行政法人についてですけれども、まず、高齢・障害・求職者雇用支援機構の議論を紹介したいと思います。今、第4次産業革命や働き方改革が進む中で、中小企業をはじめ、生産性の向上というのが課題になっております。かつ、企業の現場が求める人材も変わっていくという状況があります。こうした中で、本法人は強みとしているものづくり分野で職業訓練を各都道府県の組織で行っていますが、こういった強みやリソースを生かして、IT人材の育成に力を入れていこうとしています。そういった取組を評価するに当たっては、訓練を何人受講したとか、あるいはアンケートで満足度が高かったということだけではなく、主務省は法人が果たし得る役割を明確にした上で、例えば中小企業の生産性向上に向けて、どんな取組を行っていくのか、どのような人材を育成していくのか、何を目指していくのかについて検討すべきといった議論がございました。
次に、勤労者退職金共済機構についてですけれども、法人が制度運用を行うことの意義を明確にすべきであるとの議論と、それから加入促進対策を効果的に実施すべきであるという議論に加えまして、今後行うと聞いておりますシステム再構築や電子申請方式の導入などについても、これは法人の業務の根幹に関わる大事なものでありますので、是非こうした基盤整備もしっかり進めていただきたいという議論がありました。
それから、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園についてですけれども、地域共生社会がうたわれている社会情勢の中で、全国各地域の障害者施設に対して、当法人から情報発信していただき、支援していただくことにより、全国の支援の質の底上げに貢献するということが、まさにこの法人にとって、国の一機関である独立行政法人として、とても大事なことであり、是非頑張っていただきたいという議論がありました。
それから、厚生労動省所管の福祉医療機構と、文部科学省所管の日本私立学校振興・共済事業団についてですけれども、両者に共通した議論がございまして、医療法人ですとか、私立学校等を取り巻く今後の環境変化に合わせて、貸付業務や、あるいは経営支援をどう行うのが有効なのか、その効果を確認しつつ取り組んでいく必要があるのではないかといった議論がございました。
最後に、内閣府所管の法人は1法人で、北方領土問題対策協会ですが、この法人が行います北方領土問題の啓発や四島交流などの事業を行うに当たりましては、その事業が誰に向けた事業なのか訴求するターゲットを明確にしつつ、新規の取組を含めて積極的に取り組んでいただくとともに、事業実施後の効果検証などを毎年度行って、事業改善を促すような仕組みが必要だという議論がありました。それに加えて、職員が積極的に意欲を持って業務に取り組めるよう、役員が一層率先して取組を進めていただきたいという議論がありました。
以上、第2ユニットが担当します独立行政法人につきまして議論を簡単に紹介させていただきましたけれども、いずれも、それぞれの独立行政法人の業務の特性を踏まえて、各独立行政法人が行った取組や工夫を適切に評価することと、さらにはその独立行政法人のチャレンジングな取組を後押しできる目標や評価指標のあり方について検討しているところですので、引き続き主務省と議論していきたいと考えております。
第2ユニットは以上でございます。
【野路委員長】 栗原委員、ありがとうございました。
それでは、ただ今の報告について、事務局から補足することはありませんか。
【栗原管理官】 特にございません。
【野路委員長】 それでは、ユニットを代表して第1ユニット、第2ユニットの報告がありましたが、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。天野委員。
【天野委員】 ちょっと補足させていただきます。
私は、今年度からこちらの委員会に入りまして、各独立行政法人のヒアリングを行わせていただいたのですけれども、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の評価専門調査会の研究開発法人部会のメンバーでもありますので、理化学研究所について補足説明をさせていただきます。
特定国立研究開発法人は3つありますけれども、理化学研究所はその第一弾ということで、CSTIのほうでもかなり念入りにお話を聞くことがありました。松本理事長は非常に一生懸命マネジメント体制をつくっておられますし、マネジメント体制をつくるだけではなく、今までの任期の中で、例えば、不安定な雇用環境にある若手研究員の人事制度の改革をやっておられます。また、理化学研究所には非常に特徴のあるセンターが多いので、これまで予算配分なども非常に苦労されていたようなのですが、既に松本理事長御自身がいろいろと予算配分のやり方の見直しも行っているということで、掲げられているマネジメント方針を既に実行に移しておられます。そして、そのセンターを何とか一体化して、理化学研究所全体を横串に刺して、特定国立研究開発法人として良い成果を出していこうということに非常に努力されていることがよく分かりました。おそらく今、理化学研究所が苦労されている部分が、産業技術総合研究所ですとか、物質・材料研究機構ですとか、次の特定国立研究開発法人のいろいろな評価や、マネジメント体制の構築に反映されていくだろうということを感じています。
