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第21回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

平成31年4月25日(木)15時45分から16時35分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階総務省第1会議室

出席者

(委 員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、天野玲子委員
梶川融委員、栗原美津枝委員、中村豊明委員、浜野京委員、原田久委員

(臨時委員)会田一雄臨時委員、佐藤綾子臨時委員

(専門委員)河合晃一専門委員


(事務局等)堀江行政管理局長、辻管理官他

議事

 1 委員長互選
 2 委員長代理の指名
 3 委員会運営規則等の確認
 4 部会に所属する委員、部会長の指名
 5 「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂について
 6 今年度の調査審議について
配布資料
 ・議事次第PDF
 ・資料1PDF
 ・資料2PDF
 ・資料3PDF
 ・資料4PDF
 ・資料5PDF
 ・資料6PDF
 ・資料7PDF
 ・資料8PDF
 ・参考資料1PDF
 ・参考資料2PDF
 ・参考資料3PDF
 ・参考資料4PDF
 ・参考資料5PDF

議事録

【辻管理官】 本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから第21回独立行政法人評価制度委員会を開催いたします。
本日は第3期の初会合ということですので、委員長が選出されるまでの間、便宜上、事務局の方で議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
また、後ほど御紹介させていただきますが、新しく専門委員に就任されました河合先生は、本日御都合によりこちらにお越しいただくことができず、WEB会議で御参加いただいております。
それでは早速、4月1日付けで内閣総理大臣から任命の発令がございました10名の委員と3名の臨時委員、1名の専門委員の方々を順に御紹介させていただきます。
御紹介の後、御出席の委員から、順番に御挨拶をいただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
まず、委員10名を御紹介いたします。
天野玲子委員。
樫谷隆夫委員。
梶川融委員。
金岡克己委員。
栗原美津枝委員。
高橋伸子委員。
中村豊明委員。
野路國夫委員。
浜野京委員。
原田久委員。
以上、委員は10名です。
なお、金岡委員、高橋委員は本日御欠席です。
次に、臨時委員3名を御紹介します。
会田一雄臨時委員。
佐藤綾子臨時委員。
中川順子臨時委員。
以上です。
なお、中川臨時委員は本日御欠席です。
最後になりましたが、第3期から、新たに金沢大学の河合晃一先生に専門委員に就任いただいております。
それでは、梶川委員から、順に御挨拶をお願いいたします。
【梶川委員】 梶川でございます。今回は3期目です。どのようにお役に立てたか分かりませんが、前回の任期中に、会計基準に関しましては、ディスクロージャー全体ということで一定の成果物が出たのではないかと思っております。今年からは、特にトップマネジメントのリーダーシップという観点で、野路委員長の御指導のもと、法人が更なるパフォーマンス向上に向けて行動されていくことについて、少しでもお役に立てればと思っております。
【樫谷委員】 樫谷と申します。独法制度が変わってから今年で一巡ということです。見直し対象法人の数が少ないこともあって、我々委員会も新しいことにチャレンジする必要があるのではないかと思っております。よろしくお願いいたします。
【野路委員】 野路でございます。コマツの社長、会長を経験しました。民間企業の経営者の立場という形での経験をいかして、お役に立てればと思います。よろしくお願いします。
【中村委員】 中村でございます。私は日立製作所で財務を担当しており、2016年から取締役監査委員を務めております。また、日本監査役協会の副会長でもあります。会計基準等部会においては監査基準の検討も行っておりますが、民間の監査の方法とは異なる部分もございますので、皆様と引き続き検討してまいりたいと思います。よろしくお願いします。
【天野委員】 天野です。第2期から続けて第3期目もやらせていただけるということで頑張っていきたいと思います。私は、以前鹿島建設におりましたが、研究開発マネジメントが専門であり、鹿島建設を卒業した後は、防災科学技術研究所、国立環境研究所でお手伝いをさせていただいております。各主務省の実務部隊である法人の方々が、より元気に活躍していただけるように、微力ながらお世話させていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
