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第14回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

平成30年1月29日(月)15時30分から16時29分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、天野玲子委員、梶川融委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、浜野京委員

(事務局)堀江官房審議官、栗原管理官他

議事

  1. 平成30 年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について(状況報告を踏まえた審議)
配付資料

議事録

【野路委員長】 それでは、定刻となりましたので、ただ今から第14回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。
それでは、議題1についてです。平成30年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案については、各ユニットにおいて昨年12月4日の委員会決定で示した視点に基づき、調査審議が行われてきたと承知しております。まず、各ユニットから、その調査・審議の状況について御説明・御報告をお願いしたいと思います。
まずは第1ユニットについて、樫谷評価部会長から、御説明をお願いします。
【樫谷委員】 それでは、第1ユニットにつきまして、私のほうから御紹介をしたいと思います。
はじめに、消費者庁が所管する法人についてです。国民生活センターにつきましては、先ほど委員長がおっしゃいましたように、12月4日の委員会決定におきまして、高齢者、障害者等の被害防止に関する対策を推進するため、地方公共団体ごとに設置する見守りネットワークが実施している取組に対する法人の支援方策等について検討した上で、具体的に目標に盛り込むとともに、その成果の達成水準についても目標に設定することを検討してはどうか、また、消費者庁が今後行う実証的な取組において、法人の活用策を検討し、その活用内容が決まった段階で速やかに目標に盛り込むことを検討してはどうか、との見解をお示ししたところであります。
高齢者、障害者等の被害防止に関する対策については、資料1の3ページの広報事業及び13ページの教育研修事業において、高齢者、障害者等の支援を行う関係者への情報提供や研修の実施についての記述はされているものの、どちらも、具体的な記載、取組内容や成果の達成水準の記述が十分でないことから、今後、記述内容の一層の充実に向けて、引き続き主務省と議論していきたいと考えております。
次に、19ページを御覧ください。消費者庁が今後行う実証的な取組における法人の活用策の検討については、先駆的な商品テストや徳島独自の研修を含む新たな取組を実施し、成果についても公表し、適切に検証・見直しを行うこと、その結果として生じた新たな目標については中期目標に追記すること等、必要な事項は今回の目標案におおむね盛り込んでいただいたと考えております。
目標案全体について言えることですが、国の政策課題を解決するために、主務省が法人にどのような役割を与えるのかという具体的な記述が少なく、また、評価指標についても、法人の努力の方向性を示す上で、適切なものとなっているのかが分からないものが見られます。主務省とは、更なる記述内容の充実に向けて、引き続き議論をしてまいりたいと考えております。
続きまして、経済産業省が所管する法人について紹介いたしたいと思います。新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOにつきましては、12月4日の委員会決定においてお示しした見解について、今回の目標案におおむね盛り込んでいただいたものと考えております。
また、29ページを御覧いただきたいと思いますが、次期中長期目標期間の技術開発マネジメントで期待される研究成果を予測し、その成果を活用して実用化が期待される製品等の売り上げ予測を行うことによって将来的な経済効果を推計する新たな取組を検討するといった、アウトカムに着目して成果を推計する新たな取組も記載されております。法人の目標を考えて、どのように評価すべきかということをよく考えていただいていると思います。
それから、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、JOGMECにつきましても、12月4日の委員会決定においてお示しした見解につきまして、目標案におおむね盛り込んでいただいたものと考えております。
また、53ページの指標の一つ目を御覧いただきたいと思いますけれども、業務の成果を測る指標として、JOGMECの支援によって得られた資源の自主開発権益量を設定するなど、現行中期目標よりもアウトカムに近い指標を設定することが盛り込まれております。法人の目標を考えてどのように評価すべきかといったことをよく考えていただいていると考えております。
経済産業省所管の法人につきましては、今後は、目標全体について、業務の成果を測る指標や達成すべき水準の考え方等について、引き続き主務省と議論したいと考えております。