それともう一つ、私は第2ユニットだけでなく、第1ユニットの国土交通省所管の法人も見させていただきました。先ほど、チャレンジングな試みということでしたけれども、水資源機構を代表として、法改正まで行い、次の中長期目標期間に非常にチャレンジングな目標を立て、実際に実行されているということを強く感じましたので、次の中長期計画に是非期待したいと思っています。以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。他にございませんか。
【梶川委員】 二つほどお願いがございます。
一つは、厚生労働省所管の福祉医療機構という公的な金融機関に関して、今回もユニットの議論で福祉医療経営指導事業について一層の強化を図るべきではないかとお書きいただいているのですが、まさに公的な性格のある組織に対して公的金融を行われているという要素があり、福祉医療機構はレンダーライアビリティーというか、貸し手の、ある意味では広い責任が、非常に大きな組織ではないかなと思います。
そういった意味で、やはりこういう公的な色彩のある組織というのは、なかなか組織運営効率を向上させていくことが難しい面が、営利企業と違って存在すると思います。是非少し踏み込んだ指導性というものの向上を行っていただければと思います。趣旨としては今回の資料に書かれているとおりですけれども、特段、その運営効率の向上に対する貢献というものを重要視していただければという部分で、ここにお書きのことを重ねてお願いしたいということです。
もう一つは、JNTOと日本芸術文化振興会との連携について。今回の資料中、JNTOの項に、国内の自治体等いろいろな関係団体との連携について書かれていたのですけれども、是非そういう意味では、先ほど出てきた日本芸術文化振興会あたりとの連携を検討してはどうか。組織間連携については、よく独立行政法人などの見直しでも話題には出てくるのですけれども、おそらくどのような組織でも、事業部門もそうですが、組織間連携というのはかなり背中を押してあげないとなかなかスムーズには進みづらい。本当は、本省の方でも組織間連携をしていただくことが最も望ましいとは思います。ただ、逆に現場に近い独立行政法人あたりから、こういった違う組織間の連携を具体的に目標に書き入れたりしながら、若干背中を押すような取組を行っていただけると、その分かなりリーダーシップの支援になると思いますので、具体的な連携のあり方というものを何か目標にお書きいただければなと思います。以上、2点でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。他にございませんか。中村委員。
【中村委員】 今、梶川委員が言われた話と同じようなことなのですけれど、文部科学省所管の日本芸術文化振興会で言いますと、やはり観光、国際交流、地方創生についての議論があって、これを目標設定に入れたら良いのではないでしょうか。さらに、国土交通省所管のJNTOについて、政府目標では外国人旅行者を2020年までに4,000万人に増やすこととなっており、いろいろな戦略的なプロモーションや、インバウンドに取り組む地方公共団体などの国内関係主体との連携・支援の強化といった、チャレンジングな取組を促す目標のあり方というのは議論になっております。さらに、見直し内容の中では、ICTの専門人材や、デジタルマーケティングの専任部署の新設なども検討されています。そこで、経済産業省所管の情報処理推進機構の記載を見ますと、IT人材の強化や、東京オリンピック・パラリンピックとその後を見据えた様々なIoTやセキュリティの人材の育成について書かれていますが、自分たちの所管の部分に留まっており、連携をするという言葉がどこにも出てこない。どうも一回見直しをした後で、あとはそれぞれが所管省庁の政策目標に従って施策を展開しなさいと読める。元々この独立行政法人制度ができた目的は、国の施策を効率的に、効果的な投資によって行うことにあり、業務の成果と、それに必要な費用を効率的にするべきというところから来ている。よって、梶川委員が言われたような、連携をやりなさいと指示することは、評価として重要ではないかという気がいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。他にございませんか。