【栗原委員】 栗原でございます。私は前回の第2期目からということで、二年間経験させていただいたことの振り返りも含めまして、今期に活かしつつ務めさせていただきたいと思います。この二年間で、目標の立て方を見直したり、事業内容自体も見てきましたが、それだけではなく、それを支える人材や連携等にも光が当たってきたと思います。その辺りにつきましても次に活かし、対話をしながら、より良い計画にしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【浜野委員】 浜野と申します。私は日本貿易振興機構でプロパーとして働いておりました。役員になりまして、今は退職し、信州大学の理事と内閣府の政策参与をやらせていただいております。独立行政法人におりました関係から、やはり、法人の方々がより働きやすく、生きがいのある職場になるようにサポートさせていただければと思います。また、少子高齢化やグローバル化、AIの活用等、社会環境が非常にドラスティックに変わっている中で、各法人がどのような事業を選択していくのか、課題がどのようなところにあるのかというところを見ていく必要があると思います。主務省の皆様と一緒に考えて、その辺りをサポートさせていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
【原田委員】 立教大学の原田でございます。専門は行政学という分野です。私自身は3期目ということになります。今年度は、この委員会にとって非常に重要な年であると思っています。先ほど樫谷委員がおっしゃいましたように、独立行政法人通則法の改正後、目標期間の第2期目に入る法人が登場するということ、また、昨年度議論いたしました目標の策定と評価に関する新しい指針が本格的に適用されていくということ、その意味では大きな変革の時期に差しかかりつつあるのではないかと思っています。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【会田臨時委員】 前期に引き続きまして臨時委員を務めさせていただきます、会田です。私の専門は会計学であり、独立行政法人の創設時から会計基準の設計に携わり、法人制度がスタートした直後は農林水産省や国土交通省の評価委員もやらせていただきました。評価の難しさというのも、いろいろ学ばせていただきました。現在は、会計基準の見直し等、課題は多いと思いますけれども、これに向けて少しでもお役に立てればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤臨時委員】 同じく臨時委員の富山国際大学の佐藤と申します。私も、会計、財務報告を専門としております。これまで会計基準等部会で、委員の皆様、それから事務局の皆様の御尽力で、単なる会計基準の議論だけではなく、どうすれば法人のガバナンスが改善するかという、根幹に立った見直しをしてきました。このような見直しに携わることができ、光栄だと思っておりますが、これからはそれをどのように実現するかというところだと思いますので、引き続き微力ながら尽力できればと思います。よろしくお願いいたします。
【辻管理官】 最後に、河合専門委員、お願いいたします。
【河合専門委員】 金沢大学で行政学を専攻しております、河合と申します。微力ではございますが、少しでもお役に立てますよう努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【辻管理官】 ありがとうございました。
それでは、次に、議題1といたしまして、委員長の互選をお願いしたいと存じます。独立行政法人通則法第12条の6によりまして、委員長は委員の方々の互選により選任していただくということになっております。いかがでございましょうか。
天野委員、お願いいたします。
【天野委員】 野路委員にぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【辻管理官】 野路委員に引き続きお願いしたいという御意見がございましたが、他に御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
(「ありません」の声あり)
【辻管理官】 よろしいでしょうか。それでは、互選の規定により、野路國夫委員が委員長に選任されました。
それでは、ここからは、野路委員長に議事進行をお願いしたいと存じます。
【野路委員長】 ただいま推薦いただきました野路でございます。委員長を務めさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
先ほどから委員の皆様がおっしゃっているように、法人の取り巻く環境は大きく変化しています。特に私が気になるのは、どの分野も人手が不足しているということです。そのような意味では、今こそ法人が活躍するときが来たのではないかという考えもあります。それから、ICTに加え、AIやIoT等、世の中の技術が加速度的に進んでおります。これらを使うことによって大きなイノベーションを起こしていかなければ日本の産業構造も良くなりませんし、全体的に景気が良くならないだろうと、私は思います。