次に、農林水産省が所管する法人です。96ページの農林漁業信用基金につきましては、12月4日の委員会決定において、農業経営に関する資金調達を円滑化するため、民間金融機関に対して、農業信用保証保険制度の普及及び利用促進を図り、その取組内容及び法人に求める成果を具体化した目標とすることを検討してはどうかという見解をお示ししたところですけれども、これらにつきましても、今回の目標案に盛り込んでいただいたものと承知しております。
次に、116ページの農業者年金基金につきましては、今回の目標案を見ますと、農業の将来を支える若い担い手確保という政策目標を実現するため、39歳以下の農業を主たる職業としている基幹的農業従事者に対する被保険者の割合を年平均1ポイントずつ増加させ、最終的には25%に達するという目標を設定しております。これは、人口減少、高齢化が進む中で、毎年確保すべき新規加入者数を、前中期目標期間中の1.25倍程度増加させる必要があり、その実現に向けて、法人の創意工夫を求めるチャレンジングな目標という意味で、意欲的な取組と考えております。
次に、国土交通省が所管する法人です。144ページの国際観光振興機構、JNTOですけれども、12月4日の委員会決定において、海外の最新の訪日ニーズやプロモーションのノウハウを蓄積している強みをいかし、まず訪日プロモーションについては、国別や顧客層別に魅力を訴求する等のより戦略的な実施を行う。また、外国人旅行者の誘致に取り組む地方自治体などに対する支援の強化については、外国人目線のニーズ等の的確かつ迅速な情報提供、それから、地域の観光資源を掘り起こしプロモーションするノウハウの提供といったことを目標に設定することを検討してはどうか、との見解をお示ししたところですが、これらについては、今回の目標案におおむね盛り込んでいただいているものと考えております。
一方で、法人の成果が、2020年までに訪日外国人旅行者数を4,000万人、訪日外国人旅行消費額を8兆円とするなどの政策目標にどのように寄与するのかを検証できる指標につきましては、現時点の目標案では設定されているとは言えず、引き続き主務省側に検討を求めたいと思います。
訪日外国人旅行者数4,000万人などの政策目標の達成は、本法人の取組だけで実現できるものではないということは理解しておりますし、政策目標にどのように寄与するのかを検証できる指標の設定は簡単なことではないと思いますが、少なくとも、法人の取組が政策目標達成に実際にどう役に立っているのかをしっかりと分析・検証して明らかにしていくことを目標において明示し、見直すべきところは見直し、良い取組はしっかりと評価していくということが重要と考えております。
次に、155ページから161ページの水資源機構ですが、12月4日の委員会決定におきましては、水の安定供給や洪水被害の軽減のための施設連携のノウハウ、建設・管理にかかわるハード・ソフト両面の高度な技術力を保有しているという強みをいかして、水インフラにかかわる技術力の低下が懸念されております地方公共団体等への積極的な支援の実施を目標に設定することを検討してはどうか。特に災害等の状況によっては、つまり待っているのではなく、こちらから行くといういわゆる「プッシュ型」の支援を実施することも目標に設定することを検討してはどうかとの見解をお示ししたところですけれども、これらにつきましても、今回の目標案におおむね盛り込んでいただいたものと考えております。
それから、国土交通省としては最後ですが、167ページの鉄道建設・運輸施設整備支援機構、鉄運機構につきましては、12月4日の委員会決定において、開業予定時期に建設工事の完了を間に合わせるという結果のみに着目するのではなくて、完成に至る各プロセスにおける工程管理のための取組等といった努力や工夫についても評価できる目標とすることを検討してはどうかとの見解をお示ししたところでありますけれども、これらにつきましては、今回の目標案においておおむね盛り込んでいただいたものと考えております。
個別の法人に関する議論の状況については以上ですが、その他の議論といたしましては、今回提出された目標案を見ますと、いくつかの法人で、主たる業務の目標のほぼ全ての項目で重要度や難易度が設定されているものが見られます。いずれの法人も、重要で難易度の高い業務を実施されていることは理解できますが、各業務の内容等に応じて、重要度・難易度をメリハリをつけて設定することによって、予算や人員の的確な投入といったマネジメントの向上に資することが考えられます。この点につきましては、改めて主務省に認識していただき、御検討いただきたいと考えております。
【野路委員長】 樫谷評価部会長、ありがとうございました。それでは次に、第2ユニットについて、原田評価部会長代理が本日御欠席のため、栗原委員から御説明をお願いいたします。
【栗原委員】 第1ユニットに続きまして、第2ユニットでは、文部科学省、厚生労働省、内閣府の法人を担当しておりますけれども、その議論の状況について、代表して私のほうから説明をさせていただきます。
まず、202ページを御覧ください。初めに、理化学研究所、理研についてですけれども、理研は、平成28年10月に特定国立研究開発法人に指定された時に、中長期目標の変更を行っておりますけれども、今回、特定研究開発法人として初めて中長期目標を全面的に見直すということになりました。