【樫谷委員】 資料では触れていないところですが、述べさせていただきます、今回24法人が見直し対象なのですが、22法人が独立行政法人で、その他準用法人として評価を担当するのは2法人で、合計24法人となります。後者の2法人中の1法人で、日本私立学校振興・共済事業団というのがございます。この法人につきましても、今、梶川委員がおっしゃったような福祉医療機構と同じように、金を貸し付けて経営指導をするというところがございまして、福祉医療機構と同じように踏み込んだ経営指導の力もつけていかないといけないと思っております。今、大学改革というのが前々から言われておりますけれども、さらに踏み込んだ経営指導の観点からも業務を進めていただきたいと思っております。
【野路委員長】 ありがとうございます。浜野委員。
【浜野委員】 JNTOについて申し上げれば、インバウド客をどのくらい増やすというような数値目標が掲げられており、大変頑張っていただいているわけですが、今後はそれをもう一歩進め、そこから稼ぐ力の強化にどうつなげるかというような、少し経済効果的な目標もいれていただき、チャレンジングな取り組みを実施していただくよう期待しています。
そのためにも、他の独立行政法人や機関との連携がこれまで以上に必要となってくるでしょう。これは、JNTO以外の独法にもいえることですが、連携しているという事実だけではどのような相乗効果がでているかがなかなか見えにくいので、効果がわかるような事業策定にしていただければと思います。
また、すべての独立行政法人についてですが、「このような目標をたてて有意義なことを行っております」というような国民に対する説明責任があるわけですが、それぞれのウェブサイト上ではやや分かりにくいと感じます。特に若い方々向けにはスマホとか情報発信のツールの工夫も含め、もっと理解していただけるような広報をやっていただきたいと思います。
【野路委員長】 ありがとうございました。金岡委員。
【金岡委員】 皆様発言されていますので、私も発言させていただきます。
まず、御議論があったうち、一つはITのことです。今回、私は九つの法人を回らせていただいて、理事長以下、皆様から大変ご熱心に質疑に応じていただいたわけでございます。現在大きな独立行政法人については、皆様御指摘のとおり、それぞれITの力が非常に重要ですが、生産性を上げていく、品質を保証していくという意味では、私がこのIT産業界にいるせいもあるかと思いますが、残念ながら、理事長をはじめ皆様方、トップマネジメントの方に、そのITに関する知見なり、これを使って何かしようというところがやや弱く感じた次第でございます。それは、下の方、あるいはベンダーにお任せというような感じを、残念ながら受けてしまったということです。
もう一点、感想になりますけれども、先ほど第1ユニット、第2ユニットからいろいろ御説明がありまして、まさにそのとおりだと思ったわけでございますが、私が回った中でも、やはり主務省との間のミッションの議論というのは本当に重要だと思います。例えば、新幹線の建設を一手に担ってらっしゃる法人もあれば、JNTOのように、同様のミッションはそこだけが行っているわけではなくて、他にさまざまな取組があって、今現在、インバウンドの観光客が増えているという法人もある。したがって、国としての大きなミッションを担っている唯一無二の独立行政法人なのか、あるいは民間にも似たような機能があって、それと相互補完的な形、あるいはそれを指導するようなかたちにあるのかというような、その独立行政法人の一つ一つが持っていらっしゃる国全体のファンクションにおける役割、位置付けというものを、もう少し主務省と独立行政法人の皆様で再確認していただいて、それによってつくるべきミッションや、あるいはその目指す方向性の議論が、独立行政法人ごとにやや異なってくるかと思いますので、そこの根元の、どの程度民間と相互的なものなのか、あるいは唯一無二なのかということについて、はっきりさせる必要があるのではないかなと感じた次第でございます。以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。他にございませんか。
【樫谷委員】 今、金岡委員がおっしゃったように、ITやICTについて、確かにそこについて取り組んでいるところもありますけれども、あまり議論になっていないですよね。そこは、これから効果的・効率的にやるには、その予算もしっかりとっていただいていかないと、今までの延長だけで考えていらっしゃらないとは思いますけれども、そうではないITやICTについても、しっかり目標を書き込んでいただいて、どの程度導入し、それで何をやるのだというようなこともしっかり書き込んでいただかないと、なかなか導入が進まないというか、予算がないとかいろいろな理由はあると思うのですけれども、それを理由に先送りしてしまうという可能性もないわけではないので、是非ITというのは、本当にそれを使いこなしていくことが大事なのだということを整理し、使いこなすのだということを目標に書いていただくことも重要だと思いました。