法人には、今まで培った専門技術をぜひ磨いていただき、それをいかして法人が活躍できるように環境を整えていきたいと思います。特に、地方創生であったり、中小企業が中国等の新興国に追いつかれていますので、中小企業の更なる飛躍というのも必要でしょう。社会的課題というのは、農業、林業をはじめ、様々な分野で課題がめじろ押しです。その中で、それぞれの法人が自治体等の関係部署と連携をとって活動することによって、日本の社会的な課題を一つでも二つでも解決していくということが重要ではないかと思います。そのような意味で精いっぱい努力して務め上げたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、早速ですが、次の議題2、委員長代理の指名に入ります。委員長代理につきましては、独立行政法人通則法第12条の6第3項に基づきまして、私が指名させていただきます。委員長代理は、樫谷隆夫委員にお願いしたいと存じます。皆様よろしくお願いします。
【樫谷委員】 委員長代理を務めさせていただくことになりました樫谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
続いて、議題3として、委員会の運営について定める規程等を確認いたします。
事務局から説明をお願いします。
【辻管理官】 それでは、委員会の運営について定める規程等について御説明いたします。
まず、資料2を御覧ください。委員会の運営規則です。この中で、まず第2条では、委員長が会議を招集することや、ビデオ会議システムを利用した会議への参加も認めるということ、あるいはやむを得ない事情があるときには書面による議決ができることなどが定められております。
また、第3条では、会議は原則として公開とすること、第4条では、議事の経過について、議事録を作成して公開することなどが定められています。
それから、第5条には、部会の運営について規定されています。
次に、資料3の部会の設置規程です。部会につきましては、引き続き評価部会と会計基準等部会の二つの部会を置くこととしております。
次に、資料4を御覧ください。これは評価部会への付託事項ということですが、中長期目標の変更及び独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率については、評価部会の議決をもって委員会の議決とすることとされています。
次に、資料5ですけれども、会計基準等部会への付託事項ということです。会計基準及び会計監査人の監査に関する基準の技術的な変更等につきましては、会計基準等部会の議決をもって委員会の議決とすることとされています。
最後に、資料6ですけれども、委員が独立行政法人等の関係者となっている場合の審議への参画についての申合せです。委員が独立行政法人や国立大学法人等の役員や常勤職員、あるいは法人等の運営を審議する外部委員や会計監査人等の法人の関係者である場合には、当該委員は関係する法人に関する審議・議決について、意見を述べることを差し控えることや、議決には参加しないことなどが定められております。また、これに該当しない場合でも、判断の中立性・公正性に疑念を生じさせるおそれがあるときは、委員の申し出により審議及び議決を回避することができる旨が定められております。
以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、これらの規程に基づきまして、今後の委員会の運営を進めてまいりたいと思います。
続きまして、議題4として、評価部会及び会計基準等部会への委員、臨時委員及び専門委員の所属につきまして、独立行政法人評価制度委員会令第1条第2項に基づきまして、指名させていただきます。委員、臨時委員の皆様の所属につきましては、これまでどおりとさせていただきたいと存じます。また、新たに就任いただきました河合専門委員におかれましては、評価部会に御所属いただきたいと存じます。
次に、各部会の部会長につきまして、委員会令第1条第3項に基づき、指名させていただきます。評価部会は樫谷委員、会計基準等部会は中村委員にそれぞれお願いしたいと存じます。
以上、よろしくお願いいたします。
次に、議題5について、中村部会長から御報告をお願いします。
【中村委員】 それでは、「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」、いわゆる「独立行政法人の監査基準」の改訂につきまして、私から説明させていただきます。
資料7を御覧ください。ローマ数字の9ページです。タイトルが「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書の改訂について」となっておりまして、平成31年3月25日付けの資料です。この資料では、1で報告書の改訂の経緯、2で報告書の改訂の内容について概要を整理しております。
まず、今回の改訂につきまして説明をいたします。一昨年の9月に独立行政法人の財務報告につきまして、制度の根幹に立ち返った理論的・体系的な整理を行い、「独立行政法人の財務報告に関する基本的な指針」を取りまとめました。この基本的な指針を踏まえ、昨年9月に「独立行政法人の事業報告に関するガイドライン」の設定及び「『独立行政法人会計基準』及び『独立行政法人会計基準注解』」の改訂を行いました。これらにつきましては、昨年10月30日の独立行政法人評価制度委員会にて、私から説明をさせていただいております。
また、昨年7月には、企業会計審議会から「監査基準の改訂に関する意見書」が公表され、企業会計の監査基準が改訂されました。主な変更点は、上場会社の会計監査人の監査報告書における「監査上の主要な検討事項」の記載や、監査報告書の記載区分等の変更が行われております。