この法人は、我が国のイノベーションの牽引役となっていただくということが期待されていますので、その期待に応えるべく、この法人の持つ革新的な研究シーズを社会還元していただく、そういうことに一層取り組んでいただくということを目標に明記していただきたいという点と、理事長がリーダーシップを発揮して戦略的な法人運営が行われているというのを拝見しましたので、その良いところを一層伸ばしていけるような目標にしてはどうかという点を、12月4日の委員会決定とさせていただいたところです。
今回、主務省から提出されました目標案を拝見したところ、まず、目標の冒頭、3.1の(1)に、「理事長のリーダーシップによる研究所運営を支える体制・機能の強化」という項目を掲げて、これを強力に進めていくという構成になっています。また、203ページの(3)に、研究成果の社会還元についても、これを「加速」していくということ、特にその次の204ページの上の方に、外部との共同研究の際には、個々の研究者レベルではなくて組織対組織での連携を強化していくこととしています。
また、こうした取組を評価するための評価指標も設定されていまして、具体的には、213ページの右のハコの評価指標に「理事長のリーダーシップによる法人運営の改善状況」ですとか、「組織対組織での産業界や大学との連携状況と、これによる研究成果の社会還元等の状況」といったものを評価指標として設定するということが書かれております。ですから、委員会決定の趣旨を反映していただいていると思います。
次に、宇宙航空研究開発機構、JAXAについて、224ページを御覧ください。この法人については、大きく二つ、目標としてはどうかということで掲げさせていただいたところです。
一つ目が、宇宙産業の市場拡大に一層貢献していただくということへの期待から、民間の宇宙利用の裾野の拡大や法人の持つ研究開発成果の社会実装を推進していただくということを目標に明記するという点です。
二つ目として、プロジェクトが当初企図していたものと異なる結果になった場合であっても、その結果だけで、成功した、失敗したという評価をするのではなくて、目的を達成するために行った取組や工夫を評価するとか、あるいは最終的な成果に至るプロセスで得られた成果についても、きめ細かく評価に反映していただくことによって、職員が失敗を恐れず挑戦しようというインセンティブやモチベーションを持ち続けていただけるような目標にしてはどうかということを、委員会決定とさせていただいたところです。
前者の、産業の拡大や社会実装という点につきましては、目標案では224ページの(2)に「宇宙利用拡大と産業振興」という項目が「JAXAの取組方針」の一つの柱としてしっかり位置づけられておりまして、また、これに関しての評価指標として241ページに、法人の持つ技術の産業界への橋渡しの結果としての「ライセンス供与件数」等の指標を設定して、社会実装に向けた取組の進捗や達成度を検証していくというような目標になっていると思います。
後者の、結果だけではなく過程等の成果を評価するという点につきましては、240ページから241ページにかけて、それぞれの研究分野のマネジメント等指標というところに「研究開発等の実施に係るマネジメントの状況」といった指標を設定しつつ、221ページのIII.の二段落目に評価に当たっての留意点として、「当初意図したものとは異なる成果も含め、研究開発の過程で得られた成果や目的達成のために行った取組や工夫についても適切に評価することに留意」するということが盛り込まれておりまして、委員会決定の趣旨を反映していただいていると思います。
先ほどの理研にも、JAXAにも、共通する部分があると思いますが、こういった目標の設定により、最終的な成果のところ以外でも適切に評価していくということが、チャレンジングな研究課題に意欲的に取り組もうという職員のインセンティブ確保につながり、研究成果につながっていくという好循環を生むということを期待したいと思います。
次に、日本学術振興会、学振についてですが、252ページの5.のところを御覧ください。この法人は、12月4日の委員会決定では、我が国の学術研究の国際的なプレゼンスの向上に向けて、国際研究基盤の構築のために行っている様々な活動、例えば諸外国の学術振興機関との連携や、外国人研究者の招へい事業等にしっかりと取り組んでいただきたい、また、そのための諸外国の学術振興機関との連携状況や、事業実施国または関連する研究分野での共著論文数などの具体的な指標を設定し、その推移を見ながら取組を進めていってはどうかと、委員会の方でさせていただいたところでありまして、これについては目標案にしっかりと反映していただいていると思います。
なお、この法人について強いて一言申しますと、この取組を進めるに当たりましては、これまでの国際交流事業の総括を行った上で、次期中長期目標期間の早期に必要な改善・強化を行うということが目標の一つとして明確になっておりますので、法人には是非ともこれを具体的かつ確実に実施していただきたいと思います。
次に、日本芸術文化振興会、芸文振についてですが、259ページ以降を御覧ください。この法人については、委員会決定では、改正された文化芸術基本法の基本理念に観光や国際交流の観点が追加されたことや、2020年にはオリパラがあることから、こうしたことを背景にインバウンドの拡大への貢献が期待されているということを踏まえ、外国人を含む新たな観客層の獲得に一層取り組んでいくということを目標に盛り込んでいただきたいとさせていただいたところです。