【野路委員長】 ありがとうございました。梶川委員。
【梶川委員】 そういう意味では、今、ICT投資のお話が出たのですが、これは多分、非常にコストのかかることだと思います。その前提として、やはり独立行政法人の成果指標のようなものが、どうしてもパブリックサービスの提供なので定性的になってしまう部分があり、そのコストと成果の比較考量というのが、ある意味では非常に難しい組織体だと思うのです。それゆえに、やはり業務プロセスと、それがもたらす成果の客観性を常にぶつけて、ICT投資というものの正当性というか、かかるコストについての説明責任を図っていただく必要がある。ここは非常に難しいテーマだけに、今後ご努力をいただければと思います。
一般企業であれば、その投資が結果として収益が上がったという部分でかなりいろいろと過程はあったにしても、良い投資だったという部分は出てくると思うのですが、独立行政法人の場合、何億か投資したけれど、それによってどうなったか、今までの成果以上の成果が明らかに出たかといったことについて、きちんと整理を行わないといけない。整理を行わないといけない分、ちょっと消極的になる部分も当然あると思うので、むしろ今、パフォーマンス最大化というこの独立行政法人改革の流れでいうと、かなりチャレンジングに考えていただくと同時に、説明責任というすごく難しいことをお願いしているのですが、果たしていただければと思います。
【天野委員】 幾つかの法人を見させていただいて非常に感じたのですが、私は民間の出ということもあり、それぞれの主務省は、やはり日本の国という全体の一部門にしか見えないのです。その各部門の中で実際のことを行うのが独立行政法人ということであれば、主務省が日本全体の政策の中でどういうことを行いたいと思っていて、ある独立行政法人が何を自分たちのミッションとして受け持っているのかということについて、きちんと主務省と独立行政法人が話し合いをしてほしいと思います。
それに関連して、やはり実務部隊を持っていない主務省は、若干弱さを持っているような気がしました。
また、ミッションに関しても、背景というか全体の中の位置付けを各独立行政法人がきちんと理解されておらず、ある特定の言葉だけでミッションを受け取ってしまうと、どうしても視野が狭くなってしまいます。そのため、あるミッションをこなす際に、主務省の中だけでそのミッションをこなすのではなく、広く日本全体に対してそのミッションをどう位置付けて、どうこなしていくのかということを、きちんと各独立行政法人がお考えになると良いのではないでしょうか。例えば、水資源機構が法改正をして、自分たちの本来の主務省以外のところまで手を出すようにするとか、そういうことが今の日本では求められているような気がしますので、やはり主務省と独立行政法人との話し合いというのは非常に重要だと思いますし、その前に、各主務省が縦割りの中で考えるのではなくて、日本全体の中でどういうことをするべきなのかということを、まずお考えいただくのが良いと思います。
【野路委員長】 ありがとうございます。他にございませんか。
【樫谷委員】 各独立行政法人に視察に行かせていただきまして、理事長も含めてヒアリング、意見交換をさせていただきましたが、非常に良い取組をされているところが幾つかありました。昨年度は、住宅金融支援機構でヒアリングを行い、好事例として委員会で事例報告をいただきました。今年度も、ここに良い事例の法人に来ていただいて、御紹介いただくというような機会があれば良いと思いましたので、是非、事務局もそういう段取りをしていただければと思います。
【野路委員長】 ありがとうございました。他にございませんか。
【中村委員】 以前にも申し上げたような気がしますが、各独立行政法人には、実際に実務を行っておられる人たち、理事長などのトップマネジメントの方々など、幾つかの層があると思います。実際に業務を担っておられる方々が、各独立行政法人の理念や目標、また、理念や目標を達成するに当たっての優先順位や必要なものについてどこまで理解されておられるのかが分からないと、こういう国費を投入して政策として行うべきものについて、事務・業務の効率的な推進においてかなり無駄が出るという気がいたします。御検討されたとは思うのですが、従業員や職員の方たちの意識調査を何らかの方法で行ってみて、それが改善の方向に向かっているとすると、その独立行政法人は理念に基づきベクトルが合って進んでいるのだろうと思います。私どもの会社ですと、トップに一番近いところから、本部長、部長、課長、主任と職位が落ちていきますと、理解度が、90、80、70、60、50、40と、大体カスケードダウンされていきます。理解が進んでいない部分をどう改善していくかというPDCAサイクルを毎年行うのですけれども、こういう独立行政法人におかれても、現場でどう改善が認識されているかというような調査も行われると、今がどうかは分かりませんが、もう少し効率的に進められるのではないかなという気がいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。他、よろしいでしょうか。浜野委員。