以上を踏まえまして、会計基準等部会と財務省の財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会の下に設置されました共同ワーキング・チームにおいて、「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂の要否及び改訂が必要とされる内容について検討をいたしました。その結果を取りまとめた改訂案が、先月に開催された会計基準等部会及び法制・公会計部会において了承されましたので、当委員会において、それを御報告するところです。
続いて、改訂の内容について説明させていただきます。下から3行目の2を御覧ください。先程申し上げました基本的な指針の設定や会計基準の改訂などを踏まえた技術的な修正を各所で行っております。
なお、事業報告書のうち会計監査人の監査の対象となる「会計に関する部分」の「定義」につきまして、会計士の方々から様々な意見が出まして、従前の独立行政法人の監査基準においては特段の記載がありませんでしたけれども、実務上の取扱いを踏まえて、より具体的に「会計帳簿の記録に基づく記載部分」と定義いたしました。
また、企業会計の監査基準の改訂に伴い、その改訂事項のうち監査報告書の記載区分等の変更についての修正を行いました。具体的には、「会計監査人の意見」の記載場所を、従来ですと監査報告書の最後に記載していますが、冒頭に結論を書くということに変更した点や、「意見の根拠」という区分を新たに設けた点、さらに法人の監事に「財務報告プロセスを監視する責任があること」を明記した点です。内容に関わる部分としては以上です。
次に、3の今後の発展につきまして、公的部門における会計監査人の監査に関する理論及び実務について、日本公認会計士協会を中心とした検討によって、より一層の充実と進歩が期待されるところでありますが、特に、4段落目に記載いたしましたように、更なる監査品質の向上に向けて、今後、監事と会計監査人等の連携の強化など、運用面での取組の充実を期待しているところです。
最後に、4の改訂後の監査基準の実施時期につきましては、平成31事業年度に係る監査からの適用といたしました。
以上です。
【野路委員長】 中村委員、ありがとうございました。
それでは、この報告につきまして、御質問、御意見等ございませんか。樫谷委員。
【樫谷委員】 御報告ありがとうございました。今後の発展についてということで御説明していただいたとおりなのですが、当初からこの件に関わっている者としての観点から、希望を少し述べさせていただきたいと思います。本来、企業の会計監査がある中で、「パブリックセクターの会計監査とは何か」というところが、常に頭の中にあります。会計に関しては会計検査院による検査という仕組みもありますし、それから当然、行政評価局や行政改革推進本部等があるわけです。そのようなことも踏まえて、以前、梶川委員や会田臨時委員と議論をしたことはありますが、まだ考えなければならない部分もあります。会計基準を抜本的に見直していただいて非常に素晴らしいものができたと思っておりますが、監査基準につきましても、今回は、企業会計の監査基準の改訂に伴う若干の変更でしたので、抜本的な見直しをどこかでしていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
【天野委員】 ありがとうございました。こちらの動きに関しては、監査法人がそれぞれ別個にシンポジウムを開催するなどして、説明する機会を設けられていると思います。一方で、私が身近で見ている国立研究開発法人に関して言いますと、まだ完全に趣旨が行き渡っていないようなところも、若干見られるような気がします。ですので、委員会としてこの動きを今後どのようにPRしていくことになっているのか教えていただきたいと思います。
【神谷管理官】 会計基準等部会の事務局をしております神谷と申します。よろしくお願いいたします。
まず、先ほど中村委員から御説明がありました一連の動きにつきまして、例えば今年の2月にシンポジウムを開いて、野路委員長をはじめ、お話しいただいたということがございます。その中でも、法制・公会計部会の黒川部会長に御説明いただくなど、トップの層への働きかけを行っている一方で、事務的にも各法人や主務省の方をお呼びして説明会をこれまでも開かせていただいております。また、会計基準につきましては、今後も事務的な説明会は精力的に行いたいと思っております。具体的に各法人からも問い合わせが来ておりますので、少しずつ進展してきているのだと思っております。
【野路委員長】 栗原委員。
【栗原委員】 まず、この報告書につきましては、様々なところに行き渡り、かつ、環境変化を捉えた取りまとめをしていただいたと思っております。ぜひ法人においても、国民への説明責任を果たすためにも、理解して進めていかなければならない内容だと思っております。
そこで、会計監査人の監査を有効に行っていくためには、この中にもありますが、監事との連携が非常に重要だと思います。例えば、評価部会において各法人にヒアリングをする際、監事が出席されるのかというと、ほとんど出席されないという実態もあります。監事が組織のモニタリングをする、あるいは会計監査人としっかり議論をしていくという環境づくりが大変重要ではないかと思いますので、その辺りを是非進めて頂きたいと思います。