目標案の263ページに具体的に掲げられていますが、関連指標の中に「新たな観客層の開拓に向けた取組の実施状況」や「観客層の多様化の状況」等を設定し、これらの推移を見ながら、外国人を含む新たな観客層の獲得に向けた取組を一層強化していくということが明記されていますので、委員会決定の趣旨を反映していただいていると思います。
次に、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園についてです。304ページ以降になります。この法人につきましては、12月4日の委員会決定では、重度知的障害者支援を専門とする唯一の国立総合施設としての強みを是非いかしていただいて、全国の障害者支援の質の底上げに一層貢献していただきたいということで、法人の持っているノウハウや成果を全国の障害者支援施設等に情報発信していくという取組を強化してはどうかとさせていただきました。
目標案では、それが各章に具体化されていまして、304ページの「調査・研究」の項目、306ページの「養成・研修」の項目、307ページの「援助・助言」の項目のそれぞれの取組において、この法人が持つノウハウや成果が全国の知的障害関連施設等で活用されるための実効性のある施策が記述されておりまして、12月4日の委員会決定の趣旨を反映していただいていると思います。
最後に、高齢・障害・求職者雇用支援機構、高障求についてです。322ページ以降になります。この法人につきましては、12月4日の委員会決定では、いわゆる第4次産業革命の進展に伴い、大企業だけではなく中小企業等においても、IoT、AI、ロボット等の活用の必要性が増しているという状況を踏まえまして、この法人の強みである、ものづくり分野における人材育成のノウハウを蓄積しているというところをいかして、今後は、中小企業等の生産現場で働く人材のIT力の強化に取り組んでいくということを検討してはどうかとさせていただいたところです。
具体的に目標案を見ますと、例えば、離職者の訓練、職業能力開発大学校等の職業訓練、在職者訓練といったそれぞれの取組におきまして、IoTやロボット技術に対応した訓練コースを開発するということ等が明記されておりまして、12月4日の委員会決定の趣旨を反映していただいていると思います。
以上が、12月4日の委員会決定での個別の留意事項に関する各法人での目標への反映状況の説明でございますが、私どもが目標案を見ている中で、法人に目指してほしいという方向性を示すために、指標の設定の仕方をよく考えているなと感じた事例がいくつかございましたので、ここで紹介をさせていただきたいと思います。
一つ目が、先ほど説明した高障求についてですけれども、336ページを御覧いただきますと、指標の設定のところで、法人の取組のアウトプットだけではなく、アウトプットの対象者の行動変容を把握することで、PDCAサイクルを回していこうとしています。具体的に職業訓練を例にしますと、これまでですと訓練修了者の就職率を中心に評価が行われてきましたが、新しい目標では、訓練者の就職率に加えて、在職者訓練を利用した事業主に行動変容につながったかどうかということを確認するための指標として、事業主への追跡調査を行って、企業の生産性向上につながるような活動が行われているかどうかの評価を把握して、在職者訓練の効果測定を行っていくとしております。これは、アウトカム的な指標の設定に一歩踏み出した、良い事例だと思っております。
二つ目に、292ページの日本私立学校振興・共済事業団が行っています学校法人に対する経営支援事業についてです。この事業ではこれまで、「学校法人の経営改善及び教育改革に向けた支援が充実・強化されているか」という法人側から見た定性的な評価がなされていましたが、今回新たな目標では、経営相談を行った対象の学校法人の経営が、相談後に改善したかどうかということを把握し、その推移を見ていくという試みが図られています。
ただ、試みと申しておりますのは、経営改善の状況の把握というのは法人の評価に直接的に用いられるものではなく、あくまでも関連指標として、法人の取組の方向感が正しいかどうかということを確認するための指標として設定しようということであります。しかし、私立学校を取り巻く環境が厳しくなっているという状況に鑑みても、とても大切な姿勢だと評価できるのではないかと思います。
最後に、複数にまたがりますので、ページ番号は申し上げませんが、各法人共通の課題になっていた、法人の研究成果を各方面に情報発信して、それを実際に活用してもらうという点で、一歩踏み込んだ取組が見られた法人を紹介したいと思います。
具体的には、のぞみの園では、ホームページへのアクセス数だけではなくて、そこに掲載されている研究成果へのアクセス数を指標として設定しています。また、芸文振でも、調査研究や収集した資料をデジタルライブラリーの形にして公開しており、その文化デジタルライブラリーへのアクセス数を指標として設定しています。それから、北方領土問題対策協会、北対協では、作成した学習教材のダウンロード数を指標として設定しています。ホームページで公開している情報について、その活用状況というのはなかなかアウトカム指標として設定しづらいのですが、単にホームページへの総アクセス数ということを把握するだけではなくて、もう一歩踏み出して、具体的な情報の活用状況を把握しようという姿勢が、指標設定において見られると思いましたので、そうした工夫を行っている法人について評価したいと思ったところでございます。
以上、第2ユニットにおける主な議論の状況について説明をさせていただきました。