【浜野委員】 独立行政法人の中には、時代の先端、環境の変化に対応するようなミッションをもって、成果を求められているところもあります。そういう独法では、成果を上げてもさらに新たなことに次々チャレンジしなくてはいけないのですが、それを実行するにあたっては、事務費と職員数を増やせないというのが実態です。その部分のフレキシビリティーがあれば別なのですが、そうでない中で、職員はかなりの無理をして業務にあたっているという実情も中にはあろうかと思います。
中期計画策定にあたって、業務を選択と集中という観点から思い切って整理していかないと、従来行っている業務の上にさらに新たな業務が増えていくばかりです。職員のモチベーションや労働環境も悪化してきます。
独法のトップ経営陣は主務省の方針を踏まえたうえで、中期計画中の業務を選択と集中という観点から随時見直し、マネジメント面でも職員に過度な負担がかからないよう働き方を改善に努めていただきたいと思います。
【野路委員長】 ありがとうございました。栗原委員、お願いします。
【栗原委員】 先ほど第2ユニット全体を総括する発言をしましたが、少々個人的に思うところも二、三発言させていただきたいと思います。
皆様からの発言と少し重なる部分はあるかと思いますけれども、まず第一点は、今回中長期計画を見直すにあたって、今後3年や5年の計画にとどまらず、もっと先を見た形でのバックキャスト的な計画というものを意識していただきたいと思います。それによって、今の延長線上で何ができるかという発想ではないところで、もっと可能性が広がるのではないかなと思います。
二点目は、独立行政法人の可能性についてです。法人の役割を考える際は組織ありきではなくむしろ目標ありきで考えなければいけないのですが、その目標を達成しようと思った時に、私が訪問させていただいた各独立行政法人は非常にいろいろな潜在的な可能性を持っていて、組織の中でも実は気づいていない、あるいは産業界でも気づいていない強みがあり、そこをもっと掘り起こせるのではないかと実感しました。ですから、法人に何が求められていて何が答え得るのかということの可能性をもう少し追求していただき、是非外に向けて強みを発揮していただくと、より法人を生かせるのではないかと思いました。
三点目に、自分たちが行った成果を表現する際に、社内と社外の両方に対して周知し、認識してもらうことで、社内の人にも貢献が実感できるよう成果の発信を考えていくことが有用だと思いました。
【野路委員長】 ありがとうございました。他、よろしいですか。では、私のほうから。
独立行政法人と民間企業は一緒ではないと思いますが、私も経営者としての視点で会社経営から見ると、通常やれる範囲というのは限られているわけです。だから例えば、子会社があったり一つの事業があったりすると、その予算の枠内でどうするかが課題です。まず一つ大事なのは継続性です。今まで行ってきたことに対する評価をきちんと行い、PDCAを回すことがこれに当たります。
二つ目は、社会の環境が大きく変わっていることです。この環境変化に対して新しいミッションを付け加える時は、捨てるものは捨てないといけない。枠があるので、何でもやってくれと言ってもできないことがいっぱいあるわけで、新しい目標に転換し、これを方針展開する際には、そのあたりがしっかり理解されるように気をつけないといけない。
それと、三つ目が、現場からの声をどう目標に反映させるかです。
この三つぐらいを考えながら方針展開を行い、中長期目標というものをつくるのです。今日は委員の皆さんが大体そのような観点で発言されているので、的を射た意見が多かったのではないかと思います。
もう一点、独立会社ですから、やはりトップマネジメントの評価といいますか、トップマネジメントのあり方が今どうなっているのかが大事です。特に、天野委員がおっしゃった理化学研究所の話ですけれども、理化学研究所の場合、10%か15%の職員は5年から10年以内で異動し、人材の流動化が進んでいます。一つの国立研究開発法人でずっと働くとしても、大体20年から30年くらいですから、人材の流動化がその研究法人のパフォーマンスを大いに左右するわけです。人材の流動化とか人事制度をどうするかとか、キャリアパスをどう考えるかというのが、トップマネジメントにとってみれば非常に大事なポイントであります。理化学研究所ではこのようなところがきちんと行われており、今そういうところからきちんと褒めて、きちんと評価しているというところが、非常に大事なのだろうと思います。さらに、独立行政法人によっていろいろ違うため、例えば、天野委員から発言があったように、広報も行い、説明責任をしっかり果たさないと、現場に元気が出ないというところがあるのです。トップマネジメントが、今年はこんな改善したじゃないかと、これだけ良くなったじゃないかということを評価することによって、また安全やコンプライアンスもしっかり守られて、良い方向にどんどん好循環が回っていくというところも、トップマネジメントの大きな役割と思います。