それから、少し細かい質問ですが、先ほど企業会計の話の中でKey Audit Mattersについてありましたが、法人の監査においても、そのような趣旨は取り入れられるのでしょうか。仮に取り入れられるとすると、法人の開示に影響があると思いますので、質問させていただきます。
【中村委員】 Key Audit Mattersは上場企業が対象ですので、独立行政法人への導入は考えていません。ただ、Key Audit Mattersの記載に関連して監査報告書の記載順序に変更があり、それは上場企業以外の企業に対する監査報告書も変更となるため、独立行政法人の監査報告書の記載区分についても改訂いたしました。上場企業における有価証券報告書のレベルを前提にしますと、独立行政法人の開示のレベルではKey Audit Mattersに対応できないとも考えられますし、独立行政法人の事業運営はそこまで大きなリスクを抱えたものではないだろうということもあり、導入しない予定でいます。
それから、監事との連携についてですが、その環境づくりは、民間企業の場合は日本監査役協会が行っています。法人においても、監事連絡会があるとのことですので、総務省と連携しながら、監事が何をやらなければいけないのかというマインドセットを変えるようにすると良いのではないかと思います。民間企業の場合、監査役や監査委員が三様監査のリーダーになって、会計士と内部監査部門との三様監査を活用してガバナンスを強化していくことになっています。一方で、独立行政法人の監事の位置付けは少し曖昧だと思います。中には現場で何が起きているのかということをしっかり見ておられる方もいると聞いていますので、そのような例を監事連絡会の場で、ベストプラクティスのような形で見せていくのが良いのではないかと思います。
【栗原委員】 それに関してですが、監事自体の意識向上は大変重要だと思います。同時に、組織のトップの監事に対する認識向上も重要だと思います。
【神谷管理官】 部会の議論におきましても、共同ワーキング・チームの議論におきましても、監事の役割については委員の皆様から多くのコメントをいただきました。一方で、現状の監事に対して割かれている資源で、本当に求められている役割を果たせるのかというような問題提起などもございました。
事務局としましては、まず、監事の方々に問題意識を持ってもらうところから始めなければいけないと思いました。そのため、監事連絡会の総会にて、今回の改訂の趣旨や中身をお話しさせていただきました。また、実際に監事の方に何をしていただくかについて、監事連絡会が作成している監事監査指針の改訂を、監事連絡会に対してお願いしております。さらに、財務報告の策定の実務を担当している方にもまた、我々から働きかけたいと思いますし、当然、主務省などへの説明を通じて、法人のトップの方にも認識していただくような働きかけをしていかなければいけないと思っております。
【野路委員長】 天野委員。
【天野委員】 私は国立環境研究所の監事をしているものですから、一言述べたいと思います。国立環境研究所では、毎年2月に各センターの分もしっかり見させていただいて、かなり厳しく言わせていただいています。監事連絡会のお話がありましたが、監事の意識はかなりばらつきがあります。それで先ほどのような発言もさせていただきましたが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
【樫谷委員】 天野委員がおっしゃったとおり、監事というのは、監査するように言っているのか、する必要はないと言っているのか、どちらなのか分からないところが報酬体系等も含めて実はあります。
それからもう一つ、効率化というものも大事ですけれども、もう少しできることがあるのではないか、やるべきことをやっているのかと、このような観点からの監事の監査も必要だと思います。そのような意味では、我々委員も監事連絡会の方と議論をしていく必要があるのではないかと今聞いていて思いましたので、また機会をつくっていただければと思っています。
【野路委員長】 私からも一言よろしいでしょうか。企業にも、監査室が設置されていたり、監査役がいます。先日のシンポジウムでも様々な意見が出たと思いますが、今の時代、結局、監査を行う背景や趣旨、その根底に流れるものが何かということを、監査をする人たちに理解してもらうことが、より積極的に様々な形で進むのだろうと思います。
私の会社でも、私が社長時代、監査というと暗くなってしまい、なかなか元気が出ないようなことがありました。参考までに私が行ったことを言いますと、まず、監査室長を役員にしました。監査室というのは会社の経営の中で非常に大事なポイントだということで、執行役員にしたわけです。まずそのようなところから始めないと、何かマインドが変わらないようなところがあります。