【野路委員長】 栗原委員、ありがとうございました。では、さらに御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をいただけますでしょうか。
【天野委員】 全体的に見させていただきまして、やはり方向性としては、皆さんよく取り組もうと努力していただけたのではないかと思います。
その中で、二、三点、気になったことを、今後の話として申し上げたいと思います。一つは、国立研究開発法人についてですが、各省庁では成果の社会実装をどのようにカウントしたら良いのかということを、今は一生懸命考えられている最中だと思うのですが、具体的な指標を見てみますと、特許のライセンス供与数や、10年経過した特許をどのぐらい整理しているかといった指標を設定されています。今までのデータの蓄積性ということもありますので、これは否定するものではありません。
ただ、今、国全体が、研究開発成果をいかに国のために役に立てるかという大きな目標を持っておりますので、この指標だけではそう長くは待てないと思います。現状具体的なアイデアはありませんが、研究開発法人、特に特定研究開発法人になった理研等の状況を見ながら、来年度以降成果をどういう指標で評価していくことができるのか、独立行政法人評価制度委員会としても何らかの横串的な考え方のようなものが提案できると良いのではないかと考えます。
具体的な中身を拝見すると、どの法人も素晴らしい研究をされており、ポテンシャルも高く、成果も大変良いものが出ているのですが、知財化とか、近年のグローバルなビジネスモデルを見据えた国際標準化ということになると、必ずしもこれをマネジメントするポテンシャルはないのではないでしょうか。そのため、ある意味、とてももったいない状況になっていると思いますので、是非これから、独立行政法人評価制度委員会としても見ていきたいというふうに感じた次第です。
もう1点、特に国土交通省なのですが、水資源機構を中心にして、法改正をして、自分たちの法人の活動域を実務的に広げていただいているということは非常に評価できることだと思います。
ただ、やはり活動域をすでに広げたJNTOも、まだ正式に決まっていなくともこれから行おうとしている法人も、広げた活動に対して、どういう指標で評価していけば良いのか、これがまだ具体性がないことも多いと思いますので、是非こちらも今後の課題として考えていただければ良いのではないかと思います。
以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。
他にございませんか。
では、今の天野委員の御提案について、事務局、あるいは、委員から御発言ございませんか。
【栗原管理官】 今の天野委員のお話も、まさに今回、目標策定の過程で、ユニット等でこれまで議論した課題だと思っております。まさに、良い事例というか、考えられるべきことがいろいろ出てきましたので、そのようなことを整理してみたいと考えております。
【野路委員長】 ありがとうございます。
他に、委員の方、御意見等ございませんか。
金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】 ありがとうございます。
私は、ある県の総合計画の委員も務めさせていただいて、5年毎ですから、結構大きな委員会なのですけれども、そこで出る議論の一つと同様なのですが、こうやって立派な目標を作るのは良いけれども、おそらく法人の中でも、非常に大きな組織もあると思います。そうすると、その目標をどのように各法人の中の皆様に伝えていくのか。おそらく、サマリー等つくると思うのですが、県でも、何と言えば良いのか、図とか言いながら実際には図ではなく、言葉ばかり書いてあることもあります。非常に知的レベルの高い皆様が多いかと思いますけれども、目標を具体的にどのように法人内に周知されていくのか、その辺りについても、おそらく進んでいらっしゃるところとそうではないところ、相当な差があるのではないかと思いますので、何か先進的な事例をお持ちの法人があれば、それを皆様に知らしめていただくことも一つの手ではないかと思います。
もう一点は、中期目標ですので、長期にわたる目標設定になります。そうしますと、企業体の中でもそうですけれども、マイルストーンという考え方が非常に重要で、あるポイントを一つのターゲットにしていく。今回、幸いにして、2020年東京オリンピック・パラリンピックという非常に大きなイベントがございます。そして、この中にも、直接、間接に関わっていらっしゃる法人があって、もう既に目標に書き込まれているかと思いますが、少しでも関係があれば、2020年東京オリンピック・パラリンピックというものを、マイルストーンとして、そこまでに何をやるのかということの目標への積極的な記述、あるいは内部目標の設定に心がけていただければ、非常に分かりやすくなるのではないかという気がしております。
以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。
事務局、今の御意見に対して、何かありますか。
【栗原管理官】 最初の一点目につきまして、今、御案内のように、法人の取組事例の把握をしております。実は委員も面識があるような法人の長が、どのようにミッションを職員に伝えていくのかというのを、いくつか仕込みをしておりますので、また追って、この場で、ヒアリングをするような場を設けられると良いと考えておりますので、調整に向けて取り組んでまいりたいと思います。