また、今日議論があったICT人材やIT人材については、かなりの投資が要るわけですけど、まずそういうところが必要な独立行政法人については、教育制度のあり方だとか教育投資をどうするかとか、主務省とよく話をしながら決めていかなくてはならない。
ただ、トップマネジメントの方向の着眼点も独立行政法人によってばらばらなので、それぞれの特徴に合わせながら大事なポイントだけを、しっかりと行っている法人を、良い事例として挙げてもらって、それを水平展開していただきたいと思います。
そこで、事務局にお願いしたいのは、今日の議論は非常に難しいのですけど、やはり国立研究開発法人は国立研究開発法人ですし、もう少し小さな研究機構のようなものは研究機構ですし、あるいは金融機関のような企業の分野はその分野でやらないといけない。管轄が厚生労働省だとか財務省だとか言っていても横の連携というのも必要なので、やはり法人を少し整理した上で審議するようにしないといけない。今日の話も第1ユニット・第2ユニットともそうですけれども、大きさや機能によって着眼点も違っています。その辺りを次回からいろいろ変えていったほうが良いのではないかと思います。
他に御意見がないようでしたら、ここで今日の検討状況について、私のほうからまとめさせていただきます。一つは、ミッションをまず明確にするということが大前提で、委員の皆さんが発言されたとおり、主務省との議論をもっともっと活発に行ってほしいということ。主務省側からは、今回の中長期計画までのパフォーマンスについてちゃんと評価をして、そして独立行政法人と話し合いをする。独立行政法人側は、現場を持っているわけですから、現場の声にも耳を傾け、自分の意見をしっかりと主務省に言う。この主務省と独立行政法人間のディスカッションについては、主務省が上で独立行政法人が下とかそういうことではなく、イコールパートナーという同じ土俵の上で行うということを是非お願いしたい。
二つ目は、主務省の方は、やはり環境変化に応じて変化しているならはっきりと、今までから大きくミッションが変化したということを言わないといけない。この辺りも明確にしてあげないと、今までの業務はそのまま置いて、さらにこの業務を追加だというのではできないわけで、その辺りをしっかりと明確にしていってほしい。
三つ目は、今日もいろいろ議論がありましたが、具体的な経済効果だとか目標だとか、そういうところは分かり易くしてあげないといけないし、もう少しロングランで、10年先を見た上でのものを見ないといけないということ。すぐに効果は出ませんので、ミッションの明確化等についてもお願いしたい。
その他、今日議論した独立行政法人だけではなくて、良い案があるなら、他の独立行政法人のトップマネジメントにも水平展開をするように事務局のほうから働きかけることです。
それで、最後の点については、私は、トップマネジメントをどう評価するかというのが、この委員会でも非常に大事なポイントだろうと思うのです。トップマネジメントについては、それぞれ人事制度や、IT人材などの人材の育成状況、広報、つまり説明責任というところも是非見てほしい。例えば、広報の仕方が不十分だと、説明責任を十分果たしているとは言えない。会社の場合は、今SDGsとかESGとかいろいろな形で報告書をまとめ上げています。民間企業は、これを一つの統合報告書のような形でまとめ上げていく過程で、沢山のディスカッションをしており、これが広報活動を行う上で非常に大事なのです。以上のような着眼点で、全ての独立行政法人が行う必要はないと思いますけれど、こういう独立行政法人については広報活動をしっかり行ってほしいとか、そういったポイントについて少々機能を分けた上で、整理してもらうと良いのではないかなと思います。以上の三点ぐらいを今後とも引き続き調査審議していただいて、まとめてもらいたいと思います。よろしいでしょうか。
【栗原管理官】 承知いたしました。
【野路委員長】 それでは、次に、議題2について事務局から説明をお願いしたいと思います。
【栗原管理官】 年度評価と期間実績評価が確定し、主務大臣から公表されたという状況に現在なっております。評価書は各委員の方々に後日送付させていただきますが、今後、当委員会といたしまして、点検作業を進めるに当たり心得ておくべき視点など、是非御指示いただきたいと思っております。以上でございます。
【野路委員長】 それでは、点検作業を進めるに当たっての視点で、樫谷委員長代理から発言があるということなので、お願いいたします。