それから、先ほど樫谷委員がおっしゃったように、監査は何のためにやっているのかというところがポイントであって、外部の団体が多くあることから考えると、監査は、会社の経営の一端を担って良くしていくためということです。それを、監査する人が、いろいろな部門へ行って監査しますと言ってしまうと、隠してしまうようなことがあるわけです。ですので、監査室というところが何なのか、監事は何かというところを、根本的にそれぞれのところで議論してもらうと、より前向きに進めることができるのではないかと考えました。それで、私の会社ではいろいろな方面で監査しました。
特に、安全やコンプライアンスについては、監査室だけではできないので、安全の専門員を集めてチームを組むなどしました。それぞれの部門ごとに専門の人に入ってもらうといった形で変えていきました。やはり今の話を聞くと、そのようなところも時代が変わって変えていかなければいけませんし、変えることが目的ではないですが、その根底に流れる趣旨をよく理解しながら進めていくことが大事だと私は思います。
それでは、次に、議題6について、事務局から説明をお願いします。
【辻管理官】 それでは、議題6、今年度の調査審議について御説明いたします。資料8を御覧ください。現時点での年度スケジュールのイメージですけれども、まず、(1)は平成31年度末に目標期間が終了する法人に係る調査審議です。今年度につきましては、特に今年3月に目標策定指針と評価指針の改定を行っておりますので、その趣旨をしっかり踏まえた調査審議を行っていくこととしております。
今年度の対象法人ですけれども、参考資料3に各年度の見直し法人について一覧を整理させていただいておりますが、平成31年度のところを御覧いただければと思います。見直し対象の法人としましては、日本医療研究開発機構、年金積立金管理運用独立行政法人、経済産業研究所、工業所有権情報・研修館、産業技術総合研究所、以上の5法人となっております。これらにつきましては、例年と同様、夏頃までに主務省や法人役員等との意見交換を行い、また、必要に応じましてステークホルダーからのヒアリングも行う予定です。
それから、9月から11月には、主務大臣による「評価」や「業務・組織の見直し」といった結果が出てきますので、これを踏まえた審議を行い、12月から2月には次期中(長)期目標案の審議を行っていくこととしております。
次に、(2)ですけれども、こちらは今年度の新たな取組ということで、平成31年度に新たに就任された法人の長との意見交換を行う予定です。以前、委員からいただいた御意見も踏まえまして、目標策定の在り方に係る委員会の調査審議の参考とするため、策定した目標を踏まえて、法人の業務運営がどのように行われているかなどについて、新任の法人の長との意見交換を実施していくこととしています。この4月に法人の長が交代されました法人のうち、幾つかの法人を選んで実施してまいる予定です。
それから、(3)ですけれども、こちらは昨年11月の委員会決定におきまして、今後取り組むこととされました中間的なフォローアップのための意見交換等を行うこととするものです。平成27年度から開始しました新たな独立行政法人制度の下、新目標策定により、どのように法人運営がなされているか、中間的なフォローアップのための主務省や法人役員等との意見交換等を試行的に実施していくこととしております。対象法人につきましては、これまでの委員会における審議や委員の御意見も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
それから、(4)ですけれども、本年3月4日の委員会における委員長談話にもございましたように、上記の(1)から(3)の活動の中で、法人や主務省との意見交換等を通じて改定指針の趣旨等について周知等を図るとともに、法人の取組の好事例につきまして把握・提供・発信を行っていくということとしております。
また、広く法人関係者を集めたシンポジウムを開催することについても検討していくこととしておりまして、先ほど会計監査について法人への周知という話もございましたけれども、このようなことについてシンポジウムの場を活用していくことも検討してまいりたいと考えております。
これら(1)から(4)の取組については、評価部会において具体的な検討を行った上で委員会に報告し、委員会で検討を行うこととなります。また、法人運営の活性化につながる取組事例につきましては、随時、委員会または評価部会で紹介していくこととしております。
また、会計基準等部会におきましては、今年度は「連結財務諸表」及び「減損会計」について検討を進め、冬頃を目途に取りまとめることとしております。
以上です。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問等ございませんか。
【浜野委員】 (2)の新たに就任した法人の長との意見交換について、我々委員の意見を取り入れていただき、ありがとうございます。昨年度御説明いただいた法人のトップが変わっておられますので、新しいトップによるリーダーシップを発揮していただくという点では、非常に良いと思います。
それから、(1)の主務省との意見交換のところで、法人役員については、お伺いして意見交換をするような時間があったかと思いますが、主務省の方々は次々に御説明いただくので、意見交換と言うには時間が短過ぎるような感じがしましたので、もう少しお時間をいただきたいと思います。
【辻管理官】 今いただいた御意見につきましては、その方向で調整をさせていただきたいと思います。
【野路委員長】天野委員。