【野路委員長】 他にございませんか。
浜野委員、お願いします。
【浜野委員】 ありがとうございます。
各法人でいろいろ挑戦的な目標を策定いただいているのですけれども、先ほど他の委員からもお話がありましたように、主務省がどういう役割を与えるかというようなところについては、すでに具体的にお示しくださっていますが、いくつかの主務省が更に連携していただかなくてはいけないような事例や目標が、経済政策として非常に増えていると思います。
例えば、JNTOのインバウンド振興もそうなのですが、各関係機関と連携はとっていただいているのですけれども、一つには、主務省間で整理をしっかり行っていただく、又は、連携を強化していただくということが非常に重要になってくるかと思いますし、あるいは、同じようなことを形を変えて様々な法人でも行っており、少し重なりがあるのではないかというようなところも見られますので、そういったところを整理して、なるべく職員の方の負担を減らし、予算もどちらかの機関に集中していくというようなことが更に求められることではないかと思います。
そのため、法人に目標をおろした時に、目標はそれぞれにあるのでしょうけれども、そこのところの主務省間での連携と話合いを更に強化していただければと考えております。
【野路委員長】 ありがとうございました。
この件について、御意見等ございますか。
では、川上管理官。
【川上管理官】 国土交通省担当をしております川上と申します。委員の御指摘、ごもっともでございます。
主務省間の連携というところにつきましては、実際どの程度、実が伴っているのかという議論は別途あろうかと思いますけれども、観光庁を中心といたしまして、関係省庁間で観光戦略実行推進タスクフォースでございますとか、連携する場として様々な議論がなされておりますし、そのようなものの集大成として、観光立国推進基本計画ということで政府全体で取りまとめております。そういったものに基づいて政策を進めていくというような体系ができておりますので、今後、主務省間で、より連携や緊密な情報共有等を徹底していただければと考えております。
以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
他にございませんか。
高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 私も申し上げたいことはいくつかあるのですけど、あまり細かくなってもいけませんので、まず一つ大きくは、浜野委員と同じ意見ですが、主務省間の連携は非常に大事だと思います。中期目標の中に出てきたキーワードというのがあって、それに正しく、迅速に反応していただいて、何をすべきかという具体策に落としていただきたいと思う点がいろいろあります。
例えば、今日の最初の議論で国民生活センターがありましたけれども、訪日客の様々なトラブルにもきちんと対応していかなければいけないわけです。訪日客のプロモーションに関しては、JNTOのほうでしっかり行っていかなければいけないのですけれども、訪日客を招いてきた結果、いろいろな問題が露呈していくのであれば非常に困ることです。それに主務省自体が気づいて直接連絡をとっていただき、所管法人をうまく使うという発想をしていただきたいと思っております。
それから、法人をどのように評価するかを意識した目標になっているかという点について。具体的なことで例示をすれば、情報発信というのはどの法人でも出てくるのですけれども、例えば国民生活センターの情報発信については、高齢者とか若者の被害を防止するために、いろいろ情報発信をするというふうに書いてあるのですが、情報発信をする目標のところに、情報発信の手段であるとか件数は書いてある一方、そもそもそれを行うことによって、どのようなことを達成しようかというところの意識が薄いのではないかなというふうに、残念ながら感じるところがございました。
例えば、国民生活センターであれば、その役割は消費者被害を防止するということであり、消費者被害の防止の尺度を測るというのは非常に難しいと思うのですけれども、その前の段階で、広報活動にかなり力を入れていくのであれば、その広報活動の結果がちゃんと届いているかどうかということに関しての調査をしてはどうか。それは、利用者のアンケート調査ということでもできるでしょうし、あるいは、実際に自治体とか学校に情報が届いて、それによってどういうアクションにつながって、どういう良いことがあったのかということが、きちんと語れるような形にしていただければ良いのではないかと思いました。
それから、女性の活躍というのも、いろいろな政策でのキーワードになっていると思います。今日午前中の国会でも、農業女子の活躍プロジェクトに関しての論議がされ、そこでは、地域における女性リーダーの育成が討議されていたのですが、例えば、農業年金のところで、女性の農業従事者に対して、もっとちゃんと年金をつけるようにしようというように目標に書いてあります。ここで、女性農業者の加入の拡大というのが書かれたことは評価したいと思います。
そしてまた、被保険者数の割合を、現在8.8%、それを17%に五年間で拡大するために年間1.6%拡大するというように書いてあるのですけれども、この点、今までよりはスピードは速くなっているのですけれども、農業者年金に入る割合があまりにも低過ぎるのではないかと思っています。女性が農業に従事すれば、この有利な年金制度をみんな利用すべきぐらいの意気込みを持っていただきたいので、そういった数値の見直しも含めて、要求したいと考えております。