【樫谷委員】 よろしくお願いします。年度評価と期間評価についてでございますが、委員会としては、S、A、B、C、Dといったような評定の結果自体に重きを置いているのではなく、評定を付すに至った判断の根拠や理由などが合理的かつ明確に説明されて、主務大臣において、評価結果によって判明した法人の業務運営上の課題や法人を取り巻く社会経済環境の変化などを踏まえた業務及び組織の見直し等の対応が行われているかどうかということが重要だと考えております。
評定を付す場合には、評定に至った根拠を適切に説明する必要があります。評定は、Bが標準であるということは御承知のとおりかと思いますが、A以上の評定を付す場合には、まず一番目に所期の目標を上回る成果が得られていると認められたこと、または二番目に難易度を高く設定した目標の水準を満たしていることが具体的根拠として説明されることが必要だと考えております。
C以下の評定を付す場合には、評価書において改善に向けた取組方針、または、具体的な改善方策を記載していただくことが重要であります。
これらは、今年度の期間実績評価、つまり前年度に見込評価を行った7法人の確定評価においても同様であります。なお、昨年度の見込評価に対して、個別に委員会意見を指摘した法人につきましては、業務実績評価では、評定を付すに至った具体的な根拠などを十分に説明していただく必要があると考えております。
なお、法律上、業績評価についての委員会の意見は、著しく適正を欠く場合に限定したいと思います。こうした中、委員会での評価を点検する趣旨は、これもないわけではありませんが、悪い事例の検出よりも、むしろ次の目標設定の参考となるような、さらには他の法人の参考となるような優良事例を見つけて共有することに眼目がある、と考えておりますので、事務局の方はよろしくお願いいたします。
事務局は、年度評価について、このような視点も踏まえて点検をしていただきたいと思います。委員各位も可能な範囲で評価書を御確認いただきまして、上記の視点に則して、気づきの点があれば事務局までご連絡いただきたいと思います。こうした点検の結果について、次回の委員会で事務局から報告していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【栗原管理官】 承知いたしました。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、次の議題3について、中村会計基準等部会長から報告をお願いいたします。
【中村委員】 中村でございます。それでは、私のほうから3番目の議題について御説明いたします。
平成27年5月以降、私が部会長を務めております会計基準等部会と財務省財政制度分科会法制・公会計部会と共同で設けましたワーキングチームにおきまして、独立行政法人の財務報告のあり方について、2年以上にわたりまして活発な議論を行ってまいりました。2月の本委員会で検討状況の中間報告をさせていただきましたが、その後、パブリックコメントをいただき、これを踏まえまして、最終的に両部会における議決を経て、9月1日に「独立行政法人の財務報告に関する基本的な指針」を正式に決定いたしましたので、本日はその内容を報告させていただこうと思っております。
まず、内容の説明の前に検討の経緯について御説明させていただきます。
国際公会計基準が策定されるなど、国際的な会計をめぐる議論が大きく進展する中で、独立行政法人の会計基準は、これまで対症療法的に個別の修正を繰り返してきたということから、結果的には理解しにくくなってきておりますので、オーバーホールをして、理論的、体系的に整理し直すべきではないかということから議論が始まっております。
したがいまして、当初想定していた主要テーマは、「会計基準の見直し」で実際にかなりの時間を割きましたが、議論を進めていくうちに、独立行政法人につきましては、パブリックセクターとしての特性を考えると、独立行政法人通則法第44条の要求する株式会社とは異なる利益概念に加えまして、そのサービス提供に幾らコストを投入して、どのような成果を上げたのかという点も重要だろうということで、非財務情報の重要性が浮き彫りになってまいりました。
また、独立行政法人の説明責任を果たす観点から、財務報告を作成することの重要性に変わりはありませんけれども、今回の議論では、一歩進んで独立行政法人のステークホルダーに、いかに財務報告を活用してもらうかという視点から、どういった情報が必要なのかという議論を重ねて、本日の報告に至ったわけでございます。
ではただ今から、資料に基づいてご報告させていただこうと思いますが、資料3の1ページ目を使って、「独立行政法人の財務報告に関する基本的な指針」について、説明いたします。
まず、資料の上にある目的ですが、平成25年の閣議決定で独立行政法人の政策実施機能を最大化するための一連の改革が実施される中で、財務報告のより一層の活用を図るため、財務情報に加えて、非財務情報を含めた財務報告に関する基本的な指針として取りまとめをいたしました。