【天野委員】 今の浜野委員の意見には全く賛成です。私が申し上げたいのは、(4)のところで、好事例の把握・提供・発信というのは、今までも委員会で法人の長をお呼びいただいてお話しいただき、いろいろ勉強させていただくことも多いのですが、やはり委員会の中だけですと世の中に対する発信としては弱いのではないかという気がします。ですので、お話いただくと同時に、何らかの形で褒めてあげるような場所をつくっていただけると良いのではないかと思います。よろしくお願いします。
【辻管理官】 ありがとうございます。委員会で御紹介させていただいた案件については、総務省のホームページで特設ページをつくって発信をしています。あるいは、先ほど申し上げましたシンポジウム等を活用して発信していくことを考えておりますが、今いただいた御意見も踏まえて、何ができるか更に考えていきたいと思います。
【天野委員】 法人の状況を冊子等でお知らせするようなものはないのでしょうか。
【堀江局長】 現状ございません。各法人はそれぞれつくられていますけれども、独法制度や独法全体の広報・宣伝は行っておりません。我々のツールの中で考えてみたいと思います。
【天野委員】 よろしくお願いします。
【堀江局長】 先ほどからお話をお伺いしていて、確かに法人の長や監事の方に、直接考え方や理念を伝えるというのは非常に大事だと思います。そのような意味で、資料8で、例えば(2)に「法人の業務運営がどのように行われているかなどについて」と書いていますが、新しい法人の長にどのように行っているか聞いても仕方がないので、実はこのようなことで目標について意見を申し上げたのだというように、むしろ法人の長に対して語っていただくことが大事なのではないかと思います。監事についても同様だと思います。もちろん委員会の運営は委員会でお決めいただくことでありますけれども、私は、点検・監視というところから、むしろ普及活動や発信等にそろそろ重点を置いていくことも大事であると思っておりますので、いろいろ御指導いただきながら取り組んでいきたいと思います。
【野路委員長】 原田委員。
【原田委員】 資料8の(2)の法人の長との意見交換について、我々委員会としてメッセージや意見を伝えていくというのは、本来は主務大臣を通じて各法人に、ということです。そのような意味で、法人の新しい長を呼んで分かっているのか聞くというよりは、主務大臣がどのように政策のPDCAを回そうとしているのかをしっかり見ていくことが大事なのではないかと思います。法人が何をやっているのか、パフォーマンスをしっかり出しているのかというところは、どうしても気になるのですが、まずは主務大臣のPDCAサイクルをチェックしていくことが我々委員会の仕事であると思っています。
以上です。
【野路委員長】 中村委員。
【中村委員】 以前から申し上げているのですが、今度ヒアリングを行う年金積立金管理運用独立行政法人には、法人の長以外に経営委員会があります。経営委員会はモニタリング・ボードであって、マネジメント・ボードではなく、別に監査委員会もあります。目標の設定に絡むのかというと、目標の設定は厚労省が行うため、目標を達成するための運用をどうするか、政策配分をどうするかということになり、経営委員会をつくった意味は何か考えてしまいます。最近、経営委員会の中でその議論をよくしています。目標設定にどのように関与していくのかが大事と思いますので、ぜひ今度ヒアリングにお越しになるときは、主務省だけではなく、法人役員のほか経営委員会の委員長や監査委員の方にもヒアリングをしていただいて、どう変えていけば良いのか提言していただければと思います。
それから、(4)の好事例の把握・提供・発信について、この前の委員会でも好事例の紹介がありましたが、それが二つ目、三つ目、四つ目というように展開しているかというと、PoC(Proof of Concept)で終わっていて、その次へということが少ないので、もっと広く展開するようなサポートをしていただけると効果が上がってくるのではないかという気がいたします。
【野路委員長】 梶川委員。
【梶川委員】 私も、主務省の基本的な政策体系の中のPDCAサイクルのプランニング、与えられる目標ということと、法人の意識との合意が非常に重要であると思います。法人は今様々な形に分類されておりますけれども、それぞれの性格によって主務省の関与の割合も違い、その理念と実際のマネジメントとリーダーシップを法人の長がとられるということです。それは大事なことですが、やはり主務省サイドのお話をこの評価制度委員会でじっくり聞き、法人と主務省と評価制度委員会の三者の意見交換が非常に重要になるのではないかという気がいたします。ぜひよろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
最後に、事務局から次回の日程等について説明をお願いします。
【辻管理官】 今後の日程については、別途、御連絡いたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、第21回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。
 
 

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