以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。
この件について、何かありますか。
【石川管理官】 消費者庁担当の石川でございます。御指摘ありがとうございます。
国民生活センターについて、何点か御指摘がございました。まず、訪日外国人旅行者数の増加に伴うトラブルについて、目標では、現行でも、もともと消費者基本計画にもある程度位置付けがあったということもございまして、具体的には目標の、7ページの上のほうの(4)に書かれておりますけれども、「訪日外国人旅行者への対応」ということで、先ほど金岡委員からも御指摘がありましたオリンピック・パラリンピック東京大会の開催にも言及しつつ、2020年に向けて、訪日外国人旅行者数の政府目標があることも踏まえまして、消費者トラブルに関する一定の対応をするということが、国民生活センターの目標案に盛り込まれることになっております。この部分については、指標も含めて、引き続き主務省と議論を深めていきたいと思っておりますが、事項として盛り込まれるという意味では、担当としても一定の評価はしたいと思っているところでございます。
もう一点、委員会決定にもございました、高齢者、障害者等の被害防止に関する記載について、先ほど樫谷評価部会長からの御紹介にもありましたとおり、まだまだ記載としては十分でないところがあるのは、担当としても率直に思っております。お配りした案以降も引き続き消費者庁と議論しておりまして、より具体的に、国民生活センターとしてどういった取組をするのかということについて、記載をより具体的にする方向で、今、作業しているところでございます。先ほど御指摘もありましたように、件数とか登録者数といったものだけにとどまるのではなくて、そこから先の、実際どのように届いているか、どういう効果なり反響があったのか、その点についても把握をすべきではないかという御指摘については、確かにごもっともだと思っておりまして、ここは、中期目標期間中にどこまでできるかという主務省の考え方もよく聞きながら、議論していく必要があるかと思います。御指摘いただいた点については、どこまで最終的に目標案に盛り込むことができるかについて、しっかりと主務省と議論していきたいと思っております。御指摘いただいた点はしっかりと受けとめたいと思っておりますので、御理解いただければと思います。
以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。
【中井管理官】 農業者年金基金のほうでございますけれども、今回、若年者の加入率とか女性の加入率を、数値をもって高めていこうとしている点は、主務省としてはかなり思い切った方向かと思います。ただ、まだまだ数字としては、目標としては低いのではないかという委員の御指摘も踏まえまして、年金は基本的に農業者個人を対象にしておりますので、おそらく家族では、世帯主というか、男性のほうがまず入って、そこからどのように拡大していくかというところがあるのかなと考えております。また、そのような少し家族観的な背景に踏み込むところもあるのかなという点も踏まえまして、一方で、時代がどんどん変わっていくということもありますので、現実的にどのぐらいの数字を記載することができるのかいうことをまた相談して、議論していきたいと考えております。
【野路委員長】 ありがとうございました。
他にございませんか。
梶川委員。
【梶川委員】 皆さんお話があったものですから、最後でもないのですけれども、今回、法人の組織を活性化して、いかにパフォーマンスを上げていただくかということがこの委員会の議論であったと思うのですが、そういう流れの中で言うと、それぞれ御苦労いただいて、全般的にはそのような方向で、目標がつくられてきているのではないかと思います。
そういう意味では、基本的に、この目標自身にストーリー性があって、分かりやすいということがとても重要になるのではないかという気がしておりまして、そのためには一貫するストーリー性と具体性というものが分かりやすさをつくっていくのかなと思いながら見せていただいていました。
そういう意味では、今回、むしろ良い例として、NEDOの29ページ、御説明をこちらからも依頼し、かつ、それが実現した例ではないかと思うのですけれども、4期の目標が終わったところで、実用化が期待される製品の売り上げの予測を行い、将来的なアウトカムを推計する。数字そのものということより、国民生活にどのような形の影響が出てくるかということについて、法人が行われることを詳細に書けば書くほど、だんだん分からなくなってしまうということもあるので、こういった取組というのはとても分かりやすいと思います。また、どこまで民間で行い、どこまで国が行うかみたいな話の中で、JOGMECなどが、これは100万バレルがどこから出てきた数字かということでもあるのですが、自分たちが全体像の中で役目をしっかり果たしていくと、単純に国民から見て、それほど多くの方がこれを見るとは思わないのですが、すごく理解しやすく、かつ、頑張ってほしいと思うことになりますし、そのこと自身が多分、組織で働かれる方のモチベーションにもつながっていくのではないかと思います。そのようなことを含めて、ミッションに対してのポリシーのようなものを非常に明確に表現していただくということが肝要ではないかと思います。