次に、下段の「基本的な指針」の主なポイントを説明いたします。まず、独立行政法人の特性等を踏まえて、独立行政法人の成果をより的確に示す情報提供が必要という点であります。公共性の高いサービスを持続的に提供する独立行政法人の特性を踏まえますと、利益などの財務情報だけで独立行政法人の業績を評価できるものではないため、非財務情報の提供が必要といたしました。
一例といたしましては、業務の成果と使用した資源との対比情報や法人の長による説明情報などを挙げております。また、公共性の高いサービスが持続的に提供されるかの判断のためには、過去の情報である財務情報だけでなく、将来の情報も重要だとしております。具体的には、業務運営上の課題、リスク、その対応策などであります。
さらに、持続的に適正なサービスを提供するための源泉として、人的資本や知的資本に関する情報や財務報告の信頼性を担保する内部統制の整備、運用に関する情報も必要といたしました。
資料中の次の丸印は、財務情報に関するものでありますが、独立行政法人の業績の評価に当たりましては、非財務情報である業務の成果と対比する投入資源としての行政コストの提供が重要になりますが、これを行政コスト計算書で把握し、業務運営にかかるフルコスト情報として今後活用いただけるものと期待をしております。
また、今回、行政コスト計算書と損益計算書の役割を明確化いたしました。行政コスト計算書は、国の財務書類における業務費用計算書に相当する計算書で、法人の成果のフルコスト情報を提供いたします。損益計算書は、利益情報を用いて法人に対してインセンティブを与える仕組みを設けていることから、インセンティブ制度のための計算書と位置づけ、両者の性格づけを明確化いたしました。
以上を整理すると、このページには記載しておりませんけれども、独立行政法人が提供すべき情報といたしましては、過去、現在、将来という時間軸を踏まえた情報に加えて、財務、非財務の観点も踏まえた情報を提供することで、今後の財務報告の活用価値の向上を図り、財務報告の利用者と作成者との間で財務報告をもとにして、建設的な対話の促進に貢献できるよう期待しております。
資料中の最後の丸印でありますが、本指針は、基本業務を体系化したものですので、今回の概念整理を具体化するためには、独立行政法人会計基準の改訂や事業報告書の記載事項のような関係通知の改訂作業が必要となります。今後、会計基準等部会において、基本的な指針の具体化に向けた検討を行ってまいりますので、部会に所属されている委員、本日は樫谷委員と梶川委員がお越しでありますが、引き続きご尽力をいただきますようにお願いいたしまして、私の報告を終わらせていただきます。以上です。
【野路委員長】 中村委員、ありがとうございました。引き続き、会計基準等部会において検討を進めていただきたいと思います。
最後に、議題4について、事務局から説明をお願いします。
【栗原管理官】 議題4でございます。その他ということで、次回の第13回の委員会につきましては、12月4日の月曜日、13時半からの開催を予定しております。場所、議題等については、別途連絡させていただきたいと思います。
また、12月の委員会でございますが、先ほども御指摘がございました好事例のようなものを、今事務局で把握する作業をしております。広報やブランディングの事例といったことについてご報告ができないかと今調整しておりますので、是非、報告できるようにしたいと思います。以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
以上をもちまして閉会といたしますが、特段の発言ということがありましたらお願いします。よろしいでしょうか。
【樫谷委員】 今の会計基準の話で、梶川委員もそうだと思いますけれど、最初つくったときに違和感のあるところが幾つかあったのですが、大分すっきりしてきたと思っております。ありがとうございました。
それから、今回は財務会計の話だったのですが、次はいわゆる管理会計について、独立行政法人のマネジメントに使える会計とはどんなものなのだろうということを考え、これからいろんな会計の道具を検討していく必要があるのではないでしょうか。やはり、これも会計だけではできず、非財務情報との関連だと思いますので、今までの企業会計での管理会計とは少し違う部分もあるかも分かりませんが、そういうところもしっかり議論していただくと、より管理会計だけではなくて財務会計の方もさらに充実するのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
【野路委員長】 よろしいでしょうか。それでは、本日はお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。これで閉会といたします。
 

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