今、会計の分科会でも、事業報告書の中で、会計的な数値だけではなくて非財務情報を、ということなのですが、それを行って事業報告をどうつくるのかという議論を行えば行うほど、基本的にはトップリーダーのミッションに対するストーリー性みたいなものが非常に重要なのだなということを感じてきていますので、是非、こちらの評価の面での目標というものを、いかに外に発信するか、事業報告書等で簡潔に整理していただければ、非常に両者ともに良い形になるのではないかというようなことを感じている次第です。
【野路委員長】 ありがとうございました。
他にございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、樫谷評価部会長から御発言があると聞いていますので、よろしくお願いします。
【樫谷委員】 先ほど栗原委員や私から、第1、第2ユニットの議論の状況の報告においてもいくつか挙げられましたけれども、法人の目標をどのように考えて、どのように評価すべきかということを、よく考えていただいているものが多く見られました。
法人をどのように評価すべきか意識して目標を作っていただきたいというのは、なぜかというと、これは決して評価委員会が楽をしたいということではなくて、法人を正しく評価をしないと次に間違ってしまうというところがありますので、そのようなことも考えて目標をしっかり作っていただきたいという意味であります。私どももそれに対して、しっかり真摯に調査審議をしていくということになると思っております。
そこで、せっかくですので、委員会としては、法人の前の目標と比べまして、改善が見られたと考えられるところがたくさんあると思いますので、それを整理していただいたらどうかと思います。事務局において、できれば次回の委員会までに、そのようなものを整理して御提示いただければと思いますが、よろしくお願いします。
【栗原管理官】 承知いたしました。
【野路委員長】 では、樫谷評価部会長のご意見に対して、事務局のほうでまとめていただくということでよろしいでしょうか。
今日の議論はこれで終わりますが、私からも一言申し上げます。委員の皆さん、本当にありがとうございます。
個別ではいろいろな意見がございましたが、今、日本の課題というと、やはり人手不足ですよね。私は民間企業におりますが、人が足らなくて生産ができないというところまで来ております。どこの業界を見渡しても人手不足です。人手不足解消のためには、生産性向上が何より大事ですが、これだけ失業率が減って、少子化になって、危機的状況が来ているのだろうと思っています。それについては、環境変化があまりにも大きくなっているわけですから、それぞれの法人の中でも、あるいは、主務省の中でも、そこについてもう少し言及されるのが大事なポイントではないか思います。
二つ目は、先ほどの天野委員の御発言にもありましたが、研究開発法人の中で、社会実装だとか、社会的課題をどう解決するだとか、そういうところがやはり問われているわけで、研究開発法人になると、その取り組みにはかなり長く期間がかかるわけです。そうすると、過去の業績に対する評価のあり方なども一度事務局で整理していただくと、非常に分かりやすくなるのではないかと思います。例えば、炭素繊維などは大昔の研究ですが、これは産総研が開発したもので、40年ぐらいかかって、今、花開いている。そのようなものもありますので、長い目で見るということが非常に大事なのではないかと思います。
三つ目は、私がいろいろ見て感じた点を一言だけお話ししますと、経済産業省関係ですけど、新産業をやはり生まないと国力は上がっていかないのだと思います。従来型の大企業中心の産業構造はもうどこか限界で、そのためベンチャー企業を中心として、新しい産業をどうやって生んでいくのか。その中で、各法人がどう役割を果たすのかということも、もう少し長期的視点で、見ていただくと良いのではないかというのが、私の感想です。
それでは、本日の目標案に関する審議については、本日の議論を踏まえて、論点もございますので、2月19日の委員会へ向けて検討を進めていただきたいと思います。
最後に、次回について、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【栗原管理官】 次回は2月19日に、15時半から開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
次回2月19日は、本日いただいた目標案の審議に加えまして、樫谷評価部会長から御指示いただいた件と、それから、活性化事例の御紹介ということで、クラウドファンディングを行っている法人から話を聞く予定にしております。長のリーダーシップで、こういったことを行ってはどうかと示唆があり、職員全員を巻き込んだ活動となった例ということで、参考となるお話を聞くことができるのではないかと思っております。
以上でございます。
【野路委員長】 それでは、楽しみにしています。
それでは、以上をもちまして第14回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。本日は、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。

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